突然ではあるのだが、老性体との戦いを終えたレイフォンは、おおよそ完璧と言って良い日常へと復帰していた。
メイシェンを泣かせてしまったのは申し訳ないが、ツェルニの歴史を調べていて分かったのだが、汚染獣との接触などと言う物は十年以上経験していない。
調べた資料が本当ならば、二回続けて汚染獣戦があったのだから、レイフォンがここを卒業するまであんなことはないだろうという予測が出来る。
メイシェン達を心配させたくないからと、武芸を止めるつもりでここに来たが、ダンの取りはからいもあり、割と安全に武芸に関わって行けそうで、将来の展望もおおよそ開けている。
非常に明るい未来が待っているのだ。
待っているのだが。
「そう言えば、グレンダンにいる時には甘い物食べられなかったんだよね? レイとんって」
「そ、そうだけれど」
突然のミィフィの振りに、本能的に腰が引けてしまうレイフォンだった。
脈絡のない話ほど恐ろしい展開はないと、過去の経験から学んでいるという事実もあるのだが。
「そう言えば、今は食べられるのよね? なんで?」
この手の展開から逃れる術をレイフォンは未だ見つけていない。
それは何故かと問われるのならば、ミィフィが話題を振り、それに誰かが何の気無しに反応してしまうからだ。
「ヨルテムで絶叫マシーンに乗った後に、緊張と興奮で喉が渇いてね」
「へえ」
危険であると言う事は認識しているのだが、それでも聞かれたならば答えなければならない。
相手がリーリンであったならばなおさらである。
「その時にアイスクリームを食べたんだけれど」
「ああ。それがとっても美味しかったってオチね」
「うん」
始めてメイシェンと絶叫マシーンに乗った後に、食べたアイスクリームの美味しさは忘れられない。
ほのかな苦味と嫌みにならない甘さ。
何よりも口の中に広がる冷たさが癖になりそうだった。
とは言え、その快感を求めて絶叫マシーンに乗るなどと言う事はないのだが。
だが、メイシェンのところに永久就職をしてしまったら、ちょくちょくそう言う経験をする羽目になるかも知れない。
それだけが希望に満ちた未来にある、ただ一つの不安かも知れない。
「それにしても、ツェルニに絶叫マシーンがないのが残念よねぇ」
茶髪で揉め事を眺めるのが大好きな生き物が、なにやら期待に満ちた瞳でレイフォンを見ているのだ。
もしかしたら、主題がこれかも知れない。
よりにもよって、絶叫マシーンがだ。
ほんの数日前に戦った老性体など、ただ力押ししかしてこない雑魚でしかないと言い切れてしまうほど、レイフォンにとって脅威となる存在がだ。
まあ、ツェルニには無いそうなので少し安心していたのだが。
「そう言えば、さっきから出てきている絶叫マシーンって何?」
聞き慣れない単語に疑問を持つリーリン。
そう。戦う者の天国と言われるグレンダンにはなかったのだ。
ヨルテムやツェルニを見て思うのだが、グレンダンは極端に娯楽施設が少なかったのだ。
だからこそ、闇の賭試合なんて物が平然と開かれていたりもしたのだ。
そんなグレンダンが非常に懐かしい。
そして、何時ものメンバーで大量の料理をこの世から消滅させている最中に、あんな恐ろしい物の話題などごめん被りたいのだが、生憎とミィフィとリーリンは非常にノリノリで話し始めてしまっているのだ。
思い出しただけでも食欲を無くしてしまうレイフォンなどお構いなしにだ。
「へえ。ヨルテムにはそんな物があったんだ」
「うん! って、ツェルニに来る時に寄ったよね?」
「グレンダンを出るのに手間取ってね、一日居なかったのよ」
グレンダンは、戦う者にとっての天国だ。
年中襲ってくる汚染獣と戦うために、あらゆる設備が戦闘を前提に作られている。
そして、その関係で放浪バスさえあまり寄りつかない。
結果的にグレンダンを出るのは結構大変なのだ。
そうなると、入学という期限が決められている以上、ヨルテムによって観光などと言う贅沢は言っていられないのだ。
「へえ。乗ってみたいなぁぁ」
何故か、リーリンの視線がレイフォンを捉える。
二ヒヒと笑ったミィフィの視線もレイフォンを捉えている。
だが残念なことに、本当にこれ以上ないほどに残念なことに、ツェルニには絶叫マシーンなどと言う恐ろしい物はないのだ。
一安心である。
「有るよ」
「え?」
ほぼ真上から降り注ぐ日差しが、木の葉によって心地よい程度に弱められている席に、あまりにも予想外の一言が飛び出してきた。
声の主を捜すと、何故か昼食時は何時も不機嫌になっているように見えるエドが、卵焼きを口に放り込んでいるところだった。
いや。食事が不味いとか言うのではないらしいが、何故か昼食時は非常に不機嫌で無口になってしまうのだ。
「有るって、絶叫マシーン?」
「ああ。建築実習区画に変に高い建物があるでしょう?」
「・・・・。ああ。寮から見えるあの塔みたいなの。何だろうってずっと気になっていたんだけれど」
リーリンとエドの会話を聞きつつ、視線を感じていた。
その視線の主は、見て確認するまでもなくメイシェンだ。
無類の絶叫マシーン大好き人間であるメイシェンの視線。
それはつまり、一緒に行こうという無言の誘いだ。
そして、それを断るという事は出来ない。
老性体との戦いに出る時、一緒に遊びに行こうと誘ったのはレイフォン自身なのだ。
後戻りは出来ない。
「・・・・。次の休みに一緒に行こうか?」
「うん!」
何時もは大人しいというか、引っ込み思案なメイシェンだが、こと絶叫マシーンに関わると積極的に行動してしまうのだ。
そして、もう一人。
「じゃあ、私も暇な時に行ってみようかな?」
決して一人で行くとは言わないリーリンの視線が、レイフォンを捉えている。
もしかしたら、生け贄に差し出されてしまうのかも知れない。
絶叫の神に生け贄として差し出され、骨も残らずにしゃぶり尽くされるところを想像してしまった。
「・・・・・・・・。違うような気がする」
多分違うと思うのだが、最近運の悪いことが多いレイフォンとしては慎重にならずには居られないのだ。
だが、そんな事とは関係なく話は突き進む。
「駄目だよリンちゃん」
「何が?」
いきなり真剣な視線でリーリンを止めるメイシェン。
これはもしかしたら、何か理由を付けてリーリンが絶叫するのを止めようとしてくれているのかも知れない。
ついでに、レイフォンが生け贄に指し出される事も防いでくれるかも知れない。
そう期待したのだが。
「始めて乗る時は一人で行ったら危ないよ」
「一人じゃ駄目なの?」
「うん。私が初めて乗った時は貧血起こしたもの」
貧血を起こしたら普通、嫌いになるのではないだろうかと思うのだが、もしかしたらその時に変な快感スイッチが作動してしまったのかも知れない。
例えば、サヴァリスが戦いの中だけで耀いてしまうような、そんな物騒なスイッチがメイシェンの何処かにあるのかも知れない。
非常に疑問である。
「・・・。そうなんだ。じゃあ、誰かと一緒に行こうかな?」
そう言うリーリンの視線が、レイフォンを圧死させるほどの勢いを持った。
これはつまり、本格的に連れて行けと言う命令だ。
命令拒否は即死刑に違いない。
更に、エドから凄まじい敵意と殺意が漏れ出しているような気がする。
何故かは全く不明だが、事実は認めなければならない。
「あ、あう」
取り敢えず誤魔化してみたが、当然そんな物は通用しない。
むしろ圧力が増したような気さえする。
「じゃあ、今度の休みにみんなで行ってみようか!」
何故か既にカメラを装備した茶髪ツインテールが張り切っている。
恐らくこう言う流れになることを予測していたのだろう。
いや。これをこそ狙っていたに違いない。
非常に納得できる予測である。
「ウッチンも来るよね?」
「僕? まあ、レイフォンが遊びに行くんだったら、勉強会も開けないから良いけれど」
「エッドンは?」
「俺も良いよ。別に用事無いから」
テキパキと段取りを整えて行くミィフィ。
もはや退路は存在しない。
遺書を書いておこう。
そう決意したレイフォンは、最後の昼食を再開した。
いや。休みまでまだ何日か有るから、最後の昼食ではないかも知れないけれど、それでも昼食を再開した。
そしてただいま現在、目の前には想像を絶する何かが存在している。
それは、棟だ。
高さは三十メルトルになろうかという、十階建ての建物に匹敵する棟だ。
そしてその棟の周りには、なにやらパイプが張り巡らされ、レールらしき物がうねっている。
そのレールは、おおよそ最上階付近から螺旋を描きつつ、地上部分まで来ているように見える。
しかも、途中で捻りや回転が加わっているように見える。
更に、なにやらジャンプ台のような物が見えるような気がする。
きっと気のせいだが、見えるような気がする。
今からでも遅くないので、仮病を使った方が良いと本能も理性も主張しているのだが、残念なことに非常に楽しそうにしているメイシェンの前でそんなことは許されない。
そして、始めての体験でワクワクしているリーリンも居る以上、逃走は不可能である。
「へえ。近くで見るとやっぱり大きいわね」
「うん! とっても怖そう!」
やはり、絶叫マシーンを前にしたメイシェンは人格が入れ替わっているとしか思えないほどに、非常に積極的である。
既にレイフォンの右手は拘束され、地獄の断頭台へと引きずって行かれているのだ。
だが、レイフォンの身体は完全に諦めているというわけではない。
何故なら、自由な左手が助けを求めているからだ。
必死にこの場から連れ出してくれる存在を探す。
いきなり武芸大会が始まっても何ら問題無い。
汚染獣が大挙して襲撃してきても全くかまわない。
そして、そのレイフォンの願いが届いたのか、柔らかく小さな手が左手を包み込んだ。
「リーリン?」
それは頬笑みを湛えた、幼なじみの少女のものだった。
そっと包み込んだ手に力がこもり。
「さあレイフォン! 行くわよ!!」
「あ、あう」
当然の成り行きとして、メイシェンとリーリンに引きずられるようにして、恐怖の棟へと連行されて行く。
後ろからやって来るのは、哀れみと羨望と嫉妬の視線達。
ただの一つとして足音は続かない。
これは、重大な裏切り行為だ。
「た、たすけて」
振り向き、助けを求めて、そして絶望した。
遺影を掲げていたり、喪服の準備をしたりしている連中ばかりだったから。
既にレイフォンが死ぬことは確定なのだ。
更に言えば、ミィフィとイージェがカメラを構えて一部始終を記録しているのだ。
来週の週間ルックンは、きっとレイフォンの死亡記事で埋まるだろう。
ツェルニを救った英雄として、少女達によってその命を絶たれた、哀れな男として。
「楽しみだね!」
「うん! こんなの始めて!」
少女二人はもの凄く楽しそうだ。
二人だけで楽しんで欲しいと思うのは、人間として何か間違っているのだろうか?
そんな埒もない事を考えている間に、最上階へと向かうエレベーターへと乗ってしまう。
その扉は、まさに人生を終えるための鋼鉄の刃となって、眩い外の光を全て断ち切る。
静かに閉ざされ、薄闇に支配され、そして天へと登り出す小さな箱。
レイフォンを導くのは可憐な少女二人。
もしかしたら、可憐な少女ではなく天使なのかも知れない。
いや。むしろ悪魔か死に神。
そんな事を考えている僅かな時間をおいて、とうとう天国への扉が開く。
いや。地獄の門だろうか?
「「いらっしゃいませ!!」」
元気ハツラツ、気分爽快に挨拶をしてきたのは、当然ここの従業員。
男性三人に女性二人の組み合わせが、おそろいの制服を着て出迎えてくれた。
既に男性三人は、なにやらベストのような物をその手に持っている。
「ようこそいらっしゃいました! ささ。これをお召し下さい」
一瞬の停滞も存在せず、流れるようにレイフォンの身体にベストが着せられて行く。
合成樹脂の繊維を織って作られた、丈夫さだけが特色の簡素なベストだ。
いや。背中に何か付いているところが通常の物とは違うかも知れない。
「これは?」
振り返り何が付いているのかを確認する間にも、メイシェンとリーリンにも同じベストが装着されて行く。
だが、その光景に注意を払う余裕は始めからレイフォンにはない。
なぜならば。
「え、えっと? これって?」
振り向いた視線の先にあるのは、フックにしか見えない部品だ。
高いところで作業する時によく見かける、外側へとバネの力で部品を押し、輪を完成させるタイプのフックだ。
それを確認している間に、誘導されて棟の最外縁へと進み出てしまっていた。
「あ、あのぉぉ?」
そして、その背中に付いたフックが頭上にある、レールに取り付けられた滑車のような部品に噛み合わされる。
きちんと噛み合わされているかを確認する従業員。
「右手を左胸に、左手を右胸に当ててください」
「こ、こうですか?」
テキパキと指示され、身体の前で腕を組むような状態にさせられる。
あまりにも的確な指示を素早く出されたために、反射的に言う事を聞いてしまう自分が情けない。
そしてなによりも、とても恐ろしいことが起こりそうな予感がするが、既に後の祭りなのである。
いや。最初から手遅れだ。
「では、地上に到着するまでその姿勢のままでいてくださいね」
「え? え? え?」
ふと見上げた視線の先にあったのは、レールだ。
その銀色のレールは、棟の周りを回っているそれであることに気が付いた。
途中でひねれたり回転したりしていた奴だ。
凄まじい悪寒が背筋を走り、鳥肌が立ち背筋が凍り、更に冷や汗が背中を濡らす。
「それでは、逝ってらっしゃいませ!!」
「ええええええええええええ!!」
女性従業員のその台詞と共に、いきなり後ろから突き飛ばされて思わず前へと身体が流れる。
倒れることを防ぐために踏み出した足は、しかし床を踏むことはなく、虚しく空気をかき乱しただけだった。
そのまま重力に引かれて、急降下を開始。
既に悲鳴を上げることさえ出来ない恐怖が全身を縛り上げ、流した涙が猛烈な速度で後方へと流れて行く。
螺旋を描きつつ降下した身体がいきなり上昇へと転じ一回転。
更に二回捻りの後、もう一度急降下したと思った次の瞬間、ほぼ水平に身体が流れるほどの急激な方向転換。
その後も、いくつか何かあったような気がするが、それを認識することを脳が拒否してしまったようで、殆ど何も覚えていない。
覚えているのは。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁんん!」
いきなり、目の前でレールが途切れていた。
出発時の姿勢を維持したまま、途切れたレールを越えて空中に放り出される。
次に目の前に迫ったのは、ネット。
そのネットに向かって全力で突撃。
勢いを完全に殺されて自由落下。
下に備え付けられていたマットの上に転がって暫くした時に、やっと空が青いことに気が付いた。
「ああ。空が青い」
これほど青い空が美しいと思ったことはなかった。
そして気が付くと、隣にメイシェンとその向こうにリーリンが転がっている。
二人も放り出されてここに居るようだ。
「はあ」
「ほお」
二人の口から、溜息とも吐息とも付かない音が漏れ出てきた。
そして、潤んだ視線と上気した頬をそのままに、呆然と空を眺めている。
恐怖に凍り付いたレイフォンと違い、なにやら満足しているように見えるのは気のせいであって欲しい。
「怖かったねぇ」
「うん! とっても楽しかった!」
怖かったと言いつつ、リーリンの表情にはなにやら満足感と達成感があるような気がする。
メイシェンは、まあ、こう言うのが大好きだから当然としても、リーリンは問題だ。
もしかしたら、メイシェンと同じスイッチが入ってしまったのかも知れないから。
そんな、新たな恐怖にさいなまれているレイフォンが起き上がれないでいるにもかかわらず、身体を捻る二人。
そして、二人の視線がレイフォンを捉える。
「・・・・・・・」
全身に冷や汗が浮かぶのが分かった。
天剣授受者としても屈指の剄量を最大限使って、都市一つを滅ぼすことが出来る生命体として、全力で逃げなければならないと思うのだが。
「「レイフォン!」」
「ひゃぅ?」
二人に声をかけられただけで、逃走の意志が打ち砕かれる。
そして、柔らかく小さな、そして非力であるはずの手が二つ伸びてきた。
未だに胸に当てていたレイフォンの両手が、優しくしかし確実に捕まれた。
「「もう一度乗ろう!!」」
死刑宣告はこうして発せられた。
茫然自失の状況でありながら、口から何か白い物を垂れ流しつつ、生け贄の仔羊が連れ去られるのを見送りつつ、ミィフィは思う。
良い絵が取れたと。
ルックンに載せる記事、そのネタがそろそろ尽きかけていたところに仕入れたのが、建築実習区域にある建設されたは良いが、あまりの恐ろしさに殆ど誰も乗らないという絶叫マシーンの噂。
エドが知っていたのは意外だったが、好都合ではあったと心中笑いが止まらない。
一周目にして既にほぼ死んでいるレイフォンだから、本当に死亡記事を載せることになるかも知れないが、それはそれで愛嬌である。
貴い犠牲は無駄にせず、骨の欠片までしゃぶってやろうと心に誓ってここに来たのだ。
「しかし、世の中恐ろしい物があるもんだな」
「レノスにはなかったのか?」
「ここまで凄まじいのは、流石に」
イージェとウォリアスの会話を聞き流しつつ、タイトルはどうしようかと考える。
出来るだけセンセーショナルに書き立てたいと思っていたが、事実を書いただけで十分に刺激的である。
ここは、少し地味目のタイトルを付けようかなどと思いつつ、カメラのシャッターを切り続ける。
滅多に見ることが出来ないメイシェンのパンツルックもそうだし、活動的なリーリンのズボン姿もなかなかに良い絵である。
レイフォンによると、グレンダンでのリーリンはスカートを履かないそうであるが、ツェルニではスカートを履いている方が普通なのだ。
普段見ることのない姿を見られただけで、ここまで話を持ってきた甲斐が有ったというものだ。
「へへへへへへ。モテる男なんか絶滅してしまえば良いんだ」
暗い情熱に突き動かされたエドの、低い笑い声が少々怖いけれど、それを出来るだけ無視しつつ三周目に連れ込まれようとする犠牲者をファインダーに捉える。
既に意識はないのかも知れないが、それでもメイシェンもリーリンもお構いなしに引きずって行く。
普段ならば決してそんなことはしないのだが、安全な恐怖のために理性が完全に飛んでしまっているのだろう。
あるいは、始めて出会った同好の士との時間が、周りに対しての配慮を消し飛ばしてしまっているか。
どちらにしても非常に珍しい事態であることは間違いない。
二ヒヒヒヒと笑いつつ、タイトルを思いついた。
そのタイトルとは。
ツェルニに死す!