第三十四話 彼を知らず、己を知れば、一笑一杯す? 前回までのあらすじ 黒色槍騎兵(シュワルツ・ランツェンレーター)の突撃により、戦場の状況は一変した。第11艦隊は分裂し、本隊は一歩後ろに下がった。アッテンボローはドンチャン騒ぎを開始した。 以上、あらすじ終了黒色槍騎兵(シュワルツ・ランツェンレーター)の突撃により、戦場の状況は一変した。シュワルツ・ランツェンレーターは、只ひたすら戦場を駆け抜け、数多の屍を築き上げ(敵味方区別無く)「ビッテンフェルト提督。敵艦隊、突破致しました!」「よし、次の標的にかかれ。」「前方に敵影無し。」「なんだと!!」そして、いつしかシュワルツ・ランツェンレーターの前に敵は居なくなっていた。「敵影無し?第11艦隊は如何した!!」「九時方向に艦影確認、第11艦隊です。」「戦わずして逃げるか、ペトルーシャ・イーストめ。ならば、コチラから仕掛けるまでよ。全艦左舷回頭、目標『同盟軍第11艦隊』」「「「はっ!!」」」多くの戦術家が無謀極まりないと評価する敵前回頭だったが当のシュワルツ・ランツェンレーターの将兵達は、先ほどまでの戦闘の余韻を引き摺っており冷静な判断を下せる状態では無く、司令官の命令を忠実に実行した。(一部、冷静な人物も居たのだが司令官や周りの空気に圧倒されてしまった。)「我々は猛将の誕生する瞬間に居合わせているのかも知れない。」「猛将?」「味方の損害をまったく気にせず、敵に突撃する者を、人は『猛将』と呼ぶ。 敵の戦意の高さは『あの黒い艦隊』の司令官が「閣下!!!今はそんな事より前方の敵に集中して下さい。」・・・すまない、グリーンヒル中尉。」丁度その頃、同盟軍第13艦隊の旗艦に無駄話を副官に注意された司令官とその司令官の話に乗り、話の風呂敷を広げてしまった副参謀がバツが悪そうにしていた。第11艦隊本隊を後退させ様子を見ていると、目の前に獲物(シュワルツ・ランツェンレーター)が飛び込んできた。「前方の敵艦隊の側面に攻撃開始せよ。」攻撃を躊躇う理由は特に無いので、俺は当たり前のように攻撃命令を出し、部下達は攻撃を実行する。このまま、楽に勝たせてくれれば良いのだが・・・・・。「前方の黒い艦隊が回頭を開始しました。」「はぁ!?」思わず変な声を出してしまった。敵前回頭?死亡フラグじゃん。俺はてっきり第3次ティアマト会戦でラインハルトがやった様に、一度通り過ぎてから折り返してこっちの左側面に取り付いて来ると思っていたのだが流石はビッテンフェルトだ。俺には出来ない事を平然とやってのける。シビれもしないし、憧れないが・・・・・。まあ、回頭を済ませるのを待ってやる義理も無いので俺は攻撃を続行させた。 現在の第11艦隊周辺図------------------------------------------------------------ ■■ ▲▲ ◆ ▲▲ ◆ △ △ ◇◇ □ △=第11艦隊本隊 ◆=第11艦隊分隊 ■=アップルトン艦隊 ◇=ボロディン艦隊 □=無人艦隊 ▲=シュワルツ・ランツェンレーター------------------------------------------------------------どうやら、第11艦隊の分艦隊やアッテンボローは俺の指示通りに動いてくれている。だが、状況は不味い。前方には回頭を完了させたシュワルツ・ランツェンレーターがいる。このままでは正面決戦になってしまう。正面決戦では勝ち目は無い。現在、第11艦隊を二手に分けているのでこの場にいる第11艦隊本隊は本来の約半数だ。そしてシュワルツ・ランツェンレーターは無謀な突撃で数を減らしてはいるが第11艦隊本隊の数よりは多いハズだ。さっきの回頭中に与えた損害が、思いの他少なかった。180度の回頭なら一気に壊走状態にしてやったのに、シュワルツ・ランツェンレーターは元々こっちに側面を向けていた為、回頭が90度で済んでしまう。ぶっちゃけ回頭する前が一番的が大きく、回頭するにつれて的が小さくなっていく訳だ。損害が小さくて済むハズだ。第11艦隊の分艦隊やボロディン提督の艦隊が攻撃を開始するまで、まだ時間がかかる。アップルトン提督は前方の敵と交戦中で、それ所では無い。さて、どうしよう。・・・・・そうだ、アッテンに任せよう。そうしよう。「後方の無人艦隊旗艦ユリシーズに通信を送れ。内容は『前方の黒い艦隊の足を止めろ、やり方は任せる。追伸、危なくなったら逃げてもいいよ。』だ。」「了解しました。」 「それから、第11艦隊の本隊を一時後退させる。」アッテンボローなら、きっと大丈夫だ。信じているぞ。「第11艦隊旗艦より通信が入りました。内容は『前方の黒い艦隊の足を止めろ、やり方は任せる。追伸、危なくなったら逃げてもいいよ。』です。」「・・・やれやれ。無茶を言ってくれる。」ペトルーシャ・イーストより命令を受け取った無人艦隊司令官のダスティ・アッテンボローは軍用ベレーを右手人差し指に引っ掛けくるくると回しながら呟いた。「どうします、アッテンボロー提督(仮)。」「やらない訳には行かないな。それに、好きにやって良いとお墨付きが付いてる訳だしな。どうせやるなら、精々度肝を抜いてやろう。敵味方共にな。」この時、アッテンボローは不敵な笑みを浮かべながら、シュワルツ・ランツェンレーターに対する足止めの策を考えていた。だが、この事が後の悲劇に繋がるとは誰も気付いて居なかった。・・・・つづく。7月末に無事に試験の方は学科、技能共に終了したので創作活動の方に打ち込める様になったのですが、上手く筆が乗らないです。頭の中と実際に文章にしてみる事は違いますね。どうでもいい事ですが、小さい頃『油断』を食べ物だと思っていました。よく見ていた戦隊モノのOPの歌詞に『油断は出来ないぜ!!』ってあったのが原因です。 『油断は出来ないぜ!!』 ↓『ユダンは簡単には作れない、もうちょっと待ってろ!!』アホですね。