<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

その他SS投稿掲示板


[広告]


No.14058の一覧
[0] 化物語SS こよみハーレム 【完結】[鬱川](2010/01/07 20:45)
[1] こよみハーレム1 (神原編)[鬱川](2009/11/19 11:21)
[2] こよみハーレム2 (神原編)[鬱川](2009/11/20 12:57)
[3] こよみハーレム3 (戦場ヶ原編)[鬱川](2009/11/25 10:29)
[4] こよみハーレム4 (戦場ヶ原編)[鬱川](2009/11/25 23:14)
[5] こよみハーレム5 (間話) [鬱川](2009/11/27 17:00)
[6] こよみハーレム6 (千石編)[鬱川](2009/12/01 13:39)
[7] こよみハーレム7 (千石編)[鬱川](2009/12/04 12:13)
[8] こよみハーレム8 (八九寺編)[鬱川](2009/12/08 12:15)
[9] こよみハーレム9 (八九寺編)[鬱川](2009/12/10 12:36)
[10] こよみハーレム10 (火憐・月火編)[鬱川](2009/12/14 22:38)
[11] こよみハーレム11 (火憐・月火編)[鬱川](2009/12/16 12:08)
[12] こよみハーレム12 (忍編)[鬱川](2009/12/19 23:15)
[13] こよみハーレム13 (忍編)[鬱川](2009/12/21 17:25)
[14] こよみハーレム14 (羽川編)[鬱川](2009/12/25 22:35)
[15] こよみハーレム15 (羽川編)[鬱川](2009/12/29 18:32)
[16] こよみハーレム16 (後日談前編)[鬱川](2010/01/06 12:11)
[17] こよみハーレム17 (後日談後編)[鬱川](2010/01/07 15:08)
[18] こよみハーレム18 (外編)[鬱川](2010/07/30 17:31)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[14058] こよみハーレム2 (神原編)
Name: 鬱川◆64b94883 ID:6c756c65 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/11/20 12:57
003

「む、妹さん達は留守か、偽物語前にフライングで会っておきたかったのだが」
「だからそう言うメタ的な発言は……と言うか神原。まだこの手は繋いだままなのか?」
 僕たちは現在誰もいない(両親もいつの間にか何処かに出かけていた)家の中にいた。
 神原が僕の部屋に訪れるのはこれで二度目だ。未だに戦場ヶ原は来たことがないのに。

「無論だ。手を繋いだまま、緊縛プレイに移行しようではないか」
「手を繋いだままでは、緊縛プレイなんて出来ないし、そもそもいつの間にか歯磨きが抜けている!」

「阿良々木先輩が言うから妥協したのだ」
「歯磨きプレイだけに妥協して貰いたかったのだが」
「それはさておき阿良々木先輩。やはり先に私の用事から済ませても良いだろうか」
 そう言うと、神原とその場に正座した。

 あの家で育ったから当然と言えば当然だが、神原の正座は異常に綺麗だった。
「ああ、別に良いけど」
 その畏まった神原の様子に、多少の違和感を覚えながら、神原と向き合う。手を未だ恋人繋ぎにしているせいで、距離が制限され、かなり近い。こうしてみると、コイツ本当に綺麗な顔してるな。
 うわ、顔ちっちゃい。首細っ。

「改めて聞くが、阿良々木先輩は戦場ヶ原先輩とキスをしたのだな」
「あ、ああ。そうか、戦場ヶ原から聞かされたんだったな」
 忍を捜してくれるように電話をした時、神原は五時間ぶっ通しで戦場ヶ原から自慢話を聞かされたと、言っていた。

 話とはそのことだろうか。神原は元々、戦場ヶ原のことが大好きなのだ。それが原因で僕を殺そうと悪魔の手に願ったこともある。そんな彼女が、愛する戦場ヶ原から長々と自慢話を聞かされたと言うのなら、怒りを感じていてもおかしくはない。
 ふと気が付いた。神原が僕の手を握っているのは、左手だ。

 試しに手に力を入れてみた。
 手が外れるどころか、微動だにしない。
 超怖い。このまま手が握りつぶされても何の不思議もなかった。

「何を怯えているんだ? 阿良々木先輩」
「いや、取りあえず手を離してから話をしようじゃないか。神原後輩」
「いや駄目だ。手を離したら、逃げるかも知れないからな」
 逃げるようなことをする気だ。この後輩は。

「では阿良々木先輩」
「お、おう」
 取りあえず覚悟を決めて応えてみる。神原の瞳が真っ直ぐに僕を射貫いていた。

「キスをしよう」
 直球だった。そして理解不能だった。
「戦場ヶ原先輩から、色々と聞き及んではいたが、私にはやはり此方の方がしっくり来るな」
 一人でうんうんと頷いている神原に、僕はまだ殆ど働いていない頭をフル回転させて聞いた。
「何がだ」

「ん? 戦場ヶ原先輩の場合はあれだろう? キスをしますから始まって、キスをしましょうでキスをしたのだろう?」
「そこまで話したんだ」

「私も同じようにしようかとも思ったが、やはりいつか阿良々木先輩に言われたように、私は私にしかなれないからな。私なりのやり方で行かせて貰う。だから阿良々木先輩、キスをしよう」
 再び直球を投げ込んできた。

「神原……僕はお前に幾つか聞きたいことがあるんだが」
「んん?」
「それは羽川の返し方だ。それはともかく、神原、お前は戦場ヶ原とキスした僕のこと、憎いんじゃないのか?」
 そう言うと神原は呆れたように、首を振った。

「憎いなどと。私が敬愛する阿良々木先輩を憎むことなどあろう筈がないだろう。私にとって阿良々木先輩と言うのは山より高い尊敬と海より深い感謝、そして大宇宙と同等の愛情を抱いているのだぞ」
 最後の奴が重すぎる上に、あっさり嘘をついた。超憎んでたじゃん。何回も殺し掛け……何回も殺したじゃん。
 思いはしたが、昔の話だ。蒸し返すのは良くないとそれは口にはせずにおいた。

「次の質問だ。僕のことを憎んでいないのは良い。分かった。だがどうしてそれで僕とお前がキスをすることになるんだ」
「私が阿良々木先輩のエロ奴隷だからだ」
「僕は認めてねえよ!」

「そして同時に私は戦場ヶ原先輩の所有物でもあるからだ」
 エロ奴隷だといった時同様に胸を張り、自信満々に言ってのける神原。そう言えば戦場ヶ原の言っていた自分のあげられるもの全部。

 その中に可愛い後輩と言うカテゴライズで神原が入っていた。あの時は満天の星空に目を奪われ、隣にいる戦場ヶ原と良いムードになっていたから、敢えて何も言わずにおいたが後輩を自分の物扱いする戦場ヶ原も、その戦場ヶ原に所有物扱いされて喜ぶ神原も恐ろしいこの上ない。

「で。それが何の関係があるんだ……キスと」
 何度も何度も、キスキスと口に出すのは些か恥ずかしい。

「うん。本来ならば身体をそのまま差し出すところなのだが、戦場ヶ原先輩が、やっぱり自分がまだ出来ないのに、私に阿良々木先輩の童貞を奪われるというのは癪だ。と思い直したらしくて、最低限戦場ヶ原先輩がリハビリを終えるまで、阿良々木先輩のキステクを向上させておいてくれ。と頼まれたのだ」

「童貞って言うな! そして戦場ヶ原も何言ってんだよ。神原! お前まさかとは思うが戦場ヶ原のリハビリとやらに参加しているんじゃないだろうな? 後キステクって何だよ!」

「律儀なツッコミだ。流石は阿良々木先輩。残念ながら片手が塞がっている為出来ないが、そうでなければ賞賛の言葉を口にしながら拍手しているところだ」
「手を離して良いから、拍手して良いよ」

「それは出来ない。キスするまでは外さないと決めたのだ。さあ! さあ!」
 グイグイと身体を前に出しながら神原は僕に顔を近づけた。
 その距離約十センチ。

「待て待て! 神原。お前はそれで良いのか、そもそもキステクを上げる為にってことはお前、練習台にってことだぞ、お前少なくとも男とは初めてのキスだろ? そんな簡単に」
 僕の言葉に神原は動きを止めた。

「簡単?」
 神原の眉がピクリと動く。

「心外だな阿良々木先輩。私はこれでも乙女だぞ。いくら戦場ヶ原先輩の頼みとは言え、キスをしろと言われれば誰とでもする訳ではない。他でもない、私の愛する阿良々木先輩だからこそ、私は了承したのだ」

「か、神原?」
 いつになく本気めいた神原の声に、僕の声は上擦ってしまう。なんだ、何が起きている。何で……

「逆に言えば、阿良々木先輩が相手だからこそ、練習台になろうとしているのだ。練習台ならば阿良々木先輩も気を病む必要はないだろう? 私は練習台でも構わない、だから、だから……阿良々木先輩!」
 俯き、彼女らしからぬ消え入りそうな声で、言いながらやがて神原は顔を持ち上げ強い力を込めた瞳で僕を見た。

「は、はい」
 その迫力に押され、思わず頷いた僕に、彼女はしっかりとした声で言った。
「キスを、しよう」
 だから何で、僕の後輩は、神原駿河は、こんなにカッコ可愛いんだ。
 思わず僕は開いている片手を使って、神原を抱き寄せた。

「神原」
「何だ? 阿良々木先輩」
「練習台なんて言い方するなよ。僕はそんな気持ちじゃお前とキス出来ない」

「でも、それでは戦場ヶ原先輩に」
 それ以上続きは言わせないと、僕は神原の左手から、自分の手を抜いて、両手で彼女を抱きしめた。

 戦場ヶ原にばれたら、何を言われるか分かったものではないが、言ってきたのが向こうで相手が神原なら、まあギリギリ大丈夫だろう。
 ギリギリ命がある。程度のギリギリだとは思うが。

「戦場ヶ原は今は関係ない。だってお前は僕のエロ奴隷なんだろう?」
「阿良々木先輩……ああ!」
 僕の言葉に、大きな瞳を何度も瞬かせた神原はやがて笑顔で頷き、目を瞑った。
 本当に戦場ヶ原になんと言えばいいのか。そんなことも頭を過ぎったけれど、今は取りあえず良いだろう。今は目前で目を瞑りながら、長い睫を振るわせている、このエロ可愛らしい僕の後輩のことだけを考えよう。

「神原」
「阿良々木、先輩」
 互いに名前を呼び合って僕らはそっと唇を合わせた。



004

 後日談。と言うか今回のオチ。
「ううむ。凄いものだなキスというのは」
「そうか?」

 キスをした後、暫く惚けていた神原が、再起動をした後の第一声がそれだった。
「何というか、こう。とてもムラムラしてきた」
「それは一般的な女子の感想じゃねーよ!」
 神原は何処まで行っても神原だった。

「そうか? どうだ阿良々木先輩、この勢いのまま、私と性行為に及ぶというのは」
「超、遠慮しとく」
 そこまでやって日には完全に戦場ヶ原に殺されてしまう。
 僕は彼女を人殺しにはしたくない。

「む、それもそうだな。それでは阿良々木ハーレムの規約に違反することになるな」
「なんだよその阿良々木ハーレムって、いつの間に出来たんだよ」

「戦場ヶ原先輩を正妻として出来た阿良々木先輩を囲う女の子のことだ。私は勿論、羽川先輩、千石ちゃん、阿良々木先輩の妹二名、忍ちゃん。ああ大丈夫だ、八九寺ちゃんも当然入っている、後は忍野さんが残っていれば完璧な布陣だったのだが」

「お前以外誰一人として了承を得ていないハーレムを勝手に作るな。ツッコミどころ多すぎるだろう! 妹と、最後の奴絶対いらねーし」
 チラリと僕は自分の影をのぞき見た。忍が僕の影の中で生活するようになって数日、この会話も忍は聞いているのだろうか。それとも今の時間はまだおねむか。
「大体、規約って何だよ」

「細かなことは沢山あるが、取りあえず大前提として戦場ヶ原先輩を正妻においている以上、何人たりとも、戦場ヶ原先輩を追い抜かしてはならない。つまり戦場ヶ原先輩が阿良々木先輩と性交渉しない限り、誰も行為に及ぶことは出来ない。よって性交渉をした後ならば、私も大手を振って阿良々木先輩と行為に及べるという訳だ」
 うんうんと頷きながら語る神原に、僕は盛大にため息を吐いた。

「神原。僕は少し疲れたから寝るよ」
 色々と考えることは多いが、それは夢の中でしよう。それぐらい精神的に摩耗していた。 そう告げた僕を前に、神原は不思議そうに首を傾げるのだった。

「何を言っているのだ。阿良々木先輩。この後まだ歯磨き緊縛プレイが残っているではないか」
「って。そっちもやんのかよ!」

「当たり前だ。行為にさえ、行為にさえ及ばなければきっと戦場ヶ原先輩も見逃してくれる筈だ」
 ジリジリと神原が僕に近付いてくる。

「嫌だ。僕はもう疲れた。寝るんだ」
 ベッドに倒れながら、僕は布団を手にして、それを頭から被った。

「ふふ。今夜は寝かせないぞ」
 布団はあっさりと引きはがされ、代わりに息の荒い神原が更に距離を詰めてくる。拙い逃げ場がない。

「息が荒い! 行為に及ぶ気満々じゃねーかよ!」
 ついさっき自分で言った癖に。
「キスによって昂ぶった私を止められる者はいない。さあ阿良々木先輩。磨き合おう、縛り合おう、脱ぎ合い、見せ合い、突き合おうではないか!」

「増えてる!」
 僕に向って飛びかかってくる神原。その神原に律儀にツッコミを入れながら僕は、やはりこの可愛らしい後輩はこうでなくっちゃ。と思い、少しだけ笑うのだった。




 神原が一番好きです。次は戦場ヶ原さんの話になる筈。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.020720958709717