前回の続き黒陽と輝夜の決闘・・・・・・・・・なぜこうなった?「っな・・・」輝夜は黒陽の召喚した黒き仮面の戦士を見ると驚きに声をなくしてしまった。それを見た黒陽は満足そうに頷き口を開いた。「どうやら姫様もこいつの恐ろしさを「な、なんて・・・」?」「なんてもの呼び出すのよ!!なによ! この黒くてテカテカ脂ぎってカサカサと素早く動き回っていかにも台所に出没しそうな奴は!!」「っちょ?!」「「「あぁ~」」」「そこも納得しない!!」しかしながら、どうにも輝夜は全く違う方向で驚いたようで、二人の戦いを見ていたアスカ達もその叫びに納得と共感の声を上げる。とは言え、せっかくの切り札をそんな方向で驚かれても全く嬉しくない黒陽は吼えるように叫ぶと、次の手を打ち始めた。「人の切り札を・・・もういいっ! 黒き仮面の戦士、番いの燕雄を攻撃だ!」黒陽がそう命じると黒き仮面の戦士は番いの燕雄へと一直線に走り出した。しかし、番いの燕雌が黒き仮面の戦士の攻撃を邪魔するようにその周囲を飛び回る。それを見た輝夜は黒陽を馬鹿にするように口を開いた。「愚かね。番いの燕雌がいる限りあなたの化物はまともに攻撃することなんて「甘い!」、なんですって?!」しかし、そんな輝夜の説明を一喝で切り捨てた黒陽の言葉に応じるように黒き仮面の戦士は番いの燕雌を無視して雄を粉砕した。そして、雄を粉砕した黒き仮面の戦士は黒陽の場へと跳び下がり構えると残った化物、番いの燕雌をにらみつけている。輝夜は狐に化かされた様な顔で呆然としていたが、すぐに正気を取り戻すと黒陽へ説明を求めた。「ちょ、ちょっと! なんで番いの燕の効果が効いてないの?!」「あれ? もしかして姫様こいつのこと知らないんですか?」「そんなゴキ○リ見たいなやつのことなんで知るわけ無いでしょうが!」「ひどっ! まぁ説明しますけど・・・・・・。こいつは『黒き仮面の戦士』星3で攻撃力、守備力共に1300の化物です」「はぁ? 何でそんなのに私の燕がやられるのよ」黒陽の説明を聞いた輝夜はすぐさまに眉をしかめて言葉を返した。対する黒陽はそんな輝夜をなだめるように言葉を続ける。「ま、まぁまぁ・・・まだ説明は終わってませんから。こいつの召喚条件は自分の場の化物より相手の場の化物が多い状態かつ、黒き太陽の石が場に出ている状態で自分の表向きの『幼い飛蝗』を生贄にすることで召喚できます」「それはまた・・・・・・ずいぶんと出しにくいわね」「その代わりに効果は破格ですがね。こいつは召喚成功後、自身以外の札の効果を受け付けない!」「っな?! それでも燕の方がまだ攻撃力が・・・」輝夜は黒陽の説明を聞き、驚きはしたもののすぐさまに自分の化物の方がまだ強いことに気がついた。しかし、黒陽はそんな輝夜の言葉を振り払うように腕を横なぎにし、言葉を続けた。「さらに、こいつは戦闘時に相手との星の数の差だけ攻撃力と守備力が500上昇する。つまり、燕との星の数の差は2だから攻撃力が1000上昇して2300で燕の攻撃力が2000だから300点差で燕を撃破だ!!」「な、なんですって!」輝夜はその効果に驚き身をのけぞらせると驚愕の叫びを上げた。そして、その様子に気分を良くしたのか黒陽は顔に笑みを浮かべながら手番の終了を告げる。「ふふん、どうですか姫様? 俺の番はこれで終わりです」「っく、ドロー!」新たに札を引く輝夜の顔には燕を破壊されたことに対する悔しさがにじんではいたものの、その余裕はいまだ崩れることなく残っていた。その理由としてはいろいろあるが、まず自分の勝利を疑わない自身から。次の理由として・・・・・・「まぁいいわ、私の手番になったことで蓬莱ノ珠之枝の効果が発動!私の体力は3700から4500に回復・・・・・・どころか増加したわよ」「っち・・・・・・」輝夜の余裕の宣言に黒陽は舌打ちで答える。第2の理由として圧倒的な体力差と蓬莱ノ珠之枝の効果。黒陽の残体力が300に対して輝夜の体力は立った今回復した分を含めて4500・・・・・・その差は4200と大きな上に輝夜の体力は対応されなければ今後も回復していくのだから堪ったものではない。そして、もっとも単純な理由として・・・・・・「私はこの化物を裏守備で召喚・・・・・・そして残った番いの燕で攻撃よ! たとえその黒い奴が攻撃力2300だとしてもこっちは蓬莱ノ珠之枝の効果で攻撃時にだけ攻撃力が500あがるわ。つまり、番いの燕の現在の攻撃力は2500という事よ!!」もっとも単純な理由として攻撃すれば十分倒せる範囲内だったからだ。しかし、黒陽もそのことは重々承知。既に対策を整えて待ち構えていた。「よし、かかった。 その瞬間に罠札発動!」「へっ?」「罠札『反撃の開始』、相手が攻撃してきた時にのみ発動可能で相手の全化物からの攻撃を無効化する。その後、自分の手番で攻撃可能な化物がいる場合には強制的に攻撃することとなる札です」「っく、しまった」黒陽の言葉に輝夜は後悔するものの時すでに遅く攻撃のために飛んでいった燕は黒陽の背後から立ち昇る狼煙を見るとそのまま輝夜の元へ引き返してしまった。その様子に輝夜は苛立たしげ顔を歪ませ足を踏み鳴らすと気を取り直すよう深呼吸を一つ行い、「っ~~~・・・・・・すぅ、はぁ~。まぁいいわ、ここで一つ罠が潰せたと考えればいいんだし」と言って、顔を上げた。そこにはたった今まで浮かんでいた怒りや苛立ち、そして油断さえも無くなった反撃の機会を窺う決闘者の顔だ。しかし、「これではまだ無理ね」新たに引いた札は望むものでなかったのか一言だけ呟くと手札より札を一枚伏せた状態で自分の手番の終了を告げた。そうして迎えられた黒陽の手番。黒陽自身やっと手に入った攻撃の機会に油断する気は無かったのだが、元々彼はあまり戦略を練って戦う決闘者ではなかった。先ほどの罠札も影月から言われて入れていたものだ。つまり何が言いたいかというと・・・・・・「俺の番だな、ドロー。俺は手札より『悲しみの王子』を召喚! 黒き仮面の戦士で攻撃だ!!」基本的に彼は難しいことは考えずに一気に攻撃していく決闘者なのである。とはいえ、今回の場合はそれがいい意味で作用しているのではあるが・・・・・・その勢いのまま勝負を決めることが出来るのだろうか?一方二人の戦いを眺めている観客達は・・・・・・「・・・・・・つまりだ、あの黒いのを使えば罠やら術やらは全部無視して攻撃力だけで戦えるってわけだよ」「へぇ~」「それじゃあたった今出てきた黒い奴とそっくりの蜜柑色の奴、アレは何が出来るのさ?」「ん? アレは星4で攻撃力1300、守備力800の攻守共に不安だらけの化物だな」「・・・・・・はぁ?」「何で黒陽さんはそんな化「ただし・・・・・」?」「黒陽の場に『黒き太陽の石』と『黒き仮面の戦士』があるなら話は別だな」「アスカ、どういうこと?」観客の一人、てゐからの質問にアスカは目線を決闘者たちへと向けながら答えた。「それに関しては説明するよりも見てた方が分かりやすいからおとなしく見物だな」そうして向けられた視線の先では、ちょうど黒き仮面の戦士が番いの燕(雌)を破壊する瞬間だった。黒き仮面の戦士が番いの燕を殴り飛ばすと、吹き飛ばされた燕は輝夜にぶつかり消え去っていった。輝夜は燕がぶつかった瞬間、反射的に目を瞑ったもののすぐに目を見開くと親の仇・・・・・・ではなく燕の仇を見るように黒陽を睨みつける。その迫力に黒陽はわずかに怯みはするものの勢いを止めることはなく次の手を打ち始めた。「っ、続けて悲しみの王子で直接攻撃!」黒陽の命令を受けた悲しみの王子は輝夜を殴りつけると元の立ち位置まで跳び戻った。一方で輝夜はあまり大きなダメージでないとはいえ直接攻撃を受けたことで先ほど以上に黒陽を睨みつけ始める。しかし、完全に調子に乗り始めた黒陽はそんな輝夜からの威圧を受け流し新しい手を打ち始めた。「次に、悲しみの王子の特殊効果発動!この化物は自分の場に『黒き太陽の石』が存在する場合にのみ自分の手番に1度だけ相手の術札、もしくは罠札を破壊することが出来る。俺が破壊するのは『火鼠の衣』だ!」黒陽が宣言した瞬間、輝夜の場にあった火鼠の衣には何本もの矢が突き立てられ火鼠の衣ならぬ針鼠の衣となって空中で霧散してしまった。矢の飛んできた方向を見てみればどこから取り出したのか『悲しみの王子』が弓を構えているところだ。そしてそれを見届けた黒陽は自分の手番の終了を告げた。「私の番ね、ドロー!」輝夜はそう叫ぶと勢いよく新しい札を手札に加えると、その視線を黒陽の場へと向けた。ちなみに現在の戦況はこんな状態だ。黒陽体力 300手札 3枚化物 星3・黒き仮面の戦士(攻撃)、星4・悲しみの王子(攻撃)伏せ 3枚永続 黒き太陽の石(術)輝夜体力 2900→3700手札 4枚化物 無し伏せ 2枚永続 蓬莱ノ珠之枝(術)、燕の子易貝(術)・・・・・・体力だけ見るなら輝夜が圧倒的に有利ではあるのだが護衛の化物が存在しない今の状態では体力の有利など全く意味の無いようなものだ。そして、今回の輝夜の手番で体勢を立て直すことが出来なければいよいよ輝夜の不利は否めないものとなってしまう。しかし、そんな状況だというのに輝夜は不敵な笑みを浮かべると黒陽へと話しかけた。「ふふっ・・・、強いわね・・・・・・私の攻撃を耐え、私からの威圧すらも跳ね除けて攻撃を仕掛けてくる・・・・・・褒めてあげるわ」目を静かに閉じながらそう語りかける輝夜は次の瞬間、「だからこそこの札の力で勝負を決めてあげるわ!」勢いよく目を見開くとたった今手札に加えた札をその場に叩きつけた。「『未熟なる赤き弓兵』を召喚!」そうして輝夜の場に現れたのは赤い短髪に弓兵と呼ぶにはあまりにも平和そうな顔をした青年だった。実際、この札の能力も星3で攻撃力1000に守備力600とお世辞にも強力とは言えない札だ。そんな札に首を捻る黒陽や観客をよそに輝夜は次の札を取り出す。「次に伏せていたこの術札、『散財』を使うわ」そう宣言した輝夜の目の前には金色に輝く蝦蟇口が現れ、どんどんお金を吐き続けている。そしてお金が吐かれるたびに輝夜の体力も無くなっていくが輝夜はそれを気にすることなく話を続けた。「この散財の札は自分の体力を300支払うことで山札から札を一枚引くことが出来るの。そして私が支払う体力は3600! つまりは12枚の札を引くわ!!」輝夜の宣言が終わると同時に蝦蟇口は消え、支払った体力の代価として12枚の札が輝夜の手の中に納まった。そして自らが手に入れた新しい札を満足そうに見た輝夜は黒陽に向かってサイコロを一つ投げ渡した。「これは?」受け取ったサイコロを不思議そうな顔で見つめる黒陽に向かい輝夜は『未熟なる赤き弓兵』の効果を説明し始めた。「そのサイコロで勝負の決着を付けるわ。この弓兵は手札を4枚捨てるたびに相手とサイコロを振り合いサイコロの目が相手よりも大きい場合、400のダメージが与えられるの。私の手札は16枚・・・・・・これを全て矢に変え撃ち貫いてみせる!」そう輝夜が宣言すると同時に弓兵が弓を引き絞り矢を構えた。「まずは一矢目、勝負よ!」輝夜の宣言と共に投げられる二つのサイコロ・・・・・・そして出た目は黒陽が参、輝夜が弐。結果、矢は黒陽の頬を掠るようにしてその後ろへと消えていった。「っく、まだよ! 一本目でダメなら二本目で!!」輝夜は悔しそうに一本目の矢の行方を目で追っていたもののすぐに気を取り直しもう一度サイコロを振った。「勝負!」それに合わせるようにして黒陽もまた、サイコロを振る。出目は共に壱。二本目の矢もまた一本目と同じ様に黒陽を後ろへと消えていった。「まだまだ、三本目! 撃てー!」それでも輝夜は落ち込むどころか嬉々として次の矢を撃ち放とうとサイコロを振った。「当たるな!」それに対する黒陽も若干輝夜の勢いに押されながらも勢いよくサイコロを場へと振り転がす。そして結果は、黒陽が3で輝夜は6!出目が決まった瞬間、弓兵より放たれた矢が黒陽の額に吸い込まれるように飛んでいくが、矢は黒陽に刺さらずに突然黒陽の目の前に現れた出来の悪い藁人形の額に突き刺さってしまった。「この瞬間に罠札『不出来な移し身』を発動! この札は一度だけ相手から受ける傷を無効にする罠札だ」黒陽がそう宣言したとおりに矢の刺さった人形はそのまま空中で解けるようにして消えてしまった。そうして四本あった矢も残り一本となると黒陽は輝夜へと話しかけた。「どうだ姫様。 これで頼みの矢も残り一本だぞ」挑発的に話しかけてくる黒陽に対し輝夜は不敵な笑みを浮かべながら返事を返す。「だから如何したの?四本だろうと一本だろうと、一回当てればいいだけの話じゃないの」「違いない」そういいあった二人は楽しそうに笑みをこぼした瞬間、鋭い目つきで相手を睨みつけ動じに口を開いた。「「勝負!」」そして二人の手からサイコロが放られ、お互いの場を転がり、その目が決まろうとした瞬間、「「「「「っへ?!」」」」」突如として響き渡った轟音と光の奔流に世界は白く塗りつぶされた・・・・・・っと、ここまでが私の覚えてる事です」そういって鈴仙は一度話を終わらせたのだが、唐突に何かを思い出したかのように両の手を合わせると「あっ、そう言えば・・・」と、言って再び口を開き始めた。「後で聞いた話なんですが、最後に起きた大爆発・・・・・・アレは師匠の実験が失敗したせいだったみたいで・・・ボロンゴも可哀想に」そういいながら鈴仙は同情するような視線を空へと向けた。その頬からは涙が・・・・・・・流れたようでそうでもなかったが。そして、気を取り直したかのように鈴仙は視線を戻すと話を続けた。「それはそうと姫様と黒陽さんの対決は結局引き分けで終わってしまったんですが、戦いから何か通じるものがあったのか姫様は黒陽さんの言い分を信用したみたいです。ついでに、黒陽さんのことが気に入ったみたいでこれからも遊びに来るように命令してました」鈴仙はそう言って輝夜の部屋へ視線を向けるとそこからは、「っちょ! 姫様、待ってください!!」「問答無用、燃えろ~!!」「飛蝗~~~!!」などと楽しげな声が聞こえてくる。月夜の竹林・・・・・・そこに佇む古き屋敷は今日も平和なときが流れる。<おまけな設定>札名 黒き仮面の戦士星 3攻撃力 1300守備力 1300効果 この化物は自分の能力以外の効果と影響を無効にする。 この化物は戦闘時に相手の化物との星の数の差だけ攻撃力が500上昇する。札名 悲しみの王子星 4攻撃力 1300守備力 800効果 自分の場に黒き太陽の石があれば自分の手番ごとに一度だけ術札、罠札を一枚破壊することが出来る。 自分の場に黒き仮面の戦士がいればこの札は攻撃の対象として選ばれない。札名 未熟なる赤き弓兵星 3攻撃力 1000守備力 600効果 手札を4枚捨てるたびに対戦相手とサイコロを振り合い、出目が相手より大きければ400のダメージを与える----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------後書き+次回予告どうも、本当にお久しぶりなお手玉の中身です。とりあえず・・・・・・カードバトル風にするのは難しすぎたorzオリカやら対戦状態やら考えながら混乱すること混乱すること・・・・・・ここまでてこずるとは全く考えてなかった。結局ドローゲームにしちゃったし・・・・・・まぁなにはともあれ、更新を待ってた方がいらしたら大変お待たせしました!次はもう少し早く更新できるようにしたいと考えながら次回予告です。----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------Zzz・・・Zzz・・・・・・Zzz・・・・・・・・・んぁ? 次回予告?? ふぁ~・・・・・・適当にやっとくれよ。一つ・・・花畑・・・??二つ・・・毛玉・・・・・・???三つ・・・だれ?????次 回 「ZzzZzzZzz」 っちょ! こんな次回予告ねぇよ! 上司、こいつの上司呼んで来い!! by.kami