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No.2193の一覧
[0] 機動戦士ガンダム ツィマッド社奮闘録(現実→UC)[デルタ・08](2007/12/29 19:02)
[1] 第2話[デルタ・08](2006/08/07 23:26)
[2] 第3話[デルタ・08](2006/08/08 14:00)
[3] 第4話[デルタ・08](2006/09/05 16:19)
[4] 第5話[デルタ・08](2006/08/11 22:36)
[5] 第6話[デルタ・08](2006/08/21 12:27)
[7] 第8話[デルタ・08](2006/09/05 16:16)
[8] 第9話[デルタ・08](2006/10/06 09:53)
[9] 第10話[デルタ・08](2006/10/06 09:54)
[10] 第11話[デルタ・08](2006/11/07 11:50)
[11] 第12話[デルタ・08](2006/12/26 13:42)
[12] 閑話1[デルタ・08](2008/01/01 20:17)
[13] 13話(別名前編)[デルタ・08](2007/07/01 00:29)
[14] 14話(別名中編)[デルタ・08](2007/07/01 00:22)
[15] 15話(別名中編2)[デルタ・08](2007/07/01 00:27)
[16] 16話(別名やっと後編)[デルタ・08](2007/07/01 00:31)
[17] ツィマッド社奮闘録 17話[デルタ・08](2007/07/30 11:55)
[18] ツィマッド社奮闘録18話[デルタ・08](2007/08/16 12:54)
[19] 19話[デルタ・08](2007/08/31 13:26)
[20] 簡単な設定(オリ兵器&人物編) [デルタ・08](2007/08/31 13:47)
[21] 20話[デルタ・08](2007/10/11 19:42)
[22] 21話[デルタ・08](2010/04/01 01:48)
[23] 22話[デルタ・08](2007/12/25 15:59)
[24] 23話[デルタ・08](2007/12/31 18:09)
[25] 閑話2[デルタ・08](2008/01/01 20:15)
[26] 24話[デルタ・08](2008/02/24 17:56)
[27] 閑話3[デルタ・08](2008/05/23 11:31)
[28] 25話[デルタ・08](2008/07/29 14:36)
[29] 26話[デルタ・08](2008/10/18 17:58)
[30] 27話[デルタ・08](2008/10/31 22:50)
[31] 28話[デルタ・08](2009/01/18 12:09)
[32] 29話[デルタ・08](2009/03/18 17:17)
[33] 30話(又は前編)[デルタ・08](2009/04/02 16:07)
[34] 31話(別名後編)[デルタ・08](2009/05/14 22:34)
[35] 閑話4[デルタ・08](2009/06/14 12:33)
[36] 32話[デルタ・08](2009/06/30 23:57)
[37] 33話 オーストラリア戦役1[デルタ・08](2010/04/01 01:48)
[38] 34話前半 オーストラリア戦役2-1[デルタ・08](2010/04/01 01:45)
[39] 34話後半 オーストラリア戦役2-2[デルタ・08](2010/04/01 01:46)
[40] 35話 オーストラリア戦役3[デルタ・08](2010/08/26 00:47)
[41] 36話前半 オーストラリア戦役4-1[デルタ・08](2010/08/26 00:40)
[42] 36話後半 オーストラリア戦役4-2[デルタ・08](2010/08/26 00:40)
[43] 37話[デルタ・08](2010/12/24 23:14)
[44] 38話[デルタ・08](2010/12/26 01:19)
[45] 閑話5[デルタ・08](2011/01/04 12:20)
[47] 39話 前編[デルタ・08](2012/09/30 17:14)
[48] 39話 後編[デルタ・08](2012/09/30 17:23)
[49] お知らせとお詫び[デルタ・08](2015/04/03 01:17)
[50] ツィマッド社奮闘禄 改訂版プロローグ[デルタ・08](2016/03/11 19:09)
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[2193] 34話前半 オーストラリア戦役2-1
Name: デルタ・08◆83ab29b6 ID:2be1b22a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/01 01:45
ツィマッド社奮闘録34話前編

1機のガウ攻撃空母が黒煙を噴きながら高度を落とし、そのまま地表に激突し爆散した。低空飛行中に襲撃され、基地を出た時15機もいたガウ攻撃空母の編隊は壊滅しつつあった。

「護衛は何をしている! 緊急出撃した中にはベテランの乗るヅダイェーガー部隊とグフカスタム部隊がいたはずだろう!」

「それが・・・出撃したモビルスーツ部隊は、先程最後の1機が敵バズーカの直撃を受け撃墜されました。また、搭載していた戦闘機部隊も同じく壊滅しました、ガルマ様」

そう、既に搭載していた直援のドップ及びモビルスーツ部隊は全滅し、友軍は僅かなガウのみとなっている。
状況はこちらが極めて不利。戦っている将兵を鼓舞する為にガウで前線に向かっていたガルマは窮地に陥っていた。

「くっ、まさかここまでとは・・・」

攻撃を受けているのはガルマの乗るガウを旗艦とする空中艦隊だ。が、既にその威容は無く、残っている機体もガルマの乗る機体以外は残り1機・・・いや、たった今撃墜された為ガルマの乗るガウしかいなくなった。そしてそれをなしたのは見慣れないものの、同じジオンの機体だった。
その青い機体達は護衛についていたドップやザク、グフにヅダの攻撃を恐るべき運動性で回避し、逆にハリネズミを思わせる豊富な武装の数々で護衛機やガウを撃墜していった。
そしてそのモビルスーツ2個小隊を指揮していた1機の赤いモビルスーツがガルマの乗るガウの背中に飛び乗った事で、勝敗は既に分かりきっているだろう。その機体は接触通信でガルマに通信を入れてきた。

「ガルマ、聞こえていたら君の不幸を呪うがいい」

「なに、不幸だと?」

「君はいい友人だったが、君の指揮ミスがいけないのだよ」

「シャア! 謀ったなシャア!」

その言葉を最後に、赤い機体は至近距離からガウにビームマシンガンを浴びせかけ、スラスターを噴かしてガウから離脱。その直後にガルマの乗るガウ攻撃空母は大爆発を起こし墜落した。







ガルマ専用ガウ攻撃空母 機内

「してやられたよシャア。まさかそっちが高コストの精鋭部隊で編成される攻撃部隊と、コストの掛からないミサイル兵や各種トラップを展開できる工作部隊だけの守備隊で構成されていたなんて」

「そして君は無難にグフとヅダ、そしてザクを主力として少数のドムを遊撃部隊として編成か・・・数を重視した編成なのはすぐに気がついたが、まぁ今回はこちらに運があったというべきかな? 君が突然両翼を攻めるのをやめ、片側を一点突破しようとした時には負けるのを覚悟したよ。まぁ前線鼓舞の為に前に出てきてくれたから、待ち伏せして逆転できたが」

「ああ、あれか。戦線を膠着させたと見せかけ再編成した部隊を使って強襲したんだが、まさかその途中で待ち伏せをくらうなんて・・・君自身が待ち伏せ部隊を指揮するなんて思って無かったよ。いや、十分考えられるのにそれを考慮しなかった私のミスか」

先程まで激戦を行っていたガルマとシャアが飲み物片手に各種データを見ていた。その後ろでは双方についていたオペレーターが互いに話していた。
そう、先程の戦闘は高性能シミュレーターを使った演習だった。白熱した戦闘を行っていた二人はお互いの戦略及び戦術の推移を見ながら反省会を行っていた。
ちなみにこのシミュレーター、エルトラン社長が周囲を巻き込んで大暴走してできた産物で、その高性能ぶりと豊富なオプション(戦場の絆のようなコックピットルームのオプションをつけることによってシミュレーション上のモビルスーツを操る事ができる)のせいで軍内部に結構な数の隠れゲーマーを育成していたりする。嘘か真かは不明だが、これが切欠でゲーム中毒になった将官もいるらしい。なおこのシミュレーターは当然軍用で、大きさは一つの大部屋を占める規模となり、価格も当然ながらかなり高価であるが、それを個人で購入しようとした者もいたようだ。

「にしても、君の指揮していた部隊の機体・・・ケンプファーはチートだろう? あの回避性能は尋常じゃないぞ?」

「まぁ元々運動性が高い機体なのに加えて、それに魔改造を加えられたエース専用タイプだからな。ノーマル機体でもたった1機でフル装備のドム2~3個小隊が購入可能なコストに設定されているが、投入してよかったと言えるな・・・・・・むしろ、ケンプファーが普通の機体に見える、もっとチートな機体を出していたわけだが・・・」

「ああ、戦線の中央にいたあの黄色い悪魔だな・・・あのモビルアーマーは一体なんなんだ? 長距離から榴弾と有線ミサイル、中距離からはビームとレールガンを雨あられと撃ってくるせいで突破できず、こっちの損害が洒落にならないんだが」

「・・・エルトランのところで構想されている拠点防衛用モビルアーマーで、名前はビスミラーだ。今はまだペーパープランだが、もしこの通りの性能が発揮されれば恐ろしいな」

そのデータには洒落にならない性能が書かれていた。

機体分別:陸上拠点防衛用巨大モビルアーマー
機体名:ビスミラー
要求項目:数で勝る敵を圧倒できる攻撃性能及び防御能力
上記項目の為生産性及び機動性は考慮しない
形状:下部がライノサラス、上部がビッグトレー、それに砲撃用の腕部をつけたモビルタンクのような外見
武装:腕部3連装180mmキャノン砲
135mm連装レールガン3基
連装メガ粒子砲2基
多連装有線ミサイル発射機
MLRS(多連装ロケットシステム)発射機
艦船用75mmCIWS4基

正直ふざけるなと言いたいスペックだ。シャアが言うのも理解できる。そしてデータ項目を見ていたガルマが顔を引きつらせながらシャアに尋ねた。

「・・・・・・なんだこのコストに性能は! 馬鹿みたいな数値だぞ!? というか、ここのシミュレーターにはそんな機体は登録されていないぞ? なのになぜあんなものが出てるんだ?」

「ああ、キャリフォルニアベースを出る前に中途半端に時間が空いてな。その時に丁度休憩してたエルトランとシミュレーション勝負して、それに勝った時に景品としてもらったからだ。まぁ出来立てほやほやのボーナスデータみたいなものだな・・・・・・そのせいか、これ1機のせいで設定されていた軍資金の半分近くが消滅したからな。ザクやグフがダースどころかグロス単位で購入可能な価格設定だったが、最後まで生き残っていたのだから配置してよかったというべきか」

「よかった、で済まさないでくれ。むしろこっちの虎の子の部隊、ビームマシンガンや対艦ライフルを装備したドムの攻撃を受け流すのはバグじゃないのか? しかもそのドム部隊は返り討ちにあって全滅したし」

「・・・私もこれのスペックを見て呆れたよ。分厚いルナチタニウム合金の多重装甲とIフィールドジェネレーターのセットという悪夢みたいな防御能力だ。まぁその反面機動力は無いに等しいが、気休めにもならんな」

シャアが画面の一部を指差す。そこには装甲と特殊武装の項目があり、そこにはルナチタニウム合金とチタンセラミック、対ビームコーティング塗装の多重装甲や、Iフィールドジェネレーターやら広域電子戦装備やらその他多くが書かれており、一層ガルマの表情を引きつらせた。

「・・・実現不可能だろ、これは?」

「私もそう思う。参考資料のところに『更なる技術革新無くば現段階では実現不可能、特にルナチタニウム合金の発展開発及びIフィールドの小型化、ジェネレーターの高出力化と冷却装置の高性能化は必要不可欠』と書かれていたからな・・・もっとも、『現段階では』とか書かれている時点で、この機体案は冗談ではなく本気で作る気満々なのかと小一時間問い詰めたいが・・・・・・この機体案を出したのはエルトランらしい」

そう、機体名から分かるとおり、この機体データを作成したのはエルトランだった。事の発端はFM2を遊んだ多くのプレイヤーにトラウマを与えた、あの凶悪兵器をガンダム世界で再現できないかと思いついたのが切欠で、日頃のストレスを発散するいい機会とばかりに勢いで作成し、社長曰く『(ストレスが溜まり)むしゃくしゃしてやった。ビスミラー無双ができればなんでもよかった。今では反省している』とのコメントを残した、ある意味最悪な機動兵器案だった。

「・・・・・・エルトランも最近過労で暴走気味だからな。こういうのでストレス発散しているんだろう」

この作戦が終わったら長期休暇を勧めようと心に決めたガルマだったが、シャアの言葉に深いため息を付くはめとなった。

「その原因のひとつに、君の家族が関わっているのだが・・・」

「・・・言わないでくれ。ギレン兄さんもキシリア姉さんもいい加減にしてほしいよ。内輪もめ・・・足の引っ張り合いは連邦に利するだけだということに気がついているだろうに」

「だからこそ君も決意したのだろう。二人のやり方に疑問を持ったから」

「・・・ああ、それが私のできる、この戦争を引き起こしたザビ家の責任の果たし方だと思っている」

「そうか・・・」

しばし訪れる沈黙だったが、それは報告の為に入ってきた兵士によって破られた。

「報告します。作戦ポイント到着まで後5分を切りました」

「そうか・・・シャア、よろしく頼む」

「ああ、勝利の栄光を我らに」

そう言ってガルマはガウのコックピットに、シャアは格納庫へと足早に立ち去っていった。







少し時間を遡り、トリントン基地

「緊急の要件とはなんだ? 詰まらん事なら減俸ものだぞ?」

「すいません司令、実はレーダーに不審な編隊が映りまして・・・」

「不審な編隊? 敵か?」

「いえ、敵かどうかは・・・ミノフスキー粒子の影響で探知が遅れましたが、形状は我が方のミデア輸送機の確立が85%で、その周囲に小型機らしき機影がまとわりついています。これは形状照合の結果ジオンのドップの確立が90%です。どうも戦闘を行っているようなのですが・・・この空域をこの時間に飛行する予定の編隊はいません。念の為FF-X7 コアファイター1個小隊をスクランブルさせ、FF-6 TINコッド1個小隊が現在発進準備中ですが・・・」

「ふむ・・・いい判断だ。数時間前から前線でジオンの通信量が活発になっているらしい。・・・戦闘態勢を整えておけ、モビルスーツ隊も発進準備させろ」

「了解しました・・・あ、その編隊から緊急通信です! コードは・・・ミデア輸送機を使う連邦軍輸送部隊の一般的なコードです。IFFも確認しました、間違いありません」

「ということは友軍か?」

「ですが・・・正規の輸送機部隊コードには載っていません。特殊部隊か、敵の鹵獲部隊かは正直・・・」

「・・・通信をつなげろ。一応ここは一般部隊は飛行禁止になっている空域だからな。もしジオン訛りがあれば即座に敵と判断し撃墜しろ。スクランブルした機にも、怪しいところがあれば撃墜するように命令しろ」

「了解しました・・・通信繋がりました、どうぞ」

「うむ・・・接近中の編隊に告げる、こちらはトリントン基地管制塔。貴隊は飛行禁止空域に侵入しようとしている。ただちに」

そこまで彼が言った時、レーダーを監視していた兵が叫び声を上げた。

「あぁ!? レーダーから編隊内部の機影が1つ消えました、撃墜された模様です!」

「なに!?」

それと同時に件の飛行部隊から返信が返ってきた。それは途切れ途切れで良く聞こえなかったが、切羽詰った悲鳴のような通信だった。

「こち・・・邦軍特殊部隊ビッグマ・・・敵機・・・攻撃を受け・・・陸許可を・・・護衛は何を・・・援護を・・・」

「おい、通信が粗いぞ! メンテはちゃんとしてるのか!?」

「それは機器のせいではありません。この編隊が飛行している空域は比較的ミノフスキー粒子の濃度が高い空域です。そのせいで雑音交じりなんです」

そう通信官と司令がやり取りをしている間にも事態は進んでいく。

「4番機が・・・ら火を噴いた! 落ち・・・・・・脱出しろ! あ・・・・・・衛型ミデアがやられ・・・援を!」

「司令、レーダーから更に機影が2つ消えました。撃墜された模様です・・・」

「くっ、こちらの戦闘機隊は?」

「スクランブルした小隊が接触まで後30秒、続いて離陸したTINコッド部隊は1分30秒掛かります」

「輸送機部隊へ、今そちらに増援を送った。それまで持ちこたえよ! ・・・糞、厄介ごとか。通信士、後は君の仕事だ。私は仕事に戻る」

「りょ、了解しました・・・・・・確かに厄介ごとだよ畜生、昨日まで平穏無事だったってのに・・・」

管制官が愚痴を言っている間も事態は進み、この30秒後にスクランブル発進したコアファイター3機はミデア輸送機とそれを襲撃しているドップ3機を目視した。

「こちらコアファイター隊、目標はミデア輸送機5機とそれを攻撃しているドップ3機。ミデアはどれも機体各所に被弾している模様。内1機は黒煙を吐いている、早急に着陸させないと危険だ」

が、次の瞬間飛行していたミデア輸送機1機が突然爆発し、空に盛大に黒い華を咲かせた。と同時に襲撃していたドップ3機は踵を返し撤退を開始した。

「ミデア1機が撃墜された! 我々はどうすればいい、ドップを追うのかミデアを護衛すればいいのか!?」

目の前で友軍と思しきミデアが撃墜されたことで、コアファイター隊は管制塔へ指示を仰いだ。
だが、彼らはミデア爆散の派手さのせいで、重要な物を見逃していた。・・・その爆発したミデアの機首から細いコードが飛行を続けているミデアのコンテナに伸びていた事に。

「コアファイター隊へ、追撃は許可できない。ミデアの護衛を行え。なお、ミデアの動向を警戒せよ。もし不審な点を発見したら鹵獲機と判断し、ただちに撃墜せよとの命令だ」

「・・・了解した。だが外から見る限り弾痕は本物です。鹵獲機ではないと思われますが」

「念のためだ。後ミノフスキー粒子の高い空域は抜けたのでこれよりこちらはミデアに通信を試みる。以上だ」



「接近中のミデアに告ぐ、こちらはトリントン基地管制塔。貴隊の所属と飛行目的と目的地、それに被害状況を知らせよ」

その通信がミデアのコックピットに届いたとき、操縦士と副操縦士は互いに頷きあい通信を入れた。

「こちらはジャブロー直属の諜報部所属の輸送隊、コールサインはビッグマンだ。飛行目的地はアフリカ東部で、そこに特殊部隊を展開させゲリラ戦と情報収集をするのが目的だ。なお編隊編成はミデア輸送機が8機とミデアを改造した護衛のガンシップが3機・・・ガンシップは全機撃墜され、輸送機も4機が落とされた! 生き残っている我々の機体も損傷が激しく飛行続行は難しい!」

「こちら管制塔、了解した。ビッグマンへ、平地への着陸は可能か?」

「こちらビッグマン、機体が無事ならばともかく今は損傷が激しく平地への着陸は危険すぎる! それに燃料も残り僅か、着陸許可を求める」

「・・・わかった、トリントン基地の滑走路への着陸を許可する。それと、積荷は何だって?」

「着陸許可に感謝する。積荷はアフリカに展開予定の特殊部隊だ。残っている4機には鹵獲ザク5機、量産型ガンタンクの改造機が3機、指揮通信用のホバートラック1両、作業用のミドルモビルスーツ3機と、それを改造し警備用に仕立てた機体を3機搭載している。他にも補給物資や61式を載せていたのだが、あいにく撃墜されちまった。・・・後で通信借りてもいいか? 補給物資とそれを運搬するミデアの手配を上に要求したい。現状の物資量では当初の目的だったゲリラ戦の遂行は不可能に近いからな」

「ふむ・・・了解した。可能ならば補給物資が届くまで我が基地の防衛を手伝ってもらえるか? 最近この方面でもジオンの活動が活発でな」

「それくらいならお安い御用だ。数日は滞在する事になるだろうから、その間防衛の手伝いは任されよう。ただ機体の保守部品の融通は頼むよ。それと着陸後、搭載しているモビルスーツを外に展開するがいいか?」

「了解した、まぁいいだろう・・・よし、順次着陸態勢に入ってくれ」

「了解・・・損傷の少ない機から着陸させる。1番機、8番機、3番機、6番機の順で行く」

そこまで言って管制塔との通信を切った操縦士は眼前のトリントン基地に目を向ける。そこには万が一に備えたガンキャノン3機が滑走路脇に消防車と救急車と共に待機していた。

「・・・上から見た限り、ガンキャノン1個小隊の他にはガンタンクが多数か。戦闘車両は格納庫内か?」

「航空戦力も先程の2個戦闘機小隊を除けば輸送機が少数ですね」

「とりあえずこの程度ならば問題は無いか」

「そうですね、どうやらうまくいったみたいです」

「時間は・・・丁度いいな。各機へ、パターン3に沿って行動せよ・・・・・・よし、着陸成功。他の機体は?」

「・・・・・・どうやら無事着陸できたようです。4機とも無事です」

「よ~し、各機へ。荷物を外に出せ。量産型ガンタンクを先にな」

そして少し間をおいて、8番機から3機のモビルスーツ・・・量産型ガンタンクが展開した。が、それは連邦軍の機体とは少し違っていた。

「こちら管制塔、ビッグマンへ。量産型ガンタンクを確認したが、若干機体が違うようだが?」

「それはそうだろう。ジオン側の砲弾を使用できるよう改修された機体だからな」

「ジオンの弾丸を? ・・・そうか、敵の砲弾を奪ってゲリラ戦を続ける為か。えらく気合入っているな」

「まぁそんなとこだ。続けて他の機体からもモビルスーツを出す。しかしここの警備はガンキャノンだけか? ジオンがきたらどうするんだ?」

「まさか。他にガンタンクが3個小隊いる。つまり1個中隊規模のモビルスーツがこの基地には駐留しているんだ。ジオンの奴らが来ても時間は稼げるし、この近くにチャールビル基地もあるから増援も期待でき・・・ん? なんだ? ・・・な!? それは本当か?」

管制塔で何か通信が届いたらしく、一気に喧騒が激しくなる。

「おい、どうした? まさかジオンが攻めてきたって言わないよな?」

「・・・そのまさかだ。オーストラリア戦線の全域で攻勢が始まったらしい。君達をこの基地に迎える事ができて幸運だったな。早速だが君達の運んできた特殊部隊、基地の防衛についてくれないか?」

その言葉ににやりと笑うミデアの乗組員。

「ああ、安心しろ。こちらは既に作戦行動についている、フル装備のモビルスーツ隊が展開完了したところだ」

そう言いつつ外を見ると、量産型ガンタンクもどき3機の他に砂漠迷彩を施されたザクJ型が5機、外に展開していた。ザクJ型は手にMMP-80 90mmマシンガンと腰にシュツルムファウスト3発、脚部に3連装ミサイルポッドを装備しており、肩に狼の紋様をつけていた。

「狼の部隊章? どこかで見たような・・・!?」

だが次の瞬間、5機のザクと3機の量産型ガンタンクもどきの外装の一部が突然爆発。剥がれ落ちた外装の下にはジオンマークとVFの戦乙女のマークが描かれていた。

「おい、今の爆発は何だ、何があっt・・・ジオンマーク、だと?! て、敵襲!! ・・・お、思い出した、ブラックリストに乗ってた特殊部隊、フェンリr」

管制塔の通信はそこで途切れた。なぜなら、ザクの90mmマシンガンで管制塔が蜂の巣にされたからだ。それだけではない。基地の対空施設や航空機格納庫にシュツルムファウストを他のザクが叩き込み、滑走路脇にて警戒待機していた3機のガンキャノンは量産型ガンタンクもどきの水平射撃の前に倒れ、基地の通信用アンテナやレーダーサイトも破壊された。



「・・・作戦とはいえ、こういう騙し討ちってどうかと思うわ」

「シャルロッテ、それは言わない約束だろう」

「ですが、自分達が特殊部隊である以上このような偽装は仕方がないと、自分は判断しますが・・・」

「あ、スワガー曹長。気分的な問題なもので・・・」

「理性では分かるけど感情では、ってやつですよ曹長」

「安心しろ三人とも、連邦も似たような事をしてるんだからおあいこだ」

「それに交戦前に所属を明らかにしたから大丈夫だ。そうですよね隊長」

「・・・まぁ、グレーゾーンだが国際法上問題無い筈だ。それよりも各機、応援が来るまでに制圧するぞ」

そう、この5機のザクは特殊部隊『闇夜のフェンリル隊』のザクだった。そして量産型ガンタンクもどきの方からフェンリル隊に通信が入った。

「フェンリル隊へ、こっちは予定通り通信アンテナとレーダーサイトを破壊した。予定通り残敵掃討に移るので露払いを頼む」

「ケン少尉へ、了解した。・・・そのガンタンクはどんな調子ですかな?」

「中々いい機体ですよゲラート少佐。外見こそ連邦の量産型ガンタンクですが、操縦系や武装などをこっち側に仕様変更したおかげで性能はこちらの方が上です。まぁ接近戦になった時はそちらを頼らせていただきますが・・・敵ガンタンク更に1機撃破!」

「了解した。こちらも部下がガンタンクを破壊したようです。主力が来るまで防衛戦・・・篭城することになりますが、頼りにしてます」

「フェンリル隊の司令にそう言ってもらえるとは嬉しいですね。引き続き警戒を行います、では・・・」

「・・・しかし、随分あっけない。内側から崩されるとこうも脆いとはな。本当にここは核貯蔵施設なのか?」

そうゲラート少佐は呟いた。そしてその数分後、トリントン基地は防衛部隊と主要施設を破壊されVFの制圧下となった。とても核兵器貯蔵庫としての役割を持つ基地とは思えないほどの、あっけない幕切れだった。

とはいえ、それまでに行われた根回しは相当なものだった。この作戦は現代版トロイの木馬というべき代物で、鹵獲したミデア輸送機で連邦軍に偽装し、基地内部から基地を制圧すると言うものだった。その為に作戦に使うミデア輸送機にたいし、本当にドップを使って銃撃し、銃痕をつけたのだ。史実でもサイクロプス隊が偽装輸送船に死体を乗せ、それを外から撃ち抜いて戦死したように見せるという手法を使ったが、それと同じ手口である。なお、当然ながら銃弾で損傷した内部の機器は補修がされているが、それはパッと見で機内からの応急処置と見えるように施されていた。これはタイムスケジュールが狂った場合、基地で修理の為に機体を見られても不自然ではないように施された処理で、更にモビルスーツの国籍表示も基地に降り立たず平地に降りるように指示された際に連邦を欺く為の偽装の一つだった。
だが、これよりも手の込んでいるのは、爆薬を積んだミデアを用意し、基地に接近した際に来るであろう連邦軍の航空機の目の前で自爆させ、あたかも襲撃しているドップの攻撃で撃墜されたかのように演じた点だろう。

そしてそれとは別に、モビルスーツも特殊といえた。今回投入されたザクJ型は連邦軍でも鹵獲部隊が編成されているので不思議ではないが、量産型ガンタンクもどきの方はジオンに該当する機体は存在しない。ならどうやって機体を用意したのか?

答えは連邦軍が鹵獲部隊を運用していたように、ジオンとVFも連邦軍の機体を鹵獲して使っていたからだ。事実少なくない連邦軍の兵器が開戦以来鹵獲されており、輸送中に船舶や輸送機ごと鹵獲された例も多い。宇宙空間だと撃破された輸送船から回収されたりするのも珍しくは無かった。
そしてこの量産型ガンタンクも、元はといえば前線に輸送中だった輸送船をVFの潜水艦隊が拿捕したおかげで手に入った代物だった。
このように拿捕された機体は徹底的に研究され、少数の機体が大規模な改修を受け実戦配備された。
そしてこの作戦に投入された量産型ガンタンクは操縦系統から兵装まで全てを改修した、ある意味ジオン・VF版ガンタンクの試作機といえる機体となっていた。
特に連邦版量産型ガンタンクとの大きな変更点としては、

1:操縦席を胴体内部に変更(頭部は外見は変わないが中身は多数の精密観測機器にし、有効射程距離を伸ばす事に成功)
2:肩の120mmキャノン砲をザクキャノン等で運用されている180mm砲に変更
3:腕部40mmホップミサイルを75mmガトリング砲に変更

この3点が挙げられる。
なお外人部隊が今回の作戦で使用している機体の装甲は元となった機体同様にルナチタニウム合金だったが、これとは別に量産型ガンタンクを再設計し防衛戦力として量産が決定された機体では装甲にも手が加えられ、ルナチタニウム合金から超硬スチール合金に変更し生産性の向上とコストの削減を図っており、その代わり胴体コックピット周りの装甲を重点的に厚くする事でパイロットの生存率を高めていた。
そしてこの改良成功によって、新たにRX-75RZ又はMA-75 鹵獲改良型ガンタンクと命名され北米及びオーストラリア戦線等の防衛部隊に配備されることが決定されており、派生型も180mm砲から135mmレールガンに変更した防空特化型やビーム砲搭載型といった機体が計画されていた。

そして今回使用された機体はその鹵獲機を改修した機体で、実戦テストの意味合いも兼ねていた。少なくとも本家量産型ガンタンクよりも攻撃力では上なのは間違いなく、防御力も向上していた。そしてそれを操るのは開戦以来戦闘を行ってきた外人部隊。

・・・だが、当然ながら3個小隊にも満たない部隊では基地の維持は難しい。そしてトリントン基地が陥落した事実は既に連邦軍に知れ渡っていた。







「トリントン基地が制圧された!?」

「はい、友軍に偽装した敵の特殊部隊によって陥落した模様です」

「・・・・・・今すぐ動ける部隊は?」

「コーバーに展開させたヘリ部隊、チャールビル基地のヘヴィ・フォーク級1隻とその護衛に同基地の鹵獲ザクから編成された2個小隊、空挺装備の陸戦型ジム1個小隊とその護衛のフライマンタ2個小隊が限度ですね。それ以上チャールビル基地の戦力は動かせません。動かしたらチャールビル基地そのものが落ちかねませんので」

「ならば戦闘ヘリと空挺部隊を先行させ、その後に陸上戦艦を突入させろ。・・・いざとなれば証拠隠滅を行え」

「!? それは・・・・・・」

「トリントン基地は旧世紀の原子力発電所から出た放射性物質の貯蔵施設で、ジオンによってそれらがダーティボムとして使われるのを阻止する為に奪還作戦を行った。だが運悪く放たれた砲弾が敵モビルスーツの核融合炉に直撃し大爆発、更にそれがトリントン基地に集積されていた『特殊』な燃料気化爆弾の誘爆を引き起こし、同基地に集積されていた放射能物質が拡散、周囲は放射能によって汚染された・・・いいね?」

「・・・了解しました、ヘヴィ・フォークの車長にそのように命じておきます」







トリントン基地 貯蔵施設

とある施設の前に人だかりがあった。そしてその周囲にはミドルモビルスーツであるドラケンEが3機と、その改造型が3機、警戒に当たっていた。
このドラケンEは開発元であるサイド6以外にもグラナダなどで採用されており、作業用の他に市街地などでの歩兵支援用、または警備用として幅広く使われていた。この機体もその1種でドラケンS型と呼称され、右腕を12.7mm3連装バルカン砲に、左腕を30mm機関砲に換装し、ビームサーベルと背部の短距離ミサイルを外しそれらの弾薬庫にした制圧兵器であった。当然モビルスーツの相手はできないが、遮蔽物に隠れた歩兵や装甲車両なら十分すぎるほどの戦力だった。事実、反撃を試みたトリントン基地の歩兵部隊も、この機体の集中砲火で遮蔽物を木っ端微塵に砕かれ少なくない戦力を損失し、遂には降伏させた程だ。
そんな部隊に警備されている人だかりの中に、外人部隊の司令であるダグラス・ローデン大佐の姿があった。

「・・・ダグラス大佐、プロテクトの解除に成功しました」

「ご苦労、引き続き作業を行ってくれ・・・しかしこんなものがここにあるとはな」

そう呟くダグラス大佐の視線の先には、とある表示がされていた。それはこの貯蔵施設がなんであるかを雄弁に物語っていた。その表示は黄色く、こう書かれていた。

『 ☢ Caution!! ☢ Caution!! ☢ 』

言わずもがな、核兵器貯蔵庫であった。だがそのセキュリティはかなり脆かった。なんせ捕虜にしたシステム管理者の女性のイニシャルをパスワードにしていたくらいだ。この事実を知ったとき、システム破りを行っていた作業員とそれを見ていたダグラス大佐はあきれ果て、捕虜となっているその女性を白い目で見たくらいだ。当然、その女性兵は同僚からも白い目で見られる事になったが、捕虜となった者の中には同じく顔を背けている者も少なからずいたので、重要施設のくせにかなり管理体制が杜撰だったことが浮き彫りになった。まぁ奪取する側にとっては都合が良かったのだが・・・

そうこうしているうちに、コンピューターを操作していた兵が歓声を上げた。

「やりました、システムの掌握に成功しました! これよりゲートの解放を行います!」

「良くやった。作業員は急いで行動しろ」

そしてゆっくりとドームのゲートが開いていく。最初は歓声をあげながら中を覗き込む者もいたが、中を見た者は例外なくそのあまりの光景に息を呑んだ。
・・・事前情報では『数発』の核が保管されているとのことだった。だが開け放たれた貯蔵庫の中にはそれとは異なり、『数十発』もの核兵器が保管されていたからだ。そしてその多くは戦術核だったが、中にはあの0083で有名なMk-82型核弾頭の姿もあった。

「・・・なんて数だ」

「いや、我々ジオンもグラナダに多数の核を貯蔵している事を考えれば不思議ではない数だ。核兵器は爆破処理できるような代物ではない。故に処理待ちの弾頭が無数にあってもおかしくは無い。それよりもすぐに作業を開始しろ、もうすぐ時間だぞ」

「了解しました。ドラケンEは直ちに作業を開始しろ!」

そして作業員が行動を開始しようとした時、警戒に当たっていた外人部隊から緊急連絡が届いた。

「こちら外人部隊、連邦軍の部隊が接近中だ。交戦を開始する」



「隊長、北西から接近中の機体は重戦闘ヘリとファンファンです。チャールビル基地からの敵地上部隊は増援のドム部隊が阻止するらしいですから、こちらは敵航空部隊に専念してください」

「了解したユウキ伍長。ガースキー、ジェイク、アウトレンジで叩くぞ!」

「了解隊長。しかしモビルスーツもどきで戦闘とは・・・ジェイクは楽しそうだな?」

「まぁ新必殺技のジェイク・フルバースト・アタックが試せるいい機会だからな」

「ジェイク・・・まぁいい。フェンリル隊もある程度まで接近されたら攻撃を行う予定のはずだ、それまでに数を減らすぞ。各機全兵装使用自由、攻撃開始!」

「「了解!」」

その命令と同時に3機の鹵獲改良型ガンタンクの180mmキャノン砲が火を噴いた。元々この180mmキャノンは対空目的にザクキャノンに搭載されていたものだ。その性能は折り紙つきで、それが2門同時に火を噴いたのだからたまらない。そして放たれた砲弾は対空砲弾、時限信管で一定時間後に起爆し破片を撒き散らす砲弾だった。
結果的にこの初撃で1機の重戦闘ヘリと2機のファンファンを撃墜、3機の重戦闘ヘリと1機のファンファンを損傷させ不時着させる事に成功した。が、それでもヘリの数は残り20機。回避機動が絶望的な鹵獲改良型ガンタンクにとって、それらの機体の持つミサイルは十分脅威だった。そして何度目かの砲撃を鹵獲改良型ガンタンクが行った際に、新たな脅威に彼らは気が付いた。そう、チャールビル基地を発進した空挺部隊だった。

「隊長、新たな目標を確認しました! これは・・・フライマンタとミデア輸送機・・・空挺部隊と思われます! フライマンタは大型爆弾らしきものを搭載している模様!」

「なんだと!? 各機、フライマンタとミデアを最優先で落とせ! フェンリル隊へ、ヘリの相手をしてもらっていいか?」

「こちらフェンリル隊司令のゲラートだ。今命令したのでヘリは気にせずそちらはミデアを頼む」

「協力に感謝します。よし、ミデアを照準・・・撃て!」

だが、ミデアを狙った事がレーザー照準で気が付かれたのか2機のミデアは撃墜される直前に3機のモビルスーツを投下した。その内1機はミデアの爆発に巻き込まれそのまま墜落したが、残り2機はスラスターを吹かしながら空中で姿勢を変えながら降下した。それだけでこの2機がベテランであることが伺える。惜しむらくはトリントン基地から少し離れた所に降下したことだろう。

「隊長、機体形状からして敵モビルスーツは陸戦型ジムと思われます」

「こちらも確認した。武装はマシンガンとバズーカだけのようだが、動きがいい。だがそれよりも残りのフライマンタを落とすぞ」

実際、フライマンタの爆弾搭載量は油断ならない。1t爆弾の直撃を受ければいかにモビルスーツといえどただではすまない。いや、至近弾ですら重大な損傷を与える可能性があった。しかもガンタンクならばなおさらだ。改修した結果頭部には精密砲撃に必要な観測機器が集中しているからだ。もちろんサブシステムは搭載しているが、精度は比べ物にならないくらい低下する。
よってこの場合、優先度はフライマンタ>戦闘ヘリ>降下したジムとなる。その事を理解している外人部隊のガンタンクは両腕の75mmガトリング砲も対空砲火に使用した。つまり6機のフライマンタは6門の180mmキャノン砲と6基の75mmガトリング砲によって集中攻撃を受けたのだ。結果は言わずとも分かるとおり、6機のフライマンタは瞬く間に叩き落された。だが撃墜される寸前にフライマンタはミサイルを発射しており、それと同時にフェンリル隊が相手をしている戦闘ヘリ部隊も同じくミサイルを発射した。その内数発は撃墜したものの十数発が着弾、ガンタンクのセンサーをかく乱した。そしてその隙に2機の陸戦型ジムはスラスター全開で基地への侵入を試みた。
これが普通の部隊ならばこの試みは成功していただろう。だが彼らが相手にしたのはVFの誇る特殊部隊、しかも2部隊であった。土煙が収まった後に彼らが見た最後の光景は、こちらに銃口を向けた3機のガンタンクの姿だった。

「今のミサイルの雨はヒヤッとしたが、相手が悪かったな。ユウキ伍長、他に敵影は?」

「いえ、周囲に敵影はありません。ですが先程のミサイル攻撃によってガースキー機が被弾、キャタピラに直撃を受け移動不可能です。友軍の損傷はフェンリル隊のザク1機が小破、もう1機が中破した程度です」

「・・・ならばしばらくは仕事がないと考えていいか。各機へ、増援を載せたガウが到着するまでこのまま警戒態勢をとれ」

だが、増援を載せたガウがトリントン基地へ到着するのは予定されていた時刻を大幅に過ぎてからであった。


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