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No.27528の一覧
[0] 【ネタ完結】私設武装組織ソレスタルキュービーイング(ガンダム00+キュゥべえ)[気のせい](2011/10/02 14:33)
[1] QB「皆僕のつぶらな瞳を見てよ!」[気のせい](2011/05/04 18:36)
[2] 変わりすぎるかもしれない世界[気のせい](2011/05/04 19:19)
[3] QB折衝[気のせい](2011/05/04 19:15)
[4] 僕に仕事を下さい[気のせい](2011/05/04 23:14)
[5] 管制官「こんなの絶対おかしいよ」[気のせい](2011/05/05 18:25)
[6] QBキャンセル[気のせい](2011/05/06 17:49)
[7] 次出たらぶん殴る[気のせい](2011/05/06 17:49)
[8] QB「本話の存在は了承されたよ」[気のせい](2011/05/08 17:24)
[9] 人革連「罠が仕掛けられない……だと」[気のせい](2011/05/08 17:51)
[10] QB「アレルヤ・ハプティズム、君の出番は余り必要性が無いよ」[気のせい](2011/05/08 18:45)
[11]  計 画 通 り[気のせい](2011/05/08 21:56)
[12] 金ピカ大使「私の頭の上にエンジェルの輪が見えるようだよ」[気のせい](2011/05/11 12:45)
[13] QB「もう少し我慢しててよ」[気のせい](2011/05/22 14:55)
[14] 三位一体「出番は?」 紫HARO「ネェヨ! ネェヨ!」[気のせい](2011/05/18 23:01)
[15] 三陣営首脳「我々って、ほんとバカ」[気のせい](2011/05/18 23:32)
[16] スメラギ「死相が見えるようだわ……」[気のせい](2011/05/21 16:01)
[17] 紅龍「浴室は無かった事にしよう」[気のせい](2012/05/30 18:52)
[18] 刹那「戦っているのか」 MS「戦っているわ」[気のせい](2011/05/23 21:11)
[19] MS「タダ飯! タダ飯!」[気のせい](2011/09/30 09:00)
[20] イアン「美人ならおk」 リンダ「あなた?」[気のせい](2011/09/30 09:03)
[21] サジ「ちゃんとご飯食べてる? 朝御飯食べないと力でないよ。育ち盛りはしっかり食べないと成長に支障が出たりするし、いくらナノマシンあるっていっても」[気のせい](2011/06/17 16:00)
[22] アレルヤ「刹那、それがGNタクシーの力だ!」[気のせい](2011/06/24 15:20)
[23] ロックオン「ハロ、Sレベルの秘匿義務って何かあったか?」[気のせい](2011/09/30 09:04)
[24] QB「CBの戦いはこれからだよ!」[気のせい](2011/06/30 23:47)
[25] QB「正しく2nd始まるよ!」[気のせい](2011/07/16 17:46)
[26] そんな機体名で大丈夫か。[気のせい](2011/07/22 23:25)
[27] 頭に……響くんだよォッ!![気のせい](2011/08/04 13:12)
[28] ヒリング「あたしの出番よ!」[気のせい](2011/08/30 13:32)
[29] 私マリナ・イスマイール。[気のせい](2011/08/21 04:05)
[30] トレミー「俺TUEEEEEEEE!」[気のせい](2011/08/30 15:58)
[31] ルイス「サジィ!」 サジ「ルイスゥ!」[気のせい](2011/09/22 21:10)
[32] アレルヤ「この期に及んで僕だけ原作イベントなのはどういう事なんだろうね……」[気のせい](2011/09/24 22:00)
[33] ミレイナ「アーデさんアーデさん! お話しして下さいですぅ!」[気のせい](2011/09/25 22:04)
[34] ELS「やあ」[気のせい](2011/09/30 09:07)
[35] ELS「待ってよー!」[気のせい](2011/09/30 08:51)
[36] 刹那「ネ申!」[気のせい](2011/09/30 09:35)
[37] ラッセ「なあ……最初から刹那だけテレポートすりゃ良かったんじゃないのか?」 スメラギ「それは言わない約束なの。でないと私達の出番無いわよ?」[気のせい](2011/10/02 19:25)
[38] 【小話】ミレイナ「魔法少女についてどう思うですか?」 スメラギ「これだから思春期は……」[気のせい](2012/03/16 23:13)
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[27528] アレルヤ「刹那、それがGNタクシーの力だ!」
Name: 気のせい◆050021bc ID:899ac1f2 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/06/24 15:20
―UNION領・テリシラ邸―

 テリシラ・ヘルフィは端末に絹江・クロスロードからのメールが届いた事に気づき、手に取る。
「これは……予想以上に早かったな」
 テリシラは文面を見るまでは、別の方法を取ることも考慮に入れなければならないと思っていた矢先だった。
 個人的親交があるのか……詳細は分からないが待っていればいずれ何らかの連絡又は接触がある可能性は高い。
 彼女の身辺に無用な危険が及ぶこともないだろう。
 テリシラは絹江に問題の手紙を暁美ほむらに渡してくれた件についてメールで感謝の返事を出した。
 そこでふと、テリシラは思う。
 彼女がヴェーダにとって要注意人物に指定されたという事は問題のある情報を知り得る機会があった筈だが……だとするとその原因は一体……。
 テリシラは光彩を輝かせ、ヴェーダから他に要注意人物に指定されている人間がいないか情報を探り始める。
 するとすぐにレイフ・エイフマンを見つける。
「な、エイフマン教授もか」
 しかも重要度は絹江・クロスロードより上……。
 テリシラはエイフマン近辺の情報を探ると、あるビジョンに行き着く。
 このビジョンに映る少女は……恐らく。
 そこへ丁度、電話が掛かる。
 テリシラは着信番号を見てすぐに気づく。
「レイヴか」
 言いながら、接続をする。
[ドクター、こんばんは。お時間宜しいですか?]
「こんばんは、レイヴ君。構わない。丁度私からも朗報があってね。先に話を聞こう」
[は、はい。ヴェーダから情報を引き出していたら、リジェネ・レジェッタが仲間だと分かったんですが……]
 レイヴ・レチタティーヴォは少し困ったような声色で言った。
「リジェネ・レジェッタ……ああ、なるほど。それは考える必要があるな」
 テリシラは納得するように答えた。
[はい……僕もそう思って]
 リジェネ・レジェッタは既に自身がイノベイドである自覚があり、かつCBに直接関係している。
 六人のイノベイドに暁美ほむらを加えた七人で構成する新たな監視者という存在を考慮すれば、CBに直接関わっておらず、覚醒もしていないイノベイドが適切であるのは当然の事。
 レイヴとテリシラは互いに思うところは同じであり、リジェネの覚醒については保留で意見は一致した。
 そして、イノベイドが社会に多数存在している以上、その中からヴェーダが自分達に選ばせようとしているのは、六人の仲間の候補が複数いることを意味し、仲間に入れるかどうかの判断も任せている可能性もあるとテリシラが言った所でひとまず話がつく。
[それで、ドクターの朗報というのは?]
「例の魔法少女に私のあるだけの連絡先を伝える事ができてね」
 レイヴが驚く。
[もう!? 早いですね!]
「私も少し意外だった。ただ、暁美ほむらが接触を図って来るかどうかは分からない。もしいつまで経ってもこなければ、探しに行かなければいけない上に、会ったとして監視者の話を受けるかどうかはかなり怪しい」
[そう……ですね]
「今のところは連絡が来ると期待して待つとしよう。……そうだ、試しにと言っては何だが、レイフ・エイフマン近辺の情報の中にある、最近撮影された写真に共に映る少女もイノベイドである可能性が高い。見てみると良い。もしそうなら捜索するイノベイドの型に追加だ」
[はい。レイフ・エイフマン……]
 言われて、レイヴはヴェーダの中から情報を探り出す。
[あ! この子仲間です!]
「何?」
 イノベイドの型の一つである事の確認だけには済まず、ハナミは六人の仲間の候補者であった。
[でもドクター、この子、覚醒しているかもしれないですよね]
 エイフマンが要注意人物に指定されているのであれば、その監視としてヴェーダの特殊ミッション用に既に覚醒している可能性がある。
「いや、そうとも言えない。覚醒しているのだとしたら、わざわざ写真を撮るような行動は普通はしないだろう。いずれにせよ、確認しないと分からないがね。レイヴ君、明日時間はあるか?」
[えっと、学校は……休みます]
 レイヴにとって覚醒した今となってはジュニア・ハイスクールと仲間探し、どちらが重要かなど明白。
 言いかけた矢先、思い直してそう答えた。
「良い判断だ」


―CBS-70プトレマイオス・リニアカタパルト―

[射出準備完了。タイミングをキュリオスに譲渡]
 リニアカタパルトでキュリオスの射出準備が整い、フェルト・グレイスからの通信が入った。
「アイハブコントロール。イアンさん、準備は良いですか?」
 アレルヤ・ハプティズムが振り向かずに尋ねる。
「おお、いつでも良いぞ」
 操縦席の後ろからイアン・ヴァスティが軽く答えた。
「……了解です。ブリッジ、キュリオス、飛翔する」
 アレルヤは操縦桿を倒し、キュリオスを発進させる。
 リニアフィールドに軽く火花を散らせながらキュリオスはリニアカタパルトから勢いよく飛翔し、地球大気圏・太平洋上に向けて進路を取る。
「それにしても、本当にGNアームズと強襲用コンテナがあった方が良い状況になってきましたね」
「そうだなぁ、だがまあ一時的にほとぼりが冷めるまでの対応だ。いちいち物資の運搬に海中に潜らされるのはごめんだ。ロックオンと合流して作業が終わったらフェレシュテの基地でガストユニットに換装して宇宙に帰るぞ」
 イアンはこれから地上での活動で補給がやりづらくなるなとため息混じりに言った。
 キュリオスは大型GNバーニアユニットを装備する事でガンダムキュリオスガストという状態になると、GNアームズ無しでも単体で大気圏離脱が可能となる。
「了解です。ですが、フェレシュテと直接接触して良いんですか?」
 アレルヤは確認するように尋ねたが、イアンは普通に答える。
「存在を知った以上、今更だ」
「そういうことなら。……そろそろ大気圏に突入します」
 イアンを乗せたアレルヤの駆るキュリオスは、地上太平洋スポットの島々に置いてあるプトレマイオスの格納コンテナと同型の物を、経済特区東京の海に沈めてあるエクシア用のコンテナと同様に、海中に隠す作業をする為に大気圏へ突入していった。


―UNION領・エイフマン邸―

 テリシラは待ち合わせ場所でレイヴを拾い、車を走らせ、都心郊外にあるエイフマンの邸宅の方角へと向かった。
 適当な駐車場で車を止め、二人は徒歩でエイフマンの邸宅へと歩く。
「ドクター、直接会いに行って大丈夫なんでしょうか」
 不安そうなレイヴに、テリシラは片手を軽く身体の前に掲げて言う。
「もし彼女が覚醒していなかった場合、電話で君が私にいきなり言ったようにイノベイドだと伝えるのはエイフマン教授の事情を含め問題があるだろう。私は君の電話で覚醒したから良いが、これからはそうはいかないんだ」
「そ、そうですね……」
 レイヴは思い返してみれば、赤の他人にいきなり「あなたは人間ではない。イノベイドだ」と言うのがいかに変な人に思われるだろうかと想像した。
 話しているうちにエイフマンの家に到着し、テリシラが迷わず呼び鈴を鳴らす。
 しばらくすると、
[どちら様ですか? って、あー!! テレビに映ってたドクター・テリシラ! あ、ちょっと待ってて下さい!]
 ハナミが立て続けに言って、どうやら通信が切れたと二人はすぐに分かった。
 レイヴが少し呆気にとられたように言う。
「……なんか、完全に子供そのものですね」
「君も子供だろう」
「ドクターこそ30代後半にはとても見えませんよ」
 レイヴとテリシラがちょっとした会話を交わすと、勢いよく玄関の扉が開いた。
「お待たせしましたー!」
 たたっとハナミが門に駆けてきて、
「どうぞ!」
 と言いながら門を開けた。
「あ、ああ。失礼する」
 テリシラはハナミに対し、警戒心の薄さに少し心配になった。
 レイヴも流れで二人に続き、玄関から家の中へと上がる。
 客間に案内され、二人はそのまま普通に席に座ると、程なくしてハナミが飲み物を持って現れ、それぞれに出した。
 二人が軽く礼を言った所でハナミは首を傾げてあることを口にする。
「ところで、プロフェッサーはお仕事で今いないんですけど、今日は何のご用ですか?」
「っ」
 テリシラは思わず口にしていた茶を吹き出しかけるのを堪え、微妙な目をして言う。
「……上がった私達が言うのも何だが、そういうのはインターホンで最初に確認するものだよ」
 レイヴもうんうんと頷いた。
 ハナミはしまったと声を上げる。
「あー! ドクターがいらっしゃったのでうっかり案内してしまいました」
「そ、そうか……」
 とんだうっかりだな、と思いながらテリシラはレイヴを顔を見合わせると、恐らく同じ事を考えているであろう微妙な表情をしていた。
 間違いなくこの少女は覚醒していない、と。
 テリシラとレイヴは互いに頷く。
 そしてテリシラは、ハナミを覚醒させようとしている事にヴェーダから止めるように指示も来ていない為、すぐに済ませるべく、光彩を輝かせる。
「え?」
 すると、ハナミの光彩も輝き出す。
 呆然としてハナミは立ち尽くし、ほんの少しするとフラフラと倒れかける。
「危ない」
 慌てて席から立ち上がったレイヴがそれを受け止め、向かいの席に座らせた。
 一時的に気を失い、ハナミは目を閉じて席でぐったりした。
「ドクター」
「一時的に気を失っているだけだ」
 ハナミに近づき状態を見てテリシラが言った。
「そうですか……良かった」
 レイヴは安堵して、テリシラと共に席に座る。
 ハナミを見ながら、レイヴが少し気まずそうに言う。
「ドクター、勝手に覚醒させて良かったんでしょうか……」
「……気持ちは分かるが、それは私も君も同じだ」
 覚醒したイノベイドとして、使命を優先するのはやむを得ない。
「すいません、ドクター。僕が電話を掛けなければドクターは普通に生活していたのに……」
「気にしなくて良い。それに、レイヴが私に電話をかけなければ、私は近いうちヴェーダに帰還させられていただろう」
 テリシラはやや皮肉めいて言った。
「ドクター……」
 程なくして、ハナミが気を取り戻す。
「んん……私は……」
 身体を背もたれからおこす。
「私はイノベイド……六人の仲間の一人。プロフェッサーを監視する存在だった」
「いきなり覚醒させて済まない。テリシラ・ヘリフィだ」
「僕はレイヴ・レチタティーヴォ」
「ドクター、レイヴ……。私はハナミです。よろしくお願いします」
 徐々に状況が掴めてきた様子でハナミは言った。
「気分はどうかな?」
「えっと、大丈夫です。私人間じゃなかったんですね。何か変だなーとたまに思ってたんですけど、何かスッキリしました」
 言って、ハナミはにっこりと笑った。
 それを見てレイヴとテリシラは心なしかホッとした。
 落ち着いた所でレイヴが尋ねる。
「良かった。それで、ハナミにも何か能力が?」
 ハナミは人差し指を顎にあてる。
「んー、太陽炉を制御する能力、みたいです」
 太陽炉の制御。
 それはオリジナル太陽炉、疑似太陽炉問わず停止・稼働させることが可能な能力。
「太陽炉を制御する能力……」
「私達とはまた違った方向性の能力だな。もう一つ確認するが、エイフマン教授の監視についてヴェーダから何か指示は来たか?」
「ヴェーダからは今まで通りプロフェッサーと暮らしているようにと指示が来ました。だから私嬉しいんです。プロフェッサーは私がCBに送られてきた者だと分かっている筈なので、その私も自分の正体が分かったのは何となく気が楽で」
 本当に嬉しそうな表情をハナミはしていた。
「なるほどな」
「ところで、この魔法少女って何なんですか?」
 唐突にハナミが悩ましい顔をして尋ねた。
「ヴェーダから送られてきた情報の通りだよ。実際にそう言うことが起きているらしいんだ」
 レイヴがそう説明し、しばらく三人は話をした。
 その結果、ハナミはこれまで通りエイフマンの家で生活を続け、仲間探しはレイヴとテリシラが引き続き行う事になった。
 ハナミに見送られ、玄関を出て二人はその場を後にする。
「意外な能力でしたね」
「私達は監視者というよりもしもの時のストッパーのような役割に近いのかもしれないな」
「あぁ、確かにそうかもしれませんね」
 そんな会話をしながら、二人は駐車場に戻り車に向かう。
 車がもうすぐという矢先、
「ッ!」
 レイヴが何かに感づき僅かに身体を動かした瞬間。
 銃声が響いた。
「っぐゥ」
「レイヴ!」
 即座にテリシラがレイヴを庇うように動くと、前方から突然現れて銃撃を放った長い銀髪の人物が舌打ちをする。
「似非人が……」
 言って、その人物は驚異的な速さで走り出して去っていく。
「貴様!」
 テリシラは犯人に向かって叫んだが、すぐにレイヴの状態を看る方を優先する。
「レイヴ!」
 テリシラはレイヴの身体を地面に倒し、急いで銃撃を受けた胸部を見る。
 するとテリシラは希望を持った表情で叫ぶ。
「これなら、間に合う!」
 テリシラは車に走り、常に携帯していた医療用鞄を出し、レイヴの応急処置を始めた。
 音を聞きつけた近隣の住人が何事かとやってくる足音を耳にすると、テリシラは先に声を掛けた。
「救急車を呼んでくれ!」
 ……その後、テリシラはレイヴに応急処置をし終え、丁度遅れて到着した救急車にレイヴを任せ、自分も車で病院へと向かったのだった。
 レイヴが銀髪の人物にどうやってか感づいた瞬間、僅かに身体を動かして急所を免れた事、テリシラの迅速な対応により、レイヴは一命を取りとめた。

 一方、エイフマンの家にいたハナミはレイヴが一命を取りとめた後、ヴェーダからレイヴが撃たれた事をビジョンで見た。
 慌ててテリシラの携帯に連絡を入れると、レイヴが助かった旨のメールが簡潔に帰ってきて安堵したのだった。
 そして夜、エイフマンが帰宅し、ハナミは普段と変わらずエイフマンを出迎えて、一緒に夕食を食べ終える。
 そこでどうも微妙な様子をしていたエイフマンにハナミが言う。
「プロフェッサー、私少し変わったように感じますか?」
「あ……ああ」
 図星であった為、エイフマンは少し動揺する。
 するとハナミはかなり真剣な顔をする。
「プロフェッサー、実は私……自分の正体、分かったんです。今までプロフェッサーを無意識のうちに監視していた事も理解しました」
 エイフマンは沈黙する。
「それでも、私はプロフェッサーの助手で、私はプロフェッサーと一緒にいたいです。だから、これからもよろしくお願いします」
 言って、ハナミはペコリと頭を下げた。
 しかし、数秒、エイフマンは沈黙したままだった。
 それにハナミはうぅ、と恐る恐る少し涙目で顔を上げる。
「だ……駄目……ですか?」
 エイフマンはハナミの顔を見ると、悟ったようにふっと微笑み、首を振る。
「そんな事はない。儂からも宜しく頼む」
「プロフェッサー! ありがとうございます!」
 その言葉にハナミは両手をあわせ、満面の笑みを浮かべて喜んだ。
 その様子を見てエイフマンは思う。
 ハナミが自覚を持ってもここにいたいと言うのは……そういう事なのじゃろうて。


―日本・群馬県見滝原市・とあるビルの屋上―

 深夜、少女はいつも通り黒い結晶を使用し終えては、空にそれを放り投げていた。
 それを上手にキャッチしながら徐にQBが尋ねる。
「テリシラ・ヘルフィには連絡しないのかい?」
 手紙を受け取った割にはこの数日まるで動く気が無い少女にQBは確認するように言った。
 少女は返答に少し間を開ける。
 QBが何をしているのか大体分かった、つまり、QBがCBに関与する動機について引っかかっていた事がある程度推測できた以上、少女はわざわざ確認に行く必要も無いかと感じていた。
 本当に私に会う必要があるなら、あちらから探しに来るだろうし、と。
「……そうね。連絡しなくても必要があればあちらからそのうち来ると思っているわ。それに連絡するぐらいなら直接行く方を取りたいけれど、あなた達はともかく、アメリカに行くのは少し手間がかかる」
 そう抑揚の無い声で言って、少女は結晶を一つ摘んで放り投げる。
 飛行機で密航するのは待っているより手間が掛かるのは事実。
 少女に電話で連絡する気が余り無いのは、予め連絡しないで直接勝手に行けば、会わずして様子を見る事ができるから。
「それなら一つ教えておくよ」
 QBはそう言って、密航の手間が余り掛からないある方法を伝えた。
 対して、それを聞いた少女は少し目を細めた。
 その方法が微妙だったのもあるが、QBの方から少女にアメリカに行くのを勧めるように言う意図がはっきりしない。
 ましてや少女に手紙が渡った時は「早かったね」とQBは言い、できればもっと時間を掛けて欲しいようですらあったが故。


……レイヴが銃撃を受けてからというもの。
レイヴの状態は安静にしていれば問題なく、レイヴ自身も術後すぐに意識を取り戻し、病室で普通に会話ができた。
テリシラは目にはっきりと見たレイヴを銃撃した犯人について、詳しくヴェーダから情報を探ると、それがラーズ・グリースという130年前に社会に放たれたイノベイドである事を知った。
ラーズは当時のイノベイドの妻、子供と生活していたが、妻と子供はヴェーダによって覚醒されたにも関わらず、ラーズ自身は覚醒させられなかった。
散々妻を探し回って、ラーズは妻を見つけると別人に変わってしまっている事を知り、動揺。
その場にいた塩基配列パターン0666の赤い髪のイノベイドがラーズを邪魔だと判断し始末しようとナイフを投げつけ、ラーズは左目を負傷、その後激高して妻もろとも殺害してしまった。
その負傷によりラーズはヴェーダとのリンクが途切れてしまい、それ以後、ラーズはヴェーダの指示によって抹殺に現れたイノベイドと遭遇するが、それら全てを逆に殺害した。
以降、ラーズはイノベイドを人間でない者、似非人と呼び、同じ容姿をした者達を殺害し続けるイノベイドハンターとなった。
ラーズの狙うイノベイドの型の中にはレイヴと同じ塩基配列パターン0026も含まれていた。
その為、ラーズはレイヴを狙ったのだった。
テリシラはレイヴにラーズについて分かった事を話し、離れていると危険だとして、医療器具の揃っているテリシラの邸宅にレイヴを移送、そこで療養させる事になる。
そんなベッドで休むばかりでする事の無いレイヴは、ならば仲間探しをすると言い、テリシラに無理はするなと言われたが、役立ちそうな情報媒体をベッドの近くに用意された。
その際テリシラがそういえば見せていなかったとラーズの写真を見せると、ラーズがまさかの六人の仲間の一人であることが判明。
ラーズが出現する場所が分からない事から対応は保留する事として、レイヴが仲間探しを続けること数日。
レイヴは新たな仲間、金髪の子供のイノベイド、ブリュン・ソンドハイムを発見、テリシラはそれを受けて、覚醒させたらすぐに戻ると言ってAEUに飛んだ。
一方、太平洋上の島のコンテナを海中に沈め、カモフラージュを終えてキュリオスが空に戻った頃、CBでは次のミッションが決定していた。


―UNION領・経済特区・東京―

 夜、刹那はマンションを出て人気の無い港へと向かう。
 倉庫の並ぶ場所で周囲を確認し、刹那は光の加減でどこまでも続く暗闇のカーテンのような海へと飛び込んだ。
 勢い良く潜っていくと、海底にエクシアの格納コンテナが見え、慣れたように通用口を開いて海水と共に中へ入り、即座に隔壁を閉じる。
 自動的に海水が排出され始めるのを無視して刹那は、手すり付きの垂直階段を上がり、上の隔壁へと進む。
 そこで刹那は濡れた服の上からパイロットスーツを着る。
 すると濡れていた服は即座に乾燥されていき、刹那はそのままヘルメットを取って更に次の隔壁を開いた。
 その部屋は格納コンテナの上層部、ガラス張りからガンダムの整備状況を見る事のできる場所。
 刹那はすぐ近くの扉を開き、今度は階段を伝って下へと降りる。
 出た先にはエクシアが横倒しになっていて、刹那は素早く機体の上へと登りながら声帯認証システムでエクシアのコクピットを開けて中へ入り、起動させる。
「GNシステムリポーズ解除。プライオリティを刹那・F・セイエイへ」
 コンソールモニターに文字列が表示され、センサー類が次々と稼動していく。
「コンテナハッチオープン」
 コンテナのガンダム出撃用のハッチが開き、海水が中に流れ込むが、それに構わずエクシアが立ち上げられ発進する、寸前。
「センサーに生体反応?」
 ピピという音が鳴り、エクシアに向けて何かが泳いで接近してくる。
 エクシアのセンサーはすぐにその生体反応を有視界で捉え、モニターに拡大表示する。
「暁美、ほむら……?」
 何故ここに。
「刹那、エクシアの肩か手にほむらを乗せて上げてよ」
 忽然とQBが刹那の目の間のコンソールの所に現れて言った。
 その姿を見た刹那は目を見開く。
「QB」
「この場所は僕らが教えた。ほむらはアメリカ大陸に行く用事があるんだけど、最近の航空機に隠れて乗るのは手間が掛かるからね。丁度刹那も行き先は同じだろう?」
 そうQBが話しかけているうちに、少女はエクシアの丁度胸部の前あたりで平然と待機し始める。
 刹那は数秒黙って思い詰めた後、低い声で言う。
「分かった」
 するとエクシアは左手をゆっくり前に出す。
 少女はそれを見て左手に近づき、その上に乗った。
「……呼吸は?」
 刹那は根本的な事に気づく。
「ほむらは魔法少女だからしばらく呼吸ができなくても、大気の薄い上空でも大丈夫だよ」
「そうか」
 QBの発言を真に受けて、刹那はそのままコンテナからエクシアを発進させる。
 QBはそこまででフッと姿を消した。
 エクシアがゆっくり浮上すると、コンテナのハッチは自動的に閉まり、海水を排出し始めた。
 一方でエクシアはある程度の水深まで到達すると、海中を南東の方角へと、少女を落とさないよう進み出す。
 しばらくして、エクシアは更に浮上を始め、海上へと出る。
 月と星明かりが夜の海を仄かに照らし、光を受けた水面のあちこちが輝く。
 そんな中、水中から出た少女の姿は一切濡れていなかった。
『高度を上げる』
 刹那はスピーカー音を絞って言った。
「問題ないわ。運んでくれてありがとう」
 刹那は簡潔な少女の声をマイクで拾い、そのまま高度を上げる。
 みるみるうちに海は眼下に離れ、エクシアは空へ。
 一定の高度に達するとエクシアは前傾姿勢で一路、ロックオン・ストラトスと合流するべく南国島へと向かった。
 数時間後。
 夜を抜け、日の出を迎え、そして現地時刻で午前中に南国島付近の上空に到着。
 エクシアは徐々に高度を降ろし、岩場の前に待機しているデュナメスの近くに着陸し、膝立ちになる。
 左手を地面につくように降ろすと少女は軽やかに降りた。
 エクシアは直立しなおし、すぐに刹那がコクピットハッチを開けて出て、ワイヤーに掴まって降りる。
「よぉ刹那着いたか……って、あぁ!?」
 丁度森の方からやってきたロックオンが視界に入った少女に盛大に叫び、
「ロックオン」
 ワイヤーから降りると同時に刹那はロックオンの名を普通に呼んだ。
「改めて、運んでくれてありがとう。お邪魔します」
 少女は刹那に声を掛け、ロックオンに振り向いて会釈した。
「ああ……いらっしゃい?」
 ロックオンは訳が分からず疑問系で返した。
 って、お邪魔します、じゃねーぞおい!
「ちょっと刹那。……こっち来い」
 続けてロックオンは刹那に顔を向けて手招きする。
 すると刹那は小さく頷きいつもの仏頂面でロックオンに近づいた。
 ロックオンはガッと刹那の肩に腕を回して少女に対して背が向くようにして、小声で尋ねる。
「刹那、これはどういう事だ」
「東京湾のコンテナハッチから出撃する時、泳いでエクシアの前に現れた。QBもコクピットに現れ、アメリカ大陸に運んで欲しいと言われた」
 刹那は低い声でボソボソ言った。
「で、連れてきたのか?」
「ああ」
 肯定。
「あぁ……」
 ロックオンはため息をついた。
 アメリカ大陸って何だよ……。
 そのまま自然に腕を離し、少女の方に振り返る。
「あー、ほむらさんよ、アメリカ……大陸に行きたいのか?」
「そう」
「パスポートは……」
 思わずロックオンの口から単語が滑る。
「300年ぐらい前はそんな物も持っていたけれど、捨てたわ」
 風化したし。
 ロックオンは右手で頭に触れ、ぎこちなく笑う。
「だよなぁ……はは」
 って普通ねぇよ……。
 無いなら作ればって、戸籍もバイオメトリクスも保存されて……無いよな。
 ロックオンは頭から右手を離し、前に出して尋ねる。
「一応言っとくが、アメリカ大陸って言っても俺達がこれから行くのは南米なんだが、ほむらさんが行きたいのはアメリカ大陸のどこだ?」
「北米ですが南米で構いません」
 少女は言い切った。
「そうかぁ」
 何がどう構わないんだよ……。
 北と南じゃ全然違うだろ……。
 しかも作戦ではいつも通り目標ポイントには上空から直接降下する以上一旦どこかで降ろすってのもな……。
 ロックオンは壮絶に微妙な顔をして、やがて考えるのを諦める。
「分かった。アメリカ大陸までだな。よし刹那、時間だから行くぞ」
「了解」
 刹那とロックオンはそれぞれガンダムのワイヤーを降ろす。
 二人はワイヤーに掴まりコクピットまで上がるが、刹那がそのままコクピットに入ろうとするのを見てロックオンはすかさず声を掛ける。
「おい刹那! ほむらさんコクピットに入れてやらないのか」
 その声が聞こえた刹那は再びコクピットの奥から戻って来て言う。
「入れて良いのか」
「良いのかって、来る時入れたんじゃ……あ? まさか」
 ロックオンは刹那が降りてきた時の事を思いだすが、それより今必要な事を考えると、下にいる少女に向かって声を掛ける。
「悪い気にすんな刹那。ほむらさんよ、こっちに乗ってくれないか?」
「遠慮しておきます」
 少女は即答して足を軽く曲げると、一気に飛び上がり、エクシアのコクピット付近にフワリと着地した。
「な」「なっ」
 それを目の当たりにした刹那とロックオンは絶句した。
「……入れて貰えるかしら」
 少女がそう尋ねると、一瞬間を置いて刹那は頷き、中に入った。
 少女も続いて入ると、コクピットハッチが閉まってしまう。
 完全に拒否されたような形になったロックオンは固まっていたが、そこへ定位置に収まっていたHAROが音声を掛ける。
「フラレタ! フラレタ!」
「そうじゃねぇよ……」
 明らかに厄介に思われただけだ。
 俺が質問するって分かってやがるな……。
 つか、今の跳躍力は何だぁ……。
 は、とため息を吐いてロックオンも中に入ってコクピットハッチを閉めた。
 ロックオンは刹那に通信を入れる。
「行くぞ、刹那」
[了解]
 そして、デュナメスとエクシアは南米へ進路を取りながら高度を上げていく。
 今回のミッションは南米の紛争地域での武力介入。
 リリアーナ・ラヴィーニャはブラジルに位置するUNIONの軌道エレベーター、通称タワーのとあるホテルに滞在していたが、エージェントの調べによると、数日置きにそのホテルを空けているという情報が入っていた。
 つまり、リリアーナの出現する確率が非常に高い中でのミッション。
 それでも、魔法少女が現れるからという理由でCBが活動を止める訳には行かない。
 そして、このような事について刹那が少女に対して口を開く筈も無かった。
 終始無言で二機はかなりの上空を飛び続ける事更に数時間。
 目的の陸地南米が真下の位置に入る。
 そこでロックオンがここに来てエクシアに通信を入れる。
[悪いがミッション中でな、途中で一旦降りる訳にはいかない。直接紛争地域に降下する事になるが、降ろすのはミッション終了後で良いかい?]
「ロックオン」
「構いません。ですが、それで良いのですか?」
 少女は確認するように尋ねた。
[魔法少女の方が余程世界の機密だ。それにどっかに情報売ったりしないだろ?]
 それどころか少女には個人IDもバイオメトリクスも無い時点で保安局に取り調べられる側の存在。
「そういう事であれば」
[と言う訳だ刹那。頼んだぜ]
 ロックオンは少女の返答を聞き、刹那に振った。
「了解」
 こうして、二機は途中で少女を降ろす事無く、直接武力介入を行う予定ポイントに直接降下する事となる。
 鈍重なアンフが撃ち合いをしている場所で、エクシアとデュナメスはそれぞれいつも通り作戦行動に入る……筈であったが、久々に状況が違った。
 降下していくと予定ポイントの状況が映り、ロックオンがすぐに気づく。
 アンフが置き去り……周囲にも人影は無し……QBの仕業か?
 最近のパターンにしては初期並に徹底的だが……。
 心にどこか引っかかるが、ロックオンはすぐに通信を入れる。
「刹那、QBが出たようだが、なら手分けしてさっさと引き上げるぞ」
[了解]
 そして通信を終え、エクシアとデュナメスはそれぞれの場所に分かれて飛び、寂しく残されたMSを破壊して行く。
 何の障害も無く作戦行動を終えようかという丁度その時。
 エクシアのコクピット内にアラート音が鳴り響く。
「生体反応!?」
 それはエクシアの背後に急速接近する人影。
 左腕を前に、右腕は後ろに構え、その掌側が空を向いた右手には槌がきつく握られていた。
 気づいた刹那がエクシアを振り向かせようとした瞬間。
「はァッ!!」
 勢いに任せた跳躍と共に、渾身の力が込められた一振りがコーンスラスターの下に叩き込まれる。
 次いでエクシアが前方に猛烈な勢いで吹き飛び、前のめりに地を滑る。
「っくァ!」「っ」
 衝撃で機体内部が激しく揺れ、刹那と少女が声を上げる。
「魔法少女!」
 少女が目を鋭くして襲撃者の正体を察すると同時に追撃が来る。
「でぁッ!」
 跳躍からの柄の短い巨大化槌の振り降ろしがコーンスラスターに直撃。
「がァっ!」
 エクシアは再度衝撃を受けて地面にめり込み、周囲には罅ができる。
 リリアーナはすかさず後ろに距離を取り直し、巨大槌の先端をドリル化。
「これで!」
 振りかぶる。
「終わりだッ!!」
 容赦なく振り降ろされる槌は重い衝撃と共に、先端が平らに変形したコーンスラスターを甲高い音を出して削り始める。
[刹那ァッ!!]
 そこへ通信と共に桃色の粒子ビームが柄を貫き、槌の先端部が明後日の方角へ飛ぶ。
 リリアーナはビームの飛んできた左へ素早く視線を移す。
「っ、緑色!」
 デュナメスは即座に二丁のGNビームピストルを構え、粒子量を絞り、リリアーナに向かって牽制気味に連射する。
 リリアーナはそれを常軌を逸した動体視力で見切り、魔力を使用した瞬発歩法で右へ左へ後退して避けていく。
 ビームの着弾地点は高温で溶けるような音を出す。
「ッ、手加減してる場合じゃねぇか!」
 ロックオンはすぐに牽制を止め狙い撃ちのみの連射にシフトする。
「くぅッ」
 避け続けるリリアーナはデュナメスが射撃できなくなるようエクシアの方へ行くべく、後退から一転。
 ビームを避けながら右前方に近づく。
「盾にする気か!」
 ロックオンが狙いに気づくと同時に、地面にめり込んでいたエクシアは無理矢理機体を捻り、仰向けになる。
「逃がさないっ!」
 しかしリリアーナはすかさず巨大槌を瞬時に形成し直し、至近距離からソレをエクシア胸部に振り降ろす。
「くァぁッ!」
 が、刹那は反射的に操縦桿を動かしエクシアの両腕をクロスさせて防御。
 ロックオンからはリリアーナの姿が巨大槌とエクシアの腕に遮られて全く見えず舌打ちし、
「ッチィ!」
 デュナメスの高度を地上スレスレから斜め前方へ上昇させる。 
 エクシアの両腕と槌が強く軋む。
「やァァぁッ!!」
 全長高18.3mのエクシアを身長1m数十のたった一人の魔法少女が襲う。
 エクシアは防御を左腕に任せ右手首をリリアーナに向ける。
 GNバルカン。
 リリアーナは防御が手薄になったエクシアを一気に押しつぶそうとしたが、至近距離から粒子砲が発射されるのが視界に入る。
「ッァ!」
 瞬発的にリリアーナは一気に後退して距離を取る。
 それをエクシアの右腕が追撃。
 GNバルカンの掃射。
 リリアーナが避ける側から地面が穿たれ、土煙が上がる。
 そこへ斜め上空からも粒子ビームが降り注ぐ。
 デュナメスのGNビームピストル。
[刹那! エクシアは動けるか!]
「問題無い」
 言って刹那はリリアーナに向けてGNバルカンを絶え間無く打ち続けながら、機体を起こす。
「巻き込んで済まない」
「あなたのせいではない」
 少女は刹那の横で左手を虚空に翳す。
「私の方こそ邪魔だから消えるわ」
「な」
 するとコクピットから少女の姿が霞むように消えた。
 しかし、刹那に驚いている暇は無かった。
 急速に後方に追いやられているリリアーナが解除していた槌を自身を二機の斜線軸から覆い隠せるサイズに巨大化。
 その槌の片側を地面につけ、デュナメスの砲撃には盾になるように斜めに構える。
 更にリリアーナは素早く左手だけ動かしポケットから黒い結晶が目一杯入った透明な小型ケースを取り出し、右手首の六角形の結晶を覆うように装着してあったホルダーにソレを填め込めて手を翳し終えると、エクシアへ突撃。
 ロックオンはそれに驚き、
「まだ諦めねぇのか!」
 槌に向けてビームピストルを放つ。
 しかし、その損傷は驚く程軽微。
 当たり方よっては反射するように弾かれる。
 エクシアのバルカンも同様。
「んな馬鹿なっ! 刹那ッ、空に上がれ!」
 そう言うとほぼ同時にエクシアは真っ直ぐ上に飛び上がる。
 寸前の所で突撃は回避されるが、リリアーナも驚いていた。
 柄は駄目でも槌ならビームは防げるっ!
 槌本体の耐久力を初めて知ったリリアーナは活路を見いだした気分で槌を維持したまま、足に魔力を込めて後方上空に跳躍。
 スラスターから火花を吹かせて飛び上がったエクシアの脚部付近に一瞬にして迫り、両手でもって巨大槌を振り上げる。
「はッ!」
 再びスラスターに直撃。
「ッくぅ!」
 機体バランスが崩れ、殴られた方向へブレながらエクシアが吹き飛ぶ。
 リリアーナの動きは止まらない。
 槌をデュナメスの方向に向けたまま、柄を軸に身体だけ反転。
 即座に空を蹴ってエクシアを猛追。
 ロックオンはその戦法に舌打ちする。
「刹那に張り付く気か!」
 しかも前より動きが良くなってやがる。
 それに魔法少女ってのは空も飛べたのかよ!
 ロックオンが撃てないままリリアーナが槌を振りおろしにかかると、
「やらせるかッ」
 エクシアが振り向き様にGNソードで槌と刃を交え、衝撃音が響く。
 だが巨大槌の運動量に負けエクシアが押される。
 しかし刹那も空いた左腕をリリアーナに向け、再びGNバルカンが火を吹く。
 リリアーナは目を見開いて槌から手を離し、瞬発的に両足に魔力を強く込めて避けてみせる。
「くッ!」
 刹那が焦る。
 魔力で吸い付くように肩に膝を曲げてリリアーナはエクシアの右肩に着地。
 すぐに槌を再形成し、一気にエクシアの頭部に叩き込む。
「壊れろッ!」
 衝撃で左眼のカメラアイが破損。
「しまっ」
 リリアーナは容赦なくもう一度槌を振りかぶる。
 その映像に刹那の目が鋭くなる。
 瞬間、コンソールモニターが赤紫に変貌する。
「トランザムッ!!」


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