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No.22507の一覧
[0] 機動戦士がんだむちーと【多重クロス】[Graf](2014/07/27 19:00)
[1] 第02話[Graf](2010/11/08 12:16)
[2] 第03話[Graf](2010/10/18 06:59)
[3] 第04話[Graf](2010/11/08 12:16)
[4] 第05話[Graf](2010/11/21 08:24)
[5] 第06話[Graf](2010/10/21 09:52)
[6] 第07話[Graf](2010/10/23 23:30)
[7] 第08話[Graf](2010/11/08 12:17)
[8] 第09話[Graf](2010/10/23 08:33)
[9] 第10話[Graf](2010/10/23 17:06)
[10] 設定集など(00-10話まで)[Graf](2010/11/06 11:04)
[11] 第11話[Graf](2010/10/27 05:15)
[12] 第12話[R15?][Graf](2010/10/27 05:16)
[13] 第13話[Graf](2010/10/25 21:22)
[14] 第14話[ネタ][Graf](2010/11/08 12:17)
[15] 第15話[Graf](2010/11/08 12:17)
[16] 第16話[Graf](2010/10/30 21:19)
[17] 第17話[Graf](2010/10/30 15:05)
[18] 第18話[R15][Graf](2010/10/30 21:24)
[19] 第19話[Graf](2010/10/30 21:21)
[20] 第20話[Graf](2010/10/31 14:30)
[21] 設定集など(11-20話まで)[Graf](2010/11/06 11:04)
[22] 第21話[Graf](2010/10/31 14:31)
[23] 第22話[R15][Graf](2010/11/12 11:21)
[24] 第23話[Graf](2010/11/12 11:21)
[25] 第24話[R15?][Graf](2010/11/08 12:18)
[26] 第25話[Graf](2010/11/02 16:55)
[27] 第26話[Graf](2010/11/06 10:59)
[28] 第27話[Graf](2010/11/08 12:18)
[29] 第28話[Graf](2010/11/06 11:01)
[30] 第29話[R15?][Graf](2010/11/03 12:00)
[31] 第30話[Graf](2010/11/08 12:19)
[32] 設定集など(21-30話まで)[Graf](2014/07/27 07:34)
[33] 第31話[Graf](2010/11/06 11:08)
[34] 第32話[Graf](2010/11/06 21:39)
[35] 第33話[Graf](2010/11/07 16:59)
[36] 第34話[Graf](2010/11/08 02:01)
[37] 第35話[Graf](2010/11/09 05:33)
[38] 第36話[Graf](2010/11/09 05:32)
[39] 第37話(R15 一年戦争終了)[Graf](2010/11/10 21:11)
[40] 設定集など(31-37話まで)[Graf](2014/07/27 07:34)
[41] 第38話(R15 戦間期前半)[Graf](2010/11/12 11:25)
[42] 第39話(R15)[Graf](2010/11/11 10:20)
[43] 第40話[Graf](2010/11/11 23:02)
[44] 第41話[Graf](2010/11/12 11:41)
[45] 第42話[Graf](2010/11/15 04:51)
[46] 第43話[Graf](2010/11/14 12:40)
[47] 第44話[Graf](2010/11/15 04:52)
[48] 第45話[Graf](2014/07/29 19:39)
[49] 第46話[Graf](2010/11/15 04:53)
[50] 第47話[Graf](2010/11/14 12:44)
[51] 第48話[Graf](2010/11/15 21:23)
[52] 第49話[Graf](2010/11/17 12:03)
[53] 第50話[Graf](2014/07/29 19:39)
[54] 設定集など(38-50話まで)[Graf](2014/07/27 07:35)
[55] 第51話[Graf](2010/11/20 12:13)
[56] 第52話[Graf](2010/11/19 21:13)
[57] 第53話[Graf](2010/11/20 12:18)
[58] 第54話[Graf](2010/11/20 18:20)
[59] 第55話[Graf](2010/11/23 16:11)
[60] 第56話[Graf](2014/07/29 19:39)
[61] 第57話[Graf](2010/11/23 16:12)
[62] 第58話[Graf](2010/11/25 23:37)
[63] 第59話[Graf](2010/11/27 14:09)
[64] 第60話[Graf](2010/12/02 03:42)
[65] 第61話[Graf](2010/12/05 19:08)
[66] 第62話[Graf](2010/12/05 20:11)
[67] 第63話[Graf](2010/12/09 23:45)
[68] 第64話[Graf](2010/12/20 04:54)
[69] 第65話[Graf](2010/12/20 06:47)
[70] 第66話[Graf](2011/02/09 20:31)
[71] 第67話[Graf](2011/02/24 22:50)
[87] 第68話[Graf](2014/07/27 03:12)
[88] 第69話[Graf](2014/07/27 07:31)
[89] 第70話[Graf](2014/07/27 07:31)
[90] 第71話[Graf](2014/07/27 07:32)
[91] 第72話[Graf](2014/07/27 07:32)
[92] 第73話[Graf](2014/07/27 07:33)
[93] 第74話[Graf](2014/07/27 18:50)
[94] 第75話[Graf](2014/07/27 18:51)
[95] 第76話[Graf](2014/07/27 18:52)
[96] 第77話[Graf](2014/07/29 19:40)
[97] 第78話[Graf](2014/07/29 19:40)
[98] 第79話[Graf](2014/07/27 18:53)
[99] 第80話[Graf](2014/07/27 19:00)
[100] 設定集(51-80話)[Graf](2014/07/27 07:36)
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[22507] 第74話
Name: Graf◆36dfa97e ID:75164fd2 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/07/27 18:50

 ブリストーの言葉に驚く暇も無く、続けざまに撃たれたビームキャノンの砲撃をヴァイサーガに回避させながら連邦軍部隊との距離をとる。地球の静止軌道に近くなったこともあってデプリの量が多い。旧世紀からの人工衛星や一年戦争での軌道上の会戦で撃沈されたマゼラン、サラミスそしてムサイの残骸が多く漂い始めている。

「網にかかったな、"候補者"。では始めよう」

「ウィザード5、了解」

 言葉と共に連携攻撃。接近する前衛はMS形態に変形すると肩から回したビームキャノンをライフルモードで連射する。後方の部隊はコア・ブースター形態のままで砲撃。対応するためにマントを機体の前に回し、それに五大剣を隠して動く。裾から刃先を出す形で。そのままマントを保持している左手に剣を持たせると、右手で左裾に隠してある烈火刃を取り出す。

「機動に癖があるようだな。後衛からパターン入力。入力を終了次第反映。攻撃を続けろ。ウィザード2、援護だ」

 連続射撃。小刻みに機体を動かして射線を回避するが、追い込まれている感覚を受け取った瞬間、トールは再度、オルゴン・クラウドを使用して位置をずらす。一瞬前まで機体があった空間をメガビーム砲が通過している。こいつら、この短時間でこれだけの連携を?  
「いいぞウラキ中尉。俺たちが追い込む。貴様が狙え」

「了解しました!」

 ガンダムを中心に両側から向かってくるウィザード隊。囲まれてはまずい。……背後には回らない?奇妙だが、一旦抜けるか。烈火刃を仕舞うとライフルを連射に設定して左側から近寄ってくる2機小隊に向けて放つ。命中しないが、数発掠めた。1機はカナードを損傷した様子。

「こちらウィザード3。隊長、カナード損傷。退きます」

「行け。6、イーサン付いていけ、ルシオを落すなよ」

 2機抜けた。ちぃ、陣形の回復が早い。やはり抜けるしかない。フットレバーを踏み込んで一気に増速。手近な残骸を探す。機体をムサイの残骸の影に寄せ、こちらを取り囲むように部隊を展開させているウィザード隊との位置関係の把握に入る。綺麗に上下左右に展開し、ムサイの残骸からの射線を交差させないように展開している。やはり腕は並じゃない。ゲームならばいざ知らず、今感じられ、そして機動から解るこいつらの腕はエースコンバット5の無理ゲー面"8492"のグラーバク隊以上だ。

「落ち着きましたか」

 予想も付かない敵の参入だが怒りはまだ収まらない。あの野郎、あそこで邪魔をされなければチェーンマインで吹き飛ばしてやったのに。しかし、キットが再度呼びかけ、コンソールに周囲の状況を映し出すと流石に気を引き締めた。ウィザード隊とデンドロビウムが合流している。戦力的には不利。

「トール。ステルス艦、レックス大尉から暗号通信。ハマーンの命には別状ありません」

「無事、か。……よかった」

 命の心配が無いと言う連絡でようやく頭に上った血も冷えたようで、キットと会話が出来るだけの精神状態にはなった。レックスからの暗号通信を出し、再度確認する。出血が多いため一時ショック状態だったが何とか回復。医療設備、及び安全性の問題からバージニア経由で"ドメラーズⅢ世"へ。よし、ハマーンは大丈夫だろう。ならば今は敵に専念できる。

「それから判断に苦しむ内容ですが、ハマーンの傷はウラキ中尉ではありません。弾痕から見てレーザーライフルから発射されています。狙撃者は不明ですが、ウラキ中尉ではありません。ナノマシンが傷を早めに塞ぎましたから確認が遅れたようです」

 ハマーンを撃ったのがウラキでは無い!?……ということは、俺を狙ったんじゃなく、最初からハマーンを狙った?目的は……クソ、そういうことか!こちらを怒らせるのが狙いか。それもわざわざウラキの発砲に合わせて行ったから、見分けが付かなかった。……待て、こちらを怒らせるのが狙いだということはどういうことだ?

 ウラキが狙撃者だと勘違いすれば、俺は当然ウラキを追う。ウラキを援護してGP03に乗せれば当然戦闘になるわけで、そこにウィザード隊が出てくれば……時間稼ぎ!?目的は?俺をここに拘束して何の得がある?まだ何かを仕掛けるつもり?量子レーダーに映る敵がこちらとの距離を詰めない?何事かを待っているらしい?待つ?何を。距離は……ガンダム三号機を中心にコロニーからはなれる形で……ソーラ・システム!?

「ソーラ・システムの照射準備が始まっているのか!?」

「……確認。第一次照射まで134秒。中央部ミラーを動かしていないため、展開率は75%。照射時間は長め……10分に設定しているようですね。コロニーを両断、焼却するための照射です。アルビオン向けに爆薬の起動準備を開始するように命令を通達してもいます。ログを取得しました」

 よほど頭に血が上っていたらしい。周囲の状況を其処まで考えにいれずに動いていたとは。いかん。ここだとソーラ・システムの余波を浴びることになる。コロニーから距離をとらないと。

 現在隠れているムサイの残骸が同じように軌道上を漂っていたマゼランの残骸に近くなったところで残骸の影から影へ移動を開始する。一瞬、反応があったことでオルゴンソードを構えるが、一年戦争から生き残っていたらしいマゼランの電源だったらしくすぐに誤報の表示が入る。

 ウィザード隊もこちらの移動を確認したようだが、ミラーの照射が直前まで迫っているためこちらに近づいては来ない。今のうちに体勢を立て直さないと。しかし、先ほどのブリストーの言葉。"整合性"をとるためには私の命が必要、とか言っていた。本当か嘘かはわからないが、本当だとしても納得はいく。

 スペースノイドの自治権確立がなし崩しに始まるのが宇宙世紀150年代。一年戦争から50年は衰退する連邦の下での緩やかで、しかも時折強硬な支配の下に置かれ続ける時代。しかし、私と言う存在が、其処に早期のスペースノイド独立を達成させてしまった。この星の屑作戦にしても、一年戦争での被害の少なさがコロニー落着による10億近い餓死を生むために許し得なくなってしまった。史実のように半減以下、10億まで減らされた地球人口であれば宇宙に不満を強いるだけになったはずが、35億も残っているために餓死を生むようになってしまった。

 整合性の側からすれば、ここで地球人口に餓死者が生じたとしても地球圏の人口はまだ90億以上残るわけで、許容できる損失なのだろう。それに加えて10億以上の人が餓死を迎えるのに作戦を強行したジオン残党、そして10億以上が死ぬのにもかかわらず、原作どおりに政治工作に利用しようとしたジャミトフ一派。誰も彼も救いようがない。

 しかし、それを利用しようとしているのは自分もである。コロニーの地球落下を防ぐためならば、コロニー移送の際に艦隊を送り込んでいればそれで解決。自分もまた、"敵"との戦いに10億の人間の命を弄んだことに変わりは無い。そして今、その事を忘れて自身の見通しの甘さから傷ついたハマーンを理由に、怒りに我を忘れていた。結果、敵の思惑通りに動いている。

「度し難い、全く」

「トール、照射開始されます」

 ある意味残酷に事実だけを告げるキットに感謝しつつ、トールは戦闘の準備を再開した。




 第74話




 ソーラ・システムⅡの第一次照射は旧速度でコロニーが地球に向かっていた場合の、阻止限界点45分前(地球落着まで旧速度で345分)の地点に向けて放たれた。プラズマ・レーザー砲艦を巻き込む可能性を考えたベーダー大将が中央部ミラーの使用を許可しなかったため展開率74%(最終段階)で放たれたそれは、新型システムという優位性もあり、一年戦争終盤、ソロモン要塞に照射された以上の熱量をコロニー中心部にむけてはなった。

 照射が開始される1分前、コロニー各所におよそ400基近く配置された特殊爆薬が起動。熱量のみによって周囲の物質を溶解・蒸発させるその爆薬は、コロニーを構成する構造物を円筒状に形成させているつなぎ目の部分に仕掛けられていることもあって充分以上にその効果を発揮した。

 ガンダムUCでコロニー・ビルダーが描写されたが、コロニー建造専用のシステムが出来上がるのはコロニー建造が活発化したUC30年代以降の話で、初期のコロニー建造は構造物を円筒状に張り合わせる形で行われた。初期サイドであるサイド1、及びサイド2の建造はそのやり方で作られている。そう、初期型コロニーは構造物を張り合わせた形で作られているため、構造上の結節点を破壊された場合、その遠心力で自ら崩壊する。

 勿論、それに対する対策が採られなかったわけではない。構造上の結節点はコロニー一基当たりおよそ180箇所ほど存在し、その半数が壊れたとしても他の結節点が補う構造を持っているため分解までには至らない。遠心力の問題も、コロニーが通常通りの時計回りをしている間ならば問題は無い。

 しかし、今回の標的であるアイランド・イーズは通常の時計回りの横回転に更に縦方向での回転を行っており、コロニーの構造にかかる回転による遠心力が三次元的には二乗の段階にまで強められていたこと、これが第一点。そして第二点は、その180基の結節点ほとんど全てに仕掛けられた400基近くの特殊爆薬が正常に起動し、各々周囲5mの構造物をその熱量で焼き尽くしたことにあった。

 構造上の結節点の全てを瞬時に熱量で蒸発させられたことによってコロニーが構造物単位に分解を開始した。構造物一つあたりの比重が高い前部、及び後部港湾ブロックがその自重と回転から生まれる擬似的な重力に従って回転中央部への移動を開始する。ミラー、採光ガラスなどの破片類は遠心力に弾き飛ばされる形で周囲への拡散をはじめているが、二重の回転によって外に放り出される程度の質量であるならば、砲撃で蒸発させるか、大気圏で燃え尽きるに任せればよい。

 コロニー中央部に対してソーラ・システムが照射されたのは、この理由からだ。大気圏で消失し得ない大規模質量の物体は複雑な円軌道が産む力場によって比重の高い構造物から回転の中央部に集まっていく。

 ソーラ・システム照射の目標座標が回転の中央に集められたのは、確かに照射によってコロニーを両断し質量を軽減すると言う目的もあるが、これも目的の一つだ(特殊爆薬の破壊力が大きすぎるのだが)。比重の高い、つまり質量の多い物体が、宇宙空間での回転運動(三次元的な運動なので、"球"転と書いた方が正しいか)の際に中央に集まる性質を利用している。中央に集めたゴミを二回の照射で焼き尽くす、そういう計画だ。

 勿論二回で焼き尽くせなかった場合に備えてプラズマ・レーザーの出番もある。最終的には大気圏で燃え尽きる程度の大きさに分解できれば良い。津波程度で済むならば、大きめの構造物を海に落ちるように軌道調整して降下させることも視野に入れてある。ベーダー大将、いやさルナツー作戦本部のヤン中将立案の作戦計画は、基本、そのような内容だ。

「だからこそ安心してガンダム潰しに気を任せられていたんだが、そうもいかないか」

「トール、ガトー機の再発進を確認。現在、グワデン近辺から連邦軍追撃部隊に向けて出撃しました」

「グワデンの位置は?ミラーの照射を浴びていないのか?」

「後退援護のためにコロニーの前方に。ただしコロニー右翼後方から徐々に距離をとっていますからミラーの影響範囲外です。内火艇の動きを確認。退艦が始まっているようです」

 ミラーがコントロール艦を失わないうちに照射されてしまった以上、ガトーがどのように動こうとも既に大勢に影響は無い。グワデンから退艦が始まったということは、デラーズは作戦通り後退を開始したか。ガトーの奴、ミラーにまで直接侵攻をかけないだろうな?東方先生とトレーズを配しもした。大丈夫だとは思うが、油断は出来ない。他にも戦力が送られている可能性がある。目の前にウィザード隊がいる以上、その可能性は充分にある。

「照射の状況は?後何分で終わる?」

 機体に接続してある全てのカメラ・アイを用いて搭載コンピューター内と自分の頭に付近の三次元マップを叩き込む。時間と共に慣性で移動する物体の予測進路、及びその中で可燃性、爆発性を有する残骸の特定。当然敵の位置も。ソーラ・システム照射を同じように付近の残骸を障壁として見守り続けている。強すぎる太陽反射光はそれだけで強い電磁波となる。まともに受ければ機体に変調をきたしかねない。

 光学観測系の装備が強すぎる照射光のために使えないことを確認すると量子レーダーを用いて敵機の位置確認を再度行う。よし、三号機もいるな。まだこちらを如何にかしようと思ってくれていると言うのはありがたい。ブリストーのウィザード隊が出てきたから気持ちが冷静さを取り戻したとはいえ、遺恨まで忘れたつもりは無い。

「照射は後70秒。現在、コロニー後部港湾ブロックを形成していた構造物の蒸発を確認。コロニーの質量は現在50……49……48%へ。照射終了までには35%の予定」

 まだ多い。しかし、構造全体の65%を消し飛ばせたのはよしとするべきだ。殆ど完全な状態で落下した0083よりはよほど良い。これだけ質量を減らせれば、第二回照射を待たずとも、プラズマ・レーザーだけで如何にかできる。射線を集中させればマゼランやサラミスにさえ可能だ。

「そういう時に限って、何事かを仕掛けられているんだよな」

「その可能性は否定できません。……35%まで減少した構造物を、とりあえず今まで通りコロニーと呼びますが……落着コース、質量減により変更。大分北よりに移行します。コロニー落着座標確認。カナダ、サスカチュワン州アサバスカ盆地南東部……」

 まて。今なんと言った。アサバスカ盆地の南東?確か、あそこには……

「落着の正確な座標を確認。北緯57度45分48秒、西経105度03分10秒、カナダ、サスカチュワン州アサバスカ盆地南東部、マッカーサー・リヴァー。世界最大のウラン鉱山が存在します」




「照射、あと30秒で終了します、隊長」

「解っているな、エヴァン。奴をこの場に縛り付けるぞ。予定通りガンダムに御執心だ。せいぜい囮として活用させてもらえ」

「イエス・サー。ウィザード5よりウィザード7及び8。敵が動き次第ガンダムと共に前衛として出るぞ。隊長率いる2、4が狙撃する。敵がこちらの目的に気づいたと判断したら散弾ミサイルで進路を塞ぐ。その場合、コースと爆発半径は頭に入れておけ。ガンダムは巻き込んでもかまわん」

 ふ、良い部下たちだ。ベルカ戦争以来、久しぶりに共に空を飛んで戦うことになるが、気後れや怖気など微塵も無い。むしろ、全く技術体系が異なる機体を与えられて良くそれに対応し、あのころと変わらない――――いや、それ以上の動きを見せてくれている。まぁ、こちらはまだ航空機型に乗っているから扱いやすくもあろうが、人型に乗せられたトニーの奴は苦労しているだろうな。

 ブリストーは苦笑しながらトニー、コールサイン・ソーサラー1、第32戦闘中隊第二分隊長、アンソニー・パーマー大尉の顔を思い浮かべた。さて、今頃上手く言っているならばこちらの思惑通りになるはずだが……さてさて、頭が御熱になっている騎士殿はそれに気付いてくれるかね?鬼神程とはいかねども、楽しませてくれれば良いが。


 第32戦闘中隊は、標準的な中隊編成である16機を持って中隊を編成している。MSにしろ戦闘機にしろ、4機編成で小隊を組む点では同じだ。一年戦争時代、MSの数がまだ揃っていなかった時期は数の不足を理由に1機分をスカウト用のホバートラックで代替していたが、MSの数が充分揃った今となってはむしろその機能をMSに移し変える方向で機体開発が行われている。

 16機で編成されるはずが中隊。しかしウィザード隊は8機編成であり、であるならば当然、別に8機がいなくてはならない。その別の8機、ソーサラー隊ははるか遠くに輸送艦バージニアの姿を捉えていた。

「楽な任務、とは思えんね。騎士ほどとはいかねども、海賊の女親分に拳闘士タイプ。相手にするには厄介すぎる面子が揃って……へぇ、拳闘士はお留守にするようだ」
 
 バージニアの隔壁が開き、ソウルゲインが姿を現すと後方に飛び去った。パーマーは当然理由を知るべくも無いが、ステルス艦の治療ポッドに入れて治療を施されているハマーンの処置をバージニアではなく"ドメラーズⅢ世"で行せたためだった。先ほどのドメル提督の言葉にもあるとおり、"ドメラーズⅢ世"を旗艦とするドメル艦隊はMSの護衛が少ないし未熟だ。危惧したシーマがアクセルをそちらに向かわせたのだ。

「まぁ、通常MSの女親分相手なら、如何にでもなる、ってな。他に奴らに確認されているパイロットはいない、か。一番危険そうな女パイロットも銃弾喰らって治療中。……目的は果たせそうだな」

 パーマーの目的はバージニアの撃破だ。勿論撃沈も含む。今回、彼ら第32戦闘中隊に与えられた任務は簡単だ。コロニー落着の被害については手を出さず、トール・ミューゼルの抹殺もしくは戦力の減少、だ。どちらか狙いやすい方を狙え、とのお達しであることはありがたい。

 命令者の姿は彼らも見ていない。意識から目覚めてみれば、命令に従わねばならないと言う強迫観念に支配され、テーブルの上においてあった手紙で指示を受けただけだ。それもずっと。連邦軍に入隊してからは部署も部屋もまちまちだと言うのに、なぜか部屋、リビングのテーブルの上か、寝台の枕元かはそのときそれぞれだったが、手紙を通じて指示を受け続けた。この世界に来てから既に6年になる。元の世界に未練は無いが、飛ぶのが空ではなく宇宙と言うのは、物寂しくもあり、怖くもある。

「よし、ソーサラー1より全機。攻撃開始だ。目標は前方輸送艦艇の撃沈。MSが出撃してきた場合にはMSとの交戦を優先させろ。戦力を減少させることだけ考えていれば良い。MSにしろ輸送艦にしろ、撃墜・撃沈の際には生存者は残すな」

「了解!」

 命令によどみなく唱和する部下たち。流石に粒ぞろいの人材だ。乗っているのが連邦軍での乗機であるジム・カスタムであるのが不満だ。現状、連邦軍の最新鋭量産機であることは理解しているが、ブリストーが受け取った機体が航空機型だったのがうらやましい。あの、空を飛ぶ感覚を宇宙でも得られるというのは抗し難い魅力だ。

「まぁ、あの機体かその発展型が量産されれば、俺らにも機体が回ってく……敵輸送艦からMSの発進を確認!全機抜かるな!」

 敵輸送艦から出撃した機体は見たところ円筒形だ。頭部が黒いが、胴体部分を構成しているらしい円筒は赤色に染められている。別段動くでもなく、バージニアの船体下面に待機している。変だと思っていると船体下面の扉が徐々に開き、ジオン軍用らしいMS……いや、機体が巨大だ。MAを出そうとしている。

 よく見ると巨大な円筒形の物体がMSと接続されている構造らしく、驚くべきことにMSは地上用、それも水陸両用のズゴックらしい。もっとも、機体の下半身部分が全てブースターに置き換えられ、安定翼までついているところを見れば改造機だろう。どうやら、円筒形の物体は武装コンテナらしいな。

「ふ、つられて出て来よったか」

 混線したらしい敵の通信が入ってくる。こちらとの戦力差がわかっていないのか。いまだ急造MAはコンテナからの搬出中で、他にMSの姿は無い。それに対する我々ソーサラー隊は8機のジム・カスタム。しかも御丁寧にジム用の追加武装パックを装備している。ジム・ライフル、ビームライフル、バズーカそしてミサイルランチャー装備の機体がそれぞれ2機ずつと戦力のバランス的にも問題ない。

「囲め!墜とすぞ!」

「流派!東方不敗はああっ!」

 なにやら意味不明な言葉を叫び始めたMSを撃墜するために接近を開始する。おかしなことにバージニアから当然あっても良いはずの援護射撃が無い。ただ今までどおり、急造MAを搬出しているだけだ。一体何を考えているのか。罠などを仕掛けた様子は微塵も無い。周囲に機雷の類が無いことは確認済みだ。

「戦場で止まるなど、ど素人が!」

「笑止!」

 通信を叫び声が満たす。叫び声と共に円筒形の外装がウィング状のバインダーとなり機体後部に格納され、機体の姿があらわになった。顔面を覆っていたバイザーが格納され、特徴的な顔が明らかとなる。

「ガ、ガンダムだと!?」

「酔舞、再現江湖デッドリーウェイブ!」

 続く咆哮と共に、機体が吹き飛ばされ荒々しくコクピットの背もたれに叩きつけられた。周囲に展開していた部隊に次々に現れては消えるガンダムの姿。手刀が振るわれるごとに部下の機体が破壊され、弾き飛ばされていく。そしてついには自分の番が来た。ライフルを向けるがそれよりも早く懐に飛び込むと、両腕に黒い何かを纏わせて両腕を寸断する。それと共に正面から強い衝撃。再度加えられた衝撃に今度は先ほどよりも強めに頭を叩きつけさせられた。

 パーマーは薄れゆく意識の中で、他の部隊も四肢と武装を破壊され、撃破された慣性そのままに地球側へと押しやられていくのが見える。衝撃で腹がどうにかなったらしい。だんだんと、しかし着実に消えかかる意識。その半分夢のような心地の中で、通信機から漏れた一言が最後だった。

「爆発!」

 破壊された四肢と武装が次々に爆発。拳法らしき構えを取るそのガンダムを宇宙に黒く浮かび上がらせた。


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