作者です。今回でようやくダークブリングマスターの憂鬱を完結させることができました。これもたくさんの感想を下さった読者の皆様のおかげです。本当にありがとうございました。
これからはあとがきと言うよりは裏話のようなものになります。それでもいい方はお付き合いください。
まずは最終話について。原作の最終話を強く意識したものになっています。これはプロットの段階から明確に決まっていました。
『絶対にハッピーエンドにすること』
それがこのSS、RAVEのSSを書く上で作者が初めに決めたルールでもありました。例えご都合主義であってもハッピーエンドこそがRAVEが好きな読者の方々が望むものだと思ったからです。終盤のアキの苦難も全てはここに至るための苦境だったのですが、想像以上に否定的な感想が多かったのには正直驚かされました。終盤の展開が駆け足気味になったのも、あのままいつものペースで続ければさらに荒れる可能性があったためです。ですが早めにまとめることができたので結果オーライだったかもしれません。
ちなみに初期案では感想で触れた方もいたようにマザーが人間化する案もありました。ですがあまりにもご都合主義が過ぎること。マザーはやはり魔石であるからこそマザーなのだということで今回のようなラストになりました。
またアキが元の世界に戻る展開も考えたのですが没になっています。その理由は『憑依』を正面から描けばどうしても作者が書きたい方向性からズレてしまうためです。
普通であれば全く別人に憑依すれば悩み、元の世界に戻ろうとします。ですがそのことばかりに囚われればテーマが暗くなり、シリアスが多くなってしまう。以前書いたSSで憑依の苦悩は描いているため同じ話は書いていても面白くない。そのためアキの性格をいわゆる最低系、ハイテンション系にすることで強引になくすことにしました。マザーの加護もそのことに一役買っています。それに加えてアキの元の世界の記憶や情報はほとんどカット。決まっているのは既に死んでしまっているということだけ。元の世界に戻るという選択肢をなくすための設定でした。
『アキの恋愛を描かない、登場人物との恋愛はさせない』
これも最初から決定していたルールです。便宜上マザーがヒロインになっていますがアキの感情は恋愛ではありません。いわば自分の相棒、半身に対するもの。コードギアスにおけるルルーシュとC.C、化物語における暦と忍のような関係です。もっともそれだけ特別な関係であるということでもありますが。
原作キャラクターと恋愛を禁止したのは色々理由がありますが一つが原作の女性キャラクターの多くには既にカップリングが成立しているということ。ハルにはエリー、ムジカにはレイナ、レットにはジュリア。シュダとカトレアについては唐突感があったため除外していますがそうなるとアキとくっつけることができるキャラは限られてしまう。人魚のセリアやベルニカはいるものの二人ともハルに恋心を抱いているキャラであり、とってつけたようにアキの相手にするのは宜しくない。
もう一つの理由がアキが敵側、DC最高司令官であるということ。それだけで共に行動できる女性キャラは限られてしまう。レイナは可能だが相手にムジカがいる。カトレアは本編に関わることはできない。唯一の例外がジェロだが四天魔王である以上登場は終盤に限られてくる。
その結果、直接恋愛を描くことはなく、あくまで可能性を見せるだけに留めました。
読者の中には原作キャラとの恋愛を楽しむ方とそうでない方がいることは分かっていたので今回は後者を優先する形になりました。荒れるのを防ぐためでもあります。エリーにフラグを立てたのは言葉は悪いですがそういった層の方を釣るため。アキと接触させたのも本当はマザーとエリーに接点を作るためでした。
『原作で死んでしまうキャラクターをできるかぎり生存させること』
ある意味二次創作の醍醐味と言っていいルール。レイナをはじめとしてジェガン、ジークハルトも生存となっています。ジークハルトについては悩んだのですがやるなら徹底的にということで決断しました。
作者が書いていて一番楽しかったのはBG編。次点で四天魔王編です。逆に辛かったのが最終章。アキが敵側である以上。シンクレアが揃って行く終盤では自由度がさがってしまうため分かっていましたが予定調和的な要素が多くなってしまったのが反省点です。
最後に。エリールートを期待されている方も多くいるようですが描く予定は今のところありません。展開自体は感想欄で明かしていること。設定の変更などの驚きの要素が二週目にはないことが大きな理由です。期待されていた方には申し訳ありませんが御理解下さい。代わりと言ってはなんですが後日談とちょっとしたおまけを後日投稿予定です。
長々書き連ねましたが、書いていて楽しかった一年間でした。RAVEが好きな方が少しでも楽しんでいただければ幸いです。それでは。