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No.3303の一覧
[0] コードギアス 反逆のお家再興記[0](2010/01/26 23:47)
[1] お家再興記 2話[0](2008/07/07 16:04)
[2] お家再興記 3話[0](2008/07/07 16:04)
[3] お家再興記 4話[0](2010/01/26 23:48)
[4] お家再興記 番外編 [0](2008/07/07 16:07)
[5] お家再興記 5話[0](2008/07/07 16:07)
[6] お家再興記 6話[0](2008/07/07 16:18)
[7] お家再興記 7話[0](2008/07/10 17:57)
[8] お家再興記 8話[0](2008/07/28 07:22)
[9] お家再興記 9話[0](2011/07/12 23:36)
[10] お家再興記 10話[0](2008/08/08 03:36)
[11] お家再興記 11話[0](2008/08/12 10:02)
[12] お家再興記 12話[0](2008/09/06 21:44)
[13] お家再興記 13話[0](2008/09/06 22:26)
[14] お家再興記 番外編 2上[0](2008/09/28 23:34)
[15] お家再興記 番外編 2中[0](2008/09/28 23:34)
[16] お家再興記 番外編 2後[0](2010/01/23 21:25)
[17] お家再興記 番外編 2完結[0](2010/01/23 21:24)
[18] お家再興記 14話[0](2010/01/26 23:50)
[19] お家再興記 15話[0](2013/01/28 19:16)
[20] お家再興記 16話[0](2013/01/28 19:20)
[21] お家再興記 17話[0](2013/12/06 02:00)
[22] お知らせ[0](2015/12/25 02:52)
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[3303] お家再興記 17話
Name: 0◆ea80a416 ID:e332fd4d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/12/06 02:00
「まあ、本当ですか?アクアさん」

「ああ、信じられないだろうが本当の話なんだよ、ナナリー」

クラブハウスの食堂において二人の笑い声が聞こえている。
僕と目の前にいるナナリーとの間の会話であった。

咲世子さんから得られた情報によって、深い謎のスパイラルに陥っていた僕であったが、そんな僕を尻目に咲世子さんは動き出していた。
いつの間にか連れてきていたナナリーと面談した僕は、場所を移動してこの食堂でナナリーと話をしていたのだった。

「ふふふ。もうアクアさんったら私をからかってるんじゃないですか?」

「本当の事だよ。ナイトオブラウンズって言っても唯の子供だよ。
あのジノだって、かなりずぼらなんだよ。この前なんてこんな事があったんだから…」

僕の身のうち話を少し大げさに脚色しながらナナリーに聞かせる。
そんな僕の話をナナリーは本当に楽しそうな笑顔で受け入れてた。


その笑顔、なんたる癒し。

日々の戦場やホモ達との戦いによって荒みきっていてた僕の心に一筋の癒しの風が差し込むのを感じる。

このナナリーの癒しが市販されてたら、大ブレイク間違いなしであろう。
僕は1年分買い込む自信があるな。
ナナリーのスマイルに5千円払っても惜しくはない。

癒し萌え。

いつまでもこの空間に浸っていたい。
それほど目の前のナナリーは癒しの元なのである。
もはやマイナスイオンを遥かに超えているね。
むしろナナリーイオンだ。
ナナリーイオン万歳。

「ところで、アクアさんはお兄様に何か用事があったのですか?」

ナナリーイオンに酔いしれながらも癒される僕に、ナナリーは尋ねてきた。
チャンス。
ナナリーにあのコスプレ少女を知っているか聞いてみよう。
ナナリーは目が見えていないから、わからないかもしれないが、ルルーシュの一番近くにいるのがナナリーだ。
聞いてみる価値は十二分にある。

「いや、実はこの前ルルーシュを公園で見かけてね。
その時、仲良さそうにしている女の子が傍にいてね。
ちょっと気になったものだから」

「お兄様と親しげな女性ですか…?」

ナナリーが怪訝な顔を僕に向ける。
それは兄と親しげな少女に対する疑問と、何故僕がそんな事を気にするんだろうという二つの疑問が合わさったものであろう。

「ああ。ほら…ルルーシュは元は姉さんの婚約者だろ。
もう婚約は解消されて関係は無いとしっているが、つい…気になってしまってね」

だが、まさかコスプレ少女をストーキングしたら目標の少女がルルーシュの部屋に入っていったのを目撃しました。
なんて言える筈がないから、ちょっと嘘を付かせてもらった。

「アクアさん…」

僕の言葉にしんみりするナナリータン。
ナナリータン…ごめんよ。だが、これもコスプレ少女に近づく為なのだよ。

「でもお兄様と親しい女性…」

「ああ。
おそらくアッシュフォード学園の生徒ではないと思うんだけど」

あんなコスプレ美少女がいたら、話題になってるはずだし、僕が見逃すはずがないと言えよう。

「学園の生徒でもない…。
あ、もしかしてC.C.さんかしら?」

「シーツー?」

心当たりを思いついたナナリーは顔を上げながら僕にある名前を教えてくれた。
しかし、シーツーとは珍しい名前だな。
ブリタニア人ではないのか?

「はい。この前お兄様に紹介していただきました。
私はこの通り目が見えないのでお顔はわかりませんが、咲世子さんからは緑の長い髪が綺麗な方とお伺いしています」

緑の髪。
ビンゴ!!
やはりルルーシュの知り合いだったのか。
むむ、ルルーシュの奴め。いつのまにコスプレ美少女とお知り合いになっていたのだ。
しかし、どんな関係なのだ?
ルルーシュの性格を考えると恋人ではないと思うんだが。
というか、恋人だったらルルーシュを殺すわ。

「緑の髪…間違いないね。
ルルーシュがあんな綺麗なお嬢さんと知り合いだったなんて。
しかし、ルルーシュとどんな関係なのだろうね?」

僕の素朴な疑問に、ナナリーは考え込むように顔を俯かせた。
ん?何だ?何かまずい質問をしたか?

「ナナリー?」

「…………いえ、そうですね。
アクアさんはお兄様の初めての友達にして親友。
そしてミレイさんの弟であられるんですものね」

ナナリーは顔を上げる。
その表情には決意のようなものが浮かんでいた。

「アクアさんにはお話しておいたほうがいいですね」


「何をだい?
ナナリー?」

何だろうか?
この話の内容では、ルルーシュとシーツーさんの内容だとは思うだろうが。
ルルーシュはナナリーを溺愛している。
ぶっちゃけシスコンだ。シスターコンプレックスだ。
そんなルルーシュがナナリーに心配させるような言動は取らない男だ。
だからそんなに大した事ではないだろう。


「C.C.さん……彼女はお兄様と将来を約束した方なのです」





すげぇ大した事だった。
大した事にも程があるレベルだった。



「…………は?」

将来を約束した方。

将来を約束した方。

凄い大事な事なので、二回回想をしてみました。
それでも僕の脳にはその言葉が浸透しない。
それほど僕の脳自体がこの言葉を拒絶しているのだ。

「…………え?何だって?」

「ですから、お兄様とC.C.さんは将来を約束しているのです」

将来を約束している。
そ、それはどんな約束なんだ!?
こ、こここここここの言い方では、まるで、けけけけけけけけけけけけ

「そ、それはつまり、ルルーシュと彼女は、け、結婚の約束をしているということかい?」

嘘だ。嘘であってくれ。
この僕をさしおいてあんなコスプレ美少女を嫁にしているなど。
嘘だ。嘘であってくれ。
大事な事なので二回言いました。

「ええ。
あのお二方は将来結婚なさると思います」

ピッチャー投げた!バッター打ったー!しかし打球は内野に飛んだ!!タッチアウト!ゲームセット! さよなら!僕の夏の甲子園!

現実はこれくらいに非常だった。

ルルーシュが結婚。

僕はその言葉に打ちのめられた。
いや、この言葉は正確ではないないな。
正しくはこうだな。

ルルーシュがコスプレ美少女と結婚。

ますます打ちのめられた。
現実を見たくない。
見たくなんかない!

は!?そういえばアイツは授業中はよく寝ていた。
夜に何して睡眠不足なのかな?って思っていたが、今その謎が解けたーーーー!!
あの野郎は毎晩嫁とコスプレプレイをして楽しみまくっていたんだ!!
そして毎晩コスプレギシアンを繰り広げているから睡眠不足だったんだ!!
謎は全て解けた。
くそ爺の名にかけて謎は全て解けたぁぁぁ!
解けてしまったんだよぉ!畜生ーーーー!

「お兄様も意外と手が早いというか…。
やっぱり親子なんですね」

ナナリーの言葉が耳に入る。
そうだ、そうだった。
全然似てないから、忘れそうだが、ルルーシュはあのブリタニア一の種馬皇帝の息子なのだ。
あんな子供が百人近くいるなんて、なんて羨ましい。頼むから僕と代わってください。と土下座したくなるような皇帝の血をルルーシュは引いているのだ。
血が…血がなせる業だというのか!?

だが、許せん。許してはいかん!
僕が毎日、ホモ達にケツを狙われながら、くそみそ戦場ダイハードストーリーを繰り広げていたというのに!
奴はその間嫁といちゃラブストーリーを繰り広げていたのか!?
BoLOVEるな毎日を繰り広げていたのか!?コスプレしていたのか!?
そんなの許せるはずがない!
僕の全人生をかけても許せない!






ルルーシュ…お前って奴は…………!




僕は溢れる思いを抑えきれずにいた。

そこまで一人でいい思いをしていたという事実。
胸が苦しくなる。熱くなる。殺したくなる。

ルルーシュ…。
お前には必ず制裁の日を迎えさせる。
僕の嫉妬という制裁をなぁ!


僕はこの日。
新たな誓いを立てたのだった。







■ゼロ■









「いやー、今回の遠征は凄かったな!!」

「ああ、まったくだ。
今回の遠征の成功は黒の騎士団の基盤を築くだろうな!」

「だよなぁ!いやー皆にも見せたかったぜ!あの俺の活躍を!」

「玉城はコーネリアに腕を切られただけだろ?」

「う、うるせぇ!!」

黒の騎士団の拠点であるトレーラーには、騎士団の幹部達が勢ぞろいしていた。
彼らの表情は一部を除いて皆明るい。
その理由は明白だ。

先の遠征である成田連山にて行われた攻防戦。
ブリタニア軍と日本解放戦線、そして我らが黒の騎士団の三勢力で行われた戦闘だ。
ブリタニア軍には甚大な損害。日本解放戦線も同じく大きな被害を出し、尚且つ本拠地を手放す結果となった。
結果として黒の騎士団の一人勝ちといっていい状況だ。
本来ならばコーネリアを討ち取るか、捕虜とする所だったのだが、あと一歩と言う所でナイトオブセブンたる、アクアと白兜によって防がれ、当初の目標を全てクリアと言う訳にはいかなったが。
だが、それを補う戦果はあった。
それは自信と経験。
ブリタニア軍と真っ向からぶつかり尚且つ勝利を収めることが出来た。
今まで我ら黒の騎士団はブリタニア軍に対して何度も活動を行ってきた。
だが、それは俺のギアスを用いての活動。役人の腐敗や麻薬組織の壊滅。
KMFもナイトポリスといった警察用の相手をしただけだった。

そんな自分達がついにブリタニア軍の精鋭軍団と戦い、勝ち残ったのだ。
生き残った彼らは兵士として生まれ変わる事ができただろう。

更には、レジスタンスを支援している、キョウトから面談の誘いが来ているのだ。
初期の小規模なレジスタンスだった頃を考えるとなおさらだろう。

そして今回の戦いにおいて、彼らの自信を更に高める要因があった。

「それに何といっても一番凄いのはカレンだろ?」

「そうね。何て言ってもあのナイトオブラウンズと互角以上の戦いを繰り広げたのだからね」

そう。
彼らの仲間である、紅月カレンが新型機、紅蓮弐式を駆り、ナイトオブセブンたるアクア・アッシュフォードと互角の戦いを繰り広げた事である。
アクア・アッシュフォード。皇帝直属であり、最強の騎士軍団の一人。
ラウンズの戦場に敗北は無いと謳われる存在と互角異常に渡り合ったのは、騎士団の意識を高揚させるには十分過ぎるものだった。

アクアと個人的に親交がある俺としては複雑な心境であるのは確かだが、ここでアクアをかばうような発言をする訳にはいかない。

「いやー!カレン!本当に凄かったぜ!」

「別に…そんなことないよ」

だが一つ不可解なことがあった。
皆が喜びあっている中、一人だけ浮かない表情を浮かべている人物がいたのである。
それは話の中心であるアクア・アッシュフォードと互角の戦いを演じたという、今回の遠征の最大の功労者である、紅月カレンその人だった。
何かを考え込むような表情を浮かべる彼女は、周囲から浮いている雰囲気すらあった。
そんなカレンの様子に気付かない、黒の騎士団一のお調子者と言える玉城は言葉を続ける。

「それにしても、カレンは凄かったけど、ナイトオブラウンズは大した事なかったなぁ!
終始、カレンに攻められっぱなしで、あいつ見せ場が一つもなかったぜ?あれのどこが最強の騎士なんだか!!」

完全に浮かれ気分に身を委ねた発言。
黒の騎士団の指揮官として、そしてアクア・アッシュフォードの友人としても両方の立場から見てもこの発言は許せるものではなかった。
玉城を諫め様とする。

「そんな事ない!!」

しかしそんな俺を遮るように大声を発した少女がいた。
それは、先ほど話に出た少女、紅月カレンだった。
大声を出しながら勢い良く座っていたそソファーから立ち上がる。
その勢いと声に、あれほど賑やかだったトレーラーは奇妙な静寂を取り戻すこととなった。

「………そんな事は…ない」

自分が作ってしまった雰囲気に気付いたカレンは、バツが悪そうな顔をしながら再びソファーへと座った。

「…………アクア・アッシュフォードは明らかに調子の悪いKMFを使っていた。
そんな中で私の紅蓮の攻撃をかわし続け、尚且つ調子の悪いKMFで行える最善の攻撃を繰り広げてきた。
だから…そんな事はないよ」

「お、おお。
そうか」

カレンの言葉にあっけに取られたような声で返事をする玉城。
それはこの場にいる皆もそうだろう。

カレンとアクアが学園でクラスメイトであることは周知の事だ。
だが、アクアは転入生であり、二人がクラスメイトとなって、一月も経っていない。
だというのに、今のカレンの言葉はアクアに対するクラスメイト以上の思いを感じた。

「ねえ…カレン。
アクア・アッシュフォードと何かあったの?」

幹部の中でカレンと特に仲がよく、カレンにとって姉のような存在である井上がカレンに問う。
だが、その質問はこの場にいる一同が皆思ったことだ。
玉城はどうかしらんがな。


「………私とアクアがクラスメイトだって事は言ったよね?」

少しの間、悩むような仕草を見せたカレンだったが、覚悟を決めたようだ。
彼女に似合わない小さな声で話し出した。

「ああ、勿論だ」

「このチャンスにナイトオブセブンを暗殺しようって話も出た位だしな。
ゼロに止められたけど」

「私とアクア・アッシュフォードがクラスメイトになって一月も経っていない。
…………でも、私とアクアが会うのは初めてじゃないの」

カレンは尚顔を俯かせながら言葉を発する。
そしてその内容は俺達を驚愕させるには十分な内容だった。

「アクア・アッシュフォードと会っていた?」

「いつ?どこで?」

「カレン・シュタットフェルトの身分でだよな?」

仲間達の問いかけに対してカレンは質問の一つに答える。

「ううん。カレン・シュタットフェルトでは無く、紅月カレンとして」

そしてそれは俺達を更なる驚愕へと導いた。

「そ、それってやばいだろ!?
つまり、アクア・アッシュフォードはカレンがハーフだって知っているって事だろ!?」

そう、つまりはそういう事だ。
紅月カレンの表の顔はカレン・シュタットフェルト。
ブリタニアでも有数の貴族、シュタットフェルト家の令嬢なのだ。
ブリタニア国籍を持つ故に、彼女はブリタニア人が作った学園であるアッシュフォード学園に通っているのである。
アクアがカレンがハーフであると知っているということは、非常にまずい。
カレンから俺達黒の騎士団までたどり着くかもしれない。

まずい…これは何とかしなければ。

思わず眉間に力がこもる。

「ううん。
アクアは私の事を覚えていないみたい。
会ったって言っても本当に一度だけ会っただけだから、無理もないけど…」

その言葉に一先ず安心する。
確かにアクアとカレンが教室で対面したとき、特におかしな様子は見当たらなかった。
だが、油断はできない。
後でアクアにそれとなく探りを入れてみるか…。

「でもどうしてアクア・アッシュフォードと会うことができたの?
カレンの父親の関連でブリタニアで出会ったとか?」

そう。
それを俺も疑問に思っていた。

井上の言葉にカレンは首を振り、その疑問に答えた。

「数年前に―――日本のゲットーで会ったんだ」

カレンの言葉に驚く。
アクアは士官学校を卒業し軍人になって直ぐに、激戦区であるE.U.戦線へと着任している。
そこで、ジノ・ヴァインベルグやアーニャ・アールフレイムの両名と共に大いに活躍し、ブリタニアの三連星と大いにその名を轟かせた。
その活躍ぶりに、三連星はブリタニア皇帝直属の最強の騎士団―――ナイトオブラウンズへと取り上げられたのである。
そしてアクアがナイトオブラウンズになってから、この日本に来日したという話は聞いていない。
また、俺とナナリーがまだアクアと一緒に居られていた、あの幼い日々の時。
あの時もアクアが日本に行った事があるという話は聞いたことがない。
つまり、カレンがアクアと会ったというのは、俺達が日本に追放されてから、アクアが軍人になる前という事になる。
だが、何故アクアは日本に来たのだろうか?
アクアとは幼少期から付き合いがあるが、あいつと日本を繋ぐものがはたと思いつかない。

「出会ったのは偶然だったんだ。
あの日、私はお兄ちゃんにレジスタンス活動を止められて、むしゃくしゃしてたの。
それで、普段は危ないから通らないようにって言われてたゲットーを通ったんだ。
そこで…アクアと出会ったんだよ」

その日を思い出しているのだろうか。
カレンは少し遠い目をしながら話を続ける。

「なるほどなぁ。
で、カレン。アクア・アッシュフォード…ああ、めんどくせぇ。
アクアって奴とどんな会話をしたんだ?」

「会話って言っても10分位しかしてないけどね…」

そう前置きをしてから、カレンは話し出す。
俺の知らない、アクア・アッシュフォードの話を。

「アクアはね、泣いていたの」

「は?泣いていた?」


いきなりのカレンの言葉に皆が意表をつかれたような声を上げる。

「うん、泣きじゃくっていたわ」


ブリタニア帝国最強の騎士の一人が泣いていた。
そのあまりのギャップに皆は驚きを隠せない。
そして俺も声を上げていないが、内心は他の者と同じだ。
表には出さないが、内心、アクアと幼少期から付き合いのある俺は、周り以上に驚いている。
アクアは子供の頃から、冷静沈着で、どんな事にも落ち着いて対応をする子供だった。
あいつが涙を流した事は、ミレイと再会したあの一回しかしらない。
ミレイからもアクアは泣かない子供だったという話を聞いたこともある。
ただでさえ、泣きやすい幼少期を一度も泣いたことがないだろうアクアが泣いていた?

「それでね、アクアに聞いてみたの。
何で泣いているの?って」


『大切な…大切な物が、そして大切な人達が此処に居たんだ
でも僕の大切な存在が瓦礫の中へと消えて行った。
だから悲しくて、泣いてしまったんだ』


「そう言って泣いていたわ」

カレンの言葉に一同が静まり返る。
アクアが発したという言葉が一同の言葉を失わせたのだ。
そして、こんな時一番に動くのは決まっている。
激情家である玉城だ。

「ブ、ブリキ野郎が、何言ってやがる!」

玉城はソファーから勢い良く立ち上がりながら吼える。

「ブリキ野郎達が壊してったんだろ!!瓦礫を作っていったんだろ!?
壊してった張本人が何いってやがんだよ!!」

その言葉はある意味、アクアの言葉を聞いた日本人達の心の叫びと言っていいかもしれない。
自らが壊していったものを見て、何を泣いているのか。
勿論、日本と開戦したときアクアはまだ子供だった。
子供だったアクア自身が日本に危害を加えたはずがない。
それでも、アクアはブリタニア人なのである。
日本人達にそれを割り切れというのは難しい話だ。

「大体よ!そんなに大事な存在をブリタニアが壊して行ったってことだろ!?
大事なものをぶっ潰された!?許せねえよな!?
許せねぇんだったら、ブリタニアと戦うのが筋ってもんじゃないのかよ!?」

玉城らしい感情のみの台詞。
だが、それゆえにその言葉は妙な説得力が感じられた。


「アクアはブリタニアを憎んでいると言っていた。
私もね、それを聞いてアクアに言ったんだ。
私達と共に大切なものを取り返そうって…。
そしたら、アクアに断られたの。
無くした物を取り戻すのではなく、僕はその力で僕が持っている大切な何かを守りたいっ…てね」

「はっ!!所詮はブリキ野郎って事だな!!
偉そうな、綺麗ぶった事を言ってても結局は口だけじゃないかよ!!」

「そうかもね…。
でも」

玉城の言葉に逃げる事無く、カレンは毅然とした顔を玉城へと向ける。
その毅然としたカレンの表情を見て玉城は無意識に、一歩後ろへ下がっていた。

「その時私は思ったの。
この人は心の奥からそう思っている。
心の奥底から願っているって」

そしてカレンは続ける。
まるで大切な誓いを語るように。
大事な宝物を語るように。

「大切なものを取り戻したい私達と、大切なものを守りたいアクア
たったそれだけの違い。でも大きな違いを胸に秘めて戦ってるんだって」


「…………カレン。
君の言いたい事はよくわかった」

カレンの言葉で静寂していたトレーラーに響くように俺は声を上げた。

「君がどんな思いを抱き、アクア・アッシュフォードへと戦いを挑んだということも」

「あの、ゼロ。
こんな事言った後では説得力は無いと思いますが、私は決してアクアとの戦いでは手を抜いたわけでは」

「わかっているさ。
君がそんな器用な性格ではないということはな」

「だな。
カレンがそんなに器用なはずがないって」

「思い込んだら一直線は、ナオトにそっくりだもんね」

「み、皆!!」

慌てた様に言葉を発するカレンに、からかうかのようなニュアンスで言葉を返す。
俺の言葉に釣られるように、皆がカレンをからかいはじめた。
ようやく、トレーラーの中に明るい雰囲気が戻ってきたな。

「皆、聞いてくれ」

声を出しながらソファーから立ち上がり、皆を見渡す。

「この世界は簡単ではない。
正義の敵は悪だと、単純なものではない。
ブリタニア軍という悪の中で、アクア・アッシュフォードは奴なりに己の正義を貫いているのかもしれない」

俺の言葉に戸惑ったような視線を向ける、黒の騎士団の幹部達。
なぜならば、今言ったことはある意味黒の騎士団の根本を揺るがすものなのだから。
黒の騎士団はブリタニア軍だけではない、全ての悪を討つ正義の味方なのだ。
だが、悪の中に他の正義があった。
悪の中の正義に、正義の味方はどう立ち向かえばいいのか。

「ならば、尚更私達は正義の味方でなければならない。
私達の正義と、アクア・アッシュフォードの正義。
二つの正義が戦うのは確かに、心苦しい。
だが、私達には叶えなければいけない理想がある、宿望があるのだ。
アクア・アッシュフォードとはこの先、何度も戦う事があるだろう。
その時、奴の正義に飲まれるな。己を正義を貫け。
その先にこそ、私達の理想の果てがあるのだからな」


「おう!!」

「わかってるぜ!!」

「ええ!!」

「あったりまえだ!!俺達黒の騎士団の正義を思い知らせてやらぁ!!」



俺の言葉に、皆が威勢のいい返事を返してくる。
先ほどまで憮然としていた玉城も、威勢を取り戻したようだ。


「だが、カレン」

「はい?」

完全に活気を取り戻したトレーラーの中で、俺はカレンへと語りかける。

「私達の正義とアクア・アッシュフォードの正義…。
二つの正義が交わる時が来るといいな…」

「そうですね…ゼロ」





この時の俺の言葉は、黒の騎士団の総帥ゼロからナイトオブセブン、アクア・アッシュフォードへ向けた言葉ではなく、
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアからの、掛け替えのない友達への言葉だったのかもしれない。






その後、多少の取り決めを確認した後、解散となった。
幹部達と別れ、帰途へとつく道すがら今回の出来事を考える。
今回は少しまずかったかもしれない。
黒の騎士団の士気を高めるため、アクアを好敵手としてみなす形で話をすることになってしまった。
カレンにはフォローのような言葉をかけておいたが、これで黒の騎士団とアクアがぶつかり合うのは、避けられない事となったかもしれない。
だが、逆に言うと、アクアの高潔な意思を聞いたことによって、騎士団にとっては良い好敵手ができたという、メリットもある。
憎い敵ではなく、戦う価値のある好敵手。
この違いがこれからどんな動きにかわっていくか…。

しっかしと見極めなければいけないな。

溜息を付きながら、気を引き締める。

その時、ふと気になることが生まれた。

アクアの言っていた大切な存在とは…なんだったのだろう?
おそらく大切な存在とは、人であろう。
アクアにとって大切な人物が日本で消えてしまったのだ。
幼少期の頃、アクアと日本を繋げるものはなかった。
俺達が引き離されてから、アクアは直ぐに士官学校へと入学したとの事だ。
カレンの話からすると、おそらくアクアがまだ士官学校の生徒だった頃の話だろう。
士官学校は年に数回しか長期休みは無い。
そんな束縛された生活の中で、アクアが日本に大切な存在を作る事ができたのだろうか。
それは限りなく、難しい事だと思う。
俺が言うのはなんだが、アイツは友達を作るのが苦手な男だ。
俺以外にはほとんど友達はいなかったはずだからな。
つまり、アクアの大事な人は、俺達が引き離されてから士官学校へ入学する間に日本に行ったということか…?

そこまで考えて、俺は思いついた。

そう、いる!!いるではないか!!
俺達が引き離されてから、士官学校へ入学する間に日本に行った人物が!!

考えてみれば簡単な事だった。

そう―――その時期に日本に居たアクアの知り合い。
それは、俺とナナリーだ!!

アクアは俺とナナリーを探しに、日本に来ていたのだ!!
だが、幾ら探しても俺とナナリーの存在を確認できなかった。
ゆえに、アクアは俺達兄妹は既に死んでいると思い、絶望し泣いていたのであろう。



アクア…お前という男は…………!



俺は溢れる思いを抑えきれずにいた。

そこまで俺達兄妹は友に大事に思われていたという事実。
胸が苦しくなる。熱くなる。嬉しくなる。

アクア…。
お前は来るべき、優しい世界に必要な存在だ。


俺はこの日。
新たな誓いを立てたのだった。


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