ツィマッド社奮闘録18話(別名中編 orz)
・・・嫌な予感ねぇ。マリオンはニュータイプだしなんか予知したのかな? まさか今以上に嫌がらせが激化するとかいうのじゃないだろうな? もしそうなら泣けるぞ。 ・・・っと、久しぶり。なんかマリオンに忠告されてから嫌な予感がビシバシするエルトランです(汗)まぁあるとすれば・・・今回
艦隊のもう一つの任務の試作機のテストが失敗するくらいかな? まぁそれはそれで大変なことになるんだが・・・
っと、そういえばサイド6に単艦で訪れているように思ってるかもしれないけど、残念ながらそれなりの規模の実験艦隊で訪れたんだ。今私が乗艦している艦はVFの保有する実験艦で、艦名は『アウロラ』というんだ。ローマ神話で暁の女神を意味し、オーロラの元となった言葉だよ。さすがに嫌がらせが過激になってきてるから単艦だとどんな事態に陥るか分かったもんじゃないし・・・
ちなみに艦隊構成はこの実験艦アウロラを旗艦に就役したばかりのガニメデ級高速空母『エウロパ』1隻、防空護衛艦ヘッジホッグ級『アブキール』1隻、新開発され就役したばかりの小型護衛艦レダ級の『レダ』『ハイネセン』の2隻、そして緒戦のサイド2攻略戦で鹵獲し、改造を施したマゼラン級戦艦『トータチス』の計6隻だ。
まぁ見た目は多いけどガニメデ級高速空母のエウロパは慣熟航行中で、しかも輸送艦代わりにフラナガン機関宛の援助物資を搭載していた為に艦載機は自身を防衛する程度の少数しか搭載しておらずしかもパイロットの多くは新兵だから今回に限って言えば見掛け倒し。小型護衛艦のレダ級にいたっては通商破壊・護衛任務や他サイドの防衛任務を考えて建造された全長180m程度の護衛艦で、防空能力はムサイ級に匹敵もしくは上回るが対艦攻撃力は連邦のサラミス級よりも下だ。そして鹵獲改装戦艦トータチスは全壊していた2連装メガ粒子砲を取り払って本来単装式だった135mm防空レールガンを連装式にした物を設置、対空銃座跡には6銃身ガトリング砲を設置し防空戦艦にしたものだ。艦底部の脱出艇は破損が激しかったため取り払われたがそこは新しくモビルスーツを3機格納することができる格納庫になった。対艦攻撃能力は著しく低下したが防空能力は飛躍的に向上している。で、肝心の私が乗艦しているアウロラの武装は・・・固定武装として135mm防空レールガン2基と6銃身ガトリング砲4基の他に、実験用に搭載していた3連ショット・キャノン(モビルスーツのショットガンを流用した近接防御用兵器)とマイクロミサイル発射ポッドを搭載している。かつてはIフィールdっとと、一応機密事項なんで勘弁してほしい。まぁ傍から見れば結構な規模だし搭載機もそれなりだから襲撃してくる輩はいないと思うけどね。
「社長、予定宙域に到着しました。これより試験を開始します・・・社長?」
「・・・ん? ああ、すまない。考え事をしてた、もう演習予定ポイントかい?」
「はい、これより試作機の発艦を開始し旧ザク及びザクとの模擬戦を開始します。ですが本当にあれは使い物になるのでしょうか?」
「大丈夫だよ。あれはわが社とジオニック社、それにMIP社の3社共同開発で完成した機体だ。少なくともガトルを上回る能力を持っている」
「まぁガトル等の航宙機の後継としては問題ないでしょう。コックピットが脱出カプセルを兼ねているというのもガトルと同様ですし、元ガトル乗りのテストパイロットからは好評とのことです。ですが対モビルスーツ戦となると・・・」
「公式な戦闘試験はこれが始めだけど非公式の戦闘試験なら十分に行ってある。まぁ基本戦術が複数機による集中攻撃だからねぇ。戦闘機や攻撃機といったコンセプトではなく戦闘ヘリに近い存在だからやりようによっては十分モビルスーツと戦えるはずだ」
「そうなんですか? まぁ果報は寝て待てという諺があるそうですし我々は試験を眺めていますか・・・艦隊各艦へ、これより試作航宙機『リール』のテストを開始する。リール発艦後に試験担当のモビルスーツ隊は出撃せよ!」
そして数分後、6機のリールが2隻のレダ級護衛艦から発艦しエウロパから1機のヅダと2機のザクF型、そして3機の旧ザクが発進した。ヅダとザクF型はペイント弾を装填したマシンガン、旧ザクは両手に90mmハンドガンを装備したもの、ショットガンを装備したもの、そして散弾バズーカを装備したものだった。
一通りの戦闘機動を試した後、6機のリールと6機のモビルスーツは模擬戦を開始した。
・・・結果から言えばモビルスーツ側の辛勝という結果に落ち着いた。リール側は全滅しモビルスーツ隊はヅダが小破、ザクF型1機撃墜1機中破、旧ザク2機撃墜1機大破というもので、新型航宙機の性能は十分合格ラインと判断された。これはモビルスーツ隊にはリールに関する事前情報を全く与えないで試験を行った為で、そもそもリールの開発コンセプトが「宇宙における戦闘ヘリ」というものでアクロバティックな戦闘機動を行うことができるのが大きく、従来のガトルやセイバーフィッシュといった直線的な動きを想定していたモビルスーツ隊の予想を大きく裏切った。
最終的に全滅判定が出たもののモビルスーツは宇宙空間においても無敵ではないということが改めて認識され、この結果を見た軍及びVFの将兵はモビルスーツはあくまで戦車や戦闘機を上回る戦力を持つ機動兵器ということを再認識し、少なくない数のモビルスーツ至上主義に大きな衝撃を与えた。
アウロラ艦橋
「試験は合格ですね、これでガトルを他サイドに払い下げることができますね」
「・・・セイバーフィッシュと互角くらいかと思っていましたがザクと互角レベルとは凄いですな。全て旧ザクなら全滅していたかもしれません」
「まぁ通商護衛任務の主力として開発されたものですからね。レダ級護衛艦に3機搭載し、2~3隻での行動を前提に考えていますから当然といえば当然なんですが・・・」
「なにか問題でも?」
「ええ、レダ級はリールの運用を前提に開発されたものですが、2~3隻を船団に貼り付けるよりムサイ級を1隻貼り付けるほうがいいのではないかという意見があるのです。実際ムサイ級1隻の艦の対艦攻撃能力とレダ級2~3隻の対艦攻撃力は同等なんで、それならムサイ1隻にすることで人材の集中を図ってはどうかというものなのですが」
「ですがムサイ1隻よりレダ2隻の方が運用する者としてはありがたいですな。防空能力は単艦でムサイ級に匹敵と先ほど聞きましたが、それなら防空に艦を使い対艦攻撃能力はリールに任せるという手もあります」
「ええ、ただレダ級3隻でムサイ級2隻とほぼ同じ乗組員を必要とします。他サイドからの志願兵を考えても通商護衛に果たしてそこまで必要なのかという意見もあって・・・」
「馬鹿な、通商破壊を軽視してる輩が上層部にいるというのですか!?」
「いや、売り言葉に買い言葉というべきでしょうかねぇ・・・ともかくそんなわけでこの間行われたジオン上層部と行われた会談は難しいものでねぇ・・・」
「まぁ試験は良好な結果を出したということで満足しましょう。帰りの航路ですが予定通り暗礁宙域寄りの経路なので暗礁宙域に近づいたら強行偵察型ザクを出撃させます。ですが本当に暗礁宙域でリックドムの試験をするのですか?」
「今回持ってきたリックドムの試験で残っているのはデブリの漂う宙域での機動戦闘試験です。その為には暗礁宙域は絶好の試験ポイントですからね」
「まぁリックドムは疑ってませんが・・・あのガトリング砲は役に立つのですか?」
「随分な事を言いますねぇ。あれはこの艦にも搭載されている75mm6銃身ガトリング砲そのものですよ? 信頼性は十分・・・」
「いえ、そうではなくもう一つのほうのガトリング砲のことです」
「・・・あの試作120mmガトリング砲のことですか?」
「ええ、改造旧ザクに持たせる予定のそれです」
「まぁそれの試験もデブリ帯で行うつもりですし、拠点防衛と考えればモビルスーツではなく固定砲台としても使えます・・・まぁ今回の試験で威力を確かめないといけませんがね」
「なるほど、威力が十分なら拠点防衛用の砲台としても活用できますな。 ・・・ところで、気になる報告があったのですが」
「気になる報告? なんですかそれは?」
「4日前、サイド6宙域付近でサラミス級1隻と旧式化したミサイルフリゲート数隻がサイド6船籍の貨物船に目撃されたそうです」
「・・・こっちには報告は入ってませんね。それが事実ならその艦隊はどこにいるのか・・・」
「おそらく規模から見て通商破壊を目的とした部隊と思いますが妙に気になって・・・」
「まぁ一応警戒しておきましょう。 私は部屋に戻って仮眠を取らせてもらいまs」
「社長、その前に書類の決裁をお願いします。既に個室に用意しましたので仮眠はそれが終わった後でお願いします」
「・・・ちなみに何枚です?(汗」
「そんなにありません。ざっと見て・・・一山くらいですから1時間もあれば判子押すのは十分でしょう」
「・・・なんだか本当に72時間働けますか? って感じがするのはなぜなんでしょうかね? いっそ下請けの製薬会社に『ツィマッド社社長愛用 72時間働けますか!?』って名前で飲みやすい栄養剤を開発してもらいましょうか・・・」
「戯言はいいですからさっさと働いてください。 ・・・・いや、その栄養剤の企画書出してもらえますか? 案としてはいいので発案者として責任を持って仕上げてください」
「・・・・・・社長、がんばってください。私としてはお疲れ様ですとしか言いようがないので・・・後で栄養剤の差し入れをもって行きます」
「・・・ありがとう艦長、じゃあ何かあれば呼んでください。では・・・」
肩を落としてとぼとぼと艦橋から退室するエルトラン社長、その背中に暗雲が見えたのはきっと艦長の気のせいではないはずだ・・・
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数時間後 暗礁宙域
「司令、例の艦隊をβ隊が展開させた偽装監視ポッドが確認しました。規模は空母1、防空艦1、識別表にない新型駆逐艦2、輸送艦1、それに・・・マゼラン級に酷似した艦が1隻の計6隻です。予定通りβ隊は後退しました」
「・・・鹵獲されたマゼランに空母か。ジオン高官云々を除いても大きい獲物だな。空母を先に潰さないとこっちがやられる。奴ら予定通り演習を行うだろうから発見されないように攻撃地点へ進むぞ」
「了解、γにも通達します」
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「社長・・・大丈夫ですか?」
「あははははは・・・聞かないでください(泣」
「(汗)まぁ気を取り直して・・・先行したザクの報告では付近に異常は特に無しとのことなので、リックドムの戦闘試験及び艦隊防空演習を行います。なお艦隊防空演習は先に演習を行うモビルスーツ隊、内訳はリックドム2機、ヅダ3機、ザクF型9機、旧ザク6機が艦隊を襲う連邦部隊役で攻撃を仕掛けます。もっとも、リックドムに関しては周辺宙域の警戒の為に実質演習には参加しませんが変わりにリール部隊を加えます」
「合計18機のモビルスーツと12機の航宙機による戦闘部隊か。 ・・・予定を変えてリール部隊の参加は見合わせよう」
「ですがそれではリール部隊の対艦攻撃訓練ができませんが?」
「変わりに後でリール部隊のみで対艦攻撃ということにしよう。なんだか嫌な予感がしてね、索敵を厳にしておいてくれ(マリオンに言われたからかな? 嫌な予感がするのは・・・)」
「はぁ・・・分かりました。全部隊に予定を変更すると通達します」
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アウロラ格納庫
「じゃあもう一度言います。01のクリスチーナ機にはジャイアント・バズーカとMMP-80マシンガンの通常装備、02のバーナード機にはガトリングシールドと試作ビームライフルの他に12連チェーンマインを持たせてます。チェーンマインはそれぞれ分離させることもでき、これらは当然演習用のペイント弾と弱ビーム設定です」
「バズーカはモビルスーツ相手だと命中させにくいんだけどなぁ。バーニィ、援護よろしくね」
「俺だけならガトリングで弾ばら撒いてトドメにビームでいいんだけどなぁ・・・クリス、マシンガンで牽制しろよ。こっちはガトリングで弾幕をはるからそれを回避した直後に当ててくれ」
「分かったわ、あてにしてるから」
「あ、そうそう。後ガトリングシールドのことで言わなきゃいけないことがありました」
「え? まさかトラブルとか?」
「いえ、ガトリングシールドはおおまかに分けて75mmガトリング砲とそのドラムマガジン、本体であるシールドとそれに付随するヒートソード、35mm3連装機関砲とその弾装の3つに分けることができます。問題となったのはヒートソードです。グフ用のものを流用していましたがドムシリーズはビームソードの運用が可能になったのでこれをビームサーベルに変更しました」
「それじゃあ少し軽量化されたってことかな? ヒートサーベルってビームサーベルよりも重いし」
「いえ、元々ガトリングシールドは盾に装備されているヒートソードで本体を補強した形だったのでヒートソードを抜いた分、強化の為にシールドを若干分厚くした為重量はほぼ変わりません。余談ですがうちの開発部ではシールド自体を格闘兵装とみなしビームサーベル内蔵型の特殊シールドの開発を進めているという噂もありますね」
「例のガトリングシールドを両方に持つって案はどうなったんだ?」
「片腕ならともかく両腕だと接近戦をするのに支障が出る為射撃専用機にする以外はやめたほうが無難という結果だったと思います。まぁそれなら旧式化した旧ザクに装備させ前線で弾幕をはらせて友軍の支援をさせるという案があります。旧ザクは工作機械としての面が強いせいかザクよりも改造しやすいですから・・・まぁ他にもザクK型、通称ザクキャノンをベースに75mmガトリング砲を両肩に乗せて更に両腕にガトリングシールドを装備させた面制圧用の実験機がオーストラリア戦線で実験中というのも聞いてますが」
「色々開発してるみたいだけどどこからその資金って出てるのかしら? いくら軍の支援があるといっても一企業が新型艦や新型機をそんなに作る資金なんてないはずだけど・・・」
「・・・これは噂ですけど、北米制圧作戦初期にVFの制圧した地域に連邦高官の別荘に隠された裏金を摂取したとか、保管されていた連邦政府の金塊をそのまま頂戴したとか、連邦船籍の輸送船を拿捕していたとか・・・」
「それ本当? それなら一応説明はつくけど・・・」
「まぁ限りなく本当に近い噂って整備班では噂ですよ。話の出所は北米に降下した補給部隊って話ですから。だいたい今の連邦政府の政治家で汚職をしていなさそうな人っていますか?」
「・・・ごめんなさい、すぐには思いつかなかったわ」
「でしょう? ですから裏金を接収ってのは本当じゃないかって話です。北米だけでも連邦政府高官は数十人単位なんですから・・・っと、そろそろ出撃時間です、さっさと搭乗してください」
「おっといけね。もうそんな時間か・・・クリス急ごう」
「ええ、演習がんばりましょうバーニィ」
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アウロラ艦橋
「リックドム2機、配置につきました。他モビルスーツ隊も配置につきました」
「全機展開完了、これより戦闘試験を開始します」
「各機へ、これより試験を開始する。艦隊はデータを取り忘れるなよ!」
その言葉と共にデブリ漂う宇宙空間で一斉にバーニアの光が眩いた。ヅダ3機はデブリを巧みに利用し悟られないようにリックドムの天頂方向へと移動し、ザクF型は旧ザクを後衛に持ち前進を開始する。といってもパレードのように隊列を組んでなんかいない。デブリ漂う宙域でそんなことをすれば至近弾1発でデブリが四方に飛び散りショットガンを食らったのと同様の惨状になる。一定の間隔をあけて慎重に進み、時には大胆に行動する。そのようにしてデブリの中を進む15機のモビルスーツ。そして先頭の1機がデブリの中にガトリングシールドを装備したリックドムを認め、後続に敵機発見を意味する簡単なジェスチャーをした直後、彼のザクに軽い衝撃が走り、コックピットのモニターに表示された被弾・大破の文字と被害状況を見て初めて彼は自分が撃墜判定を受けたと知った。
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「うまく命中したわ。やっぱり光学センサーのみでの照準って奇襲ができていいわね」
「まぁロックオン警報が鳴らないから命中するか発砲炎とかで確認する以外気がつかないからね。っと、旧ザクがガトリングを撃ってきた」
「120mmガトリング砲は弾数が少ないから突撃の際の支援射撃ってとこかしら? バーニィ、来るわよ」
「後方のデブリに後退後、突っ込んでくるヅダを仕留めよう。多分正面と側面からは来ない。来るなら下部か天頂方向からかな」
その言葉を言っている最中にマシンガンを構えたザクは旧ザクの支援射撃の元デブリを掻い潜り突撃を開始していた。だが彼らを待ち受けていたのは周辺のデブリに紛れ漂っていた12個の吸着地雷(チェーンマインを分離させたもの)だった。突撃したザクF型14機の内、4機が被弾判定を受け2機が大破行動不能、1機中破脚部破損、1機中破右腕及び頭部破損といった結果となった。この混乱で一時的に足並みが崩れ、同時攻撃を仕掛けようと目論んだヅダ隊は単独で攻撃を敢行することとなってしまった。さすがにヅダのパイロットは新兵ではなかったが、さすがにヅダでリックドム相手はきつかった。なぜならヅダは機動性を上げている為、逆に進行方向から銃撃を受けたら彼我の速度が速い為に大きな損害を受けてしまうからだ。しかもデブリ宙域では戦闘機動も限られてしまうので、ヅダよりも重装甲のドムに軍配が上がった。ガトリングシールドの弾幕に捉えられ1機が中破、1機が大破行動不能という結果になり、トドメにビームライフルで撃破判定、更にMMP-80マシンガンとジャイアント・バズーカの攻撃で残った1機も破壊判定を受けた。
「やっぱりデブリはトラップが仕掛けやすいな。それにドムの重装甲が生きてくる」
「たしかにね。何発かヅダの120mmの命中判定でてるけどたいした損害になってないし・・・バーニィ、そっちは?」
「こっちもたいしたことはないよ。これがプロトリックドムなら戦闘に支障が出ていたかもしれない・・・」
「プロトタイプより装甲が厚くなってるから生存性も高いしビーム兵器も運用できるから、3個小隊いればプロトタイプの1個中隊に匹敵するんじゃないかしら?」
「まぁこれで残りはザクのみだから・・・警戒するのはザクよりも旧ザクかな。データによるとショットガンやガトリング砲、ロケットランチャーを装備してるから油断できない」
「新兵装の見本市って感じね。でもガトリングは厄介ね・・・数百発も直撃したら撃墜判定が出てもおかしくないわ」
「じゃあビームライフルでザクを牽制するからクリスは旧ザクのほうを」
「分かったわ。陽動よろしくね」
そう言ってバーニィのリックドムは弾幕を張りつつ突撃を開始した。ビームライフルの攻撃を受けたモビルスーツ隊というのは現時点でほとんどいない。その為回避するタイミングが全く分からず、マシンガン等よりも早く着弾するビームライフルを回避することは至難の技だった。更にここにいるのは新米パイロット、高い技量を持つ者もいるにはいたが、実戦を経験したバーニィのほうが技量では遥に上だった。損傷判定を受け戦闘機動がとりにくいザク2機を撃墜すると、牽制のガトリングを放つ。さすがに新兵といってもそこそこの訓練を受けているため、ガトリングの弾幕を回避していく。だがその回避行動こそバーニィの狙っていたことで、回避した直後にビームライフルの直撃を受けそのザクは撃墜判定を受けた。バーニィは隙があれば1機ずつ確実に仕留めていき、ザクの注意をひきつけていた。そして・・・
「こちらC部隊、リックドムの襲撃を受け4機がやられた! 救援求む、救援求m」
「しまった、後方にまわられたのか!?」
「マジかよ、C部隊が全滅判定だ!」
「旧ザクとはいえ6機ものザクがこんな短時間でだと・・・ いくらこっちが新米であっちがベテランといってもデタラメじゃないか!」
「無駄口叩くな! 背後からも来るぞ、第3小隊は後方警戒に回ってくれ!」
「ビームの連射速度は間隔が長いからその隙にやっちまえ!」
「無茶いうなよ、ガトリングの弾幕で無理だ! 一連射でも食らったらザクの装甲じゃアウト判定だぞ」
「デブリを活用しても出た瞬間に撃たれる・・・こっちの居場所が分かるのか!?」
「相手は熟練こっちは初心者、こっちが数で多くても烏合の衆だとでもいうのかよ」
「なんてやつだ、何発かあてたのにまるで効いた様子がねぇ! インチキじゃねえのか!?」
・・・結論からいえばリックドムはバーナード機が大破に近い中破、クリスチーナ機が中破でヅダ3機ザクF型9機旧ザク6機が全滅という結果だった。実戦を何度も経験した熟練の二人と実戦を経験したことのない新兵という差があるにしても、二人の機体がドムよりも装甲の薄いヅダだったら、もしくは戦場がデブリ地帯でなかったらおそらくどちらか片方はその物量で落とされていただろう。そして演習に参加していた機体が艦に戻り整備を受けている頃・・・
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連邦軍トラファルガ級宇宙空母『プリンセス・ロイアル』
「ローム中佐、情報部もやはり仕事をしているみたいですな」
「ああ・・・しかし奴らの新型機、中々侮れん。詳しい性能は専門のところで分析しないと分からんが脅威であることに違いはない。いい手土産ができたな。後は襲撃するだけだ」
「敵艦隊は強力ですが奴らは予定では対艦演習をするはず・・・そこを狙えば」
「β、γに連絡しろ。奴らが演習を開始した後に攻撃を仕掛ける」
そう言ったフェン・ローム中佐の前にあるボードには暗礁地帯に潜む艦隊(トラファルガ級1隻、マゼラン級1隻、サラミス級3隻、改造型コロンブス1隻、ミノフスキー粒子のせいで一気に旧式化したミサイルフリゲート艦4隻)がそれぞれ展開している様子が書かれており、VF艦隊に対し今まさに牙をむこうとしていた。
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後書きという名前の反省
家の手伝いと猛暑で夏バテでもしたのか書く気力が低下しつつある今日この頃・・・襲撃終わりまで書くつもりでしたが気力続かず、更になんか頭が回らないorz 後半は今月中に書き上げますがいつできることやら・・・(ぐふぁ
一日が96時間くらいあって電気代0円だったらいいのになぁ~と現実逃避してみたり(核爆)・・・皆さんも猛暑で健康管理に気をつけましょう。