<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

その他SS投稿掲示板


[広告]


No.13615の一覧
[0] アカギ-akagi-【アカギ×咲】[平山幸雄](2009/11/30 02:14)
[1] #1[平山幸雄](2009/11/20 04:09)
[2] #2[平山幸雄](2009/11/04 03:23)
[3] #3[平山幸雄](2009/11/09 07:53)
[4] #4[平山幸雄](2009/11/10 03:16)
[5] #5[平山幸雄](2009/11/11 00:50)
[6] #6[平山幸雄](2009/11/12 05:59)
[7] #7[平山幸雄](2009/11/14 05:32)
[8] #8[平山幸雄](2009/11/19 06:59)
[9] #9[平山幸雄](2009/11/20 04:23)
[10] #10(PC閲覧推奨)[平山幸雄](2009/11/27 06:16)
[11] #11(PC閲覧推奨)[平山幸雄](2009/11/25 22:49)
[12] #12(PC閲覧推奨)[平山幸雄](2009/11/27 06:50)
[13] #13(PC閲覧推奨)[平山幸雄](2009/11/28 02:36)
[14] #14[平山幸雄](2009/11/29 19:59)
[15] 幕間1[平山幸雄](2009/11/30 03:48)
[16] #15[平山幸雄](2009/12/03 15:46)
[17] #16[平山幸雄](2009/12/05 05:44)
[18] #17[平山幸雄](2010/07/12 08:31)
[19] 修正・更新情報[平山幸雄](2010/07/12 08:31)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[13615] #5
Name: 平山幸雄◆07e782c4 ID:a0c0c20d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/11/11 00:50

「・・・和・・・みんな・・・ほんに不甲斐のぉてすまん・・・」

落ち込んだ声で謝るは染谷まこ。

「あの時、わしが焦ってリーチなんぞしなきゃ・・・」

まこの脳裏に浮かび上がるのは先ほどの凡手。

大槻たちの言葉に怯え、焦り、リーチをかけた挙句振り込んでしまった南二局のことである。

その振込みで東場にて和が得た自分達の運命と等しき点棒を吐き出し、三着になってしまったのだ。

恐怖、絶望が交じり合ったまこの顔は酷く暗い。

初めて見るまこの姿に声を失う咲、和、優希、京太郎。

そんな気まずい沈黙を打ち破ったのは竹井だった。

「まこ・・・」

ふわりとまこの身体を抱き耳元で囁く竹井。

「大丈夫・・・勝てば何もかもいつもどおりなんだから・・・」

「部長・・・でも・・・やつらの麻雀はおかしいんじゃ・・・」

「見てなさい・・・勝ってみせるから・・・もし・・・負けたとしても・・・麻雀部は私が守る・・・」

そんな少女達の必死の想いが溢れてくるような抱擁も村岡の粘ついた声によって中断される。

「キキキ・・・仲がいいのは結構ざんすが・・・そろそろ始めさせてほしいざんすね・・・」

「わかっています・・・優希!いくわよ!」

嫌らしい笑みを隠そうともしない村岡に嫌悪の視線を向けながら優希に声をかける。

「・・・わ、わかったじぇ・・・」

そう応えた優希の言葉に力は無い・・・



第二回戦・東場

東家 片岡 優希 25000点
南家 村岡   25000点
西家 大槻   25000点
北家 竹井 久  25000点


東一局 九順目

親・・・優希 ドラ七萬


一度も鳴きが入らず淡々と進行していく中、優希の手が止まった。

(張ったじぇ・・・)

優希の聴牌形、手役こそ自風を暗刻にしただけではあるが147索待ちという良形。

ダマでもあがれる手ではあるが、それでは3900点と安い。

なにより、優希の脳裏に浮かび上がるは皆の悲痛な顔。

(もう・・・これ以上みんなの悲しい顔なんて見たくないじぇ・・・!)

点棒は優希たちが生還するための綱と言っても過言ではない。

この地の底より脱出するための綱は自らが用意しなければならないのだ。

「・・・リーチだじぇ!」

宣言し千点棒を場に置く優希。


そして・・・そんな優希の宣言を聞き、ニヤリと笑ったのは村岡・・・

「キキキ・・・一戦目は振ってしまったから本当に怖いざんすが・・・やはり攻めるが男っ・・・」

ニヤニヤと笑いながら


「とおれば・・・リィーチざんす!」

四枚目の北を手出ししてのリーチという嫌味めいた言葉と共に村岡の追っかけリーチが入る。

「カカカ・・・二軒リーチならばわしは降りるとするか・・・」

そう言いながら共通の安全牌を切り出す大槻。

そして余裕めいた態度の村岡と大槻に疑念を覚えたのは竹井。

(・・・さっき聞こえた音、今までのアガリ形・・・もしかしたら・・・)

さきほど、大槻が自摸ったときに聞こえた小さな音。

牌と牌が触れ合う際に聞こえる僅かな硬質音が久の耳に届いたのだ。

そんな久の思考は優希に届かない・・・

(・・・一発ツモなら裏が乗らなくても満貫・・・!)

そう願いながら山に手を伸ばす優希・・・

が、牌に触れた瞬間、悪寒が走る。

まるでそれは粘ついた触手・・・気がつけば優希の細い足に、折れそうな華奢な腰に、白い首筋にベタベタと絡みついているようなっ・・・

ひいてきた牌は自らが三順目に切り払った⑨筒・・・

しかし・・・リーチをかけた優希になすすべは無い・・・

ざわざわとした悪寒の中、一縷の望みをかけツモ切るが・・・

「え・・・?なになになに・・・?なんですか・・・?」

バラリと村岡の手牌が倒れる。

「素晴らしいっ・・・まさか出るとは・・・リーチ一発イーペーコードラ2っ・・・裏が1枚でハネ萬っ・・・!」

「そんなっ・・・!!」

「いやいやいや・・・僥倖っ・・・まさにありえない僥倖っ・・・!」

追い討ちをかけるような村岡の言葉に顔を歪める優希・・・

そんな優希を見て心を痛めながらも竹井の思考はさらに回転速度を増していく。

村岡のロン牌は⑨筒単騎待ち・・・

ドラ絡みのイーペーコーが手牌で面子として完成しているにも関わらず、親のリーチに残り二枚の単騎待ちで追っかけリーチ・・・

(やっぱり・・・何かは判らないけどイカサマをやられてる・・・)

久の推測は正しかった。

村岡、大槻たちのしているイカサマ、それは通し、卓下での牌交換、さらに自摸牌のすり替えである・・・

しかし、表の世界で生きてきた歳若い彼女達にそのイカサマの正体はまったく想像もつかない。

だが、たとえイカサマの全貌が判らなくともそれを咲達に知らせねば・・・

「す、すいません!ちょっとだけでいいので時間をくれませんか?」

思わず叫ぶような大声で大槻にこちらの希望を訴える竹井。

とにかく今は彼女達だけにこのことを伝えなければいけない・・・

が、ダメっ・・・!

「カカカ・・・何をいきなり言うかと思えば・・・駄目駄目っ・・・!」

細い目の奥から見え隠れする光は鋭く、こちらの要望を頑として聞き入れない・・・

このままでは恐らく気付いていないだろう優希が圧倒的な不利を負ったまま沈んでいくのではないかという確信にも似た予感・・・

万策尽き果てた・・・

沼に沈んでいくようなゆっくりとした絶望・・・

そんな久の絶望を吹き飛ばしたのはチャイムの音だった・・・


顔を見合わせる大槻と村岡。

「村岡君・・・お客様みたいだ・・・応対してやってくれないか・・・」

その言葉を聞いて入り口にすっ飛んでいく村岡を眺めながら興が削がれたとばかりに溜息をつき久を見やる大槻。

「こちらの用事が終わるまでならばいい・・・だが逃げようなどと考えたりはするなよ・・・そんなことをすれば・・・カカカッ・・・」

しっかりとこちらに釘をさすあたりが本当に憎らしいが今はそんなことを言っている暇も無い。

「・・・ありがとうございます・・・」

言葉だけの礼を述べながら久は部屋の片隅に全員を集め、自らの確信めいた推測を説明しだす。



「・・・そりゃ見覚えのない牌譜のはずじゃ・・・」

久の説明を聞き、沈黙に陥る一同。

そんな沈黙に響いたのは、ポツリと小さく呟いたまこの言葉だった。

「・・・部長・・・いったいどうすればあいつらに勝てるんだじぇ・・・!?」

下唇を噛み締めながら久に答えを求める優希。

だが、残念ながらその答えを久はもっていない。

「多分だけど・・・リーチはしないほうがいいと思うわ・・・」

「それと、あの村岡っていう男がリーチをかけたあとに自摸ってきた牌は注意して」

「そんな・・・それじゃ私達が圧倒的に不利じゃないですか・・・」

悔しそうにエトペンを抱きしめる原村和。

リーチをかけたならば一発で追っかけリーチに振り込む。

相手がリーチをしたならば自摸った牌を切ってはいけない。

これはもはや今まで彼女達が打ち込んできた麻雀ではない。

ただの狩りである。

「ええ・・・でも私達がいくらイカサマだなんて言っても相手にされないわ・・・」

「だから、今の私達がリードしているポイントを守りきることだけに全力を注ぎましょう・・・って聞いてるの?咲!」

皆、こちらの話に暗い顔をしつつも頷いているというのに咲だけは一点を見つめていた。

「咲!いったい何を見ている・・・のよ・・・」

咲の視線を追った先にいる壮年の見知らぬ男。

・・・そして気付く

・・・まるでガッチリと頭をロックされたかのように視線が惹きつけられていたのだ。

なにやら村岡と話しているその男。

年齢は40代後半程度だろうか?

まず眼をひくはその頭髪。

白髪・・・というよりは銀髪といったほうが正確であろう。

黒と黄色が絡み合った虎柄のシャツ、僅かにくすんだ白い上下のジャケットという派手なはずの着こなしが細身の体躯にピタリと収まっている。

そしてその涼やかな顔に宿るなんともいえぬ雰囲気・・・

そんな不思議な印象を覚えながらも見つめることを止められない咲たち一同。

と、その男が部屋の片隅にいる咲たちにチラと視線を投げる・・・


瞬間!咲に、和に、優希に、久に、まこに電流走る・・・!


いうならばそれは才気・・・!それも膨大な容器を予想させる桁違いの才気である・・・!

見惚れていた咲たちを現実に引き戻したのは村岡の汚いダミ声だった・・・



「さぁさぁいつまでコソコソ話し合ってるざんすか・・・!後がつかえてるんだからさっさとはじめるざんすよ!」

その声にようやく我に帰る一同。

「と、とにかく。判った?リーチはかけずにダマであがっていくことに全力を注ぐ。そしてどちらかがトップをとったのなら、協力して安手で場を流していきましょう」

村岡たちに聞こえぬように声を絞る久の指示に改めて頷く面々。

そう・・・今、彼女達は敵の手中に陥っている。

勝利を諦めれば、待っている未来は想像もしたくない地獄・・・


心を無理やり奮い立たせながら席に着く優希と久。

その優希と久を見守るように彼女達の後ろに着席する麻雀部。

そして・・・麻雀部の後ろに座っているのは紫煙を吐き出す銀髪の男。

「あ、あの・・・」

気になって当然であろう。

遠慮がちに声をかけた京太郎に薄く微笑みつつ静かに返答する男。

「フフフ・・・気にするな・・・ちょっくらおまえさんたちに興味がわいてね・・・ただの見学者だと思ってくれていい・・・」

「は、はぁ・・・」

静かで深い海・・・そんな連想をさせるような特徴的な声にそれ以上問いかけることもできず京太郎は沈黙してしまう。




咲たちにとって負けられぬ勝負が再開する・・・

それを見つめる赤木しげる・・・

神域の男はいまだ沈黙を守ったまま・・・

そして賽の目は転がっていく・・・



前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.048125982284546