※ネタ2発目続いてしまうのか?話をしよう。あれは今から500年・・・いや、900年前だったか。私にとってはつい昨日の出来事(思い付いたのは)だが、君達にとっては多分・・・明日の出来事(これを読んでいるのは)だ。帝国の大貴族であるヴェルテンベルク公爵家を語る場合、殆んどの人はルドルフ大帝の時代に海賊討伐で活躍した『トクガワダ・シンゲンシン』提督をヴェンテンベルク公爵家の始祖として語り始めるのだが今回は少し指向を変えて話そう。まあ、シンゲンシン提督の事は後ほど語るとしよう。まだ、宇宙暦が使われていない頃だ。地球軍とブラック・フラッグ・フォースの戦い。俗に云う『シリウス戦役』だ。この戦いで地球軍は大敗北を喫し、人類の盟主の座から転げ落ちた。この時、地球で事後処理を行っていたブラック・フラッグ・フォースの提督の旗艦が大気圏内を航行中にとある島に落ちた。機関部の故障が原因だったらしい。その船に乗っていた提督が『トクガワダ・ヒデムネ』。彼がヴェルテンベルク公爵家の遠い先祖だ。まあ、故障自体は大した事は無く、重傷者も出なかった為、暇つぶしにトクガワダ提督は側近達と島の探索を始めた。島自体は無人島だったのだが、彼等はそこで『とんでもない物』を見つけた。所謂『埋蔵金』だ。何処かの政党が言っていたヤツじゃ無い。正真正銘の埋蔵金だ。地球統一政府が隠した埋蔵金がトクガワダ提督の不時着した島にあった。実際にそこにあったのは、地球統一政府が隠した埋蔵金の一部に過ぎなかったのだが彼等からすれば、この世の全ての財宝を見つけた気分になっただろう。トクガワダ提督は居合わせた側近達に、片手で掴める程度の宝を持って帰る事を許可し、この事は秘密にする様に指示した。まあ、片手SIZEって事かな?この事が他の提督たちにばれたら不味い事になる。『トクガワダ提督達は地球軍に内通していた』などと、適当な事をでっち上げ財宝を横取りしようと企むに違いなかった。そういえば、少し前に地球軍が惑星ロンドリーナのラグラン市を攻撃した際に、ダイヤモンド原石の研磨工場で獲物の奪い合いによる同士討ちがあったな。この後、トクガワダ提督は地球での事後処理が終わるとシリウスに戻ったのだが、その時には既に首相パルムグレンが病死し新たに首相になったタウンゼントと国防相フランクウールの二つの勢力が争っていた。トクガワダ提督は日和見を決め込み、有利な方または権力闘争に勝った方に埋蔵金の情報を売り、新政権内部での自分の地位を固め様とした。彼の持っていた埋蔵金の情報の価値は、彼が思っていた以上に大きかった。彼がこの時に上手く立ち回っていれば、この権力闘争での主導権を握る事やタウンゼントとフランクウールの両名を和解させる事も可能だったかも知れない。だが、彼はそうしなかった。その辺がトクガワダ提督の器としての限界だったのかも知れないな。その後、トクガワダ提督は権力闘争に勝ったタウンゼントに近づき、埋蔵金の情報を売るタイミングを見計らって居た所タウンゼントに目掛けて撃ち込まれた中性子爆弾の餌食になり、ターゲットだったタウンゼントと一緒に仲良くあの世に旅立った訳だ。・・・・まあ、良いヤツだったよ。結局、埋蔵金の情報は誰にも売られる事は無かった訳だ。トクガワダ提督の死も歴史の闇に葬られた・・・と言うより、忘却されたが正しいな。それから、約400年後か。銀河帝国が成立しルドルフ・フォン・ゴールデンバウムが銀河帝国初代皇帝になった頃の話だ。トクガワダ・シンゲンシン提督が宇宙海賊の討伐で名を上げた。ルドルフも政治家になる前は、宇宙海賊の苛烈な討伐で名を上げたものだ。だからかな?シンゲンシン提督が活躍しだした事を帝国の民衆は新たな英雄の登場だと喜んだものだ。ただ、ルドルフは自分の地位を脅かす存在だと当初シンゲンシン提督を危険視していた様だ。しかし、シンゲンシン提督は彼を称える民衆と危険視するルドルフの期待を裏切る事に比類なき才能を発揮した。どうやって期待を裏切ったかって?簡単だ。彼はただひたすらに海賊討伐を繰り返し続けた。それだけだ。ルドルフが『劣悪遺伝子排除法』や『共和主義者の弾圧』など、様々な悪政を行っているのにも関わらず彼はただ、海賊討伐に奔走した。まるで他の事には一切興味が無い様子だったな。その結果、民衆は『解放者』または『英雄』としての役割をシンゲンシン提督に期待する事を止めルドルフは自分の『好敵手』としての役割を、彼に期待する事を止めた。いや、ルドルフの場合は違うか。シンゲンシン提督を自分と同格では無く、遥か格下の存在と認識したって言うのが正しいのか。晩年にルドルフが側近に、『あのシンゲンシンは如何している』と問い掛けた時に彼の側近は『海賊を討伐しています』と答えた。この返答を受けたルドルフが『ヤツは海賊に片思いでもしているのか?』と返した事が有名だ。この事により、シンゲンシン提督は『海賊に片思いしづつける提督』『求婚提督』『半世紀の恋煩い』などの渾名をつけられる事になった。ルドルフがシンゲンシン提督に与えたのは渾名だけでは無く、晩年には広大な領地を今までの海賊討伐の功績として与えた。ただ、彼の外見と名前が東洋風だった為に貴族としての地位は与えられなかったが貴族と同等の権限は与えた。その後も彼は海賊を討伐し続けた。もしかしたら、それがシンゲンシン提督の処世術だったのかも知れないな。銀河帝国第二代皇帝ジギスムント1世の時だったな。トクガワダ・シンゲンシンの息子『トクガワダ・ウジモトマサ』にヴェルテンベルク伯爵号が叙せられたのは。こうして彼は『ウジモトマサ・フォン・ヴェルテンベルク』になった訳だ。彼は軍人としてより、内政家として能力を発揮し領地内の財政基盤を整えた。ただ、彼の長男『オットー・フォン・ヴェルテンベルク』にはちょっとした問題があった。彼は『放蕩息子』ならぬ『放浪息子』だった。その名の通り、彼は祖父の時代に与えられた『銀河系の自由航行権』を行使し、自家用戦艦を使い銀河系内の至る所を巡った。その結果、彼が三十になる前には銀河中に『放浪息子』の名が知れ渡っていた。その放浪息子が偶々実家に帰って来た際に偶然に『宝の地図』を見つける事になった。宝の地図とは例の『埋蔵金』の事だ。宝の地図を見つけた彼は意気揚々と地球に向って出かけて行き、そこで現地の勢力に殺害された。本来だったら彼ももう少しは自重したのかも知れないが、宝の地図が入っていた箱の中に一緒にしまわれていた一掴み程度の宝石に釣られた結果だ。だた、彼の名誉の為に言って置くが、彼が欲したのは金銀では無く、名声だった。彼は良く『宇宙一のトレジャー・ハンターになる』って言ってたっけ。何れにしろ余り賢い子では無かった様だが・・・まあ、いい。辺境の惑星『地球』で銀河帝国の伯爵家の跡取りが死んだという話は、最初驚きをもって銀河中を駆け巡ったが死んだのが例の『放浪息子』だと知ると、皆一様に納得した。しかし、納得したで済まされない人物が居た。彼の家族だった。父親のウジモトマサ・フォン・ヴェルテンベルク伯爵は『息子の仇をトルノデス!!』と言って激昂する妻をなだめつつ『地球討伐』の準備を進めた。彼は銀河帝国皇帝に地球討伐の許可をとった。ジギスムント1世の返答は『許可は出すが金は出さない。やるなら、自費でやれ。ただし、現地での物資の接収は好きにして良い』だった。皇帝としても、こんな馬鹿馬鹿しい事に付き合うのは御免被りたいとの気持ちも分からなくは無いな。ウジモトマサ・フォン・ヴェルテンベルク伯爵は『地球討伐』で三つのモノを手に入れる事が出来た。一つは『息子の仇を討ったと云う満足感』、もう一つは『内政家に続いて戦術家と云う評価』、そして最後は『埋蔵金』だ。人間万事塞翁が馬って事か?こっちは息子は死んだが・・・。その後、ヴェルテンベルク伯爵家は武門の名家として、極々無難に歴史の中を歩んでいった。次にヴェルテンベルク伯爵家が歴史の表舞台に登場するのは銀河帝国の第14代皇帝アウグスト2世の時だった。アウグスト2世は・・・・まあ、とんでもないヤツだったよ。『史上最悪の暴君』『流血帝』などと呼ばれているが、私もそう思う。アウグスト2世に対し、後の第15代皇帝エーリッヒII世が叛乱を起すとイエヒサヨシ・フォン・ヴェルテンベルク伯爵は私兵を率いて真っ先に駆けつけ忠誠を誓った。結局、叛乱は大成功。討伐軍が一戦も交えずに叛乱軍に降り、『新皇帝万歳』と叫びながら帝都に凱旋する事になった。この後、イエヒサヨシ・フォン・ヴェルテンベルク伯爵は一番にエーリッヒの元に駆けつけた功績により、侯爵号に叙せられた。更に、『流血帝』の直感により領主が処刑されたヴェンテンベルク領周辺の領地を大量に与えられる事にもなった。だが、処刑された貴族達の家族や関係者はヴェンテンベルク伯爵に匿われており、後にその領地をその家族に返還したそうだ。だから、ヴェンテンベルク領周辺の貴族達の結束は非常に固く、ヴェンテンベルク家を盟主として扱っている。これを『流血の盟約』と呼んでいる。次にヴェルテンベルク侯爵が歴史の表舞台に登場するのは第20代皇帝フリードリヒ3世の時代の『ナリチカリン・フォン・ヴェルテンベルク』だ。そう、あの有名な『ダゴン星域会戦』だ。ただし、彼はダゴン星域会戦には参加しなかった。皇帝フリードリヒ3世の、この遠征の目的は自分の息子であるヘルベルト大公にハクをつけさせる事であり武門の名家として有名なヴェルテンベルク候に手柄を横取りされる事を危惧した結果、彼を遠征軍から外した。一方、ナリチカリン・フォン・ヴェルテンベルク侯爵もこの遠征自体には反対だった。状況が許せば皇帝陛下に遠征中止の要請をしようと思ったほどだ。だが、彼はそうしなかった。少し前に御前会議で皇帝の異母弟で帝国軍上級大将だったハルトバッフェル候ステファンが遠征に反対を唱えた為にその地位を追われ、男爵に格下げされた上に領地の八割を削減された。その事が、我が身に起こる事を恐れたナリチカリン・フォン・ヴェルテンベルク侯爵は、口を噤んでしまった。彼は優秀な軍人だったが、小心者でもあった。その後、遠征軍は大敗北し、遠征に参加していたゴッドリーブ・フォン・インゴルシュタット中将は軍法会議で敗戦の全責任を負わされ処刑された。その時の軍法会議で弁護人に選ばれたオスヴァルト・フォン・ミュンツァー中将が、カッコいい事を言ってインゴルシュタット中将を弁護したらしい。まあ、悪いんだが私には興味が無いんでね。ちなみに弁護人の話はヴェルテンベルク侯爵にも来たらしいんだが、彼は断った様だ。仕方ない。彼は小心者なんだ。彼が活躍したのは戦後の軍備再編だった。艦艇は勿論、人材の育成にも力を入れた。士官学校の増設を唱えたが、帝国では艦隊の再建に予算を使っていた為、却下された。そこで、何を思ったのかこのヴェルテンベルク侯爵は自領に士官学校の分校を開校してしまった。一応は皇帝に許可を貰ったのだが、例によって『許可は出すが金は出さない。やるなら、自費でやれ。』との有難いお言葉を頂戴したらしい。ちなみにこの開校資金は『埋蔵金』から出した様だ。当初、この通称『トクガワダ士官学校』は帝国全土から冷笑の対象になった。次はこの士官学校が冷笑を跳ね除けた話でもしよう。あれは第2次ティアマト会戦だったな。ただし、トクガワダ士官学校の卒業生が第2次ティアマト会戦で大活躍したと云う話じゃない。まあ、活躍した卒業生も居るにはいたが・・・。確か、『ハウザー・フォン・シュタイエルマルク中将』がそうだったんじゃないかな?・・・・戦死した『コーゼル大将』も卒業生だったが・・・まあ、良い。話を戻そう。この第2次ティアマト会戦で起きた悲劇。『軍務省にとって涙すべき40分』第2次ティアマト会戦後半戦での40分間に帝国軍の将官の戦死者は約60名に及んだ。帝国軍はこの40分で被った損失を回復するのに、その後10年を必要とすると予想された。だが、軍籍を持っているトクガワダ士官学校の教官や講師。更には、ヴェルテンベルク侯爵家の私艦隊の提督達を大量に借り受ける事で帝国軍は人材の穴埋めを行った。その所為で、トクガワダ士官学校の機能やヴェルテンベルク侯爵家の私艦隊の機能が麻痺する事になった。この時に貸し出された提督を『貸出提督』などと呼び、『10年ローンで貸し出された提督』などと揶揄されトクガワダ士官学校は『レンタル提督店』と冷笑された。その汚名を返上したのが、第2次ティアマト会戦の6年後に行われた『パランティア星域会戦』だ。この会戦で帝国軍は同盟軍に大勝利を収め、同盟軍の総司令官『ブルース・アッシュビー元帥』と『ジョン・ドリンカー・コープ大将』の二名を戦死させた。この時の帝国軍の総司令部のメンバーは『ドウタツオキ・フォン・ヴェルテンベルク上級大将』『ハウザー・フォン・シュタイエルマルク大将』達トクガワダ士官学校の卒業生が占めていた。結果として、それがトクガワダ士官学校の評価を上昇させる事になった。その後もイゼルローン要塞の建造に活躍したりしたのだが、今回はこの辺にして置くとしよう。豆 「このネタは作者の妄想で出来ています。」黒猪「そんな事は言われなくても分かっているぞ。」豆 「ついカッとなってやりました。」黒猪「反省しろ。」豆 「ちなみに、装備うんぬんのセリフは後で使うので避けました。」黒猪「お前は一体何を言っているんだ?」