「だから、その力を貸せといっているんだ!!」「何度も言ってるだろう。そんなどうでも良い事に、なんで力を貸さないといけないんだ!」「それでもお前は人間か!!」「人間だが何が悪い!!」「ちょ、慧音も先生も落ち着いて」「「十分落ち着いている!!!」」「(全然落ち着いてないよ)」俺達は今、妹紅の家で互いを睨みあっていた。妹紅が必死になって止めようとしているが今回の件で引く気はない。何で俺がそんなめんどくさい事をしなければいけないんだ。とは言え妹紅の努力を無駄にするのも悪いし少し冷静になるとしよう。俺は深く息を吸い込み、ことの発端を思い出した。アレは今日の授業が終わって、お茶を飲みながらゆっくりしていたときに始まったんだ。回想「ふぅ~・・・お茶がうまいな~、妹紅」「そうですね~、先生」「確かに、うまい茶だ・・・・・・」今日の授業を終了させた俺達は、全員で道具を片付けるとそのまま休憩、お茶を飲んでいた。そんなゆっくりしていた時に慧音がこちらを見て口を開いた。「そういえば、道具屋の警備・・・黒陽と影月に聞いたんだが、アスカは妖怪と渡り合えるほど強いんだってな?」「ん?まぁ・・・・・・そこらの雑魚にやられることは無いと思うぞ」「そうか・・・ならば共に人里の守護を行ってくれないか?」「っは?何で俺が」「っむ、人助けをするのに理由がいるのか?」「理由は要らないが人助けをする謂れも無い」「・・・ふざけているのか?人の命が懸かっているんだぞ!」「人にせよ妖怪にせよ所詮は他の命。俺が身を張る必要は無いね」「ふざけるな!!その中にはお前の知り合いもいるのだぞ!!!」「確かに霧雨道具店の人間や、黒陽と影月辺りなら助けるだろうな」「なら「ただし」・・・」「それ以外は知ったことじゃない。戦いが絶対でない以上、無意味に命を張る気なんてさらさら無いよ」「・・・・・・お前という奴は」「あ?なんだよ」先ほどまでの和み雰囲気は吹き飛び、一気に場の空気が険悪になった。慧音は何かを我慢するように顔を俯かせている。対する俺も眉根が顰められていくのを自覚している。ただ一人妹紅だけが状況についてこれずにあたふたとしていた。そして・・・・・・回想終了「(この状態か)」アレから続けられるのは結論の出ない水掛け論。結局お互いに引く気が無いので結論が出ないのも当たり前だった。慧音は人里の守護者としてより強い守人を欲し、俺は自分の知り合いでもない相手のために命を張る気がまったく無い。まったく持って話は平行線を辿り、妹紅に心配をかけるだけの状態となっていた。仕方が無い・・・・・・「はぁ・・・しょうがない」「っむ、しょうがないとは如何いう事だ」「このまま言い争ってもしょうがないという事だ。実際なぜ俺に守護をさせたがる?」「本気で言ってるのか?自分の力をしっかり把握してみろ」「それ以前に、嫌がる奴に守護させてうまくいくのか考えろよ」「それは・・・・・・、それほどまでに嫌なのか?」「まぁな。相手が知り合いなら助けるのもやぶさかじゃないが、見た事も聞いた事も無い奴のために頑張れと言われてもな」「そういうものなんだろうか」「人それぞれの価値観の違いだよ。妹紅もそんな経験無いか?」「え?!あたしか??」慧音との話し合いが収束に向かいつつあるので妹紅にも話を振ってみることにした。妹紅は自分に話が振られたことが意外なのか少し慌てていたがすぐに冷静さを取り戻し、口を開いた。「そうだな・・・あたしもどっちかといったら先生の意見に賛成かな」「も、妹紅?」「勘違いしないでくれよ慧音。人助けが嫌だとかじゃなくてあたしは不老不死だからあまり人の記憶に残っておきたくないんだよ。不老不死って言うのは普通の人間にとっては夢のような存在だからね」「そ、そうだったな・・・たしかにそれでは仕方ないな」「な?妹紅みたいに都合がある者もいれば俺みたいに自分の価値観で助ける相手を選ぶ人間もいる。そういうことだよ」「確かに・・・そうだな。すまない。私は少々、熱くなりすぎたようだ」「分かってくれれば何より」慧音も妹紅の考えを聞くことで冷静になれたようでこちらへ頭を下げてきた。気に入らない相手でも非を認め頭を下げることが出来る。俺に出来るかわからないようなことも平気で出来るのだから慧音の事は本気で嫌いになることができない。そう考えていると再び妹紅が口を開いた。「もう喧嘩なんかしないでくれよ二人とも。二人ともあたしの大事な人なんだから」「妹紅・・・・・・」妹紅は顔を赤らめながら呟き、慧音はその言葉になにやら感動している。しかし慧音よ、少し待つんだ。「慧音、感動してるとこ悪いが、今の言葉だけ聞くと告白にしか聞こえんぞ」「っへ?!ちょ、ちょっと待ってくれよ先生!あたしはそんなつもりじゃなくて・・・」「それじゃあ私は大事じゃないのか?」「け、慧音まで?!」「くくくくく・・・・・・」「すまんすまん、くすくすっ・・・・・・」「まったく、二人とも人が悪いよ」妹紅はそういうと呆れた顔をしながらもおかしそうに笑みを浮かべ笑い始めた。そうして三人である程度雑談をした後その場で解散という流れになった。空には既に月が上がっており、人は出歩くことの無い妖怪の時間。とは言え、そんなことは俺にとって何の関係も無く家路を急ぐのだった。妹紅の家から出発しそろそろ妖怪の山へと到着しそうになった時、懐かしい顔を見つけた。俺はそんな懐かしい相手の名を呼びながら声をかける。「お~い、ぷっくる~」ぷっくるは一瞬、ぎくりと固まると辺りをキョロキョロ見渡しこちらと目が合った。するとぷっくるは更に固まって動かなくなってしまった。仕方ないので俺のほうから近づきながら声をかけた。「よ、ぷっくる。良い月夜だな?」「そ、そそそそそうですね」「・・・・・・何をそんなに怯えてるんだ?」「お、おおおおおおお怯えてなんかいませんにょ」「にょ?」「・・・・・・怯えてなんかいませんよ」「(言い直したな・・・)・・・にょ?」俺がぷっくるの怪しい語尾を追求するとぷっくるの頬が羞恥に染まりだした。するとぷっくるは慌てて言い返してきた。「にょなんて言ってませんよ!!」「ほんとに?」「ホントです!」ぷっくるはムキになって言い返してくる。なんとも面白い小鳥だ。これは更にからかわねば(キュピーン)俺がその目をぷっくるに向けるとぷっくるは再びぎくりと動きを止めてしまった。それを確認した俺はゆっくりと口を開いた。「そう言えばぷっくる、挨拶がまだだったよな。こんばんわ」「へ?あ、はい。こんばんわ」「いい月夜だよな?」「そうですね・・・・・・確かにいい月夜です」「こんな月夜は歌を歌わないのか?」「ん~~なんていうか、気分が乗らないんですよ?」「そうか・・・ところで、何でそんな言葉遣い?」「えっと、逆らったらいけないな~と思いまして」「・・・まぁいいか」そう一度言葉を区切り、一段声を低くして更に言葉を繋いだ。「こんな良い月夜には鶏肉が食いたいからな」「っぴ?!」「そう思わないか?ぷっくる(ジュルリ)」「へ?へ?ちょ、口の端から何か出てますよ!!い、いや~食べないで~」ぷっくるはその場で頭を抱え込んで震えだしてしまった。まさか之ほどまでに怯えるとは、いささかやりすぎてしまったと言うよりも、以前のことがしっかりとトラウマになっていたようだ。俺は少々バツが悪ながらもぷっくるへと話しかけた。「あ~冗談だ、冗談。ぷっくるを食べたりしないから怯えなくてもいいぞ」「ほ、ほんとですか?ほんとに食べませんか??」「俺の信じる大蝦蟇様に誓って」「・・・・・・分かりました。信じます。どの道私じゃ逃げ切れませんし」「随分と消極的な信じ方で・・・・・・」どうやらぷっくるからの信頼度は地の底を行ってるらしい。まぁ、自業自得なんだが。しかし折角の知り合いに嫌われるのも嫌だし・・・・・・此処は一つ必殺技を教えるとしよう。そう考えた俺はぷっくるへと声をかけた。「よし、分かったぷっくる。お詫びといっては何だが、お前に一つ、どんな相手にも勝つことの出来る必殺技を伝授してやる」「必殺技?」「あぁそうだ。ただこれはぷっくるにしか使えない上に一度使ったら二度と使いたくなくなる技だから注意しろよ」「は、はぁ・・・」「よろしい、必殺技の使い方はだな・・・・・・ごにょごにょもそもそむしゃむしゃ・・・っとこんな感じだ。分かったな?」「分かりましたけど・・・・・・ほんとにこんなので大丈夫なんですか?」「信じとけ」「はぁ・・・・・・」そういったぷっくるの顔はいまだ複雑そうな表情を作っている。しかし、今夜ぷっくるに授けた必殺技はいつの日か必ずぷっくるの役に立つだろう。そのときは呼び名も元に戻さないとな。そう考えた日常の一幕<おまけ>はるか未来の月が落ちない夜「ねぇ妖夢。少しお腹がすいたと思わない?」「でしたら幽々子様。目の前の夜雀を料理するので少しお待ちください」「ちょ、ちょっと?!何で私が料理されないといけないのよ!!」「でも小鳥は小骨が多いから嫌いなのよね~」「でしたら止めますか?」「こら~、無視するな~~~!!」「あら、止める必要は無いわよ。おいしく頂けば何にも問題が無いから」「そうですか。でしたら早速・・・・・・」「だから私の話を聞きなさいよ!!」「うるさい材料め!おとなしく料理されなさい!!」「(っう!!強そう・・・そうだ!こんな時こそ必殺技を!!)ふ、ふん!私の歌を聴いても同じ事を言えるかしら?」「あら、料理される前に歌ってくれるなんて。良い食材ね」「幽々子様、普通の食材は歌いませんよ」「でも、目の前の食材は歌うわよ」「私を食材扱いするな~!!もう怒ったわよ!私の歌を聴け~~~~~~~!!!」「わくわく・・・」「幽々子様、私が料理しますから下がっていてください」「すぅ・・・・・・・・・・・・・・・・わ~~た~し、ぷっく~る♪○~×△~□~☆♪」「いや~、妖夢~この歌なんなの~助けて~」「ゆ、幽々子様!む、無理です。すぐに下がってください!!」「て~~んか♪○~~×△~☆♪」「も、もう駄目よ。妖夢、逃げるわよ。撤退よ撤退~」「ゆ、幽々子様?!待ってください~!」「ほんとに逃げてった・・・・・・けど、この歌は二度と歌いたくないわ・・・」ミスチーの姫君に対する唯一の白星にして邪胃餡裏災樽が封印された夜の出来事----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------後書+次回予告どうも、暗黒面が心地よくなってきたお手玉の中身です。kamiが降りてきた。スペカルールを弾幕シューティングじゃなく弾幕格闘に変えればいいと・・・・・・目から鱗がぼろぼろと・・・・・・どの道表現力が足りない気がするのはあえて気付かない振り。では、次回予告お願いします。----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------以前、影月が一人でやってたんで今回は俺が担当するぜ。雨、豪雨、雷雨!幻想郷に今日も降る?!この地に何が起ころうとしているのか!その時、旦那が動いた!!次 回 「下手したら最終回にしか見えない」 ・・・・・・これ、旦那生きてるのか?? by.影月