<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

その他SS投稿掲示板


[広告]


No.25619の一覧
[0] 【完結】銀河紅勇者伝説(銀紅伝)【原作:銀河英雄伝説/紅の勇者オナー・ハリントン/量子宇宙干渉機】[山懸三郎](2014/10/05 00:49)
[1] リップシュタット戦役年表@『銀紅伝』[山懸三郎](2011/04/25 00:45)
[2] 『銀河紅勇者伝説〜ロットヘルト伯爵夫人のリップシュタット戦役従軍記』登場人物・用語解説[山懸三郎](2011/03/30 02:46)
[3] 第1話 宇宙の成り立ちと量子宇宙干渉機[山懸三郎](2011/01/28 01:15)
[4] 第2話 勇者は舞い降りた[山懸三郎](2014/10/05 19:44)
[5] 第3話 ここはどこ?いまはいつ?私はだれ?[山懸三郎](2014/10/05 19:44)
[6] 第4話 ロットヘルト伯爵夫人、覚醒![山懸三郎](2014/10/05 19:45)
[7] 第5話 なんの為に戦う?[山懸三郎](2011/03/02 00:31)
[8] 第6話 ロットヘルト艦隊、誕生![山懸三郎](2014/10/05 19:45)
[9] 第7話 私設艦隊と貴族の誇り[山懸三郎](2014/10/05 19:46)
[10] 第8話 グレーフィン、ラインハルトと初対決![山懸三郎](2014/10/05 19:46)
[11] 第9話 ロットヘルト艦隊、出撃![山懸三郎](2014/10/05 19:46)
[12] 第10話 アルテナ星域の会戦(1) 初陣で初勝利![山懸三郎](2011/04/02 23:17)
[13] 第11話 アルテナ星域の会戦(2) シュターデン艦隊の崩壊[山懸三郎](2014/10/05 19:47)
[14] 第12話 アルテナ星域の会戦(3)/忠誠と信頼のゆくえ(1)[山懸三郎](2011/04/02 23:23)
[15] 第13話 忠誠と信頼のゆくえ(2)[山懸三郎](2014/10/04 23:58)
[16] 第14話 忠誠と信頼のゆくえ(3)[山懸三郎](2011/04/25 00:55)
[17] 第15話 新たなる責務[山懸三郎](2014/10/04 23:59)
[18] 第16話 量子宇宙のさすらいびとたち/私設艦隊と貴族の誇り(2)[山懸三郎](2014/10/05 00:02)
[19] 第17話 貴族連合軍の分裂[山懸三郎](2014/10/05 00:03)
[20] 第18話 量子宇宙のさすらいびとたち(2)[山懸三郎](2011/03/10 11:29)
[21] 第19話 キフォイザー星域の会戦[山懸三郎](2014/10/05 00:05)
[22] 第20話 シャンタウ星域の戦い[山懸三郎](2011/03/17 01:15)
[23] 第21話 決戦前夜(1)  ロットヘルト領分遣隊、結成![山懸三郎](2014/10/05 00:07)
[24] 第22話 決戦前夜(2) ロットヘルト領分遣隊の配置[山懸三郎](2014/10/05 00:11)
[25] 第23話 決戦前夜(3) 民衆叛乱の陰謀[山懸三郎](2014/10/05 00:15)
[26] 第24話 ブラウンシュヴァイク公の決断[山懸三郎](2014/10/05 19:18)
[27] 第25話 ロットヘルト伯爵夫人、決起す![山懸三郎](2014/10/05 19:21)
[28] 第26話 ガイエスブルク宙域の決戦/量子宇宙のさすらいびとたち(3)[山懸三郎](2011/04/18 11:02)
[29] 第27話 アマーリエ夫人、盟主に就任![山懸三郎](2014/10/05 19:23)
[30] 第28話 ヴェスターラント攻撃作戦をめぐって[山懸三郎](2014/10/05 19:25)
[31] 第29話 貴族としての名誉とは[山懸三郎](2014/10/05 19:27)
[32] 第30話 ヴェスターラント大虐殺[山懸三郎](2014/10/05 19:30)
[33] 銀紅伝 第31話 決別[山懸三郎](2014/10/05 19:32)
[34] 銀紅伝 第32話 貴族連合軍、最後の決戦(1)[山懸三郎](2014/10/05 19:34)
[35] 銀紅伝 第33話 貴族連合軍、最後の決戦(2)[山懸三郎](2011/04/22 01:16)
[36] 銀紅伝 第34話 貴族たちへの処置[山懸三郎](2014/10/05 19:35)
[37] 銀紅伝 第35話 勝利式典における惨劇[山懸三郎](2011/04/24 01:16)
[38] 銀紅伝 第36話 ラインハルト軍のオーディン制圧[山懸三郎](2014/10/05 19:37)
[39] 銀紅伝 第37話 新たなる出発(たびだち)[山懸三郎](2014/10/05 19:38)
[40] 銀紅伝 第38話 紅の女社長 細腕一代記[山懸三郎](2014/10/05 19:40)
[41] 銀紅伝 第39話 銀河統一への胎動(紅の女社長 細腕繁盛記)[山懸三郎](2011/06/06 02:49)
[42] 銀紅伝 第40話 共和主義者たちの戦い[山懸三郎](2014/10/05 19:41)
[43] 銀紅伝 第41話 帰還(完結)[山懸三郎](2011/06/10 07:01)
[44] 銀紅伝 外伝 お嬢様奮闘記(2012.2.28)[山懸三郎](2014/10/05 19:43)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[25619] 銀紅伝 第34話 貴族たちへの処置
Name: 山懸三郎◆ddd5f1eb ID:55a6cbb5 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/10/05 19:35
■帝国暦488年9月8日 ローエングラム軍総旗艦ブリュンヒルト:エリザベート・フォン・ブラウンシュヴァイク

アースグリムが降伏したあと、ファーレンハイト提督から引き離されて私だけブリュンヒルトに移され、ローエングラム侯の私室らしき豪華な部屋に通された。しばらく待たされた後、ローエングラム侯が入って来た。侯は、何から話すか迷う風情だったが、やがて語りだした。部屋にいた侯の部下が猛烈な勢いで侯の発言をメモしはじめた。起居注(キキヨチユウ)らしい。
「私にとって、この戦いは、ゴールデンバウム王朝とこの王朝を支えてきた貴族階級を一挙に叩きつぶすための第一歩だ。皇室、貴族階級、宗主、領主。このような者たちの権力を完全にうち砕くつもりだ。先日までの戦いでガイエスブルクの始末はついた。ひきつづき、オーディンにとりかかる」
彼が簒奪を企んでいるかもしれないとは前々から噂されていたが、いま私にむかって、その意図を隠しもせず、はっきり語ってくる。
「貴族どもの大部分は、傲慢で、無能で、卑劣な人格にふさわしい惨めな最後をとげた。彼らに対しては一片の憐憫もない。ただし、リップシュタット盟約の上位に署名した諸家の当主や家族のなかに、みごとな振る舞いや気概、心根をみせた者も何人かあった」
侯はここまで、何か書かれたものを暗記して朗読するような調子で私に語りかけてきたが、ここで声の調子を下げ、普通に会話するときのような調子でいった。
「フロイラインもその一人だ。フロイラインが先日私に頼んできたことを結局私は無視したが、貴女の決断と行いはまことに賞賛すべきものだと考えている」
起居注のメモの手は停まっている。彼の動きについて質問しようとしたら、私の不審を察した侯が説明してくれた。
「彼には、リップシュタット盟約に署名してガイエスブルクに参加し、生き残った宗主や領主たちに対する私の処断を記録させている。フロイラインは署名筆頭のブラウンシュヴァイク家の嫡女であり、皇孫でもあるので、最初にお伝えしている」
そして、侯は声の調子をまた朗読調に変更し、起居注もメモを再開した。
「かつてガイエスブルク宛てに送った「決戦状」では、降伏した者は命を助け、喰うに困らぬ程度の財産をもつのも許してやると告げた。リップシュタット盟約に署名し、ガイエスブルクに立て籠もった貴族諸家の生き残りは、すべてこの条件で待遇しようと考えている。ただし、4月9日に宰相リヒテンラーデ公に下った「勅諭」にあるとおり、ガイエスブルクに参加した各家の爵位と領地は全て剥奪し、身分は平民に落とすものとする」
侯はここで、声の調子をまた普通にもどして続けた。
「降伏した貴族どもの扱いは、こんなところだ。平民の身分には落とすが、希望するものには「フォンをともなう称号」を名乗り続けることのみは許そうとおもう」
そして、私の方へやや身をのりだしながら告げた。
「ただし、フロイラインのみは例外だ」
「・・」
「フロイラインは、ブラウンシュヴァイク家の嫡女であり、皇孫でもある。私が打倒すべきゴールデンバウム王朝の血脈と、門閥大貴族の筆頭の家柄を一身に兼ね備えた存在だ。そのような存在は、フロイラインのほかにももうひとりリッテンハイム家のサビーネ嬢がいたが、彼女はリッテンハイム侯とともにガルミッシュ要塞で死去した。エリザベート・フォン・ブラウンシュヴァイクにも死んでいただこうと思っている」
「すると妾(ワタシ)は処刑されるのですか?」
「フロイラインが希望する場合にはな」
「希望する場合?」
「明日の勝利式典でエリザベート・フォン・ブラウンシュヴァイクに死刑を告げることと、刑を執行したと報道する番組を帝国中に流すことは確定している。ただし、必ずしも、フロイラインに実際に死んでいただく必要はない。」
ローエングラム侯は卓上にあったホログラム装置を起動させた。
父オットーや母アマーリエとともに楽しげに談笑する女の子がいる。私よりも色白で、スタイルがよく、顔立ちもきれい。それでいて父と母の面立ちを受け継いだ、天使のように可愛らしい、見知らぬ女の子。
「フロイラインが、私の新体制を受け入れ、帝国で生きて行くことを望むなら、新しい別の名前と身分を与える。皇孫の身分やブラウンシュヴァイクの名を背負ってなおも私に立ち向かいたいと望むなら、フェザーンあるいは叛徒のもとに逃れることを許す」
ホロ映像は、オーディンのブラウンシュヴァイク邸で去年開かれたホームパーティーの場面に変わった。この映像には見覚えがあるが、私の記憶と異なる部分がある。父母やブラウンシュヴァイク家の従者、父の衛士たちはそのままだけど、私がいるべきはずの場所にこの女の子がいる点だ。
さらに、私がもっと幼いころからの思い出のホロ映像とよく似たものが何種類も映し出された。ひとつ残らず、風景や周囲の人たちは私の記憶どおりだけど、私がいるはずの場所にこの女の子がいる。最後の映像は、その女の子が、ガイエスブルクの大会議室で、軍服姿の人々にとりまかれ、ローエングラム侯に何かいわれてガックリとうなだれ、やがて両脇を衛士に支えられながら大会議室を出たところで途切れた。これは、明日の「勝利式典」の模様らしい。軍人たちには顔がなく、向こう側の景色が透けてみえている。
「つくりものですね?」
「そうだ。帝国の公式記録では、今後この少女がエリザベート・フォン・ブラウンシュヴァイクとなる。帝国図書館や報道機関、貴族学校などに保存されているフロイラインの映像記録も、すべてこの容姿で置き換えさせる」
私の社交界デビューは来年の予定だった。私の容姿はまだ広くは知られていない。
私の名前も人生も、このつくりものに取られてしまう。私が、自分をエリザベート・フォン・ブラウンシュヴァイクだと名乗ったら、私のほうが偽物扱いされてしまうようになるのだ。
猛烈に腹が立ってきた。
「それで温情のつもりですか!妾(ワタシ)をわたしのまま殺しなさい!」
侯はなにも言わず、困ったような表情で私をみている。
私と同じ年頃の幼年学校の生徒が銀のコーヒーセットをもってきて、侯と私にいれた。
侯はおいしそうにそれをすすったが、私はとても手をつける気にならない。
侯はコーヒーを飲み終え、さらに数分間、私の顔を眺めたあと、たずねてきた。
「私はロットヘルト伯爵夫人をひとかどの人物だと思っているが、フロイラインにとってはどうか?」
腹がたってしょうがないため返事もできない。
「先日、私に連絡を取ってきた際には一緒に行動していたようだが」
「・・・立派なひとだと思います」
「それでは、彼女と相談するとよい。何もいますぐにあわてて結論をだすことはない」


■帝国暦488年9月8日 ガイエスブルク要塞小会議室:ヴィクトーリア・フォン・ロットヘルト

一門の当主や家族たちとともに、ふたたびガイエスブルクに戻ってきた。
明日、ガイエスブルクの大会議室でローエングラム侯の勝利式典が開かれる。
事前の打ち合わせと称して、カール、シュテルンやノルデン子爵らとともに呼び出された。ノルデン子爵とはレンテンベルクで別れて以来の再会である。
ローエングラム侯は、私たちの振る舞いが敵ながらみごとだったと誉め、爵位と領地は剥奪し、身分を平民に落とすが、生命は助け、「喰うに困らぬ程度の財産」を持つことを許す、と告げた。ガイエスブルクに参加した貴族の生き残りは、すべてこの線で処遇するという。
「あなた方3人は、リップシュタット盟約の署名者の生き残りの中では最上位に位置し、一門各家の当主たちも全員健在だ。不本意かもしれないが、明日の式典では、ガイエスブルクに参加した貴族たちの代表として、一門の領主たちとともに私にひざまづき、私の助命に頭を下げて感謝するという演技を行っていただきたい」
ゴールデンバウム朝が倒れてローエングラム侯の新体制が成立することは確実である。どうせ降伏した身だ。侯の新体制をよりしっかりしたものにするのに役立つなら、なんでもやりましょう。
「あなた方からなにか望みがあるなら、聞こう」
いかにもやさしげな問いだが、私たちの器量を測る問いでもある。うかつな希望を述べれば、侯はしっぺ返しを喰らわしてくることは間違いない。カールもノルデン子爵も、その点が見えるので、すぐには答えない。私が口火を切ってやろう。
「”喰うに困らぬ程度の財産”とは、いかほどの額でしょうか?」
「グレーフィンは何が望みか?」
「駆逐艦8隻、輸送船24隻ほどと、航宙艦の整備基地を1、2箇所ほどいただけますかしら?」
侯の意表を突くことに成功したらしい。絶句している。ふふふ。
「……運送会社でも興すか?」
「はい」
「グレーフィンは、いままでその種の経験などないのでは?」
「いえ、ロットヘルト領では内戦前からトゥルナイゼン家と共同で領地とオーディンを結ぶ輸送船団を運行しております」
「貴女自身が直接に管理、運行していたわけではなかろう?」
「はい」
侯はしばらく考えていたが、やがて答えた。
「…その願いをただちに叶えてやるつもりはないぞ。まずは、グレーフィンに輸送船団を運用する能力がどの程度備わっているのかを見せていただく必要がある」
30隻あまりの航宙艦や整備基地をすぐにいきなりまるごとくれるとははじめから思っていなかったが、前向きに検討してくれるようだ。
「わかりました」
私の「願い」についてはこれでうち切る。侯が、私の口から出てくるだろうと予想していることを、私は口にするつもりがない。侯は1分ほど待っていたが、結局彼の方から尋ねてきた。
「……一門各家の処遇などについては何かないのか?」
「そちらは、侯爵閣下のご判断とご処置にゆだねます。彼らが頂いた資産を喰い潰して路頭に迷うことのないよう、宗主として見守っていきたいとは思っておりますが」

ノルデン子爵やカールも、ローエングラム侯がくれるという財産のことはとやかくいわずに、ノルデン子爵は「シュターデン子爵の療養生活を支えたいこと」、カールは「シュテルンに正規軍で修行を再会させたいこと」を願い出て、いずれもローエングラム侯の了解を得た。


■帝国暦488年9月8日 ガイエスブルク要塞ロットヘルト行総督府跡:ヴィクトーリア・フォン・ロットヘルト
先ほどの会合が解散したのち、ローエングラム侯は私を呼び止め、エリザベートさまの相談に乗ってやって欲しいと頼んできた。また、ブラウンシュヴァイク家の衛士に彼女を委ねた場合、フロイラインに手をかける可能性があると指摘してきた。そういうことなら、否も応もない。彼女をうちの「行総督府跡」で預かり、私と起居を共にすることにした。

*************
2014.10.5 「グラッフィン」→「グレーフィン」と変更


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.026384830474854