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No.33147の一覧
[0] 【戦国ランス】DQNな元会社員(28)に南条蘭を救わせてみた【一話完結】[Shinji](2012/05/22 13:47)
[1] 【戦国ランス】DQNな元会社員(30)にJAPANを救わせてみた【前編】[shinji](2016/04/14 05:36)
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[33147] 【戦国ランス】DQNな元会社員(30)にJAPANを救わせてみた【前編】
Name: shinji◆b97696fd ID:1391bf9d 前を表示する
Date: 2016/04/14 05:36
警告:例の如くタイトル通りの内容なので回覧には御注意下さい。
























――――これは鬼畜戦士が奴隷と共にJAPANを去ってから一年後の話。




「……ッ……」


小鳥の囀りと共に自然と俺の意識が覚醒した。

こちとら大学を出てから社畜経験6年。

時計なんぞ無くても定時の前に成れば勝手にカラダが反応するのだ。

……とは言え現代には保険の目覚ましが有ったので無駄な順応だったが、今となっては有り難い"技能"である。

"この世界"に来てからは こんな些細な体質でも列記とした特技として必ず発生するのさ。

無論システム面での確信は無いが……此処では必ず朝7時には目が覚める為 技能扱いの確率が高いと決め付けた。

まァそんな微妙な考察は置いておいて。

布団から上半身を落とした俺こと元"宮本 武蔵"は、今は春日山城で上杉家の客将として生活している。

細かい経緯は後に述べるとして、視線を下に落とすと其処には寝巻き姿の"南条 蘭"の姿が有った。

朝に弱いコイツは今でも静かな寝息を立てていて、その姿は あどけなく自然と俺の口元は歪んじまう。

以前はチラッと見える胸元や太腿にドキっとしたモノだが、今は慣れてしまったのかムラムラとはしない。

そりゃ~当初は手を出したりも……ッとノロケも さて置き。

俺は直ぐにでも準備をしなければ間に合わない用事が有るので、さっさと着替え支度を終えると部屋を出た。












戦国ランス 二次創作SS

DQNな元会社員(30)にJAPANを救わせてみた 前編












「お早う御座います。武蔵様」

「あァ。おはようさん」

「武蔵様ッ! お早う御座いま~す!」

「おはよう。今日も元気じゃねェか」


スタスタと廊下を歩いていると、すれ違う武士や給仕の娘達が丁寧に頭を下げて声を掛けてくる。

やはり本城は安定の女性比率……県政の件で上杉の男達の立場は更に無くなってしまったと言っても良い。

残念ながら例の"反乱"によって県政側に加担したクズ男が思ったよりも多かったのが最大の原因だろう。

それでは何故 男である俺が我が物顔で城内を歩いているのか? それには様々な理由が有る。

最初は(年下だが)直江さんからの仕官の誘いを適当に誤魔化しつつ断り続けていたが、ある"目的"の為に折れた事から始まり。

ただ家臣に成るダケだと思ったら、俺が県政を殺った"ついで"に助けた娘達の一人である"勝子"の親御さんに気に入られた事から。

ふと気付いた時には上杉家の養子にされる寸前まで来ていて……危うく"上杉 武蔵"と言う改名を強制させられる所だった。

きたないな流石 軍師きたない。

余りにも勝手 過ぎるでしょう?

だが身分を得てでの蘭との結婚は本気で考えているし、それが保障される勝子からの提案は嬉しかったが……

"宮本"と言う苗字が変わってしまうのは凄く頂けない気がしたので、今は上杉勢に付く事で落ち着いた。

しっかし結婚相手については仕事に追われてた現実では考える暇も無かったが、此処に来て2年弱で見つかるとは。

人生何が有るか分からないってレベルじゃね~ぞ? 今や"あっち"よりも充実してるしなッ。

何故ならばだ。

朝倉の爺さん(?)みたいな人も居る事から、直江さんが俺を必死こいて迎えようとするのには理由が有った。

今の俺は"上杉 謙信"よりも強い為、上杉家からすれば非常に優秀な種馬でソレを活かさない手は無い。

よって自惚れる気は無いが、上杉側に付いた時点で俺は近い内に何人もの武将や姫様を嫁にせねばイカん存在なのである。

養子の件の申し出を断った際、勝子が意外にもアッサリ納得していた理由も容易に察せるってモンだぜ。

前述の様に朝倉サンの存在から強くて名家(予定)で有れば当たり前の事らしいが、俺の常識から考えれば戸惑う他ない。

ツンデレ蘭も露骨に嫉妬してくるので、今でも宥めるのが大変なんだが……南条家にも良い話な筈なので勘弁して欲しい。

まァ開き直ってしまえば男の夢である"ハーレム"が現実として見えて来た為、其処からは御機嫌取りも課題になるか?

尚 新たな嫁さんに成りそうな女達の名は伏せられてはいるとは言え、態度からしてバレバレなので観察が楽しい。

1番目が蘭なのは間違い無いとして。

本当の一歩を踏み出すには"目的"を果たさなければ、ハーレムを夢見るドコロか枕を高くして眠る事も出来ない。

俺がランス達を追わずにJAPANに留まって上杉家に付いたのも、何を隠そう"その目的"の為なんだからな。

つまり上杉家を利用する為に仕える事を妥協したと捉えて貰って良く、其処までしてでも皆を守りたいってワケだ。

……嗚呼……此処まで変わった自分に、俺自身がドン引きだぜ……有り得ねェよクソ鯨ッ。

その礼と言っちゃ~何だが、ボチボチJAPANで絶賛活動中のデカブツを何とかしてやるから感謝しろよ?

所謂テメェが大好きな"楽しいイベント"が見れるんだから、さぞかし嬉しいだろォ?




……




…………




……目的地で有る城外の訓練所に辿り着くと、待ち人の一人が遠方から声を掛けてくる。


「兄上ッ」

「ちょっ」

「兄上!」

「おまッ」


≪――――たたたたたっ≫


「参られましたかッ。兄上!」

「えぇい俺を兄と呼ぶな謙信」

「……何故なのですか? 兄上」

「も、もういいや。おはようさん」

「お早う御座います。兄上ッ」

「やれやれ」

「お早う御座います。武蔵様」

「直江さんよ。様付けも いい加減勘弁なんだが? 俺と君の仲じゃん?」

「その呼び名を改めて頂ければ検討します」

「さいですか(……ど~も定着しちまったんだよな)」

「兄様!!」「武蔵様ッ!」

「勝子と虎子も居るか。それなら謙信。早速始めるぞ?」

「はいッ! 宜しく御願します!!」


俺の日課その1。

何と"上杉 謙信"の剣の稽古の相手であり、上杉家ドコロかJAPANでも俺くらいしか担えない役割だ。

しかし結構 疲れるので毎日は流石にシンドイんだが、謙信が非常に遣る気なので仕方なく付き合っている。

何せ今まで自分に並ぶライバルが一人も居なかったのに、いざ現れたのが義理の兄(保留)だったりした為……

悪く言えば単純である彼女が喜ばない筈は無く、例の"弁当"に釣られた事も有って結構 慕ってくれてもいた。

加えて養子の話は断ったので"義理の兄"では無い勝子の呼称もオカしいが、何時の間にか固まってたんでスルーしてくれ。

ところで聞いてくださいよ奥さん。

後から聞いた話ですけど、謙信ってランスに一目惚れして無いんですよ!?

何故なら織田とのイクサが有りながら、謙信らは領内で暴れる鬼の討伐に行った事が有ったらしい。

そう言われてみれば……上杉領内の鬼は多少は遅れようが、俺の影響で南条家が討伐する事にしていた。

だが瓢箪が割れた辺りで俺と蘭での討伐が完全に滞った時期が有ったので、それが影響したんだろう。

即ち"まさか"の正史のイベントとの彼女の鬼討伐の"丸被り"が起こってしまったのだ。

謙信が不在の戦(いくさ)は引き分けたらしいが……マジでやらかしたわコレ……単純にランクエの戦力大幅ダウンじゃねェ?

まァ凄まじい状況に陥ったJAPANだが、蘭を含め主要キャラは一人も死んでないし奴の強運なら平気だろう。

何せ今のランスの隣にはシィル(氷付け回避)が居るし、彼女が居ればPTの安定性は色々な意味で抜群と言える。

そんなワケで。

結局 謙信に対してランスは正史での、一目惚れが無ければ最後まで近寄り難い存在でしか無かったのだ。

美人なので口説こうと思おうと、県政すら俺が殺したので関わりが何一つ無く、鈴女の助言に潔く諦めた線が強い。

ならば無自覚ながら"残ってくれた"彼女にはJAPANの真の平和の為に頑張って貰う事としよう。


「合図は頼んだ」

「愛ッ」

「畏まりました……はじめ!!」

「さァ! 楽しませてくれよ!?」

「はあぁっ!!」


≪ブゥンッ!! ――――フオォンッ!!≫


直江さんの合図と同時に素早く踏み込んで手に持った木刀を振るって来る謙信。

まァ木刀と言っても軍神様の訓練用なので非常に丈夫で有り、洞爺湖木刀クラスの品なのは さて置き。

御存知の通り彼女の限界レベルは70で、今現在 最大値な為一発でもマトモに受けたら良くても骨折だろう。

だが俺は今や貫禄のレベル99である。

ルドラサウム大陸の仕様は正直 穴だらけな為、コツが分かって来ればレベル上げは特に難しくは無かった。


『今回も俺の勝ちみたいだな。謙信』

『か、感服……致しました』


――――それなりの激しい戦いを繰り広げ、彼女にこう"言わせれば"俺の経験値が(体感で)大幅にアップ。


『あたた……油断しちまったか。今回はオマエの勝ちだ』

『有難う御座いましたッ!』


――――反面、適当なハンデを付けたりして結果的に敗北を認める事で、謙信の経験値が(見た感じ)超絶にアップ。


今までは雑魚を狩ってばかりで気付かなかったが、訓練でも強者を相手にすれば容易に経験値が稼げたのだ。

しかも"強い側"が意図的に負ける事で"相手側"に恩恵を与える事が出来るとかガバガバってレベルじゃね~ぞ?

更に毎日適当に素振りをするだけで怠惰時のランスみたくレベルが下がる事も有り得ないっぽい。

コレを豪語すれば大陸でも重宝されちまいそうだが、JAPANでは黙ってさえいれば数値は特に知られない。

単純に武士としての強さや人柄しか評価されないのさ。

さて置いてだ……謙信の一方的な攻撃は現在進行形で続いている。

だが誰もが目で追えない筈の謙信の剣撃は特に問題なく見えてしまい、必要最低限の動きで難無く避ける。

聞き間違いじゃないぞ? マジで"ナンナク"だ。

悲しいけど……コレって才能なのよね!

俺に追い付こうとする為に更なる高みを目指して努力する謙信と、レベル99迄の戦闘経験ダケで満足した俺。

それでも互いの間には越えられない壁が存在するみたいで、彼女にシッカリと神経を集中させていれば容易に対応が可能な模様。

……かと言っても流石は軍神だ。

カンスト謙信と稽古を継続して暫く経つが、既に"レベル70のコイツ"の範疇すら超えた強さと言って良い。

その為か戦う度に動きも冴えて来てるし……設定と努力が合わさり(複雑な意味で)最強に見える。

……とは言え俺も多少は努力しなくては成らない理由が有るし、それなりに稽古は真面目にトライ中だ。

対して俺が"こんな事"を考えているとは夢にも思っていない筈の謙信は、汗を散らしながら懸命に攻撃するんだが。


「間合いが遠いわ!」

「!? ならばッ!!」

「踏み込みが足りん」

「なっ!?」


≪――――バシッ!!!!≫


「そ、それまで!!」


4を回避し1を受けると言った頻度で防御をループする中、露骨な隙を確認した時点で木刀で小手を打つ。

一応チカラは入れているので かなり痛い筈だが、木刀を落とさなかった謙信は流石と言ったトコだな。

しかし真剣だったら片腕が飛んでいる為、直江さんが片手を上げて勝負の終了を告げる。

それにより謙信は眉を落として膝も落とすと、未だ木刀は手に有るが両手で疲労した上体を支えた。

う~む……JAPAN最強の軍神を見下ろす立場の俺様マジでチート。

謙信も謙信で今回の"負け方"は本気で反省して二度と繰り返さない辺り、大概なんだけどな。

だがルドラサウムの意図を理解している為"この力"を使って世界を荒らす方向で楽しませる気は全く無い。

逆に俺の怠惰な生活を邪魔する"大物"が出たらザビエルみたく片付けてやるさ、今後の"デカブツ"を含めてな。


「ハァッハァ……それでは兄上? もう一本……」

「最初の全力を捌かれた時点で"それ以上"の結果は出ませんよ。今日は諦めて下さい」

「む、むぅ……」

「兄様ッ!」

「つ、次は私達も!」

「おゥ勝虎。仲良く同時に来いよ? 後が支(つか)えてる状況だし、連携がオマエらの課題だからな?」

『はいッ!!』×2

「武蔵様は客将の身だと言うのに、毎日毎日面目無い限りです」

「気にすんな。直江さん(……ちゃんと見返りを頼んでるしな)」


この時点で周囲を見渡してみると、上杉家の女兵士達が距離を置いて集まって来ている。

大半は見学者なんだろうが、中には俺との訓練により才能限界までのレベルアップを望んでいる娘も混じっていた。

前述の通りの"意図的な敗北"での勝利の恩恵を用いたズルい訓練方法なんだが……

齎(もたら)す結果のみを考えれば凄まじく能率が良いのは間違い無く、今や毎日希望者が訪れていて大人気だった。

内容としては5対1前後で手加減して戦い、ワザと負ける(俺にとっては)簡単な運動でしか無いのだが。

兵士達にとっては強敵に勝利した達成感と同時に、大量の経験値の入手によるレベルアップも味わえて言う事無し。

最初は暇つぶしで行った訓練でしかなかったが……今や受付を担当してくれてる直江さんも大変そうだ。


「(そろそろだな)」

「(そろそろかしら)」


≪ぐううううぅぅぅぅ~~~~ッ≫


「……ッ!?!?」


――――そんな俺にとってダラダラとした午前の運動は、何時もの様に謙信の腹時計が鳴るまで続いた。




……




…………




俺の日課その2。

続いては超大食いながらも訓練後の朝食を(彼女にとって)僅か握り飯5個で済ませた、飢え過ぎ謙信の昼食の作成だ。

今頃は腹が鳴るか・鳴らないかのギリギリのラインながらも、忠犬よろしく居間で食事の完成を待っているだろう。

地味に直江さんと協力して、徐々に食事の量を減らして謙信の食費を抑えてるのは内緒だけどな。

そんなワケで軽く汗を流し終えた俺が厨房にやって来ると、今や見慣れた腕をまくりをした蘭の後姿があった。

彼女は俺が現れた事に気付くと笑顔で此方に近付き、周囲の料理人や給仕たち(男性多し)も俺に頭を下げてくださる。


「武蔵さんッ!」

「よォ蘭。仕込みは済んだのか?」

「勿論。それと言われてた料理なんだけど……味見して貰っても良い?」

「御安い御用だ」


俺にとっては"ありきたり"のメニューでしか無い数多くのレシピ。

自炊していた頃に携帯で仕入れた必要最低限の料理の知識が、今や謙信を筆頭に上杉家で絶大な支持を得ていた。

一人で弁当屋を開いていた時は最低限のレシピしか再現出来なかったが、上杉家の後ろ盾が有れば何のその。

中には口頭で曖昧な説明しか出来ないモノも多かったが、それを嬉々と蘭は再現させようと日々努力している。

女性の"出来る"アピールとしては露骨この上無いが、原作を知る俺としては蘭が生きて何かに打ち込む時点で嬉しいのさ。


「ど、どうかしら?」

「……少し味が薄い気がする。もうちょい塩を多くした方が好みだったな」

「成る程。やっぱりその方が無難だったかしら」

「だが俺のメシは決まった様なモンだな」

「!? それなら……!」

「あァ。十分合格点だ。どんどん上達してってるなァ。偉いぞ~?」≪ナデナデ≫

「エヘヘ(……だって他の娘達には負けたく無いし)」

「うっし。じゃあ俺は"アイツ分"の仕上げをすっから、皆も作業に取り掛かってくれ!!」

『――――はいッ!!』




……




…………




俺の日課その3。

率直に述べると"俺の目的"を知っている4人との会議であり、昼食から夕飯に掛けての午後の一時に行われる。

……とは言え全員暇では無いので、忍者を通して直江さんの采配で全員の時間が有るタイミングで始まるのだ。

ちなみに俺は午後だと(午前の疲れの所為で)自室で休む事が多いが、時より蘭や勝子・虎子と2人で街にデートに行ったりもする。

蘭は基本的に俺の傍に居る事が多いけど、最近は(抱きはしないが)だいぶ他の娘との関わりを許容してくれる様にもなった。

只の"男のサガ"による勝手に過ぎないが……日常の7割は蘭と一緒に過ごしてるし、周囲の人気を考えて妥協している模様。


「失礼しますッ」

「武蔵様・蘭さん。お待ちしていました」

「だがアイツは……やっぱり来てないか」


それはさて置き。

今回の会議に指定された場所に10分前に着いた俺と蘭だったが、最初に揃うのは決まって3人だ。

先ず俺と蘭は言う迄も無く3人目は容易に想像できる"直江 愛"であり、4人目は予想したとは思うが"上杉 謙信"では無い。

なら"4人目"は誰なんだって話だが……相変わらず遅れて来るor欠席だと思うので、説明するのは後回しにさせて貰おう。


「彼女からの返事は何時も曖昧なモノですから、今日も姿を現さないかもしれませんね」

「別に構わねェよ。勝手にどっかに行っちまって無いのが分かればな」

「そうですか」

「……(もう……どうして武蔵さんは"あの人"に其処まで……)」

「では少し早いですが、始めてしまっても宜しいですか?」

「構わん構わん。じゃあ早速だが……先日の話によると、アレで終わったんだっけか?」

「はい。本日の朝の訓練を最後に、上杉軍の兵士の中で希望した全員の錬度が最大に達したと言えます」

「ほほォ~。それが"オロチ"討伐のスタートラインとしてたが、思ったより時間が掛かっちまったな(三十路に成ったし)」

「とんでもありませんッ。半年以上も本当に御疲れ様でした」

「そ、それじゃあ……!!」

「はい。今迄 内密にして準備を進めて来ましたが、正式に発表して兵達を立ち上がらせる時でしょう」

「ようやくか。口を滑らしそうだった謙信が知って、拗ねちまわないかが心配だけどな」

「全くです」

「だけど……上杉軍の錬度の底上げによって担うのは、オロチまでの"道のり"での戦闘のみ……」

「はい。後は武蔵様と謙信様を始め、どれだけ他国の最高実力者・及び人員の協力を得られるかに有ります」

「正直武将クラスでも殆どが戦力外だが、裏方は全然足りんからソレだけでも手伝って欲しいと頭下げて回らにゃならんな」

「えぇっと……妖怪と北条家は必須として……織田・島津を始めとした他の勢力がどれだけ力を貸してくれるかよね……」

「あァ。最悪皆殺しにされるワケだが、それを踏まえてでも承諾して貰わにゃならん」

「そ、そもそも上杉家は大丈夫なんですか? 直江さん」

「私の一存では決めかねますが、立ち上がって頂けると信じております。地獄の様な戦いは既に経験していますからね」

「ハハッ。触れられたらアウトって笑えない敵が大量に襲って来た事も有ったしな」

「えぇッ!?」(その際は意識消失中だった蘭)


……そう……俺の"目的"とは、ランスが放置して大陸に旅立った大物ボス・オロチの討伐だ。

一生JAPANで暮らす(出ないとは言って無い)と決めた今、コイツを生かして置くと安心して過ごせん。

よって上杉に付く条件として出したのが、オロチの討伐を総出で協力して貰う事だったのだが……まさかの直江さんの承諾。

だが死ねない時点でゲームとは相場が違う強さだと思う反面、システムを無視した戦法も出来るので十分勝機は有る筈だ。

……とは言え完全勝利には俺を含めた上杉家のチカラのみでは不安が残るので、再びJAPAN全体の協力が必要な時が来た。

手を出さなければ俺が死ぬまでは暴れないと思われるオロチだが、原作的に先が見えないから自分だけが怖がってるとも言う。

しかしダメ元で直江さんに無理な条件を出したらOKされてしまったので、ノリと勢いで勝手に受容し今に至るのは秘密だ。


「ともかく。武蔵様には更に負担を掛けてしまう事に成りそうですね」

「気にすんなって。丁度JAPANを回る旅行でもしたかったトコなんだ」

「そ、それに私も一緒に行きますからッ!」

「……(勝子と虎子はともかく、謙信も同じ事を言い出しそうで憂鬱ね……)」


≪――――カタンッ≫


「あらあら。今日は随分と面白そうな話が進んでいますねェ」

「おッ? やっと来たのか」

「け……"傾国"さん……」

「"やっと"とは随分な御挨拶ですわ。武蔵様。ちゃんと時間通りに参りましたよ?」

「……(珍しい事も有るモノね)」

「確かにそうだったなァ。申し訳ない。ちょいと意外だったモンでね」


――――そんな思考と会話の中、若干 忘れ掛けていた4人目の人物が襖を開いて部屋に入って来た。


「クスッ。当たり前でしょう? 四人での大事な・大事な"お話し合い"なのですから」

『……ッ……』


今回は時間ギリギリながら遅れずに訪れ、掴みドコロの無い笑みを此方に向ける蘭に"傾国"と呟かれた女性。

その名の通りの極めつけの美女・スタイルであり、無意識の劣等感からか2人の表情に硬さが見え隠れする。

俺は唯一(?)正体を知っている人間なのでコイツのペースに流される気は無いが、目のやり場に困るのは間違い無い。

情けなくも偶然(?)上杉領でウロついていた奴を目撃するまで、歩く天災である傾国の存在をスッカリ忘れていた。

今はオロチが優先なので無理を言って上杉家の客将として過ごして貰いつつ、監視も兼ねているが何か遣らかさんか不安が嵩む。

幸い俺の営業で培った上での、現代ネタ交じりのトークに興味を示してくれているみたいだが……

決して悪い意味じゃね~と最初に言っとくが、手綱を握るにはハードルが高そうで合う度に武者震いを感じる俺だった。








■あとがき■
舞台は正史ルートでランスが謙信を放置し"オロチ"を倒さず、蘭と島津4兄弟が生存した状態のJAPANになります。
次回は武蔵と蘭+αがJAPANを回って各家の協力を求めた後、サクッとオロチを撃破して綺麗に終わる予定です。


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