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No.28140の一覧
[0] 餓狼少女まどか☆マギカ 【完結】[クライベイビー](2013/08/15 00:31)
[1] 餓狼少女まどか☆マギカ―1―[クライベイビー](2011/06/27 04:25)
[2] 餓狼少女まどか☆マギカ―2―[クライベイビー](2011/06/07 16:39)
[3] 餓狼少女まどか☆マギカ―3―[クライベイビー](2011/07/03 14:17)
[4] 餓狼少女まどか☆マギカ―4―[クライベイビー](2011/08/07 00:11)
[5] 餓狼少女まどか☆マギカ―5―[クライベイビー](2011/08/09 21:03)
[6] 餓狼少女まどか☆マギカ―6―[クライベイビー](2011/08/11 19:11)
[7] 餓狼少女まどか☆マギカ―7―[クライベイビー](2011/08/27 23:43)
[8] 餓狼少女まどか☆マギカ―8―[クライベイビー](2012/02/11 08:53)
[9] 餓狼少女まどか☆マギカ―9―[クライベイビー](2012/01/01 13:46)
[10] 餓狼少女まどか☆マギカ―10(修正)―[クライベイビー](2012/06/16 11:26)
[11] 餓狼少女まどか☆マギカ―11(ほとんど修正)―[クライベイビー](2012/04/23 15:23)
[12] 餓狼少女まどか☆マギカ―12―[クライベイビー](2012/04/23 12:17)
[13] 餓狼少女まどか☆マギカ―13―[クライベイビー](2012/06/16 17:38)
[14] 餓狼少女まどか☆マギカ―14―[クライベイビー](2012/09/19 06:18)
[15] 餓狼少女まどか☆マギカ―15―[クライベイビー](2012/10/15 17:32)
[16] 餓狼少女まどか☆マギカ-16-[クライベイビー](2013/08/26 06:47)
[17] 餓狼少女まどか☆マギカ―17―[クライベイビー](2013/08/06 18:14)
[18] 餓狼少女まどか☆マギカ―18―[クライベイビー](2013/08/15 00:33)
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[28140] 餓狼少女まどか☆マギカ―18―
Name: クライベイビー◆8b17b1df ID:2f8ca39b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/08/15 00:33
まどかは学校の帰り際にさやかと仁美に声を掛けた。
「おうまどかもう帰るのかい?」
「うん、今日はちょっとマミさんのとこに寄ってくから」
「あらそれは残念ですわ」
さやかは事情を飲み込むように、マミを知らない仁美は少々の疑問を抱きそれぞれ応えた。
まどかが居なくなってから、仁美が口を開いた。
「まどかさん、元気そうで良かったですわ」
「うん、そうだね」
仁美はまどかの身にどれほどのことが起きたか察していた。
すでにあの決闘から数カ月経っているが、まどかを心配して、
「何か辛いことがあったらいつでも頼ってください」
に声を掛けた。
まどかの様子もやはり常とは違っていた。
もの思いに耽ることが多かった。
それが最近になってようやく元のまどかに戻ったのだ。
否、元には戻ったがそこにはある種の哀愁が漂ってはいる。白夜を殺した哀しみがまどかの中に在り、それが時たまに表に出るのである。
しかし、まどかは今までと同じように振る舞うことができるようになっていた。
「それにしても、ここ最近は私だけ除け者でしたわね」
「まあ、それはその…」
さやかは耳が痛かった。
まどかに気を使う仁美は愚痴をさやかにぶつけることが多くなっている。
実は仁美は恭介に好意を抱いていたがそれが知らぬ間に決着を迎えたことで、相当思うところがあった。
そうでなくても、魔法少女関連では隠し事ばかりである。
さやかはそれで二重で負い目を感じるので、強くモノを言うことができないのである。
「まあ、いいですわ。それより上条さんとはどうなんですの?」
「あんたってさ、たまにとんでもなく意地悪になるよね。まあ上手くいってるよ。新しい夢もできたみたいだしね、人を殺せる作曲家になるんだってさ」
「人を殺せる作曲家!?」
「ああ、恭介がそう言ってた」
つまり、こういうことがあった。
恭介とさやかが一緒にいると、不意に将来の夢の話になった。
さやかは特に無いということを言ったが、このとき恭介が「僕は作曲家になりたい」と言ったのだ。それもただの作曲家ではない。
今までより、時間は減るが鍛錬と勉強を両方をこなして強くなりたいのだという。
それで人を殺せる気迫を持った作曲家になれたなら、尋常ではない曲を作れると信じているのである。
「それで、人を殺せる作曲家ですか」
「ああ」
「それで?」
「うん?」
「さやかさんはどう思いました?」
「うれしかったよ」
「と言いますと?」
「恭介が新しい夢を見つけてくれたことがうれしいんだよね。それも諦めかけた音楽と向き合うことができてるから、余計にね。」
そう言ってから、さやかは意味ありげに黙った。
「どうかしましたか?」
仁美は不思議そうに言う。数秒黙った後、気まずそうにさやかは本心を吐いた。
「仁美はこれで良かったの?」
「それは恭介さんとのこと?」
「うん、まあ…。結構、冗談めかして言ってるけど、気にしてるでしょ?」
「まあ、そりゃあ気にしていますわ」
しかし、そういう仁美の眼に恨みはなく。ただ、澄んでいる。
「ただ、あなたがどれだけ尽くす人か知っていますから。入院中も惜しげなく通っていましたし、早く付き合ってしまえとすら思っていました」
二人の顔が自然と近づいてゆく。
「正直に言うとあなたで良かった」
仁美は至近距離でさやかにほほ笑む。どこかに迫力のある笑みだったが、さやかも思わず笑ってしまった。胸のつっかえが取れていた。ひとしきり笑った後、
「言って良かったよ」
「私も言えて良かったですわ」
言ってから、又、笑う。
笑ってから二人でふらりと街に行った。
今日は、恋より友情だった。





「傷の調子はどう?」
「だいぶ治りました。身体のあちらこちらに違和感がありますが…」
「そう。やっぱり、私の治療魔法には限界があるわね」
マミはそう言って、黄色のリボンの負傷した個所に巻きつけていく。
ソウルジェムはなくなったものの、魔法少女は相変わらず魔法を使えるみたいだった。
マミがリボンを巻いているのは、リボンにも治癒の効果があるからだ。
あの闘いの後、マミはまどかの深刻な部分を治し、痣などの見た目に派手な怪我を一日かけて治癒した。
それでも、完全に治ったとは言えなかったが、怪我を見られて不審がられるようなことはなかった。
それからは少しずつこうして、マミの部屋で治療を受けている。
「いえ、マミさんが居なかったら大事になってました」
まどかは身体にうっすらと残った傷跡に手を当てる。
それを愛おしそうに撫でた。
傷は恐らく治りはする。しかし、それは身体という地層が傷を上からから埋めていくようなもので、そこに傷があった名残は消して無くならない。
まどかが注意深く意識を向ければ、傷の名残が分かるはずだ。傷を意識すれば、自然、この傷をつけていった白夜のことを思い出すに違いなかった。
白夜がくれた贈り物のようで、まどかはうれしかった。
「終ったわよ」
マミは包帯が巻き終わるとケーキと紅茶を出した。
「味わって食べてね」
そういうとまどかの対面に腰を下ろす。
そう言ってマミはケーキを口に運ぶ。
「杏子ちゃんはどうしていますか?」
「ううん…そうね」
マミは困ったように額に手を当てた。
「どこにいるのか分からないわね。たぶん、今もどこかで動いているんだろうけど」
「そうですか…ほむらちゃんも見当がつかないみたいで」
杏子は基本的にどこにいるのか分からない。
あれから、杏子はマミのところに居候している。
居候しているが、いるのは夜寝る時くらいのものである。
時折、ふらっといなくなって何日かは帰ってこないのである。
それが数日前であり、それ以来杏子はマミの家に帰っていない。
学校に行っていない杏子は、その時間をあることに費やしていた。
そもそも、魔女退治のときでさえ個別に動くことの多かった杏子は、最近になってさらに単独行動が多い。
「とりあえず、帰りに教会に寄ってみます」
「そうね。あまり心配はしてないけど、もし会ったら連絡しろって伝えてくれる?あと、これを渡しておいてくれないかしら」
マミはまどかに黄色いリボンを多めに手渡した。それを鞄に入れて、
「ありがとうございます。お邪魔しました」
そう言って、まどかはマミの部屋を出た。
ここ何日かは教会へ通っているのである。





まどかは教会についた。
教会の中に入っていく。
古びたステンドグラスから、橙の光が入ってくる。
古びているが元の造詣が良かったのか、これはこれで味がある風景だ。これを美しいという人間もいるかもしれない。
そこに杏子が佇んでいた。
「久しぶり」
杏子はそれにすぐには返事を寄こさず、俯いていた。疲れもあるが、ここに来るとどうやら杏子の意識は過去に沈むのか反応が鈍くなる。
まどかはもう一回言った。
「大丈夫!?ひどく疲れてるように見えるけど」
「まあまあだよ。そこまで心配するほどじゃないさ」
言葉とは裏腹にかなり疲れているようだった。
魔法少女はソウルジェムが無くなったことによって消費するものが、魂のエネルギーから体力に変わった。
杏子の様子は魔法少女が体力を消耗したそれと一緒だった。
つまり、一戦した帰りにここに寄ったようであった。
「誰かに襲われたの?」
「むしろ逆だよ。喧嘩を売ったのは私の方さ」
何故そんなことをしたのかというまどかの疑問に杏子は応える。
「簡単な話さ。悪さをする奴が魔法少女の中に居るんだよ」
「――」
「グリーフシードがなくても自然と魔法は使えるように回復するからかな、シャレにならないことをするんだよ」
「それで、いなかったんだ」
「ああ、県外に行ったりしてたからね。私はあいつらと同じ穴のムジナっていうかさ、そういう奴らが分かるんだよ。時間もあるしね」
「それは自分が許せない?」
「それだけじゃないさ」
杏子の視線がまどかの眼に止まる。
「なあ、まどか。あたしはさ、家族を亡くしてから自分のためだけに生きればいいと思ってた」
眼に過去の風景を映しながら、杏子は続けた。
「でも違ったんだよな。本当はもう過ちを繰り返したくなくて、それなのに勇気がないから誤魔化して、酷いことをしてたんだ。まどかが、あのプロレスがこのままじゃいけないって教えてくれたんだよ」
無くした家族に懺悔をするような言葉だった。
「もう、魔法少女にグリーフシードはいらない。それでも、昔のあたしみたいな阿呆はいるさ。だったら、今度はあたしが教えてやらなくっちゃって思ったんだ」
「……」
まどかは杏子のとなりに座った。
鞄を探る。
外に出した手には、黄色いリボンが握られていた。
それを無言で杏子の身体に巻いていく。
「おいおい、これって」
「大丈夫だよ、たくさん貰ったから」
それはマミから渡されたリボンだった。
マミの魔力が込められたリボンは、身体に巻けば傷が治り体力が回復する効果を持つ。
それが杏子の身体を癒していく。一日も経てばすぐに怪我は治るはずである。そればかりか、あと何回かは使えそうだった。
まどかは治療の一環としてマミからは一定の数をもらっていたが、これは何をしているのか分からない杏子をマミが心配したために渡されたものだ。
「あんまり、心配かけないでね。何かあったら絶対言うんだよ」
「…悪いな」
「そういうことは、マミさんに言ってあげて」
「そうだな」
「なんなら、電話掛けてあげようか?」
「いや、今日はマミの説教って気分じゃない」
リボンを巻き終わったまどかは立ち上がって、杏子を見た。
「じゃあ、行くね」
「おう、またな」
そう言って別れた。
教会を出て数分した所でまどかはマミに電話を掛けた。
「あら、杏子と会えたのかしら」
「はい。マミさんの言うようにリボンは巻いておきました」
「そこまでしてくれたの。別に渡してくれるだけでもよかったのに」
「いやぁ、結構疲れてたぽいからもう巻いちゃいました」
「疲れてたっていうと、杏子は何かしてたの」
まどかは杏子が何をしていたのか、をさっきの話した内容を交えて伝えた。
「そんなことをしていたのね」
「はい。多めにリボンを持って良かったです」
「そうね。これで杏子の大まかな位置は分かるようになったしね」
マミのリボンは魔力によって形作られたものである。
マミが発する特定の魔力に反応する性質を利用してレーダーのように使うこともできるのである。
近くではかなりの精度で位置が、遠くにいる時でも大まかな方角は分かるので、少々の時間がかかっても杏子を探そうと思えばいくらでも探せるようになったのである。
「まあ、説教は軽めに」
というまどかの一言と別れのあいさつで電話が終わった。





それは偶然だった。
帰り道でばったりとほむらと会ったのである。
まずは杏子のことについて話した。
「そう、だから見つからなかったのね。あの子の位置が分かるようになったて言うのは良いことよね」
「一人じゃ辛いだろうしね」
それから自然と夢の話になる。
「私は、医療の道に進もうと思っている」
「ほむらちゃん頭いいからね」
「そうね、私が病気をして立ってのも理由だけど、もう一つはまどかの怪我を治す医者になりたいのよ」
「へえ」
まどかは珍しくほむらの顔色を窺うように言った。
「やっぱり、私の生き方って皆に心配かけるかな?」
「今さら何言ってるのよ。私はあなたの技と精神に助けられたのよ。だったらそれを支えたいって言うのは当然の話でしょ」
「……」
「まどかには資格があるわ」
「資格?」
「胸を張って生きる資格があなたにはあるのよ」
ほむらはまどかをそう言って眺める。
一見すると普通の少女であるが、大きめの制服には密度の高い肉が詰まっている。その肉にはまどかの技と精神の両方が宿っている。
この肉体はほむらにとって叛逆の証でもあった。
この肉体によって奇跡は行われたのである。それをほむらは守りたかった。
「分かったけど、ほむらちゃん」
まどかにいつの間にか笑みが張り付いている。優しくて力強い笑みがほむらに飛び込んできた。
「相当無茶するからね」
「うん」
メガネを掛けていた時のようにほむらが笑う。
「じゃあ、ほむらちゃん私はここで」
「また明日」
そうこうしている内に二人は別の道を行った。
まどかは何気なく街を見ている。
夕暮れの中に白夜が街に溶け込んでいるように思える。
白夜が散った世界が美しく見えた。

―完―


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