<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

その他SS投稿掲示板


[広告]


No.28140の一覧
[0] 餓狼少女まどか☆マギカ 【完結】[クライベイビー](2013/08/15 00:31)
[1] 餓狼少女まどか☆マギカ―1―[クライベイビー](2011/06/27 04:25)
[2] 餓狼少女まどか☆マギカ―2―[クライベイビー](2011/06/07 16:39)
[3] 餓狼少女まどか☆マギカ―3―[クライベイビー](2011/07/03 14:17)
[4] 餓狼少女まどか☆マギカ―4―[クライベイビー](2011/08/07 00:11)
[5] 餓狼少女まどか☆マギカ―5―[クライベイビー](2011/08/09 21:03)
[6] 餓狼少女まどか☆マギカ―6―[クライベイビー](2011/08/11 19:11)
[7] 餓狼少女まどか☆マギカ―7―[クライベイビー](2011/08/27 23:43)
[8] 餓狼少女まどか☆マギカ―8―[クライベイビー](2012/02/11 08:53)
[9] 餓狼少女まどか☆マギカ―9―[クライベイビー](2012/01/01 13:46)
[10] 餓狼少女まどか☆マギカ―10(修正)―[クライベイビー](2012/06/16 11:26)
[11] 餓狼少女まどか☆マギカ―11(ほとんど修正)―[クライベイビー](2012/04/23 15:23)
[12] 餓狼少女まどか☆マギカ―12―[クライベイビー](2012/04/23 12:17)
[13] 餓狼少女まどか☆マギカ―13―[クライベイビー](2012/06/16 17:38)
[14] 餓狼少女まどか☆マギカ―14―[クライベイビー](2012/09/19 06:18)
[15] 餓狼少女まどか☆マギカ―15―[クライベイビー](2012/10/15 17:32)
[16] 餓狼少女まどか☆マギカ-16-[クライベイビー](2013/08/26 06:47)
[17] 餓狼少女まどか☆マギカ―17―[クライベイビー](2013/08/06 18:14)
[18] 餓狼少女まどか☆マギカ―18―[クライベイビー](2013/08/15 00:33)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[28140] 餓狼少女まどか☆マギカ―12―
Name: クライベイビー◆2205aff7 ID:86f2e92d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/04/23 12:17
ほむらの家。
まどか曰く不可思議だというその空間が、沈黙で包まれていた。
壊れたピッケルのような振り子が揺れる音だけが聞こえていた。
まどか、マミ、杏子がここに居て、ほむらがその沈黙している三人に向かい合っている。
その全員の表情が読めない。
なぜこのような重苦しい状態になったのか?
この部屋でほむらが言ったことがこういう状況を作り出していた。

「皆に話したいことがある」
集まった三人を前にして、ほむらは言った。
「その言いたいことってのは何かしら?」
まずはマミがほむらに答えた。杏子はもうすでに聞く体制になっている。
「魔法少女の真実についてよ」
そして、こう続けた。
「今から言うことは大変なことよ。もしそれを聞く覚悟がないと思うなら言って頂戴」
杏子が鼻を鳴らした。
「そう言われたら余計、聞きたくなったよ」
マミも動く気配を見せない。黙って先を促している。
「ええ。じゃあ順を追って説明するわ」

ほむらがその先に言ったことはおぞましい事実であった。
曰く、魔法少女とは魂をソウルジェムに移した者である。
曰く、魔法少女はソウルジェムが砕けることがない限り、心臓が破裂しても、血を流しても、死ぬことがない。
曰く、ただしソウルジェムと肉体がせいぜい数百メートル離れれば意識を失ってしまう。

そして――
「それだけじゃない」
沈黙する三人を前にさらに続けた。
「ここからが一番重要なのだけれど、魔女はどうして生まれるのかしら」
「それは――」「そりゃあ――」
同時に発言したマミと杏子はお互い顔を見合わせると、杏子がマミを小突いた。
マミが言え、ということらしい。
「人々の負の感情が集まったものが魔女になる…って、キュゥべえが言っていたけどそれだけじゃないみたいね」
「その通りよ。それも原因の一つではあるだろうけど、一部分にすぎない」
知らず、マミと杏子が身を乗り出した。まどかも強くこぶしを握りこんでいる。
「もし、ここまでで聞かないほうがいいと思ったのなら、言うのをやめるけれど…」
そこで、三人が一斉に言った。
「そこまで言って、それはないよ。ほむらちゃん…」
「そこまで言ったらひと思いに言えよ!」
「そこまで言っておいて、暁美さん…それはないでしょう」
まるで、怪談を聞いている小学生のノリであった。
いや本人たちとしては真剣であるのだが、一歩引いたところからみるとふざけた様にも見えた。
ほむらは堪ったものじゃない、と無視して言った。
本来ならここで皆に覚悟を決めさせるつもりが、そのノリにほむらの方が気を削がれてしまったのである。
「…ソウルジェムが濁りきると、魔法少女は魔女になる。それが最悪の真実よ」





ほむらがそう言ってから、皆は黙っていた。
思い思いに気を巡らしているらしかった。
その沈黙はやはり思いが、そこに絶望は感じられなかった。
いやあるにはあるが、その絶望と闘う意思があった。
まず、杏子が笑い飛ばした。
「あたしは魔女になるつもりもないし、これからもやりたいようにやるだけさ」
自身と集まった他の三人を激励するような言い方でもあった。
「わたしも魔女になることはないわ。まあ、なるとしたら一番最初でしょうけど、その時は遠慮なく倒しちゃって」
後ろ向きな言い方になっているが、そこに絶望は感じられない。
「マミさん。魔女になるかも、なんて冗談でも言わないでください」
それを聞いたまどかは悲しそうに言った。
「でも、魔女になったらわたしが倒してあげます」
とも、続けた。

まどかの言葉を聞いた杏子が大げさに言った。
「おい、聞いたかマミ。こりゃあ絶対魔女になれなくなったな」
「全くね」
「その意気ですよ、マミさん。でも、どうして?」
まどかは不思議そうにしている。
マミが杏子を小突いて促した。
「あたしは魔女と真剣をやることはできる」
「うん」
「でも、まどか。そんなあたしでもこの世で真剣をやりたくない人間が一人だけいる」
「――」
「鹿目まどか、お前とだけは闘うのはごめんなんだよ」
「――」
「たとえ魔女になった後だとしてもな」
そう言って、杏子はまどかと真剣を闘ったことを思い出した。
あのときは本当に殺されるかもしれないと思った。
まるで別人のようだった。
肉体の底にあるドロドロとしたものが表に出ていた。
あるいは、まどかが杏子の本当の気持ちを気付かせるために、杏子のありったけを受け止めたことがあった。
その肉体で語る行為をまどかはプロレスと呼んでいた。
十分かそこら杏子は、全力で打ち込んだが、まどかはけろりとしていた。
魔女をも超える恐ろしいタフネスであった。
それ以上に、自分から殴られるまどかが恐ろしくもあった。
底が知れない女であった。
「それは光栄だね」
まどかはさらりと言ってのけた。
「ったくもう。ホント、調子狂うよな…」
「でもそういう所、鹿目さんらしいわね…」


「どうやら大丈夫らしいわね」
「ああ。でも何でお前はそんなことを知ってたんだ?」
杏子が言う。
「実はそれを含めてまだ話がある」
ほむらが応えた。
「あなたたち、わたしが違う時間軸からやって来たってこと、言ったら信じるかしら?」
「どういう意味だ?」
「つまりわたしは未来から来たってことよ」
「なに!?」
杏子が驚愕した。
マミも杏子ほどではないが、驚いている。
二人とも驚いてはいるが、その事実はすとんと胸に落ちていた。
不思議と納得していた。
そんな中でまどかだけが落ち着いていた。いや、それどころか何もかも知っている様子にも見える。

「やっぱり、そうだったんだ」
まどかは一人で頷いている。
「じゃあ、わたしがほむらちゃんに会ったことがあるって思っていたのは偶然じゃなかったんだね」
「…そうなるわね」
「この町を救うためにありがとうね」
ほむらはそう言うまどかに感情の籠った目を向ける。
「違う。わたしが救いたかったのは…まどか、あなたよ」
苦しそうにほむらは言った。
「でも結局、今まで何もできなかった。何回も繰り返したのに、ただの一度も助けてあげられなかった」
そう言いながらほむらはまずいなと思った。
本当ならもっと感情を込めずに話を進めるはずであったのに、感情が高ぶっていた。
まどかは笑って応えた。
「そんなことないよ。たぶん、ほむらちゃんが繰り返してくれたから、わたしは今回強くなれたんだって思うんだ」
それを聞いたほむらの感情がさらに高ぶった。
「なおさらいけないじゃない。わたしのせいであなたの生き方も変わったのよ!」
ほむらはまどかの内にある獣のことを言っていた。
このときほむらにはある考えが生まれた。
ほむらが繰り返すことによって残った無意識の記憶がまどかに強くなることへの欲求となり、結果としてまどかの心に獣が住み着くようになったというものである。
まどかが強くなりたいと思ったのがほむらのせいだというのなら、まどかの心に獣を作った元凶は自分ということになる。
それはほむらにとっておぞましい考えであった。
「いいんだよ、ほむらちゃん。わたしは今の自分が好きなんだから」
「でも、今回だってあなたに頼ってばかりで何もできなかった」
そう言ってほむらは今までのことを振り返った。
マミが死ななかったのだってまどかが率先して魔女を倒したからだし、杏子を説得して見せたのもまどかである。
さやかが魔法少女にならなかったのも、恭介がまどかに憧れたからである。
なにより、まどかが救いを必要とするほど弱い人間ではなかった。
なにもできていない。
ほむらはそう思っている。
今までの後悔の積み重ねが噴き出していた。

「うれしいよ」
まどかの優しい声だ。
優しいが深い声でもあった。
ほむらから噴き出たものを飲み込んでしまいそうな声であった。
「わたしのことをそんなにも思ってくれるなんて…うれしいよ、ほむらちゃん」
ほむらがたじろいだ。そのたじろいだほむらの肩に手を掛ける者がいた。
「良かったじゃないか」
ほむらが向いたその先に、杏子の視線が合った。
「まどかはお前のことが好きなんだよ」
もう片方からマミが手を掛けた。
「この闘いが終わったらいくらでも鹿目さんの力になれるわ」
マミが続けた。
「だから今はワルプルギスの夜のことだけを考えましょう」
そこまで聞いてようやくほむらは落ち着いたようだった。
いつもの超然とした雰囲気が戻っていた。
「そうね」
そう言ってから、ほむらは自分が未来から来たと告げたことを思い出した。
自分の言ったことがどういう風に受け取られたのか、気になったほむらは口に出した。
「そう言えばあなたたち二人はどう思っているの?」
マミと杏子が言った。
「あなたが未来から来たというのなら魔法少女の秘密に知っているのも、ワルプルギスの夜が来ることを知ってることも頷けるわ」
「統計って言ってた意味もよく分かったよ」
マミがばつが悪そうにほむらを見た。
「前にもこのことを言ったことがあるのよね?」
「ええ」
ほむらは静かに頷いた。
「ごめんなさいね」
「なぜ謝るの?」
「わたしはきっと耐えれなかったと思うから」
「いいえ、大丈夫よ。それより――」
「――」
「あなたが今回耐えてくれたことがうれしい」
「――」
「先のあなたじゃないけど、ワルプルギスの夜を倒せればそれでいいわ」
ほむらがそう言うと、また、沈黙があった。

ぬう――。
まどかの呻き声があった
何かを凝視しているように見える。
何があるのか、そう思ってまどかの凝視する先を見るとキュゥべえがいた。
「お邪魔するよ」
そう言うキュゥべえにまどかは声をかけた。
「さっきから聞いているから知っているだろうけど、わたしは魔法少女にはならないよ」
「ああ、知っているとも」
「――」
「ほむらがどうして魔法少女をやっているのか、謎が解けたよ。ほむらとは契約した覚えがなかったし」
「ふん」
「まあ、ワルプルギスの夜をどうにかなるだろう」
キュゥべえは独り言のように話している。
「でも、本当にすべてが終わったと言えるかな。ワルプルギスの夜以上に厄介な者がいるって言うのに…」
「黙れ――」
杏子が槍を向けていた。
不思議なことにソウルジェムから槍が飛び出しているのである。
切っ先はキュゥべえの眼前にあった。
「やめなさい」
ほむらは言う。
「そいつが何を企んでいたとしても、ワルプルギスの夜を倒すだけよ…」
「――」
「消えなさい」
「やれやれ。どうやら歓迎されなかったみたいだね」
そう言ってキュゥべえが背を向けた。
「待って」
「どうしたんだいまどか」
「その子って、あの白い髪の女の子?」
キュゥべえは勢い良く振り返った。
「なんだ。君、祭囃子白夜に会ったのか」
「へえ、そういう名前の子なんだ」
「名前聞いてたかい?」
「ううん。初めて聞いたよ」
それを聞いてほむらは眉を顰めた。
まどかが嘘をついていたからである。
しかし、すぐにそれをやめた。
恐らく、まどかはキュゥべえを信用してないということだろうと思った。
まどかはキュゥべえを信用していないから、わざわざ名前を出さなかったのである。
逆に名前を出さないで、キュゥべえとまどかの思っていた名前が一致したのなら本当のことを言っている可能性はずっと高くなる。
つまり、わざとキュゥべえに名前を言わせるために嘘をついたのである。
「もっとも、僕もその白夜のことはよく分かっていないんだけどね」
「そうなんだ」
「ただ、得体の知れない存在としては知っている…」
「――」
「じゃあこれで、僕は失礼するよ」
そして、今度こそキュゥべえを引き留める者はいなかった。
キュゥべえがいなくなってからマミと杏子に白夜について説明した。
「なるほど。敵になったら厄介だな。でも、悪い奴ではないな」
「鹿目さんとの立ち合いが望みなのよね?」
「勝てるのか?」
「絶対に勝つとは思えない」
「じゃあ、負けるのか?」
「負ける気はしないよ」
まどかは続けた。
「白夜ちゃんに負けないための練習があるんだけど、手伝ってくれるかな?」
まどかが微笑を浮かべて言った。





翌日の早朝。
公園に三つの人影があった。
まどかと恭介がトレーニングをしている。
とくに恭介は念を入れて肉体を鍛えている。
それをさやかが見ている。
早朝の大気の香りがしていた。
――そこに三人の少女が加わってきた。
昨日のメンバーであった。
「おはよう」
まどかが言うと三人は寝ぼけ眼で返してきた。
「大丈夫だよ。動いている内に眼は覚めてくるよ」
笑い声をあげながらまどかは言う。
「じゃあ、始めようか」
それを聞いたマミと杏子が魔法で武器を出した。
マミはマスケット銃を、杏子は棒を、手に取って構えた。
ほむらも杏子からを棒を受け取った。
「本気で来てね」
そう言うまどかに、三人がそれぞれの武器を、まどかの身体に打ち込んでいった。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.047364950180054