《必読》次回からその他板で更新します。
友人と話あった結果、試作品ではなく、本腰でやろうかなって思ってます。
風邪をひきました。次回の更新が遅れるかもしれません。
この作品は完全に作者の趣味で書きました。
深い考察など一切ない、パラレルワールドのギアスです。
キャラ設定や世界観、その他が崩れていると嫌な方はお帰りください。
別にいいやっていう心の広大な方だけお読みください。
更新は毎週木曜か日曜の深夜とします。
ルルーシュの出陣式より一週間が経過した初旬。
帝都ペンドラゴンでは、ブリタニア帝国第二皇女コーネリア・リ・ブリタニアが出立の準備に追われていた。昨日やっと中東出兵を皇帝陛下に任じられたのだ。なにぶん、急遽決まったことなので大忙しだった。
ギルフォードやダールトン、グラストンナイツらも、この戦争には参戦する。
かなりの大人数での出兵となるため、航空艦への荷の積み込みは、かなり時間がかかりそうだった。宮殿でもコーネリア付きの侍女たちが、身の回りのものをせっせと運び出していっている。コーネリア自身も中東の情勢や、補給路の確認など仕事が山積みで、休む暇もない。
(クロヴィスめ)
そうした忙しさに追われていても、コーネリアはふとした拍子に昨日のことを思い返さずにはいられない。突然、皇族会議で挙手したクロヴィスは、こともあろうに―――――。
「僕にエリア11の統治を任せて欲しいっ」
などと言ってのけたのだ。今、記憶を反芻しただけでも、鳥肌が立つ思いがする。
エリア11はサクラダイト産出量世界有数の土地だ。それだけ皇族の中でもあそこを統治したいと言い出す者は数知れず。だのに、あまり能力の高くないクロヴィスが無理矢理ポストにおさまったのだ。
兄弟姉妹達からの批判を無視して……。
「ナナリーが亡くなった土地だ。僕が綺麗にしたいっ」
その意気込みは素晴らしいが。
(ラ家の力を使ったのはいいが……。暗殺されても知らんぞ)
コーネリアは唇をきつく噛みしめる。
ブリタニア皇族はどいつもこいつも皆おかしい。宮殿の中で殺し合いを繰り返している。
地位や財産を手にいれる為、血で血を洗う競争を繰り返しているのだ。
特に最近、皇位継承権争いが激化しているように思う。
一番能力のあるシュナイゼルがEU侵攻でいなくなったことで、ブリタニア宮殿の内部を自分の派閥の色で染めてやろうという者が暗躍していた。コーネリアにもどこそこの陣営に加われという誘いが何通も届いたが全て無視している。
コーネリアにとって、兄弟とはかけがえの無い者だった。
競争は人を成長させるが、殺し合いまでするつもりはない。
特に最愛の妹であるユーフェミアに、このような醜い世界を見せるのはあまりに胸が痛んだ。
―――妹は私とは違う。皇族であっても自分を見失わず、いつまでも優しい素直なユフィ。
口の悪いカリーヌなどはユーフェミアのことを、何もできない無力な偽善者と影で嘲笑っているようだが、それは違う。
―――理想を夢見て何が悪い! 醜い現実を変えようともせず、汚く蠢くお前達は何様だ!
コーネリアがちょっと脅しをかけると、すぐに苦笑いを浮かべ、その実逃げるように退散していくだけの根性なしどもだが……。
(しかし―――立場上、私も安穏とはしていられん。皇位争いが本格化しないうちに、ユフィを守る策を練らねば)
コーネリアが出陣している間、これからユフィは一人になる。
リ家のSPやダールトンの部下が側についているが、それでも心配なのは変わりない。
(中東をさっさと攻略し、ペンドラゴンへ戻らねばな)
そして余裕があれば―――。
と、コーネリアが考え事をしていたその時だった。
「コーネリアお姉様。ユーフェミアです。少しお話よろしいでしょうか?」
ユーフェミアが神妙な顔をして、扉から顔を覗かせたのは。
ピンク色の髪に蒼色の瞳、まだ幼い無邪気な少女である。
コーネリアにとっては、歳の離れた愛しい実の妹だ。自然と心が和み、その態度も軟化してしまう。
「ああ、構わない。入っておいで、ユフィ」
「お忙しい中、申し訳ありません。ですが、お姉様に大事なお願いがあるのです」
「お願い? 言ってご覧。お前からの頼みだ。無茶なものでなければ、何でも好きなものをプレゼントしよう」
コーネリアはユーフェミアの髪を一房とり、手袋ごしにそっと撫でた。
サラサラした美しい髪だった。
幼い頃からこうしてユーフェミアをあやしたものだった。
あの時はルルーシュやナナリーも一緒だったな、と深い感傷に浸ってしまいそうになる。
しかし、そんな思いは、次のユーフェミアの一言で吹っ飛んだ。
「―――私をお姉様の御名において、ルルーシュの援軍として出兵させてもらえませんか?」
「……い、今なんと言った?」
「ですから、私をルルーシュの援軍に―――」
「ならん!」
「ひぅっ」
コーネリアから出た怒声に、ユーフェミアの肩が一気にすくみあがる。
涙目になるユフィ。
「あ、ああ。ユフィ、怒鳴って悪かった……。っだがな、お前には戦争など無理だ」
「そんなことありませんっ。ナイトメアにだってちゃんと乗れますっ」
「軍略は? 戦闘指揮の経験は? まるでないだろう。そんなお前がルルーシュのもとへ行ったとて足手まといになるだけだ。わかるだろう」
「う~~……」
幼いふくれっ面をコーネリアに見せ、精一杯抵抗を示す愛すべき妹。
コーネリアはため息をついて、安心させるようユーフェミアの頭を撫でてあげた。
「大丈夫。幸い私の出陣先は中東だ。アラビア半島の北側にある砂漠だらけの土地らしい。私がさっさと中東を片付けて、アラビア半島を南下する。そうすればルルーシュが今戦っている連中を挟み撃ちにできる」
「そうなれば、ルルーシュは助かるんですか?」
「ああ。約束する。ルルーシュは死なせない。もしかの時は、ベアトリスを頼ろう。グラストンナイツを派遣する手だってある。だから、安心しろ、ユフィ」
「……はい。お姉様がそう仰るなら信じます」
「いい子だ」
コーネリアはまだ小さいユーフェミアを抱きしめる。
ルルーシュは今頃少ない兵力で、敵と交戦している最中だろうか。
それともそれ以前に、十四歳の若さで隊を率いることができるのか。
ルルーシュとて幼い頃から可愛がってきた自分の弟であり、今は亡き尊敬するマリアンヌ皇妃の息子である。
できるなら助けたい。
いや、助けて見せる。
そもそも、コーネリアには後悔がある。
どうしてビスマルクになど頼ったのか。ルルーシュ生存の報を受けた時、どうして自分が引き取るなり、後ろ盾になるなりしなかったのか。確かにリ家はルルーシュ受け入れについて慎重な意見を取っていた。だが、そんなもの今の成長したコーネリアの権力なら、無理矢理納得させてルルーシュを引き取ることくらいできたろう。そうすればルルーシュを、無駄な皇位争いから守ってやれたかもしれない。
そう思うと、絶対に助けてやらねばという意思が強くなってくる。
その時だった。
ユーフェミアが両腕をコーネリアの腰に回し、ぎゅっと抱きしめてきたのは。
「お、おい。どうした、ユフィ?」
「ルルーシュも心配ですけど、コーネリアお姉様も心配です。どうか、どうか無茶はしないでください」
「……ユフィ」
小さく肩を震わせるユーフェミアを、コーネリアも優しく抱きしめ返してやる。
やはりこの妹に争いは似合わない。人殺しなどさせてはいけない、と強く思う。
(ユフィを常に見守ってくれる者がいればいいが……。できれば女子がいい。士官学校の中でユフィの歳に近いものを見繕うか。リーライナとかどうだろう?)
ルルーシュ初陣。
シュナイゼルのEU侵攻。
クロヴィスのエリア11赴任。
そして自分の出兵。
それに合わせてますます皇位争いも激しくなるだろう。
優しく穏やかなユーフェミアの将来が、さらに心配になるコーネリアだった。
『コ―ドギアス・中から変えるしかないルルーシュ』
『第五話』
砂に覆われた視界から姿を表したのは、白いターバンで頭を包み、アラブ人特有の濃いひげを顔中に生やした戦士たちの集団だった。砂漠の小山状になったところへ戦車を配置し、北門と、アデン基地の南東側にあるKMF倉庫とに同時砲撃をかける。
兵舎と基地はいかにも蜂の巣をつついたような騒ぎになっているようだが、ブリタニアの部隊がなかなか出てこない。
アラビア連合軍、サウジアラビア州軍部隊隊長サウードが、ヘルメットの下でにやりと唇を歪めた。浅黒い肌に、大きな目というアラブ人の典型とも言える容姿をしている。
「情報どおりだ。ブリキの糞どもめ、ビスマルクがいなくなって、すっかり腑抜けてやがる」
迎撃態勢を整えてはいたが、これでは一斉攻撃をかけた方が話は早そうだ。
サウードは砲撃をさらに苛烈に連続させた。彼の見つめる先で、外壁に穴が穿たれ、門の左右を固める棟が横倒しになる。ブリタニア兵士の悲鳴が、防壁を超えてこちらまで響いてきそうなほどだった。
サウードが砂に埋れた大きな布を取っぱらうと、横流しや拿捕して手に入れた数台のグラスゴーがそこにはあった。正規品より低スペックであり、元々は敵の兵器であるナイトメアを使うことに若干の抵抗はあるが、勝利の為なら何でもすると、そう神に誓っていた。
彼自らその機体に乗り込む。
「東南の敵軍KMFには、我々主力部隊が当たる。ファハドはバミデスと戦車隊を率いて北側に待機。出てくる敵を砲撃せよ」
『了解……』
砂嵐にうたれた隣のグラスゴーがカメラにうつる。
ちなみにバミデスとは、ナイトメアよりも大きく、高い機動力を誇る大型の戦車だと思ってもらいたい。その巨体は進路を阻む全てのものを粉砕し、自慢の砲撃で敵を寄せ付けないアラビア軍自慢の兵器だ。
ザウードは緊張しているであろう部下に笑いかけた。
「なぁに。どうせ敵は浮き足だっている。適当に相手をしてやれ」
アデン基地にろくな兵力がないのはすでにわかっている。基地近くにあるサナワの街に斥候を配していたのが功を奏した。ビスマルクの部隊が引き上げた以上、アデンにいる兵は千にも満たないだろう。サウードが率いてきたアラビア軍も三百と少数だが、その後方にもまた南下してくる援軍がある。合流すればブリタニア軍の二倍にはなろう大軍だ。その後続部隊はイエメン州西部から南下していき、反対側の西門の方を攻める手はずとなっている。敵がサウードに集中してくれれば、挟み撃ちもより効果があがろうというものだ。
(この一戦でブリタニア皇子、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの首が手中にできるやもしれん)
グラスゴーのファクトスフィアが開き、夜の闇に不吉な閃光を放つ。
一方、アデン基地内はサウードが見た通り、混乱の極みにあった。
基地内を大慌てで駆け抜ける兵士達はどれも武装途中だし、砲撃の渦中である東門と南門に詰めていたKMF部隊も、舞い散る炎と瓦礫によって出撃できない。
アデンの北に張り出したブリタニアご自慢の砲兵陣地も、ようやくのことで火を吹いたが、砲兵戦は長くは続かなかった。正門へ続く防壁を打ち壊した主力隊が、砂丘をのぼり、濠を越えて、内側への侵入を開始したからだ。
サウード達グラスゴー勢が防壁内へ侵入すると、さすがに左右の棟から激しい砲火が浴びせられた。しかし、練度においても、士気においても、アラビア連合軍の敵ではない。スラッシュハーケンを一発二発と撃っては砲を破壊し、高機動を活かして縦横無尽に走り回る。
戦車ではこうはいかないだろう。ブリタニアの武器でブリタニアと戦っている今の状況に、サウードは苦笑いを隠しきれなかった。
しかし。
「何が何でも勝てばよいのだ! これは後続を待つまでもないっ! このまま政庁へと押しいるぞっ」
正門へ通じる第二の防壁は壊すまでもない。サウードはこのままアデン外壁から砲兵陣地へと工作兵を向かわせ、敵砲台を占領するつもりだった。砲座を回転させ、主砲を政庁内にぶち込めば、敵の指揮系統は終わりだ。
サウードは少数の特殊工作兵を砲兵陣地へ向かわせ、副官とともに防壁の内側で、雪崩をうって駆けつけてくるブリタニア兵を迎撃することにした。
『サ、サウード隊長っ! 陣は敵兵で溢れかえっております! ここを陥とすのは無理だっ!』
しかしほどなくして、工作兵からの悲鳴混じりの通信が届いた。
どうやら敵航空戦力が援軍を砲兵陣地へと輸送し、銃火を交えているらしい。
基地内から次々と防壁へと歩兵を運び入れて、侵入してくるアラビア兵を迎えうっているらしい。
ようやく敵にもまともな指揮が生まれてきた。
正面からは、敵の新型(サザーランド)部隊が接近しつつあるという情報も届いていた。しかしまだこちらには余裕がある。このままバミデスで力押しに迫れば、もしかしたら―――という気持ちもあるにはあるが、サウードは欲に駆られて指令を忘れるほど愚かではない。
自分の役目は後続部隊到着まで敵軍を引き付けること。敵を軽んじるのは、サウードではなくブリタニアでなくてはいけないのだ。
「よしっ、ひとまず退くぞ。通信阻害弾を撃って、味方を援護しろ」
すばやく決断を下すと、部隊を南門から後退させていった。
グラスゴーのライフルから上空へ特殊な弾丸が発射される。銀色の金属片が空へと舞い散っては雪のように輝いた。これでブリタニアの通信を阻害するのだ。
しかし、ここで行かせてはならじと、敵サザーランド部隊数機防壁よりあらわれ出た。
統率のとれた動きで、こちらを半円系に包囲するように、移動してくる。
そうはいかないっ!
「全部隊、各自応戦しつつ後退せよっ」
『逃げるか、臆病者共っ! 我が名はジェレミア・ゴットバルトっ! 我らが純血派の忠誠とくと見よ!』
「むっ」
ここではじめて、敵味方引き連れたナイトメア同士の戦闘が始まった。
敵の、先頭に立ったサザーランドはかなりの使い手だった。サウードの部下、グラスゴー二機が同時に襲いかかるのを、匠なホイール捌きでいなして、頭部や胸部をランスで貫いていく。
(このサザーランド部隊、全員よく鍛えられているっ。旧型では勝てんかっ)
ここで貴重なナイトメアを失うわけにはいかない。
サウードは敵部隊に煙幕を発射しつつ、全速力で後退しながら、東側に当たらせていた味方に一時撤退の指示を出した。
これであとは後続部隊の到着次第、また攻撃に出ればよい。
それまで逃げ回るだけだ。
ことは全てアラビア連合の計画通りに進んでいるかのように見えた。
『KMF倉庫被弾っ。何機か破壊されました!』
『敵兵が外壁に取り付きましたっ! くそっ、見張りの兵は何してやがった!』
『敵軍内に少数のグラスゴーを発見っ。う、うわああああああ!!』
『応援をっ、早く援護をっ! 第一防壁が破られそうですっ。ああっ、砲兵陣地に敵兵の侵入を確認っ!』
アデン基地政庁上層にあるブリタニア艦橋内は、敵軍奇襲の報を受けて大騒ぎになった。
アラビア連合が爆撃を開始してからわずか数分後である。何十にも敷いていたはずのレーダー網を掻い潜り、何百という敵兵がアデンへ攻めいってきたのだ。
「ECM(レーダー阻害)を使ったかっ」
カラレスが青い顔をして言った。上級士官学校を出て、何度も戦いに出たが、実際に司令として全軍の指揮をとるのはこれが初めてだ。しかも、基地内はナンバーズの歩兵ばかりで役に立つ戦力はほとんどいない。政庁を管理している官僚達も、皇族会議から預かった貴族たちである為、あまり無茶な指示はできない。それくらい人手が足りていなかった。
カラレスの配下であるカーンは経験豊かな騎士だが、これだけ大きな軍を動かすのは初めてだろう。予測を裏切った行為に敵軍が出た今、果たして彼は自分の役に立つのだろうか。
「敵部隊、東門を抜け、正門へ移動中!」
管制を担当する兵士が喉の限りに叫ぶ。
カラレスは思わず腰を席から浮かしかけた。
「か、数は?」
「南門防壁にナイトメア二十、外壁周囲に戦車部隊多数、歩兵は……数百かと」
その間も敵軍は砲撃の手を緩めない。二発三発と、砲弾が政庁のすぐ手前をかすめ飛んでいった。この砂嵐と通信阻害の影響で、こちらの航空戦力は視界が悪くすぐには使えない。ナイトメアも整備がまだ済んでいない機体が多数ある。今すぐ使える機体は政庁地下にあるが、使える人材が限られていた。
政庁の対空迎撃システムにも限界はある。
敵航空戦力は多数撃墜されながらも、しつこくアデン上空を飛び回り、爆撃を放ってくる。
「ぬわっ」
空が一瞬光ったかと思うと、凄まじい衝撃が艦橋を襲い、カラレスの身体を叩きつけた。
なんと敵航空艦は半壊したかと思うと、カミカゼで政庁に突撃してきたのである。
これにはブリタニア将兵の誰もが驚き、慌てふためいた。
カラレスを含め役立たずの貴族ばかり、政庁が爆撃され、床が揺らめくごとに悲鳴があがり壁に這いつくばって逃げ出す者まで多数いた。
カラレスも必死に座席にしがみついていた一人だ。また窓の外が光り、視界が一面真っ白になる。
「ひっ、ひぃいい。これはもう駄目だっ! 退却だ! ブリタニアへ逃げるぞ。援軍を要請してくるのだっ」
ついにはカラレスの心が恐怖に負けた。
恥も外聞もなく、逃げ出そうとする。
(こ、こんなことは聞いておらぬ! おのれっ、蛮人共め。宣戦布告もせずに攻めて来るとはっ)
ここまで侵攻しておいて、宣戦布告も何もないが、カラレスは今非常に混乱していた。
人間死を前にすると本性がでるというが、彼の行動はあまりにも醜かった。
揺れる地面に這い蹲り、口から泡を吹きながらみっともなく逃げることしか考えていない。
戦争において、兵士を死を恐れぬ戦士にするか、ただ逃げ惑う臆病者にするかは、すべからく指揮官次第。カラレスのそんな姿を見た兵士は、誰もが我先にと逃げ出そうとしていた。
自業自得。
因果応報。
カラレスはもしかしたら、軍人になど向いていなかったのかもしれない。
危うい時に逃げ癖がついた男が、軍隊で出世などできるはずなかったからだ。
しかし、彼の無能な頭は、責任を全てまわりに押し付けようとしていた。
(こんなことならもっと早くに敵と内通し、ルルーシュ暗殺を済まして、ブリタニアへ帰るべきだった。いや、そもそも皇族会議の口車に乗らなければよかったのだ。やはりルルーシュはカリーヌ様やギネヴィア様が言うように、疫病神だ! ブリタニアに災いと混乱しか生まん禍つ星の皇子がっ!)
一方、ルルーシュは―――反対に落ち着いていた。
政庁内が爆撃により混乱している、今その時にも。
足を組み悠然と座り、不敵な笑みを浮かべ、ただじっと炎に揺れるアデンを見つめる。
(ふ、フハハハハ! 何だこのざまはっ。貴族でございとふんぞり返っていられるのは平時のみか。なんと情けないっ、なんという愚かしい姿だろう)
爆撃で一部の窓が吹っ飛んだ。
ガラスの破片がルルーシュの目前に散らばる。
今もルルーシュの頭の中には、ブリタニアへの破壊願望が渦巻いていた。
這いつくばって逃げることしか頭にない貴族連中を見下し、薄ら笑いを浮かべてこのカオスを鑑賞するのも悪くない。
この時のルルーシュは自分の命すら、いくらも惜しいとは思っていなかった。
(いいぞっ、ブリタニアを破壊しろ!)
しかし―――。
いくらか理性が戻ってくると、途端敵の攻撃が忌々しくなってきた。
この基地を破壊されることに、たしかな怒りが湧いてくる。
ここはビスマルクやジノ、アーニャやモニカといった仲間たちと出会い、一緒に成長した大切な場所だ。それにルルーシュにも守りたい人達がまだこの基地にはたくさんいる。訓練生時代からお世話になっている整備班や、カラレスが実権を握ってからも、自分に着き従ってくれる珍しい貴族達、名誉ブリタニア人達、そして最近あらわれた純血派。
彼らを駒として、ここで見捨てるのは簡単だ。
ルルーシュもカラレスと同様、今この場で逃げだせばいいだけなのだから。
『ブリタニア人も色々なんだな……』
かつて自分がジノ達に語った言葉が、胸を貫く。
ブリタニアを壊すにしろ、変えるにしろ、自分が成し遂げたかったのは、こんな殺戮や、崩壊ではない。
――――優しい世界。
(僕は全てを破壊したいわけじゃない。ブリタニアの中にもかけがえの無いものを見つけてしまった。だから―――)
―――大事なのはナナリーだけ。ナナリーさえ良ければそれで…………。
―――その他全てが消えてなくなろうとも、僕には関係ない。
以前はそう思っていた。
だが、今は違う。
「……ごめん、ナナリー。どうやら、守りたいものが増えてしまったようだ」
自嘲するような苦笑いを浮かべ、ルルーシュはついに席を立ちあがった。
爆撃はなお激しく続いている。地面は今にも崩れそうなほど崩壊していた。
そんな不安定な場所だが、ここはベース。
ここを落とされたらもう負けだ。
「お、皇子、退きましょう。正門を抜かれてしまえば、もう政庁まで防壁はありません」
もっともらしいことを言って、貴族達は撤退を要求する。
ルルーシュは薄紫色に光る瞳を、冷酷に細めた。
ここにいるのはもうただのルルーシュではない。
―――ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。
―――皇族だ!
(ここで、しかける! 勝負だ、カラレスっ)
「……小型の航空艦が一機、政庁内にあったな」
「そ、そうですが……」
さっさと逃げ出したいと、逡巡している貴族には、子供の相手をしている暇はない、と視線もこちらによこさなかったのだが。
「あれを使う。砲兵陣地の方へ、援軍をピストン輸送させろ。それと、ジェレミアらサザーランド部隊に迎撃命令を出せ。敵のグラスゴーをまず沈黙させる」
そう言われ、官僚達はさすがにぎょっとなって、ルルーシュの方を見た。
その顔はまさか戦うつもりなのか、といった情けない表情だ。
もはや返事も待たず、ルルーシュは艦橋のマイクを使い、指示を出そうとする。
「おやめください」
「まだお若いあなた様には無理です」との声が飛ぶ。
止めなかったのはカラレスだけだった。震える唇で、なんとか言葉を紡ぎだしている。
「お、皇子がなさることだ。間違いはあるまい。ここはルルーシュ殿下にお任せして……我らはひとまず退艦の準備をっ」
カラレスが操舵士に命じた。混乱の中にあって指針を求めていた人々は、一番の権力者であるカラレスに提示された道に一も二もなく飛びついた。
艦橋にいる全員がいよいよ基地を見捨てようとしたその時―――。
「待て」
ルルーシュはぴいんとよく通る、少し低い声で撤退を制止する。
「カラレス」
「……は、はっ」
そこで初めてルルーシュは、武将の目を見た。唐突であり、カラレスはややたじろいだ。
「つまりは貴様、ここで何の指揮も取らず、無様に逃げ出すというのだな」
「こ、これは戦略的撤退でして」
カラレスは蔑みの表情を隠そうともせず、一方的にまくし立てた。
「皇子殿下もあまりワガママを仰らず、我らの指示に……」
「ごたくはいい。つまりお前は副司令という立場でありながら僕の命令が聞けないというわけだ。そしてここの基地にいる軍は、すべて皇帝陛下から預かった大切な将兵であるにも関わらず、撤退指示も出さないまま、お前達だけ逃げ出すのか。
大したものだ。それで貴族であると名乗れるのだから。
お前達はブリタニアの恥そのものだ!
とっとと本国に逃げ帰るがいい、豚共!」
「で、殿下。殿下は、貴族を、ぶ、豚と申されるか」
「我らが普段下々の民から税を搾取し、尊い方達と敬われているのは何のためだと思っている! ここで戦わないで何が貴族かっ」
「な、何だと……」
怒りのためかカラレスの声は喉に絡んでいた。
戦火の中、カラレスとルルーシュは睨みあう。
ルルーシュの頭の中にも焦りがよぎった。ここで何も変わらねばそれまでだ。
(ここまで、かっ)
すると、しかし―――。
「―――殿下! 通信が一部回復しました。今なら指示を出すことが可能です」
なんと貴族の中でも年若い者達が、コンソールに戻り始めたではないか。
ルルーシュはじめから、カラレスなど無視していた。
先の言葉は部下たちに対する説得であったのだ。
いつ命を失ってしまうかもしれない今。
カラレスと自分、お前たちはどちらを選ぶのか、という選択を迫ったのだ。
「全ナイトメアパイロットはECCMを使い、敵位置を確認せよ。各自迎撃にあたれ」
「政庁に取り付かせるな。機銃で弾幕を張れ。敵航空戦力を基地から引きはがすんだ」
次々と席へと戻り、指示を下す若い貴族たち。
それを見た年配の武官達も己の情けなさを恥じ、改めて各部隊に指示を出していった。
「殿下、東門から敵の増援部隊が到着しました」
「砲兵陣地に工作兵多数っ、迎撃させます」
混乱は徐々におさまっていき、次第にルルーシュを中心とした伝達機構が完成していく。
先程の愚鈍な様子は見られない。
皆が生き残るため、最善の行動をとった結果がこれだ。
ルルーシュの顔に凄惨な笑み浮かんだ。
(―――勝った。これは一時的なことだが、基地内の指揮系統を奪い返したぞ)
「ば、馬鹿な……」
その様子にただ唖然としているのは、カラレス達皇族会議の子飼いの者だけだった。
―――ルルーシュとカラレス。
ここで二人のカリスマ性の差が、はっきりと姿を表したのである。
かたや皇子で十四歳でありながら戦う意思を示す子供、かたや情けなく逃げ出そうとした臆病者の将軍。どちらを守りたいか、どちらに忠誠を誓うか、答えはおのずと出ていた。
「―――よし! お前達が協力してくれるなら、条件は全て整った! 反撃にでるぞ!」
『イエス・ユア・ハイネスっ!』
カラレスを無視して、ルルーシュは指示を出す。
「ジェレミア、前へ出すぎるな。整備班、ナイトメアの点検など今はどうでもいい。瓦礫の撤去を急げ。砲兵は各自持ち場につけ。外壁に取り付いている者たちを撃ち落とすんだ」
「殿下、敵の撤退を確認しました。追い打ちを……」
「いや、待て。あれは囮だ。後続の本陣が来るぞ。今の間に防備を整えておけ」
「砲兵陣地の敵兵鎮圧しました」
「よくやった。砲を敵航空戦力に集中させろ」
基地内がルルーシュを中心に、一つに纏まろうとしていた。
先程まで逃げ腰だった者達とは思えない優秀さだ。
ブリタニア軍の練度は高い。どこぞのテロリストとは違い、ちゃんとした指示があれば、なんでもこなしてくれる良い部下だった。
これもルルーシュがブリタニアを見直す一要素になった。
ルルーシュの指示で戦局は一転する。戦場を映すパネルが、次々と敵戦力のロストを示す赤に変わっていく。
しかし、相手の放つ通信阻害弾がまた電波を遮断してしまった。
これで戦場の詳しい情報が得られない。
ルルーシュは「ちぃっ」と舌打ちをして
「政庁内にサザ―ランドが何機か残っていたな」
「はい。しかしパイロットがいません」
即座に応答を返す部下たち。
やはり心構えだけが問題で、あとは優秀な者たちじゃないか。
ルルーシュは笑って、部下達に肩を竦めた。
「何を言っている? 僕がいるじゃないか」
「へ?」
「僕はナイトメア戦だけは得意なんだ。―――僕自ら現場へ行って指揮をとる」
「お、皇子が最前線へ向かうなど、聞いたことがありません!」
「だろうな。だからこそ、―――意味がある。僕が出れば前線の士気が上がる。通信が使えない今の状況で、僕がここにいる意味はない」
「し、しかしっ……」
ルルーシュは熱く濡れたマントを脱ぎ払った。いつの間にか身体は汗でびしょびしょだ。
喉はからから、脳にはアドレナリンが大量に送られてきている。
身体は熱く、しかし、頭はこれ以上ないくらいに冷えていた。
(やれるか? いや、やれる。やらねばならない。ここで勝つんだ。そして基地内の信用を得る。カラレスに奪われていた指揮系統を僕のもとに確固なものとする。フハハハハっ! 感謝するよ、アラビア兵の諸君。この機会、僕の為に利用させてもらう!)
「ああ、そうそう。そこの君。えっと、ビンター子爵だったか」
「は、ははっ」
皇子に名前を覚えてもらっていたことが、嬉しかったらしく、勢いよく立ち上がって敬礼する元服をすましたばかりの貴族。その彼に笑って。
「まだ出兵式の時に使った祝砲の花火、何発か残ってたろ。僕が合図したら南の方角に、撃ってくれ」
「は、花火ですか?」
「そうだ。これは重要な任務だよ、子爵。ちゃんと花火が上がったら、僕達の勝ちだ」
未だにルルーシュの指示がわからず、右往左往する部下たち。
すこし不安になったが、ここは彼らを信じるしかない。
(ふっ、信じるなんて言葉、この僕が使うなんてな)
ルルーシュは後ろ髪惹かれる思いで、正庁内の廊下を走り抜けた。
その時、アデン基地めがけて砂漠を北進していく一団があった。
ナイトメアの部隊である。全員、名誉ブリタニア人で構成された、ルルーシュの訓練生仲間たちだ。皇子のしつこい催促から、名誉ブリタニア人にもナイトメアが与えられていた。全て訓練機をカスタムしただけの、低スペックモデルだったが、そのスピードは正規版と変わらない。砂嵐の中を、斬り進むように駆けていく。
夜、それも足場の悪い砂漠をナイトメアで駆けるとなれば、よほど地理に精通しているか、かなりの技量の持ち主でないと不可能だ。彼らはルルーシュの指示により、あらかじめ敵襲を予測し、同時に進むルートを決めて、このきたる時を待っていたのだ。
「皆早るなよ。合図がまだだ」
『だが、トーマ。基地から火の手がっ』
部下の焦る気持ちを抑えて、部隊長のトーマはルルーシュに言われた通りただ孟進する。
ナイトメアに砂の礫があたるたびに、バチバチと激しい音がなり耳障りだった。ユグドラシルドライブが激しく回転し、自分の腰の下でエネルギーを作っているのがはっきりと理解できた。
「む……、何だ?」
と、先頭を走っていたトーマは、突如減速し、ファクトスフィアのライトを掲げ。
「全員、止まれっ」
声をあげつつ、操縦桿を引き絞った。
そしてコントロールパネルを操作し、ファクトスフィアから送られてくる映像を鮮明にする。
「あ、合図だ!」
なんと北の夜空には、綺麗な様々な色をした花火が上がっていた。
「ルルーシュ様からの作戦を実行する! このまま北進し、敵を強襲するぞ!」
『おう!』
『やっとか。待ってましたっ』
トーマ達名誉ブリタニア人、特別にルルーシュからナイトメアを与えられたチームは、敵が奇襲してきた時の備えの為に、基地外に配置されていたのだ。それも四日間も。キャラバンのように、ナイトメアを隠しながら、何日もキャンプさせられたのはかなり辛かった。しかし、それも今日で終わるのだ。全部隊の士気は最高潮になっている。
「皆、エナジーフィラーを交換しておけ。こいつはオンボロだからな。戦闘前に装備も一応点検しておけよ」
ルルーシュもさすがにトーマ達に、正規のグラスゴーに乗せることはかなわなかった。
だから訓練機をカスタムし、装甲を変え、武器を新調しただけの中古品だ。
だが、機体の性能は、自分達の腕でカバーしてみせる、というだけの自信はあった。
最後にトーマは、部隊の皆に確認をとった。
「……敵は俺達と同じく、ブリタニア人じゃない。だが、情けをかけるなよ。俺達の目的はなんだ?」
すると、全員から各々力強い返信が届いた。
『出世することだ』
『ブリタニアを中から変えていくんだ』
『名誉ブリタニア人に、勇気を与える』
『ルルーシュ殿下のようなリベラルな方を支え、我らの力をブリタニアへ見せつける』
トーマは皆に頷いた。
「そうだ。そしてゆくゆくは、名誉ブリタニア人制度をなくし、より広範な自治権を認めてもらうんだ!」
これが、名誉ブリタニア人がブリタニアに捨駒にされても、従っている本当の理由だ。
ブリタニアからの独立には血が流れすぎるし、実現できるかどうかわからない。
そんな不安定な策に頼るくらいなら、ブリタニアの中に入って作り変えていくしかないとの結論を出したのだった。
『ルルーシュ殿下は我らに約束してくださった。結果が全てだと。結果さえ示せば誰でも出世させると』
『ああ。あのお方なら信じられる。将来ルルーシュ殿下が皇帝になってくだされば、俺達の戦いも意味が出てくるのだがな……」
そうして、皆であてどもなく将来の夢を語りながら、着々と戦闘準備を整えていく。
特にメイン装備であるアサルトライフルの整備には、かなりの時間をかけた。
そして―――
「皆、準備はいいか」
『おうっ』
「これより、ルルーシュ殿下をお助けする」
『ええっと、こういう時は、なんて言うんだっけ』
「馬鹿。イエス・マイ・ロードだろ」
『へへへ。そうだった。そうだった』
「では、行くぞ」
なんとも、締まらない出陣だが、彼らは全て皆初陣だ。
人間を殺したことなど一度もない。隠してはいるが、皆緊張で震えていることだろう。
だからこそ、こんな気楽な出陣こそ、自分達にふさわしいと、そうトーマは思っていた。
砂漠の海をひた走る。
炎の旗を棚引かせるアデン基地の、南門へ向けて。
その頃、イエメン州サヌアでのこと。
なだらかな丘陵地に、広い砂丘を見渡すことのできる警備所があった。サウジアラビア州の警戒を受け持っている、西側の最前線である土地である。普段は人っ子一人来ない物静かな、平和な土地なのだが、深夜のこの時分になって、にわかに騒がしくなってきた。
「第一、第二防衛部隊は第一警戒態勢へ移行。第四はアデンへ急行せよ」
つい五分前、監視塔から連絡が入ったのだ。アラビア連合がアデンへ奇襲、同時にサヌア近郊に正体不明の熱源が接近中、とのことである。確認された人影はひとつ。
目深にフードをかぶり、ボロボロの衣服を身に纏った怪しい人物だった。
この砂漠を乗り物なしで移動するなど自殺行為に等しい。まさか単体でブリタニアに攻撃をしかけにきたということはないだろうが、警戒するにこしたことはない。
(まさか、……女か?)
深夜の砂漠、幽鬼のように闇から現れたのは、緑色の美しい髪に、琥珀色の瞳をもったか弱そうな女だった。暗黒の世界にその女の目だけが、爛々と輝いて見える。漆黒がこの上なく似合う、深淵の魔女といった雰囲気に一瞬飲まれる。
「と、止まれ!」
「何者だ、お前は!」
口々に部下たちが怒鳴りをあげたが、相手は速度を落とすことなく、歩み去っていこうとする。先行していた兵士の銃と女の身体がほとんど触れ合わんばかりの距離ですれ違い、部下の一人が威嚇射撃を空へ撃つと、一気に場が緊迫した。
「止まれと言っている!」
「警告に従わぬなら撃つぞ」
まだ歩みを止めない女の前方を兵士が遮り、銃口をその頭へ押し付ける、と。
「お前達の主である皇子に会いにきた。道をあけろ」
唐突に声をかけられた。
まだ若い少女のものだった。
引き金にかけた指がはっと離れる。
「ルルーシュ殿下にお会いしたい、と?」
「そう言っている」
「何用でだ?」
「言えない。それに、お前たちには言っても理解できないだろう」
「何だ、それは」
警備隊は皆、一様にぽかんとした表情で、その女を見ていた。
いきなり現れて皇子に会わせろなどと、頭がおかしいとしか言いようがない。しかも会う理由すら自分たちに話せないようでは、ろくな理由ではあるまい。
警備隊隊長の指が、また引き金に触れる。
「お前のような者を、皇子殿下に会わせるわけにはいかん」
「…………」
「怪しいやつめ。名をなのれっ」
すると、女は冷めた瞳でこちらを睨むと
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアに伝えろ。マリアンヌの友人がお前を待っていると」
「な、なに……? お前の名前を聞いているのだぞ」
額に赤い文様を持った少女は、実に苛立たしげにため息をつく。
そして
「……C.C。それが私の名だ」
ルルーシュの運命を左右する、一人の魔女がここアラビア半島に現れた。
確実に歴史は変わっている。
C.Cの存在。
彼女はルルーシュを魔王にするか、それとも……?
それはまだ、誰にも分からない。
第六話へ続く。