<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

その他SS投稿掲示板


[広告]


No.28140の一覧
[0] 餓狼少女まどか☆マギカ 【完結】[クライベイビー](2013/08/15 00:31)
[1] 餓狼少女まどか☆マギカ―1―[クライベイビー](2011/06/27 04:25)
[2] 餓狼少女まどか☆マギカ―2―[クライベイビー](2011/06/07 16:39)
[3] 餓狼少女まどか☆マギカ―3―[クライベイビー](2011/07/03 14:17)
[4] 餓狼少女まどか☆マギカ―4―[クライベイビー](2011/08/07 00:11)
[5] 餓狼少女まどか☆マギカ―5―[クライベイビー](2011/08/09 21:03)
[6] 餓狼少女まどか☆マギカ―6―[クライベイビー](2011/08/11 19:11)
[7] 餓狼少女まどか☆マギカ―7―[クライベイビー](2011/08/27 23:43)
[8] 餓狼少女まどか☆マギカ―8―[クライベイビー](2012/02/11 08:53)
[9] 餓狼少女まどか☆マギカ―9―[クライベイビー](2012/01/01 13:46)
[10] 餓狼少女まどか☆マギカ―10(修正)―[クライベイビー](2012/06/16 11:26)
[11] 餓狼少女まどか☆マギカ―11(ほとんど修正)―[クライベイビー](2012/04/23 15:23)
[12] 餓狼少女まどか☆マギカ―12―[クライベイビー](2012/04/23 12:17)
[13] 餓狼少女まどか☆マギカ―13―[クライベイビー](2012/06/16 17:38)
[14] 餓狼少女まどか☆マギカ―14―[クライベイビー](2012/09/19 06:18)
[15] 餓狼少女まどか☆マギカ―15―[クライベイビー](2012/10/15 17:32)
[16] 餓狼少女まどか☆マギカ-16-[クライベイビー](2013/08/26 06:47)
[17] 餓狼少女まどか☆マギカ―17―[クライベイビー](2013/08/06 18:14)
[18] 餓狼少女まどか☆マギカ―18―[クライベイビー](2013/08/15 00:33)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[28140] 餓狼少女まどか☆マギカ―10(修正)―
Name: クライベイビー◆2205aff7 ID:86f2e92d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/06/16 11:26
不思議な空間であった。
窓にはピンクのレースのカーテン、そこらには動物やキャラクターを象ったぬいぐるみがある。
これだけを見れば、いかにも少女らしい部屋だと思うであろう。
しかし、少女の部屋と言い切るには難しい、異物があった。
ハンドグリップやダンベル、という訓練用器具が無造作に転がっている。
少女らしい部屋には本来、存在しないはずの異物たちには、異様な存在感があった。
その異様な存在感が、その空間の調和というものを断ち切っていた。
その訓練用器具のひとつ、銀色でかなりの大きさのあるダンベル、に部屋の主の足が掛けられた。
押さえつけられたそれが、みしみしと音を立てる。
「しゅっ」
それが鋭い呼気とともに、勢いよく跳ねあがった。
部屋の主は宙に浮いたそれに桃色の髪をなびかせながら、拳を下から上に放つ。
拳を受けたダンベルが、勢い良く回転しその場にとどまる。
さらに、肘、膝、足、指といったあらゆる部位がダンベルに叩き込まれ、すさまじい回転とともにダンベルが宙のただ一点にとどまり続ける。
どれほど経っただろうか。
唐突にそのダンベルが掴みとられた。
握られた手からは、その回転を殺すときの摩擦によって、白い煙が立ち上っている。
それを見て主は言う。
「まあまあかな…」
先ほどの鋭い動きには似合わない、凛としていて可愛らしい声である。
ベッドに腰をかける。
少女は物思いにふけっているようである。
その少女はまどかであった。

まただ。
まどかは思った。
またあの夢を見ていた。
舞台はまどかの住んでいる町だ。
空には暗雲が立ち込めている。
見慣れた街を超大型の魔女あろうものが破壊し、それを食い止めるべく魔法少女が戦っている。
まどかはその魔法少女が誰かを知っていた。
ほむらである。
そして、それをまどかが見ている。
その夢の中のまどかを外から、眺めているのだ。
夢の中のまどかは、見ることしかできない。それを本能的に悟っていた。
それを歯痒く思う。
例え、夢であっても見慣れた町が破壊されていくのは悲しかった。
そして、悲しみながらも拳を叩きこみたいとも思っていた。
しかし、それ以上に奇妙な感覚があった。
前にも見たことのある光景だと思ったのだ。
それは前回夢で見たからというわけではなく、その夢を見る以前にどこかで見たのではないのかとさえ思えた。
そこにあの白い獣、キュゥべえが現れた。
キュゥべえは夢の中のまどかに言った。契約すれば、この街も、あの少女も、助けることができると。
夢の中のまどかがそれを信じて、キュゥべえと契約をかわそうとする。それを、止めようと叫ぶ者がいることに夢を見ているまどかは気がついた。
ほむらが、夢の中のまどかにやめろと叫んでいる。そこにいつもの、大人びたほむらはいない。しかし、夢の中のまどかは気がつかない。
そしてまどかは――、目を覚ました。

あの夢のことが気になっている。
すでに忘れたはずの夢であった。
あの夢を見てから身体に妙なうずいたのである。
今も胸の高鳴りが止まらない。
その胸の高鳴りがなぜ収まらないのかが分からない。

なぜ、ほむらと似た魔法少女が出てくるのか。
なぜ、ほむらは契約をしようとする自分を止めようとしたのか。
なぜ、自分があの風景の中にいたのか。
その全てが夢だから、で片付くものかもしれない。
しかし、それにしても魔法少女を知る前にもこの夢を見たことを考えると、それだけではないかもしれなかった。
何よりそれ以上にほむらから聞いたワルプルギスの夜とあまりにも似ていたのである。



冷たい風が吹いている。
身体の芯にまで染み込む寒さがある。
十月、太陽が出ていれば温かさもあるが、太陽がまだ出ていない早朝はだいぶ寒い。
木々には紅く色を付けた葉もちらほらとある。
その中をまどかは公園に向けて走っている。
その走っている最中、自分の周りのことをふと思った。
思えばこの世界の表に出てこない、ほとんど裏の事情について知った時はまだ暑さが残っていた。
それからもう一か月が経っている。それを気温の変化というもので感じると、何か感慨深いものがあった。
魔法少女たちとは仲良くやっている。
マミの家にはたびたびケーキを食べに行き、ほむらも何か隠し事をしていること以外では仲良くしている。
杏子はあのプロレスの後、本格的に見滝原市で魔女狩りをしている。
マミとほむら、そこに杏子が加わってからは、にぎやかになったと思う。
恭介とさやかにも大きな変化があった。恭介はまどかに格闘技を教わることになった。
その恭介がつい先日、ある気配をまとっていた。人を殺すことのできる技を持っていれば、自然と纏う気配である。
「ありがとうございます」
早朝に、顔を合わせた瞬間に恭介が頭を下げた。まどかの教えた技で使い魔を倒した。その礼であった。まどかは照れて頭を上げるように言うが恭介は聞いていない。
それを咎める者があった。さやかである。そして、そのあとすぐに―――
「あたしたち付き合うことになったんだー」
と、顔を赤らめる。
面喰ったまどかであったが、とりあえずは祝福していつも通りトレーニングを始めた。その日は、まどかだけいつもより若干長く走った。まどかなりの気の使い方であった。
そういうことを思い出しているといつもの公園に近づいてきた。
恭介とトレーニングをするようになってからは、いったん公園で恭介と待ち合わせをすることになっている。

ぞわり―――、とまどかの全身の毛が逆立った。
殺気にまどかの身体が自然に反応している。
あの魔女の気配である。
しかし、今まで感じたどれよりも洗練されている。
まるで日本刀のようである。
まどかはその気配に向けて走り出した。
胸が高鳴っていた。
メールを打つことすら忘れていた。
まどかは気がつくと、魔女の結界の中にいた。

まどかは歩いている。
結界の中ではさらに殺気は強くなった。
その殺気の感じるほうに歩いている。
そして、まどかはどうやら先に誰かが侵入しているらしいこと、に気がついた。
まどかの足元には使い魔達の死体が、転がっている。
その全てはなにか鈍器で殴られたように、身体の一部が陥没していた。
まどかの知っている魔法少女には鈍器を使う者はいない。つまり、まだ知らない魔法少女が闘っているということになる。
まどかは加勢するために、さらにスピードを上げた。
そして、まどかは結界の最深部にたどりついて、息を呑んだ。
そこでは魔女と一人の少女が対峙していた。
魔女は身体を薄い金属で覆ったような質感、を持っていた。
2メートルはあるように見える。
なかなかに堅そうな人型の魔女であった。
しかし、まどかが息を呑んだのは魔女ではなく、少女の身体を見たからである
白髪の少女であった。
髪と同じ白のタンクトップを着ている。
身体の厚みも身長もまどかと同じくらいであった。手はその爪の先まで鍛えられている。
きれいな顔立ちであるが、何か怖いものがその中にあった。
その少女が炯々と目を光らせている。
視線で魔女を射抜いているようだった。
その視線にひるんだように、魔女が間合いを詰めた。
金属の質感を持った拳が振るわれる―――その拳に近づくものがあった。
少女の拳である。
丸い石のようなころりとした拳だ。
金属と自然石がぶつかった。
魔女の指が本来曲がらない方向にねじ切れる。
魔女はあっけにとられて自分の手を見る。
それに構わず少女は蹴りを魔女の頭部に叩き込んだ。
魔女の頭部が陥没する。
少女が魔女を警戒しながら、距離をとる。
そうしてしばらくすると、魔女が消え、元の風景に二人だけが残された。



少女を見る。
まどかと同等の肉体を持っている。まどかは同年代の同姓でこれだけの肉体を見たことがなかった。
まどかの肉体が少女を警戒していた。
そして、対峙して初めて分かった。
少女はほむらに似ているのである。
まどかがそう思った時、少女のほうから声を掛けてきた。まるで、鈴を転がしたかのような声である。
恋焦がれた男に囁くよう女のように少女が言った。
「まどか、会いたかったよ…」
「どうしてわたしの名前を知っているの!?」
「名前だけじゃない。まどかのことなら全部知っているんだ」
まどか以上にね、と付き足してまどかに近寄ってくる。
「まどかはワルプルギスの夜と闘る」
「そこまで知っているの…」
「でもね、真の敵はあいつなんかじゃない」
まどかの間合いのぎりぎりの外で少女は止まった。
「このあたしだよ」
少女はまどかをあの炯々と光る眼を向ける。まるで刃物のようであった。
「あと、魔法少女の代償について、なにより、ほむら自身のことを聞いておくことね。それはきっとまどかの力になる」
「どういうこと?」
「あたしはより強いあなたと素手でやりたいだけ。拳に乗せる思いはあればあるほどやる気は出るでしょう」
少女は拳を作って見せた。
「それじゃあ――」
「待って」
少女が背を向ける。その背をまどかが引きとめた。
「名前を教えて欲しい」
ぴたりと止まった。そして、
「祭囃子(まつりばやし)…白夜(はくや)」
少女が言った。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.028213024139404