「つまらないなー人生って。」テレビの画像を眺めながら男が一人つぶやく。一浪して漸く志望の大学に入ったが、燃え尽きてしまい、碌に授業にも行かずゲームとネットサーフィンばかり。この山田次郎という男は典型的な駄目大学生として大学2回生の夏休みを磨り潰していた。好きな女に勇気を出して告白したのは前学期の最後の授業だった。結果は当然駄目。付き合う相手がいたならこのように部屋に引きこもってゲームなどするはずも無い……
「ホント、ゲームの世界にでも良けりゃ良いのにな。そうすりゃ勇者様になって華麗に世界の一つでも救ってやるのに。」ゆとり世代向けの至極簡単なRPGをやりながらつぶやく。
「しっかし、ホントこの頃のRPGは簡単だな。紙芝居見てる気になるぜ」
セーブポイントに付き、愚痴を言いながら一旦やめるために電源を切る。それと平行してスーパーファミコンの電源をいれ、最近嵌まっているいわゆるレトロゲームをやり始める。
「さてっと、モンスターメーカーでも始めるか」この男は昔ながらの難易度の高いRPGを詰まりながらやるのが好きないわゆる懐古主義者だった。
しかし、ちゃんと起動しない。端子とスーパーファミコンがなかなかうまく接触していないためだろう。何回も電源を入れたり、端子をフーフーしたりする。
「これさえなければもっといいんだけどな・・・・・・・」
真っ黒な画面を何回も見ながら試行錯誤する。っと画面がうまく出てきたようだ。
「楽dasijijwefの神々の笑い声join ijiえkji」
「何だこのメッセージ。またバグか??」もう一度カセットを挿しなおそう。そう思い体を前のめりにする。
その瞬間笑い声が聞こえてくる。何事かと思い辺りを見回してもまるで異常は見られない。しかし、笑い声はもはや空気の波となり体全体を振るわせるほど大きくなっている。
「な、なんだこれ、何が起こってるんだ??くそ・・・・・」
やがてその笑い声は部屋全体を揺らすほど大きくなり、遂に山田次郎を意識をも奪った。暗転。