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No.27528の一覧
[0] 【ネタ完結】私設武装組織ソレスタルキュービーイング(ガンダム00+キュゥべえ)[気のせい](2011/10/02 14:33)
[1] QB「皆僕のつぶらな瞳を見てよ!」[気のせい](2011/05/04 18:36)
[2] 変わりすぎるかもしれない世界[気のせい](2011/05/04 19:19)
[3] QB折衝[気のせい](2011/05/04 19:15)
[4] 僕に仕事を下さい[気のせい](2011/05/04 23:14)
[5] 管制官「こんなの絶対おかしいよ」[気のせい](2011/05/05 18:25)
[6] QBキャンセル[気のせい](2011/05/06 17:49)
[7] 次出たらぶん殴る[気のせい](2011/05/06 17:49)
[8] QB「本話の存在は了承されたよ」[気のせい](2011/05/08 17:24)
[9] 人革連「罠が仕掛けられない……だと」[気のせい](2011/05/08 17:51)
[10] QB「アレルヤ・ハプティズム、君の出番は余り必要性が無いよ」[気のせい](2011/05/08 18:45)
[11]  計 画 通 り[気のせい](2011/05/08 21:56)
[12] 金ピカ大使「私の頭の上にエンジェルの輪が見えるようだよ」[気のせい](2011/05/11 12:45)
[13] QB「もう少し我慢しててよ」[気のせい](2011/05/22 14:55)
[14] 三位一体「出番は?」 紫HARO「ネェヨ! ネェヨ!」[気のせい](2011/05/18 23:01)
[15] 三陣営首脳「我々って、ほんとバカ」[気のせい](2011/05/18 23:32)
[16] スメラギ「死相が見えるようだわ……」[気のせい](2011/05/21 16:01)
[17] 紅龍「浴室は無かった事にしよう」[気のせい](2012/05/30 18:52)
[18] 刹那「戦っているのか」 MS「戦っているわ」[気のせい](2011/05/23 21:11)
[19] MS「タダ飯! タダ飯!」[気のせい](2011/09/30 09:00)
[20] イアン「美人ならおk」 リンダ「あなた?」[気のせい](2011/09/30 09:03)
[21] サジ「ちゃんとご飯食べてる? 朝御飯食べないと力でないよ。育ち盛りはしっかり食べないと成長に支障が出たりするし、いくらナノマシンあるっていっても」[気のせい](2011/06/17 16:00)
[22] アレルヤ「刹那、それがGNタクシーの力だ!」[気のせい](2011/06/24 15:20)
[23] ロックオン「ハロ、Sレベルの秘匿義務って何かあったか?」[気のせい](2011/09/30 09:04)
[24] QB「CBの戦いはこれからだよ!」[気のせい](2011/06/30 23:47)
[25] QB「正しく2nd始まるよ!」[気のせい](2011/07/16 17:46)
[26] そんな機体名で大丈夫か。[気のせい](2011/07/22 23:25)
[27] 頭に……響くんだよォッ!![気のせい](2011/08/04 13:12)
[28] ヒリング「あたしの出番よ!」[気のせい](2011/08/30 13:32)
[29] 私マリナ・イスマイール。[気のせい](2011/08/21 04:05)
[30] トレミー「俺TUEEEEEEEE!」[気のせい](2011/08/30 15:58)
[31] ルイス「サジィ!」 サジ「ルイスゥ!」[気のせい](2011/09/22 21:10)
[32] アレルヤ「この期に及んで僕だけ原作イベントなのはどういう事なんだろうね……」[気のせい](2011/09/24 22:00)
[33] ミレイナ「アーデさんアーデさん! お話しして下さいですぅ!」[気のせい](2011/09/25 22:04)
[34] ELS「やあ」[気のせい](2011/09/30 09:07)
[35] ELS「待ってよー!」[気のせい](2011/09/30 08:51)
[36] 刹那「ネ申!」[気のせい](2011/09/30 09:35)
[37] ラッセ「なあ……最初から刹那だけテレポートすりゃ良かったんじゃないのか?」 スメラギ「それは言わない約束なの。でないと私達の出番無いわよ?」[気のせい](2011/10/02 19:25)
[38] 【小話】ミレイナ「魔法少女についてどう思うですか?」 スメラギ「これだから思春期は……」[気のせい](2012/03/16 23:13)
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[27528] 刹那「戦っているのか」 MS「戦っているわ」
Name: 気のせい◆050021bc ID:899ac1f2 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/05/23 21:11
「暁美ほむら。通りすがりの魔法少女よ」
 掻き上げられた髪が元に戻る。
「魔法少女!」
「魔法……少女?」
 刹那・F・セイエイはその単語は少し前聞いたばかりだと目を見開き、絹江・クロスロードは何の事かと疑問の声を上げる。
「それに、あなた隣の!」
 銃口を向けられていながらも微動だにしない少女に、絹江は感覚が麻痺しかかるが、暗がりで良く見えなかった刹那に見覚えがある事に声を上げた。
「事情を話すにしても、ここでは不都合。もう一度頼むわ。貴方の部屋に上がらせて貰えるかしら?」
 少女の一切揺らがないその目に刹那は一瞬動揺し、銃を構えるその手が震える。
 刹那は思考を回転させる。
 暁美ほむらは魔法少女。
 スメラギ・李・ノリエガから聞かされた、デュナメスに攻撃を仕掛けた少女兵の呼称。
 そして絹江・クロスロードに今この状況を見られ、顔も知られている。
 そこまで考えて、刹那は鋭い目つきで警戒は緩めないが、ゆっくりと銃を懐にしまい、
「分かった」
 低い声で一言。
 少女は変わらぬ様子だが、絹江は緊張にゴクリと喉を鳴らす。
 刹那はスタスタ歩き、植え込みをサッと飛び越え、自室の玄関へ向かう途中、
「入れ」
 僅かに顔を後ろの二人に向けて言った。
 少女は無言で頷き、そちらに足を向けるが、
「絹江さん、歩けますか?」
 そう、振り返って声を掛けた。
「え……ええ。だ、大丈夫よ」
 絹江は震える声を出した。
 すると、少女はすぐに絹江に近づき、トランクを勝手に持ち、玄関の扉の前で既に待っている刹那の方へと向かう。
 引き寄せられるように絹江もようやく足が動く。
 刹那はそれを見て部屋に先に入り、少女は絹江が到着するまで待った。
 追いついた所で、無言で少女は絹江のトランクを地面から僅かに持ち上げ、ドアノブに手を掛けて、玄関の中へと入る。
 絹江は一瞬待ってと声が出そうになったが、その機は逃し、吸い込まれるように中へと入ってしまい、背後の扉が閉まった。
 部屋の中は既に刹那が電気をつけており、部屋奥の広めの窓はカーテンで完全に塞がれていた。
 絹江のトランクは玄関に置かれ、少女は黒いブーツを脱ぎ、絹江も靴を脱いで上がった。
 家具らしい家具と言えば、ベッドのみ。
 他は空のミネラルウォーターのペットボトルが一つと新聞が一つ置いてある程度。
 生活感が感じられない。
 絹江はそう思ったものの、とても今言える雰囲気ではなく沈黙した。
 少女は刹那が部屋の手前に立ったまま二人がどうするのか見ているのを気にせず素通りして部屋の中程まで進んでいき、
「座らせて貰うわ」
 ごく自然にスッと何も無い床に正座した。
 退路を断たれる位置取りに堂々と座る少女の様子を見て、絹江も恐る恐る歩みを進める。
「そ、それじゃあ、私も失礼するわ」
 言って、絹江もゆっくり腰を降ろして床に座り、肩掛け鞄も床に置く。
 刹那はそこで、位置的に三角形の頂点を描く最後の位置で無言で腰を降ろし、片足を立てた状態で座った。
 一瞬の静寂の後、様子を伺う刹那に先んじて口を最初に開いたのは少女。
「まずは上がらせてくれたこと、礼を言います」
 刹那の方を向いて軽く目を伏せ、刹那はごく僅かに頷いた。
「用件は一つ。貴方に絹江さんをCBの構成員になる事を取り図らえる人物との取り次ぎをお願いしたい」
 刹那はそう自身に向かって言った少女を見る。
 そこへ絹江が何で話が勝手にと口を開く。
「ちょっと、あの、私まだそんな」
「絹江さん、CBに参加しないなら今ここで終わりですよ」
 しかし、絹江の言葉を少女は冷淡に遮った。
「っ」
 絹江の体がビクリと震えた。
「どこまで知っている」
 そこへ刹那が怖い顔で少女に問いかけた。
「私が知っているのは絹江さんがCBについて何かを知りすぎ、抹殺が決定された事。そして、貴方がCBの構成員である事。それだけよ」
 視線と視線が容赦なく衝突する。
 少女も詳しい事情は知らない。
 否、少女にとって詳しく知る必要など無い。
「どこでそれを知った」
 尚も刹那の質問が続く。
「QB」
「QB?」
 刹那が眉をひそめた。
「出てきなさい、QB」
 少女が目を閉じ通る声で言った。
 すると、音もなく白い生物が少女と刹那の間に忽然と四足で立って現れ、その場に座る。
「QB」
 気がついた刹那は低い声で言い、絹江は自分の座る目の前の生物に恐る恐る声を出す。
「Q……B……?」
「暁美ほむら、こんな事になるなんてね」
 少し意外だったよ、とQBは言った。
 少女はQBが伝えてきた時の事を思い返す。

 少女はQBに群馬県見滝原にて自身を探している事が分かった絹江について、その際「一応何かあったら知らせて貰えるかしら」と頼んでいた。
 そして三日前の夜。
「君を探していた記者、勿体無いけど死ぬ事になったよ」
 少女の肩に乗ったQBが唐突に言った。
 僅かに反応した少女が足を止めて尋ねる。
「何故か聞かせて貰えるかしら」
「相変わらず君を探していたみたいだけど、その途中でCBについて知りすぎたからさ」
 絹江がネットワークに繋がれているのが標準の端末で、いつも通り、とある文面が書かれたファイルを保存した所、それをヴェーダが感知。
 絹江がJNN記者である素性を計算に入れ、抹殺対象に追加されたのであった。
「もう、死んだの?」
「まだだよ」
 簡潔なやりとりが続く。
 そこで少女は少し逡巡し、口を開く。
「……東京に、いえ、絹江・クロスロードの身辺の付近にCBのメンバーはいるかしら?」
 まだ、というQBの発言に少女は、ならばいつでも都合良く殺せる人物がいるのかもしれないと思い尋ねた。
「偶然だけど、記者の隣室に一人いるよ」
 それがよりにもよってCBのガンダムマイスターで殆ど関わりも無いんだけどね、とまではQBは言わなかった。
 少女はそれには流石に驚いた様子を見せたが、
「そう。場所、教えて貰えるかしら?」
 と最後にそう尋ね、今に至る。

「僕が伝えたのは今話していた通りの事だけだよ」
 QBは刹那に向かって少女の証言が真実である事を示す。
 刹那はそれを聞いて黙る。
 少女の頼みを受けなければならない訳ではない。
 だが、断る場合、この場で刹那自身が絹江にCBのメンバーである事を知られた上、何よりCBについて何かを知りすぎたというからには、放置できず、それこそ口封じする必要がある。
 そしてもう一つ。
 魔法少女と名乗り、QBと知り合いのようであり、出てきなさいとまで言える暁美ほむら。
 情報を聞き出す必要がある、と刹那は思った。
 スメラギ・李・ノリエガに戦術を求める。
「……分かった。連絡をする。そこを動くな」
 刹那は立ち上がり、端末を持って奥の部屋に行った。
「絹江・クロスロード、まだ決まった訳ではないけどほむらに感謝すると良いよ。ほむらがこうして動かなければ君は何も気づかずに明日には確実に死んでいただろうからね」
 刹那が壁を挟んで移動した所で、QBは厳然たる事実を淡々と可愛らしい声で絹江に述べた。
「そ……んな。でも、どうして私が……」
 死ぬことになるのか、と絹江は愕然とする。
 少女は目を閉じたまま微動だにせず、QBが首を傾げて言う。
「君は何か問題のあるデータを保存したようだよ」
「っは! まさかっアレが」
 絹江はハッと心当たりのあるデータを思いだし、声を上げた。
 あれだけ探していた少女と更にはQBまでもがいるものの、絹江には到底本来聞きたい事を尋ねる余裕などなかった。
 一方、壁を挟んだ反対側で刹那はプトレマイオスに暗号通信を送っていた。


―CBS-70プトレマイオス・ブリッジ―

 クリスティナ・シエラがブリッジでオペレート席にいつも通り着いていた所、メッセージの受信を確認する。
「刹那から……? え、何これ」
 間の抜けた声をクリスティナが上げ、操舵席のリヒテンダール・ツエーリが振り返る。
「どうしたんすか?」
 クリスティナが一瞥し、
「うん、ちょっと。スメラギさん、ブリッジに来てください」
 スメラギ・李・ノリエガを呼び出した。
[どうしたの、クリス]
 スメラギの顔がモニターに映る。
「刹那からスメラギさん宛に暗号通信です。ただ、すぐ返答を求めているみたいです」
[刹那から? 分かった、今行くわ]
 通信が切られ、モニターからスメラギの顔が消える。
 そしてすぐにスメラギがブリッジの扉を開けて入ってくる。
「見せて」
 そのまま、スメラギはクリスティナの席の背もたれに左手を置き、モニターを見る。
「えっ、絹江・クロスロード!?」
 スメラギは驚きの声を上げた。
「知ってるんですか?」
 クリスティナが尋ねた。
「偶然、この前にね」
 暗号通信の内容を読んだスメラギは顎を右手で触れ、更に言う。
「クリス、刹那に私との映像通信を繋いで」
「良いんですか?」
 その場にいるみたいなんですよ? とクリスは思った。
「良いわ」
 刹那に交渉させるのも心配よ、とスメラギは思った。
「了解です」


―UNION領・経済特区・東京・刹那の隠れ家―

「映像通信?」
 刹那が疑問の声を上げた瞬間、端末のモニターにスメラギの顔が映る。
[刹那、そこに魔法少女らしき子と絹江・クロスロードさんがいるのね?]
 刹那は音量を絞り、自分も小さな声で答える。
「ああ、そうだ」
[端末を介して、私に二人と話をさせて貰えるかしら?]
 スメラギがそう頼み、刹那は小さく頷く。
「了解」
 刹那は端末を持ったまま元の部屋に戻る。
 既にQBはいなくなっており、二人は刹那に気づいて顔を上げるが、気にせず刹那は元の位置に座り、床に端末を二人に向けて置いた。
「あ、あなたは!」
 先に声を出した絹江に対して、スメラギは微妙な表情をして、
[つい先日以来ですね、絹江・クロスロードさん。改めました、スメラギ・李・ノリエガです。それで……そちらの子が……]
 少女を見て停止した。
「暁美ほむらです。何か?」
 軽く少女は礼をしたが、スメラギの様子に疑問を浮かべる。
「暁美……さんのモンタージュ写真を見せた事があるの」
 絹江は隣の少女をもうほむらちゃんなどと呼べず、ばつが悪そうに言った。
「そうですか」
 特に気にもせずに少女は言った。
[では、本題に入らせて貰います。クロスロードさん、先に申し上げますが、CBは機密の関係で部署間の情報伝達は必要な分だけに限られます。その為、私達はあなたがCB内で抹殺対象に入った事は今知りました]
 スメラギが話し始めた所で絹江はこくりと頷き、スメラギが申し訳なさそうな顔で続ける。
[クロスロードさんが抹殺対象に入っている事を撤回する権限は私達にはありません。ただ一つ、それを撤回する方法は確かにクロスロードさんがCBに参加する以外には無いでしょう。事実上選択肢は一つ……しかないですが、どう、されますか?]
 聞いて、絹江は正座していた状態から脱力してペタリと床に座る。
 CBの活動にはっきりと賛同も否定もしない立場でただ真実を求めようとしてきた……。
 けれど、生き残る道が奇跡的にあるのに、サジを残してここで死ぬ訳には、いかない。
 絹江は膝に乗せた拳をギュっと握り締め、再び正座し直し、勇気を振り絞って言う。
「……分かりました。CBに、参加させて下さい」
[分かりました。では、その件についてはこちらからエージェントに連絡します]
 スメラギが再度意志確認をする事は無かった。
[そして、暁美ほむらさん。あなたは魔法少女と言う事だけれど、その事について詳しい話を聞かせて貰いたいのだけど良いかしら?]
 スメラギは今度は少女に質問を移したが、
「それはCBにとって知る必要がありますか?」
 少女は閉じていた目を開けてそう淡泊に返した。
 スメラギはソレに遅れを取らないよう答える。
[あるわ。私達はまず間違いなく魔法少女と思われる人物に襲撃を受けました。関係が深そうなQBに直接聞ければ良いのだけど……]
 スメラギが間を開けた所で、聞いて僅かに眉を寄せた少女が口を開く。
「そういう事であれば、分かりました。私が最初に頼んだ事でもあります」
[ありがとう。そ]
 スメラギが早速聞こうとした所、少女が遮る。
「待って下さい」
 スメラギが口を閉じる。
「説明するのは絹江さんの安全の確保が確認できてからにして貰えませんか?」
 少女は絹江が抹殺されるのを防ぐ為には、安全が確保されるまで絹江から離れる訳にはいかなかった。
 ここまで絹江の件に関与しておいて、途中で後は任せましたでは済まないから。
 絹江はそう言った少女に目を向け、
[ええ、構わないわ]
 意図を察したスメラギはすぐに了承した。
「ありがとうございます」
 その後、しばしの交渉が行われ……。
 絹江は隣の自宅に一旦戻ってサジが寝ているのをよそに荷物を置き、少女と監視役の刹那と同行の元、一方でスメラギが王留美に通信し、僅か一時間程度でマンションの近場に迎えに現れた車に乗り、東京圏にある別荘へと向かった。


―UNION領・経済特区・東京・王留美の別荘―

 全く外は依然として暗い未明に車で到着し、別荘の者の案内に従い三人は広間で待たされた。
 刹那は大きな円形を描く椅子に座ったまま一切動かず、少女は刹那とはまた別の円形を描く椅子に、目は閉じ、足は揃えて座る。
 絹江はあれよあれよという間に連れてこられた屋敷が一体どこの誰が所有しているのかも分からず、自身の生活ではまず縁の無い場所に無駄に緊張し、一応は少女から少し間を置いて座っていた。
 全然、眠気がしない……。
 と絹江は新たな悩みが増えていた。
 少女の方に目を向けると、目を閉じているが寝ているのか寝ていないのか分からないので、声が掛け辛い。
 とりあえず、部下にまだ少し寄るところができた、と言う内容のメールとサジにも大体似たような内容のメールを作成し、刹那の所へ向かい、
「このメール、予約送信で出しても良いかしら?」
 と怯え気味ながら携帯を渡して尋ねた。
「……構わない」
 内容を見た刹那は簡潔に答え、すぐに携帯を絹江に返した。
「どうも、ありがとう」
 絹江はかなり微妙な表情をし、刹那がボソッと言う。
「まさかこうなるとは思わなかった」
「そ、そうね……」
 そして刹那が脈絡も無く、絹江に言う。
「眠くなったら眠れば良い」
 絹江は一つ頷いて答えた。
「そう、させて貰うわね」
 歩いて元の席に戻って座り、
「ふぅ……」
 溜め息を付く。
 絹江は少し冷静になって考え始める。
 まさか、数ヶ月前から隣に住んでいるあの子がCBのメンバーだったなんて。
 サジ、普通に話した事あるなんて言ってたけど……。
 せめて、サジだけは巻き込まないようにしないと。
 自然と絹江は手に力を込める。
 そう心に決めて、ふと絹江は広間を見渡す。
 ……この屋敷、どこの資産家の物かしら。
 考えてみれば、CBにはこういう強力なバックがついているのは当然よね……。
 今まで取材蹴られたことは多かったけれど、その中にCBの関係者はいたのかもしれない。
 そう考えると、絹江は今まで無事であった事に若干の安堵と、すぐに薄ら寒さを感じた。
 絹江は足に右肘をつけ、体を少し前に傾け、手を頭に当てる。
 これから、どうなるのかしら。
 CBに参加させて下さいとはお願いしたけれど、私はJNNの記者であって、どこかの機関の諜報員のような事ができる訳でもない。
 今ここで待っている人が来れば、その時に分かるのでしょうけど。
 それにしても、リーサ・クジョウ、コードネームでスメラギ・李・ノリエガ、あの人もCBの人だったなんて……。
 私の抹殺が決定されたと思われるデータは、まず間違いなくあの時ビリー・カタギリ氏が話していた事を仮説に纏めたアレ。
 だとすると、彼も抹殺対象に入っていてもおかしくない。
 そして、レイフ・エイフマン教授も……。
 まさか、二人もCBの……?
 いや、それはない。
 CBだったら他人にあんな事を漏らしたりはしない。
 あ、エイフマン教授からの返信のメール……もしかして、教授は既にCBに目を付けられているのかも……。
 今頃になってCBに近づこうとするのがどれだけ危険か分かる……というか、もう手遅れよ……。
 絹江の脳裏に部長が真剣な顔で忠告した時の事が再生される。
(但し、無理はするな絹江。深みに嵌ったら抜け出せなくなる)
 部長……完全に深みに嵌って抜け出せなくなりました。
 絹江は左手も頭に当て、両手で頭を抱える。
(自分を愚かだと呪って死ぬか)
 更に隣の少女が指を突きつけて言った言葉も再生される。
 衝撃的な言葉だったけれど、ホント、私って愚かね……。
(ほむらがこうして動かなければ君は何も気づかずに明日には確実に死んでいただろう)
 QBの可愛らしい声も再生される。
 ほむらちゃんが来てくれなかったら、明日には私は死んでいた……。
 絹江は隣の少女の方を向き声を絞り出す。
「暁美、さん、起きているかしら」
 少女は目を開ける。
「はい」
 少女の人を寄せ付けない雰囲気に気圧されるものの、絹江は自然に頭を下げて言う。
「あの……何て言ったら良いか、本当にありがとう」
「その言葉、受け取っておきます」
 少女は、そう返した。
 わざわざ、貴女の為ではなく、私の行為が間接的に貴女の死に繋がる結果を招いたと感じる私の為にした事だとは言わなかった。
 絹江はそこで少しだけホッとした表情をし、緊張が解けたのか、しばらくすると遅れて睡魔が襲い、そのままコクリコクリと頭が揺らぎ始め、そのまま眠りについた。

 それを他所に 刹那は、目を瞑ってはいるが、寝てはいない少女を警戒し、ひたすら見張り続けていた。
 自然に少女は座っているが、刹那には全く隙が感じられなかった。
 刹那は目の前の少女が魔法少女というものであると聞いたが、その詳しいことは知らない。
 ただ、この少女が自身と同じく戦っている者だという事は分かっていた。
 不意に刹那は椅子から立ち上がり、真っ直ぐ少女へと近づき、言った。
 距離5m。
「戦っているのか」
 広間に声が響く。
 少女は静かに目を開ける。
「戦っているのか」
 刹那はもう一度言った。
 一瞬の間。
 少女が顔を上げて口を動かす。
「戦っているわ」
 すぐに刹那も言う。
「俺も戦っている」
 少女は刹那の発言に対し、
「そう」
 と。
 刹那の問いかけは続く。
「何と戦っている」
 少女はスッと立ち上がり、
「人の世の呪い」
 ポツリと言った。
 刹那は少女の言葉を復唱し、解釈する。
「人の世の呪い。……それは、世界の歪みか」
 真顔の刹那に対し、少女も視線を直にぶつけ、頷く。
「……そうよ。闇の底から人々を狙う世界の歪み」
 刹那はごくりと喉を鳴らし、更に言う。
「何故、この世界は歪んでいる」
 少女は一歩足を前に出し、答える。
「人は、生きている」
 聞いて、刹那は目に動揺の色を浮かべ、僅かに見開く。
「人のせいなのか?」
 少女は首を横に振って更に一歩。 
「人は悲しみ、憎しむ」
 刹那は両の拳をきつく握り締め始める。
「人と人が分かり合える道は無いのか」
 少女は目を閉じて更に首を振り、
「その答えは私も分からない。けれど、希望はいつだってある」
 刹那を見据えて言った。
「希望は……ある」
 刹那は僅かに震える声で呟いた。
 そして、刹那は拳を緩め、後ろを振り向き踏み出した。
 しかし、すぐに再び振り返り、
「何故、お前は戦っている」
 と、眼の奥に僅かに輝きを宿して尋ねた。
 後一つ、と。
 少女は目を閉じて、ゆっくりと口を開き、
「かつてこの世界を守ろうとした者がいた。私はそれを、決して忘れたりしない。だから私は、戦い続ける」
 目を開けた。 
 刹那はそれを聞いて鼓動が早まる。
 この世界に神はいない。
「それは誰だ? 神か?」
 少女はその問いには首を一度振り、そっと空を見上げ呟く。
「いつでもどこにでもいる。今も私の傍にいる」
 あの子は神様でも何でもいいと言ったけれど。
 ガラス張りの向こうには完全な闇が広がり、穏やかな色合いの光が広間を優しく照らす。
 刹那は対峙する少女に神秘的な何かを幻視し、その瞳が揺らいだ。
 まさか、神が視えているのか、と。





前本話後書き・重大ながら結構どうでも良い矛盾点

刹那とクロスロード姉弟の家は高層マンションのエレベーターを上がった中でした。
一階から普通に上がれません。
柵はありますが植え込みはありませんでした。
しかしアニメ本編、3話変わる世界と6話セブンソードを確認すると3話と6話で玄関付近の構造が明らかに変化(玄関と玄関の間の距離がやたら伸びている)しているという事にも気づきました。
一体僅かな月日の間に何があったのか。
一応修正版も用意しましたが、突っ込みがなければこのままで良いかなと言い訳を一つ。


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