「……」
汜水関を放棄した董卓軍の意図を探ろうと反董卓連合軍が軍議を開いている頃。
彼の地より遠く離れた洛陽の南――黄河からの支流である洛水のほとりに構築された陣内において、一人の兵士が遠く暗闇を見つめていた。
篝火のみが光源となる暗闇において、それでもなおその僅かばかりの光に煌めいて輝く金の髪は、しかして武骨と言わんばかりに一つに纏められている。
その身に纏う鎧もまた武骨ながらも、滑らかな曲線が形取られていることから、それを纏う兵士が女の身であるということが分かる。
少女というよりも女性に近い曲線を描くその身躯と、暗闇の中でさえなお輝くほどに美しい髪だけを見れば、洛陽においても宮中に近い場所で華美な衣服を纏っているのが相応しいほどである。
だが、女性がこれまた武骨な二本の大斧を支えにしているのであれば、それを見た者は先とは違った印象を抱くことになるだろう。
女性に背後から近づく人物――徐栄は、それを少しだけ嘆かわしく思っていた。
育て方を間違えただろうか、と。
「ふうむ……もう少し力を抜いてはどうじゃ、琴音よ? そのように常から気を張っていては、いざという時に動けぬぞ」
「……しかし父上、詠殿と一刀殿の話では、この闇夜こそが一番警戒するべき時間であると――」
「それは儂とて分かっておるわ。今回の話に限らず、気の抜ける夜半から明け方にかけてはもっとも警戒する時間じゃということはな……じゃがな琴音よ、お主のそれは行き過ぎじゃ」
「? ……父上、おっしゃっていることの意味が分かりませぬが?」
「……では聞くが。もしや、そのままずっとそこに立っておるつもりか――戦況が動くまで?」
「ええ……それが武人の役目ですから」
否、明らかに育て方を間違えたかも知れぬ、と徐栄は頭を抱えそうになるのを何とか堪えながら、徐晃の言葉によって生じた頭痛をどうしようかと悩むこととなった。
今回、自分と徐晃に下された命は二つ。
汜水関虎牢関を迂回して洛陽を南から攻めんとする軍勢への対処、及びその撃破が一つ目でである。
北郷によって設立された諜報機関――忍とかいう部隊からの情報によって、反董卓を掲げた諸侯の連合軍は、陳留付近に集結した後に汜水関へと向かったという。
二十万という数に驚きはしたものの、彼の軍の進む先には堅城堅固と名高い汜水関と虎牢関が聳え立ち、そこには董卓軍の半数以上が籠もるのである。
如何に二十万の大軍勢とはいえ、容易く落とせるものでもないということを、徐栄は認識していた。
連合軍が南からの迂回を選択せずに、真っ直ぐに洛陽を目指した。
その報が忍によって徐栄達の元へ届けられて結構な時間が経つ。
それだけを見れば、既に徐栄達がこの場にいることは不要であり、ともすれば二十万もの大軍を相手にしている汜水関や虎牢関へと向かった方が良いのではないか、とも思われるが、それでもなおこの場に留まるということが二つ目の命とも言えた。
今回董卓軍が――北郷率いる汜水関防衛のための軍が執る策は、既に徐栄にも徐晃にも説明されている。
心理戦。
罠と火計と奇襲によって連合軍内にある対董卓軍という意識を散らして不満と不安を煽り、そこに内通という疑惑を持たせることによって更に混乱させて対董卓軍から意識をずらす。
なるほど、実にえげつない策だ、と徐栄は思う。
更には、策が成った後は闇夜に乗じて汜水関を放棄、虎牢関にて連合軍を迎え撃つという。
それまで優勢であった董卓軍が汜水関を放棄したという意図を連合軍は図りきることが出来ず、あまつさえ、その城門を開け放ってでもいればそれは恐怖と不安という感情に動くことだろう。
ともすれば、再び罠が待っているのではないか、と思う者も出てくるはずだ。
そして、必要以上に警戒すれば気持ちの面から疲労が色濃くなり、それは再び内通の疑惑という楔を強くする。
その策の全容を考えるに、徐栄は背筋が震えるのを感じていた。
「さらには、もし連合軍が汜水関を越え虎牢関へと迫った時は、儂らが南より迂回して再び汜水関を奪取、連合軍を虎牢関と汜水関の狭間に閉じこめる、か……」
「そのことなのですが、父上……私達に預けられている兵は五千にも満たない数です。これだけの数で汜水関を奪取などと、本当に出来ると?」
「まあ、出来んじゃろうな……否、そもそもそれはせんでも良いものだ、と儂は思っておるでな」
「一体どういうことですか?」
「なに、簡単なことよ……連合軍に打ち込んだ楔、それを打つ鎚の役割だということじゃ」
もし連合軍が虎牢関へと攻めている時に汜水関を塞がれてしまえば、連合軍はたちまちの内に逃げ処を失うこととなる。
昼夜問わずに駆けて汜水関に籠もる五千にも満たない兵など、総勢二十万もの大軍の前には霞よりも儚いものではあるが、かといって、汜水関へと力を注げば虎牢関からの挟撃に曝されることとなる。
ならば、軍を二つに分けてとも思われるが、ここで浮き出てくるのが内通の疑惑なのである。
将にも兵にも浸透させたその疑惑は、きっと連合軍内に不穏をまくことであろう――連合軍を裏切った軍勢によって挟撃されるのではないか、と。
かといってそれを恐れてしまえば、堅固な関に挟まれた形で連合軍は兵糧攻めを受けることとなり、結局の所は敗北の道しか残されていないのだ。
南の守備部隊が迂回して汜水関を落とすという命を受けている。
恐らく、これは連合軍としても予想していることだろう。
故に、頭の回る将はそのために虎牢関に攻めるを良しとせずに撤退を提案するだろう。
そして、それらの将が勲功を挙げていたとすれば、未だ勲功を挙げていない将はそれに反対し、虎牢関に攻めるべきであると頑なに主張することだと思う。
そして、連合軍は自らの行動によって、そこに打ち込まれた楔を更に深くしていくのだ。
「なるほど……今回の行動、その全てに策を成すための意味がある、と……」
「そうじゃ。じゃからこそ、ここにいることにこそ意味はあれど、敵が来ん内から気を張る理由もあるまいて。そもそも、儂らには臨機応変に動くことが求められておるのじゃぞ。今からその様では、それもままならぬだろうて」
「むう……」
悔しいけどその通りですね、と。
不承不承とでも言うかのように納得する自らの娘に、何時の間にこんなに頑固になったのか、と徐栄は思う。
昔はととさまととさまとそりゃあ可愛かったもんだが、と徐栄は過去のことを思うが、やはり華雄に師事させたのは失敗であったか、とも思う。
まあ、徐晃が武を扱うようになった頃には、未だ張遼も呂布もいなかったのだから、それも仕方のないことなのかもしれないが。
それでもこう、年頃の娘らしく振る舞ってほしいと思うのは儂の勝手かのう。
実の娘の成長を素直に喜べばいいのか、それとも育て方を――師事させる人物を間違えたのか。
過去の小さく可愛らしかった徐晃のことを思い出していた徐栄は、その成長の軌跡を思い浮かべている途中、あることに気付いて口を開いた。
「そういえば琴音や、お主、北郷殿とは何も無いのか?」
「……何も無いとは、どういう意味ですか?」
「どういった意味も何も――」
そして。
そこまで口を開いた徐栄はふと気付く――師事したのが華雄ならば、もしや年頃の惚れた腫れたといった感情に疎いのではないか、と。
北郷とは何も無いのか。
その質問が意図するところは、当然の如く彼の者に惚れたであるとか惚れられたであるとか――ぶっちゃけ孫が見えるのは何時になるのか、ということである。
常在戦場を心がけている徐栄からしてみれば、何時その命が絶たれるか分からない今において、娘の幸せが早いに越したことはないのだ。
もっと言えば、自らも幸せになれるような――ぶっちゃけ孫が見たい、と思っても不思議ではないだろう。
だが、目の前で首を傾げる娘からはそのような話、一切聞いたことがない。
それどころか、浮いた話どころか噂さえ聞かぬであれば、娘の幸せが――ぶっちゃけ孫が見えるのは何時になるのか分からないのである。
贔屓目に見ても、徐晃の目鼻立ちは十分に整っていると言える。
まあ、これは董卓軍において主要な位置を占める女性陣にも言えることなのだが、親の目から見ても、徐晃の容姿は十分に整っていると言っても過言ではない。
さらには、女性らしさを備えたその身躯があれば浮いた噂や娘を慕う人物も出てくるのであろうが、如何せん、彼女の武人としての堅い性格がそれを台無しにしていた。
ううむ、これではいかんな。
そう思った徐栄は、娘の性格を鑑みて迂回は不可と判断し、真っ直ぐに口を開いた。
「うむ。これだけの策を考えつく北郷殿は、これからの董家にとって必要な人物であると儂は思っておる」
「はあ……それは理解出来ますが……」
「そして、儂は董家にとって稚然に並んでの重鎮。その娘であるお主にも、当然その責は付いて回ることだろう」
「はい……それは重々に承知しております。しかし父上、一体何がおっしゃり――」
「故に、だ。琴音よ……お主、北郷殿を婿に取る気は無いか?」
「――たいの……で…………ッ、なあああああッ?!」
ななな、と。
まるで魚の如くに口をぱくぱくとさせる徐晃の意外な反応に、徐栄は中々なるほどとばかりにニヤリと口を歪ませる。
そのようなことは考えていない、とか、北郷に失礼だ、と返されるかもしれないといった予想に反した徐晃の反応に、実に珍しいものを見たと徐栄は思った。
「な、ななな何てことを言われるのですか父上ッ!? か、一刀殿が、私のむ、む、む……むこ…………あぅ」
「月様の婿殿にとも思ったものだが、まあこればかりは当人同士しか決められぬこと。故に、まあ先にお主にどうかと問うてみたのだが」
「な、なら私だって決めさせてもらっても良いではありませんかッ!?」
「それは別に構わんが……なんじゃ琴音、北郷殿のことは嫌っておるのか?」
「い、いえ……その……嫌っているかと言われれば……」
「言われれば?」
「うぅ……えと……嫌いでは、ありませぬが……」
耳まで真っ赤に染まった顔を金の髪へと埋めて恥ずかしがる徐晃に、徐栄はこうしておれば実に可愛らしい娘であるものを、と思う。
いつもの凜とした佇まいと武人としての風格などは微塵もなく鳴りを潜め、そこにいるのは初心な村娘かの如くの可愛らしい娘である――後々に北郷とこのことを話した時、彼はぎゃっぷもえとか何とか言っていたが、好意的な意味と受け取っても間違いはないだろう。
「ならば別に問題はあるまい? お主さえ良ければ、此度の戦が終わった折にでも北郷殿に声をかけてみようかと思っておるが」
「は、早すぎでしょう父上ッ。む、む、婿などと言う話、そう簡単に決めるものではないと思いますがッ」
「じゃが早きに越したことはあるまい?」
「そ、それは……そうですが……」
「ならば問題あるまいて。儂もそろそろ良い年じゃ。ぼちぼち孫の顔も見たいしのう」
「ま、孫ッ?! 父上にとってま、孫ということは私にとっては子供であって、私にとっての子供ということは、えと、その…………あぅ」
「……うむ?」
ううむ楽しみじゃのう、と娘の幸せを――ぶっちゃけ孫を見る楽しみに胸を躍らせようとした徐栄であったが、ふと静かになったと思ってみれば、顔を真っ赤にしてへたり込んでいる徐晃が視界へと入る。
元はと言えば、徐晃と北郷の間に子が生まれれば、その子は董家の次代を担っていく子として――将となることだろう。
そうすれば、董家に仕える者としてはこれ以上の奉公は無いであろうし、董卓の父である先代にも顔向けが出来るというものである。
さらには、北郷ならば徐晃を幸せにしてくれるだろう、との期待も込めてはいたが、それも彼女が北郷をどう思っているのかによるとばかりに考えていたのだが。
いやはや、先ほどの反応を見る限りではどうにも憎からずぐらいには想っているらしかった。
父として喜ばしいと想いつつも少しばかりのもやもやを胸に抱えながら、考えすぎて逆上せた挙げ句に顔を真っ赤にして目を回している徐晃の顔に、本当に珍しいものを見たとばかりに徐栄は自然と口元を緩めていたのであった。
**
「……恐らく、連合軍はここまでだと思います」
ふうむ、と。
灯りの炎が揺らめく闇の中、関羽は目の前の人物――諸葛亮の言葉に、腕を組んでいた。
軍議は失敗に終わった――失敗と言えるかどうかは分からぬが、成功とはとても言い難いものであったことには間違いはない。
罠、火計、奇襲といった董卓軍による数々の策略を受けた連合軍は、ただ一戦しただけにもかかわらず大きく疲弊していた。
それでなくても、軍を動かす上で――人が生きていく上で最重要でもある兵糧の大半を焼失させられたのだ。
兵と兵糧の損耗、士気と意欲の低下、さらには汜水関放棄のみならず連合軍を待ち構えているとでも言わんばかりに開け放たれたその城門。
その進んだ先に罠が待ち構えているであろうことは先の罠による痛撃から簡単に連想されるものであり、そしてそれは一連の策略をも連想させるものであった。
当然、好き好んで開け放たれた虎口に飛び込もうとする者はいない。
だが、董卓軍はその虎口の向こうにいることは明白であり、そういった現状を打破するためには連合軍全体が一丸となって動かなければいけないことは関羽とて承知していた。
だが。
董卓軍はそれすらも勘定に入れていたかのように、策略を張り巡らせていた。
公孫賛に同行する形となった義姉――劉備に従い軍議へと赴いた関羽は、そこでそれを目の当たりにすることとなったのである。
「……袁術さんの軍が罠にかかった後、最も戦場の動きを見抜いて動き、築かれていた陣を抜いて最も功を上げた孫策さんの軍……洛陽の富と権力を求めて連合軍に参加しながらも功を上げることの出来なかった諸侯からすれば、これ以上の邪魔者はいないでしょう。そして、董卓さんからしてみても、これ以上の標的はいないと思います」
「む……邪魔者を排斥出来る形だからこそ、董卓軍の策を――内通の疑惑を信じたというのか?」
「あっ、いえ……信じた、というわけではないと思います。ええっと……その、愛沙さんには考えられないかもしれませんが、言い訳、としたかったのではないかと……」
じりじり、と。
暗い天幕を少しばかり明るくする灯りに照らされながら、関羽は油が焼ける音を酷く不快に感じながらも思案する。
言い訳、と諸葛亮は言った。
現状、連合軍は一度敗れたとはいえ、二十万という兵力は――ある程度は減ったためにおおよそは、であるが未だ健在である。
兵糧を失ったことは痛手ではあったが、それも早急に虎牢関へと迫り、時間をかけずに攻略することが出来れば洛陽に至るまでにはそれほど不足という訳でもない。
であるのに、何故言い訳を用意することがあるのか。
そこまで考えた時、関羽の中で一つの案が浮かび上がる。
「まさか……」
「……そのまさか。愛紗お姉さんの考えた通り、敗戦の言い訳に孫策を使うつもりだと思う。孫策が裏切ったから連合軍は負けたのだ、と。……もしかしたら、裏切り者がいるから、という理由で撤退の口実にするかもだけど」
ゆらり、と灯りが揺らめいて、関羽の右隣に座る人物――田豫が静かに口を開く。
いつから呼ばれたか美髪公という名が自らに付いていることは関羽とて聞いたことがあるが、こうして暗い中で田豫のそれと比べてみれば嫌でもその違いに目が引き付けられる。
自身の髪とて決して悪いと言う訳ではない。
むしろ、その理由こそ不可解にせよ美髪公という名が付けられるほどなのだから、それも理解出来るものである。
だが、同じ配色に近い田豫の髪は美しいというよりも、どこか妖しさを感じさせるものであった。
ゆらりと揺らめく灯りに蠢くがごとく――それこそ、ぬらりとした妖しい輝きを放つ田豫の黒髪は、その下に続く肢体が義妹である張飛が如く未成熟であると知りながらも言い様のない色気を放っているかのようであった。
「くそッ、まだ連合軍は負けてなどおらぬと言うのに……」
「で、でしゅが、実際の被害はそれほどでなくとも、将兵の士気は著しく低下していますので……この状態で虎牢関を落とすことはかなり困難だと……」
「……下手をすれば汜水関の二の舞になる。後ろを気にして、兵糧を気にして、虎牢関の董卓軍も気にして。そんなことをすれば、今よりも士気が落ちるのは当然のこと」
「士気が落ちれば勝てるものも勝てなくなります。そして、疲弊させて疲弊させて、連合軍が負けを認めて撤退を始めた時を狙い突かれてしまえば……」
敗北します。
そう言葉に紡がずに語る諸葛亮の視線に、関羽は胸に溜まる重苦しい空気を吐きだした。
まるで蜘蛛の糸だ、と関羽は心の内で舌打ちする。
動けば動くほど雁字搦めに捕らえられていき、身動きの出来なくなった時を見計らって止めを刺す。
これが一個体であるならば、ただひたすらに逃げるという目的のためだけに動き、いざとなれば蜘蛛の糸に近づかないといった選択も取れたことだろう。
だが、群体とも呼べる連合軍において、己の私欲や理念、覇道のためにと好き勝手に動いてしまえば、もはや一度かかった蜘蛛の糸から逃れることなど到底予想も出来ないことであった。
そうして関羽は悩む。
如何するべきか、如何に動くべきか、と。
劉備は、軍議が終了した後に張飛を護衛にと付けて将兵の慰労にと動いている。
時間からすればもうそろそろ帰ってくるころだろうが、そこで今の話をして判断を仰いでみるべきか、とも思う。
本来であるなばら、当初から劉備を交えてこういった話はするべきなのだろうが、何分あの戦いの後だ、将兵の慰労を先にとする劉備の心情も理解出来ていた。
仕方あるまい、と関羽は一つ息を吐く。
劉備が帰ってきた後に、判断を仰ぐ。
政略、軍略、謀略、そして軍の指揮。
それぞれ関羽達が担当していると言っても過言ではないそれらであるが、最終的な決定は義姉であり主でもある劉備が行うことである。
今回のことについても、進めば将兵を危険に晒し、退けば洛陽の民を見捨てることになるのであれば、関羽が勝手に判断を下してよいものでもない。
何より。
何より、劉備ならばそういったしがらみもなくそのどちらをも守るような考えを出してくれるのではないか、そう関羽は何となしに感じていた。
劉備が帰ってくるまで待つ。
そう諸葛亮達に告げた関羽であった――が、そんな思惑は関係ないとばかりに、連合軍は判断を強いられることとなる。
孫策、帰還のために行動す。
その報が関羽の耳へ飛び込んできたのは、夜も白け始めようかという頃、眠たげな劉備を迎えて先の話をしようとした、その矢先であった。