<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

その他SS投稿掲示板


[広告]


No.27528の一覧
[0] 【ネタ完結】私設武装組織ソレスタルキュービーイング(ガンダム00+キュゥべえ)[気のせい](2011/10/02 14:33)
[1] QB「皆僕のつぶらな瞳を見てよ!」[気のせい](2011/05/04 18:36)
[2] 変わりすぎるかもしれない世界[気のせい](2011/05/04 19:19)
[3] QB折衝[気のせい](2011/05/04 19:15)
[4] 僕に仕事を下さい[気のせい](2011/05/04 23:14)
[5] 管制官「こんなの絶対おかしいよ」[気のせい](2011/05/05 18:25)
[6] QBキャンセル[気のせい](2011/05/06 17:49)
[7] 次出たらぶん殴る[気のせい](2011/05/06 17:49)
[8] QB「本話の存在は了承されたよ」[気のせい](2011/05/08 17:24)
[9] 人革連「罠が仕掛けられない……だと」[気のせい](2011/05/08 17:51)
[10] QB「アレルヤ・ハプティズム、君の出番は余り必要性が無いよ」[気のせい](2011/05/08 18:45)
[11]  計 画 通 り[気のせい](2011/05/08 21:56)
[12] 金ピカ大使「私の頭の上にエンジェルの輪が見えるようだよ」[気のせい](2011/05/11 12:45)
[13] QB「もう少し我慢しててよ」[気のせい](2011/05/22 14:55)
[14] 三位一体「出番は?」 紫HARO「ネェヨ! ネェヨ!」[気のせい](2011/05/18 23:01)
[15] 三陣営首脳「我々って、ほんとバカ」[気のせい](2011/05/18 23:32)
[16] スメラギ「死相が見えるようだわ……」[気のせい](2011/05/21 16:01)
[17] 紅龍「浴室は無かった事にしよう」[気のせい](2012/05/30 18:52)
[18] 刹那「戦っているのか」 MS「戦っているわ」[気のせい](2011/05/23 21:11)
[19] MS「タダ飯! タダ飯!」[気のせい](2011/09/30 09:00)
[20] イアン「美人ならおk」 リンダ「あなた?」[気のせい](2011/09/30 09:03)
[21] サジ「ちゃんとご飯食べてる? 朝御飯食べないと力でないよ。育ち盛りはしっかり食べないと成長に支障が出たりするし、いくらナノマシンあるっていっても」[気のせい](2011/06/17 16:00)
[22] アレルヤ「刹那、それがGNタクシーの力だ!」[気のせい](2011/06/24 15:20)
[23] ロックオン「ハロ、Sレベルの秘匿義務って何かあったか?」[気のせい](2011/09/30 09:04)
[24] QB「CBの戦いはこれからだよ!」[気のせい](2011/06/30 23:47)
[25] QB「正しく2nd始まるよ!」[気のせい](2011/07/16 17:46)
[26] そんな機体名で大丈夫か。[気のせい](2011/07/22 23:25)
[27] 頭に……響くんだよォッ!![気のせい](2011/08/04 13:12)
[28] ヒリング「あたしの出番よ!」[気のせい](2011/08/30 13:32)
[29] 私マリナ・イスマイール。[気のせい](2011/08/21 04:05)
[30] トレミー「俺TUEEEEEEEE!」[気のせい](2011/08/30 15:58)
[31] ルイス「サジィ!」 サジ「ルイスゥ!」[気のせい](2011/09/22 21:10)
[32] アレルヤ「この期に及んで僕だけ原作イベントなのはどういう事なんだろうね……」[気のせい](2011/09/24 22:00)
[33] ミレイナ「アーデさんアーデさん! お話しして下さいですぅ!」[気のせい](2011/09/25 22:04)
[34] ELS「やあ」[気のせい](2011/09/30 09:07)
[35] ELS「待ってよー!」[気のせい](2011/09/30 08:51)
[36] 刹那「ネ申!」[気のせい](2011/09/30 09:35)
[37] ラッセ「なあ……最初から刹那だけテレポートすりゃ良かったんじゃないのか?」 スメラギ「それは言わない約束なの。でないと私達の出番無いわよ?」[気のせい](2011/10/02 19:25)
[38] 【小話】ミレイナ「魔法少女についてどう思うですか?」 スメラギ「これだから思春期は……」[気のせい](2012/03/16 23:13)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[27528] QB「正しく2nd始まるよ!」
Name: 気のせい◆050021bc ID:899ac1f2 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/07/16 17:46
A.D.2310、その下半期。
CBは第四世代ガンダムの集中開発及び、ヴェーダの予測水準まで世界情勢が安定するまでの半年強に渡る期間、世間に姿を公的に晒す武力介入活動の小休止期間に入っていた。
2307年から三年半弱に及ぶCBの武力介入は結果的に2307年時点において世界で起こっていた紛争行為の9割を根絶するという確かな成果を上げた。
しかし、それは即ち諸手を上げて「世界から争いが無くなった」と呼べる事を意味する訳ではなかった……。


―中東・アザディスタン王国―

 太陽はまだまだ上がったばかりで周囲は酷く明るい。
 しかし、辺りには乾燥しきった土埃が舞い、少し注意して鼻を嗅いでみれば、微かに火薬の匂いも漂う。
 そして注意しなくとも聞こえるのは子供の泣き叫ぶ声。
 目を向ければ視界に自然と入るは路上に力なく蹲る者の姿。
 家屋の壁に貼られた皇女のポスターはあちこち破れ、はがれかかったソレは風ではためく。
 更に、数時間置きにどこからか大抵爆発音と激しい銃撃音の響いて聞こえる。
 そんな街中を、埃で汚れくたびれた服に、傷んだ外套を纏った一人の青年が目立たぬように歩いていた。
 刹那・F・セイエイ、それが彼のコードネーム。
 ふと、遠くからまた爆発音が響く。
 僅かに足を止め、音の方角を刹那は見やる。
「また……」
 変わっていない……。
 何度介入しても、変わっていない……。
 刹那はスメラギ・李・ノリエガが悲しげな表情で言った時の事を脳裏に思い出す。
(刹那、中東は……変わっていないわ。でも、それはようやく世界が変わり始めている最中だから。その事は……覚えておいて)
 刹那は拳を握り締め、その場からまた歩き出した。
 ……紛争は確かに減った。
 CBの所有する機動兵器ガンダムという圧倒的性能のMSの前に、大々的紛争の停止に至った地域は数えきれない。
 だが、人はMSが無くとも、武器を持つことはできる。
 それが、鈍器であれ、刃物であれ、銃器であれ、爆発物であれ。
 争いを生み出すのは人の心。


A.D.2307。
タクラマカン砂漠でのUNION、AEU、人類革新連盟の三陣営合同軍事演習と称して画策されたプロジェクトGと呼ばれるガンダム鹵獲作戦の完全失敗。
その際、新たなガンダムが7機、現れた。
CBの底知れない規模を垣間見た結果、それ以来三陣営はCBに対抗する作戦を打ち出す事もできず、ただただ、CBが紛争地域に現れては武力介入し去っていく様を黙って見るしかなかった。
軌道エレベーター防衛の為の演習という名目だった筈にも関わらず、その実体は「ガンダム欲しさに政府高官と軍上層部が徒に兵士の命を捨てた」と激しい世論の非難を浴びては、心を入れ替えまともにガンダムに対抗する作戦を打ち出した所で、市民はその作戦の真の狙いはガンダムの鹵獲が目的だと疑って止まない。
その上、QBは近いうちにガンダムの動力機関を譲渡するという声明を出した。
世論の反発、CBからは釘を刺され、CBの底の見えない組織規模の恐怖。
これらの間に挟まれた三陣営が取れた動きは、世論の信用を取り戻す為に、自らテロリストを取り締まる行動を地道に行う程度であった。
しかし、時の経過と共に、環境の変化に伴い、世論は変化した。


A.D.2308。
その年、世界に待っていたのは、程なくして「CBショック」と呼ばれるようになった、CBの武力介入に端を発する影響が世界に急速に波及して巻き起こった深刻な世界情勢の乱れであった。
民族紛争の減少。
宗教紛争の減少。
資源採掘・エネルギー資源を巡る紛争の減少。
麻薬栽培地域の撲滅。
順調に紛争は減少し、軍需産業の市場規模も縮小した。
しかし、これらの影響を受けて、幾つもの弊害が現れ始めた。
平行線を辿る資源採掘権を巡る話し合いが続く国の経済悪化。
資源調達が滞るようになった関連産業の経済悪化。
麻薬を収入源としていた国の経済悪化。
紛争地域国家にMSを公的に売却していた国の経済悪化などなど……。
幾つもの国で起きた経済悪化は、失業率の増加と物価の高騰を引き起こし、元々紛争と縁の無かった人々の生活にも直撃し始める。
そして、元々貧困に悩まされていた国の市民の生活は更に悪くなり、その不満の暴発は暴力となって現れる。
比較的経済状況の良い都心部での小規模な無差別テロの頻発化。
自暴自棄になった者たちの軌道エレベーターに対する相次ぐ破壊テロ。
戦いとは関係なく暮らし「CBの行動で世界から紛争が減少している」と何となく良いことなのだろうと単純に思っていた人々はそれらの被害を受け始め、世論は急激に変化する。
巻き起こるは全ての元凶たるCBの排斥運動、そのCBに対し有効策を打ち出せない三陣営政府への非難。
テロ・デモ・暴動。
紛争根絶を目指すCBの行動とは裏腹に、新たな争いの火種が世界に波及し、一年以上に渡り勢力を叩かれ続けた反政府組織は勢いを盛り返し始める。
それに対策せざるを得ない三陣営はテロ対策やデモ・暴動鎮圧の為の治安維持に力を入れ、軌道エレベーターには防衛の為に配備できる戦力の上限の上昇に関する国際条約を締結。
しかし、その一方でタクラマカン砂漠の一件で信用を失墜した人革連では政権が交代し、AEU主要国首脳陣も一部が交代。
政権交代は免れたものの、UNIONでも加盟国のアメリカへの信用低下が止まらない。
どこか世界全体が期待していたガンダムの動力機関譲渡も、何事も無かったようにCBの武力介入が半年、一年と続き「あれは嘘だった」「優位性を失う事をCBがする訳がない」ととうに諦めた。
微妙な均衡を保っていた三陣営国家群の威信・政治・軍事的安定に揺らぎが生じる事は、ただでさえ支援を必要としている中東を筆頭とした国家群の状況悪化という負の連鎖をもたらす。
世界は混迷の時を迎え、人々は不安を心に抱く日々を送るようになり、せめて平和に暮らしたいと願う人々は皆恨めし気にCBの武力介入のニュースを目にしながらまた新たな年を迎える、そんな矢先の事。


―UNION領・国際連合本部―

 2308年12月。
 国際会議場前の広場は、言いしれぬ雰囲気に包まれていた。
 各所にフラッグ、イナクト、ティエレンなど各陣営の主力モビルスーツが立ち並び警備を行う一方、国連関係者、一部各国政府高官、各国軍上層部関係者、許可を受けた報道関係者などが特設された野外施設に集う。
 その前方には敢えて何も無い場所があった。
 国際連合本部一帯の地域には大量の人々が押し掛けていたが、関係者以外立ち入り厳禁として設置された検問で必死に警備員達が抑える。
 野外施設にてカメラに対し、女性アナウンサーが中継をする。
「ご覧下さい。会場には警備のモビルスーツが並び、各所関係者が一同に介しています。現在現地時刻は10時53分ですが、未だCBは現れていません。CBは本日現地時刻11時に、ガンダムの動力機関を国連に譲渡するというメッセージを表明しています。間もなく後数分で時間となります。……JNNでは通信機器の異常に備え、中継が途絶した場合を想定し、決定的瞬間を映像に収め迅速に放送する予定です。間もなく後数分で……」
 繰り返し報道し続けるアナウンサーの一方、会場内にいたビリー・カタギリとレイフ・エイフマンは席に座って待っていた。
「いよいよですね、エイフマン教授。まさか本当にこうなるとは……正直僕は少し諦めていましたよ」
 苦い顔をしてカタギリが言い、エイフマンが唸る。
「タクラマカン砂漠の合同軍事演習から一年以上。QBにとっての近いうちとはそういう事。無論、CBも準備をする必要があったのじゃろうがな……」
「全く、やられましたね」
「今の世界情勢……このタイミングを狙ったのじゃろうて」
「ええ。このタイミングで、政府と軍上層部がどう動くか……。教授は例の動力機関、CBは一つ以上持ってくると思いますか」
 エイフマンはカタギリの質問にばっさり答える。
「……まず一つじゃろうな」
 それに分かってはいましたがとカタギリは言う。
「上層部はせめて三つは持ってくる事を期待しているようですが、やはりそうですか」
 そう二人が会話をしている一方、警備にあたっているカスタムフラッグに搭乗していたグラハム・エーカーは複雑な面もちで今か今かと待っていた。
「ガンダム……」
 初めて姿を現した時からCBの存在自体矛盾していると思っていたが、紛争の大部分が根絶されながらも、この一年でみるみる世界の情勢が悪化して行くのを、比較的影響の少なかったUNIONに所属しているとは言え、グラハムは見てきた。
 武力による紛争根絶が正しいなどと言うつもりは無かったが、師であるエイフマンの「紛争が止めば普段の平和な生活が成り立たなくなるこの世界が歪んでいるとも言える」という言葉には考えさせられ、同感もできた。
 時刻は10時58分。
 管制室から通信が入る。
[六機のガンダムの上空からの降下を望遠で視認。警備部隊は警戒態勢に移行して下さい]
「了解した」
 六機だと。
 グラハムは通信に従い、モニターに上空の映像を映しだすと、
「全てあの機体っ!?」
 驚いた。
 映るのは六機のアイガンダムが六角形の頂点を描くように降下してくる様だった。
 資材の流れはごまかせない、というのが通説でありながら、未だにCBの拠点の一つも見つからず、アイガンダムが量産機であったというのはその場にいた者たちが皆驚くには充分であった。
 一方で、間もなく地上に降下するアイガンダムに乗っていたリボンズ・アルマークは通信を入れる。
「簡単な作業だけど、ブリングがコンテナを降ろしたら全機光通信を送信。すぐにGNフェザーを展開して戻るよ」
 五人からそれぞれ簡潔な返事を受けて、いよいよアイガンダムを地面にゆっくり着地させる。
 アイガンダムの放出する粒子の色はオレンジ色。
 六機全て非武装、その内一機がコンテナを抱えていた。
 会場前のスペースに六機のガンダムが静かに舞い降り着陸すると、人々がざわめいた。
 コンテナを持っていたアイガンダムがソレを地面にゆっくり降ろす。
 一部関係者は持ってきていた双眼鏡でコンテナを確認すると、それとほぼ同時に五機のガンダムは一斉に短い光通信を送信した。
「GNフェザー展開」
 コクピットでリボンズが短く呟くと、六機のアイガンダムは背部スラスターからX字を描く巨大な翼を発生させ、空に舞い上がる。
 その姿はまるで天からの使いの如く。
 余りにも短い光通信によるメッセージと滞在時間に会場は呆気に取られながら、その存在を明示する夥しい光を放って空へと上がっていく六機のアイガンダムをただただ見上げるばかりであった。
[リボンズ~、あたし物足りない。ただ来ただけだし]
 ヘルメットを取った姿のヒリング・ケアが少々不満そうに通信をした。
[今回は私達の存在を世界に見せつける事に意味があった]
[リヴァイブの言う通り、世界の抑止力としてはあれで十分。そうだろう、リボンズ?]
 リヴァイブ・リヴァイバルとリジェネ・レジェッタが続けて言った。
「そういう事さ。ヒリング、悪いけど我慢して貰えるかい」
[それはもちろん。ただ言ってみただけだってー]
 リボンズの言葉に、ヒリングは分かってる分かってると手をひらひらさせて返した。
 早くも帰還し始めていた所、時間の経過と共にGN粒子による通信障害から復旧した地上で、JNNの中継が復旧する。
 コクピットのモニターに慌てた様子のアナウンサーが映る。
[た、たった今、計六機のガンダムが国際連合本部に降下して現れました。その内一機のガンダムが、動力機関が入っていると思われるコンテナを置いて、全機が再び空へ姿を消していきました。今丁度、軍関係者がコンテナの搬送を……]
 それを聞き流しながら、リボンズはフッと笑うのであった。
 国際連合関係者、三陣営上層部や技術者達の立ち会いの元、開かれたコンテナの中に入っていたGNドライヴの数は一基。
 最低限必要な機関部と、火入れの為の始動機だけが入っており、そのままではただ電力でGN粒子が発生するだけの物体。
 付属された僅かな資料にはGNドライヴ、GN粒子など、CBで使用されている名称が記載されており、そこで初めて彼らはガンダムの動力機関の名称を知った。
 そして最初の問題は一基しかないGNドライヴの解析をどうするかであったが、一基しかない以上、最終的に国連管理下での三陣営軍共同で解析と生産に着手するに至るのに、やや時間を要した。


A.D.2309。
2308年末に唐突に送られた国際連合へのCBからのメッセージ通り、CBの動力機関・通称GNドライヴ一基が国際連合へ譲渡されて迎えた新年。
世論はQBの声明通り確かにCBが取った行動に様々な反応を見せたが、CBの動力機関供与の真意がどうあれ、三陣営が合同して動力機関を研究し、新たなMSに使用するであろうという事だけは人々の共通の認識であった。
そして実際に、これを機に三陣営の国家軍は国連管理下の元、世界各国の優秀な軍の技術者達が集結し、GNドライヴの解析・量産化を目標に歩み寄りを始める。
2307年、本音は常に他の陣営に先んじてガンダムを鹵獲し世界をリードしようと画策していた事からすれば、三陣営が肩を並べるというのは進歩と言えたが、人々の中には相手から進んで行われた技術供与をきっかけとしなければ素直に纏まることもできない事に嘆いた者達もいた。
無論、GNドライヴを得たとはいえ、世界情勢が直ちに安定する訳も無い。
2309年もCBショックの影響が世界経済回復の足枷となった。
そうでありながらも、GNドライヴの解析とその生産は急ピッチで進められ、下半期には早くも既存MSに推進力としての利用のみを目的としてGNドライヴの搭載された機体……GNフラッグ、GNイナクト、GNティエレンなどが生み出された。


そしてA.D.2310。
猛威を振るったCBショックから二年。
幾つかの世界有数の企業や資産家が名乗りを上げ、コロニー開発事業に向け雇用の創出を増やすなどの働きかけもあり、後押しを受けた世界経済は回復への兆しを見せ、それに伴いようやく世界情勢も徐々に安定化へと足を踏み出し始める。
一方、GNドライヴ搭載機の開発においてリードしたのはUNION出身の技術者集団であった。
GNドライヴ解析の主導を取った世界的に有名なUNIONの技術者、レイフ・エイフマンの設計の元、2307年からCBのガンダムの外見構造を元に研究を続けていた成果から、フラッグの後継機の試験機が形になり始めるに至る。
そして、世間に三陣営の保有するGNドライヴ搭載機が出るかという矢先。
CBは唐突にその姿を消した。


―中東・アザディスタン王国・王宮―

 世界全体の情勢が安定化に向かい始めたとは言うものの、中東の貧困諸国の状況は依然として悪化したまま。
 アザディスタンにおける状況は特に泥沼の様相を呈していた。
 CBショックにより経済支援を受けていた国々の援助が滞り、食糧問題が深刻化。
 更に、保守派の宗教指導者マスード・ラフマディーの死去により、今まで抑えられてきた保守派と改革派の争いが再燃し、状況は泥沼の様相を呈していた。
 辛うじて国連の援助によって完成した太陽光発電受信アンテナ施設が生きているのが救いと言えた。
 しかし、皮肉にも、その太陽光発電受信アンテナ施設の破壊テロが起きる度に、迅速にその阻止を幾度も行ったのは他でもないCBであった。
 その夜、マリナ・イスマイールは寝室で休んでいた所、窓から空気が入ってくるのを感じ取る。
「ん……」
 徐に目を開けると、小さな足音がし、窓から人影が床に伸びるのが見えた。
「そこにいるのは、まさか……」
 身体を起こしながらマリナが問いかけると、天蓋のカーテンから刹那が姿を現した。
「刹那……」
 思ったとおりの人物であった事にマリナは名を呼んだ。
「……この国は変わっていない」
 刹那はベッドに腰掛けるマリナに言った。
 マリナはその言葉に目を見開いて息を飲む。
「争いを止めても、すぐにまた新たな争いが起こる」
 低い声の中に悔しさの滲むその言葉にマリナはゆっくり首を振る。
「……あなたのせいではないわ。三年前、あなたがアザディスタンの内紛を戦いを行わずに内紛を止めた、あの行為はとても素晴らしいものだと私は思う。あの時は本当にありがとう」
 刹那は沈黙する。
 すると、マリナがはっとして言う。
「……刹那、もしかして、あなた達は戦いをやめたの?」
 数瞬の間を置き、刹那が口を開く。
「……いや。俺達は戦い続ける」
「そんな……争いからは何も生み出せない。無くしていくばかりよ」
 マリナは途端に悲しそうな表情に変わった。
「……CBに入るまでは俺もそう思っていた。だが、希望はある」
「希望……?」
 マリナは刹那の言葉に思わず声を上げた。
「この世界には希望の神がいる。世界の歪みを断ち切ったその先に……」
「刹那……」
 刹那はマリナの目を見る。
「世界を変えるまで、俺達は戦う。だから、俺と違う道で、同じものを求め続けて欲しい。マリナ・イスマイール」
 言って、刹那は窓から去って行く。
「あ、待って、刹那っ!」
 反応の遅れたマリナは慌ててベッドから腰を上げて追いかけたが、既に闇にまぎれて刹那の姿は見えなかった。
「刹那……」
 そう呟くマリナの心の中には、刹那に言われた頼みが小さな光を放つように繰り返し響いていた。
 諦めない限り、そこには希望がある。


―ラグランジュ2―

 コロニー開発すら行われていない宙域。
 その場所には小惑星を改造して建造された全長15kmにも及ぶ超大型艦、コロニー型外宇宙航行母艦CBが光学迷彩を張り巡らせて密かに存在していた。
「ツインドライヴ搭載機……まさかこんなに揃える事になるとはなぁ……」
 いくらなんでも過剰すぎるだろう、と思いながらも、ガラス越しにイアン・ヴァスティがズラリと並ぶ幾つもの格納庫を見て呟いた。
「新規製造のGNドライヴの同調率は各ドライヴに合わせてあるので、恐らく問題は無いでしょう」
 やや薄嫌いガラス張りの室内、幾つものコンソールを前にメンバーが作業を続ける中、イアンの隣に立つアニュー・リターナーが手持ちの端末を見ながら言った。
「擬似GNドライヴでの検証は済んだ。後はオリジナルの太陽炉でそのマッチングテストをクリアして安定稼働領域に入れば……」
「……それは問題なく上手く行くよ、イアン・ヴァスティ」
「おぉ?」
 その声の主にイアンは振り向いて言った。
 リボンズは片手で示して尋ねる。
「どうせならガンダムマイスター達を招集するかい?」
「ふむ……マッチングテストだけなら別に呼ばんでも良いと思うが」
 イアンは軽く頭を掻く。
「なら、あたしが起動させても良い?」
 そこへ、席についていたメンバーの一人であるヒリングが振り向き、自分を指さして言った。
「起動させてみたいのかい、ヒリング?」
「もっちろん!」
 興味深々という表情で返したヒリングに、リボンズはイアンを見ると肩を竦め、好きにすると良い、というのを理解し、軽く笑う。
「構わないよ」
「やった!」
 ヒリングは腕をグッと構えた。
「どれにするんだい?」
「Zガンダムが良い!」
 言って、ヒリングは席から離れて、すぐに移動を始め、それを見送りながらイアンが言う。
「よぉし、ZガンダムでGNドライヴのマッチングテストの準備だ」
「了解」「了解です、師匠!」
 席についていたフェルト・グレイスとシェリリン・ハイドが返答し、Zガンダムの格納庫の隔壁を開き、GNドライヴの換装作業を開始する。
 CBT-002、2ガンダム(ゼータガンダム)。
 0ガンダム、1(アイ)ガンダムを経た、新たな後継機。
 元ガンダムエクシアのGNドライヴと同調率が合うように新規製造されたGNドライヴを接続し、ヒリングがコクピットに乗り込む。
「GNドライヴ、接続確認しました。Zガンダム、各部問題ありません」
「太陽炉二基、正常に稼働中です師匠」
 フェルトとシェリリンの報告を聞き、イアンが言う。
「よし、マッチングテストを始める。やってくれ、ヒリング」
[りょーかい。GNドライヴ、リポーズ解除]
 軽い声でヒリングがZガンダムを起動させる。
「トポロジカルディフェクト、規定状態より高位へ推移。ツインドライヴの粒子同調率、36…37…40…47…49…55…58…60%を突破しました」
「80を超えれば安定稼働領域に入るが、余裕そうだな」
 進捗状況にイアンは落ち着いて言い、リボンズとアニューも黙ってその経過を待つ。
「76…78…80%。突破、しました」
「よし!」
 イアンは手を叩いた。
「やったぁ!」
 シェリリンは両手を上げて声を上げた。
「90…91…92…93…94…95…96…95…94%。……同調率、95%で安定しました」
 Zガンダムは穏やかに、しかし、夥しく緑色のGN粒子を放出し続ける。
「95%……凄まじい数値だな……。二つの太陽炉を同調させ、粒子生産量を二乗化する……」
 目の前の光景にイアンが驚いて呟き、
「イオリア・シュヘンベルグの予見した新たなガンダムの主機関理論……」
 アニューが続いた。
「そう、これがツインドライヴシステムさ」
 フッと、リボンズは微笑んだ。





本話後書き
打ち切りを匂わすネタタイトルで1stを終わらせましたが、ツインドライヴを出すためには時間経過をさせざるを得ず、どういう導入にしようかと悩み、気がついたら二週間経っていました。
多分2ndは跡形も無いので、実際跡形も無い筈です。
そして予告通りその他板に移転しました。
また、25話の感想返しにつきましては、7/14時点では時間の関係でまたの機会に行わせて頂きたいと思います。



前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.026211023330688