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No.26596の一覧
[0] IS〈インフィニット・ストラトス〉-IaI[SDデバイス](2016/03/07 00:44)
[1] 1-1[SDデバイス](2013/12/20 07:53)
[2] 1-2[SDデバイス](2011/03/20 02:32)
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[4] 1-4[SDデバイス](2016/03/07 00:53)
[5] 1-5[SDデバイス](2011/03/20 02:35)
[6] 1-6[SDデバイス](2011/03/20 02:34)
[7] 1-7[SDデバイス](2011/03/20 02:37)
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[10] 1-10[SDデバイス](2015/07/04 22:24)
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[44] 3-2[SDデバイス](2014/05/11 14:27)
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[49] 3-7[SDデバイス](2016/03/07 00:54)
[50] 3-8[SDデバイス](2016/03/07 00:54)
[51] 3-9[SDデバイス](2015/02/11 18:32)
[52] 3-0[SDデバイス](2015/02/15 09:29)
[53] 4-1[SDデバイス](2015/04/02 00:41)
[54] 4-2[SDデバイス](2015/05/02 15:05)
[55] 4-3[SDデバイス](2015/05/24 16:13)
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[58] 4-6[SDデバイス](2015/09/23 20:47)
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[26596] 1-11
Name: SDデバイス◆132e9766 ID:3bc0cc71 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/03/20 03:05
 ▽▽▽

 『進化』

 環境へ適応するため生物が行う変化現象。
 その形態、機能、行動を環境に合わせて最適なものへと変化させる。

 ――とある人物の手記より抜粋。


 ▽▽▽

 類まれなる天才的な頭脳、世にたゆたうあらゆる事象を瞬時に理解し、常人には難解である事すら理解出来ない数式を呼吸をするように紐解ける。

 けれどもその身体はあくまで人間である事に変わりはない。
 少なくとも、彼女の場合はそうだった。呼吸、食事、睡眠、それらの生命維持活動が疎かになれば当然その身体は機能を低下させ――下手をすれば死に至る。
 ”病は気から”、という言葉がある。
 この言葉は精神が肉体に与える影響についてを語っている。確かに精神のベクトルは肉体のベクトルを良悪に傾ける重要な要素だ。しかしながら、この光景を処理するためにはその理論では荷が重い。

 ――まるで、死体が動いているようだった。

 無機質さと幻想の交じる奇妙な一室。その内訳において幻想担当であり、そして部屋の主でもある女性がその均衡の取れた肢体を床にだらりと投げ出している。
 周囲には残骸がうず高く積まれている。それら総てが、部屋の主たる大天才に屈した、大小様々な無機物の屍だ。そんな山の真ん中で、室内で唯一の有機物である彼女は両手を尋常でない速度で動かし続けている。細い指の先には空中投影型のキーボードがいくつも存在し、打ち込まれ続ける膨大な入力を律儀に伝達し続けていた。
 普段からも彼女のツリ目は不健康に淀んでいるのだが、今に至っては生気の欠片も感じられない有様だ。今の彼女に比べればまだ死人の方が安らかであろう。幽鬼を思わせる光をその瞳に灯して、彼女は作業を続けていく。
 普段からも彼女は安眠とは縁が無い。『天才は思考から解放されない』からだ。だがここ最近はそもそも眠った”記憶が無い”。
 解放されないどころか群がってくる思考を片っ端から捕まえ縛り上げ、馬車馬の様に扱き使うのが最近の彼女の有様なのだから。
 彼女において眠り(夢)とはそれまでの理論を試行する場であるが、試行の必要が無いのなら最早睡眠など時間の浪費だ。
 食事も同じくである。異常の言葉ですら持て余すほどに、彼女は連続稼動を続けていた。無論本当にそれらが零ならば彼女は生命を維持できないから、合間に補給はしているのだろう。ただ彼女自身は自覚もしていなければ記憶もしていない。

 ――不意に、世界(室内)が死んだ(停止した)。

 唯一の有機物が動きを止めた室内は死に近しい雰囲気を持っていた。そんな室内の中、光源と言える二つのモニターに変化が起きていた。
 片方は先程までの鬼気とした入力に応えていた方。刹那の間すら置かずに目まぐるしく続いていた変化は、膨大な文字列の羅列の一番手前に『COMPLETE.』を表示したのを最後に停止している。
 そしてもう一つは、遠いどこかの風景を映し出している。録画ではなくライブの映像だ。映っているのは極東の島国にある一つの教育機関、その敷地内にあるアリーナ(闘技場)、その一つ。もっと厳密に言うのならば、そのアリーナ内に存在する一個人。
 世界が息を吹き返す。
 それまでの緻密かつ獰猛な動きは見る影もない、大雑把でのろまな動作で彼女は止まっていない方のモニターを引き寄せた。
 肉体の限界を那由他の彼方に置き去りにし、その精神のみで稼動していた様な状態の彼女にとっては、それだけでも”重労働”に等しい。どころか今直ぐに崩れ落ちて(すでに寝そべってはいるが)、肉体と精神を深い休息の海に落し込んでも何ら不思議はない。いやそれこそが正常だ。今の彼女は動いているのが――動ける事が異常なのだから。
 だというのに彼女は容易く身体を動かしてモニターを引き寄せて抱え込む。豊満と表現しても欠片の問題が無い彼女の胸の膨らみが、四角く強張ったモニターの角に圧迫されてぐにゃりと形を歪ませた。
 モニターの表面へと、そこに映し出されている――空に咲く爆炎の華――へと白い指が伸びて、這う。その華の中に居るであろう人間を撫でるように、確かめるように。
 精魂すら尽き果てても、それでも彼女は未だ”途切れない”。何十年も待ち望んだ瞬間が今まさに始まろうとしている。ここで記憶を途切る事など出来る筈が無い。

「――――■■■■、■■■■」

 掠れた喉から漏れた呟きは、誰の耳にも届かない。
 届いたところで、誰にも理解出来はしない。
 理解できるのはきっとこの世でただ二人だけ。
 
 ――”六年掛かり”の最適化処理(フィッティング)が終わり、一次移行(ファースト・シフト)が、今始まる。


 ▼▽▽

 誰かに名前を呼ばれる度に、自分の存在を否定されている様な気分だった。目覚めて直ぐの頃は特にそれが顕著で、名前を呼ばれる度に思い知った。
 周りの人達が俺に対して求めているのは『織斑一夏』で、『俺』ではない。誰もが今存在し続けている『俺』を無視して存在していた筈の『織斑一夏』を求めている。
 それは『織斑一夏』らしい返事であったり、『織斑一夏』からの反応であったり、『織斑一夏』の持つ思い出だったりした。
 だが周りの人は責められまい。だって周囲の人達は何も間違えていないんだから。間違いがあるとしたら俺の存在そのものだろう。

 ――では俺は『織斑一夏』であるべきなのか?

 答えは否だ。
 というか最初からそんな事解っている。だって俺は織斑一夏じゃない。俺の名前は別にあって、俺の人生は確かにあって、俺は『俺』という紛れもない『俺』なんだから。
 生きていく上で俺は『織斑一夏』を名乗った。でも俺は『織斑一夏』になろうとはしなかった。だって”なろう”とした時点でそれはもう『織斑一夏』じゃないじゃないか。
 『織斑一夏』は『織斑一夏』だから『織斑一夏』だ。別人がそうなろうと馬鹿な足掻きをした所で、出来上がるのは中途半端な、偽物とすらも呼べない愚かな存在だ。
 『織斑一夏』が戻るキッカケを探す事はしたけれど、俺自身を織斑一夏に近付ける事はしなかった。出来なかった。出来る訳が無い。だってあんなにも弟の事を想っている人をずっと傍らで見てきたんだ。
 あんなにも素敵な女性だ、きっと本物の織斑一夏だって彼女の事を想っていた筈だ。弟の事を思う姉と、姉の事を思う弟でそれはもう完結している。俺が織斑一夏に近付くという事は、紛い物に成り下がるという事はそんな想い想われを、冒涜するようなもんじゃないか。

 ――偽物なりに、胸をはって今日まで生きてきた。

 俺の存在はどうしようも無く不安定だ。何が原因でこうなったのか、被害者なのか加害者なのか何もかもが解っていない。
 ただ一つ。正しく解っているとすれば、俺の存在は正統では無いという事。極端な話、次の瞬間に綺麗サッパリ消えて失くなっても何らおかしくはない。何せ一回死んでいる、終わる理由はあっても、続く理由は無い。
 消えてしまう事は怖い。
 終わってしまう事は怖い。
 またあの絶望的な恐怖(死)の中に落ちて行くことなんて、今更想像するまでもなく怖くて怖くてたまらない。誰かが俺に本物を求める度に、あの恐怖の方へ自分が追いやられていく様な妄執に駆られる。突然”ぱっ”と消えてしまったらなんて、不意に思ってしまった時はそれこそ気が狂いそうになるくらいどうしようもない。
 そんな絶望的で圧倒的な、他のそれが霞む位の恐怖に晒され続け、今日まで生きてきた。
 そう、生きてきた。
 ”だからこそ”、全身全霊で生きてきた。一分一秒刹那の間すら無駄にしてたまるものかと、力の限りに生きてきた。まあたまにというかしょちゅう、やりすぎだこの馬鹿者がーと思いっきりシバかれたりもしたけど。今となってはそれも守るべき想い出だ。
 今の俺(織斑一夏)は偽物だ。
 でも俺は本物の『俺』だ。
 この世界でただ一人、俺だけがそれを誰よりも知っている。

 ――なあ、『織斑一夏』

 俺はお前(織斑一夏)の味方はしてやれない。
 俺は俺の味方をする。
 だって俺を覚えておいてやれるのは、この世界で俺一人なんだから。だから俺だけは、俺が俺であることを肯定する。
 ああ我侭だな。我侭で、酷い自分勝手だ。でも誰に何と言われようと――誰を敵に回そうと、この決意は変えられやしねえのさ。だってそうじゃねえと、これまで歩んできた人生に顔向けできねえだろう。
 さあ人生の道中で出会う総ての人、俺を見る全ての人、『俺』の事を『織斑一夏』と呼びたくば呼ぶがいい。さすれば俺はこの存在総てで以て主張してやる。

 ――俺は、俺だ(I am I.)。

 名を騙る罪と共に、俺は俺として生きる。いつか訪れる、消えてしまう(本当の終わり)その日まで。
 それにしても俺の人生はほんっと壁に事欠かないったらないや。
 さあて。ともかくまず目の前の壁を、叩き壊してやるとしましょうか。


 ▼▼▽


「…………何ですの、あれは」

 勝利を導く事を確信して放ったセシリアの攻撃(とっておき)は、見事なまでに相手に直撃した。
 最後の悪足掻きだったのか、まるで”自由落下でもする様に”真っ直ぐ下に逃げた相手。しかし二つの弾道型(ミサイル)は、その悪足掻きを嘲笑うかのように追い縋り、炸裂し、主たる彼女の望む通りに空に炎の花を咲かせた。
 しかし望んでいた試合終了のアナウンスは何時まで待っても鳴り響く事は無い。それは何かしらの理由で対戦相手が未だ健在である事を示している。
 何時相手が飛び出して来ても対処できるよう、セシリアはレーザーライフル《スターライトmkIII》を爆煙に向け油断無く構えていた。
 しかし相手は何時まで経っても飛び出してくる様子は無く、やがて爆煙は風に流されてゆっくりと消えていく。

 ”それ”が姿を表した。

 さっきまで騒がしかったギャラリーも、出現したその異様な物体に目を奪われているのか、しんと静まり返っていた。
 『繭』。
 その物体を最初に見て、連想した単語がそれだった。ともかく先程までは白い装甲を身に纏った男であった筈が、今では真っ黒な球状の塊に姿を変えている。
 その表面は時折鼓動するかのように蠢き、またゆっくりと明滅している。
「…………ッ!!」
 物体が震える様に動く。慌ててレーザーライフルを構え直したセシリアに構うこと無く、その黒い塊がゆっくりと解けていった。
 無数の帯が折り重なって球の形を成していたようだ。恐らくセシリアの弾道型(ミサイル)もあの黒い不気味な帯に阻まれたのだろう。幾重にも折り重なっていた黒い帯が開かれるにつれ、白い装甲を身に纏った男の姿が顕になっていく。
 同時に黒い帯が何処から生じているのかも判別できた。対戦相手のIS――名称『白式』、その真っ白い装甲のあちこちが中から無理矢理こじ開けられたように開き、そこから黒い帯が飛び出ているのだ。
 ならばあの黒い帯は相手のISの持つ何かしらの武装であるかと判断するのが自然だろう。セシリアもこの異様な光景に困惑しながらも、そう判断を下した。
 それでもセシリアが攻撃に移れないのは、相手の様子がおかしいからだ。
 だらりと投げ出された手足には目に見えて力が入っていない、顔も俯いているために表情は伺えないが――意識を失っている様にしか見えなかった。

『――――ぅ』

 白いISの周りに好き放題伸びていた黒い帯が震える。規則性皆無で動きまわるそれはまるで触手のような得体のしれないおぞましさと、生理的嫌悪感を見る者に与える。
 けれども白いISの周りに在る様は、その身を支える翼のようでも、その身を護る盾のようでもあった。

『ぅ、おお、――あ』

 がぎぎ、と音が聞こえた気がした。いや実際にそんな音が鳴っている。ブルー・ティアーズのハイパーセンサーがそんな金属が擦れ合う音、そして搭乗者の呻き声を拾っている。

『うおおおおおおおあああああああああああああ!!!!』

 今度は耳を澄ますまでもなかった。破裂するような咆哮。それに伴って、周囲をたゆたっていた黒い帯が凄まじい速度で”巻き戻されていく”。
 ”がぎごぎぎぎぎがぎがぎぎぎいいい”、とおぞましい金属音を伴いながら黒い帯が白い機体の中に引きずり込まれていく。”黒”が、”白”に捕食されていく。
「何、何ですの……一体何が起こって…………!?」
 目の前で何が起こっているかが理解出来ずに、セシリアは困惑の声を上げた。そんな中、現象の観測と解析を続けていたブルー・ティアーズが、一つの答えを主たるセシリアに提示する。

「…………一次移行(ファースト・シフト)? これ、が……?」

 専用機というものは最適化処理(フィッティング)を経て、一次移行(ファースト・シフト)という形態変化を行う事で初めてその個人の専用機として完成する。
 今行われているのは、その、一次移行(ファースト・シフト)であると言う。確かにその黒い帯が引き込まれていく度に白い装甲がその表面の凹凸を、それこそ造り変えるかのような規模で変質させていく。
 
『っだらあああああああああああッ!!』

 とうとう黒い帯が吸い尽くされた。開いていた装甲を勢い良く閉じられ、形態変化が収まっていく。またさっきの黒い帯が浮力を与えていたのか、白式の機体が地上へと落ち――なかった。甲高い音が発声し、白式の機体が空中で停止した。
 まるで虚空を”踏み締める”かのように、何も無い空中に”立っている”。
 その落下の衝撃を受け止めたせいか、はたまた別の要因か、白式の脚部パーツが真ん中から弾け飛ぶように割れた。表面装甲を投げ捨てて姿を表したのは”脚”だった。
 元々脚部なので当たり前と思えるが違う。その脚は、真っ当な脚だった。地を踏みしめ、相手を蹴り抜く為にあるかのような正統な脚。
 空中を浮遊する事が前提のISにとっては脚らしい脚ほど異彩を放つ。
 がぁん、がぁん、と音が鳴る。
 その音が何なのか理解出来ないまま、理解を後回しにして、セシリアは呆然と呟く。

「あ、あなた……一体、一体”何”ですのッ!?」

 
 ▼▼▼


「――『俺』だよ」

 靴の様子を確かめるように地面(虚空)を蹴り付けながら、セシリアの疑問に答えるように呟いた。とはいえ相手には聞こえていないだろう。通信は”切ってある”。改めて通信を開き、俺は言葉を発した。

「待たせたなセシリア・オルコット!」

 【フォーマットとフィッティングが完了しました。
 戦闘態勢に移行します。
 皮膜装甲(スキンバリアー)展開――確認。
 推進器(スラスター)、正常動作――確認。
 ハイパーセンサー最適化――確認。】
 ISと”繋がった”俺の手元で光が瞬いて、物質が構成されていく。その成された”柄”を掴み、引き抜くように実体化させる。実体化した長大なそれは日本刀のようであり、けれどもそれよりも機械的だった。その武器を対戦相手に突き付ける。

「ここから先が、お前の望んだ『決闘』だ! 全力で潰しに来い!! 全力で潰してやる!!」

 明確な戦闘体勢をとった俺に対し、セシリアもまたライフルの銃口をこちらに向ける。ウインドウの一つがロックオンアラートを表示する。
 【近接特化ブレード・《雪片弐型》展開――完了。戦闘体勢への移行を終了しました。】
 準備は総て整った。
 息を思い切り吸い込んで、相手に叩きつけるように叫ぶ。

「さあ! 人生を続けようぜ!!」


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