第三話 第3次(大惨事)ティアマト会戦開始「独創性の欠片も無い陣形から独創性の欠片も無い戦闘が生み出されている。」とラインハルト・フォン・ミューゼルが副官のジークフリード・キルヒアイスに愚痴をこぼしている丁度その時同じ戦場の反対側の陣営でも同じ事を呟いている人物がいた。「独創性の欠片も無い陣形から独創性の欠片も無い戦闘が生み出されている。」とりあえず、ぼやいてみる俺。心の底からそう思って言っている訳では無く今頃、金髪も同じような事を愚痴っているのかな?と思い、格好をつけて言ってみただけっだったりする。しかし、副官のフック・カーン中尉はそうとは思わず怪訝な表情をこちらに向けてきたので「俺は一日、一回はぼやいておかないと体調が悪くなるのでな。だから、ついぼやいてしまうのだよ。」と言い訳をしておく。「はあ。」ますます、怪訝な表情になるフック・カーン中尉。正直、俺も自分で何言ってるのか分からない。言った後に後悔する。一日一回って何?メケメケ?それにしても、このフック・カーン中尉まさに副官をするために生まれて来たような名前だ。将来、副官一筋35年とか言っているのだろうか?そんな事を考えていると司令官のホーランド中将より「全軍突撃せよ!!」との命令が下った。無視する訳にもいかない。俺は「やれやれ、給料分働くか。」と非常勤参謀殿のマネをしながら自分の指揮する艦隊に「司令官閣下に続け、ただし無駄弾は撃つなよ。」と命令した。19:20分頃「どうだ!!戦っているのは我が艦隊だけではないか。戦果は全て我が手の内だ。一個艦隊で4倍近い艦隊を翻弄しているのだぞ。こんな鮮やかな勝利はアッシュビーでも不可能だろう。リン・パオもブルース・アッシュビーも守るだけだった。俺は違うぞ。敵を撃破し、イゼルローン要塞を抜き、長躯してオーディンを攻略する。皇帝を処刑し、ついでにあの男も処刑し、帝国を滅ぼすのだ。ウィレム・ホーランド元帥。帝国を滅ぼす者、それは俺だ!!」ホーランド提督の副官は上官の言った「あの男」に心当たりがあったが彼は空気を読める男だったので特に反応せず聞き流す事にした。ホーランド提督の第11艦隊は先覚者的艦隊運動で暴風雨の如く荒れ狂っていた。しかし、この様な攻勢が無限に続く訳も無くだんだんと攻勢の終末点に近づいていく。「もうすぐ、限界か。」第11艦隊の行動の限界が近づく俺は自分の分艦隊には余裕を持たせて行動させていたためまだ、弾薬、燃料には余裕があるが他の分艦隊はそうは行かない。「後方の第5艦隊、第10艦隊に通信を送れ。第11艦隊はまもなく行動の限界に達す。撤退の援護を要請する、と」「しかし、艦隊司令官のご許可を・「かまわん。責任は俺が取る。」・・はい、了解しました。」「まもなく、敵より砲撃が来る。各艦分散し各々の判断で他の船より距離を取れ。」俺は勝手に他の艦隊に通信送ったり、司令官を無視して命令したりのやりたい放題だ。事前に、根回し(主に飲みにつれていったり、飯奢ったり、ぼやいたり)して置いた分艦隊は自分の指示にしたがってくれたようだ。もし、司令官が生き残ったら軍法会議ものだ。だが、ここまで来たら腹を括らねばならない。とある副官が言っていた「毒を喰らわば皿まで、皿を食ったらテーブルを齧りたおし、テーブルを齧り倒したら食堂を爆破せよ!!」と戦場に当てられて自分のテンションが上がって来たのを自覚していたがそれにブレーキをかけるような事はしない。なぜなら、冷静になってしまうととても怖いからだ。俺はテンションに流されている訳ではない、「コレが俺の本来のベストテンションだ。」と自分に言い聞かせる。そんな自分に気付かないふりそして、時々自己嫌悪。俺のやりたい放題に対し司令官のホーランド提督からの通信が入る。出たくないな、などと思っていると突如前方に強烈な光が走り司令官からの通信が途絶える。「旗艦消滅!!ホーランド提督戦死しました!!」オペレーターより報告が入る。俺の分艦隊は旗艦からは十分な距離を取っていたので損害は無い、俺の指示に従ってくれた他の分艦隊にも目立った損害は無いがそれ以外の部隊の損害はけして軽くないな。ここからが本番だ。撤退戦は殿がしっかりしていないと一方的な損害を出すからな。昔の戦国時代の織田と武田の戦った長篠の戦いも武田が撤退に移ってからの損害の方が多かったってなんかの本に書いてあったな。今回の殿は俺の艦隊が勤めるしかない、大丈夫だ、後ろにはビュコック、ウランフの両提督が控えている。それに、俺には秘策がある問題ない。「司令官が戦死した為、俺が艦隊の指揮を引き継ぐ。我が分艦隊は殿を務める。それ以外の艦隊は秩序を持って撤退せよ。」この時の為に、温存していた弾薬を追撃してきた敵の先端部にピンポイントでばら撒きながら時間を稼ぎ徐々に後退する。第5艦隊、第10艦隊が間も無く援護に入れそうな距離まで来たのを確認すると俺の秘策を発動する。この秘策とは何を隠そう第2次ランテマリオ会戦でロイエンタールが使った擬似突出だ。「各艦、戦術コンピューターのC5回路を開け」俺は前もって作戦をコンピューターに入力しておいた。何?非常勤参謀殿のパクリじゃないよ。使ったのは俺のほうが先だもの。 俺の予想 敵の追撃 ↓ 秘策発動 ↓ 敵「何だと、敵が突撃してきた、」 敵「そんな非常識な、全軍後退せよ。」 敵「敵の司令官は用兵を知らぬ。」 ↓ 俺の艦隊急速反転後退 ↓ 敵「おのれぇ、逃がしたわ。」 金髪「ほう、敵にも中々出来る奴がいるな。」 赤毛「善戦を称える通信文でも送りますか?」 現実 敵の追撃 ↓ 秘策発動 ↓ 敵「何だと、敵が突撃してきた、」 敵「そんな非常識な、あのような寡兵で一体何が出来る。」 敵「よし、包囲し撃滅せよ。」 ↓ あるぇ?敵が、近づいて、来るよ? (味方部隊急速撤退中) (分艦隊各艦順次離脱中) (分艦隊旗艦突出中)←俺の乗ってる艦 ↓ 帝国軍による包囲網完成。 気が付くと回りに味方がいない。 俺の艦だけが取り残された。 そして、敵より降伏勧告が届いた。どうする俺。どうするよ。 選択1俺「ふははははは、コイツは良いぞ。どっちを向いても敵ばかりだ。狙いを付ける必要は無い。とにかく撃てば敵に当たるぞ。」 突撃開始 ↓ 俺「ふはははは、コイツは参った。騙されたぞ(主にロイエンタールに)!!」(※騙してません) チュドーン ↓ 二階級特進 俺は34歳で自由惑星同盟軍最年少の大将の誕生・・・いや駄目だな。1は却下。 選択2俺「コレは罠だ!!コレは罠なんだ!!分からんのかこの馬鹿共。コレは罠だ。コレは罠なんだ。ロイエンタールが僕を陥れるために仕組んだ罠だ。」(※濡れ衣) ・・・・・・・いや駄目だな。そもそも、コレでは何も解決しないし、途中から別の奴になってるし、落ち着け、落ち着くんだ。素数を数えて落ち着くんだ。素数は1と自分の数でしか割る事のできない孤独な数字。私に勇気を与えてくれる、素数は誰にも砕けない。1、2、3、5,7、11?「フック・カーン中尉、1は素数だったかな?」「はぁ?」「いや、何でもない。忘れてくれ。」完全に俺のミスだ。クソ!!オスカー・フォン・ロイエンタールめ。死して尚、俺に刃を突き付けるか!!(※死んでません)・・・・・本当にどうしよう。 金髪「・・・・・・・」 赤毛「・・・・・・・」 次回に続く?