第五話 出番が無い出番が無い。俺の第11艦隊の出番が無い。第3次ティアマト会戦から、もうじき1年が経とうとしている。ついさっき、アスターテ星域に帝国軍迎撃に出征した第2艦隊、第4艦隊、第6艦隊の見送りに行って来た所だ。半年ほど前に行われた第4次ティアマト会戦は無事?終了した。第4艦隊の社長(パエッタ提督)とその仲間達は俺のアドバイスを覚えていてくれたようで、惑星レグニッツァ上空での遭遇戦ではラインハルトの「マッチ一本火事の元」作戦を察知しうまく退却する事が出来たらしい。その後の本番(第4次ティアマト会戦)では戦場を横切ったラインハルト艦隊に消極的ながら攻撃を加え多少の損害を与え、側面につかれた後は分艦隊(本来レグニッツァ上空で失っていた戦力分)でなんとか食い止め、その隙にヤンとアッテンボローが敵本隊後方でデコイを使った囮作戦を発動。デコイを敵艦隊と勘違いし、後退を開始した帝国軍の本隊を攻撃し大損害を与えそのままの勢いで全滅させようとしたが、ラインハルトの艦隊が分艦隊を突破、同盟軍の側面に攻勢をかけた為に、同盟軍はこれ以上の追撃を断念し撤退した。以上が、第4次ティアマト会戦の全容だ。なお、囮作戦を使ったヤン達は原作の用にラインハルトの旗艦ブリュンヒルトの下に張り付くコバンザメ戦法は使わずにそのまま撤退し後で第2艦隊に合流した。帝国軍の損害は原作以上に大きく追撃する余裕がなかったのでヤンもわざわざ危険な作戦を使おうとは思わなかったようだ。後で、アッテンボローに囮作戦に志願した理由について聞いたが例の「スノマタ」作戦についての講義を非常勤参謀殿からして貰ってる姿が偶然にパエッタ提督の目に留まり、やる気があると勘違いされてしまった。「ヤン・ウェンリー准将、私は少し考え違いをしていた様だ。」byパエッタ提督その結果、戦場を有利に進める為の作戦の立案と実行を任されてしまったらしい。ぶつぶつと、文句(主に俺に対して)を言いながらも作戦を無事に実行した非常勤参謀殿に「ヤン・ウェンリー准将、私はかなり考え違いをしていた様だ。どうだね今夜は一杯?」byパエッタ提督パエッタはさらに考え違いしてしまったようでヤンをしつこく酒に誘ったらしく、ついにパエッタの熱意に折れたヤンがアッテンボローを巻き込みパエッタ提督と三人で酒宴を開き不満大会(主に俺に対しての文句)を開催した事を後日アッテンボローから聞いたが「作戦を立てるのも実行するのも給料の内だ。」と正論で答え、「お前の先生の非常勤参謀殿にもしっかり言っておけ。」とアッテンボローを追い返した。俺は心の広い人間だ。この程度の事(俺に対しての不満大会開催)では怒らない。怒ってないぞ。(※なぜ、パエッタがヤンに作戦を任せたか。 ペトルーシャ・イースト「ヤンをくれ、アッテンボローもくれ。」 パエッタ「駄目だ。(なんなんだ、いきなり)」 ペトルーシャ・イースト「頂戴。頂戴。」 パエッタ「とにかく、駄目だ。(よりによって何故あの二人なんだ?実は優秀なのかあいつ等は? よし、これからは注意してあいつ等を観察してみよう。)」 ヤンがスノマタ作戦をアッテンボローに講義しているのを発見。 パエッタ「(なるほど、理に叶っている。無能では無い様だな。 よし、今度何かあったら率先してあいつ等にやらせて見よう。)」 結論 ペトルーシャ・イーストの所為 )それはさて置き、第4次ティアマト会戦では俺の打った布石がうまく作用した。この調子なら、アスターテ会戦も楽勝じゃね?そう思っていた時期が俺にもありました。第2艦隊のパエッタ提督の説得はうまくいったと思う。例によって昼食中に「二倍の兵力を態々三つに分ける必要は無いと思いますよ。むしろ、各個撃破の危険が増大すると小官は考えます。」って言ったら「なるほど、確かにその通りだ。早速ウチの作戦参謀達と会議をしなければ。」と言い足早に帰って行った。おいっ、自分の飯代くらい払ってけ。第4艦隊、第6艦隊のパストーレ中将とムーア中将の両人にも昼食中に「二倍の兵力を態々三つに分ける必要は無いと思いますよ。むしろ、各個撃破の危険が増大すると小官は考えます。」と同じように話したんだが、パストーレ中将は「今回の作戦は『リン・パオ』、『ユースフ・トパロウル』両元帥がダゴン星域で行った包囲殲滅戦を再現しようというものだ。」と聞く耳を持たず、ムーア中将にいたっては「どうやら、第11艦隊司令官ペトルーシャ・イースト中将閣下は時の司令官だった『リン・パオ』、『ユースフ・トパロウル』両元帥に勝る知恵の持ち主らしい。そういえば、貴官は『ぼやきのペトルーシャ』と呼ばれているそうだな。渾名『だけ』はユースフ・トパロウル元帥と同じだな。」と俺の事を自分の幕僚たちと一緒に笑い者にしたのでついカッとなって「確かに、『リン・パオ』、『ユースフ・トパロウル』両元帥はダゴン星域での包囲殲滅に成功なさいましたが、他人が成功したのをみて自分も出来ると思うのは無能の証ですね。」と宇宙海賊をやっている思想的には宇宙一危険なテロリスト医者の様な皮肉を言ってしまい両中将とその幕僚の気分を著しく損なってしまった。(大激怒させた)俺は言った後に、直ぐヤバイと思いそのまま食堂を飛び出した。代金を払わずに、結局は代金は両中将が払う事になったのだがおかげで、俺はパストーレ中将とムーア中将にとても嫌われた。更に、この話(俺が両中将を無能と言った上に昼食代を払わなかった事)が広まり、その場にいなかったパストーレ中将とムーア中将の幕僚達にも嫌われる様になってしまいました。その所為で、俺はパストーレ中将とムーア中将に近づき難くなり、結局、そのままアスターテ会戦を迎えてしまった。ただ、この話が広まって良かった事が一つだけあった。それは、パエッタ中将が以前俺に出させた昼食代を返しに来た事だ。