強大な剄と剄がぶつかり合う。剄の波動が強風を巻き起こし、その中心では二人の強者が対峙していた。
「こんなにも心踊り、楽しい戦いは初めてですよ、レイフォン!」
「相変わらずですね……サヴァリスさん」
ハイテンションなサヴァリスと、ローテンションのレイフォン。
天剣授受者VS元天剣授受者。
武芸者として最高峰の実力を持つ二人による試合形式の対戦。だが、それは試合というよりももはや死合だった。
一応錬金鋼には安全設定が施されているが、そんなものは何の慰めにもならないだろう。強大な剄を纏い、強力な一撃で殴られれば容易に撲殺されてしまう。
汚染獣すら屠る天剣授受者の一撃だ。人がまともにその一撃を受ければひとたまりもない。
「アーッハッハッハ、本当に良かった。グレンダンを出てきて本当に良かった! レイフォン、僕をもっともっと楽しませてください!!」
「知りませんよ、そんなこと」
だというのにサヴァリスは笑っていた。歓喜し、狂喜し、乱舞する勢いで叫んだ。
レイフォンの気持ちなど歯牙にもかけない。重要なのは自身の楽しみのみ。
強者との戦い、それがサヴァリスの求めているもの、彼の全て。
「ああ、この気持ちはなんなんだろう? マイアスで戦って以来、一日たりとも君のことを忘れたことはなかった。陛下と戦った時には感じなかったこの気持ち。そうか、そうなんだね!? これが恋なんだ!」
「気持ち悪いこと言わないでください!」
サヴァリスの戯言にレイフォンは本気で殺意を抱いた。
刀を力任せに一閃させる。放たれる衝剄、切り裂かれる空間。
衝剄とカマイタチの刃をかわし、サヴァリスは両腕を広げて高々と宣言した。
「君の圧倒的な力に僕は心を奪われた。この気持ち、まさしく愛だ」
「本気でやめてください!」
心の底から嫌悪を抱き、レイフォンはサヴァリスに斬りかかる。
神速の太刀筋。瞬きする間も与えぬ一瞬で、三度も斬りつけた。
その三連続の斬撃を、サヴァリスは手甲で防ぐ。
だが、完全に防ぎきることは出来なかった。手甲は罅割れ、破片が飛び散る。
重い一撃に腕が痺れ、鈍い痛みが走った。レイフォンの一撃一撃が必殺の威力。その事実にサヴァリスはさらに喜びをあらわにする。
「抱き締めたいな! レイフォン!!」
「黙れ!」
レイフォンの殺意が増す。錬金鋼に込められる剄が増し、刀身が青白く変色した。
錬金鋼の限界ギリギリまで剄を注入しているからだ。死合と化しているが、これはあくまで試合。学園都市指定の錬金鋼を使用しているため、レイフォンの本気の剄には耐えることが出来なかった。
それでも多量の剄が込められ、強力無比な一撃。一閃。サヴァリスどころか野戦グラウンドに植えられている人工的な林をも薙ぎ払う。
生まれる暴風。大地が捲り上がり、小規模な竜巻が発生した。
「よくよく考えれば、僕たちは運命の紅い糸で結ばれていたんだろうね。そう、こういう風に戦う運命にあったんだ」
「……殺す」
が、サヴァリスは無事だった。確かにレイフォンの刀はサヴァリスを襲い、彼を両断したかに見えた。
だが、それは残像。サヴァリスの十八番、ルッケンスの秘奥である千人衝だった。
既にレイフォンの周りを千にも及ぶサヴァリスが包囲している。囲まれるレイフォンだったが、彼の瞳からは光が消え、虚空を見つめているような無表情でサヴァリスを見据える。
この程度のことを危機などとは思っていない。むしろ好機とすら思えた。サヴァリスを殺れる好機。
刀身が幾多にも分裂し、形を変えていく。鋼糸。リンテンスに仕込まれた多数の敵を一気に屠ることの出来る剄技だ。
千のサヴァリスに向け、レイフォンは鋼糸を振るった。
「す、凄い……」
野戦グラウンドで展開される高レベルな戦闘。それを目の当たりにし、ニーナはそうつぶやくことしか出来なかった。
レイフォンとサヴァリスが戦うこととなり、生徒会長であるカリアンの計らいで野戦グラウンドの使用が許可された。
天剣授受者VS元天剣授受者の試合だ。見て学ぶという言葉もあり、得るものも多いだろうということで、その試合風景は武芸科の生徒ならば誰もが自由に観戦できるようになっていた。
その中には小隊員の姿もちらほら見える。というか、小隊に所属する者はほぼ全員がこの試合を観戦していた。
それも当然だろう。レイフォンはツェルニの最強戦力。そんな彼と並び証される者の戦闘。興味が湧くのは当然であり、来年度の対抗試合などに向けての対策などが練られているはずだ。
もっとも、あのような戦闘を見せ付けられては策などなにも意味を成さない。
なぜなら次元が違うからだ。未熟者の学生達が、策でどうこう出来る相手ではない。相対すれば、対峙すれば一瞬でやられる。足止めすら出来ないだろう。
「おっかねぇ……ゴルネオの兄貴さんも恐ろしいな」
ニーナの隣ではシャーニッドが唖然とつぶやいていた。
その言葉にはまったくの同意だ。あの戦闘を前にし、平然としていられる者など皆無だろう。
「レイフォンの奴もやりすぎじゃね? 野戦グラウンドが更地になっていくぞ」
破壊されてゆく野戦グラウンド。人工の林は全てが薙ぎ倒され、地面が抉れる。
その中心では天才2人が戯れ、さらに野戦グランドを荒らしていた。もはや天才というよりも天災。
剄の波動で突風が巻き起こり、小規模な竜巻も発生していることから洒落になっていない。
「ここにいると、物凄く危険な気がします……」
「確かに……」
ニーナの隣、シャーニッドとは反対側の席に腰掛けていたフェリがポツリともらす。ニーナも頷いた。
野戦グラウンドで争う2人を中心に巻き起こる強風。バタバタと体を打ち、髪がたなびく。目を開けることすら困難な状況だった。
「流れ弾とか飛んできそうだな」
野戦グラウンドでは衝剄が飛び交う。地面に当たり、粉塵を巻き起こし、周辺に及ぶ被害を加速させていた。
その中の一発、流れ弾が観客席に飛び込む。幸いにもその周辺に人はいなかったが、阿吽絶叫の悲鳴が響き渡った。
「……マジで飛んできたぞ、オイ」
「……………避難しましょうか」
「だな……」
頷き合い、シャーニッド達は席を立つ。観客席にいた武芸科の生徒達も席を立ち、速やかに避難を始めていた。
激しさを増す戦闘。ほとんどの観客が姿を消す中、それでも構わずにレイフォンとサヴァリスは戦い続けていた。
「観客席に衝剄が飛んだじゃないですか! フェリに当たらなかったから良かったものの、もし当たってたら肉片も残らずにぶっ殺しますよ!!」
「是非お願いします! もっとも、できればの話ですが」
レイフォンの鋼糸が次々とサヴァリスの残像を切り裂く。
千を超えたサヴァリスの姿は急激に減っていくものの、彼に焦りなんてものは微塵も存在しなかった。
「行きますよ、レイフォン!」
残りの残像で四方八方から一斉に襲い掛かる。
上下左右、前後ろを抑えた360度の逃げ場を与えぬ攻め。
鋼糸の隙間を縫って攻めてくるサヴァリス。それに対して、レイフォンは空いている手で衝剄を放った。
「おっ!」
サヴァリスが感心する。レイフォンは掌から真下に向けて衝剄を放ったのだ。
粉砕され、飛び散る地面。土塊や石が周囲に飛散する。それに当たったサヴァリスの残像はさらに数を減らし、レイフォンが抜け出る隙間を作ってしまった。
さらには土煙による即席の煙幕。レイフォンの姿を完璧に見失ってしまい、サヴァリスはにやりと口元を釣りあがらせる。
「姿を消しましたか。なら、周辺を纏めて吹き飛ばすまでです!」
外力系衝剄化錬変化、気縮爆(きしゅくばく)。
サヴァリスの剄技が眼前の大気を圧縮させ、爆発させる。
巻き起こる爆風。土煙は一瞬で晴れ、レイフォンの姿があらわとなった。
「もらったァ!」
外力系衝剄の変化、剛昇弾(ごうしょうだん)。
続けられるサヴァリスの剛の一撃。砲弾と化した強烈な衝剄がレイフォンに襲いかかる。
着弾、命中。いくらレイフォンでもあの剄技をまともに喰らえばただでは済まないだろう。
そう判断し、サヴァリスは半ば勝利を確信した。確信し、その思惑が盛大に裏切られる。
「もう、十分遊びましたよね? そろそろ終わらせましょうか」
剄を喰らう黒い翼。衝剄を跳ね除け、土煙を完全に払い、背中から翼を生やしたレイフォンは悠然とその場に立っていた。
使っていた錬金鋼は負荷に耐え切れずに破損する。だが、そんなことはもう既に関係ない。
廃貴族が憑り付き、新たに編み出されたレイフォンの剄技。これに錬金鋼は必要なかった。
仮に名をつけるとするなら、外力系衝剄化錬変化、黒翼(こくよく)。
剄が凝縮され、半物質化した破壊の翼。それがサヴァリスに向けられる。
「くくくっ、ははは、あーっはっはっは! 終わらせるなんてとんでもない。やっと楽しくなってきたところじゃないですか!! もっともっと楽しみましょう、もっともっと心躍る戦いをしましょう! この程度じゃ終われない、終わるわけには行かない! レイフォン、僕の全てを受け止めてもらいますよ!!」
拍子抜けも、落胆も、驚愕もない。サヴァリスはレイフォンを仕留め切れなかったことを悔いることはなく、むしろ喜んでいた。
歪む、表情がこれでもかというほどに緩み、なんともいえない感情が溢れ出てくる。
その姿はまさに最狂。サヴァリスの狂喜が、レイフォンに向けられた。
「うわぁ……」
観客席ではほとんどの者が既に避難を終えていた。それは裏を返せば、僅かに人が残っているということだ。
避難せず、観客席に残り、この戦闘を、天災を見入っている者がいた。
「凄い……凄い凄い凄い!」
その者の名はレオ・プロセシオ。前に第十七小隊の訓練を見学しに来たことのある一年生だ。
そんな彼が、野戦グラウンドの中心で激突する二人を眺めていた。
体が震える。衝突する剄の波動にピリピリと痛みを感じる。恐ろしい、怖い。次元が違い、参考にすらならないほど遥か高みの戦闘。
あの二人の前ではツェルニのエリート、小隊なんて言葉はかすんでしまう。
強者に対する憧れ。それは向上心のある武芸者なら当然のことだろう。レオも例外ではなく、目の前で激戦を繰り広げる二人の強者に対して熱っぽい視線を向けていた。
強くなりたい。心の底からそう思う。あの高みに自分も上れるというのなら上りたい。そのためだったらなんだってやってみせる。この時のレオは、こう思っていた。
「本当に凄いですね」
「えっ……」
声がかけられた。思考にふけっていたレオは今の今まで気づかなかった。
レオの隣には一人の少女が腰掛けていた。サイドポニーの黒髪と、一筋の白髪が特徴的な少女。
彼女は笑っていた。なんともいえない笑みを浮かべ、レオに語りかけてくる。
「ほとんどの方は余波を恐れて逃げ出したというのに、あなたはここに残っています。凄いですよ」
「あ、いや、別にそんなことは……」
意外なことを褒められ、レオの顔が赤く染まる。気恥ずかしさだけではなく、照れも原因だった。
笑いかけてくる彼女の顔はとても美しい。綺麗というよりも可愛らしいという表現がぴったりの美少女。その美貌に思わず見とれてしまった。
「憧れますよね、本当に」
「……はい」
レオは少女の言葉に相槌を打つ。だがそれは上の空で、心ここにあらずといった感じだった。
これが初めての出会い。レオとクラリーベル・ロンスマイアの初遭遇だった。
「終わりなんですよ、これで」
レイフォンはただ、動いただけ。目にも止まらぬどころか、目にも映らぬ速さで高速で。
それは空間を切り裂くほどに速く、音速すら超えた超高速の移動。膨大な剄を纏う翼から衝剄を放つことによって驚異的な加速力を得る。
類似した剄技に背狼衝があるが、それとは比べ物にならない速度。旋剄やサイハーデン刀争術の水鏡渡りすら凌駕する。
その移動の余波だけで空間が切り裂かれ、とてつもない衝撃波が生まれた。回避不能、不可視の真空の刃がサヴァリスを襲う。
「いいえ、終わりませんよ」
体が切り裂かれる。血飛沫が上がり、サヴァリスの体の至る所に裂傷が走っていた。
それでもサヴァリスは笑っている。ニタリと不敵な笑みを浮かべ、傷だらけの体でレイフォンの背後に回って漆黒の翼をわしづかみにする。
「なっ!?」
レイフォンの表情が驚愕に彩られた。サヴァリスの笑みがさらに深まる。
耳元でささやくように、ぼそりとつぶやく。
「かっこいいですねぇ、この翼。捥ぎり取ってしまいたくなるほどに!」
それと同時に力を込める。言葉の意味どおり、サヴァリスはレイフォンの漆黒の翼を捥ぎり取ろうとしていた。
だが、驚愕していたレイフォンの表情が次第に冷ややかなものへと変化していく。
「一応言っておきますが……それって剄が半物質化したものですよ」
「ぐふぅ……」
言うや否や、サヴァリスの体が吹き飛んだ。漆黒の翼から吐き出される衝剄。
サヴァリスは防御すらまともに取れず、近距離での直撃を受けてしまう。レイフォンの移動速度と同等、またはそれ以上の速度で吹き飛ばされ、野戦グラウンドの壁にめり込んだ。
サヴァリスから笑みが消える。苦悶の表情を浮かべ、口からは大量の血を吐き出していた。が、それも一瞬のこと。すぐにサヴァリスの笑みは復活し、壊れたように高々と笑い声を上げた。
「は……はは、あはは、あーっはっはっは! くくっ、くははは、はははは!! もう笑いが止まらないよ、レイフォン! 楽しすぎて困ってしまいそうなほどだ。この時が永遠に続けば、それはどんなに幸せなんだろう!!」
のめり込んだ壁から抜け出し、ふらふらの体で立ち尽くす。
笑ってはいるが、サヴァリスの体は既に限界だった。
「さぁ、レイフォン。戦いを続けましょう……もっとです、もっともっと! もっと戦いましょう!!」
サヴァリスが歩み寄り、レイフォンとの距離を詰めてくる。もはや走る力すら残っていないようだ。
そもそも、戦いを続けるどころか、動ける状況ですらない。サヴァリスの傷は深く、常人なら当の昔に意識を手放しているだろう。いや、普通なら死んでいる。
だというのにサヴァリスは動いていた。だというのにサヴァリスは戦おうとしていた。
意識を保ち、レイフォンとの距離を一歩一歩確実に詰めてくる。あと少し、あと数歩という距離でサヴァリスが転倒した。
「レイフォン……れい、ふぉん……」
起き上がろうとするが起き上がれない。既に限界を超えているサヴァリスの体はいうことを聞かず、もう指一本動かす力すら残っていなかった。
這い蹲った状態で、視線だけをレイフォンに向ける。未だ薄れぬ闘志。
「サヴァリスさん。あなたの負けです」
その闘志をへし折るようにレイフォンが言う。言葉を向けられ、尚もサヴァリスは笑い続けていた。
「ははは……体がぴくりとも動きません。まだ戦いたいのに、まだやりあいたいのに、体が言うことを聞いてくれません。悔しいですね、残念ですね。こんなに楽しかったのは初めてですが、こんなに心残りなのも初めてです」
「もう十分でしょう? 僕はこれ以上、付き合う気はありませんよ」
「本当に残念です……」
「約束は覚えていますね?」
「ええ、それはもちろん」
レイフォンが勝ったら、廃貴族を諦めるとの約束。それを取り付け、レイフォンは肩の荷が下りたように息を吐く。
とりあえずはこれで一安心と思ったレイフォンだが、続けられたサヴァリスの言葉に表情が引き攣った。
「この怪我が治ったら、早速リベンジさせてもらいますね」
「へ……?」
今、サヴァリスはなんと言った?
「廃貴族は諦めるって……」
「ええ、諦めますよ。そんなもの、もう僕にはどうでもいい。ですがレイフォン、君にちょっかいをかけないとは約束していません」
悪びれもせずに、平然と言うサヴァリス。レイフォンは呆然とし、唖然とし、剣帯に収められていた新たな錬金鋼を取り出す。
レイフォンの全力に耐えられる特別製の錬金鋼。試合だから今までは使わなかったが、もはや容赦はしない。
「とりあえず、死んでもらえますか?」
レイフォンの眼は割りと本気だった。
†††
「野戦グラウンドが全壊か……凄いね」
「そんな言葉で済ませられる問題か?」
レイフォンとサヴァリスの戦いが終わり、現在、生徒会室。
そこではカリアンが資料に目を通し、ヴァンゼが呆れたようにぼやいていた。
「修復するより、建て直した方が安上がりかもしれないね」
「よくもここまで破壊してくれたものだ……」
「でも、収穫はあったんじゃないかな? グレンダントップクラスの実力の持ち主同士の対決だ。途中で避難を余儀なくされたとはいえ、参考程度にはなっただろ?」
「あんなものが参考になるか。レベルが違いすぎる」
「頼りない言葉だね」
「黙れ!」
「それはそうとヴァンゼ君」
「なんだ?」
「修繕費の予算、どうしようか?」
「……どうするかな?」
首脳陣二人は、野戦グラウンドの修復費に頭を悩ませていた。
「弟子にしてください!」
「………えっ?」
試合後、レイフォンの元を訪れてきた一人の少年。彼は真剣な眼差しでレイフォンにそう訴えてきた。
レイフォンは彼のことを知っていた。前に第十七小隊の訓練を見学していた人物、レオだ。
強くなりたいと思いつつ、当初は訓練に戸惑いを抱いていた彼だが、今では真剣な目でレイフォンを見つめてくる。
突然の願い出に戸惑うレイフォンだったが、治療を終え、包帯だらけのサヴァリスが姿を現した時、思わず戦慄してしまった。
「面白い話をしてますね。君、名前はなんですか?」
「レオです。レオ・プロセシオです!」
「そうですか、レオですね」
サヴァリスは笑っていた。戦闘の時に発する狂った笑みではない。
新しい玩具を見つけたような、無邪気な子供のような笑みだった。
「強くなりたいですか?」
「はいっ!」
「そうですか……なら、微力ながら僕も力を貸しましょう。君を強くしてあげますよ」
「ええっ、いいんですか!?」
「はい」
レオからすれば、サヴァリスも自分の遥か上を行く実力者だ。そんな人物が訓練を付けてくれる。
それはとても魅力的で、望む展開だった。だが、彼は知らない。それが地獄への片道切符だということを。
(僕はまだ、弟子にするなんて言ってないのに。そもそも僕は弟子を取るなんて立場じゃ……でも、もしそうなればサヴァリスさんの興味は僕じゃなくてレオに向く?)
乗り気ではないレイフォンだったが、思考を巡らせ、ある決意をした。
そう、レオを生贄にする決意を下した。
「僕は師匠なんて呼ばれる立場じゃないけど、君が本気で強くなりたいというのなら力を貸すよ」
「ありがとうございます、レイフォンさん。いえ、師匠!!」
「だから師匠って立場じゃ……それに同い年なんだから別に呼び捨てでも……」
「いえ、そういうわけにはいきません! これからよろしくお願いします、師匠!」
レオは近い将来、この選択を心から後悔するだろう。無茶苦茶なサヴァリスと、厄介ごと(サヴァリス)を押し付ける気満々のレイフォン。
この日を境に、ツェルニからは阿吽絶叫のレオの悲鳴が途絶えることはなかった。
あとがき
今回はレイフォンVSサヴァリス戦。サヴァリスの台詞の元ネタは……わかる人にはわかりますよね?
阿修羅すら凌駕する勢いのサヴァリスでしたが、レイフォンは凌駕できませんでした。
レイフォン、ほとんど刀使ってない(汗
まぁ、別にいいかw
そして無理やり、後付け感もしますが、前にやった史上最強の弟子レオの複線だったりw
こじつけ理由っぽいけどレイフォン達に弟子入りしたレオ。彼の地獄はこれから始まる!?
グレンダン編ではレオと天剣授受者の弟子達の戦いなんか書きたいですねw