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No.2139の一覧
[0] 紅蓮の修羅(ガンダム種運命)[しゅり。](2006/06/13 22:04)
[1] 2話目。 続いてしまったよ…[しゅり。](2006/05/25 22:53)
[2] 3話目。 ちょっとピッチ早いかな。[しゅり。](2006/05/25 22:56)
[3] 4話目。 ステラ完結編らしきもの。[しゅり。](2006/05/27 21:34)
[4] 番外編の1話。 まさか彼が!?[しゅり。](2006/05/27 21:36)
[5] 5話目。 ぼちぼち頑張ってま。[しゅり。](2006/05/29 20:41)
[6] 番外編の2話。 問題の彼女。[しゅり。](2006/05/30 19:49)
[7] 6話目。 第1回ルナ祭り。(次回未定)[しゅり。](2006/06/03 21:30)
[8] 7話目。 ライオン娘。[しゅり。](2006/06/03 21:35)
[9] 8話目。 デコッパチ。 別名アスカガ完結もどき。[しゅり。](2006/06/08 19:43)
[10] 9話目。 コメディにあるまじきシリアス色。 ここさえ乗り越えれば…[しゅり。](2006/06/09 19:42)
[11] 10話目。 そろそろ方向性を定めねば…[しゅり。](2006/06/16 22:02)
[12] 11話目。 おしおき、コンプリートゥッ![しゅり。](2006/06/16 22:06)
[13] 12話目。 種主人公、なんとなく登場[しゅり。](2006/06/19 21:32)
[14] 13話目。 3歩進んで2歩下がる的な進行速度[しゅり。](2006/06/29 22:48)
[15] 番外編の4話。 抜き打ち!第1回ステラカーニバル (前編)[しゅり。](2006/07/01 20:19)
[16] 番外編の4話。 抜き打ち!第1回ステラカーニバル (後編)[しゅり。](2006/07/01 20:39)
[17] 14話目。 相変わらず進まない[しゅり。](2006/07/12 21:26)
[18] 15話目。 カガリ暗躍。[しゅり。](2006/08/08 21:59)
[19] 16話目。 まだ生きてますw[しゅり。](2006/08/11 21:39)
[20] 17話目。 結婚式イベントも無視するなんて…[しゅり。](2006/08/08 22:11)
[21] 番外編の5話。 徒然なるままに、ミーア・キャンベル。[しゅり。](2006/08/11 22:44)
[22] 18話目。 オーブ編はこれでおしまい。[しゅり。](2006/08/27 17:38)
[23] 19話目。 ラクシズもひとまずおしまい。[しゅり。](2006/09/09 00:25)
[24] 20話目。 踊れ!ニーラゴンゴのリズムに乗って♪[しゅり。](2006/09/27 20:17)
[25] 番外編の6話。 その頃のステラさん。[しゅり。](2006/11/04 15:06)
[26] 番外編の3話。 本編では出番が無いのだ。[しゅり。](2006/11/04 16:02)
[27] 21話目。 信じる事さ必ず最後に愛は勝つ(意味不明)[しゅり。](2006/11/04 16:34)
[28] 22話目。 危うし主人公の座、みたいな。[しゅり。](2006/11/16 23:21)
[29] 番外編の7話。 本編が煮詰まったから番外編に逃げただなんて言わないで。[しゅり。](2007/01/18 21:00)
[30] 23話目。 ガルナハンって名前のMSが有ったら強そうだなぁ…[しゅり。](2007/02/17 00:52)
[31] 24話目。 実はこのお話って何時の間にか長期連載のカテゴリに入ってたりする!?[しゅり。](2007/03/24 01:27)
[32] 番外編の8話。 連載当初は隔日連載だった筈なのに、気が付けば季刊連載に… orz[しゅり。](2007/06/08 21:45)
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[2139] 紅蓮の修羅(ガンダム種運命)
Name: しゅり。 次を表示する
Date: 2006/06/13 22:04
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 注意:多分15禁物。
    露骨な性描写は無いけど性行為を連想させる記述有り。
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<ルナマリア・ホーク>


 まるで紅玉石のようだと思った。
 一目見た瞬間にアタシは魅了されてしまったんだと思う。
 アカデミーの入隊式の時だったんだけど、アイツの周囲だけまるで空気が違ったし。
 なんて言うのかな、息苦しくて、そして物凄く熱かった。
 式の最中は当然みんな一列に並んでるんだけど、アイツの周りの生徒の緊張っぷりったら可哀想だったな。


 そう言った訳で第一印象からアタシはバッチリ惹き付けられちゃったんだけど、それだけで直に惚れるほどアタシは尻の軽い女じゃない。
 むしろ簡単に惹き付けられた自分に嫌悪したし、簡単に人を惹き付けられるアイツに嫉妬した。
 アタシなんかじゃ比べ物にならない魅力を持ってるアイツが心底羨ましかったんだ。
 ま、今だからこそ、そうやって過去(と言うほど昔でもない)を冷静に振り返る事も出来るんだけどね。
 いやぁ、アタシも大人になったもんだ。 …訂正、大人の女になったもんだ。 ウフッ♪


 幸い?な事にアイツはアタシと同じパイロット専攻だった。
 メイリンはアイツの存在に圧倒されたのか、凄く怖がっちゃってたから専攻が違って喜んでたけど。
 アタシ的初対面(アイツからしたら未対面)で植えつけられた劣等感の挽回機会には事欠かないってもんっすよ!
 …なーんて、井の中の蛙だったなぁ、当時のアタシって奴は。
 ライバルはアイツだけじゃなかったんだよねぇ。
 レイ・ザ・バレルって完璧超人までいたの。
 しかも美形。
 なんか背景に薔薇の花が見えるの。
 風の噂ではオペレータ女子の間でファンクラブ(もちろん非公認)まで有るって言うから驚き。
 って驚いてたんだけど、メイリンまで入会してた。
 メイリン、アンタ美形に弱かったのね…
 アタシ的にはレイみたいな美形も良いけど、アイツみたいにワイルドな方が…って、何言わせんのよ!
 ゴホンッ! ンン゛ッ!
 は、話が逸れたわね。
 つまりアタシは3番目だった訳だ。
 格闘能力・射撃能力・運動能力・整備能力…言ってて空しくなってきちゃうけど、全部レイに負けた。
 唯一勝ったと言ったら連携能力くらい。
 ダメダメなのだ。


 そして、アイツはそんなレイの更に上に居たのだ。
 本当に同じ演習用ジンに乗ってたのかしら?
 今でも信じられない。


「ツノはどこ?! 付いてるんでしょ、ツノが!」


「やっぱアレっすか!? 赤けりゃ3倍って奴っすか!? 瞳が赤くても有りっすか!?」


 …昔のアタシは馬鹿な事を叫んだもんだわ。
 取り乱したアタシに、普段あんまり喋らないレイが珍しく、


「ルナマリア、その認識は間違っている。
 そもそも初期設定では専用機の能力は3倍では無く1.3倍となっていた。
 それが世間に3倍と認識されるようになった間違いの大本は…」


 なんてココリコミラクルタイプに出てきそうな長台詞を喋ってた。
 覚えてらんないからカットしちゃったけど。
 ゴメンね、レイ。
 今思えば表情が変わらないなりにレイも動転してたんだろう。
 いっつも無愛想だから気付かなかったけど、なかなか可愛い所も有るでは無いか。


「うわっ! レイって設定オタくさーい」


 なんて言っちゃって悪かったかなぁアハハハ。
 もともとレイって暗いイメージ有ったんだけど、本当に暗くなっちゃったしね…ドンマイッ!


 どうも話がどんどん逸れてくなぁ…
 悪いのはアタシじゃなくて設定オタのレイね。<断言
 とにかく!
 アタシが言いたかったのはアイツは凄腕のパイロットだったって訳だ。
 アカデミー卒業して直に新型のパイロットに選出されたのは伊達じゃないのよ、明智君。
 あの先の大戦の英雄の一人、アスラン・ザラの再来だ!って教官達も騒いでたもんね。
 そうは言っても学科と連携の成績に関しちゃあアタシより劣るけど。
 つまり、なんとアタシは連携能力はアイツとレイを抑えて堂々の№1なのだー!
 凄いでしょ?


 …まあ、そんなこんなでアタシのプライドはズタズタよ。
 学科で勝ると言っても実技は完封負け。
 ライバルだと勝手に思ってたアイツはアタシなんかより遥かに高い次元に居たんだ。
 そういって一方的にライバル視した挙句に負けた(人それを自爆と言ふ)人間の末路なんて2つくらいしかない。
 今以上に反発するか、尻尾を振って媚びるか。
 そしてアタシの選んだ道は…


 どうしても越えられない壁を感じたアタシはお酒に逃げたのだ。
 プラントじゃあアタシの年齢でも飲酒可能年齢って事になってるの。<ここ重要
 陽もまだ高いうちから(って言ってもプラントなんで微妙な表現ね)部屋の電気を消して制服をだらしなく着崩して。
 ベッドに寄りかかって日本酒の一升瓶を片手に一人で手酌で呷ってた。
 …今思えばワインにしとけば良かったわ。
 だって一升瓶じゃあまるで親父じゃない、アタシってば!


 同室のメイリンも最初はアタシを励ましたり、さんざん文句を言ってきたりしたんだけど、アタシが聞いてるのか聞いてないのか分からない態度で呑み続けると部屋を出て何処かに言っちゃった。
 だからアタシは止める人間は誰も居なくなっちゃって、どんどん一升瓶の中身が減っていったんだな。


 部屋の様子に違和感を感じたのは一升瓶の中身が2割くらいになった時だった。
 朦朧とする意識の中で、アタシは薄暗い部屋の中に紅く燃え滾る2つの輝きを見付けた。
 最初はなんだか分からなかったんだけど、だんだん焦点があってくると、それがアタシの自爆の大元だと悟った。
 一瞬で酔いが覚めた。
 アタシはいったい何をしてるんだろう?
 震える手から一升瓶を取り落としたアタシを、アイツは何も言わずに見てた。
 アイツは口に出して何も言わなかったんだけど、2つの瞳は誠実に語ってる。


「ルナマリアはその程度の女なのか?」と。


 その瞬間だったと思う。
 アタシがアタシに本当に絶望したのは。
 それからのアタシは我ながら酷かった。
 ありとあらゆる、思いつく限りの暴言をアイツにぶつけた。
 あまつさえアイツの頬を殴っちゃったような気もする。
 酔っ払いのパンチなんてたいして痛くなかっただろうけど、後で見たら薄っすらと赤くなってたし。
 そうして、アタシの一方的な八つ当たりが続いてる間、アイツは少しも動じなかった。
 こんなどうしようもないアタシの、暴言も、暴力も、ただ黙って受け止めてくれたんだ。
 そしてアタシが最後に泣き崩れて床につっぷした時、初めてアイツは動いた。


 ぽんっ


「………えっ?」


 それは予想外の行動だった。
 部屋を出て行くでもなく、アタシに反撃するでもなく。
 アイツはアタシのくしゃくしゃになった頭に手をのせて、優しく撫で始めたのだ。
 そして、正直何がなんだか分からなくなって、パニックになったアタシに向かってこういったのだ。


「ゴメンね」


 惚れ惚れするような微笑だった。
 いままで誰も笑った所を見た事が無いアイツ。
 それが今アタシに微笑んだのだ!
 それまでは灼熱の炎だと思ってた瞳を、その時アタシは全てを優しく包む陽光だと思った。
 そして、その時だった。
 アタシの胸の一番奥の所で、確かに何かが勢いよく燃え上がりはじめるのを感じたのは。


 ゴメンね、ってどう言う意味なの?
 悪いのはアタシのほうじゃない。
 勝手にライバル視して、自爆したからってお酒に逃げた馬鹿な女。
 心配して慰めに来てくれた(のかは知らないけど)にも関わらず暴言、暴力を振るうような女。
 謝るのはアンタじゃない! 悪いのはアタシ。
 馬鹿なのはアタシの方じゃない!


「!?」


 そんな自己嫌悪のスパイラルに陥りかけた時。
 アイツの掌がアタシの頬に触れた。
 アタシの涙を拭ってくれてる掌は大きくて、そして暖かかった。
 また涙が溢れてきた。
 そして涙の止まらないアタシに困ったような表情を浮かべるアイツの顔を見た時。
 アタシは衝動的な行動に出てしまったのだ。
 今考えても自分が信じらんない。
 きっと酔った勢いとか、アイツの隠された一面だとかが、アタシの乙女回路に火を付けたんだ。
 つまり、ぶっちゃけて言っちゃうと、驚くアイツを無理矢理ベッドに引きずり込んでしまったのだ。
 抱きついて唇を貪るように奪って、そのままベッドに重なるように倒れこんだ。
 アイツの心底ビックリする顔を見た時に、アタシは何をそんなに落ち込んでたんだろう?って馬鹿馬鹿しくなった。
 それからの出来事は2人だけの秘密。
 主導権はアタシに有ったとだけ言っておこう。
 ぐふふ。


 明日、アタシ達はミネルバに搭乗する。
 なんと! ZAFTの最新鋭艦なのだ。
 無事に総合成績3位のまま、赤服を纏って卒業したアタシの最初の搭乗艦。
 そして総合成績1位のアイツの搭乗艦。
 ついでに言うと総合成績2位のレイの搭乗艦でもある。


 隣で疲れ果てて眠ってるシンの顔を見ると頬が緩む。
 この閉じた瞼の内に秘められた灼熱の瞳が、本当は温かいんだって事をアタシだけが知ってる。
 細身ながらも引き締まったシンの胸板に頬を寄せて、アタシは眠りの世界に落ちていく。






機動戦士ガンダム SEED DESTANY 異聞


紅蓮の修羅






 なんでこんな事になっちゃったんだろう?
 自分の上で跨り喘ぐルナの恍惚とした表情を見上げながら、シンは思考の海に溺れて行った。
 いや、これだけだとルナとそう言う関係になっちゃった事に対する感想っぽいけど、そうじゃないですよ?
 なんだか良く分からない成り行きでこんな関係になっちゃったけど、ルナの事は好きだし。
 とりあえず最初から話すね。


 そもそもの発端はオーブを出てプラントに来た事。
 そのままオーブに残っていれば被災保障とかも十分に受けられたって言うのに、


「この国に居ると、家族の事とか思い出して辛いんです」


 なんて言っちゃったんだ。
 くさっ! 俺くさっ! 格好付け過ぎ!
 その結果プラントでフリーターしてたら世話無いよ、本当に。
 素直にトダカさんの養子になっとけば良かった。


 そんな繊細な一面を見せつつプラントに来たんだけど、生きていくのに繊細さはあんまり必要無いって事が骨身に染みた。
 世知辛い世の中で生きていく為には繊細さじゃなくて頑強さが重要なんだ。
 弱い15にしてアルバイト漬の毎日っすよ。
 そして、今思えば選んだアルバイトも不味かった。
 なまじ父さんの手伝いとかでMS搭乗経験が有ったばっかりに、給料の良いプラント外装補修を選んでしまったんだ。


 アルバイト自体は順調だった。
 MSの操縦は得意だったし、親方も涙もろい頑固親父だったけど良い人だったし。
 でもね、転機はいきなり予想もしない方向からやって来るんだ。


 その日も俺は絶好調だった。
 なにせ歩合制なもんだからガンガン外装張替えとかしてた。
 今思えばそこで調子に乗りすぎたのが悪かったんだと思う。
 作業後に親方に呼び出された。


「流石だなシン、今月の成績もダントツでトップだ」


「ありがとうございます。
 こう見えてもMSの操縦だけは得意なんですよ」


「親父さん、モルゲンレーテの技師だったんだろ?」


「はい。
 よくテストパイロットさせられたもんです。
 あの頃は嫌で嫌でしょうがなかったけど、今となっては懐かしいですよ…」


「そうかぁ… すまん、悪い事聞いちまったな」


「いえ、気にしないでください。
 父さんは死んじゃったけど、残してくれた技術が今の生活に役立ってる訳だし」


「へへ… そうだな。
 なんか湿った話になっちまったな」


「いえ。 じゃあ、俺はこれで」


「おうよ! またなっ …て、忘れる所だった。
 シン! 明日はバイト来なくていいからコレに書いてある場所に行ってこい」


 そういって一枚のメモ用紙を差し出される。


「? なんですか、これ」


「行けば分かる」


「はぁ… 分かりました。
 じゃあ失礼します」


「おう! …元気でな」


 その時の俺は気付けなかった。
 もう2度と会えないかのような親父さんの一言の意味と、渡されたメモ用紙が所謂【赤紙】だって事に。




■■■




 メモに指定された場所は何の変哲も無いビルだったんだけど、今、俺はギルバート・デュランダル議長の前に居る。
 …なんでさ?


「やあ、突然呼び出してすまなかったね、シン・アスカ君」


「はぁ…」


 差し出された右手を握り返しながら、本当に突然過ぎるんだよ! と脳内でシャウト。
 だって相手は最高議長。 俺、難民フリーター。
 まさかシャトルに乗せられて最高議長の前まで浚われる様に連れて来られるとは思わなかったなぁ…


「早速だけど、本題に入ろう。
 シン・アスカ君、是非、君にZAFTに入隊しては貰えないだろうか?」


「………へ?」


「君には申し訳ないんだが、君の事を調査させて貰った。
 これは大戦後プラントに移住した全市民に対して行っている事なんだ。
 悪く思わないでほしい」


「…はい」


 正直、自分の事を勝手に調査されて良い気はしない。
 でも連合からのスパイとか考えたら身辺調査とかは必要なのかもしれない。


「御家族を先の大戦で亡くされたそうだね。
 ご冥福をお祈りするよ」


「あ、ありがとうございます」


「なんでもシン君、君の父上は大変優秀な技術者だったそうだが?」


「はい。 優秀かどうかは分かりませんが、モルゲンレーテの技師でした」


「ふむ… そして君はその父上のサポートでテストパイロットをしていたそうだね。
 大変優秀なMS操縦技術を持っていると聞いている。
 その腕前を是非プラントの為に活かしては貰えんものかな?」


 冗談じゃない!
 軍人、しかもMSのパイロットと言ったら殉職率№1の職業じゃないか!
 なんで議長がわざわざ俺なんかにそんな事言うんだよ!


「いえ、自分はそんなたいした技術なんか持ってません。
 残念ですが俺は…「そう言えば資料が有ったな」


 話を切らないでください…って、ゲッ!
 議長がリモコンを操作すると、スルスルとスクリーンが降りてきて映像が始まった。
 スクリーンの中では1台のジンが軽快に外装補修をしている。
 すまん! 軽快ってのはちょっと良く言い過ぎた。
 スクリーンの中のジンは頭に花が咲いてんのか!ってなテンションでノリノリに作業してた。
 外装補修の最中にトリプルスピンはいらんだろ! って操縦してんの俺だ!


「…な、なかなか軽快な操縦じゃないか」


 意表を付かれたのか、議長もちょっと動揺してる。
 しかし動揺具合じゃ俺のほうが大差勝ちだ。
 自分がお馬鹿に浮かれてる映像を観せられるって、なんたる屈辱。
 画面の中で高速ターンしはじめたジンを呆然と見つつ、給料日だからって浮かれてた過去の自分に後悔した。


 で、話の主導権を全力で投げ捨てた過去の俺の偉業の結果、気が付けばZAFTへの入隊が規定事実となっていたのだった。




■■■




 そして入隊式。
 実は俺は寝不足だった。
 昨日入居した寮にはレイ・ザ・バレルと言う同居者が居た。
 まぶしいくらいに美形だ。
 そう、背景に薔薇の花が見えるくらい。
 薔薇?
 そこでふと気付く。
 レイには薔薇が似合いすぎているんじゃないか?
 背筋に冷たい汗が走る。
 …ひょっとして801系の人か?


 だから俺は寝不足なのだ。
 目に力を入れとかないと閉じちゃうのだ。
 睨んでるわけじゃないよ。
 だから皆そんなに脅えるような目で俺を見るのはどうかと思うよ?
 これってイジメじゃない?


 それから1週間。
 レイが寝返りをうつ度にお尻を押さえてドキドキしてたけど、なんとか清い身体は守ってます。
 でもシャワーとかの後に俺の裸体(上半身だけね)を見詰めるレイの視線、アレは絶対恋する乙女のソレだ。
 油断しちゃいけない。
 俺のお尻は狙われている。




■■■




 どうやら俺は怖がられてるらしい。
 なんだか誰も目を合わせてくれない。(レイは合わせてくれるけど俺が逸らしちゃう…)
 それでもなんとか友達になったヨウランから聞くところによると、俺は『復讐に狂う殺人鬼』ってな風に思われてるそうだ。


 ショック!! orz


 なんでも入隊式でガン飛ばしすぎたのが発端。
 赤色の瞳と合わさって物凄く怖かったそうな。
 全力で言い訳したいところだが、レイのお尻を狙われてて寝不足だったとはとても言えない。
 だから、こんな瞳の色にコーディネートした草葉の陰の両親をそっと恨んでおこう。


 そして頭2つ飛び抜けたMS操縦技術が戦争を心待ちにしてるんじゃないかって疑惑を生んでるそうな。
 ズブの素人とテストパイロット上がりじゃ飛び抜けるっちゅーの!
 戦争を心待ちにする訳無いじゃん!
 どっちかって言うと俺は平和を愛する慈愛に満ちた人間よ?


 最後に何処から情報が漏れたのやら、先の大戦で家族を亡くした事。
 オーブと連合の戦闘に巻き込まれて、プラントに移住してZAFTに入隊って事実が復讐に燃えてるって誤解を産んでるらしい。
 勘弁してくれ!




■■■




 そういった訳で他称ハードボイルドなリベンジャーな生活を送っていた訳なんだけど、転機は突然やってきた。
 俺の転機はいつも突然やってくるらしい。
 そして俺に選択権は無い。


「アナタの所為でお姉ちゃんがあんなになっちゃったんだから!
 責任とってよ!!」


 なんじゃらほい?
 突然女の子が部屋に押しかけたと思ったら謂れの無い誹謗中傷。
 なんでも俺の所為で彼女の姉が大変な事になってるそうな。
 うむ、まったく持って身に覚えが無い。
 だけど世の中は切れた者勝ちって言うくらいで、切れ返しそこなった俺は彼女の指示に従うしかないのだ。


 そんな訳で俺は今、ホーク姉妹の部屋に来ています。
 目の前ではショートカットの女の子が一升瓶片手に管を巻いています。
 俺にどないせい言うねん?


 どう行動したら良いのか分からんまま立ち尽くしてると彼女と目が合った。
 合った彼女の目は完全に据わってた。
 そしてまたも浴びる謂れの無い誹謗中傷。
 あと暴力。
 今日は厄日です。


 挙句の果てに泣き出してしまった彼女の前に右往左往するしかない。
 こんな時はどうすれば良いんだ?
 女の子が泣き出した時…、女の子が泣き出した時はぁ…
 そこで思い出したのは妹のマユ。
 そういえばマユもよく泣いて俺に当たったような気がする。
 ひょっとして女難の相でも出てるんだろうか?<正解
 そんな時は…そう、宥めて謝ればいいのだ。
 この際、謝る理由の有無なんかは重要じゃない。
 謝ると言う事実だけが重要な時も世の中にはあるのだよ。


 調子に乗りすぎました。
 なに格好付けて涙を拭ってんだよ、俺!
 いや、頭を撫でた後のきょとんとした表情が可愛かったからだけどさ!


「□※▼△☆★!?」


 うっわーキスしちゃったよー!
 ってか、キスされちゃったよー!!
 初めてだったのにー!
 ファーストキスは日本酒の味なんだぁー! orz


 もう何がなんだか分かりません。
 気が付いたらベッドに押し倒されてました。
 俺の服を脱がしながら、


「アタシ、初めてなんだからね」


 って言う彼女の初めてが、Hの事なのか人を襲う事なのかを真剣に悩んでいる内に取り返しの付かない所まで進んでました。
 あれだけ必死にレイから守ってた操はあっさりと散らされたのです。


 それからなし崩し的に付き合う事となった彼女の名前はルナマリア・ホークと言います。
 ルナでもマリアでも名前として通用するなぁ… とかしょうも無い事を考えたりした事も有りました。
 すったもんだの末、どうにか世間的にはラブラブだそうです。
 アグレッシブなルナのオフェンスにたじたじなディフェンスが精一杯な俺だけど。


 俺の胸板に頬を寄せて眠るルナを見詰めながら、女って怖いな、って考えさせられます。
 明日はミネルバへの搭乗日です。
 ルナマリアと出会ってから、体重が5Kg痩せました。


 つづく(か続かないかはお天道様に聞いてくれ)




 後書きみたいなもの


 南極条約さんに有る『機動戦士ガンダム Voice Of The Earth』を読んで無性にガンダムFunFictionが書きたくなった。
 黒き魔女の書さんにある『ダークサイドソウル』を読んで無性にダークなお話が書きたくなった。
 年末のDESTANY特番を今頃観て呆れた。


 よし! シンがばったばった主要人物を殺すダークなお話を書こう!
 まずはそんなダークなシンに惹かれたルナマリアからだ!
 ルナマリアのシーン完了間際にそう言えばオススメ板の勘違い物って面白かったなぁ…と頭に過ぎる。
 結果、こんな作品に… orz
 連載物っぽい作品だけど続くかは微妙かと。
 スクエニ板の作品ほったらかしてこんなの書いてました。


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