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No.2193の一覧
[0] 機動戦士ガンダム ツィマッド社奮闘録(現実→UC)[デルタ・08](2007/12/29 19:02)
[1] 第2話[デルタ・08](2006/08/07 23:26)
[2] 第3話[デルタ・08](2006/08/08 14:00)
[3] 第4話[デルタ・08](2006/09/05 16:19)
[4] 第5話[デルタ・08](2006/08/11 22:36)
[5] 第6話[デルタ・08](2006/08/21 12:27)
[7] 第8話[デルタ・08](2006/09/05 16:16)
[8] 第9話[デルタ・08](2006/10/06 09:53)
[9] 第10話[デルタ・08](2006/10/06 09:54)
[10] 第11話[デルタ・08](2006/11/07 11:50)
[11] 第12話[デルタ・08](2006/12/26 13:42)
[12] 閑話1[デルタ・08](2008/01/01 20:17)
[13] 13話(別名前編)[デルタ・08](2007/07/01 00:29)
[14] 14話(別名中編)[デルタ・08](2007/07/01 00:22)
[15] 15話(別名中編2)[デルタ・08](2007/07/01 00:27)
[16] 16話(別名やっと後編)[デルタ・08](2007/07/01 00:31)
[17] ツィマッド社奮闘録 17話[デルタ・08](2007/07/30 11:55)
[18] ツィマッド社奮闘録18話[デルタ・08](2007/08/16 12:54)
[19] 19話[デルタ・08](2007/08/31 13:26)
[20] 簡単な設定(オリ兵器&人物編) [デルタ・08](2007/08/31 13:47)
[21] 20話[デルタ・08](2007/10/11 19:42)
[22] 21話[デルタ・08](2010/04/01 01:48)
[23] 22話[デルタ・08](2007/12/25 15:59)
[24] 23話[デルタ・08](2007/12/31 18:09)
[25] 閑話2[デルタ・08](2008/01/01 20:15)
[26] 24話[デルタ・08](2008/02/24 17:56)
[27] 閑話3[デルタ・08](2008/05/23 11:31)
[28] 25話[デルタ・08](2008/07/29 14:36)
[29] 26話[デルタ・08](2008/10/18 17:58)
[30] 27話[デルタ・08](2008/10/31 22:50)
[31] 28話[デルタ・08](2009/01/18 12:09)
[32] 29話[デルタ・08](2009/03/18 17:17)
[33] 30話(又は前編)[デルタ・08](2009/04/02 16:07)
[34] 31話(別名後編)[デルタ・08](2009/05/14 22:34)
[35] 閑話4[デルタ・08](2009/06/14 12:33)
[36] 32話[デルタ・08](2009/06/30 23:57)
[37] 33話 オーストラリア戦役1[デルタ・08](2010/04/01 01:48)
[38] 34話前半 オーストラリア戦役2-1[デルタ・08](2010/04/01 01:45)
[39] 34話後半 オーストラリア戦役2-2[デルタ・08](2010/04/01 01:46)
[40] 35話 オーストラリア戦役3[デルタ・08](2010/08/26 00:47)
[41] 36話前半 オーストラリア戦役4-1[デルタ・08](2010/08/26 00:40)
[42] 36話後半 オーストラリア戦役4-2[デルタ・08](2010/08/26 00:40)
[43] 37話[デルタ・08](2010/12/24 23:14)
[44] 38話[デルタ・08](2010/12/26 01:19)
[45] 閑話5[デルタ・08](2011/01/04 12:20)
[47] 39話 前編[デルタ・08](2012/09/30 17:14)
[48] 39話 後編[デルタ・08](2012/09/30 17:23)
[49] お知らせとお詫び[デルタ・08](2015/04/03 01:17)
[50] ツィマッド社奮闘禄 改訂版プロローグ[デルタ・08](2016/03/11 19:09)
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[2193] 30話(又は前編)
Name: デルタ・08◆83ab29b6 ID:2be1b22a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/04/02 16:07
あ、ありのまま今起こった事を話すぜ!
『ついこの前まで連邦軍と独立戦争をしていたと思ったらいつのまにか火星で無人兵器と戦闘していた』
な・・・何を言っているのかわからねーと思うが、私も何をされたのかわからなかった。
頭がどうにかなりそうだった・・・
催眠術だとか夢オチだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ・・・

「社長、んなことはいいですからユートピアコロニーとやらの市長と面談を行ってください!」

「報告します、敵未確認兵器はビーム砲を捻じ曲げる防御兵器を持っています。恐らく重力制御かと・・・」

「ですが、高出力のメガ粒子砲ならば敵小型兵器のシールドならば貫通することが判明しました。後実体弾も有効です」

「信じがたいことですが、観測の結果間違いなくこの星は火星という結果がでました。カタリナどころかキャリフォルニアベース等地球に

あった施設まで一緒にこの世界に来ている理由は全くの謎です。社長、これからどうなるんでしょうか?」

・・・花の名前の戦艦の世界ですかい!?

「ま、まだ慌てるような事態じゃない」

「社長、十分慌てる事態です!」

「・・・で、現在の我々の戦力は?」

「宇宙軍はモビルスーツが200機近く、モビルアーマーが20機近くいます。艦船も戦闘用艦艇が60隻、その他の宇宙輸送艦が80隻です」

「地上戦力はモビルスーツ200機、モビルアーマー30機近くです。戦闘機も300機近くいますし、機甲師団も複数存在します」

「問題は資源ですが、ユートピアコロニーの救援を行った際に火星の資源分布図が得られました。他にも火星周辺のアステロイドベルトに浮かぶ小惑星から資源の採取は可能と判断します」

なるほど、なんとか生き残れるかもしれないということか。ボゾンジャンプとかのチート技術はこの際置いておくとしよう。

「わかった、なんでこうなったのかわからないが、今は我々が生き残る事を最優先に行動しよう。各員一層奮励努力してくれ」

突然花の名前の戦艦の世界に飛ばされた社長。果たしてエルトラン社長達はこの世界で生き延びることができるのか?







はい、嘘です。
せっかくのエイプリルフールなんで、作成した代物です。不評ならば削除します(爆
そんなんエイプリルフールネタじゃないだろうとか、エイプリルフールは午前のみじゃ? とかいうつっこみはこの際置いときます。
それじゃあ遅くなりましたが、本編始めます。

ツィマッド社奮闘録 30話(またの名を前編)



シンガポール。連邦の太平洋艦隊の残存兵力が逃げ込んだ、東南アジア最大の軍事拠点だ。そしてその駐留する戦力は大きく、パプアニューギニアやフィリピンをジオンに占領されているといえど、未だ東南アジア一帯の連邦の力を象徴していた。
シンガポール軍港には連邦海軍が集結しており、戦力を大幅に減少させたといえど、未だその戦力は侮れない。
空母だけでも大型正規空母2隻、ヒマラヤ級空母4隻、タンカー改造のヘリ空母6隻が未だ健在で、アルバータ級等の巡洋艦や駆逐艦も多く、U型潜水艦、所謂ジュノー級潜水艦も10隻近くが存在する。
だが、これだけの戦力が一度に集結しているわけではない。なぜなら、この艦隊は太平洋艦隊とインド洋艦隊の残存戦力の集合体だったからだ。書類上では太平洋艦隊はシンガポールを母港にし、インド洋艦隊はコロンボを母港にしていた。そしてその上で部隊を再編し、2つの空母機動部隊を編成し防衛に当てていた。その機動部隊の戦力は正規空母1隻、ヒマラヤ級空母2隻、改造ヘリ空母3隻、巡洋艦11隻、駆逐艦19隻、潜水艦6隻からなっていた。本来ならばフリゲート艦が加わるのだが、全てのフリゲート艦は港湾施設の警備、又は哨戒任務の為に各地の軍港に展開していた。
・・・これだけみればかなりの戦力ということがわかるだろう。開戦以来多くの艦艇が撃沈されたのに、未だにこれほどの艦艇が生き延びているのだ。それだけでも連邦の物量がよくわかる。





大型正規空母ハーディング
艦載機を100機近く搭載可能な大型の航空母艦であり、今の連邦軍には両手の指の数くらいしか残っていない貴重な大型正規空母だった。ミサイルや戦艦並の砲塔を持っているヒマラヤ級とは違い、武装は近接防御用のCIWSと個艦防衛用の対空ミサイルしかない。
だが、これは純粋に両者の祖先が違うからだ。ハーディングの祖先は言うまでも無く航空機運用艦としての航空機母艦、所謂空母の直系だ。一方ヒマラヤ級は、そのルーツは純粋な空母ではなく、強襲揚陸艦。すなわち、ヘリコプターによる空輸を主体とした揚陸を行う軍艦の子孫である。多くのヘリやVTOL機を持って上陸部隊の支援をする強襲揚陸艦がベースになっている為、ハーディングのような正規空母よりも艦載機数が少なくなっている。
更に、ヒマラヤ級のコンセプトとして『部隊を支援できる各種火器・部隊を指揮できる戦闘指揮所・世界の海を駆ける連邦海軍を象徴する威圧的な容姿』が求められ、その結果艦載機搭載スペースが減少したという話もあった。

話を戻そう。現在ハーディングの主な艦載機はFF-M3 セイバーフィッシュ艦載機型で、艦隊にエアカバーを提供するのが主な役目となっている。これは8月に起きたミッドウェー海戦が原因だった。この戦闘で水陸両用モビルスーツを警戒し、制空戦闘機を減らし対潜哨戒機を多く搭載し、結果的に上空警戒がおろそかになり、航空攻撃によって艦隊が大ダメージを受けるという結果になったからだ。それ以降、正規空母は制空戦闘機、ヒマラヤ級は戦闘攻撃機と対潜哨戒機を多めに搭載するといった、ある種の住み分けが行われるようになったのだ。
そんな空母の艦橋から眼下を見下ろすと、戦闘機が80機近くも飛行甲板に並べられている。その姿は壮観の一言であった。

「ウィーカー提督、物資の積み込みが完了しました。これで乗組員が戻れば、いつでも作戦行動が可能です」

「うむ・・・久しぶりの作戦行動だ。簡単な任務とは言えんが、我が艦隊の将兵ならば見事やってのけるだろう。そうだろうニコラス艦長?」

「ええ、今回のフィリピン攻撃任務。11月前後を想定しているあの作戦の肩慣らしには丁度いいでしょう。輸送艦群もクアラルンプールに・・・」

「・・・艦長、それは機密事項だ。私は今何も聞かなかった、いいね?」

「は、申し訳ありません」

「さて、そろそろ会議室で会議の時間だ。紳士が時間に遅れるわけにはいかん、速やかに移動しよう。でないとジャブローからわざわざやってきた参謀達がへそを曲げてしまう」



ハーディング会議室
提督と艦長が会議室に入ると、既に二人以外の会議参加者の各艦長や参謀達が集合していた。

「すまない、どうやら待たせてしまったようだな」

「いえ、事前準備をおこなっていましたので「艦隊のトップというべき提督と、旗艦の艦長が遅刻とは・・・軍紀が乱れているのではないか?」」

艦隊直属の参謀を遮ったのは、ジャブローからわざわざ来た参謀の、アレン・ペロー大佐だった。しかも悪いことに、この参謀はエリート意識が強く、現場に無理難題を吹っかけることで有名な男だった。第二次世界大戦時における大日本帝国陸軍における辻政信や牟田口廉也のような男と思えば納得できるだろう。もしくはBSEに感染し暴走特急と化したブ○・ハ○ゼー(マテ

「・・・あ~、それでは予定よりも早いですが、会議を始めます。まず、本作戦についての概要を、発案者であるペロー大佐に説明していただきます」

そう言って参謀の一人がホワイトボードに文字を書いていく。その横でペロー大佐が作戦の説明を開始した。

「作戦名ラス・フィリピナス。この作戦はフィリピンのジオン基地、特に航空基地と港湾施設を叩くということが最大の目的です」

そういった直後、別の参謀が立ち上がりパネルのスイッチを操作し、ホワイトボードにフィリピン近海の地図が浮かび上がった。そして艦隊直属の参謀が補足を付け加える。

「捕捉しますが、フィリピンには敵の大規模な魚雷艇基地が存在し、海におけるゲリラ戦を仕掛けてきます。レーダーが使えない以上、この戦術は極めて脅威です。事実、これまで哨戒任務中に喰われたフリゲート艦は多数あり、見過ごせない損害です」

「幸い物資の積み込みは完了し、我が艦隊は明日には出航できるでしょう。出航後に対空対潜哨戒を厳にし、ジオン軍マニラ基地を航空戦力によって叩きます」

そこまで言ったところで別の男性、巡洋艦の艦長が手を上げて発言した。

「航空戦力による攻撃といえど、こちらの戦力は空母1隻とヒマラヤ級2隻、VTOL機の運用がなんとか可能なヘリ空母が3隻。当然敵の方が戦力は大きいはず。マニラ基地の戦力を教えていただきたい」

「マニラ基地はこの方面におけるジオンの大規模な航空基地です。最新の報告では大幅な増援があったようです、これです」

そうペロー大佐が言い、ホワイトボードに映し出されたのは、DFA-07 ジャベリン戦闘爆撃機の姿だった。そしてホワイトボードには次々と違う機体が映し出されていく。

「これはDFA-07 ジャベリン戦闘爆撃機。我々のセイバーフィッシュをベースに開発したとされる、この戦闘機が大量に配備された模様です。ご存知の通り、この敵機はセイバーフィッシュを上回る性能を持っています。その戦闘機が少なくとも200機、格闘戦に優れたドップが100機、オルコスと呼ばれる我々のミデアを模倣したような輸送機が120機。なお、このオルコスは少しの改修で様々な任務に転用可能で、その中には爆撃機型も存在するので注意が必要です。更に、モビルスーツが搭載可能なドダイ爆撃機。これが100機近く駐機しているのが確認されています。この戦力ならば運用次第ではこのシンガポール基地を陥落させることも不可能ではありません」

「・・・航空パイロット達に死ねと言うのか? 無謀すぎるぞ!!」

「ええ、普通に考えればこちらの方が断然不利です。よって、本艦隊の運用可能な航空戦力の全てを敵基地にぶつけます。つまり、艦隊防空は皆さんで凌いでいただきます」

「・・・つまり、艦隊防空の部隊も全て投入するというのか?」

「ええ、段取りとしてはこうです。第一段階としてセイバーフィッシュが低空から侵入し、敵飛行場及び対空砲火へ奇襲攻撃します。第二段階として、爆装したドン・エスカルゴ対潜哨戒機とフライマンタ戦闘爆撃機による港湾施設への爆撃。第三段階としてミサイルを搭載したファンファンを中心としたヘリ部隊による対地攻撃を行います。そして最後に、基地に接近した艦隊から艦砲射撃を行い、これを破壊します。なお、我が方の艦載機発進と同時刻にシンガポール基地からデプ・ロックの編隊が発進、最後の仕上げとして生き残ったジオンの頭上に爆弾の雨を降らします」

その言葉を聞いた会議出席者は皆唖然とした。それはつまり、艦隊を敵の基地のすぐ側まで接近させねばならず、艦隊自身を危険に晒すことだった。

「・・・我々が事前に受けた任務内容は、ジオンの基地に対して航空攻撃を1回実施する。ただそれだけだ」

「間違ってないでしょう? ただそれに艦隊からの艦砲射撃を行うだけです」

「その為に、艦隊の人員を危険に晒してかね?」

「危険の無い戦争はない、そうでしょウィーカー准将?」

「ああ。だが同時に、無駄に部下を犠牲にさせる作戦は認めれん。任務内容の再考を求める」

「・・・ジャブローのオフィスは快適ですよ? それに、ジャブローから発せられた作戦命令を無視したとなれば、左遷されかねませんよ?」

「ふっ、私は潮風が大好きでね。それに、部下を無駄に危険に晒すような作戦・・・艦隊の最高責任者として拒否することはできるはずだが?」

そう言ってウィーカー提督とペロー参謀がにらみ合いになって、会議室全体に気まずい雰囲気が広がった。その雰囲気をぶち壊したのは会議室に飛び込んできた連絡だった。その内容は・・・

「所属不明の編隊がこちらに迫っている?」

「ああ、恐らく友軍でしょう。本作戦の為に空軍の援軍として、10機のデプ・ロックと20機のフライマンタが派遣されてくるはずです」

そういうペロー大佐だったが、次の一言でそれは完全に打ち砕かれた。

「違います、機体数は30機どころの話ではありません! 少なく見積もっても、60機以上とのことです!」



少し時間は遡る。
シンガポール沖高度5000mを早期警戒機であるディッシュが飛行していた。そして、異変に真っ先に気がついたのもこのディッシュだった。

ミノフスキー粒子が薄くなりレーダーがある程度使用できた為に、このディッシュはレーダー上に光点が現れたのを察知できた。30機程の編隊がやってくると通達がきており、最初はその編隊だと考えていたディッシュのレーダー手だったが、その考えはすぐに打ち消された。

なぜなら光点が30どころではなく、その倍の60近く確認されたからだ。ディッシュは大騒ぎになり、慌ててシンガポール空軍基地に連絡を取った。

「60機? エコーじゃないのか?」

「間違いない。報告と違うぞ、警戒空域に向かっている。撃退しろ、緊急発進だ!!」

「了解した、航空隊を直ちに発進させる。・・・おい、急いで艦隊にも知らせてやれ!」

「了解! ・・・シンガポール空軍基地より空母ハーディングへ、シンガポール空軍基地より空母ハーディングへ」

「こちら空母ハーディング、シンガポール空軍基地へ。何かあったのか?」

「所属不明機がこちらに接近中、対空戦闘準備を始めてくれ」

「まて、通達のあったそちらの爆撃機ではないのか?」

「いや、報告と異なり、輸送機の数は60。警戒空域に接近の為、フライアローが迎撃に向かう」

「こちらハーディング、了解した。こちらも対空警戒を発令する」

その通信内容はハーディングに伝わり、港に停泊していた艦船では蜂の巣をつついたような騒ぎとなった。



「こちら管制機ストーン・ヘッド。マーライオンリーダーへ、聞こえるか? 貴隊はこちらの管制下に入った。全部隊、状況を報告せよ」

「マーライオン中隊、全機異常無し」

「リントヴルム中隊、異常無し」

「クエレブレ中隊、異常は無いぞ」

「よし、敵編隊の総数は60機。君達の真正面で高度差は無い。ミノフスキー粒子濃度の高い空域が多数あるが、戦闘予定空域のほぼ全ての空域でレーダーが使用可能だ。各機、全兵装の使用を許可する」

シンガポール空軍基地から発進したのはFF-6 TINコッドからなるクエレブレ中隊と、フライアロー戦闘機からなるマーライオン中隊とリントヴルム中隊だった。その数は15機編成の中隊3つで45機。緊急出撃から僅か数分、たったそれだけでこの数を出撃させられるのは特筆すべきことだろう。
接近している不明機はおよそ60。だがシンガポール空軍基地にはまだまだ戦闘機が待機しており、海軍の航空隊も発艦準備を行っていた。

順調に行けば、恐らくジオンの航空隊はシンガポールへの攻撃はできなかったかもしれない。だが運命の女神は気まぐれすぎたようだった



「な・・・緊急、レーダーに新たな機影を確認! ミノフスキー粒子濃度が高い場所にいたようだ。数は・・・30前後、方位200(180が南)から接近、近い! ミノフスキー粒子濃度が高い所を飛行しているのでレーダーが効き難い! 更に方位45(北東)から同じく30機前後の機体が接近中。以後、最初に発見した60機の編隊をα、次に南から接近中の編隊をβ、北から接近中の編隊をγと呼称す・・・くそ、βを見失った!」

「おいおい、合計120機か!? 空中管制機、俺達はどうすればいいんだ?」

「待て・・・今シンガポール基地から新たにインターセプトが離陸した、数は3個中隊45機。彼らはβに向かう。君達は予定通りαに攻撃を開始してくれ! γは後続に任せる」

この新たに離陸した3個中隊はフライアローで構成された制空戦闘機部隊だった。そして、彼らはミノフスキー粒子濃度が高いところを飛行している編隊βに向けて飛翔した。ジオンやVFの使うジャベリン戦闘爆撃機は空軍の主力戦闘機であるフライアローよりも高性能であり、もしこの30機が全てジャベリンで構成されていれば30対45といえど、油断はできない。
そして、今のシンガポール空軍基地は制空戦闘機が不足していたのだ。というのも、シンガポール空軍基地に駐留する戦闘機はTINコッドが60機、フライアロー戦闘機が120機、フライマンタ戦闘攻撃機が90機、合計270機という数で、書類上では膨大な戦力を保有している。

そう、『書類上』では・・・

実際は整備中で飛行できない機体や、弾薬や燃料を搭載していない機体が少なくなかった。更には非番のパイロット達の少なくない数が街に繰り出しており、緊急発進した90機以外はすぐに飛び立つことができる機体は多くは無かった。
そして、緊急発進してβ編隊に向かった45機のフライアローは目の前の光景に唖然とした。

目の前を飛んでいたのは友軍の10機のデプ・ロックと増槽を装備した20機のフライマンタだったのだ。目視可能距離まで近づいたこともあり、IFFが反応し友軍反応が表示される。

迎撃に来た45機のフライアローは同士討ちせずに済んだ事に胸をなでおろし、次の瞬間には慌てた。なぜなら、先行してα編隊と遭遇した45機のフライアローが相対したのは、60機ものジャベリン戦闘爆撃機だったからだ。そして管制機の報告で、新たに60機以上もの編隊が接近中との報告が来たからだ。





一方、連邦海軍も戦闘態勢を整えつつあった。空母に会議の為集まった各艦の艦長を各々の艦に戻し、艦載機の発進準備を始めていた。だが、半舷上陸をしていた為に、肝心の乗組員の少なくない数が艦内にはおらず、作業は時間が掛かっていた。
その為、艦隊が岸壁から離れ港から離脱しようとする頃には、ジオンの攻撃部隊は空軍の迎撃を突破していた。

「イーグル、ドラゴン各隊の発艦準備が整いました!」

「レーダーに機影、IFF(敵味方識別装置)に反応無し!」

「対空戦闘用意! これは訓練ではないぞ、急げ!」

「総員、対空戦闘用意。総員、対空戦闘用意。イーグル、ドラゴン各隊は直ちに発進、敵機の迎撃に向かえ。総員、対空戦闘用意。総員、対空戦闘用意。イーグル、ドラゴン各隊は直ちに発進!」

空母ハーディングのカタパルトからFF-M3 セイバーフィッシュ艦載機型が飛ばされていく。だが、カタパルト打ち出し終了後、違う機体をカタパルトにセットするにはほんの僅かだが時間が掛かる。発艦を待つ間にミサイル等を取り付けるという流れ作業で行動しているとはいえ、一度に発艦できるのは4機が限度だった。
そして、イーグル小隊及びドラゴン小隊の計8機が空に舞い上がり、次の部隊を発艦させようとした所で、ジオン航空隊、およそ30機は艦隊の防空圏に侵入した。

「敵機、更に高速で本艦隊に接近」

「インターセプトは?」

「接触まで、もうしばらくかかります」

「ミノフスキー濃度は? ミサイルの使用は可能か?」

「およそ・・・平均で20%です。 昨日まで50%近くだったのに、幸運です。これならミサイルの誘導がある程度ですが可能です!」

「よし、全艦対空ミサイル発射だ!」

「ラジャ、対空ミサイル発射!」

「オールステーション、オールSAM(対空ミサイル)! オールステーション、オールSAM!」

その言葉が旗艦からの命令として各艦に伝達されると、一斉に甲板から白煙をだしつつミサイルが発射された。
艦隊全体から放たれた数十発のミサイルは、ミノフスキー粒子の影響もあって少なくない数が外れたが、それでも10機以上の敵機を撃墜することに成功した。ミノフスキー粒子といえども万能では無い。
ミノフスキー粒子が散布された空間では電波、一部の可視光線、赤外線は伝わることができない、所謂ミノフスキー効果が発生する。これが原因で従来の電波による交信や、レーダー、センサーの多くが使用不能となり、長距離誘導をなされるミサイルの誘導が不可能となってしまい、有視界下における戦闘を余儀なくされることとなる。
だが逆に考えてみよう。散布されていてもその濃度が低ければレーダーはノイズが酷いが(ゲーム『ジオニックフロント』でセンサーにレーダーがあるのを参考にしています)使用でき、ミサイルはある程度の誘導が可能になるのだ。そして東南アジアは大気の撹乱を引き起こす現象がすぐ側を通過する。
そう、台風である。シンガポール周辺はつい三日前、フィリピンを通過した台風によってミノフスキー粒子が拡散され、偶然ながらミノフスキー粒子濃度がまだらになっていたのだ。この為連邦にとって幸運、ジオン側にとって不幸なことに、ある程度誘導された数多くのミサイルによって迎撃を受ける羽目になったのだ。
が、それでもまだジオン航空隊は10機近くの機体が残っており、発進した8機のセイバーフィッシュと戦闘に入った。こうなるとミサイル攻撃はもうできない。無闇にミサイルを発射すれば味方を誤射しかねないからだ。
そして双方の航空機がドッグファイトをしていると、新たにジオン航空隊と緊急発進した友軍の戦闘機が参戦。瞬く間に数十機の戦闘機が入り乱れる大規模な空中戦が勃発した。

「ドラゴン3、4ロスト!」

「ホーム(空母)に向かうぞ、追撃しろ!!」

『うわ! 機体に直撃弾、制御不能!!』

「そこのフライアロー、後ろに付かれているぞ。振り切れ!」

「無茶を言うな! ・・・くそ、被弾した。オメガ11、イジェークト!!」

「またあいつか! あいつ、いつも空戦の度に撃墜されてるじゃねーか」

「あいつはほっとけ、またしばらくしたら空に上がっている」

「そしてまた撃墜のエンドレスじゃねーか! くそ、背後に敵機!」

「管制機、目標を指示してくれ!」

「方位280から敵侵入・・・駄目だ、数が多すぎる!」

「しっかりしろ! あんたの指示が必要なんだ!」

『A隊は敵艦船へ、B隊は港湾施設を破壊しろ。C隊は上空制圧だ、了解か?』

『了解した、攻撃を開始する』

「港湾施設にミサイル着弾! 迎撃は何をしている!」

次々と入ってくる通信。無線が一部で使用可能なようで、時々ジオンの通信も聞こえてくる。そして空戦空域を突破した複数のジャベリンが抱えていた大型タンクからあるモノを散布しながら艦隊に向けて突進していった。
そしてそれは、ジャベリンの行く手を阻むように航行する駆逐艦から放たれた速射砲の砲弾が1機のジャベリンを、その抱えている大型タンクごと爆散させたことではっきりとその存在を明らかにした。

「目標撃墜! ・・・ん、ECMか? いや、これは・・・」

「な!? ミノフスキー濃度急激に上昇、ミサイルの誘導ができません! レーダーロスト!」

「敵機、更にこちらに向かってきます!」

「ぶつけてでも止めろ!!」

「ダメです、間に合わない!!」

そして接近したジャベリンは爆撃コースに入り、標的に定めた駆逐艦に爆弾を投弾する。投弾された2発の爆弾は1発が至近弾になり、残り1発が艦中央部に命中し炸裂、数分後にこの駆逐艦は大破炎上による総員退艦命令が発令された。だが、投弾したジャベリンも駆逐艦からカウンターとして放たれた対空砲火に捉まり撃墜された。

最初に空戦に投入された60機の制空用のジャベリンを除き、侵攻してきたジャベリン戦闘爆撃機の少なくない数にミノフスキー粒子を満載した大型タンクが搭載されており、所定の空域に到達次第タンクからミノフスキー粒子を散布していた。それが意味するのは、これまで使用が辛うじて可能だった誘導ミサイルが誘導不可能になったということであった。

そして、シンガポール沖での死闘とは別に、もう一つの災厄が連邦軍に迫っていた。真っ先に異変を感知したのは、シンガポールから北に僅か200kmしか離れていないクアンタンの沖合いにいた、救援の為にシンガポールを目指して航行していたフリゲート艦6隻だった。

「ん? こちらソナー、海中に複数の不審な推進音を探知しました」

「不審じゃわからん、もっと正確に言え!」

「音紋照会中・・・これは・・・!? ジオンの水陸両用モビルスーツ、しかもハイゴッグです! 他にもゴッグ及びズゴックと思われる音紋を確認しました! 数は最低でも・・・20機以上!?」

「・・・空に目がいっている隙に海からか。各艦へ対潜攻撃用意と伝えろ! 後司令部へ緊急連絡だ」

「了解! 対潜攻撃、魚雷発射準備完了!」

「対潜魚雷発射、爆雷もスタンバっておけ!」

そう言ってフリゲート艦から魚雷が3本射出される。それに遅れて残りの5隻からも3本、合計18発の対潜魚雷が発射された。が、たった18本の魚雷で食い止めれるわけも無く、魚雷は回避又は迎撃されていった。連邦フリゲート艦隊にとって最悪なことに、対潜ミサイルの類をこのフリゲート艦群は搭載しておらず、対潜兵器は対潜魚雷ととってつけられたような爆雷のみだった。しかもその爆雷も高速航行中に使う事を前提にされた旧式のもので、有効射程距離はほとんど無く近接防御用といってもいいレベルの代物だった。
そんなフリゲート艦隊をあざ笑うかのように水面からズゴックとハイゴッグが飛び出し、フリゲート艦にメガ粒子砲の洗礼を浴びせていく。
数分後、海上に浮かんでいるのは4隻の大破炎上したフリゲート艦だけだった。残り2隻は既に海面下に没している。その周りに浮かぶ救命イカダの上で、フリゲート艦の艦長は呪詛を口にする。

「くそ、俺達の艦が・・・あんな水陸両用モビルスーツを作った奴の顔を見てみたいぜ!」







その頃の社長

「へっぷし!」

「風邪ですか社長?」

「どうだろう、後で熱を測っておくか・・・それはともかく、やっぱりご飯と味噌汁が一番だな。朝に食べると目が覚めるよ」

「社長、朝ではなく今はもうお昼過ぎなのですが・・・」

「HAHAHA! 連日徹夜で書類と死闘を繰り広げていたせいか、これまで以上に強力な睡魔が襲ってきてね。気がついたら数時間寝てて、ついさっき目が覚めたんだ。つまり私の体内時計では今は朝なのだよ」

「寿命縮めますよ?」

「・・・・・・なんであんなに書類が多いんだろうね?」

「それは社長が暗躍しすぎたせいです」

「あっはっは、ですよね~・・・orz」







「スマトラ島の戦闘機隊、全て発進完了しシンガポール目指し飛行中!」

「クアンタンに戦闘爆撃機を差し向けろ! デプ・ロックもだ!」

「陸軍は既にクアンタンへ移動するよう命令しました!」

「な!? 馬鹿もん、シンガポールの防衛を固めるのが最優先だ!!」

「コタバルに駐留していた陸軍機械化歩兵中隊、クアンタン奪還に向け進撃開始しました!」

「タイランド湾に展開していた友軍艦隊、支援の為に南下を開始しました。編成は巡洋艦1、駆逐艦5です」

「海軍の強行偵察機フラット・マウス、クアンタン上空で撃墜されました! 最後の報告では、敵モビルスーツは南下を開始とのこと!」

「ここ(シンガポール)狙いか!? 他の地区の守備隊に援護要請を出せ!」

クアンタンにジオンの水陸両用モビルスーツ部隊が出現したという報告を受け、シンガポールの連邦軍司令部は大混乱に陥った。それも当然だ、クアンタンからシンガポールまでおよそ200km。モビルスーツの速度を考えると数時間で到着できる距離なのだ。しかもクアンタンには大規模な飛行場を建設中で、既に3000m級の滑走路が1本完成していたのだ。

もしここをジオン航空隊が拠点にしたら?

考えるまでも無い。シンガポール一帯はジオンの航空機の航続距離圏内となるのは明らかだ。そうなればシンガポール陥落に現実味が帯びてくる。だが、パニックになっている司令部の一角では、冷静にこの事態を分析している者もいた。

「クアンタンをジオンが航空拠点にするとは思えんな」

「同感だ。クアンタンの空港は完成しても滑走路が4本、しかも現時点では航空燃料すら置いていません。戦力化するには時間が掛かりすぎる」

「ですが、連中のミデアもどきならば弾薬燃料を一気に運び込むことは十分可能と思われますが?」

二人の将官が作戦地図を見ながら考えこみそう発言する。それに意見を言うのはパニックを起こしている基地の参謀の一人だった。その意見を二人は鼻で笑う。

「クアンタン空港の完成率は50%にも達していない。滑走路が1本完成しているとはいえ、管制塔等は未だ未完成だ」

「満足に機能させようとするならば、輸送機が何十機いると思っている? おそらくクアンタンは・・・」

「「囮だ」」

そう断言する二人の指揮官。ならば真の目的は?

「クアンタン周辺に我々の眼を釘付けにする為・・・となると」

「報告では、上陸した敵モビルスーツは一部が空港に居座るものの、その多くは南に進撃しているとのこと。シンガポール狙いならば航空隊と共に攻めたはず」

「ならばシンガポール狙いとは違う。そしてこの地域で戦略上重要な場所といえば・・・」

そう言って二人の指揮官は同時に地図の一点に注目した。

「「クアラルンプール」」

クアラルンプールに何があるのか? 一言で言えば、シンガポールの大動脈が存在する。まず、インドとの大規模な海上輸送ルートの一角を担っており、これだけでもクアラルンプールの重要性がわかるだろう。インドに東南アジアの資源を輸送し、インドからは武器弾薬を輸送する重要なルート、特にこのルートはマレー半島に展開する陸軍の主力補給ルートなのだ。しかも、現在クアラルンプールには大規模な輸送船団が停泊していたのだ。
次に、シンガポール一帯に対して電力を供給している大規模な核融合発電所が存在していた。ここから供給される電力の大多数が軍事施設に供給されており、ここが破壊されるとシンガポール一帯、いやマレー半島一帯の連邦軍基地の機能が低下する程だ。
それほどの戦略的に重要な拠点、狙われないはずが無かった。なのに今までここへ攻撃されなかったのには理由がある。その理由は簡単で、単純に防衛戦力が大きいからだ。手薄と思われがちなインド洋方面はセイロン島とスマトラ島の間に海底設置型のソナー、SOSUSアレイのような聴音網が設置されており、海からの侵入はすぐさまわかるようになっていた。かといってシンガポール方面には常に1個艦隊が停泊している。更に空からの攻撃を企んでも、シンガポール航空基地を中心とする各航空基地に多くの戦闘機によって拒まれる。

だが今はどうなっている? ジオン航空部隊の攻撃によってシンガポール周辺の空軍及び海軍は戦闘に忙殺されている。陸軍もクアンタンに上陸した敵水陸両用モビルスーツの対処に追われている。

「准将の部隊に出撃要請だ。目標は・・・」





それから一時間後、司令部は未だに混乱が収まったとはいえない状況だった。そして事態は違う方面で大きく動いた。
スマトラ島の南に位置するメンタワイ諸島。その上空を1機の航空機が飛行していた。連邦海軍所属の強行偵察機フラットマウスだ。偵察活動を終えパレンバンに帰還途中、この機体はとんでもないものを発見してしまった。そしてそれがこの機体の命運を分けた。

「ほ、報告! シベルート島の南西30kmの空域に敵機多数! なお、ガウ攻撃空母を多数含m」

そこまで報告してフラットマウスは蒸発した。ガウ攻撃空母からメガ粒子砲の一斉射撃を受けて。
この報告を受けて司令部は再びパニックになった。なにせ、迎撃可能な機体は全てシンガポール沖に回されており、迎撃機の手配ができなかったのだから。



ジオン公国西太平洋方面軍所属 ガウ攻撃空母

「敵偵察機撃墜! 付近に敵影ありません」

「高度2万を維持、このまま進め。 ・・・しかしこんな作戦なんかに西太平洋方面軍の貴重なガウを6機、オルコス輸送機を12機も投入するとはな。しかもこんなに迂回までさせて」

そう、この空中部隊はフィリピンのマニラ基地を飛び立ち、オーストラリアへの増援と思わせる為にわざわざポートヘッドランド空軍基地に着陸。そこで補給物資の積み下ろしを完了したという偽電文を発信した後、ジャワ島を迂回しスマトラ島上空を通過するルートでクアラルンプールを目指していたのだ。だがその甲斐あってか今まで連邦軍の迎撃に遭遇しておらず、目的地まで後500km程度のところまで接近できた。

「ですが、クアラルンプールの発電施設を破壊すればこの方面の敵の脅威は激減します。輸送船団にダメージを与えれば、こちらが楽になりますし」

「違うな、全て無駄な作戦だよ。通商破壊なら潜水艦隊に任せればいい。あわよくばシンガポールの占領も目論んだこの作戦、戦力が足りずに我々が敗北するのは目に見えている。我々の運んでいる降下部隊も全滅するだろう」

「その為の囚人兵部隊です。一応救出部隊の準備は整っていますし、全滅しても惜しくはない存在では?」

そう、この部隊に搭載しているモビルスーツを操縦するのは犯罪を犯した囚人達だった。この作戦に参加すれば恩赦を与え解放する、そう言われて作戦に参加した者達に与えられたのは、使い込まれたザクと旧ザク、そしてごく少数のグフだった。ザクが24機に旧ザク12機、グフ6機の合計42機。数の上ではかなりの戦力だったが、その実体は在庫一層セールとも言うべき旧式武装を持った特攻隊だった。一応救出部隊がいることになっているが、実際にその場にいるかどうかはわからなかった。なので囚人達の間では『生き残りたかったらクアラルンプールで暴れた後はクアンタンに行け』だった。実際回収ポイントの一つにクアンタンが指定されており、そこならば機体は捨てることになるが、友軍の水陸両用モビルスーツにパイロットだけ回収されて帰還できると言われていた。

それを踏まえての参謀の発言だったが、指揮官は気に入らなかった。

「その発想が好かんのだ。囚人といえど、死刑囚ではない。たしかに一部の兵は死刑囚らしいが、他の者はそれほど重い刑罰ではなかった。それをむざむざ死地に送るとは・・・」

「ですが、誰かが破壊せねばならぬこと。ならば囚人兵を投入するのは間違った判断ではないと思います」

「報告します、後20分で目標上空に到達します」

「対空警戒を怠るな。敵影確認次第ドップを発進、防空に当てさせろ」

そして20分後、クアラルンプール上空に華が幾つも咲き乱れることになった。





※本SSでのヒマラヤ級の解釈等は自分の思いつきですので注意してください。
4月1日に投稿した際に一部抜けてた部分があったので修正


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