「う、う、うさぎ♪うさぎのにわは♪つ、つ、つきよだ♪みんなでて、こいこいこい♪」「なに、その変な歌?」「兎の歌、いいでしょ」「やめなよ、今は侵入者を探すほうが先でしょ?」「でも、お屋敷の中にいるんならすぐに見つかるんじゃないの?」「たしかにね~。広いとは言えお屋敷には変わりないし」「そうそう♪それに、姫様の部屋には近づけないように永琳様が術を施してるからゆっくりで大丈夫だよ」「それもそっか」「そうそう♪それじゃあご一緒に」「「う、う、うさぎ♪うさぎのにわは♪つ、つ、つきよだ♪みんなでて、こいこいこい・・・・・・・・・・」」足音が遠ざかっていく。なぜかは分からないが屋敷に潜入したがことがばれたらしい。この装備でばれるとは恐ろしいことだ・・・・・・おそらくは、さっきの会話に会った姫様がここの主でそれを守護する永琳とか言う奴がそれを察したのだろうが・・・っむ!また誰か来た様だ・・・・・・「ったく、姫様たちも兎使いが荒いわよ。何で侵入者如きにこのてゐ様が出なくちゃいけないの」視界が制限されているせいで顔までは見えないがこいつも兎妖怪のようだ。どうやらここの主、姫様に命令されて俺を探しているようだが・・・・・・普通は主に服従してるものじゃないのか?「そりゃ、いろんな技術を教えてもらった恩があるし、お陰で迷いの竹林を作って仲間が守れるようになったけど・・・・・・」なるほど、最初からいたのではなく余所から来た者が主となっているのか。そして、過去に受けた恩を返すためにそれに従っていると。その割には反骨精神がありすぎるような気がしないでもないが。「やめやめ、ちょっと休憩していこう」まずい、動けない。この中で動けないのはかなりつらいんだが。そう考えた俺は今、段坊流箱・魔亜苦通にその身を隠していた。こいつのお陰でどれだけ兎妖怪の傍を通ってもまったく気付かれずにすんだ。最も物音までは隠し切れないようなのでそれだけは注意したのだが。それにしても姫様か・・・・・・月に帰るなんて変な事を言っていたあいつと同じ呼称とは、これも何かの縁なんだろうか。しかし・・・・・・・・・段坊流箱・魔亜苦通の中でじっとしてるのはつらいな。この兎妖怪が来る前から結構、兎が通るせいで1時間近くは動けて無いぞ。そうやって俺が考え出した矢先、兎妖怪に動きがあった。「さてと、そろそろ行きますか。いい加減侵入者も誰かが見つけてるだろうし」そう呟くと、兎妖怪はそのまま廊下の奥へと消えていった。その後姿は少女と言っても差し支えなく他の兎妖怪同様に頭にうさ耳、お尻に兎の尻尾、足は兎の足と分かりやすい特徴だった。何はともあれこれで進める。如何考えても、あの耳だと下手な物音は立てれないからな。そう心で呟き、ゆっくりと足を進め始めた。ある程度進むと他の障子張りとは違う板の扉を見つけた。あやしい、この部屋に何かあると俺の直感が告げている。俺は周囲を段坊流箱・魔亜苦通の中から見渡した。誰もいない、今が絶好の機会。俺は段坊流箱・魔亜苦通を脱いで片付けると扉を勢いよく開けた。部屋の中には大量の薬品が棚につまっていた。その中心の机でなんとなく見覚えのある銀髪に赤青の服を着た女性が薬を混ぜる作業をしながら此方を見て固まっている。やべ・・・・・・ここはひとまず、「・・・失礼しました~」言葉のままに扉を閉めて廊下の奥へと全力疾走。その直後、「侵入者よ!警備部隊、姫様の守りを固めなさい!!」と先ほどの女性のものと思われる大声が響き渡り、後ろからは矢がビュンビュンと通過していく・・・・・・今、掠った!!室内で弓矢を射るとは非常識極まりない上にめちゃくちゃ怖い。長い廊下を走る走る、とことん走る。何度か兎妖怪を見かけたがここで足止めを食らうとあっという間に串刺しなのでシカトしてなお走る。そうこうしていると、今度は他の扉に比べ格段に豪華な扉が目に付いた。おそらくここに主たる姫様がいるのだろう。ならこいつを説得できればうまくいく。そう考えた俺は、勢いよく扉を開け放ち宣言した。「たのも~~~!!」そこで見たものは・・・・・・「へ??」どこぞかへ去った輝夜姫だった。しかも滅茶苦茶だらけてる。輝夜はこちらの顔を見るとその目を点にし人のことを指差してきた。「あ、あ、あんた誰!!」「いやいや心配せずとも俺は怪しいものじゃないですよ、ちょっと道に迷っただけの善良な市民ですよ~」「・・・・・・なんだそうなのか~とでも言うと思ったの?ふざけてないで答えなさい!!」「うわ、相変わらず美人が凄むと迫力が違うわ・・・・・・」「ふざけるなと言ったはずよ」「こわっ!ってそんな場合じゃなかった!!」「どういうこt「姫様~無事ですか~」・・・そういうこと」「なぁ、面白い話があるだが一口噛む気は無いか?」「へぇ・・・・・・内容によるわね」どうやら輝夜は人の事を忘れているようだがノリの良さは変わってない。と言うよりも相変わらず暇にしているようだ。ならば楽しく遊ぶとしますか。・・・青年準備中・・・・・・俺は現在、輝夜を後ろから捕まえて短刀を突き立てている・・・・・・ように見せている。輝夜もそのことを了解しているので演技レベル以上の抵抗はしていない。そして、部屋に彼女達が飛び込んできた。「姫様、ご無事でって?!?!お前、姫様になんてことを!!!」「いやいや、俺は怪しいものじゃないですよ、ちょっと道に迷っただけの善良な市民ですよ~」「善良な市民が姫である私の首に短刀を突きつけるの?」「それはもう、善良すぎて小心者ですから、生きるのに必死なんです。その様はまさに兎!」「「「お前みたいなのと一緒にするな!!」」」「あたしもあんたみたいな人間と一緒にされるのは御免だわ」「だそうよ?それよりも善良な市民なら姫様を放してくれないかしら?今なら殺さないわよ」「と言ってるけど?如何するの善良な市民さん」「いやいや、殺さないだけで嬲る気満々の顔をされても余計に放したくないですよ」まずいな・・・・・・兎妖怪だけなら力任せに突破できるが、あの赤青は無理だ。全然隙が無いどころか輝夜を放した瞬間に頭撃ち抜かれて人生終了するぞ。しかしまぁ、無理に抜ける必要は無いんだがな。そう考えた俺はいまだ恐ろしい笑みを浮かべている赤青の女性へと声をかけた。「それじゃあ一つ謎かけをしましょう」「謎かけ?」「はい、それで正解を導き出せたらこの姫様を放します」「それを信用してもいいのかしら?」「俺は嘘をつきません。それに答えが分かればその弓に撃たれることもなくなりますし」「たいした自信ね・・・・・・いいわ、問い掛けてみなさい」「永琳・・・・・・月の頭脳と呼ばれた力、頼らせてもらうわよ」「姫様・・・・・・すぐに助けますからね」なぜだろう、この姫、共犯者の癖してすげぇ~被害者面だ。これが演技ならあの赤青の女性かなりかわいそうだぞ?まぁ、輝夜なら演技なんだろうけど。そう思うと口元が自然と笑みを作ってしまう。「ん~・・・あんた、何笑ってんの?」「ん?あぁ、なんでもないよ。それで、もう謎かけを始めてもいいですか?」「えぇ、いつでもどうぞ」「よし、あぁ言い忘れてたけど答えるのは其処の兎さん達でも構わないし、答えが分かれば腕の中の姫様だって答えていいからな」「何を考えているの?」「遊びを楽しくしてるだけだよ。問題はいたって簡単な話。俺の名前はなんでしょう?」「あなたの」「名前?」「そっちの赤青の女性は分からないとしても姫様が分からないのはちょっと酷いかな~」「・・・・・・・・・姫様?お知り合いですか」「ちょっと永琳?!何でそんな顔でこっちを見るのよ」謎かけを始めると赤青の女性は輝夜が共犯なのではないかと一気に疑い始めた。しかし、俺のことを忘れている輝夜にしてみれば知らない男との共犯、つまりはこんな事になるとは予想外だったわけで見事に慌てている。そろそろヒントの一つでも出すかと考え出した矢先にリーダー格らしい兎妖怪が声をかけてきた。「ねぇ、それだけじゃあたし達が不利すぎるんじゃないかな?」「ふむ、そうかな?さっきのも十分ヒントになると思うんだけど?」「あたし達が姫様の知り合いを全部知ってる訳ないじゃん。もっと別のヒントを寄越しなよ」「そ、そうですね。姫様への追及は後にして今は姫様を助けないと。と言うわけでヒントを渡しなさい」「・・・・・・なぁ姫様。あんたの従者、なんか微妙なこと言ってるけどあれは有りなのか?」「有りなんじゃないの?永琳的に」「姫様、こんな時までふざけないで下さい!!」「ふざけてないわよ!真面目に答えてるわ!!」「余計に悪いです!」「んじゃヒント言うからな~」「うさうさ」「ヒントは、月の頭脳でも見つけられなかった姫様の探し人と同じ名前だ。ちなみに男な」「それじゃあ余計に分からないよ~」「そうでもないみたいだぞ」「へ??」俺が兎妖怪にそう返事をし輝夜と赤青の女性に目を向けると、二人とも信じられないような顔をしてこちらを見ている。特に輝夜は、それこそ狐に化かされたようなありえないと言った表情だ。そんな表情の輝夜が恐る恐ると言った感じで口を開いてきた。「えっと・・・・・・もしかして・・・もしかしてよ。・・・・・・アスカ」「やっと思い出したのか輝夜姫様?」「っは?えっ、えっ、っちょ?!えっ??え~~~~~~~~~~~?!?!」「ちょっと待ってください。アスカと言うと姫様が昔いた屋敷の遊び相手のあのアスカですか?」「輝夜の遊び係が他にいなければ俺の事だろうな」「ちょっと!何でアスカが此処に居るのよ!!これ邪魔よ、外しなさい!!」「はいはい・・・・・・っと」「やはり共犯だったんですね」赤青の女性はあまり慌てていないようだが混乱はしているようだ。それより酷いのは目の前の輝夜だ。最初に言った言葉以外、日本語を話しているのかと聞きたいぐらいに何を言ってるのか分からない。こうなったら。「すみません。お名前を聞いても」「は、はぁ・・・・・・侵入者に名乗ると言うのも変な物ですが、私は『永琳』と言います」「どうも、俺はアスカで昔は輝夜の遊び相手を勤めてた人間だ。とりあえずこれ何言ってるかわからないから止めてくれないか?」「・・・・・・そうですね、このままでは話が進みません」そういうと永琳は輝夜に近づきその頭を鋭くはたいた。結構いい音が響いたので痛そうである。実際に涙目だ。そんな涙目のまま輝夜は永琳を睨みつけると口を開いた。「った~?!何するのよ永琳!」「姫様、少しは落ち着いてください。話を聞こうにも冷静になってないと意味が分かりませんよ」「そうだぞ輝夜~」「なんですってアスカ!!」「って、兎達が言ってた」「「「うさ?!?!」」」「イナバ・・・・・・後で憶えてなさいよ・・・」「ちょ?!姫様!!あんたなんて事をしてくれたのよ!」「姫様落ち着きましたか?」「あ~、すまん、反省はするが後悔はしていない」「そうね永琳、私らしくなかったわ」「なにそれ?!意味分かんないから!!」「そうです姫様、話し合いをしやすいように居間に移りましょうか。アスカさん?」「正直すまんかったって・・・なんですか永琳さん」「姫様が事情が聞きたいそうなので居間に移動しましょう」「分かりました。案内を頼みます」「えぇ。姫様、行きましょう」「そうね・・・・・・アスカ、付いて来なさい!」「・・・・・・はいはい」そうして俺の前を先導するように輝夜と永琳が歩き、なぜか後ろからは恨めしい目をした兎達が付いてくるのだった。<おまけ>「あれ、おっちゃん。何縫ってるの?」「これでやすか?これは手袋でやす」「手袋?その割には凄い素材使ってるね」「流石はにとり。よく気が付いたでやすな」「そりゃそうだよ。河童なら段坊流に気付かない奴はいないんじゃないかな?」「そうでやすな」「それで、どんな手袋作ってるの?」「アスカ様への贈り物でやす」「アスカ様への?」「でやす。アスカ様はあの通り肉弾戦しか出来やせん。ですから道具を使って中、遠距離戦もできるように出来るようになって貰いたいでやす」「へ~・・・・・・うん、見たとこ法力を使うみたいだけどアスカ様の法力で大丈夫なの?」「こんな事もあろうかと昔、アスカ様の荷物に強化札を隠しておいたでやす」「なるほど。流石は田吾作のおっちゃんだ。それじゃ、がんばってね~」「ありがとうでやす」地味に田吾作の思惑がずれてしまった一幕----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------後書+次回予告どうも、お手玉の中身です。輝夜再会編、何気にまだ続きます。新参ホイホイさんについてはかなり近代で落ちて来たことにします。そして、田吾作さんの力で微妙にずれながらも弾幕フラグ。では、次回予告頼みます。----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------私の名前は稔子じゃなくて、穣子よ!間違えないでね!!再会したのは輝夜姫そんな彼女に向けるのは生暖かい目何をそんな目で見ることになったのか次 回 「なぜだろう?最後のほうでツンデレ風味に出来ちまってるよorz」 次回予告枠を私用に使うな! by.kami