<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

その他SS投稿掲示板


[広告]


No.25529の一覧
[0] 【チラシの裏から移動】蒼神/人舞(GOD EATER×ワンピース)[Ray](2011/11/26 22:33)
[1] プロローグ[Ray](2011/01/20 00:14)
[2] 第1話 ウソップ海賊団入団[Ray](2011/01/22 15:55)
[3] 第2話 仲間[Ray](2011/02/19 11:56)
[4] 第3話 ヴァイオレンスウェイトレス[Ray](2011/01/28 16:19)
[5] 第4話 クリーク襲来[Ray](2011/03/08 23:36)
[6] 第5話 世界最強の剣士[Ray](2011/02/02 19:43)
[7] 第6話 新しい仲間”サンジ”[Ray](2011/03/08 23:37)
[8] 第7話 アーロンパーク到着[Ray](2011/03/08 23:37)
[9] 第8話 誇り[Ray](2011/03/08 23:40)
[10] 第9話 人喰らいのカリギュラ[Ray](2011/03/08 23:43)
[11] 第10話 蒼刃・氷女[Ray](2011/03/08 23:44)
[12] 第11話 アラガミの宴[Ray](2011/03/20 21:59)
[13] 第12話 いざ、偉大なる航路へ[Ray](2011/03/24 09:54)
[14] 第13話 リヴァース・マウンテン[Ray](2011/04/07 12:51)
[15] 第14話 愚者の所業[Ray](2011/04/09 20:58)
[16] 第15話 ゾロの夢、ウソップの出会い[Ray](2011/04/23 16:14)
[17] 第16話 新しい仲間“サリー”[Ray](2011/04/23 16:59)
[18] 第17話 前夜祭[Ray](2011/06/16 02:53)
[19] 第18話 カルネヴァーレ(1) グロ注意[Ray](2011/06/21 00:07)
[20] 第19話 カルネヴァーレ(2) グロ注意[Ray](2011/07/21 15:28)
[21] 第20話 カルネヴァーレ(3) グロ注意[Ray](2011/07/26 22:13)
[22] 第21話 後夜祭[Ray](2011/08/11 19:45)
[23] 第22話 新しき因縁[Ray](2011/08/25 14:37)
[24] 幕間1 アラガミがいる麦わらの一味の日常[Ray](2011/11/26 16:59)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[25529] 第19話 カルネヴァーレ(2) グロ注意
Name: Ray◆6fb36f09 ID:4cd0596b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/07/21 15:28
グロ注意!
 色々とバイオレンスな回です。
 苦手な方はすぐに引き返してください。
 
 大丈夫だと言う方はこのまま↓へどうぞ。































私のコアを寸分違い無く貫こうとしている一撃が届くまでの時間が、妙に長く感じられます。
マスターと別れるのは本当に残念ですが、これでやっと終われるという喜びもあります。
 思い返せば、本当に碌でもない生涯でした。

物心着いた時、既に両親は無く、その世界で“ゴミ溜め”と呼ばれる場所に立っていました。ゴミ溜めはあらゆる不要物が集う場所。ゆえに、私は捨てられたのでしょう。
私はゴミ捨て場で腐ったレーションを食べ、アラガミの襲撃に怯えながら、なんとか生き抜いていました。
そこには他にも浮浪児がいた気がしますが、病で死んだり、アラガミに喰われたりして、すぐにいなくなるので、顔も名前も憶えていません。

そんな生活を何年か送っている内に、私もそれなりに成長しました。
私も一応女なので、こんな不潔なところは慣れはしても、好きではありませんでしたし、好奇心というものもありましたので、外に出てみようと思い、行動に移しました。
ゴミ溜めのは別に隔離されているわけではないので、外に出るのはそれほど苦労しませんでした。
外に出ると、それなりに大きな町がありましたが、あまり治安が良いとは言えませんでした。

そんな街中を、年頃の娘が一人歩く。まあ、どうなるかは最初からわかっていました。ゴミ溜めにも、その程度の情報は入ってきます。
私の容姿は男の獣欲を殊更刺激するらしく、まるで羽虫のように群がってきました。
ゴミ溜めで生きるためには奪うことが最も確実で簡単なことだと学んでいたので、私が花売りの真似事を思いつくまでに、時間はかかりませんでした。

しかしながら、豚どもの粗末な物を受け入れるなど、論外だったので、豚どもを適当に誘惑しては、毒を塗ったナイフで刺し殺し、金を奪っていました。他にも色々とやりましたが、豚を屠殺するのが最も効率的でした。
この口調も、男を誘惑するために矯正したものですが、長い期間使っていたので、いつの間にか、定着してしまいました。

 そんなことを続けている内に、いつの間にか捕まり、牢獄へと繋がれました。
どうせこの先もまともな人生は送れない、ここで死ぬなら、それも良いと思っていました。しかし、運命は相当に私がお気に入りだったようで…
ある日、私は牢獄から移送され、研究施設へと移されました。
その日からは身体に訳のわからない薬品を大量に投与されたり、頭に電極をブッ刺されて中をグチャグチャにされたりと、ステキな日々を過ごしました。
そして、最後に―――
 
「サリー!」

 ―――!マスター!?

 マスターの声が聞こえたかと思うと、閉じていたはずの視界が開き、意識が一気に覚醒しました。
そして、空気を切り裂く音と共に、鋭い一撃が身体を穿ちました。

「グ…!?」

 ただし、それは私ではなく、カリギュラに対して、です。
 カリギュラは腹に受けた衝撃に耐えきれず、数mほど後退し、片膝をつきました。
 腹には抉られたような跡があり、そこから出血しています。
 傷口がドス黒く変色しているので、これは強力な毒素を撃ち込む私のアラガミバレット「ポイズンショット」でしょう。
 ですが、一体誰が…?

「キャプテン…なのか?」

 カリギュラが何を言っているのか、一瞬理解できませんでした。
 しかし、その疑問もすぐに氷解します。

 ああ、こんなことがあるだなんて…

「―――って、カリギュラか!?わ、悪りぃ!目覚ましたら何かいきなり襲いかかられてたんで、つい反撃を…」

 聞こえたのは私が体内に取り込んだマスターの声。
 巨大な一眼が描かれた仮面を着け、私の銃「ビューグル砲」を構えています。
 私がカリギュラに斬り裂かれる直前に、私と“合神”し、迎撃してくれたのです。

「ちょっとウソップ、その仮面何なの?」
「仮面?あ、顔に何か着いてる」
「いや、気付きなさいよ!」
「でもこれ、しっかり周りが見えるぜ。しかも、生身で見るよりもくっきりと色んなものが見える。それに、カリギュラを撃った時も何か時間がゆっくりになったような…」

 私は通常のザイゴート種のアラガミとは似て非なるものです。
 マスターを体内に取り込み、保護したのも“合神”と言う能力の一端です。
 …これはチャンスですね。ここでカリギュラを上手く丸め込めれば、喰われる事もないでしょう。
 初めての試みで少々不安ですが…

【皆さん、私の意思が伝わりますか?】

自分の眼から思念波を発し、カリギュラ達に送り込みます。
ちなみに、本来は相手の精神を蝕み、精神の支配や破壊等を引き起こすのに使います。

「―――!サリーか」
「な、何これ?」
「頭に直接響いてくるみてぇだ」

 どうやら、成功の様です。

【これは私の喰べた悪魔の実「ジロジロの実」の能力で、私の意思を思念波に乗せて、直接伝えているのです。
早速ですが、弁明を。見ての通り、私はキャプテンやナミを捕喰しようとしていたわけではありません。
私は体内に生物を取りこんで、保護する能力を持っています。その能力を使って、お二人を保護しようとしていただけです】
「………」

 カリギュラはまだ警戒を解いていません。
まあ、そんな簡単にいくとは思っていませんでしたが。
 しかしながら、左目の攻撃色が消えていることから、在る程度の効果はあったようです。
 …クスクス、チョロイもんです

「…質問がある。
 1.何故今まで悪魔の実の能力を隠し、意思を伝えていなかったのか。
 2.私の知るザイゴート種に体内に生物を保護する能力は無い。また、キャプテンに着いている仮面型の形態は何なのか
 3.何故お前には人間らしい意思があるのか」

 少し思案した後、カリギュラが質問をしてきました。
 まあ、この内容なら、特に隠すことは無いでしょう。あれば適当に誤魔化しますが。

【まず1についてですが、出会って間もない者たちに、自分の手の内は早々明かせません。私もそれなりの経験をしていますからね。
 次に2ですが、少々長くなります。貴女の言うとおり、私は通常のザイゴート種とは違います。質問に質問を返すようで失礼ですが、アルダノーヴァというアラガミをご存知ですか?】

 私が尋ねると、カリギュラは少し眼を瞑った後、ゆっくりと眼を開いて、頷いた。

「何なの?そのアルダノーヴァって」

 ナミの疑問に、カリギュラが答えます。

「人間が人工的に作り出したアラガミだ。私達の敵性存在であるゴッドイーター達の武器である神機を作る技術を応用して作成されたと記憶している」
「お前の居た時代の科学技術って、スゲェんだな」

 …そうですね、技術だけは。

「…その進み過ぎた科学技術が私達アラガミを発生させたんだがな」
【脱線はそのくらいにしましょう。私はそのアルダノーヴァを参考として造られた“合神”型のアラガミです】
「合神?」

 カリギュラが首をひねります。まあ、数多くのゴッドイーター達を捕喰してきたであろう彼女でも、知らないのは無理ありません。日の目を見る前に潰れた計画の産物なのですから。

【簡単にいえば、人間と合体し、完全制御可能なアラガミ化を起こせるアラガミです。まあ、結局プロトタイプの私が完成した後すぐに計画は破棄されましたが】

 ここでナミが手を挙げました。

「質問。アラガミ化って何?」

 それに対し、カリギュラが答えます。

「オラクル細胞は、ある特定の因子によって、制御することが可能だ。この因子とオラクル細胞が埋め込まれた人間こそがゴッドイーター。しかし、その状態で何らかの要因により、制御が外れるとオラクル細胞が暴走して宿主を喰らう。そして、変異を繰り返し、新たなアラガミとなる。これがアラガミ化だ」
「アラガミを倒す奴らがアラガミそのものになる事があるのか…なんか、皮肉だな」

 全く、その通りです。化物を倒すために、自らも化物に成らねばならなくなったら、もう終わりですよ。

「…何故計画が破棄になったんだ?」
【理由は簡単です。計画で実験体となった被験者が全員暴走して、大惨事になったからです】

 まあ、正確には暴走させた、ですが。
 誰が好き好んで私をこんな姿にした連中に利用されてなどやりますか。

【当然、使用されたのは私ですが、故意に暴走させたわけではありませんよ?】

 ですが、マスターは優しいお方なので、ここは優しい嘘に包んでおきます。

「別にそこはどうでもいい」
「いや、良くねェだろ!」

 マスターがカリギュラに突っ込みを入れます。
 …嫉ましい。

「まあとにかく、制御されたアラガミ化など不可能だったというわけだな。つい先ほどまでは」

【ですが、今日その不可能を達成したのが我がマスター、ウソップです。しかも、オラクル細胞を制御する因子すら無くとも、私と合神を果たしています!】

 愛の力です!…と言いたいところですが、これは私がオラクル細胞を制御しているからです。さすがに、因子を持たないキャプテンがいきなりオラクル細胞の完全制御をするのはリスクが高すぎます。
 ですが、自らの意思で私と合神を果たし、私がオラクル細胞の制御を開始する僅かな時間ではありますが、オラクル細胞に侵喰されなかったマスターは、明らかに適性があることがわかります。
 ビューグル砲だけなら、私が単独でオラクル細胞を制御すればいいのですが、合神は相性の他に、装着者にもある程度のオラクル細胞制御が不可欠です。因子を持たないマスターがどのように制御しているのか、解明できれば、マスターの人格を残したまま…
クスクス…少しづつです。少しづつマスターを造り変えていきます。焦らず行きましょう。

「ちょっと待て!ってことは、おれ今アラガミなのか!?」

 驚愕するマスターにカリギュラが近づき、顔のすぐ近くでクンクンと鼻を動かします。
 …さっさと離れてください。貴女の顔のどアップなんて、見たくありません。

「…いや、キャプテンはまだ人間だ。オラクル細胞特有の匂いはほとんどない。だが…これからもサリーとの合神を続ければいずれそうなる可能性も考えられる」

 余計なことを…!

【ですが、私との合神によって得られる力はかなりのものです。これからグランドラインの航海を続けるのに、きっと助けになれます】
「サリー…!ありがとよ。まあ、万が一アラガミになっちまっても、どうにかなるだろ」

 ああ、マスター、私を受け入れてくれるのですね…!

「あんた脳天き過ぎ。岬で見たアラガミみたいに、理性なんか残らなくなるかもしれないのよ?」
「大丈夫だって。その辺はサリーが何とかしてくれるだろ」

 はい。その辺りは細心の注意を払います。
 あ、でもちょっと生殖器とかは弄るかもしれません。…いけない、涎が。

「…キャプテンがそれでいいなら構わない。さて、最後の質問だが、答えてくれるな、サリー」

 ヒトヒトの実を喰べて理性を得たカリギュラにとって、私の存在は気になるのでしょう。
 他にも氷女がいますが、あれはカリギュラ自身がそのように設計したと聞きましたし。

【簡単な事ですよ。私は元々人間だったと言うだけです】

「………」
「え!?」
「な!?」

 ナミとマスターは驚愕し、カリギュラは鋭い目つきで私を射抜いています。
 人間であるナミやマスターと違い、アラガミである彼女にとって、私が元人間であったことなど、どうでもいいのでしょう。
 
【私は今の時代よりもはるか昔に産まれました。碌でもない生い立ちなので、詳しい説明は省きますが、研究所でオラクル細胞を埋め込まれ、合神型のアラガミに作りかえられました。
本当に碌でもない半生でしたが、あの岬でマスター達と出会って、初めて優しさと言うものに触れられました。感謝しています】

本当はマスターだけなんですが、その他の奴らにも事も感謝していると言えば、カリギュラも落しやすいでしょう。

「サリー…」
「うう…サリー…!」

 マスター、私のために涙を流してくれて、ありがとうございます。
 ………これがマスターの体液の味…グへへ。

「サリー…」

 仮面の裏に触れるマスターの体液を吸収していると、カリギュラがゆっくりと歩み寄ってきました。
 誤魔化しきれませんでしたか…!
 非常に、非常に不本意ですが、マスターを一時的に支配下に置き、ここから逃走しようかと身構えた瞬間

 ―――ギュム

 異様にでかくて、無駄に柔らかいものが押しあてられました。
 どうやら、頭に手をまわされて、抱きつかれたようです。

「すまない。そんな過去を抱えながら、お前は仲間を守ってくれようとしていたのに…!」

 カリギュラは更に力を込めて抱き込みます。
2つの膨らみは、驚異的な張りと柔らかさで、私を包みこみます。
放しなさい!私に同性愛の気はありません!

「…ここは…天国だ…」

 マスターの体液に血液が混じりました。
 
―――ブチ!

【放しなさい!このレズ女!】

 私は強制的にマスターの身体を支配すると、カリギュラの腹にポイズンショットをブチ込みました。

「フフフ、そう照れるな」

 ゲ!もう耐性が付いてるんですか!?
 ゼロ距離でアラガミバレットを撃ち込まれたにも関わらず、カリギュラは平然としています。なんですか、この化物!?

「まあ、先ほど言ったように、疑って悪かったな。殴ったことに関しては、貸し1と言うことで勘弁してくれ」

 しばらくして、カリギュラはようやく腕を解いて、私達を解放しました。
 ああ、眼に残る感触が気持ち悪い…

【全く、良い迷惑です。ねえ、マスター?】
「おれは…天国を見た…」

 …………………………………………………………クスクス。

【…クスクス、マスター…】
「は、はひ!?」

 自分でも驚くくらいドス黒い思念が出ました。
 
【初めての合神ですし、色々とデータを採ることを兼ねて、ちょっと外で戦闘をしましょうか】
「いや、おれは別に【しましょうか】はい喜んで!」

 快く受諾してくれたマスターと共に、建物の外へと向かいます。

「い、いってらっしゃい」
「雑魚相手とはいえ、戦いは良いものだ。楽しんで来い」

 クスクス………





す。



「さーて、次はこいつの調子を確かめるか」

 物陰に隠れつつ、バロックワークスの社員達を横目に主殿は私と対照的に鬼徹を握る。
 …ふん、主殿の刀は私だけで十分だと言うに。

ジャリ…

 ―――!

(主殿、上だ!)
「―――!」

 人間には聞こえないような靴擦れの音とて、聞き逃しはしない。
 私の声に反応した主殿は、ほとんどタイムラグ無く鬼徹を自らの頭上に一閃した。

「…バ、バカな…!」

 完全に奇襲に成功したと思っていた男は、二つに分かれて地面に落ちる。
 だが、今の音で居場所を気付かれた。

(来るぞ、主殿!)
「元より承知の上だ!」

 主殿が建物から離れると同時に、建物に向かって集中砲火が行われた。

「銃を持ってる奴らが多いな。出来ればもう少し各個撃破で潰しときてぇが…」

 そこから少し離れた建物に身を隠しながら、主殿はぼやいた。

(突っ込め主殿。鉛玉程度、私達の脅威ではない)
「…何度でも言う。おれは人間だ」
(やれやれ…)

 未だ自分を人間だと言い張る主殿に呆れていると、砲撃音と共に敵陣の方から悲鳴が上がる。

 少し前にも何発か聞いた音だ。と言うことは…

 私は耳を澄まし、目的の声を探る。

「サ、サリー!?威嚇射撃で掠らせようと思った奴の上半身が無くなったんだが?…いや、【ナイスキル!】じゃねぇよ!どんな威力んだ、お前のアラガミバレット!
 …お、おう、人を殺すのは初めてだ…え?【マスターの初めて貰っちゃいました!】?反応するとこそこ!?」

 ヘタレと…多分クソ卵か。

(…主殿、ウソップとサリーが加勢に来たようだ)
「何、ウソップがか?あいつはこういうとき、起きても寝たふりとかすると思ったが…」
(それには私も同感だ。ただ、奴の声にくぐもりがある。仮面か何か付けているのかもな)

 目が命の狙撃手が仮面など付けて何をやっているのやら…

「まあ、何でもいいさ。銃を持ってる奴らはウソップを狙うだろうから、こっちは同じ近接武器の相手をすりゃぁ良い」
(そうだな。奴らの事などどうでもいい。それよりも…その、あの、さっさと終わらせて、一緒に―――)
「居たぞ!こっちだ!」

 ウソップの砲撃を受けているのとは別の部隊に見つかった。

 …私が勇気を振り絞って主殿に甘えようとしたのに………微塵に刻んでくれる!

 主殿の予想通り、銃を持ったものは少なく、ほとんどが刃物等で武装している。
 主殿は迷いなく、敵部隊に突っ込む。

(…主殿、私を振れ)
「あ?まだ間合いじゃねぇぞ」

 確かに、敵との距離は約10m。
 刀が届く間合いではない。だが、今の「私」なら届く。

(振れ!)
「…わかった」

 主殿が私を横に一閃すると同時に、私は自分自身を―――刃を無数の「髪」へと変化せる。髪へと変化させた刃は長さを著しく増し、敵を射程内に捕える。

 ―――夜刀髪

 風に舞う程に軽く、細い髪は全てが鋭利な刃。一太刀振るわれれば、髪は大気と共に舞い、蛇の如く肉に喰らい付く。

「―――!」

 敵は、悲鳴一つ上げることすらなく肉塊となり、その肉すら、瞬の内に私が喰らい尽す。
 後に残るは骨骸のみ。

「まるで鋼糸術だな。いや、それよりも更に凶悪か」

 えっへん!もっと褒めろ、主殿!

「じゃあ、次はおれの番だな。氷女、刀に戻れ」
(承知した)

 私は髪を束ねて刀の姿に戻る。
 主殿は両手に私と鬼徹を持った状態で、ウソップに気を取られている敵の背後に素早く近付く。

「おいおい、寂しいじゃねぇか。おれも混ぜてくれよ」
「―――!しまッ…!」

 敵陣の中を駆け抜けるように敵を斬る、斬る、斬る、ひたすら斬る。
 ある者は私に斬り喰われ、ある者は鬼徹に得物ごと真っ二つにされる。
 さらに、私達に気を取られれば、すかさずウソップの砲撃が飛んでくる。
 敵は正に四面楚歌。つい先ほどまで隣に立っていた仲間が脳漿をブチ撒け、細切れになる光景を見て、狂乱する者が続出し、最早連携も何もない。

ああ…恐怖しながら死に逝く人間の肉の何と美味なることか…!ヒヒヒ…

(主殿!肉が!肉が逃げる!追いかけて喰おう!)
「…?おい氷女、お前―――」
「いたぞ、こっちだ!」

 来た!肉が来た!

「チ、ちと数が多いな」
(ヒヒヒ!肉肉肉!)
「ゾロ君!こっちだ!」

 建物の上から大きな一眼の描かれた奇妙な仮面を付けたウソップが縄梯子を下ろして手招きをしている。

 クソが!邪魔すんじゃねぇ!

 だが、主殿はそれに従い、敵から背を向けて梯子をのぼり、ウソップと合流する。
 当然、縄梯子は切り離した。

「助かった」
「礼には及ばない。当然のことをしたまでだ」
「おいウソップ、なんだその喋り方」
「私はウソップではない!ウソップ君の親友、狙撃の島からやってきた『そげキング』だ!

 …頭湧いてんじゃねぇか?

「他の仲間を守らなければならないウソップ君に変わって、助太刀に来た」
「…まあ、お前がそういうなら、それでいいけどな」

 その時、ウソップの背後に突如剣を持った男が出現した。
 隣の建物から飛び移ってきたか!?しかも主殿の背後からも着地音が聞こえた。
 挟み打ちか。

「―――!ウソップ、危ねぇ!」「―――!ゾロ君、危ない!」

 ウソップは抱えていた銃―――と言うより最早大砲だ―――を素早く構えると、躊躇なく引き金を引き、主殿はウソップの背後の敵に私を突き刺す。

【全く、何とも野蛮なガキですね】
(―――!?)

 私が敵を喰い尽した瞬間に、頭に直接響くような声が聞こえた。
 辺りを探ると、ウソップの仮面の一眼が動き、私を見ていた。

(まさかテメェ、腐れ卵か?)
【く、腐…!?後でブチ殺します…!】
(上等だ。やってみやがれ)

サリーはさらに何か言おうとしたが、主殿が私を引き、ウソップと背中合わせになったため、思念が途絶えた。
どうやら、奴はあの瞳で見たものとしか意思疎通出来ないらしい。

「ゾロ君、ここは2人で協力しよう。私は君の背中を守るから、君は私の背中を守ってくれ」
「あ?お前大丈夫なのか。雑魚っつってもお前には結構きついぞ」

 確かに、私達にとっては雑魚だが、この貧弱な狙撃手には手に余るだろう。
 あ、でもどさくさまぎれに死んでくれるかもな。ヒヒヒ…

「心配ご無用」

 ウソップが至極落ちついた声で答えると同時に、さらなる敵の増援がウソップの正面にある扉から現れた。

「数で押せ!あいつらもおれたちと同じ人間なんだ!殺れねぇこたぁねぇ!」

 雄たけびを上げながら押し寄せてくる敵を前に、ウソップは銃を撫でる。

「サ…じゃ無かった、ヒトクイーン、モデルチェンジだ」

 すると、ウソップが手に持っていた大砲がグチャグチャに崩れたかと思うと、二つに分かれ、右手と左手で形を成す。

「ありゃあ…銃か?」

 主殿が疑問形で言うのも無理は無い。
 中世レベルのものが主流のこの世界において、まさか自動拳銃を見ることになるとは思わなかった。
 しかもかなりの大型。形状からすると、デザートイーグルという大型自動拳銃に近いか…?
 うーむ…この辺りは創造主の記憶の模写だから、いまいちピンとこない。

 ウソップはグリップに一眼の刻印が刻まれた無骨な大型拳銃をスムーズな動作で飛びかかってきた男の眉間に照準を合わせると、流れるように引き金を引いた。

「か―――!?」

 男の頭が無くなった。
比喩ではなく、発射された弾丸の威力で、頭部の上半分が完全に消し飛んだ。

 さらに、左側から斬りかかろうとしていた女に向かって、もう一つの拳銃で弾丸を放つ。
 弾丸は正確に心臓を喰い破り、捥げた左腕が宙を舞う。
 そして、その光景に足がすくんだ残りの敵に両手の銃で一斉掃射。オートマチックだからこそ出来る芸当だ。
この世界の銃がどのくらいの性能かは知らないが、これ程の連射速度は並みの銃では出ないだろう。
 排出された薬莢が地面に落ちる頃には、屋上で立っているのは主殿とウソップのみ。

 …これは少々ウソップの評価を見直すべきか?

「おいおい、冗談だろ…」
(ああ、確かに中々の威力だ。だが、接近戦では我々の―――)
「…そういう事じゃねぇ。おいウソップ、お前人殺しといて随分と冷静だな。おれは初めて人を斬り殺したときは半日くらいメシも喉を通らなかったが」
「だから、私はそげキング!てか半日って普通じゃないか!?…分からない。人殺しは初めてだが、何の感情も湧かないんだ…ん?…あ、そうなのか」

 カートリッジを入れ替えながら主殿に突っ込みを入れていたウソップは急に宙に向かって話しだす。

「ウソップ、やっぱりお前人殺しのショックで…」
(いや、あれはサリーと会話しているのだろう。おそらく、奴の顔に張り付いている仮面はサリーが姿を変えたものだ)
「…お前らホントに何でもありだな」

 しばらくして、ウソップがこちらに話しかけてきた。

「どうやら、私の相棒であり、仮面でもあるサ…ヒトクイーンが戦闘時における忌避感等を抑制してくれているらしい。安心したまえ、副作用は無いそうだ」

 …ウソ臭ぇ。

【本当ですよ?】

 態々眼をこっち向けて弁解してくるのがなおさらウソ臭ぇよ
…まあ、私にはどうでもいいことだ。

「ウォオオオオオリャァアアアアッ!」

 私達が話しているのを隙だと思ったのか、いつの間にか隣の屋根にいた筋骨隆々の大女が主殿に向かって、酒樽をブン投げてきた。
 勿論、隙など無かった主殿は酒樽を鬼徹で真っ二つに両断した。
 さらに、ウソップが素早く身を翻すと、大女に向けて、二丁拳銃を乱射する。

「ク…!」

 石の屋根すら軽く抉り取る銃撃に曝された大女は建物の裏側へと飛び降り、身を隠した。

「おいおい狙撃手。この距離で外すなよ」
「この銃の扱いにまだ慣れて無いんだ。そもそも、私は遠距離からじっくり狙って仕留めるのが得意なのだ」
「じゃあ、そういう銃に変えろよ」
「いや、まだあの大砲とこの拳銃にしかなれないらしい」

 うわ、使えねぇ。

【その刀身、ブチ抜いてあげましょうか?】 
(面白ぇ、戦闘が終わったら、あの部屋の中での事も含めて、決着を付けてやるよ)

 私とサリーがメンチを切っていると、主殿が動き出した。

「さて、そろそろ打って出るか」
「え!ここで専守防衛じゃないの!?」
「あ?お前とおれだったら攻めに回った方がいいだろ。他のもさっきのとそんなに変わりはねぇし」
「いやいや、さっきのだって結構いっぱいいっぱいだったんだからな!?殺人への忌避感とか無かったけど、恐怖感はあったんだからな!?心の中で「いやァァァ!来ないでェェェ!」とか叫んでたんだからな!?」

 それ、精神制御に失敗してないか?

【…うーん、さらにアドレナリン分泌を増やすべきでしょうか…でもこれ以上やると後遺症が…まあ、どうせ私好みに造り変えますし…】

 恐ろしい妄想を垂れ流すな。

「…とりあえず、おれは行く。今のお前の力なら、十分1人でやれる。後は自分で好きなようにしろ」
「い、嫌ァァァ!置いてかないでェェェ!」

 ウゼェ…

 マジ泣きの入ったウソップを後目に、主殿は屋上から飛び降りた。

「ウォォォ!」

 直地と同時に、太った男が背後から巨大な石斧で主殿を狙う。

(主殿)
「わかってる」

 しかし、主殿も気づいていたのか、冷静に鬼徹を振るって、石斧を真っ二つに切り裂き、返す刀で首を落とす。

 また鬼徹か…主殿に頼りにされやがって…後でへし折る。

(―――!((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル)

 何故か鬼徹が震えたような気がした。

「石斧が斬れた…中々良い斬れ味だ。斬った感じ、ちと問題児だが、氷女に比べりゃ大したことねぇな」
(どういう意味だ)
「三代鬼徹は氷女の舎弟って事だよ」

 おう、焼きそばパン買ってこいや。

("\( ̄^ ̄)゙ハイ!!)

「やー!」

 馬鹿げた事を言っていると、主殿の背後から短剣を握った子供が襲いかかってきたが、主殿は振り向きざまに短剣を弾き、軽くいなす。

「ひぃ!」
「あぁ?」

 主殿が睨みつけると、子供は情けない声を上げる。

「ああ、どうか神の御加護を!神の御加護を!」
「うわ~ん!」

 それを聞きつけたのか、すぐさまシスターが子供に駆け寄り、抱きしめる

「………」

 主殿は無言で見つめる。
 
 女が懐を弄っている音が聞こえる。なんともまあ、古典的な…

(主殿、あの女、懐から何か出す気だぞ)
「分かってる」

 主殿が小声で答えた瞬間

「神の御加護目潰し!」

 女が懐から取り出した十字架の紐を引き、煙幕を張る。
 勿論、主殿は素早く煙幕から逃れ、刀と銃で私達に襲いかかろうとしていた馬鹿共の背後に回り込む。

「そういう姑息な真似はもっと心の綺麗な奴に使うんだな」

 そして、首筋に素早く私の峰打ちを喰らわせる。

「峰打ちだ、勘弁―――」
(やはり質が悪いな。不味い。ん?どうした主殿)
「…いや、何でもねぇ」

 物言わぬ2つの白骨を後目に、主殿ははしごを使い、建物の上へと移動する。

「バカめ!上に逃げ場はねぇ!」
「う、ここにも白骨が…あの剣士の刀に気をつけろ!」

 それに続いて、大量の賞金稼ぎ達が梯子を登って来る。

(一番上まで来たが、どうするのだ?)
「こうするんだ!」

 主殿は登ってきた梯子を掴み、梯子を上っている最中の敵ごとひっくり返す。

「う、うわぁぁぁッ!梯子が落ちてくるぞッ!?」

 敵の悲鳴を後目に、倒れている梯子を足場にして、隣の建物へと跳ぶ。

「こっちに飛び移る気か!そうはさせねぇ!撃て!」

 隣の建物にいた男達が銃を乱射するが、主殿にはかすりもしない。

 銃の性能もあるが、腕が最悪だな。あのヘタレの方が幾分かましだ。

「二刀流…『鷹波』!」

 主殿は勢いを殺さず着地し、男達の間を滑り抜けるようにして、鬼徹と私を振るう。
 止まった時には、斬り裂かれた死体と白骨が半々で横たわっていた。

「たあああああーーーッ!」

 さらに、間髪いれず上空からの奇襲。
 …この声、女か。

 ………

(主殿、私を上へ突き出せ)
「ん?ほれ」

 主殿が私の切っ先を女達に向けると、私は先ほどの夜刀髪の要領で、刃を伸長し、幾重にも分れ、主殿の頭上に刃の花を咲かせる。
 簡単にいえば、剣山。そして、女達は主殿に向かって、落ちてきている。となれば、結果は一つ。

「「「ギャァァァァァァッ!!」」」

「…修羅傘って、とこか」
(…やっぱり不味い)

 女どもの肉の一遍までも喰らい尽くすと、私は元に戻る。

 ギシィ…

(―――!伏せろ!)
「―――!」

 私の忠告を聞いて、前に倒れこんだ主殿の頭上を、巨大な梯子が猛スピードで通り過ぎた。

 チ、捕喰に夢中で索敵を疎かにしたのが拙かったか。

「あぶねぇ!かすった!」

 主殿は敵から距離を置くために、横に転がったが、両手を踏みつけられ、顔面を押さえつけられる。
 それを行ったのは先ほど逃げたミス・マンデー。奴は右手にメリケンサックを装着し、筋肉を隆起させ、限界まで力を溜めていた。

「カ・イ・リ・キ…メリケン!」

 ミス・マンデーはその力を解放し、全力で主殿の頭を殴りつけた。
 建物の天井はその衝撃で、巨大なひび割れを生じ、今にも底が抜けそうだ。

―――だが、結局はその程度でしかない。

「で、もう反撃してもいいか?」
「な―――!」

 主殿は平然とミス・マンデーの顔を右手で鷲掴みにすると、力を込めながら立ち上がる。
 ミス・マンデーはその腕を引きはがそうとするが、主殿の腕はびくともしない。

 阿呆が、ただの人間が半アラガミである主殿に勝てるはずがねぇだろうが!

「ギャァァァァァァッ!」

 主殿が更に力を強めていくと、ついにミス・マンデーが悲鳴を上げた。

「ミ、ミス・マンデー!?」
「何ッ!?」

 その悲鳴を聞き、下に集まってこちらを見ていたMr.8と賞金稼ぎ達が驚愕の声を上げる。

「どうした力自慢。力比べが望みじゃねぇのか?」
「ああ…あ…」

 しばらくすると、ミス・マンデーは口から泡を吐いて気絶した。
 主殿が手を放すと、そのまま地面に崩れ落ちる。

 あと少し力を込めていれば、握りつぶせたものを…主殿は少々優しすぎる。
 ま、まあ、そこがいいんだけどな。

「う、うわぁぁ!ミス・マンデーが力で負けたァ!」
「ウ、ウソだ!あり得ねぇ!」

騒ぎたてる馬鹿共に向かい、主殿は傷一つない顔で不敵に笑う。

「続けようか“バロックワークス”。今宵のこいつはまだまだ血に飢えてるぜ?」

 そう言って、私を月夜に掲げる。

 あ、主殿、細かいところで悪いが正確には肉だ。

「…!分かったぞ…解けた!あの手配書は海軍のミスだな!?」
「…そうか、こいつが3000万ベリーの賞金首なら話は分かる…!こいつが本当の船長か!」
「なるほど、だったら、そのつもりで戦わなきゃね…そうよね、あんな二ヤケた奴が3000万なんて、おかしいと思った」

 その辺りは全面的に同意する。

 さて、いよいよ首領格の登場だ。
 肉の味、期待していいよな?…ヒヒヒ。



































【コメント】

 この小説では、そげキング(サリーと合神バージョン)はビビりだけどルフィ達並みに強いということがコンセプトになっています。
 あと鬼徹は氷女ちゃんの舎弟。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.038926124572754