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No.27528の一覧
[0] 【ネタ完結】私設武装組織ソレスタルキュービーイング(ガンダム00+キュゥべえ)[気のせい](2011/10/02 14:33)
[1] QB「皆僕のつぶらな瞳を見てよ!」[気のせい](2011/05/04 18:36)
[2] 変わりすぎるかもしれない世界[気のせい](2011/05/04 19:19)
[3] QB折衝[気のせい](2011/05/04 19:15)
[4] 僕に仕事を下さい[気のせい](2011/05/04 23:14)
[5] 管制官「こんなの絶対おかしいよ」[気のせい](2011/05/05 18:25)
[6] QBキャンセル[気のせい](2011/05/06 17:49)
[7] 次出たらぶん殴る[気のせい](2011/05/06 17:49)
[8] QB「本話の存在は了承されたよ」[気のせい](2011/05/08 17:24)
[9] 人革連「罠が仕掛けられない……だと」[気のせい](2011/05/08 17:51)
[10] QB「アレルヤ・ハプティズム、君の出番は余り必要性が無いよ」[気のせい](2011/05/08 18:45)
[11]  計 画 通 り[気のせい](2011/05/08 21:56)
[12] 金ピカ大使「私の頭の上にエンジェルの輪が見えるようだよ」[気のせい](2011/05/11 12:45)
[13] QB「もう少し我慢しててよ」[気のせい](2011/05/22 14:55)
[14] 三位一体「出番は?」 紫HARO「ネェヨ! ネェヨ!」[気のせい](2011/05/18 23:01)
[15] 三陣営首脳「我々って、ほんとバカ」[気のせい](2011/05/18 23:32)
[16] スメラギ「死相が見えるようだわ……」[気のせい](2011/05/21 16:01)
[17] 紅龍「浴室は無かった事にしよう」[気のせい](2012/05/30 18:52)
[18] 刹那「戦っているのか」 MS「戦っているわ」[気のせい](2011/05/23 21:11)
[19] MS「タダ飯! タダ飯!」[気のせい](2011/09/30 09:00)
[20] イアン「美人ならおk」 リンダ「あなた?」[気のせい](2011/09/30 09:03)
[21] サジ「ちゃんとご飯食べてる? 朝御飯食べないと力でないよ。育ち盛りはしっかり食べないと成長に支障が出たりするし、いくらナノマシンあるっていっても」[気のせい](2011/06/17 16:00)
[22] アレルヤ「刹那、それがGNタクシーの力だ!」[気のせい](2011/06/24 15:20)
[23] ロックオン「ハロ、Sレベルの秘匿義務って何かあったか?」[気のせい](2011/09/30 09:04)
[24] QB「CBの戦いはこれからだよ!」[気のせい](2011/06/30 23:47)
[25] QB「正しく2nd始まるよ!」[気のせい](2011/07/16 17:46)
[26] そんな機体名で大丈夫か。[気のせい](2011/07/22 23:25)
[27] 頭に……響くんだよォッ!![気のせい](2011/08/04 13:12)
[28] ヒリング「あたしの出番よ!」[気のせい](2011/08/30 13:32)
[29] 私マリナ・イスマイール。[気のせい](2011/08/21 04:05)
[30] トレミー「俺TUEEEEEEEE!」[気のせい](2011/08/30 15:58)
[31] ルイス「サジィ!」 サジ「ルイスゥ!」[気のせい](2011/09/22 21:10)
[32] アレルヤ「この期に及んで僕だけ原作イベントなのはどういう事なんだろうね……」[気のせい](2011/09/24 22:00)
[33] ミレイナ「アーデさんアーデさん! お話しして下さいですぅ!」[気のせい](2011/09/25 22:04)
[34] ELS「やあ」[気のせい](2011/09/30 09:07)
[35] ELS「待ってよー!」[気のせい](2011/09/30 08:51)
[36] 刹那「ネ申!」[気のせい](2011/09/30 09:35)
[37] ラッセ「なあ……最初から刹那だけテレポートすりゃ良かったんじゃないのか?」 スメラギ「それは言わない約束なの。でないと私達の出番無いわよ?」[気のせい](2011/10/02 19:25)
[38] 【小話】ミレイナ「魔法少女についてどう思うですか?」 スメラギ「これだから思春期は……」[気のせい](2012/03/16 23:13)
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[27528] ELS「やあ」
Name: 気のせい◆050021bc ID:899ac1f2 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/09/30 09:07
―プトレマイオス2・作戦立案室―

「エウロパに異星生命体……?」
 地球圏に接近するエウロパに関するQBの話を聞かされたスメラギ・李・ノリエガがモニターに映るリボンズ・アルマークに向かって呟いた。
[どうやらそうらしい。どんな生命体なのかは現段階では殆ど分からないが、一つ分かるのはエウロパで近づいてきている以上、QBのようにどこからともなく現れたり消えたりはしないという事だろう]
「本当に……殆ど分からないようなものね……。QBが既に最低限の事をしたというのも気がかりだし……」
 スメラギが顎に手を当てて言うと、ティエリア・アーデが言う。
「順当にQBの利益を考えれば、異星生命体が地球を襲うという構図は魔獣の増加原因になりえる。QBが自らその異星生命体を地球圏に導いた可能性も否定はできないが……」
[それは次にQBが現れた時に聞くしかないね。QBは彼らが来てしまったと言ったが、まだ敵性があると断定するのは早い。QBが僕達のミスリードを狙っているだけの可能性もある]
「そしてQBのせいで逆に難しく考えすぎてしまわないようにも気をつけないと深みにはまってしまうかもしれない……」
 そうスメラギが呟いて、三人は大体全部QBのせい、と思った。
[いずれにせよ情報の集まらない今、第五世代とプトレマイオス3の完成を進めるよ]
「そうね、分かったわ」
 そこで通信は終了した。
「エウロパが地球圏に到達した時が問題だ」
「エウロパの動き方次第によるけど、迂闊な対応方法を取るのは危険ね。ヴェーダと連携してできるだけ対応パターンを考えておくわ。それまでは通常の活動を続けましょう」
 スメラギとティエリアは頷いた。

 そして、その言葉通り、CBの活動は継続して行く。
 人革領・広栄地区のレアメタル採掘基地へ、武装集団による制圧作戦が行われるとの情報がヴェーダから伝わり、速やかにスメラギがミッションプランを立案した。
 ブリッジにて、クリスティナ・シエラが報告する。
「ダブルオーライザー、0023をもってファーストフェイズを開始します」
「了解よ。刹那、頼むわね」
 スメラギがそう刹那・F・セイエイに通信を入れた。
[了解。これより広栄地区のレアメタル採掘基地への武力介入を開始する。刹那・F・セイエイ、作戦行動を開始する!]


CBのガンダムは圧倒的性能を誇りながら、その活動以来そのスタンスとQBの介入もあって、各軍のエース級パイロットはその数を実質減らしていないと言っても過言ではない。
かつてのフラッグファイターは全員現役、AEUのエースパイロットも然り、人革連の超武においても同様であった。


―UNION領・ソルブレイヴス地上基地―

 基地内の通路を歩きながらビリー・カタギリが驚きまじりに言う。
「しかし、GNドライヴを二基搭載した機体を皆乗りこなすなんて流石だよ。初期開発段階では一基の予定で、二基搭載型は指揮官用として検討していたんだから」
 不敵な表情でグラハム・エーカーが言う。
「その程度、大した障害でもない。ガンダムが二基搭載している以上、乗りこなせないなどと言っていられない。それに聞いたぞ、カタギリ」
「何をだい?」
「イノベイターパイロットはブレイヴを以てしても『この際ガンダムにでも乗りたいですね』と言ったそうだと」
 やや憤慨してグラハムが言うと、カタギリが苦笑する。
「ああ、その話か。君は本当にいつも耳が早いね。まあこういうのも悔しいけど、確かに彼らの能力はガンダムレベルでないと本領を発揮できそうにないのは事実だからね」
「イノベイターか否かが、MSパイロットとしての能力差を絶対に分かつものではないと敢えて言わせてもらおう」
 グラハムは目を閉じて言った。
「……そう言ってる君はいずれイノベイターになりそうだよ。イノベイター云々以前から君は常識離れしていたし、あの情報が流れた時は僕はすぐ君がイノベイターなんじゃないかと疑ったぐらいだ。思い当たる節が多すぎてね」
 言ってカタギリは両手を広げた。
 鋭い心眼、異様に当たる直感、高Gにも耐えてみせる強靭な体、空間認識能力、状況判断能力、元から十分高いグラハムはQBのイノベイター情報発表当時、真っ先に周囲からイノベイターの疑惑を持たれたことがあった。
「それは誉め言葉と受け取っておこう。ところでカタギリ、ガンダムとその母艦のあのオールレンジ兵器、開発は進んでいるか」
 カタギリが首を振る。
「進んではいるけど、まだ実用には難しいね。正直一つでもいいから取って来て欲しい所だよ。君は感情が乗っているなんて言ってたけど、イノベイターに言わせると脳量子波で操作しているというのだから驚きだ。そんな技術、脳量子波研究の一番進んでいる人革でも未知の領域だからね」
 グラハムが部分的に反論する。
「だが、脳量子波を抜きにしても機械的な動きをしている物はプログラムで制御しているのだろう」
「どっちにしても、あんな制御技術、見本があるからといって早々開発はできないよ。まずCBとは製造上の基盤が違うだろうし、今試作型の実験をしているのもかなり大型だ。もちろんCBも最初は大型な物を最初に開発して小型化していったんだろうけどね」
 グラハムが唸る。
「……確かに、アレの一つでも取ってきた方が早そうではあるな」
「しかし、ガンダムの身持ちは堅いよ」
「それは私の台詞だ」
 カタギリは、はは、と笑う。
「それは失礼。とはいえ、ブレイヴが完成したものの、中東圏へのCB討伐作戦は現状凍結継続と軍上層部が決定してしまっているから鹵獲する機会は、偶然交戦する事になった時だけだけどね」
「中東国家群の経済、治安共にCBが観光目的となって改善し、最早欠かせないものにすらなっているのは皮肉だが……悪くはない。惜しいが、我々は我慢しよう」
 やれやれ、とカタギリは言う。
「そうだね。残る機会といえば……都市部へのガンダムのGN粒子散布に対し、領空侵犯で防衛に出るのが正当とは言え、そもそも物理的に攻撃する意思が皆無なのは明らか、加えてガンダム自体は高度上空を高速で通り過ぎるせいで……色々複雑としか言いようがないねぇ……」
「全くだな」
 そこへグラハムの持つ端末に通信が入る。
「私だ」
[グラハム・エーカー少佐、司令がお呼びです。至急お越しください]
「了解した」
 言って、端末の通信を切った。
「何だろうね。……僕は先に行かせてもらうよ」
 カタギリは不思議そうな表情で言い、グラハムと別れた。
 グラハムは司令室で、ソルブレイヴス隊への任務に関する説明を受ける。
 全ての始まりはUNIONの高軌道ステーションの観測所で木星から放出されている木星電波の波長に変化の発生が確認されてから。
 その後、観測班は更に地球圏に飛来してくる物体を確認、データと照合した所、有人木星探査船エウロパの残骸だと判明。
 船の破損状況から、隕石か何かが衝突して針路が変わったと推測されたが、実際そうであるとしたら何億分の一の確率である。
 そして、これが観測所から政府と軍に伝わり、
「地球圏に接近する過去の探査船……」
 今に至る。
「質量が大きい為、ミサイルによる軌道変更作戦を行うが、対象の移動速度は非常に高速との情報だ。それに伴いMS隊も同行させる事になった。速やかに宇宙へ上がってもらいたい」
「はっ! グラハム・エーカー少佐、ソルブレイヴス隊、これより任務遂行に取り掛かります!」
 グラハムは敬礼し、ソルブレイヴス隊は宇宙での木星探査船撤去作業への任務に着任する事となる。


―プトレマイオス2・ブリーフィングルーム―

 ミレイナ以外の乗員全てがブリーフィングルームに集まり、モニターはコロニー型外宇宙航行母艦CBと繋がっていた。
「で、スメラギさんよ、こんなに集めるなんて珍しいが何の話だい?」
 ロックオンが尋ねた。
「……とても重要な話をするわ。地球圏に接近している有人木星探査船エウロパの件よ」
「国連軍が撤去作業に動き出したというあれですね」
 クリスティナが言った。
「ええ。そして、問題なのは、エウロパには異星生命体がいるらしいという事なの」
 スメラギは頷いて腕を組んで言った。
「何だって?」「えっ!?」「異星生命体?」「マジっすか」「おいおい」
 皆が驚く中、刹那、ティエリア、アレルヤ・ハプティズム、加えてイノベイド達は沈黙を貫いた。
 そこへ、リボンズがモニターを介して言う。
[ただ、これはQBから聞かされた話だ。先行調査に向かったフェレシュテからの報告では船体スキャンを掛けた結果、生体反応は無かったんだ]
「え?」
 フェルトが声を上げたが、リボンズが続ける。
[だが、QBが嘘を吐いていない前提で考えれば、既存の技術で生命体を発見できないと考えるのが妥当だ。動力も無く真っ直ぐ地球に向かっているのは自然現象ではありえない]
 急速に場は真剣な空気になっていく。
「そう。……考えられるのは幾つかあるけれど、今リボンズが言った通り発見できないだけでエウロパの中に未知の力を持った生命体がいる可能性、そしてQBの言う異星生命体が直接エウロパに乗っているのではなく遠隔操作している可能性、このうちのどちらかの可能性が高いと私は考えているわ」
「なるほどな……」
 ロックオンが呟いた。
「いつぞやに聞いた来るべき対話って奴か」
[その通りさ]
 ラッセの発言にリボンズが答えると、ロックオンが尋ねる。
「ちょっと待った。QBがエウロパに異星生命体がいると言い出したって事は、QBは異星生命体の事を知ってるんだろう。だったら」
 全部言い切る前にティエリアが口を挟む。
「QBは我々を試している。同時に、何かを企んでいると見て間違いない」
[QBはこう言ってすぐに消えたよ。『これは君達人類の問題だ。僕らの力を借りなければ、未知との遭遇を乗り越えられないと言うのなら、人類はそれまでだ。僕らは最低限の事は既にした。人類が最悪滅ぶようなことにはならないから安心してよ』とね]
 リボンズの説明に皆呆れる。
「何それ……」
「何なんだ一体。ったく、QBの奴……」
「しかももう何かした後なんすね……」
「訳が分からないな」
 微妙な沈黙の後、アレルヤが口を開く。
「それで、どうするんです。これから宇宙に上がるんですよね」
 スメラギが頷く。
「もちろん、そのつもりよ。国連軍は軌道変更を行うつもりだけど、私達は異星生命体だと知っている以上、それにただ任せてはおけないわ」
「対話を試みる必要がある」
 沈黙を貫いていた刹那が低い声で言った。
「刹那」「刹那……」
 スメラギはゆっくりと頷く。
「……刹那。ええ、そうね。行きましょう」
 そう言うスメラギの顔は決心に満ちていたが、心の底にはひたひたと嫌な予感がしていた。
 QBの「彼らが来てしまった」という発言、刹那が以前魔獣に対しては対話を失敗している事、果たして上手くいくのかどうか……と。


―月軌道外周・ヴォルガ級航宙巡洋艦―

 地球から月までの38万4400kmを優に越えた宙域を国連軍の三胴式の形状をした航宙巡洋艦三隻が航行していた。
 積載MSは計18機、全てブレイヴである。
「隊長、CBは来るでしょうか」
 ダリル・ダッジが尋ねた。
 グラハムが唸る。
「このタイミングで地上からCBの母艦が宇宙に上がったという情報、その可能性はあると見て良いだろうな」
「CBの奴ら、我々が失敗するとでも思っているんですかね」
 ハワード・メイスンが顔を顰めた。
 グラハムが笑う。
「そうだとしたら、舐められたものだな」
 概ね、MSパイロット達は保険の為であり、重要な任務とは言えある意味ただのゴミ掃除というつもりであり、対ガンダム戦に比べると余程緊張は薄かった。
 そのまま三隻の巡洋艦はエウロパの迫る進路へと向かい続け、間もなく作戦開始の時が近づく。
 艦長を務めるリー・ジェジャン中佐に、オペレーターからの報告が上がり、
「目標を望遠カメラが捕捉」
 モニターに巨大な船体をしたエウロパの姿が映る。
「船籍番号9374、船名エウロパ。130年程前に木星探査に向かった船のようです」
 ジェジャンが簡潔に指示する。
「念の為、船体内部の様子のスキャンを」
「了解」
 ブリッジ内の士官達がエウロパに対しスキャンを掛けて調べ始めた。
「生体反応、ありません」
「分かった。予定通り、プランD34に従いミサイル攻撃でエウロパの軌道変更を図る。MSパイロットには出撃準備に入るよう通達せよ」
「了解!」
 プランD34の作戦プランは至ってシンプル。
 巡洋艦三隻によるミサイル攻撃で、地球へと向かうエウロパの軌道を変えるというもの。
 エウロパは130年前に建造された船であるが、木星への長期間の航行を行う為、積んだ資材の量は膨大であり、それに伴い船体は酷く大きい。
「ミサイル一斉発射!」
「ミサイル発射!」
 命令と共に、三隻の巡洋艦から大量のミサイルが一斉に発射される。
 ブリッジのモニターにはミサイルがエウロパに命中し、爆発を引き起こす映像が映る。
「ミサイル、全弾目標に命中しました」
「探査船の軌道変更率を出せ」
「了解」
 すぐに士官達は端末を操作し、エウロパの軌道変更率を割り出す。
「なっ! 軌道変更率、予定の二割にも達していません!」
「何? ……やむを得ん、順次第二波、第三波ミサイル発射! MS隊も出撃させよ!」
「り、了解!」
 ジェジャン中佐は一瞬驚き、直ぐ様腕を振って指示を出した。
 各巡洋艦の艦底のハッチが次々に開いていく。
 グラハムはブリッジで判明した情報にギリ、と奥歯を噛み締める。
「あれだけのミサイルを被弾したというのに、ルート変更が計画の二割にも満たないとはな! ソルブレイヴス隊、目標を叩くぞ!」
 グラハム機の発進に続き、17機のブレイヴが出撃し、一気に二重円の軌跡を描きながらバーニアを噴かし、エウロパに向かっていった。
 ソルブレイヴス隊がエウロパを射程圏内に捉えるまでの間、第二波、第三波とミサイル攻撃が敢行される。
 しかし、一向に軌道は変更せず、地球圏への進路を取ったままだった。
 一隊六機ずつのV字編隊三つが高速で飛ぶ中、グラハムが声を上げる。
「一体どういう事だ……? ええい、構わん! 射程内に入った! ソルブレイヴス隊、全機、ドレイクハウリングを使用し目標を破壊するッ!」
[了解!][了解!][了解!][了解!][了解!]
 巡航形態のブレイヴの機首であるGNビームライフル「ドレイクハウリング」の銃身が即座に横にスライドして展開され、最大出力モードへと変形する。
 瞬間、銃身が甲高い音を上げて十八条の圧縮されたオレンジ色の粒子ビームがエウロパに着弾した。
 被弾部分が爆発し煙を上げるが、一射のみでは依然不足。
「各機散開! 探査船の船体各接続部を狙い、順次破壊を試みるッ!」
 指示通り、各機は散開し、エウロパの特殊な外観で見て取れる接続部を狙い、猛烈な攻撃を開始した。
 粒子ビームが当たる度、船体各所は爆発を起こして行く。
 しかし、軌道が変更する事はなく、三分が経過した時。
 Eセンサーに反応が現れる。
「この反応は……ガンダムかッ!」
 モニターには緑色のGN粒子の軌跡が映った。
 向かってくるのはダブルオーライザー、ケルディム、巡航形態のアリオス、セラヴィーの四機。
 刹那が目を細めて呟く。
「あれか?」
 何の反応も……いや!
 そこで突如エウロパが変化を見せた。
「何っ!?」
 グラハムはモニターに映る現象に驚く。
 船体外部金属表面の一部が銀色に変化して溶け出し、そこから同じく銀色の小型の漏斗状の物体が次々と現れ、ガンダムの方へと高速で飛来し始めた。
「馬鹿なっ!」「な、何だあれはっ!?」
 ソルブレイヴス隊員は一斉に驚きの声を上げるが、変異性金属体はブレイヴを無視してガンダムの迫る方角へとわらわらと湧いて出て行く。
「ッく!」
「何だありゃッ! まさか本当に!」
 ロックオンが言い、ティエリアが目を見開く。
「異星生命体!」
「これは、なら金属の生命体だとでも……うっ、ぐぁッ!」
 言葉の途中でアレルヤは強烈な頭痛を覚える。
「ッ、ぅくぁァッ! 何だ、この感覚、はッ……!」 
 そして刹那も同時に同じ症状になり、表情を歪め、瞳孔が開いたり閉じたりし始める。
 通信でその声を聞き、ロックオンが呼びかける。
「どうしたアレルヤ! 刹那!」
 しかし、二人はまともな返事をする事無く、その場から明後日の方角に急に離脱し始めた。
 ダブルオーライザーとアリオスがそれぞれ二方向に散開し、その後を急速に変異性金属体が追い始める。
「刹那! アレルヤ!」
 ティエリアも呼びかけるが、ロックオンからの通信が入る。
[ティエリア! アレルヤを頼む! 俺は刹那をっ!]
「ッ、了解した!」
 ケルディムとセラヴィーはすぐにそれぞれダブルオーライザーとアリオスの後を追い始める。
「うっ、くゥッ、何なんだ、この、感覚はッ」
 アレルヤは操縦桿を引き倒し、アリオスの速度を最速に引き上げ、二重円の軌跡を放出し、猛烈な速度で変異性金属体を引き離しに掛かった。
「これはッ……くうゥッ!」
 刹那は追跡してくる変異性金属体を必死に機体を操作し、避けながら逃げ続ける。
「ッチ! 異星生命体だか何だか仕方ない! 狙い撃つ!」
 ロックオンは痺れを切らし、迂闊に攻撃はしないようにスメラギに言われた事を頭の中から振り払い、攻撃を開始した。
 一方、訳のわからない現象を目にしたソルブレイヴス隊は慌てていたが、グラハムが喝を入れる。
「ええい、狼狽えるな! 全機、攻撃続行ッ!」
 一体何が、何が起こっている……ッ!
[り、了解!] 
 しかし、そこへ直ちにオレンジ色のGN粒子を放つ輝くガンダムが先程とほぼ同じルートから更に新たに現れる。
 四機の2ガンダム。
「プラン通り行くよリヴァイヴ、リジェネ、アニュー! トランザムッ!」
 四機の2ガンダムは紅く輝き、変異性金属体が魚の群れのように連なる川目掛けて全面開放した強烈な粒子ビームをGNメガランチャーから放ち、一気に薙ぎ払う。
 四機は各一射を終えると、ヒリング機とリヴァイヴ機はエウロパへとGNメガランチャーの急速チャージをしながら直進し、アニュー機とリジェネ機はダブルオーライザーとアリオスの後を追う形で変異性金属群を掃討しながら別れた。
[国連軍のパイロットに告ぐ! これよりエウロパの破砕を行う! 斜線軸上に入るな!]
 リヴァイヴは有視界通信を行い、グラハム達にそう指示を出した。
「何っ!? くッ、総員、ガンダムの斜線軸上から退避だ!」
 そう反射的にグラハムは通達すると、他17機は直ぐ様エウロパから離れた。
「チャージ完了。GNメガランチャー、発射ッ!」
「GNメガランチャー、行っけえッ!」
 二機の構えるGNメガランチャーは同時に凄まじい高音を上げ、高濃度圧縮された粒子ビームがエウロパの船体を両端から同時に襲う。
 中央で二条の太いビームが合わさる寸前で今度は上下にビームが別れ、エウロパの船体が十文字に切り裂かれ、盛大な煙と共に爆発を起こした。
「な、何て火力だ……」
「あれがガンダムの力……」
 その光景をモニターで見ていた、巡洋艦のブリッジでは初めてまともに目にしたトランザムモード時のガンダムの火力に唖然としていた。
 ヒリングとリヴァイヴ機は更に続けてエウロパの船体に二射のGNメガランチャーを放ち、エウロパを完全にバラバラにした所でトランザムを解除し、ある程度の大きさなった破片に対しても次々に砲撃を加えて行く。
 そこへ、ダブルオーライザーが離脱した方角の宙域で膨大な翠色の輝きが発生したのが分かった。
「ダブルオー?」
「刹那・F・セイエイ、ライザーシステムを」
 反射的にそちらの方角をヒリングとリヴァイヴは見た。

 刹那は頭痛を堪えながら、ロックオンとアニューがかなり数を減らしていた、追跡してくる変異性金属体に向けてライザーシステムを作動させていた。
「ッ、お前達は何者だっ! 何を求めてここに来たァっ! 答えろぉぉォォーッ!」
 意識共有領域に刹那の意識が跳ぶ。
 刹那は七色の雲間のような空間で落下しながら両手を広げる。
《答えてくれっ! お前達の目的はっ!?》
 次の瞬間、刹那の目の前の光景が複雑に変化する色彩を見せる。
《ッは!? うくッ!》
 一気に膨大な情報が刹那の意識に流れ込み、
《ぅ、うおぉぁぁぁァァーッ!!》
 その奔流を受け止めきれず、刹那は対話に失敗した。
「う、うぁアぁアァぁぁ――ッ!!」
 同時にダブルオーライザーに小型の変異性金属体が突撃して右腕、左足、頭部に付着し、コクピット内に叫び声が上がった。
 一旦離れるように言われていたロックオンが即座に声を上げる。
「刹那ァッ!」
 しかし先に動いたのは虹彩の輝くアニューだった。
「トランザム」
 GNメガランチャーを投げ出し、二度目のトランザムで擬似GNドライヴが焼き切れる危険性を無視して猛烈な速度でダブルオーライザーの元に接近。
 みるみる内にダブルオーライザーを侵食していく変異性金属体に対し二振りのGNビームサーベルを引き抜きそのまま鮮やかに右腕と左足を切り落とし、切断した部位はGNビットが即座に消滅させ爆発が起きる。
「フッ」
 続けて頭部には躊躇なくGNビームサーベルで突きを入れて切断し、同じくすぐに爆散させた。
「…………チッ」
 対処を終えると、アニューは小さく舌打ちし、トランザムを解除すると虹彩の輝きは無くなった。
「な……」
 その鮮やかな早業にロックオンは絶句した。
[……ダブルオーライザーを。プトレマイオスに帰投しましょう]
「あ、ああ……。流石、迅速な判断だったな」
[どうも。でも今のは私ではありません]
 その返答にロックオンは間の抜けた声を出す。
「……は?」
[気にしないで]
 リボンズが特殊能力「インストール」を行使し、アニューの意識を一時的に乗っ取って自分で動かしたのであった。
 一方、アリオスの方は機体そのものの最大速度の関係で追いつかれる事は無く、小型変異性金属体の魚群は後方からティエリアと少し遅れて現れたリジェネがGNバズーカとGNメガランチャーで掃討し切り、無事何とかなっていた。
 エウロパの対処に当たったヒリングとリヴァイヴはその場の流れでソルブレイヴス隊と協力する形で、探査船の破片で巨大な物を粗方処理し、素早く細分化した。
 後は地球圏に落ちても常識的に考えれば大気圏突入時の空力加熱で燃え尽きるであろう状態に……。
「ガンダムは行ったか……。ソルブレイヴス隊、一度母艦に帰投する!」
 グラハムは2ガンダムを見送って、そう指示を出した。


―プトレマイオス2・ブリーフィングルーム―

「まずは皆、お疲れ様」
 スメラギが刹那を除くガンダムマイスター達に労いの言葉を述べた。
「ミススメラギも、見事な戦術予報でした。意識共有領域の影響を考慮して擬似GNドライヴに換装しておいたのは正しかった」
 リヴァイヴがそう返すと、他の者達もそれぞれにスメラギに言葉を返した。
 再びスメラギが口を開く。
「さて、色々確認する事はあるけど、まずは……。モレノさん……刹那の容態を教えてもらえるかしら?」
 言って、スメラギはメディカルルームにいるモレノに通信を入れ、モニターに姿が映る。
[ああ。……はっきり言うが、脳細胞にダメージを負っている。既に脳細胞の再生処置を施してはいるが、意識や記憶に障害が残る可能性がある。治るかどうかは……イノベイターの能力に掛かっているかもしれない。今の所言えるのはそれぐらいだ]
「……分かりました」
 スメラギが返答するとモレノのモニターが閉じる。
「ライザーシステムの意識共有が失敗した上に脳細胞にダメージだなんて……。魔獣の時には無かったのに」
「刹那……」
 そこへモニターに今度はリボンズが現れる。
[その事については僕からも説明をさせて貰うよ]
「リボンズ」
[ヴェーダの判断では刹那・F・セイエイは異星金属生命体との意識共有を図った際、相手の膨大な情報を受け止めきれ無かったようだ。恐らく魔獣の時よりも一層強烈だったのだろう]
 アレルヤが言葉を繰り返す。
「膨大な情報……」
「それが受け止め切れない限り、ライザーシステムであろうと、クアンタムバーストであろうと対話は不可能だと言う事か……」
 ティエリアは考えるように言った。
[方法が無い訳ではないよ]
「……ヴェーダか」
[そう言う事さ]
 スメラギが仕切り直すように尋ねる。
「……アレルヤ、あの異星金属生命体に攻撃をせず、どうして離脱したの?」
 アレルヤは俯きがちに答える。
「……すいません、僕自身、良く分からないんです。ただ、何となく直感的に離脱するしかないと思って……」
「イノベイターとしての直感……」
 ティエリアが呟くとリジェネが口を開く。
「アレルヤ・ハプティズム、君は何かを感じ無意識に反応した。つまり、これはあの生命体自体に意思があると言う証明になる」
「遠隔操作説の線は無くなりましたね」
 リヴァイヴが冷静に言った。
 今度はティエリアが尋ねる。
「アレルヤ、呻いていたのはどういう事だ。昔、脳量子波の干渉を受けた時のようだったが」
 アレルヤは右手を腰元に上げて言う。
「……ああ。それに近いよ。あの生命体からは理解出来ない強烈な脳量子波が発せられていた。それが僕を、いや、僕と刹那の頭を刺激したんだと思う」
「やはり、脳量子波に惹かれて……」
 ヒリングが頭の後ろで組んでいた腕を降ろして言う。
「けどさ、何か不自然じゃない? 脳量子波なら人間は誰だって少なくとも微弱でも発してるし、あたしらだって使える。実際ビット使ったけど全然寄ってこなかったし」
 リヴァイヴが台詞を引き継ぐ。
「そして実際にイノベイターだけを狙った……」
 スメラギが口元に手を当てる。
「強い脳量子波にだけ惹かれる特性があるのか……それとも、最低限の事はしたと言うQBのせい、かもしれないわね。もしそうだとすれば……」
[QBの思惑はやはり魔獣に絡んでいる]
「ええ。……そういう事になりそうね」
「どういう事だ?」
 分からん、とロックオンが尋ねた。
「理解不能で強烈な脳量子波を発する異星生命体。それがもう今1000万人を越えたイノベイターに影響を及ぼすとしたら……という事よ」
 微妙な表情でスメラギは答え、ロックオンは理解した様子になり、
「っはぁ、なるほど。全く碌でもないな、QBは」
 吐き捨てた。
 そしてブリーフィングルームにため息の音が響いた。
 一同ロックオンと同意見。
 沈黙の中、それを破るようにヒリングが軽く指を立てる。
「ま、結局こーして一応片付けたし、平気じゃない? また現れたりしない限りはさ」
[脳量子波を用いる生命体という時点で、その可能性は、残念ながら大いにあるだろうね]
「げ」
「あぁ……嫌な予感しかしない……」
 この先を憂うようにアレルヤが呟いた。
 この後、プトレマイオスの乗員は刹那の回復を祈りつつ、コロニー型外宇宙航行母艦CBへと進路を取った……。


大気圏で燃え尽きず、地上に無事落下してしまう破片。
奇々怪々すぎる現象が、世界に未曾有の混乱を撒き散らす。
異星生命体との遭遇、それは異変を知らせる始まりの鐘。


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