《page48 罪因》 早々に搭乗手続きを終えた松田とサラは、慌てて後を追ってきたロジャーと三人で、ビジネスクラスの席に座った。 ゆったりとしたシートにもたれかけ、先ほど聞いたキラからの情報について怖い顔をして考え込んでいたサラに、松田が恐る恐る聞いた。 「サラ、ちょっと聞きたいんだけど・・・」 「はい、何でしょうか松田さん」 松田の声に、我に返って笑顔になったサラにほっとなりながら、松田は質問する。 「あのさ、サラ・・・前から気になってたんだけど。 どうしてこんな危険な任務を引き受けたんだい? 単にLの後継者候補だからってだけじゃ、ないように見えてさ・・・」 初めて会った時から、サラはキラ事件と聞いて迷わず捜査協力を引き受けた。 そしてキラを逮捕するために自分の身を誘拐させるほどの策を取った彼女は、どうも他に理由があるように思えてならなかったのだ。 サラはしばらく松田の目をじっと見つめていたが、やがて小さく笑みを浮かべた。 「そうですね・・・私も誰かに聞いて欲しいなと思っていましたし。 ・・・ちょっと暗いお話ですけど、聞いて頂けますか?」 「・・・僕でいいなら、聞かせて欲しい」 松田は客室乗務員からジュースを受け取ってサラに手渡すと、彼女は一度眼を閉じて話し始めた。 「私はロスで検事をしていた父親と、元弁護士だった母親の間に生まれました。 そしてその両親は、ある事件で殺されたのです。 この事件は、俗にこう呼ばれています・・・」 「勘違い裁き(ミステイク・ジャッジ)事件?」 サラを見送るために空港に向かう前、キラは父からその事件のことを聞いた。 バラエティーに出てきそうな事件名を聞いたキラは、思わず眉をひそめた。 「あのサラという子の本名で調べてみたら、この事件に行きあたってね。 ロサンゼルスで検事をしていたケイン・ジャスティスという男が、六年ほど前に銃を持った女に妻と一緒に殺害されている。 死体の第一発見者は、当時十歳だったその夫婦の一人娘だ」 「・・・それが、サラ?」 「ああ、間違いないだろう。 その当時の新聞に載ってる、たった十歳歳で法律書を諳んじたり、ハイスクールレベルの問題を解くという少女の名前と年齢も同じだ。 同じ名前と年齢の天才少女など、まずいないからな」 「へえ、彼女有名だったんだ」 機密性が高いというワイミーズハウス出身者のサラの意外な経歴に、キラは少し驚いた。 しかし、確かにそこに入らなければ、天才児は普通有名である。 「女って解ってるってことは、犯人は捕まったんだろ。 六年前なら父さんはキラとして活動してないから、犯人はニアとの対決前に裁いちゃったりした?」 キラ絡みというなら、それくらいしか思い当らなかったキラの推理は、見事に外れていた。 「いや、犯人は事件のひと月後に獄中で首を吊って自殺している。 何しろこの犯人、事件名の通りに勘違いで何の罪もない夫婦を殺したんだからな・・・罪悪感に耐えかねたんだろう」 そう言ってライトが語ったのは、本当に救いのない事件だった。 スターラー・ジャスティスの父・ケイン・ジャスティスは、事件の犯人を容赦なくその弁舌で追い詰めていく、ロサンゼルスの敏腕検事だった。 正義感の強い男だったが、魅上ほど極端な思考は持ち合わせていなかったので、極普通にロースクール時代からの付き合いだった恋人・シャロンと結婚し、三年後に娘を儲けた。 そしてその娘は一年経たぬうちに言葉を覚え、自宅の書斎で自分の本を絵本代わりに読むなど、明らかに普通の子供より賢かった。 ケインは驚き喜び、娘の成長を妨げぬ程度に娘の頭脳に合った教育を受けさせることにした。 仕事は順調、才色兼備の妻に、天才児の娘・・・ありとあらゆる幸福を一身に集めたかのような男の幸福は、ある日突然に終わりを告げる。 始めは、ロサンゼルスのとある家で強盗事件が発生したという事件だった。 犯人のカール・マチアスはすぐさま逮捕、起訴されたが、ケインの手腕を持ってしてもカールの有罪を立証するまでには至らず、その男は釈放されてしまった。 よくある、とはまでは言わないが、ここまでは珍しくもない話である。 ところがカールが釈放された三日後に、今度はその犯人が殺されてしまった。 荒らし回された家の中で銃殺体となって発見されたカールの部屋からは、彼が隠し持っていたと思われる銃や、先に起こった強盗事件で奪われた現金の一部が発見されたため、その捜査に当たった捜査官が疑問に思った。 『こいつが犯人だって証拠が、どうしていきなりこんなに出てきたんだよ?』 この疑問を抱いた捜査官がさらに詳しく調査したところ、カールの家に不審な人物が入っていくのを見たという情報が入った。 時を同じくして、無罪判決が下ったカールに対する事件の再裁判を要求した検事の情報が入ったため、捜査官はとある推理をしたのである。 いわく、 『その検事が自分が無罪にしてしまった犯人の罪を立証するため、証拠を無断で探し回り、被害者にその現場を見られて殺してしまったのではないか?』 ・・・と。 その検事こそがケインだったわけだが、むろん彼はそんなことをするどころか、考えすらしていない。 いくらケインが敏腕検事として鳴らしていても、全てを有罪に出来たはずはない。 いちいち無罪になった被告人を有罪にするために独断で家宅捜索などしていたら、この男の前に最低でも一ダースの死体が出来上がっていたであろう。 「もちろん証拠がなかったからケインが逮捕されるようなことはなかったけど、可能性がある以上、確認はしておかないといけないだろ? だから可能性を部下から言われた責任者は、家に赴いて事情聴取をしようとしたんだ。 でも、その訪問日に、当の事情聴取の対象が殺されたのさ」 ジャスティス家の夫婦が心臓を撃たれて殺されたという、彼の意表を突いた緊急連絡に、責任者は予想もつかぬ形でジャスティス家のドアを開くこととなる。 そこにいたのは血に染まった床と、目を見開いて天井を見上げるやはり血まみれの男女。 そしてその傍らでは一人の少女が、うつろな目でぬいぐるみと携帯電話を握り締めて立っていた。 サラは父のロースクール時代の恩師だった男の所から帰宅した際に、既に事切れた両親を発見した。 まだ息があるかもと思ったが、もう身体の体温も失われた後だったので、彼女は救急車ではなく警察に連絡したのだ。 普通よりも遥かに知識があった十歳の少女の通報で駆け付けた責任者は、呆然としていたその少女にココアを与え、事情聴取を行った。 サラはその日の朝は父が休みの日だったが、以前から約束していた父の恩師の家に行ってしまったので、その後のことは知らないとしか言えなかった。 しかし、続けて出かける前に家の近くに不審な人物はいなかったかと尋ねられると、心当たりがあるとぽつりと呟いた。 両親が殺される日の朝、家の前をうろついている人物を見たことがある、と答えたサラに、責任者はどのような人物だったか重ねて問うた。 『その人は三十代後半か四十代前半くらいの女性で、青い車に乗っていました。 ただ家の前にいただけでしたけど・・・その車のナンバーを憶えています』 さすがに家の前で様子を窺っている人物を、幼心にも怪しんでいたサラは、しっかりと車のナンバーを見ていた。 すぐに警察はナンバーから車の持ち主を特定し、翌日には重要参考人として持ち主を警察署に連れて来た。 たった一度見ただけのナンバーを正確に憶えていていたサラの記憶力のお陰で、その重要参考人だった女があっさりと犯行を認めたため、すぐに重要参考人の欄は犯人と書き改められたのである。 わずか二日で、犯人逮捕となったその事件。 スピード解決で安堵していた警察官だったが、事件はそれで終わらなかった。 犯人の女は、先に殺された強盗容疑の男の母親だったからである。 「サラの両親を殺した女は、強盗容疑のカールを殺したのは父であると推理した捜査官が、当時付き合っていた女性だったそうだ。 その推理を聞いた女性はそれが真実だと信じ、犯行に及んだらしい」 犯人のケリー・マチアスは、夫と死別後に自分が厳格に育てた息子が強盗などするはずがない、と主張し、無実の罪で起訴した上に無罪判決が下ったからと殺した男が許せない、と取調室で熱い口調で語った。 ケリーは犯行の一週間前からジャスティス家を偵察し、車が家にある日は標的であるケインが在宅であることを知り、娘が家を出たのを確認してから、犯行に及んだのである。 「どうしても犯人が父を殺した動機を知りたかったサラは、携帯電話を通話状態にして、事件を担当していた捜査官の詰め所に、こっそり置いていたらしい。 だから犯人の動機を知ることが出来たそうなんだが、さすがにL候補者になるだけのことはあるな・・・大した機転だ」 捜査官達は、遺体発見者であり、被害者の娘が事情聴取の後に忘れて行ったぬいぐるみの中にそんなものが仕掛けられていたとは露も思わなかったので、後日にぬいぐるみごと携帯は戻って来ていた。 十歳の天才少女は通話先である、家から持ち出した母の携帯からその動機を聞き、それこそ父が無実なのだから、それを立証しようと考えを巡らせた。 彼女は事件当日に自分が遊びに行っていた父の恩師の家に赴いてどうすればいいかを尋ねると、彼は『その強盗射殺事件が起こった日のアリバイがあればいい』とアドバイスしてくれた。 「それを聞いた彼女は、その日は家族みんなでレストランに行っていたことを思い出した。 高級な店だったのでカードで支払いをしていたし、署名もしていたのだから、それが証拠にならないかと、事件担当者に言ったそうだ」 事件担当者はサラには告げていない犯人の動機を、彼女があんな手段を使って知っていたことに仰天しつつも、慌てて確認してくれた。 するとケイン・ジャスティス直筆のサインがレストランのレシートにはっきりと残っていた上、従業員の彼が来店していたという証言も同時に得られたため、ケインの無実は証明された。 もちろんこの事実は、すぐにケリーに伝えられた。 それまで自分が息子を殺した男に正義の鉄槌を下しただけだと強気だった彼女は、自分が全くの無実の人間を殺したと言われ、一転して顔色が青くなった。 そして震える声で、こう呟いた。 『キラ様・・・!私は無実の人間を殺してしまいました・・・』 「・・・彼女、キラ信者だったってわけ?」 これだけで充分救いのない話の成り行きに、キラが小さく息を吐きながら問うと、ライトは頷いた。 「教団の記録を調べてみたら、信者の資格を剥奪された者の名簿の中に、この女の名前があった。 心臓を撃ち抜いて殺したのも、キラを気取ってのことらしい」 キラの裁きがなくなって久しかったケリーは、信じる神に代わって己で裁きを下したつもりだった。 だけどその裁きの弾丸は、無実の人間の心臓を撃ち抜いた。 「まだ続きがある。 その後にね、カールを殺した犯人が捕まると同時に、カールがやはり強盗事件を起こしたことが判明した。 何と犯人はこれまで何度も強盗殺人を繰り返してきた男で、別件逮捕した後に自白したので、カールを殺した犯人だと解ったそうだ」 「・・・え?」 まさか全く無関係の人間にカールが殺されたとは思わなかったキラが驚くと、ライトはにやりと笑った。 「面白いだろ?捜査官は皆、カールに関係のある人間に絞って捜査をしていたのに、犯人はその網の外にいた人間だった。 殺人事件の場合、被害者の関係者が犯人のケースが多いからね、その捜査方針自体は間違いじゃなかった。 まして彼は、強盗事件の容疑者という特殊な人間だったから、なおさらだ。 でも、もちろん例外は常にある訳だから、それも念頭に置かなければならない。 あの件は、まさにそれが原因で起こった事件だと言える」 カールが殺された日、彼は銃を持った強盗に侵入され、射殺された挙句、現金や金目の物を奪われたのである。 その強盗がカールの家から強奪したと自白した現金が、最初に起こったカールが容疑者とされた事件で盗まれた紙幣であると判明したため、カールが犯人だと証明されたのだ。 「カールが起こした事件の後に捜査した時は、彼が証拠品を別の場所に隠していただけだった。 その後無罪判決が下って安心したので、隠していた銃や金を家に持って帰った。 それをたまたま目撃した男が強盗を計画して押し入り、カールを殺して奪ったが、一部を現場に残してしまっただけ・・・という、ケイン・ジャスティスなど欠片も関係していない事件だったのさ」 まさしくカールの自業自得の四字熟語を実体化した事件だったが、そのとばっちりを思わぬ形で食ってしまったのがジャスティス一家だった。 たまたまカールが引き越こした事件の担当検事だったというだけで、息子の無実を信じた母親の誤解で射殺されたのだから。 全てを知らされたケリーは、厳重に見張られていたにも関わらず、その後獄中で首を吊って自殺した。 「自殺する間際、彼女は仲間のキラ信者に神(キラ)に裁いて貰いたいと語っていたらしいけど、裁きを行える状態じゃなかったし。 そもそもこの事件、彼女が全て悪いと言い切れるものじゃないしね」 ケリーからすれば、真面目な息子と信じた彼が裁判で無罪とされて安心していたところに、今度は息子が殺された。 息子を失ったばかりの母親に、冷静さを求めるほうが難しいというもので、恋人だった捜査官から『犯人は息子を犯人だと言い張った検事』と言われ、それが真実だと思い込んだのだろう。 一面から見るとケリーも立派な“殺人事件の被害者の遺族”なのだから、その立場から見るとケインは“息子を殺したくせに、追及もされずにのうのうと幸福な家庭で生きている男”だったに違いなかった。 全くそのとおりだったら、ケリーはむしろあらゆる同情を受けて、キラ教団アメリカ支部から喝采を受けただろうが、そうはならなかった。 勘違い裁き(ミステイク・ジャッジ)事件、と名付けられたこの事件は、犯人が獄中で自殺という結末を迎えたが、遺族(サラ)に終わりなど永遠に来ない。 「なるほどね・・・どうしてサラがキラを否定するのか、理由がよく解ったよ」 おそらく彼女は、キラもそうだが死刑制度自体を否定しているのではないだろうか。 どんな事件でも、犯人となった者が間違いで死刑となってしまえば、それが間違いだと判明した時、何の取り返しも付かない。 しかし、刑務所ででも生きていたのなら、まだやり直すことが出来るだろう。 だが、キラはいわば究極の死刑制度だ。 キラが裁きは、すなわち死。 名前をデスノートに綴ったが最後、その人間の人生は終わる。 その間違いが正される時は、永遠に来ない。 『幾ら犯罪者を減らすのに効果的だとは言え、独断で人を裁くことは許されることではない。 ましてそれが誤った裁きで殺されたなら、救いがないではありませんか』 あの日、どうしてLが正義だと思うかと尋ねた自分に対し、サラが答えた言葉。 その救いがなかった事件で、たった一人残されたサラが何を思い、Lを志したのか。 瞠目する息子を見て、ライトは真剣な表情で言った。 「だからこそ、その間違った捜査をなくす必要があるんだ。 今は犯罪件数が多いせいで、細やかなことまで対応出来ず、事件解決を遅らせてしまい、それが焦りを生んで冤罪を起こす傾向が強いからな。 犯罪件数を減らせば余裕が生まれて、じっくりと事件捜査に取り組める」 「・・・・」 「僕だって、無実の人間を殺したいとは思わない。 だからキラが優秀な警察官となって、冤罪をなくす環境を作って欲しいんだ」 「・・・解っているよ、父さん。 僕、頑張って冤罪なんて起こさない警察を作るよ」 キラは迷いのない声で言った。 ライトはそんな息子を満足げに見つめると、頭をくしゃりと撫でた。 それは幼い頃に父・総一郎が、自分によくしてくれた仕草だった。 「辛かったね、サラ」 『いいえ、間違いは正すべきです。ほんのささいな間違いでも、後で大きな失敗になるかもしれませんから」 初めて会った日の、彼女の台詞が脳裏に巡る。 泣きもせずに過去を話し終えたサラに、松田はそう言いながら彼女の頭を撫でた。 「・・・私は別に、犯人の女性がキラ信者だったからキラを否定しているのではないのです。 キラがいなかったとしても、きっとこの女性は同じ事をしていたと思いますから、この件に関してのみはキラのせいとは言えません。 誰でも我が子が犯罪者だと思いたくないものですし、突然子供を失って冷静な判断が出来なかったところに、あの男が犯人だと言われて盲目的に信じ込んでしまったのでしょうから」 松田は世界の切り札・Lが犯人だと断じても、息子の潔白を信じ続けた最も尊敬する上司の顔を思い浮かべて瞠目した。 ケリーも総一郎も、我が子が犯罪者などであるはずがないと信じ、それ故にケリーは凶行に走り、総一郎は我が子の無実を晴らすために危険な捜査に身を投じた。 やり方こそ間違っていたが、ケリーが息子思いの母親だったことは、サラも理解していた。 なまじ頭が良かったがゆえに、我が子を殺され狂乱していた母親を全面的に否定出来ず、誰を責めればいいのか却って解らなくなったのだろう。 親戚がいなかったので孤児院に引き取られたサラは、この事件の際にぬいぐるみに携帯電話を仕込んで捜査経緯を入手したことや、犯人の車のナンバーを一度見ただけで憶えたこと、そして父親にかかった疑惑を晴らすためにアリバイを証明したことなどが、ワイミーズハウスのL候補者を集める役目にあった者の耳に入り、彼女はイギリスへと引き取られることになったのである。 そこで世界の迷宮入り事件の出口を見つける切り札・Lの存在を知ったサラは、一つの決意をする。 「Lになれば、多くの事件を解決出来る。 冤罪など起こさない捜査をして、正確に犯人を検挙出来る人間になろう・・・私はそう決めたのです。 そして出来るなら、死刑制度を廃止するように司法界に働きかけられたら、と・・・」 もう二度と、自分のような被害者を生まないように。 「だから、キラを認めるわけにはいきません。 キラはあのケリー・マチアス同様、一方的に己の基準のみで人を裁くからです。 これまでの裁きの中で、一人でも無実の人間がいなかったと断言出来ますか? これから先も、冤罪の人間を裁くことなどないと言えるのでしょうか」 「・・・・」 サラの言葉に、松田は答えられなかった。 実質はキラ寄りの考えを持っていた松田だが、その中で無実の人間、という言葉はなかったからだ。 もしも、自分の身近 な人間が無実の罪で、キラに裁かれたなら。 きっと、サラと同じ気持ちになったことだろう。 「ですから、ニアが『捜査と言うものは疑ってかかり、間違っていたら“ごめんなさい”でいいんです』と言った時は・・・正直、怒っていたんです。 ・・・ごめんなさいで済まないことだって、あるというのに」 けれど冤罪を生まないために、確実なる証拠を挙げようとする捜査に納得はしたから、違法しまくりの捜査には反対しなかった。 「・・・サラ、君は間違ってないよ。 君ならきっと、それが出来ると思う」 「松田さん・・・」 「今は、君がLなんだ。 初代L・竜崎、二代目L・ニア・・・二人ともやり方はそれぞれ違っていた。 だから、君は君なりのLになればいい」 松田の言葉に、サラは小さく頷いた。 その瞳には、小さく涙が光っていた。