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No.28140の一覧
[0] 餓狼少女まどか☆マギカ 【完結】[クライベイビー](2013/08/15 00:31)
[1] 餓狼少女まどか☆マギカ―1―[クライベイビー](2011/06/27 04:25)
[2] 餓狼少女まどか☆マギカ―2―[クライベイビー](2011/06/07 16:39)
[3] 餓狼少女まどか☆マギカ―3―[クライベイビー](2011/07/03 14:17)
[4] 餓狼少女まどか☆マギカ―4―[クライベイビー](2011/08/07 00:11)
[5] 餓狼少女まどか☆マギカ―5―[クライベイビー](2011/08/09 21:03)
[6] 餓狼少女まどか☆マギカ―6―[クライベイビー](2011/08/11 19:11)
[7] 餓狼少女まどか☆マギカ―7―[クライベイビー](2011/08/27 23:43)
[8] 餓狼少女まどか☆マギカ―8―[クライベイビー](2012/02/11 08:53)
[9] 餓狼少女まどか☆マギカ―9―[クライベイビー](2012/01/01 13:46)
[10] 餓狼少女まどか☆マギカ―10(修正)―[クライベイビー](2012/06/16 11:26)
[11] 餓狼少女まどか☆マギカ―11(ほとんど修正)―[クライベイビー](2012/04/23 15:23)
[12] 餓狼少女まどか☆マギカ―12―[クライベイビー](2012/04/23 12:17)
[13] 餓狼少女まどか☆マギカ―13―[クライベイビー](2012/06/16 17:38)
[14] 餓狼少女まどか☆マギカ―14―[クライベイビー](2012/09/19 06:18)
[15] 餓狼少女まどか☆マギカ―15―[クライベイビー](2012/10/15 17:32)
[16] 餓狼少女まどか☆マギカ-16-[クライベイビー](2013/08/26 06:47)
[17] 餓狼少女まどか☆マギカ―17―[クライベイビー](2013/08/06 18:14)
[18] 餓狼少女まどか☆マギカ―18―[クライベイビー](2013/08/15 00:33)
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[28140] 餓狼少女まどか☆マギカ―4―
Name: クライベイビー◆2205aff7 ID:86f2e92d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/08/07 00:11
左腕が動かない。
担当医からそう言われた恭介であったが、意外とショックは少なかった。
その事実を受け入れることは簡単だった。
しかし、その先がいけなかった。

いままでヴァイオリンで生きていくだろうことに疑いがなかった。
それがなくなった。
ヴァイオリンに向けていた情熱の行き場をなくしてしまった。
それどころかその情熱すら感じられなくなってしまった。
そういう意味で恭介の心は空っぽだった。

それを紛らわすように歩いていた。
それとどう向き合えばいいのか恭介にはわからなかった。
そうして歩いていると、いつの間にか得体のしれない場所にいた。
魔女の結界、その異様な空間で対峙しているものがあった。

鹿目まどかと人形のような魔女である。
一見ただの人形にしか見えないが恭介には自然と分かった。
おそらくはあの人形がこの空間を作ったのであり、それにふさわしい力を持っているのだろう。
普通であればまどかが敵うはずがないように見える。
しかし、まどかの身体から溢れているものがまどかとそれを互角に見せた。
おそらくは長い闘いになる。
そこまで思った時―――

まどかは魔女を打ちのめした。
圧倒的であった。

そのやり取り、特に一番最後のかかと落としを見たとき震えが止まらなくなった。
身体の中から震えが湧いても湧いても止まらないのだ。
―――たまらない
先ほどまでの無気力など吹き飛んでいた。
空っぽだった心に熱いものが流れ込んできた。
―――これしかない
恭介の足は自然とまどかのほうに引き寄せられていた。
ぶるぶる震える足をなんとか交互に出す。
「僕を…」
息がうまく吸えない。
それでもなんとか肺に残った空気を絞りだした。
「弟子にしてくれぇ!!」

まどかは恭介を見る。
その眼の中に何が宿っているか見通すような眼をしている。
それが恭介に宿る熱を捉えた。
ぶるりと震えてからまどかは興奮でぬれた声で言った。
「上条君はなんで弟子入りしたいのかな?」
「強くなりたいからです」
かすれた声で恭介が言った。
「わたしがやったあんなことを覚えたいの?」
「はい」
「蹴りや突きを覚えたいの?」
「はい」
「練習きついけど大丈夫?」
「やれます」
そして最後にこう言った。
「わたしでいいんだね」
「はい」
恭介の声が赤みのかかった空に消えていった。

そのあとさやかとマミと合流した。
ほむらはマミとさやかを見て慌てて姿を消した。
まどかがことの顛末を説明すると、さやかは恭介と一言二言交わした。
「弟子入りするんだって」
「ああ」
「やりたいことが見つかってよかったね」
「うん、とってもうれしいよ」
恭介が言うとさやかのこわばっていた顔がいくらか緩んだ。
さやかは言った。
「まどか、恭介のこと頼んだよ」
まどかは静かにうなずく。
そのあと恭介が近いうちに退院になることを伝えた。
その後、まどかとさやかはマミと携帯の番号を交換した。





翌日の朝、トレーニングを終えたまどかは朝食を摂っていた。
何かが書かれた紙をじぃっと見ている。
それを詢子がやんわりと注意する。
「まどか、ご飯中は行儀良くしよう」
「ごめん、ちょっと待って」
そう言ってかばんの中に紙をしまった。
「なに?新しいトレーニングメニュー?」
詢子が言った。
「うん…まあそうかな」
まどかは少しぼかすようにして答えた。
実際に言えば確かにまどかの新メニューがそこには書かれていた。
しかし、それだけでなく恭介にどのようなものを教えるかというメニューもそこには書いてあった。
時折浮かぶまどかの笑みが心情を表していた。

その日学校ではさやかが妙に明るかった。
恭介がヴァイオリンを弾けなくなっても新しい目標を持ったことがうれしいらしい。
一晩たってからようやくその感情にさやかは追いついた。
まどかと顔を合わせるときは決まって恭介について話した。
それは仁美とマミが一緒のときでも変わらなかった。
それを聞いた仁美は怪訝な顔をし、マミは反対に笑顔になった。





放課後、まどかが歩いている。
川沿いの道で、向かいには工場が見える。
もうすでに夕方であり空に赤みがかかっている。
まどかはごく自然に歩いているように見える。
しかし、神経は尖らせてある。
何かを探しているようにも見える。

実際まどかは魔女の気配を探っていた。
魔女や使い間の放つ独特の気配は遠くからでもわかるという自信があった。
それは昨日、グリーフシードをその気配によって見つけたことで確信に変わった。
それで2手に別れて探すことになったのだ。
片方が見つけたら連絡して、2人揃ったところで決壊に突入という段取りになっている。

そのまどかの後ろから追いかける者がいた。
暁美ほむらだ。
ほむらは追いついてからまどかに言う。
「もうこんなことはやめて」
「どうして」
「こんなことを続けていたらあなたは死んでしまう。ましてや生身の人間が…」
さえぎるようにまどかが言った。
「大丈夫。それにわたしが魔女を狩ることで町の人間が守れるならやめないよ」
「ダメよ。それにあなたが亡くなったら家族が悲しむでしょう」
ほむらは相変わらず顔色を変えずに話している。

「本当はねそれだけじゃないんだ…」
声色が変わった。
怖いものがまどかから溢れてきた。
「わたしは闘えるんだ」
「――――」
「理由がなくても闘えるんだ」
「!?」
「もし魔女がいなくても強い人とスパーリングもするし試合だってするし、もしかしたらストリートファイトだってあり得るかもしれない」
「―――」
「魔女がいてもいなくても同じなんだ」

ほむらがくずれ落ちた。
膝に力が入らなくなっていた。
まどかが言っていることを考えれば言葉で説得などできるものではない。
本当であれば相手が人間から魔女になっただけだということになる。
それをほむらは理解した。

まどかは言う。
「だからもう引き返せないんだ」
「……まどか」
「やめないよ」
そういってまどかはほむらに背を向けた。

「勝負しなさい。鹿目まどか」
その背にほむらが言った。
もう先ほどの動揺は見られなかった。
「もしあなたが負けたなら魔女とはもう関わらないで」
「いいよ」
「じゃあ場所を変えましょう。いい場所を知っているわ」





場所はそう遠いところではなかった。
近くの公園で一面芝生で覆われている。
もしここで相手を投げてもある程度のダメージは軽減されそうであった。
「どちらかが地面に倒れたら負けね」
そこに着くなりほむらが言った。
まどかとしても進んでだれかを傷つけたくない。
ほむらが他人には思えないまどかにとって悪くない提案であった。
魔法少女に変身したほむらがまどかに言う。
「じゃあ始めましょうか」

まどかは無言で構える。
ほむらも構えた。
2人の距離は2.5mほどある。
まどかは腰を低く構えている。両の掌を顔面から拳みっつ分、離したところに置いた。
組みつくことが狙いだとはっきりとわかる。
ほむらは右手についた盾を左手で持っただけの構えだ。格闘技のセオリーとは程遠い。

そしてまどかはその意味を察した。

まず魔法少女としての能力が鍵になっている。
発動した瞬間に勝負が決するほどのものかもしれない。
少なくとも時間稼ぎくらいにはなるのだろう。
そうでなければほむらは隙だらけの構えは取らない。

そして、その能力以外にほむらの勝機はなかった。
魔法少女の身体能力は高い。しかし、それは普通人と比べればである。
まどかにそれは当てはまらず、接近戦では勝つ方法はないからだ。

そして、おそらくほむらはまどかが隙を見せるのを待っている。
まどかが姿勢をくずした時に発動するつもりなのだろう。
まどかが万全の状態で発動しようとすれば先にやられる。
そういう確信がほむらにあった。
つまり、まどかがほむらに組みつくのが先かその組みつくまでの間にほむらが能力を発動するかが勝負になる。

しかし、まどかのその考えには誤りがあった。
ほむらが最も早く能力を発動できるのはその構えであるが、構えなくても能力を発動できることだ。

ほむらがまどかの挙動をじいっと見ている。
そういうにらみ合いがしばらく続いた。
―――疾
まどかが動いた。
タックルである。
予備動作はほんの少ししかない。
ほむらは能力を発動しようとする。
しかしまどかはわずかに届かない。
―――決まった
ほむらがそこまで思ったときほむらの意識がぶれた。。

まどかの蹴りだ。
タックルの前傾姿勢からまどかは蹴りを放ったのだ。
タックルで来ると思っていたところで蹴りを放たれたほむらは全く反応できなかった。
能力を発動する直前の絶妙なタイミングで放たれた予想外の蹴りは、ほむらの顎をかすめていた。
その脳震盪によってほむらの意識が一瞬ぶれたのだ。

まどかの身体はそうしている間にも前に出ていた。
まどかの体は宙に浮いている。
蹴りを放つときに地面を蹴っていたからだ。
ほむらが予想外の行動であっけにとられている間に、まどかはその体勢でしがみいた。
ほむらは能力を発動しない。
身体が接触している状態では発動できないのだ。
まどかはほむらをそのまま押し倒した。

「私の勝ちだね」
まどかが笑って言った。
ほむらはその笑みの中に獣を見た気がした。

まどかとほむらが歩いている。
ほむらがまどかについてきている形だ。
「…わかったわ」
不意にほむらが言った。
「あなたが闘うことをやめないことはよくわかったわ」
「―――」
「わたしはあなたを止めないし止められない」
「…ありがとう」

それを聞いてからほむらは俯いて言った。
「ねえ、わたしに何か出来ることある。練習の手伝いとか…」
「わたしはねほむらちゃん、ほむらちゃんと遊びに行ったりごはん食べたり、そういうことしたいな」
「え?」
「それでさ、さやかちゃんとマミさんも誘って一緒に行くの。きっと楽しいよ」
「……」
「だからみんなと仲良くして欲しいな」
「…努力するわ」
「できるよきっと。だってわたしが怪我しないようにわざわざ芝生の公園に連れてったんでしょ」
「…なんのことかしら」
そう言いながらもほむらは顔をうっすら赤くしていた。


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