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No.27528の一覧
[0] 【ネタ完結】私設武装組織ソレスタルキュービーイング(ガンダム00+キュゥべえ)[気のせい](2011/10/02 14:33)
[1] QB「皆僕のつぶらな瞳を見てよ!」[気のせい](2011/05/04 18:36)
[2] 変わりすぎるかもしれない世界[気のせい](2011/05/04 19:19)
[3] QB折衝[気のせい](2011/05/04 19:15)
[4] 僕に仕事を下さい[気のせい](2011/05/04 23:14)
[5] 管制官「こんなの絶対おかしいよ」[気のせい](2011/05/05 18:25)
[6] QBキャンセル[気のせい](2011/05/06 17:49)
[7] 次出たらぶん殴る[気のせい](2011/05/06 17:49)
[8] QB「本話の存在は了承されたよ」[気のせい](2011/05/08 17:24)
[9] 人革連「罠が仕掛けられない……だと」[気のせい](2011/05/08 17:51)
[10] QB「アレルヤ・ハプティズム、君の出番は余り必要性が無いよ」[気のせい](2011/05/08 18:45)
[11]  計 画 通 り[気のせい](2011/05/08 21:56)
[12] 金ピカ大使「私の頭の上にエンジェルの輪が見えるようだよ」[気のせい](2011/05/11 12:45)
[13] QB「もう少し我慢しててよ」[気のせい](2011/05/22 14:55)
[14] 三位一体「出番は?」 紫HARO「ネェヨ! ネェヨ!」[気のせい](2011/05/18 23:01)
[15] 三陣営首脳「我々って、ほんとバカ」[気のせい](2011/05/18 23:32)
[16] スメラギ「死相が見えるようだわ……」[気のせい](2011/05/21 16:01)
[17] 紅龍「浴室は無かった事にしよう」[気のせい](2012/05/30 18:52)
[18] 刹那「戦っているのか」 MS「戦っているわ」[気のせい](2011/05/23 21:11)
[19] MS「タダ飯! タダ飯!」[気のせい](2011/09/30 09:00)
[20] イアン「美人ならおk」 リンダ「あなた?」[気のせい](2011/09/30 09:03)
[21] サジ「ちゃんとご飯食べてる? 朝御飯食べないと力でないよ。育ち盛りはしっかり食べないと成長に支障が出たりするし、いくらナノマシンあるっていっても」[気のせい](2011/06/17 16:00)
[22] アレルヤ「刹那、それがGNタクシーの力だ!」[気のせい](2011/06/24 15:20)
[23] ロックオン「ハロ、Sレベルの秘匿義務って何かあったか?」[気のせい](2011/09/30 09:04)
[24] QB「CBの戦いはこれからだよ!」[気のせい](2011/06/30 23:47)
[25] QB「正しく2nd始まるよ!」[気のせい](2011/07/16 17:46)
[26] そんな機体名で大丈夫か。[気のせい](2011/07/22 23:25)
[27] 頭に……響くんだよォッ!![気のせい](2011/08/04 13:12)
[28] ヒリング「あたしの出番よ!」[気のせい](2011/08/30 13:32)
[29] 私マリナ・イスマイール。[気のせい](2011/08/21 04:05)
[30] トレミー「俺TUEEEEEEEE!」[気のせい](2011/08/30 15:58)
[31] ルイス「サジィ!」 サジ「ルイスゥ!」[気のせい](2011/09/22 21:10)
[32] アレルヤ「この期に及んで僕だけ原作イベントなのはどういう事なんだろうね……」[気のせい](2011/09/24 22:00)
[33] ミレイナ「アーデさんアーデさん! お話しして下さいですぅ!」[気のせい](2011/09/25 22:04)
[34] ELS「やあ」[気のせい](2011/09/30 09:07)
[35] ELS「待ってよー!」[気のせい](2011/09/30 08:51)
[36] 刹那「ネ申!」[気のせい](2011/09/30 09:35)
[37] ラッセ「なあ……最初から刹那だけテレポートすりゃ良かったんじゃないのか?」 スメラギ「それは言わない約束なの。でないと私達の出番無いわよ?」[気のせい](2011/10/02 19:25)
[38] 【小話】ミレイナ「魔法少女についてどう思うですか?」 スメラギ「これだから思春期は……」[気のせい](2012/03/16 23:13)
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[27528] 私マリナ・イスマイール。
Name: 気のせい◆050021bc ID:899ac1f2 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/08/21 04:05
―UNION領・経済特区・東京・JNN本社―

 JNN職員の大半が完全徹夜で迎えたCBの武力介入再開から翌日。 
「ぶ、部長! QBからのビデオメッセージが届きました!」
 血走った目の一人の職員が慌てて大声を上げると、フロアの職員達が皆ざわめき、部長がハイテンション気味に指でモニターを指差す。
「なにぃ!? すぐモニターに再生して見せろ!」
「は、はい!」
 職員がカタカタとキーボードを操作すると、フロアの壁に設置されている巨大モニターにビデオメッセージが再生され始める。
 そこに現れたのは椅子に行儀良く座るQBの姿。
[地球で生まれ育った全ての人類に伝えるよ。CBは戦争根絶の為に活動を再開する。この数ヶ月間、また君達人類は止めていた争いを始めたね。CBがいなければ、君達人類は争いを止めようとも思わないのかい? 君達人類はいつもそうだ。そうやって争いを繰り返してばかりいる事は分かっている筈なのに。僕らにしてみれば理解できないよ]
 職員達は唖然としてただただ不気味な赤い双貌をした生物が話すのを見上げる。
[僕らは何も君達人類が武力を完全に放棄することを求めてはいない。ただ、君達人類の国々の軍が正しく機能し、それで全ての争いが無くなりさえするなら、CBは武力介入をしなくて済むんだ。僕らは君達が賢い選択をする事を期待しているよ]
 メッセージ終了。
 少しして、我に返ったフロアの職員達は再びざわめき始め、このビデオメッセージを流すべきかどうか議論になったが、内容がどうあれCBの活動再開の声明として、JNNニュースで流す事となる。


―CBS-74プトレマイオス・ブリーフィングルーム―

[……武力介入をしなくて済むんだ。僕らは君達が賢い選択をする事を期待しているよ]
 ブリーフィングルームにてプトレマイオスクルーはJNNニュースで放送されたQBのビデオメッセージを無言で見た。
 ティエリア・アーデが最初に沈黙を破る。
「リボンズ・アルマーク、これはどういう事だ!」
 怒鳴られたリボンズ・アルマークは諦めの交じった様子で首を振る。
「残念だけど、僕は関知していないよ。間違いなく、QBがまた勝手にやったことだ。困ったものだね」
 そこへヒリング・ケアがティエリアとリボンズの間に入り、ティエリアにかなり近づき不快そうに言う。
「ティエリア・アーデ、リボンズに言いがかりつけるの止めてよね!」
「信用できない」
 憮然とした表情でティエリアが返した。
「それはあんたが勝手に疑ってるだけでしょ! 昨日もコソコソしてさぁ?」
「なに?」
 ティエリアの眉間に皺が寄り、ヒリングが更に挑発する。
「だって事実でしょ?」
「おぃおぃ、やめろって。お前らが争ってどうすんだよ。QBに笑われるぞ?」
 そこへ見かねたロックオン・ストラトスがため息をついて間に割って入った。
 ティエリアとヒリングが冷静にロックオンに顔を向ける。
「ロックオン、あのQBが笑う訳がない」
「そうよ。何言ってんの?」
 その冷めきった二人の表情にロックオンは、
「……確かに、ってそう言うことじゃねぇよ!」
 盛大に叫んだ。
「ロックオン……」
 ドンマイ、と微妙な空気の中心の中でアレルヤ・ハプティズムは呟いた。
 スメラギ・李・ノリエガが一応纏めるように言う。
「とにかく、QBの言い方はいつもの通りに世界の感情を逆撫したけれど、実際正論ではあるわ」
「ま、その通りだな。俺らが活動を止めた途端に世界の紛争は再開した」
 腕を組んだラッセ・アイオンが相槌を打った。
「本当にね……」
 アレルヤがしみじみと呟くと、他の面々も若干暗い顔になる。
 しかし、その空気を断ち切るように刹那・F・セイエイが真剣に口を開く。
「だから、俺達がいる」


―AEU領某国―

 外行きの服に身を包んだリリアーナ・ラヴィーニャは地下鉄の電車から降り、人の流れに混ざって地上出口に出た。
 ほんの少し周囲を見回して、タクシー乗り場のターミナルの方へと足を向ける。
「あれ……?」
 歩いていると、目線の先には、あるタクシーから降りて現れた見覚えのある人物の姿。
 リリアーナは思わず、小走りでその人物が背を向けてトランクを引いていくのに追いついて、声を掛ける。
「あの、こんにちは」
「ん」
 呼びかけられ、コートを着たその人物が振り返る。
 リリアーナを見ると少しばかり首を傾げる。
「こんにちは。……俺に、何か用かい?」
「え」
 予想していたのと違う反応にリリアーナは目を見開くが、すぐに何かに気がついたように焦り始める。
「あっ……こんな町中で話しかけるの迷惑ですよね。ごめんなさい。あの、私つい」
 困った顔で、その人物、ライル・ディランディが手で制す。
「いや、別に話し掛けるのは構わないが……俺を誰かと間違えてないか?」
「えっ……」
「俺には双子の兄さんがいてな……」
 リリアーナの口がポカンと開く。
「……じゃあホントに」
「当たりみたいだな。……しかし、そんなに似てるかい?」
 皮肉混じりにライルが尋ねると、リリアーナはみるみる顔色を変え、
「あっ、あの、人違いでした、ごめんなさい! 失礼します!」
 慌てて頭を下げ、即座に後ろを向いて一気に走り出した。
「ちょっと。って……何だアレ、速いなぁ」
 リリアーナはあっという間に人混みに紛れてしまい、ライルは驚きに目を丸くした。
 兄さんを知ってる……のか、何なんだか……。
 今どこでどうしてるのか知らないが、今の子とどういう接点が……?
 ライルは全く音沙汰の無い兄に、謎が増えるばかり。
「っと時間か」
 不意に腕時計を見ると、ライルは仕事に向かうべくトランクを引いてその場を後にした。


 場所は元々とある小さな教会であった所を改修した施設。
 そこは人知れず魔法少女達が集まり、その魔法少女によっては生活の場でもある。
 広間にはソファに座る三人の魔法少女の姿があった。
 JNNニュースの流れていたテレビが消される。
「CBの活動再開……」
 ウェーブのかかった長いブロンドの髪、外見的には20代に見える魔法少女、クロリス・エルンストが憂いを帯びた目で呟き、エプロンの裾を握りしめた。
 その呟きの一方、同じく外見的に20代に見える燃えるような赤い髪のポニーテール、やや吊り目の魔法少女、イリサ・ナルヴァは落ち着かない様子で組んでいた足を無言で組み変えた。
 十代前半の茶髪のショートカットの魔法少女、コリーン・リーベルトが弱々しげに呟く。
「わたし、正直不安だよ……。ニコラに続いてナタルまで円環の理に導かれて」
「言うな、コリーン」
「元気を出して、コリーン」
 そこへインターホンが鳴る。
 三人は揃って顔を上げ、真っ先にクロリスが立ち上がる。
「リリア」
 リリアーナは教会風の建物の門の所でインターホンを鳴らし、待っていた。
 すぐにクロリスが玄関から現れ、リリアーナは手を振る。
「しばらく振りです、クロリスさん」
「いらっしゃい」
 挨拶を交わし、リリアーナは門から中へと招かれ玄関扉へと向かう。
 現れたクロリスの表情には少し陰が落ちているように見えた。
「何か……あったんですか?」
 クロリスは玄関扉の取手に手を触れたまま停止する。
「……ナタルが、一昨日……円環の理に導かれたの」
「そんな……。この前ニコルさんが……」
「とりあえず、まずは中に入りましょう」
「……はい」
「今日はリリアが来るって皆知ってたけれど、その一昨日のせいで昨日から今いる以外四人は少し遠くに出てるの。ごめんなさいね」
「いえ、気にしないで下さい」
 二人が広間に到着すると、リリアーナはそこにいた二人とも挨拶をし、クロリスが紅茶を持って現れ、一息つく。
 紅茶の匂いで少し落ち込んでいた気分も落ち着き、ゆっくりとクロリス達は一昨日の事をリリアーナに話し始める。
「ソウルジェムの穢は問題は無かったけれど、ニコルが逝ってしまってから、それを直接見たナタルは少し精神的に辛そうだったわ……」
 クロリスに続き、コリーンが思い出すように言う。
「危なそう、って思ってわたし達も気に掛けてはいたんだけど……」
「一昨日、いつも通り魔獣と戦っていたら、魔獣を倒すのと同時に……唐突だったよ」
 イリサが言い、リリアーナは紅茶のコップの底を見るようにして声を漏らす。
「そう、ですか……」
 クロリスが手を額に当てる。
「それが私達魔法少女の宿命なのは分かってはいても、やっぱり何度見ても、見送る側は辛いものね……」
「太陽光発電紛争世代の魔法少女として乗り切って来たあたしやクロリスは平気だけど、空白の十年世代の魔法少女にはこの四年はかなり過酷だ。太陽光発電紛争世代で今生き残ってるのも当時魔法少女になった全体の一割ぐらいだろうさ」
 魔法少女の現実を認めているイリサは諦め混じりに言った。
 それを聞いて不安そうにコリーンが尋ねる。
「一割……。クロリス、イリサ、わたし……二人みたいに長生きできるかな?」
「心を強く持つのが大事よ、そうすれば長生きできるわ。生きたいと前向きに思ったり、やりたい事を考えたりするの」
 クロリスはそう言って、隣に座るコリーンの頭を撫でる。
「……うん」
 イリサがリリアーナに話を振る。
「リリアは最近はどうだ、大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。相変わらず効率悪いソウルジェムですけど」
 リリアーナが苦笑すると、クロリスが気にかける。
「本当に、リリアはそれが心配」
 続けてイリサが言う。
「いつも言ってるが、ここにはいつでも移ってきて良いからな」
「はい。後二年でハイスクールも卒業なので、もう少ししたら真剣に考えてみます。家を離れるのは何だかまだ決心が付きそうにないので……」
 14歳まで両親と住んでいた思い出のある家を離れるのはリリアーナにとっては決心をつけ難い。
「無理にとは言ってないし、よく考えれば良い。たまにこうして来るだけでも良いさ」
 軽く言うイリサにクロリスは突っ込みを入れる。
「そう言ってる割に、イリサはちょっと寂しいのよね」
「っ……わざわざ言うなよ」
 恥ずかしそうにイリサは小さい声で言った。
 そのまま淡々と会話が続く中、ふと、コリーンが尋ねた。
「あの……さ、イリサとクロリスはQBに対して、CBに協力するのをやめてって言ったり全然しないのはどうして?」
 少しの沈黙の後、イリサが遠い目をして答える。
「……意味が無いってのもあるが、QBに余り意見しないのが賢い魔法少女の生き方なんだ。残念ながらな」
「どういう事?」
「QBと契約してから、元に戻して欲しいとしつこく迫ったり、果てはQBに攻撃するような魔法少女の元にはQBは現れなくなる。そうすると、その魔法少女は自力で魔獣を探さないといけなくなるから大変になるわ。……基本的に私達魔法少女とQBは切る事はできても切ってはいけない関係なのよ」
 クロリスができるだけ穏やかにそう説明し、コリーンは納得する。
「そっかぁ……。じゃあ、例のあの人も300年もQBと関係を維持してるんだね……」
 イリサが唸る。
「そう、なるな。……けど、あの方は何ていうか、QBがいなくなったとしても関係なく戦い続けそうなイメージがあるから……」
「そうね。事情を聞いた事は無いけど、魔法少女は人の世の呪いである魔獣を狩り続ける存在……を地で行って300年の人だから」
 もうそういう次元の人じゃないわね、とクロリスは言った。
 そこでリリアーナが思い出して言う。
「たまに『あなたが復讐を心に抱いたまま魔法少女として消えるのが癪なの』って言われた時の事を思い出すけど、ほむらさんは一体何を願ったのか想像つかないな……」
 イリサは紅茶を一口飲み、少し上を見上げて言う。
「直接聞けば意外と教えてくれそうな気もするが、魔法少女として希望を抱いて戦い続ける事自体が願い、とかありそうだけど、何か違うな」
「色々思いつきはしても、それがとても300年戦い続けられるような願いだとは思えないのよね」
 クロリスは困ったような、微妙な表情を浮かべた。
 それぞれ最強の魔法少女について想像を巡らせたが、これといった答えは……出なかった。


凡そ半年超前、第三世代ガンダム四機は世界の大部分の紛争を停止に至らしめた。
それが新たに全て第四世代ガンダムとなり、機体数も地上・宇宙問わず四機を優に越えて常態的に出現。
圧倒的な質と数の双方を兼ね備えたCBに世界は為す術も無く、CBの活動再開から数日のうちに、再発していた世界の紛争は瞬く間に停止して行った。
そのような中、混迷の中東でのCBの新たなるミッションが実行される。


―中東・アザディスタン王国・王宮―

 マリナ・イスマイールとブリジア議員は王宮の応接室で対面していた。
「私達に求められているのは争いではなく、話し合いだと考えています」
「ええ、CBが活動を再開した今、世界は陣営の枠、国家間の枠を越えて自ら一つに纏まる必要があるでしょう。……QBに言われなくとも」
 ブリジアの言葉に今度はマリナが同意する。
「その通りだと私も思います」
「私は未だAEUの野党議員の一人にすぎませんが、中東の問題にいずれ世界全体で取り組むようになる、その足がかりになればと尽力して行くつもりです。今回は幸い、後援者の支えもあり食料支援と国境無き医師団の方々による医療支援を行う事ができています」
 マリナは心からの感謝の念を顔に浮かべ、ゆっくりと頭を下げる。
「ブリジア議員、アザディスタン王国を代表して感謝します。CBの出現にも関わらず、この国にいらして下さりありがとうございます。民も感謝している事でしょう」
 会話の途中、マリナの側近が近づき耳打ちをする。
「姫様」
 その内容を聞いて驚いたマリナは声を上げる。
「CBが?」
 一旦マリナはブリジア議員に事情を説明し、テレビを付けた。
 画面にはアザディスタン国境付近の中継映像が流れる。
 風が吹けば砂埃が舞う、乾いた地面がどこまでも広がる荒野。
[ご覧下さい、上空にCBの輸送艦の船影が滞空しているのが肉眼で確認できます!]
 マイクを持った池田特派員がカメラの前で話し、手で示すと、カメラはプトレマイオス2の方を向き、ズームする。
[全長約300m。巨大な船体が悠然と空に滞空しています]
 カメラははっきりとプトレマイオスの姿を捉える。
[依然輸送艦からガンダムが出撃したという情報は入っていません。……既にこの数日で、ガンダムの去り際、他人の声が頭に聞こえるという不思議な現象が世界各地で起こった事が確認されていますが、それも含め直接CBからの声明は出されて……]
 中継が続く中、ブリジアが呟く。
「CBは中東全域に対して牽制を……」
「こんな方法で……」
 そこへ今度は、シーリン・バフティヤールが慌てて応接室の奥から現れマリナの側近に端末を渡す。
 それを見て年老いた側近は驚き、マリナに再び近づく。
「姫様、CBからメッセージでございます」
 マリナは端末に映るソレを見て、思わず声を上げる。
「刹那……?」

 マリナ・イスマイール、貴方の心の声を、想いを。
 アザディスタンに、中東に、世界に、伝えて欲しい。

 そうメッセージには書かれていた。
[ご、ご覧下さい。今まさに、CBの輸送艦からガンダムが出る模様です!] 
 画面には拡大されたプトレマイオスの艦首のカタパルトデッキが展開される姿。
 間もなく、一機のガンダムが出撃する。
 それは、刹那の乗る、非武装のダブルオーであった。
 その後続けてケルディム、アリオス、Zガンダムが出撃し、カタパルトデッキは閉じられた。


[刹那、お前のミッションだ。行ってこい]
「了解」
 ロックオンからの通信に簡潔に返答し、刹那はダブルオーと共にアザディスタンの王宮へと向かった。


 ……数日前。
 世界各地での武力介入後、刹那はスメラギの元を訪れた。
「どうしたの、刹那。珍しいわね」
 全く視線を逸らさない刹那にスメラギは怪訝な表情をする。
「スメラギ・李・ノリエガ、俺からミッションプランがある」
 一瞬の間。
「……せ、刹那。あなたがミッションプランを?」
「そうだ。これを」
 言って、刹那は情報データの入ったクリスタルキーを渡す。
 意外すぎる、と思いながらスメラギはそれをコンソールに差し込み、ミッションプランのデータを表示した。
「……え? 刹那、これは」
 表示された内容はかなり少なく、なぜならそれは武力介入のミッションでは無かった。
「俺達のガンダムなら、それができる」
 そして次の瞬間。
 表示された刹那のミッションプランを許可するヴェーダからのメッセージウィンドウが現れた。
「ヴェーダ!」
 スメラギは思わず息を飲み、
「……分かったわ。このミッション、やりましょう。丁度数日後からのミッションに合わせられるわ」
 振り返って言った。
 まさか、刹那の方からこんなミッションを考えて来るなんて……。


「姫様、ガンダムはこの王宮に向かって近づいて来ているようです。もしもの時の為にすぐに避難を」
 焦り気味の側近の言葉にマリナは首を振る。
「いいえ、来るのを待ちます」
 ブリジアがマリナに尋ねる。
「皇女殿下、それは?」
「……CBはこの国に武力介入に現れる訳ではありません。不思議な現象を起こしに来るのだと思います」
 マリナはとても落ち着いた様子でそう、答えた。
 ブリジア議員にも避難しては、とマリナの側近は言ったが、ブリジアはそれを辞退して自身もガンダムがこの王宮に現れるのを見届けると答えた。
 そして、間もなくダブルオーがアザディスタン首都上空にその姿を現し、まっすぐ王宮に向かってくる。
 マリナは王宮のテラスに出て、ダブルオーの姿をその目に捉えた。
「刹那……」
 ダブルオーは王宮広場の真上に静かに両腕を広げて停止した。
 刹那は、王宮のテラスに胸に手を当てたマリナが出ているのをモニターで確認し、
「マリナ・イスマイール……」
 そう呟いた時、ダブルオーを見上げるマリナが僅かに頷いた。
 それを見て、刹那はコンソール右横の中央のスイッチ二つを押す。
「トランザム!」
 GNドライヴが駆動音を上げて機体全体が紅く輝く。
 瞬間、二対のGNドライヴから巨大な二重円が放出され、莫大な量のGN粒子がアザディスタン王宮を中心として周囲へ広がってゆく。
 刹那はマリナに向けて、心の声を飛ばす。
《マリナ・イスマイール、声を、想いを!》
 マリナはその心の声に乗った想いを受けて、強く、そして穏やかに、想いを心の声に乗せて言葉を紡ぎ始めた。
《アザディスタン第一皇女マリナ・イスマイールです。皆さん、どうか、聞いて下さい……》
 マリナ・イスマイールの争いに対する悲しみと、平和への強い想いは、改革派・保守派の宗派の枠を超える。


―CBS-74プトレマイオス2・ブリッジ―

 ブリッジのメインモニターにはダブルオーがアザディスタン王宮でトランザムを終え、光が収まった姿が望遠で映る。
「ダブルオー、トランザム限界時間です」
 フェルト・グレイスが報告すると、スメラギが頷く。
「ファーストミッション、終了ね」
 ダブルオーがすぐに王宮の上空へと去っていく映像に一人ホッとした様子のスメラギにクリスティナ・シエラが微妙な顔で尋ねる。
「スメラギさん、このミッション、本当にやって良かったんですか?」
「クリスはこのミッション反対だった?」
 クリスティナは戸惑い気味に言う。
「別にそういう訳じゃないですけど……今まで私達がやってきたミッションと全然違いますし……」
 ブリッジの扉付近の壁際でモニターを見ていたリボンズが口を開く。
「刹那・F・セイエイの提案したミッションは、ガンダムがただの兵器としてのモビルスーツではなく、本当の意味で紛争根絶を体現する存在である事を世界に示して見せたのさ」
 その説明にクリスティナ達は納得した風になり、今度はリボンズの反対側の壁際にいたティエリアが呟く。
「刹那が……」
「トランザムで人と人の想いを繋ぐ……か」
「何か、良いミッションすね」
 ラッセとリヒテンダール・ツエーリがそれぞれ言い、
「私も、そう思うわ」
 スメラギも同意した。
 そこでリボンズはフッと笑い、扉を開けてブリッジを後にした。
 ティエリアは咄嗟にその後を追い、通路でリボンズに背後から声を掛けようとするが、先にリボンズが背を向けたまま答える。
「僕は刹那・F・セイエイに何も吹きこんでいない。彼が自分で考えた。これで良いかい、ティエリア・アーデ」
「ッ」
「そういう意味では、最初にイノベイターに革新するのは彼かもしれないね。……失礼するよ」
 そうであれば、僕がソラン・イブラヒムをガンダムマイスターに推薦したのは正解になるかな。
 言って、リボンズは通路を進みイアン・ヴァスティの元へと向かった。
 プトレマイオス2の開発室に入ると、イアンがコンソールを叩き、丁度開発を進めていた。
「やはり換装できるようドッキングのシステムをダブルオーの方にも搭載せんとならんなぁ」
 イアンが呟くと、モニターに映るシェリリン・ハイドが言う。
[師匠、セファーラジエル第五形態みたいにGNセファーみたいの沢山付けましょう! そしたらきっと凄くなりますよ!]
「ん、そうだなぁ、元々ダブルオーはラジエルの設計を元に作っとるから相性は良いか」
 イアンが納得すると、シェリリンは両手を広げる。
[イメージは天使の羽って感じでブワァァーっと]
「だが、技術の向上でもうセファー程大きくせんでも良いと思うが……」
[視覚的に目立った方が良いですって!]
「分からんでもないが……ふむ、なら全部超大型ビットにするなんてのもアリか。それなら2ガンダムにも転用できそうだ」
[良いですね、超大型ビット! あ、リボンズさん!]
 そこでようやくシェリリンがリボンズの姿に気づき、イアンも振り返る。
「おぉ、リボンズ。今ダブルオーの追加ユニットのイメージを考えとる所だ」
 リボンズは少し苦笑して言う。
「盛り上がって、いつの間にか火力の強化の話になってるけど……GN粒子の散布を優先するのを忘れないで欲しいね」
 これ以上火力を強化しても使いどころは早々無いし。
「そこは、大丈夫だ」
[安心して下さい。ヴェーダの仮想空間データなら材料一切使わないので!]
 言外に、火力の追求はやめないと言い切ったシェリリンに流石のリボンズも呆れ気味に返答する。
「まぁ……それなら好きにして良いよ、シェリリン・ハイド」
[了解!]
 そこでやっと思い出したようにイアンが尋ねる。
「そうだ、刹那のミッションは終わったのか」
「その通り。問題なく終わったよ」
 敢えて聞かなかった訳ではないんだ……とリボンズは思ったが顔には出さなかった。
 それから少しばかりしてプトレマイオス2に帰投した刹那は格納庫でダブルオーからワイヤーを伝って降りて行く。
 その途中、マリナの声が刹那の心の中で復唱される。
(自分の中にある幸せを他者と共有し、その輪を広げていく事が本当の平和に繋がると私は考えています)
 それがあなたの答え……。
「だが、俺は……」
 刹那の脳裏に別の声が想起される。
(それも一つの選択肢)
(何を以て、本当に正しいのか間違っているのか、それは分からない。けれど、少なくとも悪意を持って為す事は間違っていると私は思う)
(だから、あなた次第よ)
 あなたがその道を模索し続けるというのなら……。
 俺は、俺の方法で戦い続ける。

 その日、他三機の機体もミッションを終えてプトレマイオス2への帰投後、変わらずプトレマイオス2は中東地域上空を光学迷彩を展開せず、悠然と飛行を続けた。
 この数日で圧倒的な性能を見せつけた事により、三陣営から軍が派遣されて来る事は無かった。
「ヴェーダからの報告です。ダブルオーのトランザム後、アザディスタン首都での小規模テロ及び暴動は未だ今日は全く起こっていません。その他の中東国家でも、いつもよりテロ発生数が四割減少しています」
 クリスティナがそう報告し、メインモニターに中東の地図が現れ、小規模テロ発生のデータが詳細に表示される。
「こいつは凄いな」
 ラッセが腕を組んで感心する。
「刹那のミッション、かなり効果あったみたいっすね」
「うん、ホント……凄い」
 クリスは素早く両手を動かしながらも驚きの声を漏らし、フェルトは驚きに目を瞬かせ、スメラギも呟く。
「ええ、本当に……」
 これは私も、ヴェーダさえ予測していなかったわ……。
 そこでスメラギは更に言う。
「私達が中東圏に常駐している事も抑止力として効果は出ているようね」
 予測通りなら、しばらくは良いけれど、問題は国連軍が結成されてから……。
 でも、それすらもこのトレミーなら……。


―UNION領・オーバーウイングス基地―

 レイフ・エイフマンは基地の自室で、腕を組んでJNNニュースをつけていた。
[本日、中東地域を周回し続けているCBの輸送艦ですが、出撃したガンダムの一機が現在ブリジア議員が訪問中のアザディスタン王国王宮に現れました。この映像はアザディスタン王宮で撮影されたものです。映像に若干の処理を施しましたが、強烈な光を発しますので予めご注意下さい]
 そう報道するアナウンサーから画面が切り替わり、ダブルオーのトランザムの記録映像が流れる。
 ある程度発光を抑えられてはいるが、それでも強烈な発光の映像まま、アナウンサーが言葉を続ける。
[この際、他人の声が頭に聞こえるという不思議な現象がアザディスタン首都一帯で発生した模様です。情報によるとアザディスタン第一皇女マリナ・イスマイールの平和への想いが市民に届いた……そうです。この件に関して、アザディスタン王国から公式メッセージが出ています。『第一皇女マリナ・イスマイールに王国を代表し、国民への呼びかけを求める』との内容のメッセージがCBから王宮に届いた、との事です]
 そこでトランザムの映像は中断され、アザディスタン王国首都の映像が映る。
[また、ブリジア議員の公式メッセージによると『是非、全世界の人々に伝えたい言葉、想いでした』と述べられています。そして現在、アザディスタン首都は非常に落ち着いており、テロ、暴動は確認されていません。この詳細についてはJNNではまた後日、近日中のブリジア議員の帰国に合わせ特集を組み……]
 エイフマンは徐に音量を下げ、キーボードを操作し、別のウインドウを開く。
「ガンダムの起こす特殊な現象……」
 まず間違いなくGN粒子による人間の脳量子波の拡張……そして意識の伝達。
 GN粒子の本質についての研究通りか……。
 しかし、本当にこのような事が可能とは。
 エイフマンはハナミが送られて来て以降、個人的にGN粒子についての本質に迫る研究を続け、結果としてその殆どを予測していたが、当然ヴェーダの監視下にある為、それを軍や世間へは一切公表していなかった。
「しかし……げに恐ろしきはやはり、イオリア・シュヘンベルグかな」
 その呟きは室内にポツリとこだました。


―AEUスイス・国際空港―

 空港のゲートを通り、中東訪問を終えたブリジア議員一行がAEU領に帰国した。
 ブリジア達が姿を表すと待ち構えていた大量の報道関係者が一斉にカメラのフラッシュを炊いて出迎えた。
 一行が空港すぐ付近の記者会見用に手配された建物に移動する途中、マスコミがインタビューを試みようと質問を投げかけたが、それらは「この後すぐ、今回の中東訪問について記者会見を行います」というコメントによって退けられた。
 そして、一行は移動と準備を済ませ、場所は記者会見場。
「まず、今回私達の大変有意義なものとなった中東諸国訪問に支援をして下さった皆様に心より感謝を申し上げます」
 ブリジアはそう言って、頭を下げ、続けて話を始める。
「実際に中東諸国を自身の目で直接確かめて初めて、様々な事が見えました。それにより今後の中東諸国の抱える問題について、世界規模で取り組むべき方向性というものも少なからず見えて来たように思います。……ひとえに中東諸国と括るのは簡単ですが、それぞれ国によって状況には大きく差があり、抱える問題も異なります。例えばリチエラ王国を例にとればまず……」
 ブリジア自身の口から中東諸国訪問についての総括がしばらくの間述べられて行く。
「最後に、数日前からネットワーク上で話題になっている丁度訪問をしていたアザディスタン王国でのガンダムが現れた事についても話をしたいと思います。私達が居合わせたのはまさに偶然という他ありませんでしたが、例の不思議な現象を私も身を持って体験しました。上手く言葉で表現するのは難しいですが、既に色々な方が表現しているように、声に乗せてその人がどういう感情を抱いているのか、はっきりとその想いが直接伝わって来る、というのが近いように思います。心の声が頭に響いた瞬間は戸惑いましたが、マリナ・イスマイール皇女の争いに対する悲しみと、人々の平和を強く願うその想いが言葉に乗って、普通では中々伝わないだろう所まで、深く心に響きました。『自分の中にある幸せを他者と共有し、その輪を広げていく事が本当の平和に繋がる』……このようなに皇女は伝えられましたが、私はこの考えに心から賛成です。言葉だけで皇女の感情を伝えられない事が残念ですが……とても穏やかで優しさに溢れていたように思います。……これを以て私からの総括は以上とさせて頂きます」
 会場に拍手が鳴り響き、マイクを持った司会が言う。
「ここで、ブリジア議員に同行し、医療活動に尽力された国境無き医師団の代表、ドクター・テリシラ・ヘルフィからもコメントを頂きたいと思います」
 打ち合わせ通り、テリシラ・ヘルフィが現れ、礼をして、ブリジアの隣の席に座った。
「紹介に預りました、国境無き医師団代表のテリシラ・ヘルフィです。ブリジア議員からの総括と被る部分もありますので、必要と思われる事についてコメント致します。医師として、やはり実感したのはまず、諸外国からの食糧支援の途絶による影響を受けての、栄養失調が深刻な状態の患者の多さです。早急にこの点は特に重点的支援を行う必要があると……」
 コメンテーターとしてテレビに何度も出演しているテリシラは慣れたように医療の視点から中東に必要な事を次々に述べて行った。
 ブリジアに続き、テリシラも総括を終えた所で一旦途中休憩を挟んだ後、報道関係者からの質問に移行する。
 次々と報道関係者が質問を行い、それらに回答がなされて行く。
「ブリジア議員、中東ではガンダムを何度か目撃したと思われますが、アザディスタンで先程述べられた現象を体験した事を踏まえ、活動を再開したCBについてはどう思われますか」
 その質問に対し、ブリジアが答える。
「新たなガンダムは以前の完全な兵器としてではなく、人と人との心、意識を繋ぐ事もできるという一歩進んだ印象を受けました。その点ではあの現象を実感した一人としては何か世界に変化をもたらすのではないか、と期待したいと思う部分もあります。ですが、散々議論されている通り武力による紛争の抑止というCBの行動が世界から見てテロである事には変わりません。やはり一定の評価はできても、容認はできません」
 その回答に質問者は、
「ありがとうございました」
 言って、席に座る。
 続けて、次の質問がされる。
「ドクター・テリシラ、ガンダムが引き起こす不思議な現象について、医学的見地からはどういうものであると推測されますか」
「一応この場で答えられる範囲で簡単に説明を。……一般的な脳量子波理論において生物は常に微弱な脳量子波を発しているとされていますが、ガンダムの発光する現象は人間の脳量子波に何らかの影響を及ぼして引き起こされる可能性があると考えられるでしょう。もし実際にそうである場合、脳量子波理論関連は各研究機関の機密情報に分類されている為、一般への情報開示は厳しい物となります。しかし、実際に不思議な現象が起こったとはいえ、解析するとなると全く未知の現象だというのが現状でしょう」
 そこまでで、テリシラは回答を終えた。
 その後も幾つも質問がされ、記者会見は数時間をかけて終了した。
 テリシラはブリジアと中東訪問について改めて互いに感謝を述べた後、別れた。
 そして国境無き医師団のスイス支部にて、今回同行していた医師達と挨拶を交わし、テリシラはアメリカへと戻るべく再び飛行機に乗った。
 その機内にて、テリシラはヴェーダにアクセスしながら思う。
 予測していた通り、CBを直接見る事になったな。
 ……情報はヴェーダから得ていたとはいえ、実際にあの現象は体験してみなければ中々分からないだろう。
 しかし、意識の共有を起こせたとしても、中東の問題を根本的に解決するのはCBでは難しい。
 やはり、世界の側が動かない事には……。
 ヴェーダからの情報によれば、もうそろそろ、ようやく国連軍が結成される筈だが……中東が安定に至るには茨の道になるのは間違いない。


その後、プトレマイオス2は常態的に中東地域を飛び回り続けた。
全域に対する牽制を行いながら、ガンダムが出撃すれば変わらず武力介入を行うのも変わる事無く。
……そして。


―UNION領・国際連合議会場―

 壇上で三陣営のトップが手を取り合っている中、その一段下で国際連合議長が声明を述べる。
「活動を再開したCBによって、既に度重ねて武力介入が行われています。彼らの行動によって、世界に起こる紛争が減少しているのは事実です。しかし、記憶に新しい2308年から計り知れない影響を及ぼしたCBショックを我々はまた繰り返す訳にはいきません。そして、彼らの行動がどうあってもテロ行為である事に変わり無く、我々はそれを認める訳にはまいりません。この状況に対し、UNION、人類革新連盟、AEUは軍事同盟を締結。国連の管理下で合同軍を結成し、陣営と国家の枠を超え、一丸となって世界の和平実現の為の軍事行動を行っていく事をここに宣言致します!」
 議会場に揃った各国家群首脳達は一斉に手を叩き始め、盛大な拍手が沸き起こる。
 議会場外では池田特派員がカメラの前で中継を行っていた。
「三つの陣営が、国連管理下で軍事同盟を発表しました。これにより、史上最大規模の国連軍が誕生することになります。中東はどの陣営にも所属していませんが、今後中東を交えて世界が変化を見せていくのか、その鍵となるのはやはりCBなのか、世界情勢からは目が離せないものとなりそうです」


かくして、三陣営合同軍が成り、CBの計画は第一段階が達成される。
そして、新たな歯車が回り始めるのか。
国連軍の前に、プトレマイオスがその真の能力を解放するのか。
リジェネ・レジェッタの出番はあるのか。


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