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No.25529の一覧
[0] 【チラシの裏から移動】蒼神/人舞(GOD EATER×ワンピース)[Ray](2011/11/26 22:33)
[1] プロローグ[Ray](2011/01/20 00:14)
[2] 第1話 ウソップ海賊団入団[Ray](2011/01/22 15:55)
[3] 第2話 仲間[Ray](2011/02/19 11:56)
[4] 第3話 ヴァイオレンスウェイトレス[Ray](2011/01/28 16:19)
[5] 第4話 クリーク襲来[Ray](2011/03/08 23:36)
[6] 第5話 世界最強の剣士[Ray](2011/02/02 19:43)
[7] 第6話 新しい仲間”サンジ”[Ray](2011/03/08 23:37)
[8] 第7話 アーロンパーク到着[Ray](2011/03/08 23:37)
[9] 第8話 誇り[Ray](2011/03/08 23:40)
[10] 第9話 人喰らいのカリギュラ[Ray](2011/03/08 23:43)
[11] 第10話 蒼刃・氷女[Ray](2011/03/08 23:44)
[12] 第11話 アラガミの宴[Ray](2011/03/20 21:59)
[13] 第12話 いざ、偉大なる航路へ[Ray](2011/03/24 09:54)
[14] 第13話 リヴァース・マウンテン[Ray](2011/04/07 12:51)
[15] 第14話 愚者の所業[Ray](2011/04/09 20:58)
[16] 第15話 ゾロの夢、ウソップの出会い[Ray](2011/04/23 16:14)
[17] 第16話 新しい仲間“サリー”[Ray](2011/04/23 16:59)
[18] 第17話 前夜祭[Ray](2011/06/16 02:53)
[19] 第18話 カルネヴァーレ(1) グロ注意[Ray](2011/06/21 00:07)
[20] 第19話 カルネヴァーレ(2) グロ注意[Ray](2011/07/21 15:28)
[21] 第20話 カルネヴァーレ(3) グロ注意[Ray](2011/07/26 22:13)
[22] 第21話 後夜祭[Ray](2011/08/11 19:45)
[23] 第22話 新しき因縁[Ray](2011/08/25 14:37)
[24] 幕間1 アラガミがいる麦わらの一味の日常[Ray](2011/11/26 16:59)
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[25529] 第4話 クリーク襲来
Name: Ray◆6fb36f09 ID:4cd0596b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/03/08 23:36
海上レストラン『バラティエ』厨房。ディナータイムに入り、客のピークを迎えるこの時間はさながら戦場のようだ。

「3番のオードブル上がったぞ!」
「よし、次は4番テーブルのマリネを頼む。パスタ、私が帰ってくるまでに6番テーブルのデザートを仕上げてくれ」
「あいよ」
「カリギュラ、この海子牛のローストは何番だ!?」
「12番テーブルだ。今ごろあの席の客は食前酒を飲み終わっているはずだ。すぐに持って行け」
「カリギュラ、食い逃げだ!ぶっ殺してこい!」
「ああ、それならここに来る前に済ませた。犯人は身ぐるみ剥がして海に放り込んでおいたぞ」

「いやしかし、カリギュラも大したタマだな。初日だってのに完全に馴染んでやがる」
「ああ。最初はどこの殺し屋かと思ったが、いい仕事しやがる。もう一人の方はてんで駄目だがな」
「全くだ。そういや、あいつがぶっ飛ばしたのはクリークの一味だって言うじゃねぇか」
「クリーク一味か…さっきもそんなことを聞いたが、クリークってのは何なんだ?」
「おいおい、知るねぇのかよ。“首領(ドン)・クリーク”って言やぁ、この辺の海じゃあ最強最悪の海賊って名高いぜ?」
「そうそう、カナッペの言うとおりだ。なんせ奴ぁ、50隻の海賊船の船長を統括する“海賊艦隊”の首領なんだからよ」
「それがどうしたよ、カルネ?」
「奴の並はずれた兵力は5000を超えると聞いた。下手すりゃ、この店は踏みつぶされちまうってことだよ」
「そんなことはさせない」

 私は先ほどから聞こえていた会話に口を挟んだ。

「兵力が5000だと言うならば、5000人殺せばいい。それだけのことだ。それよりカルネ、8番テーブルの前菜はまだか?客が待ちくたびれてるぞ。それとパティ、勝手に料理酒を飲むな。次やったらオーナーが鳩尾に蹴りだと言っていたぞ」
「おお、勇ましいじゃねぇか。昨日逃げ出したバイトのウエイターとは大違いだ。カルネ、お前もカリギュラを見習え。バラティエ名物“戦うコックさん”の名が泣くぞ」
「あほか。悪魔の実の能力者と一緒にするな。お前らと違っておれは平和主義者なんだよ」

 私の身体能力や空を飛んだり、無機物を喰べたりできるのは悪魔の実の能力ということで説明してある。普通の町などなら忌避されるものだが、ここは荒くれの集うレストラン。「ほー、伝説は本当だったんだな」程度にしかならなかった。

「ほざけテメェ!3日前やってきた海賊どもを顔の形が変わるまでブチのめしたのはどこのどいつだ!」
「うるせぇ!あれはあいつらが、おれの自慢のサングラスを馬鹿にしやがったからだ!」
「どうでもいいから早く料理を仕上げてくれ。これ以上無駄口を叩いて調理がおろそかになるようだっら、物理的に黙らせるぞ」

 バリン、ガチャン、ドンガラガッシャーン!

「…ルフィ、何をやっている?」
「い、いや、皿を洗おうかと…」
「皿?ああ、お前の足元に散らばっているガラクタのことか?」
「あー、えーと、そのー………」
「ルフィ、お前は船長で私は船員だ。普段なら、逆らうことは許されん。だが、今はお互い雑用で対等な立場だ。わかるな?わかったら手を出せ。指3本で許してやる」

 ルフィは一目散に逃げ出した。

「逃さん…!」

―――「ギャァァァァァァァッ!」

「…ホントに馴染んでやがるな」
「「…ああ」」



「ずんまぜんでじだ!ホンドずんまぜんでじだ!」
「わかったからもう泣くな。私も少しやり過ぎたと思っている。ほら、一緒に注文を取りに行こう」
「うん」

 厨房から、レストランのフロアへ出ると、大勢の客の中に、見慣れた顔がいた。

「あら、雑用コンビじゃない。あ、カリギュラ可愛い!」
「二人で半年も働くんだってな。お、なんかカリギュラの恰好が新鮮だな」
「船の旗描き直してもいいか?」

 麦わらの一味が勢ぞろいだな。

「キャプテン、ゾロ、ナミ…すまないな、こんなことになってしまって」
「ホントにお前はお人よしで苦労人だよな。もう少し気楽にやってもいいんじゃねぇか?」
「面倒見の良さは仲間一ね。ルフィはこんな仲間を持てて幸せだわ」
「おいおい、あんまりルフィを甘やかすなよ?このままだとお前に頼りっきりなっちまう」
「あ!お前ら、おれたちを差し置いてなにうまそうなもん食ってやがんだ!よこせ!」
「「「オメェはカリギュラの爪の垢でも煎じて飲め!」」」

 しばらくは談笑が続いた。
途中、いじけたルフィがゾロの水に異物を混入しようとしたが

「ルフィ、今指につけているものを水に混ぜたら次は指5本だ」

 という私の必死の説得でやめてくれた。素直でよろしい。



「さて、そろそろ仕事に戻らねばな。追加注文はございますか?お客様」
「あ、それなら私デザートを頼みたい。この青海ブドウのシャーベットて言うの」
「かしこまりました」

「ああ!今日という日はなんて幸運な日なんだろう!2人もの美の女神あえるだなんて…!」

 この声は………

「副料理長、何をしているんですか?」
「カリギュラちゃん、そんな他人行儀な呼び方しなくて、サンジでいいよ。だって僕たちは共通の罪を背負ってるじゃないか!あと、僕は君たちのような美しいレディの前にはいつだって現れることが出来るのさ!」
「………」

 ………頭が痛い。

「おい、カリギュラが頭抱えてるぞ」
「ああ、珍しいもんが見れた」
「そしてオレンジ色の髪を持つもう一人のアフロディーテ!僕はあなたとなら例え海賊に堕ちたっていい!だがなんという悲劇!僕たちの間には大きな障害が!」
「障害ってのはおれのことだろう、サンジ」

 いつの間にか近くの柱にゼフが寄り掛かっていた。

「ゲッ!クソジジイ」
「いい機会だ、海賊になっちまえ。お前はもうこの店には要らねぇよ」
「…おい、クソジジイ。そりゃどういうことだ?」
「客とはすぐ面倒事を起こす。女と見りゃ、見境なく鼻の頭を膨らませる。おまけにまともな料理一つ作れやしねぇ。お前はこの店にとってお荷物なんだよ。他のコックどもも煙たいお前が海賊なってくれれば喜ぶだろうよ」
「黙ってきいてりゃ好き勝手言ってくれるなクソジジイ!他の何を差し置いてもおれの料理をけなすとは許さねぇぞ!」

 サンジはオーナーの胸倉を掴んだ。

「いいか!おれは何と言われようがここでコックを続ける。文句は言わせねェ!」
「オーナーの胸倉を掴むとは何事だボケナス!」

 ゼフはサンジの胸倉を掴んだ手を取り、見事な投げを決めた。キャプテンたちのテーブルに。

「…オーナー、熱くなるのは良いが、テーブルに叩きつけないでくれ。私が料理を退避させなければ危うく台無しになるところだったぞ」
「ふん、文句ならそこのボケナスに言っておけ」

 言うだけ言うと、ゼフは踵を返した。

「っキショウ…クソジジイ!テメェがおれを追い出そうとしてもな!おれはこの店でコックを続けるぞ!テメェが死ぬまでな!」
「おれは死なん。後100年は生きる」

 それだけ言うと、さっさと奥へ消えていく。

「やれやれ、お互いに口が減らないな。副料理長…いや、サンジ、立てるか?」
「ああ。ジジイの蹴りに比べたら、このくらいどうってことないよ、カリギュラちゃん」

 サンジは私が差し出した手をやんわりと断り、自力で立ち上がった。

「よっしゃ、これで許可が下りたな。一緒に海賊に―――」
「ならん!」



「先ほどはお見苦しいところをお見せして失礼。お詫びにフルーツのマチェドニアを召し上がれ。青海ブドウのシャーベットも私が心を込めて作らせていただきました」
「うわぁ、嬉しい」

 私が仕事に戻って数十分後、サンジはナミを口説くつもりなのか、自慢の料理をふるまっていた。

「食後酒にはグラン・マニエをどうぞ、お姫様」
「優しいのね」
「そんな………♡」
「ちょっと待て!おれたちにはなんの詫びもなしか!?」
「テメェらにゃ粗茶だしてんだろうが。それで十分だろうが、このタコ野郎!」
「やんのかコラ!よし、カリギュラやっちまえ!」
「断る。それよりキャプテン、残っているキノコを早く喰べてくれ。皿が片付けられん」
「ああ、おれはキノコ駄目なんだよ。子供のころ中ってな」
「だから?これは毒キノコではない」
「いや、でもよ…」
「キャプテン、5秒以内に喰え。出来なければ喉を搔っ捌いて無理やり詰め込む」
「喜んで食べさせていただきます!」
「よろしい」
「カリギュラちゃんは料理に対する礼儀ってもんを良く知ってるね。ますます好きになっちゃったよ」
「………」

 良いことを言っているのだがな…

「ところで、ねぇ、コックさん?」
「はい、何でしょう?お姫様」
「ここのお料理、私には少々お高いみたいなの?だから…」

 ナミがグッとサンジに顔を寄せる。

「はい!勿論無料にさせていただきます!」
「ありがとう、嬉しい!」
「サンジ、代金はお前の給料から天引きだからな」
「え!?ちょ、カリギュラちゃん!?」
「コックたちの給与管理も仕事のうちだそうだ。占めて12000ベリー、しっかりと給料から引いておく」
「…ま、まあ、レディの抱擁の代償としては安いもんだ」
「そうか。では、今取ってきた注文の料理を頼む。9番、1番テーブルだ」
「…小悪魔系のこの娘(こ)もいいけど、クール系のカリギュラちゃんも素敵だな」
「いいから早く行け」
「OKだ。カリギュラちゃん」
「ああ、お茶がうめぇ」
「ルフィ、お前もさっさと仕事に行くぞ。今入ってきた客におしぼりを用意しろ」
「エェ…面倒くさ―――」

 ジャキン!

「御意!」
「…もう本当にどっちが船長かわからなくなってきたな」
「「うん」」





 私たちがバラティエで雑用をしだしてから2日後、その海賊船はやってきた。

「お、おい!あれは“首領・クリーク”の海賊船じゃねぇか!?」

 外には巨大なガレオン船がこちらに向かってくるのが見える。

「敵への脅迫を示す砂時計を両脇に掲げた髑髏…間違いない!クリーク海賊団だ!」
「団体の『お客様』がご到着されました」
「言ってる場合か!カリギュラ、お前は奥へ行ってろ。きっとあの下っ端をボコボコにしたお前を狙ってるんだ!」
「安心しろ、前にも言った通り、そうなったら皆殺しだ」
「「「頼りになり過ぎて逆に怖ぇよ!」」」

「でっけー船!ギンの奴、サンジに恩返しに来たのかな?」
「…いや、そういう雰囲気じゃねぇな。だが、一番気になるのは…なんであんなにボロボロなんだ?」

 サンジが言ったように、クリークのガレオン船はいたるところに破損が見られ、浮いているのが奇跡に近いような状態だった。

「あのでかい船をここまでぶっ壊すとは、まず人間業じゃねぇ。何かの自然現象に捕まっちまったんだろう」

 しばらくすると、レストランのドアが開いた。

「すまん…メシと、水を貰えないか?金なら…いくらでもある」
「た、頼む!ドンを助けてくれ!今日はちゃんと金を持ってきた!」

 入ってきたのは2人。一人は2日前に別れたばかりのギン。もう一人はギンに抱えられている大柄でがっしりとした男。

「カルネ、あれが“首領・クリーク”か?」
「あ、ああ。手配書でしか見たことねぇが、確かにそうだ」
「そうか。―――『お客様』2名入りました」
「お、おい!あいつはイーストブルー最強最悪の海賊、クリークだぞ?」
「関係ないな。確りと金を持っているのだろう?だったら『お客様』だ。サンジ、オーダーだ。消化が良くて出来るだけ腹に溜まるものを」
「もう用意出来てるぜ、カリギュラちゃん」
「―――!サンジ、カリギュラ!テメェらいい加減に―――」
「どけ、パティ」
「グへッ!」

 サンジの回し蹴りがパティに突き刺さった。

「ほらよ、ギン。これをそいつに食わせな」
「サンジ、ピラフは少々重いだろう。ギン、このスープも一緒に飲ませろ」
「サンジさん!カリギュラさん!」
「すまん!」

 ギンから食事を受け取ると、クリークは一心不乱に貪り始めた。

「サンジ!カリギュラ!今すぐそいつからメシを取り上げろ!お前らはそいつがどんな奴か知ってんのか!?イーストブルーの覇者、“ダマし討ちのクリーク”とはこいつのことだ!始めに監獄から海兵に変装して脱走し、船の海兵を皆殺しにして海賊として旗を上げた!その後も白旗や海軍旗を掲げて敵船や商船、町を襲うことを繰り返してきた外道だ!勝ち続けるために手段を選ばない男なんだぞ!?」

 まさしく、絵に描いた海賊といったところか。

「この男、本来の強さもハンパじゃねぇ!そんな男がメシを食って大人しく帰るだと?ありえねぇよ!」
「だから、さっきも言っただろう。そうなったら皆ご―――!」

 瞬間、身体が宙に舞った。

「は、話が違うぞ、ドン!この店には絶対に手を出さねぇって約束でここへ案内したんだ!それに、あの男とウェイトレスはおれ達の命の恩人だぞ!?」
「ああ、ピラフもスープも美味かった。生き返ったよ」

 ゴキッ!

「ぎゃぁぁぁぁッ!」
「ギン!」

 クリークがギンの肩を握り潰した。
 なかなかの膂力だ。

「サンジ、立てるか?」
「余裕。それより、カリギュラちゃん怪我は無いかい?」
「あの程度、赤子に撫でられた様なものだ」
「レディに手を上げるとは、男の風上にも置けないクソ野郎だな」
「ほう、両方とも意外と丈夫だな。まあいい、このレストラン、気に入った。貰うとしよう」
「ま、巻き込まれるぞ!逃げろ!」
「キャーッ!」

 クリークの言葉に、店内の客が我先にと逃げ出す。

「…今逃げ出して行った客の代金はクリーク海賊団持ちでいいのだろう?」
「ああ。しっかりボッたくってやってくれ」
「…ふむ、その喋り方の方が私は好みだぞ。サンジ」
「お、そうかい。じゃあ、リクエストにお答えして、この喋り方で通させてもらうよ、カリギュラちゃん」
「な、何落ち着いてやがんだ!見ろ、これがクリークって男だ!」
「ドン…約束が、違う…」
「ギン!大丈夫か!?」
「安心しろ、ルフィ。派手な音はしたが、折れてはいない。骨が外れただけだろう」
「そっか、よかった」

「ウチの船はボロボロになっちまってな。丁度新しい船が欲しかったんだ。お前らには用が済んだらここを降りてもらう」
「降りてもらう?意外だな。イーストブルー最悪の海賊と言われているくらいだから、皆殺しくらいはすると思ったが…」
「フハハ!気丈な女だ。まあ、おれもそれなりに恩は感じてるってことだよ。さて、今船には息のある部下が約100人、空腹と重症でくたばっている。まずは、そいつらの食料と水を用意しろ。早急にな」
「この船を襲うとわかっている連中を後100人増やせってか!?断る!」
「…勘違いするな。おれは「命令」してるんだ…誰もおれに逆らうな!」

 クリークの気迫にコックたちが身震いする。

「取り返しのつかねぇことしてくれたな!サンジ!カリギュラ!」

 いつの間にか意識を取り戻していたパティが悪態をついてきたが、無視。

「―――!おい、サンジ!どこへ行く!?」
「厨房さ。後100人分メシを用意しなけりゃならねぇ」
「な、何ィッ!」
「サンジさん…」
「そう、それでいい」
「サンジ」
「………」

 だが、厨房へ向かうサンジを囲う様に、コックたちが銃を突き付けた。

「………」
「ストップだ、カリギュラちゃん。レディがこんなムサイ男どものゴタゴタに巻き込まれちゃいけない」
「…了解した」

 私はブレードを展開しようとしていた左手を元に戻した。

「テメェはクリークの回しものかよ、サンジ。厨房には入れねぇ。お前のイカレた行動にはもう付き合いきれねぇ!」
「いいぜ、おれを止めたきゃ、撃て」
「「「「「―――!」」」」」
「わかってるよ。相手は救いようの無ぇ悪党だってことぐらい…でも、おれには関係無ぇことだ。食わせた後、どうなるかなんて、考えるだけでも面倒臭ぇ。―――「食いてぇ奴には食わせてやる」、コックってのはそれでいいんじゃねぇか?」
「「「「「………!」」」」」

 サンジを囲んでいるコックたちがためらった瞬間

ドゴッ!

パティの裏拳がサンジの後頭部に炸裂した。

「パティ!」
「抑えとけ!…サンジ、お前はおれが追い払った客にたまに裏口でメシをやってるよな。それが正しいかどうかはおれにはわからん。だが、今回のことはテメェとカリギュラのミスだ!これ以上余計な真似をするな、この店はおれが守る!」
「パティ、誤解があるようだから一つ言っておく。私は奴らが金を払う気があるから客として対応しただけだ。代金を踏み倒そうというのなら、私も戦う」
「引っ込んでろ。どうせこれでケリがつく」

 パティはいつの間にか大きな包みを持っていた。

「幸い敵はまだ“首領・クリーク”一人。ここは日々海賊蠢く海上レストラン!どんな客でも接客の準備は万端よ!」

 パティが包みから取り出したのは黒光りするエビ型のバズーカ…?だった。

「食後に一つ、鉄のデザートを食っていけ!『食あたり砲弾(食あたりミートボール)』!!」
「小癪」

 ボゴォンッ!

 砲弾は見事クリークに直撃し、クリークはそのままレストランの外縁にはじき出された。

「まいったな。扉壊しちまった。オーナーにどやされちまう」
「店を守るための小さな犠牲だ。この程度で済んで御の字よ」
「クリークの船に残った連中はどうすんだよ」
「そうだな、船にバターを塗ってローストにでもするか?」
「そいつぁ美味いんだろうな、ヘボコック」
「―――!馬鹿な!」

 砲弾の直撃をくらっても立つか…

「クソ不味いデザート出しやがって、最低のレストランだ」
「カリギュラ!あいつ身体が金ぴかだぞ!?」
「…おそらく、ウーツ鋼の鎧だ。金色に輝くのはウーツ鋼の特徴だと鉱物関係の本に書いてあった」
「ウーツ鋼?」
「イーストブルーの東南、赤い大陸(レッドライン)付近のウーツ島の鉱山でのみ採掘される金属だ。硬度、耐久力、柔軟性、に富んでいるが、重い。同じ体積で鉄の約2倍の質量を持つ」
「―――?」
「…とにかく堅いということだ」
「おお!そういうことなら最初から言ってくれよ」
「………はあ」

 ルフィにため息をついていると、いつの間にかコックたちが全滅していた。

「虫ケラどもが…このおれに逆らうな!おれは最強なんだ!誰よりも強い鋼の腕!誰よりも硬いウーツ鋼の体!全てを破壊するダイヤの拳!全身に仕込んだあらゆる武器!」
「………」

―――右腕変形。タイプ『オヴェリスク』

「50隻の艦隊に5000人の兵力!今まで全ての戦いに勝ってきた!おれこそが首領(ドン)と呼ばれるにふさわしい男!」

―――アラガミバレット『二連轟氷球』装填。

「おれが食料を用意しろと言ったら、黙ってその通りにすればいいんだ!誰も俺に逆らうな!」
「…ふむ、食あたりミートボールだけでは喰い足りなかったと見える」
「ああ!?―――!な、なんだその腕はッ!」
「お望み通り、最高のデザートを振舞ってやろう。天にも昇る気持ちになれる」
「ヤ、ヤメロォ!!」

―――発射

ドドゴォン!

 『二連轟氷球』―――その名の通り、爆発する2つの氷塊を打ち出す、私の吐き出す氷弾を模したアラガミバレット。目標を自動追尾する機能も付いているので、まず外れないのだが…

「邪魔をするな、オーナー」

 いつの間にやらいたゼフに銃身に蹴りを入れられ、大きく射線がずれてしまった。これでは、いくら追尾機能があろうとも、当たるわけがない。

「やかましいボケアマ。おれの店をぶっ壊す気か?」
「オーナーが軌道を変えなければ、クリークに直撃して、被害は正面だけで済んだんだがな。…天井の総入れ替えが必要だ」

 射線がずれたおかげで、天井の1/3が消し飛んだ。

「チッ、口の減らねぇ奴だ」

 ゼフはそのまま先ほどの銃撃を見て呆けているクリークの前に、大包みを投げ出した。

「オーナー・ゼフ!」
「―――!」
「100食分はあるだろう。さっさと船へ運んでやれ…」
「ゼ、ゼフだと…!?」
「オーナー!なんてことを!船の海賊どもまで呼び起こしたら、この船は乗っ取られちまうんですよ!?」
「…その戦意があればの話だがな。なあ、グランドラインの落ち武者よ」
「貴様は、『赫足のゼフ』」

 クック海賊団船長『赫足のゼフ』。コックにして料理長を務めた無類の海賊。戦闘において一切手を使わなかったといわれる蹴り技の達人。その威力はすさまじく、岩盤を容易く砕き、鋼鉄にすら足形を残したという。だが、9年前の海難事故で死んだとされている。
 なるほど、あの右足はその時に失ったのか。

「お前はかつて、そこの女のような悪魔が蠢くグランドラインで丸1年航海をしながら、無傷で帰ってきた海賊。その1年を記録した「航海日誌」を俺によこせ!」
「へー、おっさんもグランドラインに入ったことあんのか」
「まぁな。確かに航海日誌はおれの手元にある。だが、あの日誌はかつて航海を共にした仲間達全員とわかつ我々の誇りの証。貴様にやるには少々重すぎる!」

 …誇り、か。

「ならば、奪うまでだ!確かにおれはグランドラインから落ちた!だが、腐っても最強の男“首領・クリーク”!たかだか弱者どもが恐れる闇の航路など、渡る力は十分にあった!野心も!兵力も!ただひとつ惜しむらくは情報!それのみがおれに足りなかった!」
「いや、違うだろ」
「…なんだと?女ァ…!」
「お前に圧倒的に足りないものは―――『実力』だろう?」
「…どうやら、死にてぇらしいな」
「ならば、さっさと掛かってこい。お前を片付けた後、船から逃げた客の食事代や店の修理代も含めて回収しなければならないのだからな」

 左右の腕を原型に戻し、クリークを挑発する。

「な、なんだあの腕!?」
「あれが悪魔の実の能力者…!」

 コックたちがざわつく。

「化け物め……だが、グランドラインで学んだように、情報がそろわないうちにお前とことを構えるつもりはない」
「私には関係無いな。ここで死ね」
「やめろボケアマ!」
「…オーナー、金を払わない奴は客じゃないんじゃないのか?」
「オーナー命令の方が優先順位が上だ。黙って従え」
「…了解した」

「そうだ、大人しくしていろ化け物。すぐに始末してやる。そして、おれはゼフの航海日誌を手に入れ、再び海賊艦隊を組み、“ひとつなぎの大秘宝”を掴みとって、この大海賊時代の頂点に立つのだ!」
「ちょっと待て!海賊王になるのは、おれだ」
「ルフィ…」
「ざ、雑用…!」
「おい引っこんでろ、殺されるぞ!」
「引けないね、ここだけは!」
「何か言ったか、小僧?聞き流してやっても良いんだが」
「聞き流す必要はねぇ。おれは事実を言ったまでだ」

「………」
「ルフィが気になるか?サンジ」
「―――!い、いや、気になんかなって無いよ、カリギュラちゃん」
「…そうか」

 さて、そろそろ奥のテーブルに座っている輩にも出張ってもらうとしようか。

「キャプテン、ゾロ。そろそろ出番だぞ」
「応!」
「いや、カリギュラ、実はおれ2日前のキノコに中って体調が…」
「私はオーナー命令で動けない。代わりに頼むぞ」
「なんだ、お前らもいたのか。いいよ、座ってて」
「ハッハッハッハッハ!そいつらはお前の仲間か?随分とささやかなメンバーだな!」
「何言ってんだ!後2人いる!」
「だから、おれを頭数に入れんな!」
「嘗めるな小僧!グランドラインは情報こそ無かったにせよ、兵力5000の艦隊がたった7日で壊滅に帰す魔海だぞ!」
「な、7日!?」
「クリークの海賊艦隊がたった7日で壊滅だと!?」
「聞いたかおい!50隻の艦隊が1週間で全滅したってよ!」
「面白そうじゃねぇか」
「兵力5000と言っても、碌なのがいなかったんだろう。0が5000人集まっても結局は0だ」
「…このままそう言い張るのなら、この場に残れ。おれが直々に殺してやる。特にそこの化け物」

 クリークが私を睨みつける。

「あそこまで啖呵を切ったんだ。貴様は必ず残れ」
「言われずとも、私は逃げも隠れもしない…私の右腕も、お前を喰いたくて仕方がないみたいだしな」

 右腕を捕喰形態である顎門に変える。
 ダラダラと滴り落ちる唾液が、早く喰わせろと言っているようだ。

「…ふん、ますます持って化け物だな。まあいい、貴様ら全員に一時の猶予をやろう。おれは今から船に居る部下どもにこの食料を食わせてくる。死にたくねぇ奴はその間に船を捨てて逃げればいい。おれの目的は航海日誌とこの船だけだ。もしそれでも死にてぇ奴がいるなら仕方ねぇ、面倒だが、おれが海に葬ってやる」

 それだけ言うと、クリークは船へと戻って行った。

「…オーナー、さすがにもうやめろとは言わないだろう?」
「このイカレクソアマめ、海賊どもが可愛く見える。…あいつらが戻ってきたら、好きにしろ」
「了解した」

 左腕のブレードをぺロリと舐める。
 もうすぐ、血の味がするようになるだろう。
















【コメント】
 カリギュラ は ちから を ためている !


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