輝夜姫の人望すげぇ~。いきなりやってきた怪しげな俺でさえ輝夜の一言があれば問題無しとばかりに受け入れられた。輝夜姫マジすげぇな・・・・・・特にあの日に出会った女中さん、一番怪しんでたのに輝夜が話を付けたら三日としないうちに気さくになっちまったよ。あの日、輝夜が寝所に引っ込んだ後に一騒動あったものの輝夜の最後に言っていた台詞が功を征し何とか普通の部屋で眠ることができた。そして翌日、改めて輝夜から遊び係というなんとも微妙な役職を受け取ることとなった。ちなみにそのときに持っていた段坊流箱をいやそうな目で見ている警備兵がいたが何かあったんだろうか?それから俺は朝から昼にかけては屋敷の手伝い、昼から夜は輝夜の遊び相手をする生活が始まった。これはそんなある日の話だ。「しっかし輝夜よ・・・、まさかお前が風邪を引くとは」「ゴホッ、なんかゴホ、含みのある言い方ねゴホゴホッ、アスカ」「だってなぁ、俺じゃなくて輝夜だからなぁ~」「分かったゴホッ、わ、あんた喧嘩ゴホ売ってるのね、ゴホッ、いいわよ買ってやるわよ!!ゴホゴホッ!!」「あ~いいからいいから、無理すんな」あれ以来俺と輝夜はお互いを名前で呼び合うようになった。最初のうちはなかなかに照れ臭かったものだが慣れてしまえばそれほどでもない。「じゃ、俺はもう行くから、さっさとよくなれよ」「当然よ、アスカこそゴホッ首を洗って待ってなさいよゴホッ!!」まったく、つらいなら大声を出さなければいいものを。輝夜の言っていた首を洗って待っていろと言うのは今までの遊びでの対戦成績のことだ。先ほど俺は輝夜を馬鹿にしていたがあいつほどの天才を俺は見たことがない・・・1を聞いて10を知るの典型だった。どんな遊びを教えようとも遊び方を教えて10分もすれば対等に戦えるようになっていた。そんな彼女との対戦成績も通算163戦86勝70敗5引き分けと最初は勝てても段々と負けが込んでいくのだ。そろそろ新しい遊びを教えて成績を引き離さないと・・・・・・・・・俺がそんな幼稚なことを考えながら街中をブラブラと歩いていると胸に何かがぶつかったような軽い衝撃を受けた。「っつ~~~」どうやら目の前の少女が飛び出してきた拍子に俺とぶつかったようだ。俺は顔を抑えて蹲っている少女に手を差し出しながら「大丈夫か?」と声をかけた。「あ、ひゃいじょうぶです、おかまいにゃく」そう言って少女は蹲ったまま片手を前に出してこちらを押し止めるも、聞いた感じでは全然大丈夫そうにも無いので、「あ~、ほら、塗り薬があるからちょっと見せてごらん」といって少女の顔を覗き込んだ。ちなみに、なぜ薬を持っているかというと師匠との修行が関係している。修行期間中に幾度と無く死にそうな目にあったのだが、師匠がうっかり薬を持ってくるのを忘れていることが多々あったせいで、基本的に薬は俺が修行場まで持っていくのがなかば決まりごととなっていたのだ。おかげで今でも出かける時には携帯用の万能塗り薬を持って出るのが癖になっている。・・・青年(少女を)治療中・・・・・・・・・ふと治療中に少女を観察してみるとなかなかに美人だと思った。頭の上には白地に赤の模様が入った大きなリボン。やや釣り上がり気味の目が全体的に勝気なイメージを滲ませていた。そうして治療を終えると少女は勢いよく立ち上がり、それでいて丁寧にお礼を告げてきた。「わぁ、もう痛くありません。どうもありがとうございます」「いやいや、ぶつかってしまったのはこちらだし、お礼を言われるほどのものでもないよ」「いえ、私も慌ててたもので・・・」「まぁ、お互いに次から気を付けることにしようよ。君、急いでいたんだよね?送っていくよ」「あ、はい、でもいいんですか?」「なに、今日は仕事が休みでね、ちょうど暇にしてたんだよ」「そうなんですか、ではお願いしますね」「ん、そうだいつまでも君じゃ悪いし名前を教えてもらってもいいかな?俺の名はアスカって言うんだ」「いいですよアスカさん、私の名前は『妹紅』と言います」「そっか、いい名前だね」「えへへ~」その後、妹紅に事情を聞いてみると遊びに出ているうちに家に帰るのが遅くなってしまい急いで帰っていたとの事だった。俺は、また妹紅が怪我しないようにと並んで歩き送ってやることにした。・・・青年+少女移動中・・・・・・「この賊が妹紅様を離せ!」「もう逃げ場は無いぞ、おとなしくあきらめろ!!」「貴様!我らを護衛兵三兄弟と知っての狼藉か!!」・・・・・・なんだこれ。俺は今、護衛兵三兄弟とか言う槍を構えた3人組に囲まれていた。なぜこんな状況に陥ったかというと妹紅の家らしき屋敷に近づいた瞬間、一気に囲まれてしまったのでよく分からない。まぁ話しの内容を聞いてみれば俺が妹紅をさらった様に見えているのかもしれないな。そう思いながら妹紅のほうへ顔を向けてみると、妹紅が一歩前へ出て一喝した。「何をしているおまえ達!この方は私が怪我をしたときに手当てをしてくれた恩人だぞ!!すぐに下がれ!」「「「はっ?!も、申し訳ありませんでした!!」」」妹紅すげぇ~。3兄弟が一瞬で下がっていったよ。そう思いながら妹紅の方を見ていると妹紅がこちらを振り向き、申し訳なさそうな顔で謝ってきた。「申し訳ありませんでした、我が家の警備が」「いや、構わないよ。それだけ妹紅が大事にされているんだろ?」「はい、そういってもらえると助かり「おぉ、妹紅かえったのか」お父様?」妹紅との会話を遮って現れたのはやや恰幅のいい、悪く言えば太り気味のおじさんだった。これが妹紅の親父さんか?そう考えながら見ている俺を尻目に親子?は会話を続けていた。「妹紅帰りが遅いから心配したぞ」「はい、お父様、ごめんなさい。」「よいよいこうやって無事に帰ってきてくれたのだから。ところでそちらの方は?」「あ、はい、こちらはアスカさんと言って私が怪我をしたところを助けてくれたんです」「ほほう、そうかそうか」そうして親父さんはこちらを向き、「アスカ殿とおっしゃられたかな?娘が世話になったね」っと礼を述べてきた。「いえとんでもない、そんなたいした事じゃありませんよ」「ふむそうか、しかし娘が世話になったのに何もせずに返すのは儂としても心苦しいのでな。ぜひとも我が家で夕餉の招待を受けてはくれんか?」「それはいい考えですお父様、アスカさん是非いらして下さい」「そうですねぇ・・・、分かりました。そのご招待、受けさせていただきます」「ほっほっほっ・・・、受けてもらい感謝するぞアスカ殿。儂の名は『藤原不比等』と言う。何か困ったことがあれば遠慮なく言うが良い」「えぇ、ありがとうございます」その後、なぜか気に入られた俺は休みの日にたびたび妹紅と遊んだり家庭教師の真似事をすることになった。その影響だろうかそれ以後の妹紅の俺に対する呼び名は先生で統一されてしまった。<おまけ>藤原家での会話「ところでアスカ殿、仕事は何をされておるんじゃ?」「へ?仕事ですか。家にいる姫様の遊び係をやっています」「遊び係?なんじゃそれは??」「やはりそう思いますよね~、それが普通の反応だよな~」「まあいい・・・、それよりもじゃ今儂は探しているものがあってな良ければお主も探してはくれんか?もちろん礼はするぞ」「はぁ、構いませんが・・・その探し物と言うのは?」「ふむ、『蓬莱の玉の枝』と呼ばれる宝なのじゃが聞き覚えはあるか?」「むむむっ、申し訳ない。ちょっと覚えがないですね」「そうか・・・、まぁ簡単には見つかるとは思ってはおらんからなお主も見つけたらでいいんじゃが、そのときは譲ってくれんか?」「ええ、いいですよ」「そうかそうか、ありがたいことじゃ」そうして何気に輝夜姫の御付とすれ違う藤原不比等だった。----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------後書の皮を被った相談会輝夜「はい登場2話目にして速攻で寝かされた輝夜です」作者「輝夜を寝かしたお手玉の中身です・・・、あの輝夜さん?怒ってますか?」輝夜「いえいえ、そんなことは無いですよ。 ただ私の出番が潰されて妹紅の登場にイラついてるだけですよ」作者「(怒ってらっしゃる~?!)す、すみません」輝夜「いえいえ、謝っていただかずとも・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・次は私が活躍するのよね?」作者「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」輝夜「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まさか?」作者「じ、次回予告です!!」輝夜「あ、逃げた?!まちなさ~い!!」次回予告「彼女はババァじゃ無いよ」(今回もまた次回予告とタイトルは異なります)