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No.2193の一覧
[0] 機動戦士ガンダム ツィマッド社奮闘録(現実→UC)[デルタ・08](2007/12/29 19:02)
[1] 第2話[デルタ・08](2006/08/07 23:26)
[2] 第3話[デルタ・08](2006/08/08 14:00)
[3] 第4話[デルタ・08](2006/09/05 16:19)
[4] 第5話[デルタ・08](2006/08/11 22:36)
[5] 第6話[デルタ・08](2006/08/21 12:27)
[7] 第8話[デルタ・08](2006/09/05 16:16)
[8] 第9話[デルタ・08](2006/10/06 09:53)
[9] 第10話[デルタ・08](2006/10/06 09:54)
[10] 第11話[デルタ・08](2006/11/07 11:50)
[11] 第12話[デルタ・08](2006/12/26 13:42)
[12] 閑話1[デルタ・08](2008/01/01 20:17)
[13] 13話(別名前編)[デルタ・08](2007/07/01 00:29)
[14] 14話(別名中編)[デルタ・08](2007/07/01 00:22)
[15] 15話(別名中編2)[デルタ・08](2007/07/01 00:27)
[16] 16話(別名やっと後編)[デルタ・08](2007/07/01 00:31)
[17] ツィマッド社奮闘録 17話[デルタ・08](2007/07/30 11:55)
[18] ツィマッド社奮闘録18話[デルタ・08](2007/08/16 12:54)
[19] 19話[デルタ・08](2007/08/31 13:26)
[20] 簡単な設定(オリ兵器&人物編) [デルタ・08](2007/08/31 13:47)
[21] 20話[デルタ・08](2007/10/11 19:42)
[22] 21話[デルタ・08](2010/04/01 01:48)
[23] 22話[デルタ・08](2007/12/25 15:59)
[24] 23話[デルタ・08](2007/12/31 18:09)
[25] 閑話2[デルタ・08](2008/01/01 20:15)
[26] 24話[デルタ・08](2008/02/24 17:56)
[27] 閑話3[デルタ・08](2008/05/23 11:31)
[28] 25話[デルタ・08](2008/07/29 14:36)
[29] 26話[デルタ・08](2008/10/18 17:58)
[30] 27話[デルタ・08](2008/10/31 22:50)
[31] 28話[デルタ・08](2009/01/18 12:09)
[32] 29話[デルタ・08](2009/03/18 17:17)
[33] 30話(又は前編)[デルタ・08](2009/04/02 16:07)
[34] 31話(別名後編)[デルタ・08](2009/05/14 22:34)
[35] 閑話4[デルタ・08](2009/06/14 12:33)
[36] 32話[デルタ・08](2009/06/30 23:57)
[37] 33話 オーストラリア戦役1[デルタ・08](2010/04/01 01:48)
[38] 34話前半 オーストラリア戦役2-1[デルタ・08](2010/04/01 01:45)
[39] 34話後半 オーストラリア戦役2-2[デルタ・08](2010/04/01 01:46)
[40] 35話 オーストラリア戦役3[デルタ・08](2010/08/26 00:47)
[41] 36話前半 オーストラリア戦役4-1[デルタ・08](2010/08/26 00:40)
[42] 36話後半 オーストラリア戦役4-2[デルタ・08](2010/08/26 00:40)
[43] 37話[デルタ・08](2010/12/24 23:14)
[44] 38話[デルタ・08](2010/12/26 01:19)
[45] 閑話5[デルタ・08](2011/01/04 12:20)
[47] 39話 前編[デルタ・08](2012/09/30 17:14)
[48] 39話 後編[デルタ・08](2012/09/30 17:23)
[49] お知らせとお詫び[デルタ・08](2015/04/03 01:17)
[50] ツィマッド社奮闘禄 改訂版プロローグ[デルタ・08](2016/03/11 19:09)
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[2193] 26話
Name: デルタ・08◆83ab29b6 ID:81ee3b7d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/10/18 17:58
最初に:投稿滅茶苦茶遅れて申し訳ないorz 色々とありまして、正直テンション低下してました。学校の方で提出する代物が未だかけておらず、書こうと思ってもスランプなのか進まない。そんなわけでこっちもかなり執筆する事ができなくなったりしており、皆様にご迷惑をかけたのを謝罪します。

というか時間掛かった理由は原作キャラの扱いが難しく、更に原作キャラの言動とかいじってたら批判が怖くて何度も訂正した挙句大幅カットしたのは秘密だ(超新星爆








ツィマッド社奮闘録 26話



ガウ攻撃空母

やぁ、久しぶり。前回の飲み物Xをベースに改良(改悪?)した液体を飲んで少しハイなエルトランだよ。なんか某ハイポーションみたいな気もするけど固体は入ってないし粘り気も無いので気にしない。というか作ったからには食うのはお約束。一回に処理できるのはコップに半分以下が限度なんだが、量を間違えてやたら大量に作ったんで、処理するのも一苦労だよ。ペットボトル2~3本ぐらいか?
まぁそれはさておき、今日は友人に会いにわざわざガウまで行きました。

「直接会うのは久しぶりだなエルトラン」

「そうだね、君も元気そうでなによりだよガルマ」

「ああ・・・ところで、その愉快な色の液体は何かな? 見てるとやたら寒気がするんだが・・・」

「ああ、たいしたことないよ。栄養ドリンク+αを色々混ぜてちょっとラストエリクシャーができちゃっただけだから。飲むとかなり楽しいことになるけど、眠気がぶっ飛んで、最高にハイってやつになって仕事できるから飲んでるんだけどね。ガルマも少し飲んでみるかな? かな?」

「・・・・・・遠慮するよ。それ以前に、人体に影響は無いのか?」

「あははは、麻薬とかは入ってないし、普通に仕事するだけで人体に影響するから、飲んでも飲まないでもあんまり変わんないよ」

「そういう問題なのか?(なんだかしばらく見ない間にかなり壊れているような気がするのだが) ・・・とりあえず、身体には気をつけたまえ。それで本題だがシャアの機体、本当に大丈夫なのか?」

「ああ、大丈夫だろう。元々シャアの為に調整してた機体だし、そもそもシャアのヅダイェーガーは分解してデータを根こそぎ解析してる真っ最中だから、機体を戻してくれと言われても無理なんだけどね」

「・・・・・・問題でたら洒落にならないな」

「大丈夫だって、シャアの機体はノーマルドムをカスタマイズしたものだから、問題は出ないはずだよ・・・たぶん」

「たぶんって・・・」

「問題あるなら、本来シャアの機体に標準装備予定だったビームマシンガンの開発が手間取って装備していない事くらいだし。問題あるならうち(VF)の方だね」

「へぇ? どんな問題なんだい?」

「ああ、実は今回の作戦に投入した新型機なんだが・・・・・・」





ミッド湖周辺 VF部隊野戦駐屯地

ガルマ率いる北米方面正規軍が展開している一角にVFの野戦駐屯地は存在した。そしてそこでは部隊名『ブラックナイト』所属のドムシリーズの出撃準備が着々と進められていた。『ブラックナイト』は名前から連想できるだろうが3個小隊計9機のプロトドムとドムを運用してきた部隊である。そして今回、彼らには試作機が回されていた。

「・・・確かに受領しました、ご苦労様です」

「いえ、突然の試作機運用ご苦労様です。正直操縦方法はドムシリーズとたいした差が無く、シミュレーターもされているので大丈夫とは思いますが、御武運を」

そう言って輸送部隊の面々は撤収していく。残されたブラックナイツ隊長のリカルドに受領した機体の一つからパイロットが降りて話しかける。

「う~ん・・・これはドムシリーズとはいえ、ドムの持ち味を殺してると思いませんかリカルド隊長?」

「そうか? 私はそうは思わんが」

「一旦ホバーを切ってドムを停止させないと満足な長距離射撃ができないなんてナンセンスですよ」

「だが180mmカノン砲はザクキャノンのもので信頼性もあるし、もう片方の肩に設置された多目的精密照準機のおかげでセンサー類も性能向上しているだろう」

「それならザクキャノンを改装した方がいいじゃないですか。なんでドムに・・・」

「うちに回されてきたのは全てドムシリーズの試験機で、お前のもその一つだ。それに今の時点でも移動しながら180mmを撃てないことは無いらしい。当然長距離精密射撃はできないが、それでも水平射撃の命中率はいいらしいぞ」

「・・・なんで自分がコレに乗ることになったんでしょうか?」

「お前がうちの中で一番長距離射撃の腕前がよく、シミュレーターで相性がいいと判断されたからだ、諦めろ」

その言葉にしょぼくれるパイロットの肩をもう一人のパイロットが笑いながら軽く叩く。

「ははは。アレス、諦めて後衛頑張れよ」

「アルベルトさんの機体の方がカッコイイから乗るならそっちの方が良かったですよ・・・」

「こいつは近接戦闘に特化させた機体で癖が大きい。射撃が得意なお前じゃ無理だ。だが白兵戦が得意な俺には打ってつけだ」

そう言ってアルベルトとアレスは少し後ろを見上げる。そこにはツィマッド社キャリフォルニアベース工廠で組み立てが完了したばかりの試作機達が威容を誇っていた。アルベルトの機体は形式番号MS-09G 史実ならMS-09F/Gb ドム・グロウスバイルと呼ばれる機体で、その横にはアレスの機体、MS-09K ドムキャノンが存在していた。

このグロウスバイルは今回地上用にカスタマイズされており、脚部にスラスター多数を増設しており史実の高機動型ゲルググに勝とも劣らない機動力を持ち、装甲をノーマル(トローペン)よりも厚くした為マシンガン程度では正面装甲を貫通できないとされている。しかも胴体の装甲表面に試作型対ビームコーティングをしておりある程度のビーム(ジムクラスのスプレーガン)なら表面を焦がす程度で済む。
ただし装備するスラスター付き超大型ヒートサーベルのせいで両手が塞がっており、射撃武装を今のところ一切装備しておらずパイロットを選ぶ機体と言えるが、総合的な性能はかなり高い。計画では腕部又は肩に射撃武装をオプションとして取り付けることも視野に入れていたが、白兵戦能力で言えば現行機最高ともいえた。

そしてドムキャノンの方は、足のサイズを安定性を増す為に大型にし、右肩に180mmカノン砲左肩に多目的精密照準機を装備している。長距離戦闘がメインなので白兵戦闘を余り考慮されておらず、白兵武装も小型のヒートナイフのみにしぼられている。今回はシールドの外側に3連装ミサイルポッドを装備したミサイルシールドと近距離用にMMP-80マシンガンを装備している。

そして最後の1機、リカルド隊長の乗る機体で、両肩にガトリング砲を搭載する外見は連邦のガンキャノンにある意味で似ていた。まぁもっと似ている機体といえば、種死ザクのスラッシュウィザードか? あれも両肩にガトリング搭載していたし。それはともかく機体名はMS-09G/B ドムアサルト。ドムキャノンが中~長距離支援機なのに対して、中~近距離での火力支援用にMS-09G ドム・グロウスバイルをベースに試作された機体だ。両肩に75mmガトリング砲を装備し、ガトリングから伸びるバレットチューブは背中に装備された専用の大型ドラムマガジンに繋がっている。面制圧能力でいえばドムキャノンを凌駕する機体だ。更に今回は右手にMMP-80マシンガンを、左手にヅダの用いる白兵用ピック(ヒートVer)付きシールドを装備する。装甲もグロウスバイルには及ばないが厚くし、アサルト(突撃)の名に相応しい性能を保有している。ちなみに開発陣ではブリッツクリークドム(電撃戦ドム)というあだ名が付けられていたが、語呂が悪く、プロトドムと同じくらいの速度しか出ない為電撃戦という名は相応しくないとされ、ドムアサルトの名に落ち着いたという裏話がある。

正直試作機オンリーである。MMP-80マシンガン等を除けば試作武装もてんこ盛りだ。第1小隊は今説明したとおりで、第3小隊の3機こそノーマルのドムだが第2小隊の3機も全て試作機である。特に第2小隊にはホバー走行するのに脚部はいらんとばかりに脚部丸ごとホバークラフトに変更した機体も混じっていた。それこそどこの新兵器見本市だと言わんばかりである。当然正規軍からは色々な眼差しで見られ、もし全滅でもしようものならツィマッド社製品の信頼度はガタ落ちする事間違い無しだ。だが逆にいい結果を残せたら信頼度はグッと上がること間違い無しとも言える状況である。

「しかし隊長、新兵器に新武装を開発するのはいいですけど、生産ラインのほうは大丈夫なんでしょうかね?」

「その疑問も最もだなアルベルト、だが今のところ辛うじて大丈夫なようだ。私の知り合いに生産ラインの調整をしている者がいるのだが、その者の話によると幾つかの統廃合が既に行われているようだ」



リカルド隊長の話を纏めるとこうなる。

マシンガン:105mm及び120mmザクマシンガンの生産を縮小し最終的には全てを貫通力に優れている90mmのMMP-80や同じ90mm弾を使えるハンドガンに更新。同時にアサルトライフルも90mmに統一。弾は徹甲弾・高速徹甲弾・成形炸薬弾・曳光弾・徹甲榴弾・榴弾・ペイント弾の7種類が生産される。

バズーカ:280mmザクバズーカを縮小し360mmジャイアントバズーカに更新。なおシールドを構えていてもそれごと敵を吹き飛ばせると評判のラケーテンバズーカは、ジャイアントバズーカに比べ取り回しが悪く、必要頻度が低い為に生産打ち切りになるそうだ。弾は徹甲榴弾・榴弾・粘着榴弾・成形炸薬弾・散弾・発煙弾の6種類が生産。なお、かつての核砲弾生産ラインは現在他の弾種のラインに全てが変わっている。

ガトリング:艦船及びモビルスーツは75mmで統一(グフシリーズは腕に35mmを装備しているが順次改修し30mmにすることが軍及び企業各社で合意している)し、車両、航空機、航宙機は30mmに統一。但し20mm及び12.7mmバルカン砲は軽車両やオルコス輸送機、歩兵部隊用の重火器として生産されている。弾はマシンガンと同じく7種類。ちなみに試作された120mmガトリング砲は拠点防衛用に採用され、120mmザクマシンガンの生産ラインを一部流用し生産している。

ショットガン:197mm口径に統一。散弾とは別にグレネード弾も生産。片手持ち用のオートマチックタイプ(フルオート)と両手持ち用のポンプアクションタイプの2方式を採用。

レールガン・スナイパーライフル・対艦ライフル:135mmに統一し、弾は高速徹甲弾1種のみに絞る。

カノン砲:180mmに統一(ヒルドルブ等の大型MAは例外)し、弾は最多の徹甲弾・高速徹甲弾・徹甲榴弾・榴弾・粘着榴弾・成形炸薬弾・散弾・発煙弾の8種類。

他にも、戦車は主砲を180mmカノン砲に換装し分離機能を撤廃、多目的ディスチャージャーを装備し車体に30mmガトリング砲を装備するマゼラアタック後期型へ、対戦車攻撃能力はともかく対モビルスーツ戦能力に乏しい戦闘ヘリを新型の対モビルスーツ戦闘を前提としたティルトローター機(ツィマッド社長の暴走の結果各企業合同製作)に機種変更の予定をしている。ツィマッド社の場合、モビルスーツもゴッグの生産ラインを整備補修用パーツを除いて全てハイゴッグに、ヅダのラインを半分以下に減らしドムの生産ライン確保等、統廃合が進んでいる。中立のコロニーに対しても、余り重要ではないパーツを生産してもらい、余剰となったラインの削減・転用を実行していた。

長くなってしまったが、一言で言うならば可能な限り生産ラインを纏めているとのことだ。

「本当は開戦前にラインを整えられたら良かったんだが、当時はどんな兵器が有用なのか全く手探りだったらしいからな。それに今言った中には試作兵器は入っておらず、正式採用された武器のみだそうだ」

「へぇ・・・あれ? 航空隊の奴らは鹵獲した連邦軍の爆弾使ってませんでしたっけ?」

「あれは規格が同じだから使えるんだ。なんせジャベリン戦闘爆撃機はうち(ツィマッド社)の特務情報室が奪取した連邦のセイバーフィッシュをベースに発展改良したものだから、規格を連邦ジオン双方の武装にあわせれるように設計されていたのだからな。まぁ明らかに原型がなくなっているといえば終わりだが。後歩兵も火器の弾薬は連邦の物を共有できるはずだ。地球降下作戦の初期に電撃戦が用いられたが、あれは連邦の基地に備蓄されている弾薬目当てで迅速に行動した一面もある。まぁ取らぬタヌキの皮算用にならずにさぞ安心したことだろう」

「やはり・・・当時連邦軍基地の施設を可能な限り無傷で押さえろと命令がきた理由はそれですか」

「うむ、古代の兵法書にも敵の物資を奪って使う事が記載されているほどだ。なんせ本国から物資を持ってくるには、HLVで大気圏突入という面倒なことをしなければならんからな。使えるものは何でも使うのだ」

「そういえば開戦前後あたりに、専用の武装とかを持つモビルスーツがあるって噂を聞いたことがありますが、それはどうなったんでしょうか?」

「ああ、それは恐らく試作ビーム兵器運用機のことだろう。後は量産を前提としていない特殊な試作・試験用の武装か? 実弾兵器に関して言えば専用武器は確かに存在していたが、FCS(火器管制システム)をいじれば全てのモビルスーツで運用できるからな」

「なるほど・・・あ、隊長作戦時間までもうすぐですよ」

「む? もうそんな時間か。少し長く講義してしまったようだ、お前達も最終チェックに入れ」

「「了解」」

そして彼らは準備が整うと同時に出撃していった。







「お~し、木馬が見えたぞ」

木馬をモニターで確認したソンネン少佐は部下の乗る量産型ヒルドルブに指示を出そうとする。その時、同行していた赤いドムから通信が入る。

「ソンネン少佐、そのヒルドルブというのは中々性能がよさそうだが、くれぐれも油断はするなよ」

「へへ、赤い彗星にこいつの力を認めてもらえるとはうれしいねぇ。こいつなら下手な事をしない限り問題はないぜ」

「ふむ、お手並み拝見といこうか」

「よ~し、各車両聞こえるな? 今日はゲストとしてあの赤い彗星が同行してるんだ、恥ずかしい真似はするなよ。まずは木馬をびびらせる、焼夷榴弾撃ち方始め!」

その言葉と同時にヒルドルブのコックピットでソンネン少佐がトリガーを引いた一瞬後、空には複数の30cm弾が飛翔していた。焼夷榴弾とはいえ30cmもの大きさの弾が着弾する際の衝撃は並大抵のものではない。6発の焼夷榴弾は2発が外れ3発が至近弾となり、残り1発が木馬の翼に命中し炎上した。至近弾の3発も爆風と炎で木馬を揺るがす事に成功した。

「続けて撃ち込め、弾種自由! 獲物が住処から出てくるまで射撃をやめるなよ」

焼夷榴弾だけでなく榴弾、徹甲榴弾、粘着榴弾等も撃ち続ける事数分、木馬を注意深く観察していた少佐は木馬からモビルスーツが発進するのを捉えた。

「よし、敵さんのお出ましだ。一端後退するぞ、スモーク散布!」

一斉にスモーク弾を散布し目くらましをした上でヒルドルブは一気に後退していった。



少し時間を遡ってホワイトベース
始まりは突然だった。避難民と揉めており、更におろそうとしてもガンペリーは大破し修理中。

「大型車両6両、モビルスーツ3機視認、データ照合・・・・・・北米で確認された大型機動兵器です! 推測ですが30cm砲を搭載し変形することができる機体のようです。更にモビルスーツはドムのようですが、その内1機は赤い機体です!」

「赤い機体・・・赤い彗星か!?」

「索敵は何をしてたんだ!」

「多くが破壊されている上に、生き残っているセンサーも不調があり発見が遅れたものかと・・・」

「それに、激戦があったのか周辺一体に残骸が散乱しており、余りの密度に金属センサーは役に立ちません。赤外線も、周囲の残骸が太陽光を受けて熱を帯び識別が困難です」

「ブライト、何をしているんだ! さっさとガンダムを出せ!」

直後、ホワイトベース周囲に砲弾の雨が降り注いだ。

「っく、モビルスーツ隊発進急げ! くそ、ミサイル発射口が生きていれば」

そう、前回の奇襲攻撃の際に3連装ミサイル発射管は壊滅していたのだ。左舷は発射口の損傷で済んでおり、不時着して修理すればいくらかは生き返るだろうが、敵地で暢気に不時着できるわけもなく、更に他にもすべきことは山積みだったので後回しにされていたのだ。なお右舷の方はミサイル自体が誘爆しており損傷を拡大させていた。

格納庫ではモビルスーツの発進準備を整えていた。特にガンダムにはビームライフルとバズーカを持たせて出撃準備をしていた。そしてエドワードは、格納庫へ行かずまだ部屋にいるアムロと話をしていた。

「アムロ君、出撃命令だ。ハンガーへ行くぞ、って大丈夫かい? 顔色が悪いが」

「サイド7を出てからこっち、ぐっすり眠ったことなんかないし、そのくせ眠ろうと思っても眠れないし・・・エドワードさん、連邦軍は僕達を囮にしているじゃないですか?」

「囮? 俺達がかい?」

「連邦軍はもっと新しい兵器を開発していて、それが完成するまでの間、敵の目を引き付けておく囮なんじゃ・・・」

「それはないな。ガンダムは文字通り連邦軍の技術を結集した機体だ。当然この機体の戦闘データをもとに新型機が開発される事になるだろうが、それはまだ時間が掛かるだろうし、それまではガンダムが最先端の新兵器だ。考えすぎだよ」

「ですけど・・・」

「それにアムロ君、君はともかく俺やグリュードは正規の軍人だ。命令があれば囮でもなんでもする。それがどんな任務でもそれをこなすのが軍人なんだ」

「・・・」

「割り切れないだろうけどこれだけは言っておくよ。戦場じゃ迷っている奴から死んでいく、これは集中力が散漫になるからだ。だから悩むのはこの戦闘が終わってからにしたまえ。 ・・・・・・よし、この戦いが終わったらパーっと騒ごう。そこでストレスを発散し、悩み事を俺やグリュードやリュウにぶちまけてしまえ。弟分のお前が悩んでるんならじっくり相談に乗ってやるのも兄貴分の役目だからな」

「・・・はい」

「・・・よし、それじゃブライトやリードが嫌味を言ってくる前にさっさと行くか!」

そしてパイロットが到着し次第、モビルスーツは出撃していった。







2機のガンダムをはじめ2機のガンキャノン、遅れて2機のガンタンクが出撃する。ただしガンタンクは機動力が低いのでホワイトベース上に砲台として待機している。
それも当然だ、比較的足が遅く回避力が低いガンタンクなど、30cm砲の直撃を受ければ大破してしまう。
そしてホワイトベース自身も主砲とメガ粒子砲を展開し砲撃準備を整えていく。主砲とガンタンクの砲撃で敵の退路を断ちガンダムで撃破する、それがホワイトベースのとった戦法だった。
対するVFも、木馬からモビルスーツが発進したのを確認した次の瞬間には一気に後退に転じていった。そしてガンダムとガンキャノンが追撃しガンタンクとホワイトベースが砲撃を開始する。
だが、ホワイトベースの面々は一つの失策を犯した。前方のヒルドルブ部隊に囚われすぎて、周囲の警戒を怠った事だ。

勿論ホワイトベースも常にセンサーで周囲を警戒していた。だが周囲には動かない磁気反応、残骸の反応しか無く、その残骸とは撃破された航空機や車両、モビルスーツを指す。そしてここに見落としがあった。



VF部隊は一斉に木馬に殺到した。それもかなりの至近距離から。
そう、金属センサーを騙す為にわざわざ残骸をばら撒いていたのだ。その上でモビルスーツが半分隠れるほどの蛸壺を堀り、それに入った上である程度赤外線を遮断する迷彩シートを用意し偽装、獲物が来るのを待っていたのだ。無駄に労力が掛かっている。ただ、迷彩シートはキャリフォルニアベースに備蓄していた物だが、生産されていた迷彩シートは北米各地に分散されており、キャリフォルニアベース自体に備蓄していた量は総生産量から見れば極僅かだった。その為ザクやヅダ、グフを30機カモフラージュさせる量しか確保できず、戦闘機に戦闘ヘリやドムシリーズ、そして迷彩シートが用意できなかった他のモビルスーツは木馬からモビルスーツが発進したのを確認した後で、潜んでいたところから出撃した。この為だけに戦場予定地に潜伏させた偵察部隊は、有線電話片手に逐一木馬の動きを報告していたのだ。そして本体の潜んでいた地点は戦場から離れていたが、高速で移動できる航空隊やドムシリーズなら充分に戦場に到着できる距離であり、その他のモビルスーツは空挺装備の上でオルコス輸送機にて搭載されていた。

最初に火を噴いたのは潜伏していたザクキャノンの180mカノンとバズーカだ。今回の為にこの作戦に参加したザクキャノンは全てが対艦用の装備、両手にザクバズーカ&両足にフットミサイル装備という攻撃力重視の装備だった。それこそバズーカ系は両手で持って撃たないと命中率が期待できないが、「命中率? ナニソレ ウマイノ?」といわんばかりに乱射する。そのせいで多くのバズーカが外れ、中には友軍に至近弾となり抗議がきたりするのだが、目標である木馬の大きさもあって命中し、とりあえずその主砲とメガ粒子砲を破壊することに成功する。
更に全弾持ってけと言わんばかりに腰のビッグガンとフットミサイルを撃ち込む。これで木馬の少なくない対空火器が吹き飛ばされた。
ザクキャノンを護衛するザクは史実のGP-02サイサリスのような巨大な分厚い盾を両手で持ち、砲撃からザクキャノンを守るべく布陣し、ヅダとグフはUターンしてきたガンキャノンと木馬上で砲撃してくるガンタンクへと目標を定めていた。そしてその中に、ガンダムの姿は無かった。





ガンダムと赤いドム率いるドム部隊、そしてヒルドルブの戦っている戦場には一面に紙吹雪が舞っていた。いや、それは紙吹雪などではなく、ビームかく乱幕だった。
少し離れた所に偽装して展開されている砲撃部隊が一定間隔を置いて周辺を砲撃し、ビームかく乱幕をばら撒いていた。この支援砲撃により辺り一面にビームかく乱幕が舞い、紙吹雪がビームを拡散し無力化していた。ちなみにこの時展開していた砲兵隊はサムソンに牽引されたロケット砲あわせて100門近くと、最新鋭とはいえたかが戦艦1隻相手には過剰戦力といえた。用意された砲弾はこの日の為に社長の肝いりで生産された大型ロケット用ビームかく乱幕散布弾で、これまでキャリフォルニアベースで生産備蓄されていた内の1万発だ。なにせ砲撃するよう命じられた砲兵隊は本当に撃ちつくしてしまってもいいのかと上層部に問い合わせた程だ。逆に言えば、それだけエースキラーである木馬をエルトラン社長は恐れていたといえるのだが。
そんな中、戦場は意外な展開を見せていた。

「見せてもらおうか。この新型機、ドムの性能でガンダムと渡り合えるかを!」

「少佐、こっちは黒いガンダムの相手で精一杯だ! そっちの白いのは任せた!」

白いガンダムとドムとは、ドムの高速移動で翻弄しガンダムのビームやバズーカを避けていた。その戦いぶりは他者の介入を許さない一騎打ちだ。だがその一方で、数に勝るヒルドルブ隊の方はたった1機の黒いガンダム相手に苦戦していた。

「ソンネン隊長、やっぱ30cmじゃあいつに当てにくい! かといってマシンガンじゃ牽制程度しか役に立たない!」

そう、ヒルドルブの武装はガンダムに対して帯に短し襷に長しだった。メインの30cm砲は威力は充分だが至近距離では当てにくく、マシンガンは貫通力を重視したMMP-80 90mmマシンガンといえど、ガンダムの装甲を抜くには威力不足だった。接近してショベルアームで白兵戦を挑むなど論外だ。

「一定の距離を必ず取ってマシンガンを頭部に集中させろ、センサーを潰すんだ! 接近されたらこっちに勝ち目は無い、やばいと思ったら迷わず後退しろ! ・・・・・・クソ、相手が悪すぎる」

マシンガンでも当てつづければ衝撃で内部の機器が誤作動を起こすことも充分ありえるだろう。だが、ガンダムのそれは厳選された中でも更に厳選された一品だった。マシンガン程度の衝撃ではびくともしない。だてに超高級機ではないのだ。そしてじわじわと損害が増えていく。

「こちら4号車、ビームが命中し小破! されど戦闘続行は可能、砲兵と技研はいい仕事をしてくれた」

だが黒いガンダムの方も攻めあぐねていた。ビームライフルは空中を舞っているビームかく乱幕で無効化され、命中してもヒルドルブの表面にコーティングされた試作型のビームコート、対ビームコーティング塗装によって小破させるのみ。弾速の遅いバズーカはその巨体に似合わない機動で回避され、ビームサーベルで挑もうとしても他のヒルドルブの援護射撃によって阻止される。ルナチタニウムといえど、30cm砲の直撃を食らえば一発でノックダウンだ。よって黒いガンダムはヒルドルブの射線に他の機体が入るように動き回り、接近戦を仕掛けるチャンスを探る。
だがそれも、シャアについていた2機のドムが介入したことで一気に不利になった。シャアがガンダムとの一騎打ちをしており、俄仕込みの連携ではかえって邪魔になるだけと判断したのだ。そして、苦戦しているヒルドルブに加勢するのは、同じVFの人間からしてみれば極自然なことだった。

そしてもう片方、シャアのドムとアムロのガンダムの戦いも決定打を持たない戦いとなっていた。原因はビームかく乱幕にある。これによりビーム兵器を双方封じられ牽制程度にか使えず、実弾兵器での戦闘を余儀なくされたのだ。
シャアのドムはビームライフルをウェポンラックに搭載し、左腕にガトリングシールド、右手に片手操作型のオートマチックショットガンという装備だ。特にショットガンは弾頭にルナチタニウムが使われているシェルショットで、ガンタンクやガンキャノンレベルなら一定条件下で撃破できる性能を持つ。
そんなショットガンだが、ガンダムの装甲の厚さは伊達ではなかった。同じ個所に複数回連続で当たるのなら貫通できただろうが、一度命中したくらいではガンダムのルナチタニウム装甲は貫通を許さなかった。ガトリングシールドも同様に、全く貫通できなかった。

「ぬぅ・・・やはり実弾では装甲を抜くのは無理か。ならば!」

シャアは一気に勝負をつけるべく、ガトリングシールドのガトリングを分離し、ショットガンをガンダムに投げつけた。そしてウェポンラックのビームライフルを左手に、ビームサーベルを右手に持ち一気に距離を詰める。



一方、ホワイトベースの方も苦戦・・・・・・いや、一気に劣勢になろうとしていた。ドム部隊が到着し、更には空挺部隊まで降下してきたからだ。更に戦闘機部隊から放たれるロケット弾の雨あられ。

「噂ほどの対空火力ではないな。友軍はいい仕事をしてくれた。油断せずに確実に潰していくぞ」

そう言いつつブラックナイト隊長のリカルドは両肩のガトリング砲を木馬の対空砲座に向けて掃射していた。木馬の対空火器はかつての第二次世界大戦時の機銃座のような、人が剥き出しで人員殺傷率がやたら高い代物が多かった。そこにガトリング砲を食らえばどうなるかなど考えるまでも無い。
あっという間に木馬の対空砲火は低下していった。極端な話、ドムアサルトが木馬の周囲を回りながらガトリングをばら撒くだけで木馬は反撃手段がどんどん潰されていくのだ。というよりも木馬の神がかったサバイバリティはガンダムを中心とするモビルスーツの働きによるものが極めて大きいとエルトラン社長は判断しており、モビルスーツと木馬を引き離せば十分勝機はあると判断していた。
その上で、反撃手段を奪ったらエンジンに集中攻撃することになっており、艦橋は交渉チャンネル確保の為に放置予定だ。所謂蛇の生殺しというものか? まぁエルトランの予想では木馬が航行不能になり、その時に降伏勧告をすれば艦長代理のリードなら受託するだろう。というよりそれしか手は無くなるだろうと考えていた。
だが木馬上のガンタンク部隊もやられたまま黙っているつもりは毛頭なかった。



「このー、落ちろ、落ちろー!!」

ハヤトのガンタンクは既に2機のモビルスーツと4機の戦闘ヘリを撃墜し、次の目標に接近してきたドムを選び砲撃を浴びせるが、ドムはその持ち前の機動力を持って砲撃を回避してしまう。元々ガンタンクは遠距離から砲撃する為に設計されている為、近距離戦は両腕のホップミサイルがメインになっている。しかもそのホップミサイルも牽制用と言える代物で、今回のドムのような高機動戦闘を得意とする相手とは相性が悪かった。逆に戦闘ヘリは機動性は高いものの、1発でも至近弾を受けたら致命傷になることがあり、ホップミサイルの連射で比較的簡単に落ちた。

「ハヤト、落ち着け! 今のまま闇雲に撃っても無駄弾なだけだ、動きが速ければお前が想定していた未来位置より前に弾幕を張ればいい!」

もう1機のガンタンクのパイロット、グリュード少尉は破壊された主砲の隣に陣取って弾幕を張っていた。120mmキャノンで敵の足を遅らせ、40mmホップミサイルで相手の武装を破壊・無力化する。既に彼はドム1機を中破させ、6機のザクやヅダに多大な損傷を与え、今も1機のグフを大破させていた。

「グリュードさん・・・よし、食らえ!」

そう言って今までの未来位置より前に向かって弾幕を張った。すると攻撃のリズムが変わったことに戸惑い、避け損なったドムの腕部に120mmキャノンが直撃、持っていた90mmアサルトライフル諸共腕部が爆発し吹き飛んだ。しかも外れた120mmキャノンの射線上に飛び出した運の悪いヅダが直撃を受け爆発した。

「やった・・・ボクだって、ボクにだってできるんだ!」

「気を抜くなハヤト、カスタムタイプのドムがそっちに・・・」

「う、うわぁあああ!?」

油断したのか左の120mmキャノンにドムキャノンの180mmキャノンとドムアサルトのMMP-80 90mmマシンガンが命中し爆発させる。しかもマシンガン数発が頭部コックピットに命中しヒビをいれた。


一方ガンキャノン2機にも刺客が訪れていた。グフとヅダを撃退していた2機だったが、グフとヅダは急に後退し、変わりに2機の前に現れたのはブラックナイト第2小隊の新型機3機だった。しかも第2小隊の機体はドムシリーズの中でも異色のモノだった。最大の特徴は・・・脚が存在せず、巨大なホバーユニットになっていることだ。
MS-09I 開発コード『ザラマンダー』こと、ドム・シュトルム、又はシュトルムドムと呼ばれる機体だ。史実ではMS-09F/Bn ドム・バインニヒツ、ここではMS-09H ドム・バインニヒツと呼ばれる機体をベースに地上用に改修したこの機体は、モビルアーマークラスのホバーユニットを搭載し、従来型のドムよりも長大な航続距離と機動性を持つことに成功した機体だ。ただし、それ相応の欠点も持っていたが。

とにかく、地上での機動性ではトップクラスの機体がガンキャノン2機を襲撃したのだ。・・・たとえ未完成品ゆえに前日まで開発部が必死に調整し、一時は作戦に間に合わないと判断が下されかけていたとしても。そしてそのせいか、1機だけ動きが少し悪かったとしても。その機動性は驚異的だった。
3機のドム・シュトルムはガンキャノンの攻撃をノーマルドムを上回る横滑りや高速移動中の急旋回等を駆使して回避していった。無論その機動性で油断すれば死を招くが、パイロットは熟練者だ。その辺りのことは承知している。

「お、俺だって、俺だって!」

カイの操るガンキャノンがキャノン砲を乱射するが、一向に当たらない。これがザク相手ならば命中弾を与えられたであろう。現に先ほど戦っていたヅダとグフを3機ほど大破させていた。だがあいにく相手はドムシリーズ。機動性はザクとは段違いだった。そして狙われた機は、回避した直後に反撃として両手に在庫一掃といわんばかりに持っているラケーテンバズーカをガンキャノン向かって撃ち出した。幸いにも急旋回した直後の無理な体勢で発射した為、直撃せずに至近弾となったが、それでもビームライフルが爆風と衝撃で手から離れた。

「うわあっ、お、俺を狙ってやがる」

「カイ、落ち着け! そんなに乱射していると・・・」

「ああっ…、た、弾が、弾がない…わあっ」

弾切れ、それはこの戦場で無力化されたという意味と同義であった。だが今回それはカイの命を救うことになった。今まで乱射していた砲撃が唐突に終わった事から、相手もカイのガンキャノンが弾切れを起こしたと判断し動きを牽制することに集中しだす。

『戦闘続行不可能と判断できる機体は技術研究の為、できるだけ捕獲するよう配慮せよ』

そういう命令が事前に下されていなければ不確定要素を排除する為、確実にカイのガンキャノンは破壊されていただろう。だが、母艦が無くなれば鹵獲できるので無理に相手をする必要は無かった。
だが、ガンキャノン2機を相手に優勢に戦っているように見えるドム・シュトルムも致命的な問題を抱えており、リュウのガンキャノンが放った砲撃の至近弾で、ついにそれが起爆した。

「こちら3号機、直撃じゃないのにいきなり警報が鳴り始めた! ホバーユニットにレッドアラートが・・・ガッ!!」

1機のドム・シュトルムのホバーユニットから薄い煙が立ち昇ったかと思うと小規模な爆発を起こし、その機能を停止させた。しかも高速機動中に。

・・・どうなったかは想像の通り。いきなり浮力を失いコントロールできなくなったドム・シュトルムはその速度のまま地面に激しくタッチダウン、ボールのように地面を転がっていった。片腕は激突の影響で吹き飛び、残り片方も辛うじて胴体にぶら下がっているだけという状態。頭部などへしゃげており胴体とホバーユニットの接続部分など半壊、千切れる寸前だ。当然戦闘力等残ってはいない。
後の調査で至近弾の衝撃と調整が不十分で無理をさせ続けた結果、ホバーユニットの回線がショートし周辺の回路を焼き切ってしまい、これにより制御伝達路が壊滅的な打撃を受け安全装置が作動したと判明する。この安全装置は機体起動時、つまりホバーで機体が浮かび上がっていない時に作動する物で、内容はホバーユニットへのエネルギー供給の停止措置。浮かんでいるときに作動すればどうなるかは実証された。
つまり、原因はあくまで今回投入されたドム・シュトルムが試作機の未完成品だということに帰結した。

話を戻そう。これによって残り2機になり、更にもう1機もガンキャノンの至近弾を受け、その衝撃で冷却装置が誤作動を起こしオーバーヒート気味になりつつあった。ただでさえホバーユニットによるモビルスーツのオートバランサーシステムは調整が難しいのに、至近弾等の衝撃を受け続けたらどうなるか。いかに装甲が厚くてもモビルスーツは精密機械、強い衝撃を受ければそれなりの損傷を受けるのは当然だった。

「こちら2番機、オーバーヒートです。まだ戦闘は可能ですが、念の為後退します」

「了解した、こちらも幾つか不都合が出てき始めた。ったく、これだから試作機は・・・・・・3番機のほうはそのまま置いておく、まだ死んだと決まったわけではないが期待するな」

「無事に生き残る事を祈るしかないのか・・・」

「・・・あれだけ派手に壊れていたら余裕が無い限り敵さんも無視するだろう。遺体は回収できる」



一方その頃、木馬攻略チームはホワイトベースの船体に中破レベルの損害を与えていた。
この程度で済んでいるのは大気圏突入に耐えれる装甲を持つペガサス級だからだといえるが、VFにとっては予想外だ。本来は既に不時着させているはずだったのだから。それができていないのは切り札となる部隊がトラブルに見舞われ未だ戦場に到着できずにいたからだ。特にその部隊は対艦用装備を持っていた為、他の部隊はザクキャノン部隊を除けば、どちらかといえば対モビルスーツをある程度考慮した武装にしていたからだ。その結果、ホワイトベースを守るガンタンク2機はそれぞれ中破していた。

「う、うわぁあああ!?」

そんな中、ハヤトのガンタンクが損傷した。しかも状況はかなり悪そうだった。

「糞、ハヤトのガンタンクが被弾した! ハヤト、ジョブジョン無事か?」

「こちらジョブジョン。無事ですけど、武装がやられてます。後、頭部コックピットの様子も分からないし・・・応答が無いんです」

「・・・コックピット全面にひびが入っていて中の様子が全くわからん。とりあえず格納庫に帰還しろ、俺が時間を稼ぐ」

だがそういうグリュードのガンタンクも損傷しており、右肩の120mmキャノンと4連装ホップミサイルしか生き残っていない。なぜなら左腕に180mmキャノン砲弾が直撃し、腕部はごっそりなくなっており、余波で左肩の120mmも損傷していたからだ。

しかしVFに与えた損害もそれなりになっていた。なぜなら、同じくサイド7で試験をしていた対モビルスーツ用重誘導弾『リジーナ』の改良型を数種類、合計数十基を搭載しており、破壊された機銃座から発射し、ある程度の牽制を行っていたからだ。おかげで不用意に近づいたヅダやザクを大破させる等の活躍をしている。特に空挺降下中を狙った攻撃でグフやヅダを大破させる活躍を見せている。故に今まで耐えれたのだ。だが、それももう限界だった。

甲板上で孤軍奮闘するガンタンクの姿は、ヒルドルブ部隊と戦闘を行っていたプロトガンダムのエドワードからも見えていた。そしてその満身創痍なガンタンクの姿を見て、エドワードは焦っていた。救援に行きたいがいけないジレンマ。それが彼の中で大きくなっていた。そして、もう一度ガンタンクの方を見たエドワードは、その光景に思わず叫んでいた。

「グリュード、後ろだ!!」

そこには、グリュードのガンタンクの真後ろからバーニアを盛大に噴かし、スラスター付き超大型ヒートサーベルを一気に振り下ろそうとするドム・グロウスバイルの姿があった。



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