巨星に飲み込まれる数多の小惑星…その刹那の輝きは人々の儚い命の輝きのようだ
巨星に挟まれ、両者の引力で捻じ切られて暗黒の宇宙空間で塵となる小惑星と比べるとより一層美しく思える…
ヘイン・フォン・ブジン伯は、帝国と同盟が生み出した。英雄が合間見える瞬間に立ち会おうとしていた。望むと望まざるとも…
二倍以上の同盟軍に三方から包囲されつつあると知り、
俺の顔など見たくもないと放言していた老将どもが、青くなって面会を求めているというのに
ヘインは特に興味もなさそうに虚空を見つめていた。相変わらずだなと‥自然に笑みがこぼれた
彼との出会いは、今思えば幼年学校生活で得た唯一の有益事象だろう。
彼は他の凡愚な貴族の子弟どもと違い。俺を迫害しようとしたことは一度たりとも無かった。
ただ、俺と必要以上に関わろうともしなかったが…
彼と初めて接触らしい接触をしたのは幼年学校の食堂だった…
その時、俺の目の前に出された食事は明らかに貧民用のものだった。能無しどもの低劣な嫌がらせだったのだろう
俺が屈辱と怒りに震えていたとき、彼が横に座って言ったのだ
ヘイン「お、猫マンマかよ!こっちの世界にもあるんだな~ちょっとくれよ!」
あのとき見せた、貴族の子弟どものあほ面をキルヒアイスに見せてやりたかったな
意図はどうあれ、門閥貴族の一角を担うブジン伯の次期当主に貧民食を食させてしまったのだからな…肝を冷やしたことだろう
だが、ヘインはそのことを利用して、件の子弟どもを排斥しようとはしなかった。凡夫など歯牙にもかけなかったのだ。
最初は安い同情でお節介する奴だと思っていたが、俺はその態度が痛く気に入り、彼に素直に感謝を述べることにした。
ヘイン「自分のために貧民食を食ってくれてありがとうだと?お百姓さんに謝れ!!」
ふっ、彼にいつも驚かされているが、アレが最初だったのだな…
彼は同情などでもなく、門閥貴族が一生口をつけるはずが無いであろう食事を旨いと思い、
それを作る平民に対して、誰よりも敬意を払っていたのだ。
俺は自分が心底嫌っている貴族が行う不当な貴賎の区別に、俺は知らず知らずの内に染まっていたのだ。
それを門閥貴族の彼に教えられたことは大きな衝撃だった。
その後、彼に興味抱くに至った俺は暇さえあれば、ヘインに声をかけるようになった。
ヘインは平民以上に平民の気持ちを知っており、また、驚くことに既に治世の真髄を理解していたのだ。
ヘイン「国を治める方法?簡単だろ!平民が肥えれば養って貰う王様は贅沢できて、平穏無事に過ごせるんだよ」
講師の小難しい単語を並べた薄っぺらな帝王学とは違う、本物をヘインに教わったのだ。
…俺はもう一つの翼を手に入れたのだ…
キルヒアイス「閣下、五人の提督が揃いました」
キルヒアイス、ヘイン俺は二つの翼によって、この銀河を誰よりも高く、遠く羽ばたいてみせる!!!
なんか、金髪が赤髪と俺を熱い目で見てますが、貞操の危機か?
すごく…行きたくないです。
でも、いつものように両腕を二人につかまれとるです。貴族なのに人権が無いとです…
・・・ヘイン・フォン・ブジン伯・・・銀河の小物がまた一粒・・・・・
~END~