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No.28140の一覧
[0] 餓狼少女まどか☆マギカ 【完結】[クライベイビー](2013/08/15 00:31)
[1] 餓狼少女まどか☆マギカ―1―[クライベイビー](2011/06/27 04:25)
[2] 餓狼少女まどか☆マギカ―2―[クライベイビー](2011/06/07 16:39)
[3] 餓狼少女まどか☆マギカ―3―[クライベイビー](2011/07/03 14:17)
[4] 餓狼少女まどか☆マギカ―4―[クライベイビー](2011/08/07 00:11)
[5] 餓狼少女まどか☆マギカ―5―[クライベイビー](2011/08/09 21:03)
[6] 餓狼少女まどか☆マギカ―6―[クライベイビー](2011/08/11 19:11)
[7] 餓狼少女まどか☆マギカ―7―[クライベイビー](2011/08/27 23:43)
[8] 餓狼少女まどか☆マギカ―8―[クライベイビー](2012/02/11 08:53)
[9] 餓狼少女まどか☆マギカ―9―[クライベイビー](2012/01/01 13:46)
[10] 餓狼少女まどか☆マギカ―10(修正)―[クライベイビー](2012/06/16 11:26)
[11] 餓狼少女まどか☆マギカ―11(ほとんど修正)―[クライベイビー](2012/04/23 15:23)
[12] 餓狼少女まどか☆マギカ―12―[クライベイビー](2012/04/23 12:17)
[13] 餓狼少女まどか☆マギカ―13―[クライベイビー](2012/06/16 17:38)
[14] 餓狼少女まどか☆マギカ―14―[クライベイビー](2012/09/19 06:18)
[15] 餓狼少女まどか☆マギカ―15―[クライベイビー](2012/10/15 17:32)
[16] 餓狼少女まどか☆マギカ-16-[クライベイビー](2013/08/26 06:47)
[17] 餓狼少女まどか☆マギカ―17―[クライベイビー](2013/08/06 18:14)
[18] 餓狼少女まどか☆マギカ―18―[クライベイビー](2013/08/15 00:33)
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[28140] 餓狼少女まどか☆マギカ―7―
Name: クライベイビー◆2205aff7 ID:86f2e92d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/08/27 23:43
杏子の槍は魔法によって作られている。
その強度は通常のものを上回っている。
その穂が歪にねじ曲げられていた。
穂先が横に逸れている。
そのねじ曲がった穂先の根元に特徴的なへこみがあった。
こぶしに見えるへこみである。
そこを中心に穂に大きなゆがみができているのだ。

それを見て杏子は忘我の声を上げた。
そこにまどかが突っ込んでこぶしを打ち込む。
顎である。
杏子の顎を狙ったものである。
万全の状態であっても見切れないほどの鋭い突きである。
しかし、こぶしが当たろうとした瞬間、杏子がまどかの目の前から消えた。

―――後ろ!?
そう思ってまどかは振り向いた。
そこには杏子がいた。
そして、まどかと杏子の間に一人の少女が立っていた。
「ほむらちゃん…」

ほむらであった。
ほむらがまどかと杏子を視界に入れるようにして立っていた。
能力を使ってまどかと杏子を引き離したのであろう。
「な…なにしやがった!?てめぇ!?」
我に返った杏子が言う。明らかに狼狽していた。
杏子にとっても今起きた現象は何なのかわからない様子だった。
突然現れたほむらに対して槍を向ける。
「もうやめたほうがいいわ、佐倉杏子」
そんな杏子に対してほむらは言う。
その自身の本名に杏子が反応する。
「…なんだと!?なぜ知っている!?」
「………」
「てめぇ、一体何もんだ?」
杏子が言う。
「さあ…ただわたしはあなたが利口なら手を出す気はない」
「…ちっ、手札が見えないんじゃなぁ。ここは退散させてもらうぜ」
額に皺を寄せ目つきを一層鋭くして杏子が言う。
無事に済んだことは幸運であったが、事の成行きは杏子の気に入らないものだった。
それが顔に出ていた。

杏子は垂直に大きく跳んだ。
その跳んでいる途中で多根節状にした槍を左右のビルの壁に叩きつけて、反動を利用してさらに高く跳ぶ。
それを繰り返して高く跳び、ビルを越えていった。
まどかとほむらのいるビルの隙間からは杏子は見えなくなった。


それを見送ってから、まどかは口を開いた。
「…ほむらちゃん、さっきの子知ってるの?」
「ええ、知っているわ。でも、どうして?」
「…本当は魔法少女は敵じゃないから、仲良くできたらなって」
それを聞いてほむらは顔をしかめた。
「念のために聞いておくけど、先に手を出したのは向こうなの?」
「…そうだけど」
まどかが少しうつむいて言う。何か後ろめたいことでもあるのだろう。
それを察したほむらは先を促す。
「なに?」
「わたしのほうから喧嘩を買った。『試してみればいい』って…」
それを聞いてほむらは顔をしかめる。
「…どうして?」
「遊び半分って言われたから」
「まさか住所を知ってから再戦なんてことはないでしょうね」
「ない」
まどかは言い切った。強い視線をほむらに向けている。
「…だからお願い。教えてほしいな」
まどかが言った。


結局まどかは佐倉京子という名前と決まった住処がないことしか聞けなかった。
他のことについてもほむらは知っているそぶりを見せていた。
何か隠し事をしているのだろう。
その隠していることが杏子の能力などであればほむらはもう言っているはずだ。
つまりほむらが黙っているのは個人的なことであるはずだ―――まどかはそう思う。
あまりに個人的なことに踏み込むのも悪いと思ってそれ以上聞かなかった。
そのまどかは今、家のリビングに一人たたずんでいた。
テーブルの椅子に腰かけていた。
杏子と戦うべきか。
それを考えていた。

仲間を守るためなら、杏子を徹底的に叩き潰すというのもありとも言えた。
しかしそれは違うと思った。
話し合いは必要だと思うがそれだけではない。
叩き潰すことではない。
仲間のために杏子を叩き潰すということである。
それだけは違うと思う。
それは違うと思う。
何が違うのか。
それはまどかが結局のところ闘士だということである。
もし本気で闘うとしたのならそれは強さを競うということである。
そういう思いをぶつけ合いたいということであった。
そういうことを考えていた。
すると、まどかに声をかける者がいた。
「よう、まどか」
「…母さん」
「まあ一杯付き合えよ」
詢子であった。
そう言って、一杯の麦茶をテーブルに置いた。
そして、ウイスキーを自分の持っているグラスに注ぐ。
「うん、ありがとう」
まどかはそう言って麦茶の入ったコップを手に取る。
そして飲む。
そして一口飲んでからまどかは言う。
「ねえ、母さん」
「うん?」
「もし、誰かを説得したいときはどうしたらいいかな?」
「まどかの気持ちを強く伝えることが大事じゃないかな」
「気持ちを?」
「ああ、まどかはちょっとやんちゃだけど優しくて良い子に育ってくれたからね。
素直に気持ちをぶつければいいのさ」
確信をもった口調で詢子は言った。
それを聞いたまどかも自信に満ちた笑みを浮かべた。





人通りのない日当たりのいい道。
穏やかな日の光を浴びて歩く者がいた。
杏子であった。
手には鯛焼きの入った袋を持っており、そこから1つずつ出して食べている。
その杏子がここにはない何かを見つめるようにして歩いていた。
過去を振り返る眼であった。
まどかが気に入らなかった。
なんの代価も払っていない癖に粋がっている。
自分には奇跡の代償があったのにまどかにはそれがない。
遊び半分で魔女退治をしている―――そう思っていた。
あるいは正義の味方ぶっているか、そのどちらかだと。
だから少し脅してやろうと思った。
化けの皮をはがしてやろうと思った。
しかし―――、
やられたと思う。
負けたとも思う。

そして、まどかが自分が思っていたものとは違うことが分かった。
遊び半分ではない。
お人よしかもしれないが正義の味方でもない。
誰かを守るところからそれを連想したがやはりない。
では何か?
それが分からない。
もし、まどかと話す機会があれば、それは分かるかもしれないと思う。
少なくとも今ここで考えていて分かるものではない。
ただまどかが一体どういう人間かということに興味があった。


「探したよ」
「!?」
その杏子の後ろから声がかかった。
それが誰の声か杏子は気づいた。
「鹿目まどか…」
「杏子ちゃん…」
まどかが杏子の後ろに立っていた。
「杏子ちゃん、わたし話が合ってきたんだ」
「………」
「いい?」
「ああ、こっちもあんたに聞きたいことがあったんだ」
「えっと…何かな?」
「あんたのことを教えて欲しい」
「…じゃあわたしも杏子ちゃんのこと教えて欲しいな」
「…ああ、場所を変えるけど大丈夫か?」
「うん、いいよ」
そう言って2人は並んで歩いた。


2人がついたのは隣町の教会であった。
ほとんど廃墟である。
人が立ち寄らなくなって何年も経っていそうだった。
「食うかい?」
そう言って差し出された鯛焼きに遠慮なくまどかはかぶりつく。
そこで2人はお互いの話をした。
まどかは自分の家族や友人と格闘技に関して。
そして、杏子は魔法少女になったいきさつについて話した。

杏子の父親は神父であった。
新聞で事件の記事を見るたびにどうすればこういうことを無くせるのか、を真剣に考える人だったという。
それにも関らず信者はいなかった。
その日の食い物にも困ったという。
教義以外の教えを広めようとしたからである。
その結果異端扱いされ、カルトとして誰も話を聞いてくれなかった。
それが許せなかった杏子は父親の話に耳を傾けてくれますようにとキュゥべえに願った。
その願いがかなったのか杏子の父親の周りには人が集まるようになった。
そして、魔法少女になった杏子は魔女と戦った。
表の世界は父親が守り裏の世界は自分が守る、という意気込みであった。
しかし、それが父親にばれてしまった。
それを知った父親は杏子を散々にののしり、杏子以外の家族と心中してしまった。
そういう内容であった。

そして杏子は言った。
「つまり、希望と絶望でプラスマイナスゼロってことなのさ。だから、全部自分のせいにして自分のためだけに生きればいい。あたしはそう思っている」
「…そうなの」
「ああ。魔法少女が人のために何かをしたってろくなことにならないからね」
それを聞いてまどかは強く否定する。
「違うよ。杏子ちゃんにはできることがあるよ」
「…なんでそんなことがわかるんだ?」
「わかるよ。今からそれを教えてあげるよ…だから」
「―――」
杏子はまどかが何を言うのか、そう思ったときまどかは唐突に腰を落とした。
まどかは両手を前に出し、それでいつでも掴めるように手を開いた。
その状態で杏子と向かい合う。
それを杏子は何事かという目で見ている。
そんな杏子にまどかは自信満々に言った。
「―――プロレスしよう?」
にぃっとまどか笑みを浮かべていた。


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