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No.11085の一覧
[0] 迷宮恋姫【完結】 (真・恋姫無双 二次創作)[えいぼん](2010/05/31 20:54)
[1] 第一話[えいぼん](2009/09/21 00:53)
[2] 第二話[えいぼん](2009/09/21 01:05)
[3] 第三話[えいぼん](2010/01/24 20:05)
[4] 第四話[えいぼん](2009/09/26 05:36)
[5] 第五話[えいぼん](2009/08/25 00:08)
[6] 第六話[えいぼん](2010/02/20 07:16)
[7] 第七話[えいぼん](2009/09/15 21:39)
[8] 第八話[えいぼん](2009/09/15 21:40)
[9] 第九話[えいぼん](2009/08/25 00:05)
[10] 第十話[えいぼん](2010/02/20 07:16)
[11] 第十一話[えいぼん](2009/08/27 23:37)
[12] 第十二話[えいぼん](2009/08/26 21:34)
[13] 第十三話[えいぼん](2009/09/21 08:56)
[14] 第十四話[えいぼん](2009/08/29 02:46)
[15] 第十五話[えいぼん](2009/09/21 03:04)
[16] 第十六話[えいぼん](2009/09/19 15:52)
[17] 第十七話[えいぼん](2009/09/04 23:58)
[18] 第十八話[えいぼん](2010/02/20 07:17)
[19] 第十九話[えいぼん](2009/09/21 03:40)
[20] 第二十話[えいぼん](2009/09/21 03:47)
[21] 第二十一話[えいぼん](2009/09/19 15:52)
[22] 第二十二話[えいぼん](2010/05/20 18:53)
[23] 第二十三話[えいぼん](2009/09/07 22:44)
[24] 第二十四話[えいぼん](2009/09/20 22:40)
[25] 第二十五話[えいぼん](2009/09/20 22:40)
[26] 第二十六話[えいぼん](2009/09/20 22:40)
[27] 第二十七話[えいぼん](2009/10/03 08:55)
[28] 第二十八話[えいぼん](2009/09/20 22:41)
[29] 第二十九話[えいぼん](2009/09/20 22:41)
[30] 第三十話[えいぼん](2009/09/20 22:41)
[31] 第三十一話[えいぼん](2009/09/20 22:41)
[32] 第三十二話[えいぼん](2009/09/20 22:41)
[33] 第三十三話[えいぼん](2009/09/20 22:41)
[34] 第三十四話[えいぼん](2009/09/20 22:42)
[35] 第三十五話[えいぼん](2009/09/20 22:42)
[36] 第三十六話[えいぼん](2009/09/20 22:42)
[37] 第三十七話[えいぼん](2009/09/21 00:42)
[38] 第三十八話[えいぼん](2009/09/20 23:50)
[39] 第三十九話[えいぼん](2009/09/22 15:51)
[40] 第四十話[えいぼん](2009/09/22 18:12)
[41] 第四十一話[えいぼん](2010/05/14 19:23)
[42] 第四十二話[えいぼん](2009/09/27 16:52)
[43] 第四十三話[えいぼん](2010/02/20 14:39)
[44] 第四十四話[えいぼん](2009/09/27 13:39)
[45] 第四十五話[えいぼん](2010/05/14 19:22)
[46] 第四十六話[えいぼん](2009/09/27 13:39)
[47] 第四十七話[えいぼん](2010/02/20 14:57)
[48] 第四十八話[えいぼん](2010/05/14 19:06)
[49] 第四十九話[えいぼん](2009/09/30 21:32)
[50] 第五十話[えいぼん](2009/10/02 00:33)
[51] 第五十一話[えいぼん](2009/10/03 01:57)
[52] 第五十二話[えいぼん](2010/03/27 14:36)
[53] 中書き[えいぼん](2009/10/03 16:02)
[54] 閑話・天の章[えいぼん](2010/01/10 19:35)
[55] 閑話・地の章[えいぼん](2010/01/09 11:12)
[56] 閑話・人の章[えいぼん](2010/01/10 10:59)
[57] 第五十三話[えいぼん](2010/02/01 19:13)
[58] 第五十四話[えいぼん](2010/04/14 23:22)
[59] 第五十五話[えいぼん](2010/01/18 07:26)
[60] 第五十六話[えいぼん](2010/01/20 17:42)
[61] 第五十七話[えいぼん](2010/01/31 22:16)
[62] 第五十八話[えいぼん](2010/01/29 23:27)
[63] 第五十九話[えいぼん](2010/02/03 05:56)
[64] 第六十話[えいぼん](2010/02/20 07:29)
[65] 第六十一話[えいぼん](2010/02/20 07:30)
[66] 第六十二話[えいぼん](2010/04/13 21:38)
[67] 第六十三話[えいぼん](2010/02/20 07:32)
[68] 第六十四話[えいぼん](2010/04/13 21:39)
[69] 第六十五話[えいぼん](2010/04/13 21:39)
[70] 第六十六話[えいぼん](2010/04/13 21:39)
[71] 第六十七話[えいぼん](2010/04/13 21:39)
[72] 第六十八話[えいぼん](2010/03/27 14:39)
[73] 第六十九話(書き直し)[えいぼん](2010/04/13 21:40)
[74] ボツ話[えいぼん](2010/03/25 07:16)
[75] 第七十話[えいぼん](2010/04/13 21:40)
[76] 第七十一話[えいぼん](2010/04/13 21:40)
[77] 第七十二話[えいぼん](2010/04/13 21:40)
[78] 第七十三話[えいぼん](2010/04/13 21:40)
[79] 第七十四話[えいぼん](2010/04/13 21:41)
[80] 第七十五話[えいぼん](2010/04/13 21:41)
[81] 第七十六話[えいぼん](2010/04/13 21:41)
[82] 第七十七話[えいぼん](2010/04/13 21:41)
[83] 第七十八話[えいぼん](2010/04/13 21:42)
[84] 第七十九話[えいぼん](2010/04/13 21:42)
[85] 第八十話[えいぼん](2010/04/13 21:42)
[86] 第八十一話[えいぼん](2010/04/13 21:42)
[87] 中書き2(改訂)[えいぼん](2010/04/01 20:31)
[88] 第八十二話[えいぼん](2010/04/13 21:42)
[89] 第八十三話[えいぼん](2010/04/13 21:42)
[90] 第八十四話[えいぼん](2010/04/13 21:43)
[91] 第八十五話[えいぼん](2010/04/17 03:04)
[92] 第八十六話[えいぼん](2010/04/29 01:36)
[93] 第八十七話[えいぼん](2010/04/22 00:13)
[94] 第八十八話[えいぼん](2010/04/25 18:36)
[95] 第八十九話[えいぼん](2010/04/30 17:45)
[96] 第九十話[えいぼん](2010/04/30 17:51)
[97] 第九十一話[えいぼん](2010/05/05 13:47)
[98] 第九十二話[えいぼん](2010/05/07 07:39)
[99] 第九十三話[えいぼん](2010/05/30 13:16)
[100] 第九十四話[えいぼん](2010/05/16 08:27)
[101] 第九十五話[えいぼん](2010/05/16 08:31)
[102] 第九十六話[えいぼん](2010/05/18 07:11)
[103] 第九十七話[えいぼん](2010/05/22 07:52)
[104] 第九十八話[えいぼん](2010/05/31 22:26)
[105] 第九十九話[えいぼん](2010/05/30 13:59)
[106] 最終話[えいぼん](2010/05/31 22:24)
[107] 後書き[えいぼん](2010/05/31 20:56)
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[11085] 第七十九話
Name: えいぼん◆2edcbc16 ID:fd94314f 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/13 21:42
一刀達に攻め掛かっていた敵を、『赤壁』に押しつけるよう追い込む華琳達。
前方からは華琳達の攻撃が、後方からは『赤壁』によるスリップダメージが、敵のHPを削っていく。

効率的に目前の敵を排除した華琳達は、残りのモンスターに対する掃討戦に移った。
それと同時に、『赤壁』を解除して一刀達の元へと駆け寄る冥琳。

「冥琳?!」
「話は後だ、今は撤退するぞ! 穏、雪蓮の矢は抜かずに『癒しの水』を掛け続けるんだ」

などと言われても、簡単に気持ちを切り替えられるわけがない。
もしやこれが走馬灯というやつなのであろうか。
そう思った一刀は、目の前の冥琳へと手を伸ばした。

「……幻覚じゃない」
「あっ、ん、こら一刀、どこを触っている。そんな場合じゃないだろ」
「冥琳! 冥琳!」
「きゃあ! うむ、ちゅ、ちゅぷっ……ぷは、わかった、わかったから。後でじっくりしてやるから、今は落ち着け」

一刀と冥琳が感動の抱擁を交わしている間にも、華琳クランが次々と敵を屠っていく。
その手に必要以上に力が篭っているように見えたのは、恐らく気のせいであろう。
折角格好良く登場したのに空気扱い、あまつさえラブシーンまで見せつけられたというやり場のない怒りをぶつけていたわけでは、決してない。

「めーりん、めーりん! めーりん、めーりん!」
「いつまでイチャついてるのよ!」
「あいたっ。……これ、『帰還香』?」
「後は私達に任せて、さっさと帰りなさい」

華琳に投げつけられた『帰還香』は、戦場の遠ざかった今なら使用が可能である。
未だ雪蓮は危篤状態から脱していないのだから、ここは華琳の指示に従うべきであろう。

「ありがとな、華琳。後は頼んだよ」
「ふふ、いいのよ。この貸しはすぐに返して貰う予定だから。覚悟しておきなさい、一刀」

そんな華琳の言葉に、思わず耳を塞ぎたくなる一刀。
借りを返すのは吝かではないが、このペースでは過労死してしまう。

九死に一生を得た安堵で緩んだ顔を引き攣らせながら、『帰還香』を使う一刀なのであった。



この中華風ファンタジーなゲーム世界には、魔術もあれば回復アイテムもあり、更にはゴッドウェイドーまでがある。
毒矢が突き刺さったままの雪蓮だろうと、戦場でさえなければ治療は容易だろうと思われた。
なぜなら雪蓮の危機は外的要因、つまり毒矢のせいだからである。
この原因を取り除くことが出来れば、後はどうにでもなるはずだ。

「うおおぉぉぉ、元気になぁれ! ……これは、かなり難しいな」
「なんでだよ! 毒矢は取れたんだろ?!」
「鏃の中にわざと脆い部分が混ぜられていたんだ。それが体内に散らばってしまっている」
「治るんだよな? なぁ、大神官! 雪蓮は治るんだろ?」
「もちろんだとも! そちらの冥琳と合わせ、俺が責任を持って完治させてみせる!」
「あ、そうだよ。回復したように見えるけど、冥琳の方も一体どうなってるんだ?」

NAME:冥琳【加護神:周瑜】
LV:21
HP:276/276
MP:143/208

そのステータスが示す通り、今の冥琳はこれまでが嘘のように健康体に見える。
だが大神官が「冥琳と合わせて」と言うからには、冥琳の病もまだ完治してはいないのだろう。
疑問を浮かべる一刀に、冥琳が微笑みを浮かべながら逆に問い掛けた。

「ところで一刀、この髪飾りをどう思う?」
「よく似合ってるよ。やっぱり冥琳には濃い目の赤が……。あ、それって、もしかして」
「もちろん私が作ったのー!」
「「ご主人様、無事だったんですね!」」

そこに現れたのは一刀帰還の連絡を受けて駆けつけた双子と、それに便乗した沙和である。
ちなみに連絡を入れたのはギルドのテレポーター利用記録係であり、一刀を連れ戻しに行くという冥琳へ事前に双子が頼んでいた。
おまけの沙和は、本当に冥琳がプレゼントの贈り先だったのかを確かめたかっただけである。

その沙和から、冥琳復活の経緯が語られたのであった。



「どう、真桜ちゃん。感想を聞かせてなのー」
「お、髪飾りが完成したんか。せやな、うちにはようわからんけど、綺麗やな」
「でも身に付ける人が誰かわからないから、不安なのー」
「理知的な黒髪なんやろ。シックな感じの出来上がりやし、ええんとちゃう?」
「それでも微調整が必要なのー」

自らの髪に『深紅の髪飾り』を当てる沙和。
しかし明るい茶髪の持ち主である彼女では、今いちピンと来ない。

「沙和、真桜、大変だ!」
「あ、凪ちゃん、いいところに来たのー! 凪ちゃんの銀髪なら、イメージが合わせやすいのー」
「それどころじゃない、あの華琳さんから招待状が届いたんだ! 聖戦士として名の知れ始めた自分達に、是非会いたいと書いてある!」
「今はこっちの方が重要なのー!」
「まぁまぁ、二人とも落ち着いた方がええで」

真桜が思うに、凪の高揚感は華琳ほどの人物に評価を受けたことによるものであろう。
紹介だけであれば一刀にして貰うことも可能であったが、真桜自身もやはり自分達の実力で人に認められたのは嬉しい。
ましてやそれが自分達も興味を持っていた、曹操の加護を持つ華琳なのだから尚更である。

一方で、同じ物作りのエキスパートとして沙和の気持ちもわかる。
どうせしばらくはどこのクランに加入するつもりもないし、まずは目先の仕事を優先したいという沙和の言い分も納得出来る。

「せやから間をとって、着飾らせた凪を連れて行ったら万事解決や」
「凪ちゃん、可愛いのー!」
「や、やっぱり着替える! こんな格好、自分には似合わない!」
「ええやん。隊長だって、今の凪を見たらイチコロやで」
「ほらほら、時間がないのー。さっさと出掛けるのー!」
「こ、こら、ちょっと2人共、引っ張るな!」


というわけで、沙和達は華琳の屋敷へと出掛けたのだそうだ。
それが昨日のことらしい。

「それと冥琳の回復と、どう関係があるんだよ?」
「ここからが本番なの! 黙って聞くのー!」

うるさい一刀を一喝し、沙和は話を続けた。


華琳との会談と言っても内容は特になく、ただの顔見せに近かった。
そんな雰囲気の中で、凪の頭上で存在感を放つ『深紅の髪飾り』が話題になるのは必然であった。

「ところでその髪飾り、素晴らしい品ね。気品があるわ」
「沙和が作ったのー!」
「へぇ、凄いのね。少し見せて貰ってもいいかしら?」
「どうぞ、華琳さん」

凪から手渡された髪飾りを観察する華琳。
細工も素晴らしいが、素材の持つ雰囲気は凡百の物ではない。
興味を持てば、その全てを知りたいと思うのが華琳である。
凛を呼び出して、『深紅の髪飾り』を鑑定させるのは自然な流れであろう。

「折角だから、この赤い髪飾りを鑑定させてみましょう。凛、頼んだわ」
「はっ。……雰囲気に違わず、性能も凄まじいですね。『状態異常無効』なんて、初めて見ました」
「これを装備していれば、バジリスクの毒も無効化されるのね。春蘭に装備させたいわ。沙和、売って貰えないかしら?」
「ダメなのー。これは隊長、じゃなくて、一刀さんからの依頼で作ったものなのー」
「でも女物じゃない。一刀には似合わないでしょうに」
「黒髪の女の子にプレゼントするって言ってたのー!」

沙和の言葉を聞いた華琳は、傍にいた春蘭に問い質す。

「……春蘭? 貴方、いつの間に一刀とネンゴロになったの?」
「そ、そんな! 私は華琳様ひとすじです!」
「怪しいものだわ。同じようなことを言ってた桂花だって、結局一刀大好きっ娘になっちゃったし……」
「あんな淫乱と一緒にしないで下さい、華琳様!」
「だ、誰が淫乱なのよ! この脳筋!」
「ふふ、冗談よ。2人とも落ち着きなさい。それより春蘭、心当たりはないのね?」
「もちろんです、華琳様!」

そのやり取りを聞いていた真桜が口を挟む。

「春蘭姉さんは違うと思うで。黒髪で理知的な人って言うてたし」
「ふむ。確かにそれは春蘭じゃないわね。一体誰かしら」
「ほら、みたか桂花。華琳様の私に対する深い信頼を思い知っただろ!」
「……まぁ、アンタがそれでいいなら、私から何も言うことはないわ」

なんにしろ、一刀の持ち物を沙和に対して譲れと言っても仕方がない。
『深紅の髪飾り』についての話はそこで終わり、その後もしばし歓談が続いたのであった。



高性能を秘めた装備であることが分かった以上、急いで納品すべきであろう。
そう判断した沙和は、華琳の屋敷を出たその足で一刀の宿へと向かった。

「ごめん下さいなの。一刀さんにお届け物なのー」
「申し訳ありません。ご主人様はしばらくの間、不在です」
「うーん、困ったのー。それじゃ、戻ってきたら沙和に連絡するように伝えて欲しいの」
「はい。何か言伝などはございますか?」

と言われて、沙和は考えた。

なにやら貴重品らしいので、いつまでも自分が保管しているのは、万が一を考えると怖い。
従って、一刀には出来るだけ早く引き取りに来て欲しい。
そのためには、一刀にその価値を知らせるのが手っ取り早いだろう。

ある意味で軽率とも言える沙和の判断が、この場合は良い方向に働いた。

「実は頼まれてた髪飾りが、『状態異常無効』の装備になったの。そう伝えてくれれば、分かるはずなのー」
「……待って下さい。それって毒とか麻痺とかを無効化するって意味ですか? 病気は、病気はどうなんですか?!」
「お姉ちゃん、落ち着いて。沙和さん、それで病気はどうなんですか?」
「試してみないと、分からないのー」

そう、沙和の応対に出ていたのは双子だったのである。
病に倒れた冥琳の看病をしている彼女達にとって、沙和の言葉は聞き逃せないものを秘めていた。

「実は重病で瀕死の知り合いがいるんです。お願いです、試させて下さい!」
「その方の看病を私達に頼んでいったのもご主人様なんだから、文句は言われないと思います」
「うーん。じゃあ、沙和も一緒に行くの。それならいいのー」

瀕死の人がいると聞いて放っておける程、沙和も薄情ではない。
夕暮れの中、双子と沙和は救護院へと向かったのであった。



「そこから先は、私が話そう」
「ああ。頼むよ、冥琳」
「もっとも、後はたいして話す中身もないのだがな」

短剣飾りとは違って、『深紅の髪飾り』は装備品である。
継続した状態異常無効の性能は、冥琳の病を治せないまでも押さえつける効果だけは発揮してくれた。
病が治ったわけではないので髪飾りを取ったら元に戻ってしまうが、それを装備し続けている限り健常者と変わりないという、不思議な状況が出来上がった。

だが冥琳の体力さえ戻れば、後はゴッドウェイドーの出番である。
病魔との戦いだけでも3日3晩は必要だと聞いた冥琳は、手術を後日受けることにした。
一刀達が相当な無理をしているはずだと言う双子の話から、まずは雪蓮に連絡を取らねばならないと考えたのだ。

美以さえいればその時点で全て解決したのであるが、残念ながら今は失踪中である。
だが幸い地図の存在はクランのサブリーダーである冥琳も知っていたし、それどころか彼女はそれを暗記すらしていた。
もちろん冥琳だけでは、一刀達のいると思われるフロアまで辿り着くことが出来ない。
そこで、加護を受ける以前は行動を共にしていた華琳クランに、いくつかの条件と引き換えに護衛を頼んだのである。

一刻も早く一刀達と合流する必要があったため、無理を押して準備を済ませ、夜更けに迷宮内へと出立した華琳クラン。
BF20で雪蓮達の荷物を発見した冥琳は、残された中身から彼女達の意図を見抜き、自分達が一歩遅かったことを悟った。
水やお香が無かったことから、『帰還香』による突発的な退却ではありえない。
そして食糧を持って行かなかったのだから、目標はBF25海岸への到達であろうと推測したのだ。

「不完全な地図だからルートは限定されていたのだが、さすがにBF23より先に進むのは厳しかったからな。あそこにいてくれてよかった」
「……そうやって話を聞くと、俺達が助かったのは本当に幸運だったんだなぁ」

凪が髪飾りを身に付けていなければ。
沙和の応対をしたのが双子でなければ。
冥琳達が出立を夜にしなければ。

どれが欠けていても、今頃一刀達はモンスターの胃の中だったであろう。
そう考えて身を震わせる一刀に、大神官が声を掛けた。

「そういう訳で、この2人にはしばらく入院して貰うことになる。なぁに、『深紅の髪飾り』と俺のゴッドウェイドーが揃えば、治らない病気などない! 大船に乗った気持ちでいるといい」
「頼んだぞ、大神官」
「ああ、任せておけ! ところで、この髪飾りは量産出来ないのか?」

出来るか出来ないかは、今のところ不明としか言えない。
切り離されたダゴミンの腕が、『深紅の珊瑚』として残ったこと。
これの原理が、未だによく分かっていないからだ。

通常なら倒したモンスターはもちろん、その装備品に至る一切のものが粒子となって消えてしまう。
ドロップアイテムはポップするものであり、遺留品ではないのである。
なのに『深紅の珊瑚』がアイテムとして残ったのは、ダゴミンが未だ生きているせいなのか、はたまたある種のイベントであったのか。
それは、実際にダゴミンを倒してみないと分からないことである。

うまくいけば、大量の『深紅の珊瑚』が手に入るかもしれない。
だが、倒したら『深紅の髪飾り』がロストしたという事態にも十分なり得るし、人情的にもその行為は避けたいところだ。

「残念だけど無理だな」
「なぜだ! 迷宮で手に入れたものだろう?」
「……それは言えない」

自分が原因でダゴミンが捕獲されでもしたら、寝覚めが悪い。
そう考えた一刀は、黙秘を貫くことにした。

「ならば、その髪飾りを譲って欲しい! もちろん彼女達の治療に対して最優先に使うことは約束しよう。これさえあれば、俺の無力のせいで失われてしまう命が救えるんだ。頼む、一刀!」
「ちょっと、待ってくれよ。それは冥琳のために……」

とは言ったものの、そういう理由だと非常に断りにくい。
持ち主になっていたはずの冥琳や、制作者である沙和の口添えもあり、一刀は『深紅の髪飾り』をしぶしぶ大神官へ譲ることにした。
その代わりにと大神官から貰った3個の宝石。
自分だけが貰うのも気が引けたため、冥琳と沙和に1つずつ渡したその宝石は、この大陸で最も貴重とされているダイヤモンドの大粒であり、1000貫の値がつく品だそうである。

雪蓮と冥琳はしばらく入院の必要があるため、今回の雪蓮クランとの契約はこれで完了となった。
報酬については穏に話を通しておくから、後日ギルドに来るようにとのことである。
綺麗な宝石を貰ってホクホク顔の沙和にも別れを告げた一刀は、双子達と宿へと帰ったのであった。



思えば漢帝国クランの荷物持ちをした辺りから、一刀はずっと休んでいない。
更にこの後も、華琳に借りを返すことは確定している。
今回死に掛けたこともあり、いい加減にストレスが溜まっていた一刀。
そして手元には、大金がある。

そうだ、風俗、行こう。

一刀がそう考えるのも無理はない。
誤解しないで欲しいのだが、一刀は今まで風俗を利用したことなど一度もない。
ギャルゲで恋愛を学んだ一刀は、こう見えてもピュアハートの持ち主なのである。
一刀にとって性行為とは、まず愛が大前提にあるのだ。

そんな一刀が、金銭で女性を買う。
当然ストレス以外に原因など考えられないであろうと思われるような気がしなくもないはずである。

恋人達と逢瀬を楽しむ時には、彼女達のことを第一に考えてお互いに気持ち良くなれるよう、一刀なりに神経を使っている。
だが今回は、遊びなのである。

昨日はこの店で、エロゲで覚えたアナルFを試したり。
今日はその店で、エロゲで覚えたソフトSMを試したり。
明日はあの店で、エロゲで覚えた四十八手を試したり。

目に付いた風俗店を片っ端から貸し切り、欲望の赴くままに女体を貪る一刀。
自慢の『伊吹瓢』で浴びるように酒を飲み、肉欲を満たす。
絵に描いたような酒池肉林であった。

ところが、そんな一刀に対する女の子達からの人気は意外にも高かった。
チップの払いも気前よく、店の娘を全員呼ぶので1人あたりの負荷も少なく、根が小心者なので決して無茶はしない。
なによりも一刀が色々と試したことは、このゲーム世界では新鮮な性技であったのだ。
それは彼自身のCHRの高さや真珠効果と相まって、女の子達に忘れ難い印象を植え付けた。

そして一刀は、店側から見ても優良な客である。
一晩で馬鹿みたいな金を落としていくのだから、当たり前であろう。
冒険者が相手の商売である分だけマシとはいえ、苛酷な税金なのは風俗店も変わらない。
そのため徐々に寂れつつあった歓楽街にとって、一刀は救いの神であった。

僅か数日で1000貫をほとんど使い果たした一刀。
彼の評判は歓楽街では鰻登りだった。

曰く、エロスな御大尽
曰く、股間に銃を持つ男
曰く、四十八手の救世主

そのうち誰からともなく、一刀を新たなる異名で呼び始めた。
あっという間にそれが洛陽中に広まったのも、当然の結果だと言える。

こうして洛陽に新たなる性技のヒーローが誕生し、やがては華蝶仮面と人気を二分するまでになるのであった。



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NAME:一刀【加護神:呂尚】
LV:24
HP:442/385(+57)
MP:0/0
WG:20/100
EXP:812/7500
称号:四八マン

STR:33(+6)
DEX:50(+19)
VIT:27(+2)
AGI:36(+7)
INT:27(+1)
MND:20(+1)
CHR:48(+13)

武器:打神鞭、眉目飛刀
防具:スパルタンバックラー、勾玉の額当て、大極道衣・改、鬼のミトン、仙人下衣、六花布靴・改
アクセサリー:猫の首輪、浄化の腰帯、覇者のマント、回避の腕輪、グレイズの指輪、奇石のピアス

近接攻撃力:238(+39)
近接命中率:120(+20)
遠隔攻撃力:155(+15)
遠隔命中率:112(+28)
物理防御力:172
物理回避力:113(+20)

【武器スキル】
スコーピオンニードル:敵のダメージに比例した確率で、敵を死に至らしめる。
カラミティバインド:敵全体を、一定時間だけ行動不能にする。

【加護スキル】
魚釣り:魚が釣れる。
魚群探知:魚の居場所がわかる。
封神:HPが1割以下になった相手の加護神を封じる。

所持金:24貫


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