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No.29586の一覧
[0] その欲望を開放して魔法少女になってよ!【完結】(仮面ライダーオーズ×魔法少女まどか☆マギカ)[カードは慎重に選ぶ男](2013/07/27 22:08)
[1] 第二話:ここで死んで。世のため人のため、そして何より彼女のために[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/04 02:13)
[2] 第三話:後藤と黒と盗撮画像[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/04 03:27)
[3] 第四話:パンツがあるから恥ずかしく無いもん[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/04 03:29)
[4] 第五話:Cyclone effect――風が呼ぶバッティング[カードは慎重に選ぶ男](2014/02/23 16:14)
[5] 第六話:魔法少女を逮捕せよ[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/04 02:26)
[6] 第七話:死なないのか? 私は聞いてない! [カードは慎重に選ぶ男](2011/09/04 02:26)
[7] 第八話:彼女には72通りの称号があるからな[カードは慎重に選ぶ男](2012/04/27 15:55)
[8] 第九話:灼熱地獄の黄祭[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/04 03:56)
[9] 第十話:treasure sniper――殺してでも奪い取る[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/04 02:30)
[10] 第十一話:その時歴史が狂った[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/04 02:31)
[11] 第十二話:Tの災難/赤信号を振り切れ [カードは慎重に選ぶ男](2011/09/04 02:32)
[12] 第十三話:Tの災難/ 私は友達が少ない[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/04 02:35)
[13] 第十四話:(心が折れる音) [カードは慎重に選ぶ男](2011/10/05 14:52)
[14] 第十五話:rebirth ――珍獣は二度死ぬ[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/04 02:37)
[15] 第十六話:緑の党[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/21 04:02)
[16] 第十七話:A dying hero, a dead heroin[カードは慎重に選ぶ男](2012/12/29 10:44)
[17] 第十八話:自分が変われば世界も変わる[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/04 02:42)
[18] 第十九話:その配役はおかしいでしょ[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/13 18:19)
[19] 第二十話:Ride the wind――風向きは変わり続けて[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/04 02:48)
[20] 第二十一話:悪魔へ下す鉄鎚[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/06 18:37)
[21] 第二十二話:暴走特急隊[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/06 19:04)
[22] 第二十三話:海へ辿り着かない雫[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/11 01:14)
[23] 第二十四話:壁にミミリア 障子にメアリー[カードは慎重に選ぶ男](2012/06/16 19:07)
[24] 第二十五話:Free your heat――本当の気持ちと向き合えますか?[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/13 21:30)
[25] 第二十六話:小さな手のひら[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/13 21:29)
[26] 第二十七話:弱い女[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/17 21:17)
[27] 第二十八話:秘密主義者の集い[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/17 21:32)
[28] 第二十九話:継接インディアンポーカー[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/21 04:09)
[29] 第三十話:Power to tearer――暴君と泣き虫と欲望 [カードは慎重に選ぶ男](2011/09/21 03:58)
[30] 第三十一話:ずぶ濡れ衣々[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/24 22:21)
[31] 第三十二話:XXX板に出張スレを建てる予定はありません[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/25 09:19)
[32] 第三十三話:化物[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/28 17:36)
[33] 第三十四話:カンドロイドは電気鰻の夢を見るか?[カードは慎重に選ぶ男](2011/09/28 17:59)
[34] 第三十五話:Individual-System――悪意[カードは慎重に選ぶ男](2011/10/02 02:18)
[35] 第三十六話:戦略的敗走[カードは慎重に選ぶ男](2011/10/02 09:02)
[36] 第三十七話:颯爽退場洋菓子城[カードは慎重に選ぶ男](2011/10/05 12:15)
[37] 第三十八話:口は万災のモト[カードは慎重に選ぶ男](2011/10/05 12:22)
[38] 第三十九話:彼女の名前は[カードは慎重に選ぶ男](2011/10/08 10:33)
[39] 第四十話:Sun goes up――夜明けを待つ休日[カードは慎重に選ぶ男](2011/10/08 10:45)
[40] 第四十一話:変異[カードは慎重に選ぶ男](2011/10/12 03:49)
[41] 第四十二話:恐怖心 俺の心に 恐怖心[カードは慎重に選ぶ男](2011/10/12 02:39)
[42] 第四十三話:かの人のみぞ知る真価[カードは慎重に選ぶ男](2011/10/15 09:24)
[43] 第四十四話:地雷付迂回路[カードは慎重に選ぶ男](2011/10/15 09:52)
[44] 第四十五話:LORD OF THE SPEED――卂き魔法少女、マギブラック![カードは慎重に選ぶ男](2011/10/18 22:37)
[45] 第四十六話:円環の折り返し[カードは慎重に選ぶ男](2011/10/18 22:34)
[46] 第四十七話:役者は揃わなかった[カードは慎重に選ぶ男](2011/10/23 01:33)
[47] 第四十八話:ヤミーの身体はボロボロだァ![カードは慎重に選ぶ男](2011/10/23 01:32)
[48] 第四十九話:もう誰も頼りない[カードは慎重に選ぶ男](2011/10/25 18:46)
[49] 第五十話:Break the Chain――蝙蝠の意地[カードは慎重に選ぶ男](2011/10/25 18:46)
[50] 第五十一話:Kの誤算/それはとっても中ボスかなって[カードは慎重に選ぶ男](2011/10/29 19:52)
[51] 第五十二話:Kの誤算/切掛[カードは慎重に選ぶ男](2011/10/29 19:45)
[52] 第五十三話:逆転の似合う女[カードは慎重に選ぶ男](2011/11/01 20:21)
[53] 第五十四話:さらば戦友よ[カードは慎重に選ぶ男](2011/11/01 20:31)
[54] 第五十五話:Time judged all――運命を奪い取れ[カードは慎重に選ぶ男](2011/11/06 03:29)
[55] 第五十六話:愛しのグリード[カードは慎重に選ぶ男](2011/11/06 03:34)
[56] 第五十七話:疑心伝心[カードは慎重に選ぶ男](2011/11/09 01:00)
[57] 第五十八話:第一発見者を疑え[カードは慎重に選ぶ男](2011/11/12 18:48)
[58] 第五十九話:伊達姿鎧男[カードは慎重に選ぶ男](2011/11/16 00:20)
[59] 第六十話:EGO 〜eyes glazing over――勝手なヒト[カードは慎重に選ぶ男](2011/11/19 23:02)
[60] 第六十一話:困った時に他人に頼れる奴は手強い[カードは慎重に選ぶ男](2011/11/22 22:16)
[61] 第六十二話:捻くれ女[カードは慎重に選ぶ男](2011/11/26 21:33)
[62] 第六十三話:ヤミーがこうなったのは私の責任だ……だが私は謝らない[カードは慎重に選ぶ男](2011/11/29 20:54)
[63] 第六十四話:戦いの後に[カードは慎重に選ぶ男](2012/12/29 10:32)
[64] 第六十五話:Love Wars――愛っていうのは呪いみたいなものなんだ[カードは慎重に選ぶ男](2011/12/06 22:29)
[65] 第六十六話:平日の昼間に出歩いてる女子中学生って……[カードは慎重に選ぶ男](2012/12/29 10:27)
[66] 第六十七話:ダイナミック起床[カードは慎重に選ぶ男](2011/12/14 02:56)
[67] 第六十八話:遅れた役者[カードは慎重に選ぶ男](2011/12/18 05:59)
[68] 第六十九話:戦・略・崩・壊[カードは慎重に選ぶ男](2011/12/20 23:48)
[69] 第七十話:Stranger in the dark――信じられるヒト[カードは慎重に選ぶ男](2011/12/25 20:22)
[70] 第七十一話:扉越アンサンブル[カードは慎重に選ぶ男](2011/12/28 11:37)
[71] 第七十二話:浴びるようにおでんを食べてみたい[カードは慎重に選ぶ男](2011/12/31 23:06)
[72] 第七十三話:調査とプレゼントと危険な会長[カードは慎重に選ぶ男](2012/01/28 22:21)
[73] 第七十四話:鋼・騎・無・双[カードは慎重に選ぶ男](2012/02/04 21:36)
[74] 第七十五話:DEEP BREATH――虎の溜息[カードは慎重に選ぶ男](2012/02/08 05:21)
[75] 第七十六話:汝の隣人を愛せよ[カードは慎重に選ぶ男](2012/02/18 21:13)
[76] 第七十七話:未決断チルドレン[カードは慎重に選ぶ男](2012/02/24 20:42)
[77] 第七十八話:私の会う人がこんなに人間じゃない訳がなくもない[カードは慎重に選ぶ男](2012/03/03 20:09)
[78] 第七十九話:道化とピエロと形無しジョーカー[カードは慎重に選ぶ男](2012/03/12 07:36)
[79] 第八十話:Flashback――不気味な過去[カードは慎重に選ぶ男](2012/03/18 03:30)
[80] 第八十一話:一・触・即・発[カードは慎重に選ぶ男](2012/04/27 15:59)
[81] 第八十二話:緊急回避は確かに格好良い。しかし余裕を以て回避するのが理想的である事は間違いが無い。[カードは慎重に選ぶ男](2012/04/01 00:32)
[82] 第八十三話:妖怪と理解と望まれない再会[カードは慎重に選ぶ男](2012/04/14 20:06)
[83] 第八十四話:将軍は日本語でジェネラル、英語でSHO-GUN[カードは慎重に選ぶ男](2012/04/14 20:40)
[84] 第八十五話:SAMURAI STRONG STYLE――男の昔話[カードは慎重に選ぶ男](2012/04/21 20:10)
[85] 第八十六話:欲しい言葉[カードは慎重に選ぶ男](2012/04/28 17:52)
[86] 第八十七話:破・願・逸・笑[カードは慎重に選ぶ男](2012/05/05 21:18)
[87] 第八十八話:永かった一日[カードは慎重に選ぶ男](2012/05/12 20:53)
[88] 第八十九話:暴れん坊前哨戦[カードは慎重に選ぶ男](2012/05/19 21:13)
[89] 第九十話:Break a warning――ウロボロスの綻び[カードは慎重に選ぶ男](2012/05/26 20:22)
[90] 第九十一話:ひとのちから[カードは慎重に選ぶ男](2012/06/02 08:49)
[91] 第九十二話:時代劇の中で会った、ような……[カードは慎重に選ぶ男](2012/06/09 19:37)
[92] 第九十三話:二つに一つのA/二兎を追う者は二兎とも獲れ[カードは慎重に選ぶ男](2012/06/25 17:04)
[93] 第九十四話:二つに一つのA/世界を回すもの[カードは慎重に選ぶ男](2012/06/25 17:08)
[94] 第九十五話:Switch on! ――切り替わる舞台[カードは慎重に選ぶ男](2012/06/30 19:17)
[95] 第九十六話:友・達・野・朗[カードは慎重に選ぶ男](2012/07/09 20:56)
[96] 第九十七話:巨大化は悪の美学[カードは慎重に選ぶ男](2012/07/14 22:40)
[97] 第九十八話:泡沫の夢[カードは慎重に選ぶ男](2012/07/21 19:08)
[98] 第九十九話:押収Cheater[カードは慎重に選ぶ男](2012/07/28 21:36)
[99] 第百話:Naturally ――本当の貴方ですか?[カードは慎重に選ぶ男](2012/08/04 23:08)
[100] 第百一話:閃きの黄色[カードは慎重に選ぶ男](2012/08/12 00:42)
[101] 第百二話:もしも無限があるのなら[カードは慎重に選ぶ男](2012/08/18 22:09)
[102] 第百三話:錬金術師の残したアレコレ[カードは慎重に選ぶ男](2012/08/26 18:15)
[103] 第百四話:探究エンカウンター[カードは慎重に選ぶ男](2012/09/01 20:05)
[104] 第百五話:Bounce Back ――善意より高いものは無い[カードは慎重に選ぶ男](2012/12/24 06:34)
[105] 第百六話:河原割[カードは慎重に選ぶ男](2012/09/15 19:04)
[106] 第百七話:犯人はヤス[カードは慎重に選ぶ男](2012/09/22 23:17)
[107] 第百八話:ごとごとホットポット[カードは慎重に選ぶ男](2012/09/29 21:20)
[108] 第百九話:かくれんぼの必勝法は、誰がゲームに参加しているのかを鬼に教えない事である[カードは慎重に選ぶ男](2012/10/06 17:37)
[109] 第百十話:Ride on right time ――少し遅れるぐらいがヒーローの定時出勤である[カードは慎重に選ぶ男](2012/10/13 20:41)
[110] 第百十一話:結界天丼[カードは慎重に選ぶ男](2012/10/20 20:19)
[111] 第百十二話:伏兵[カードは慎重に選ぶ男](2012/10/27 21:19)
[112] 第百十三話:胸に七つの……[カードは慎重に選ぶ男](2012/11/03 21:14)
[113] 第百十四話:割りたい背中[カードは慎重に選ぶ男](2012/11/10 22:12)
[114] 第百十五話:Last engage ――約束された良き終焉[カードは慎重に選ぶ男](2012/11/18 01:04)
[115] 第百十六話:生と死の狭間に[カードは慎重に選ぶ男](2012/11/24 22:56)
[116] 第百十七話:残念パーティ[カードは慎重に選ぶ男](2012/12/29 10:39)
[117] 第百十八話:凍える子羊にカモミールの温もりを[カードは慎重に選ぶ男](2012/12/08 22:04)
[118] 第百十九話:いしのゆくえ[カードは慎重に選ぶ男](2012/12/15 23:49)
[119] 第百二十話:Shout out ――さや歌[カードは慎重に選ぶ男](2012/12/22 23:28)
[120] 第百二十一話:俺が変身する!!![カードは慎重に選ぶ男](2013/08/17 11:01)
[121] 第百二十二話:開幕[カードは慎重に選ぶ男](2013/01/05 20:39)
[122] 第百二十三話:Mに目覚めの口付を/生者より愛を込めて[カードは慎重に選ぶ男](2013/01/20 16:14)
[123] 第百二十四話:Mに目覚めの口付を/引いて駄目なら殴り倒せ[カードは慎重に選ぶ男](2013/01/20 16:10)
[124] 第百二十五話:Reverse / Re:birth ――相転移[カードは慎重に選ぶ男](2013/01/26 21:27)
[125] 第百二十六話:人魚姫と灼熱と奇跡の担い手[カードは慎重に選ぶ男](2013/03/02 20:45)
[126] 第百二十七話:本当に裏切ったんですか[カードは慎重に選ぶ男](2013/03/02 21:37)
[127] 第百二十八話:彼女の守った世界[カードは慎重に選ぶ男](2013/03/09 22:28)
[128] 第百二十九話:目指す、先[カードは慎重に選ぶ男](2013/03/16 20:57)
[129] 第百三十話:Got to keep it real ――ホントにしちゃえば良いんだよ[カードは慎重に選ぶ男](2013/03/23 21:39)
[130] 第百三十一話:グリードと人間と半端者[カードは慎重に選ぶ男](2013/03/30 22:43)
[131] 第百三十二話:完全態[カードは慎重に選ぶ男](2013/04/07 01:03)
[132] 第百三十三話:死を解する獣[カードは慎重に選ぶ男](2013/04/13 21:37)
[133] 第百三十四話:獣愛ずる姫君[カードは慎重に選ぶ男](2013/04/27 18:30)
[134] 第百三十五話:Double-Action ――二律背反[カードは慎重に選ぶ男](2013/04/27 18:49)
[135] 第百三十六話:羽のような重さ[カードは慎重に選ぶ男](2013/05/04 20:57)
[136] 第百三十七話:獅子身中の蟲[カードは慎重に選ぶ男](2013/05/11 21:16)
[137] 第百三十八話:蝙蝠女は選べない[カードは慎重に選ぶ男](2013/05/19 00:17)
[138] 第百三十九話:魔法と約束と最後の希望[カードは慎重に選ぶ男](2013/05/25 21:56)
[139] 第百四十話:Regret nothing ――後悔なんて、あるわけない[カードは慎重に選ぶ男](2013/06/01 22:37)
[140] 第百四十一話:信頼[カードは慎重に選ぶ男](2013/06/08 22:22)
[141] 第百四十二話:ウヴァ死す[カードは慎重に選ぶ男](2013/06/16 08:43)
[142] 第百四十三話:光もたらす者[カードは慎重に選ぶ男](2013/06/29 22:08)
[143] 第百四十四話:絆の鎖[カードは慎重に選ぶ男](2014/01/23 21:03)
[144] 第百四十五話:Finger on the trigger ――世界に弓引く意思[カードは慎重に選ぶ男](2013/07/06 23:24)
[145] 第百四十六話:コネクト ――全てを繋げ[カードは慎重に選ぶ男](2013/07/13 21:09)
[146] 第百四十七話:また あした ――俺たちの 私たちの[カードは慎重に選ぶ男](2013/07/21 18:29)
[147] 第百四十八話:Anything Goes! ――選んだ明日[カードは慎重に選ぶ男](2013/07/27 22:26)
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[29586] 第二十六話:小さな手のひら
Name: カードは慎重に選ぶ男◆e9b07b89 ID:ab888f41 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/09/13 21:29
『あたしの魔法なら泉刑事を治せると思うんだけど、どうでしょう?』

授業中に巴マミへと繋げられた念話の内容が、それだった。
そういえば、美樹さやかは治癒の魔法が得意なんだった、という事実を思い直して、なるほどと思う。
だがしかし。

『アンクが別の誰かを半殺しにして取り憑いたら、結局意味無いわよ』

結局そこに帰結するのだ、とマミは思ってしまう。
アンクがそれを行うことを未然に阻止できなければ、イタチごっこになってしまう。

『マミさん。アンクってグリードなんですよね』
『ええ。800年前に造られたメダルの生命体らしいわよ』

この1フレーズは、前日にマミが説明した内容の反芻に過ぎない、確認作業だった。

『悪い怪人、なんだよね?』

――あいつが悪さをしてるかもしれないのはもっと心配なんだ

思い出されるのは、火野映司の言葉。

『それは間違い無いでしょうけれど……まさか』

そこまで言いかけて、マミはようやく気付いてしまった。
美樹さやかが何を言いたいのか、を。

『悪い奴なら倒しても問題無い、でしょ?』

何かがおかしいような気は、する。
だがしかし、アンクを倒してそのコアを全て映司に預けておけば、オーズの戦力が上がることは間違いない。

確かにアンクが何かとマミをからかってくるのは、いただけない。
戦っている映司には労いの言葉一つかけずに偉そうにしているのも、マイナスポイントだ。
トーリにはセクハラ紛いな発言もするし、最近ではセルメダルの管理という雑務まで押しつけている始末。
しかも、映司との取り決めが無ければ人の命よりメダルを優先するような奴だという話まで聞いている。

……あら? やっぱり倒しちゃうのもアリかしら?

『そうしましょうか』
『パンツマンとかトーリとか、協力してくれるかな?』

不思議と、普段一緒に居たいと思える筈の彼らのことを、思い出したくなかった。

『いいえ、私達だけでやりましょう』
『マミさんがそう言うなら』

巴マミは、気がつかない。
何故、あの二人を誘いたくないと、思ってしまったのか。

そして、美樹さやかにその行動を示唆した存在が居ることなど、想像も出来ない。
ましてや、夢にも思う筈が無かった
その黒幕が、死んだと思っていた旧友だなどとは……



『その欲望を開放して魔法少女になってよ』
第二十六話:小さな手のひら



決行の場所を病院の近くにすることは、あっさりと決まった。
もし何か不都合が起きた場合でも、そのまま泉刑事を病院に担ぎ込めば何とかなるかもしれない、という保険をかける意味合いからである。

尚、その日、火野映司はクスクシエでアルバイトに精を出していた。
トーリはおそらく、目的も持たずにふらふらと何処かを飛んでいるのだろう。
あの後輩は、時々意味も無く飛びまわる習慣を持っているのだ。

そして、アンクだけを連れ出すのは……予想外に簡単だった。
マミが用事があるとだけ伝えたところ、あっさりと着いて来てしまったのである。
あまりにも簡単に事が進み過ぎて拍子抜けした感はあるものの、順調なのは悪いことではない。

「人魚のグリードから聞いたんだけれど、グリードって人間の欲望を把握できるのよね?」
「ヤミーを作るために、ある程度までは、な」

何気ない会話をしながら、マミはアンクを導く。
彼の墓場となるべき場所へと。

「私の欲望を見抜くことって、出来る?」
「それが出来るなら、俺だってヤミーを作ってる」

アンクからマミに対する警戒心がここまで薄いのも、納得である。
まさか、自分を始末するという欲望を持っている人間と二人きりになる筈もない。
それよりも、魔法少女が死体であるという事実をアンクたちに悟られていないという事に、マミは少しばかり安堵していた。
そういう事はやっぱり、魔法少女の先輩である自分から彼女たちに言い聞かせるべきだ、と志を新たにしながら。

「だが、経験から大体の予想はついてる」
「言ってみて」

これからアンクを抹殺しようとしているのがバレたのかという焦りが、頭をもたげた。
自然と、声が強張る。

「お前は、他人から愛されたり認められたりすることを強い欲望にするタイプだ」
「……どうして、そう思うの?」

意外なアンクの指摘に、緊張感を高めれば良いのか低くすれば良いのか分からないマミが、やや困惑しながら聞き返す。

「メズールの奴が興味を持つ人間っていうのは、大抵そんなモンだ」

アンク自身の感覚というよりも、メズールの勘を信用している、という物言いだった。
確かに、メズールの選ぶヤミーの親は、誰かに愛されたいだとか注目されたいといった、周囲からの認識に大きく影響されるものが多いという傾向はある。
ただし、現代においてはまだ彼女が多くのヤミーを作っていないために、グリード以外からはその傾向が認知されていないが。

「さっきも少し言ってたけれど、その能力が戻ったらヤミーを作りたいっていう気持ちは、変わらない?」
「当たり前だ。俺がヤミーを作れるんなら、オーズを利用する必要も無くなるし、なァ」

……そう。
自分のすぐ前を歩くマミの声が少しだけ低くなった……そんな冷たい感覚が、アンクの第六感を刺激した。

「良く分かったわ。やっぱり貴女を……『倒す』べきだという事が」
「!? まさか、お前……!?」

咄嗟に腕だけの怪人態を現して身構えようとしたアンクの腕を……巴マミが掴み取った。
次の瞬間には、その異形の腕が、泉信吾の身体から力ずくで引き剥がされる。

「あたしはこの人連れて離れてますね」

気付けばそこには、アンクの知らない少女が、もう一人。
青のかかった短い髪が印象的で、巴マミと同じ中学校の制服を着込んだ、何処にでも居そうな女の子だった。
軽々と成人男性の身体を担ぎあげた女の子は、猛ダッシュでアンクの視界の外へと走り去って行ったのだった。

「良いのか? 俺が離れたら、アイツは死ぬぞ」
「あの子、怪我を治す魔法が使えるのよ。何の心配も要らないわ」

アンクの脅し文句は、しかし、魔法少女という条理を覆す存在の前では無力だった。
腕だけになったアンクの手首をがっちりと掴みながら……巴マミが、マスケットを取り出した。

「待て。お前たちの目的は何だ?」
「人間を異形の存在から守ることよ。魔女とかグリードとかから、ね」

アンクを掴む巴マミの握力は、女子中学生とは思えないほどに強力なものだった。
魔法少女という生物の恐ろしさが、非常によく分かる力関係である。

「そのためには俺は邪魔者、ってワケか……」
「グリードがヤミーを生むなら、倒すしか無いじゃない」

必死に活路を探すアンクの視界に……光が、見えた。
病院の傍に立っているメダルシステムの管理機、ライドベンダーの姿が。
あそこにセルメダルを投げ込んでカンドロイドを使えれば、何とか脱出ぐらいは出来るだろう。

「そうか。その前にはまず、お前の後ろに居る奴を倒さないとなァ」
「えっ……?」

思わず振り向いてしまうマミの姿を見て、アンクは一人ほくそ笑む。
そんな奴など、最初から居ない。
辛うじて動かせる指の腹でセルメダルを挟み、手首のスナップだけで重量感のあるセルメダルを、ライドベンダーへ投げ込む。

勝った。
そう、確信した。

……その目の前で、宙を舞うセルメダルが爆散するまでは。

「今時、小学生だってそんな『手』には引っ掛からないわよ?」
「なん……だと……」

マミの手に握られているマスケットから立ち上る硝煙が、セルメダルが辿った運命を語っていた。

「それでは、お休みなさい。腕怪人さん」
「バカな……この俺が……っ!」

今際の言葉がウヴァさんと全く同じだったアンク……お前はひょっとすると、彼の虫頭を笑えない鳥頭なんじゃないのか……

マミが新たに取り出したマスケットの発射口を目の当たりにしながら、アンクはこれまで現代世界で見てきたことを思い出していた。

赤いコアが足りなくて。
他のグリードに嫉妬して。
別の色のコアを持ち出して。
ヤミー如きに殺されそうになって。
通りすがりのバカな男に助けられて。
そのバカと一緒に不自由で不愉快な生活をおくって。
それでも、あいつに奢らせて食べるアイスの味だけは最高で……


「映……司……」

それでも、訳の分からない棺の中に封印されて800年も暗闇の中のメダルを数え続ける日々に比べれば。

「利用しているなんて言っておいて、随分虫が良いわね」

……楽しかった、のかもしれない。
銃弾を受ける位置を体内のコアメダルと重ならないように誤魔化し続けても、その身体を構成するセルメダルは瞬く間に削られていく。
腕の手甲のように付いていた羽も既にもげてしまい、例えマミの手から逃れても、飛んで逃げることは叶わないだろう。

「助け……」


だがしかし、転機は……突然に、訪れた。
何の前触れも無く、巴マミからアンクをひったくった、別の手があったのだ。

「お前、は」

メダルを5枚も握ったら溢れだしてしまいそうなほど、頼りない小さな手。
その持ち主の少女に見覚えがあるような気がして、アンクは記憶を洗う。
何時だったか、映司がアンクのアイスを強奪して、泣き虫なガキに渡したことがあった。
その時に会ったのだ、と思い出し、しかしこの少女の力を借りても巴マミを打倒する手段など思いつかない。

「危ないわ。タイミングが悪ければ、貴女も怪我では済まなかったのよ?」

予期せぬ一般人の乱入に一瞬だけ面食らった様子の巴マミだが、すぐに平静を装い、警告を発する。
飽く迄、正義は自分たちにあるのだと言わんばかりに。
傷だらけのアンクを抱きしめた少女は後ずさり、しかしそれでも、折れない。

「彼を置いて、早く去りなさい」

――何だか知らないけど、もうやめろって……!

少女の面影が、現代で初めてアンクを救った男のそれに重なった……そんな、気がした。

「だ、ダメだよ、この子、怪我してる……!」

鹿目まどかがこの場に居合わせたことに、必然の理由など無かった。
ただ、人が通るとも思えない病院裏に設置してあるライドベンダーを病室の窓から発見したというだけのことだった。
しかし、そこで後藤からの頼みごとを思い出したために、ライドベンダーの周囲で視線を止めてしまったのだ。
そして、違和感を抱いて目を凝らした先に居たのが……赤い腕のようなモノを捕まえて銃弾を撃ち込むお姉さんだった、というわけである。

そして、まどかは確かに聞いた。
誰かに助けを求める、苦しそうな声を。

「その生き物は、人間の敵なのよ」
「この子が、何をしたの……?」

少女は、問う。
その脚は恐怖に震え、目には今にも泣き出しそうなほど、涙を一杯に溜めて。
当然だろう。
周囲に撒き散らされた火薬の臭いと、巴マミの手に握られた物騒な凶器を見れば、平和の中で生きて来た人間が怯えない筈が無い。

「今はまだ、周囲の人間を脅したり盗みを働いたりする程度だけれど……力を取り戻せば、人間の命に関わる悪さを始めるわ」
「まだ、あんまり、してないんだよ、ね?」

そう言われればその通りではあるが……それがどうしたというのか。
それよりも、巴マミは、自分が苛立ちを覚えているのを感じていた。
なんの力も持たない少女が自分に歯向かおうとしているから、という訳ではないと思った。

「今の内に不幸の芽は摘んでおいた方が良いと思わない?」
「……そんなの絶対、おかしいよ」
「お前……」

声も身体も恐怖に震わせながら、それでも決して自分を曲げようとしないこの少女を見ていると、それだけで自分が責め立てられているような不快感が生まれてくるのだ。

「彼一人のために、多くの人間を危険に晒して良いと思う?」
「で、でも! 沢山の人のためだからって、まだ悪いことをしてないこの子を殺して良いの!?」

多くを救うために一つを犠牲にする勇気を持つ者が英雄なんです。
そういう言葉を残したのは、誰だっただろうか。

「『良い』に決まってるじゃない」

例え人間を一人も襲ったことのない魔女が相手であっても、情けなどかけない。
巴マミは、そうしてきた。
その例外にグリードが……入る筈も、無かった。

「……!」

小さな女の子の瞳には、更に恐怖の色が濃くなる。
説得は無理だと感じたのか、マミの不意を突いて逃げ出した……と、本人は思ったのだろう。

「ひゃぁう!?」

急いで動かそうと思った足が地面に縫い付けられ、入院着が土に汚れる。
綺麗に転んだまどかが、動かない自らの脚に視線を落とすと……信じられない光景が、広がっていた。
地面に残った銃痕からいつの間にかリボンのような糸が伸び、絡みついてまどかの足を止めていたのだ。
引っ張っても外れる気配は無く、まるで手品のように結び目も見つからない。

「彼を渡して。そうすれば、貴女に危害を加えるつもりはないわ」

暗に、述べる。
アンクを引き渡さなければどうなるのか、ということを。
それでも……女の子が抱きしめたアンクを離す気配は、無い。

「嫌だよ」

――手を伸ばせるのに伸ばさなかったら、死ぬほど後悔する。

「そんなの、あんまりだよ……!」

――それが嫌だから、手を伸ばすんだ。

「おい、お前……まどかとか言ったか」
「どうして、私の名前を……?」

まどかは、気付いていない。
クスクシエで以前出会った柄の悪いお兄さんの正体が、この腕怪人であることに。

「お前は、バカだ」
「……え?」

まさか、助けた相手に貶されるとは、思ってもみなかった。

「だからお前らは……お前らのままで居ろ。俺は、そういう『使えるバカ』が大好きなんだ」

アンクは、映司と初めて会った日にも、こう思った。
こいつは使えるバカだ、と。
だがしかし、同時に思う。
こいつらのようなバカが居るなら、人間も捨てたものじゃない、とも。

「聞き分けの無い子は好きじゃないの」

まどかの身体の隅々にまでリボンが巻き付き、その身体の自由を失わせる。
そして、踏ん張りが利かなくなったまどかの手から……力ずくの握力任せに、巴マミがアンクを、奪い取った。

「あ……」

既に抵抗する力も無く巴マミの手の中でぐったりとしているアンクを目の当たりにしても、鹿目まどかは、何も出来ない。
手首から先がもげてしまい、円筒のようになっているアンクは、むしろまだ生きていることの方が不思議でさえある。
アンクはまどかのこと『使えるバカ』と言ったが、これでは使えるという部分さえ怪しいではないか。

「お終いにしましょう」

いつもより少しだけ大きなマスケットを取り出したマミは、空中にアンクを放り投げ、次の瞬間には乾いた音を響かせた。
その直後に奏でられる、金属同士がぶつかり合う独特の音色。
爆散した破片は全てメダルとなり、辺りに降り注ぐ。
銀色のメダルに紛れて、灰色や黄色のそれが所々に散りばめられていた。


かつてマミが使用を禁じたそれと同じタカのメダルが、マミの足元に転がり込む。
まるで、アンクの命を獲った証と言わんばかりに。


まどかは、守れなかった。
昨日は、親しげに近づいて来た魔法の使者を。
今日は、苦しげに助けを求めた異形の右腕を。

「こんなのって、無いよ……!」



メダルを回収したマミが立ち去ったのちに、局地的な雨が降ったという情報は、見滝原の気象観測所には記録されていない。



・今回のNG大賞
「鹿目まどか! 彼を助けたかったら、ボクと契約して魔法少女になってよ!」
「「えっ?」」
「何だ!? このフザけた生き物は!?」

驚いてキュゥべえに駆け寄った巴マミの隙を突き、アンクは脱出に成功した!

「ワケが解らないよ……」

聡明なキュゥべえさんがそんなミスを犯す筈が無いじゃないか。


・公開プロットシリーズNo.26
→24話からほむらさんが監視を止めた途端にコレだよ!


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