「そ~らが自由にとっびたっいな・・・」どこかで聞き覚えのある歌を口ずさんでしまう今日この頃。俺は常々思っていた。空を行き交う天狗たちを見て、自分も飛んでみたいものだと。そこで、羽が無いのに空が飛べている茜にどうすれば飛べるのか聞いてみることにした。なのに、返ってきた答えは・・・・・・「へ?飛ぶ方法ですか??・・・えっと、気合?」なんだそれ。気合があれば飛べるのか?試しに気合を込めてジャンプしてみたのは黒すぎる黒歴史だ。そんな訳で今日もまたどうやったら空が飛べるの考えていた。其処へ現れたのは最近、解説キャラとして人気の高い田吾作だ。「おや、アスカ様。こんにちはでやす」「おっす、田吾作。そうだ聞きたい事があるんだけど、構わないか?」「なんでやすか?」「空が・・・・・・飛びたいんです・・・」「何のマネでやすかそれ・・・・・・似合ってないでやすよ」「それは残念。だが実際のところ飛ぶ方法がわかんなくてな」「なるほど・・・・・・・・・気合でやすな」「お前もかよ!!」田吾作の答えを聞いた瞬間に叫んでしまった俺は悪くないと思う。まさか、田吾作にまで気合と言われるとは思ってもみなかった。そう考え絶望していると、田吾作が苦笑いを浮かべながら言い直してきた。「あぁ、違うでやすよアスカ様。あっしが気合と言ったのは既に飛ぶことを覚えてるからでやす」「既に覚えてる?」「でやす。あっし等みたいに妖怪が長く生きると何もしなくても飛べるようになってるでやす。だから、其処で飛ぼうとしたら気合がいるでやすよ」「それで、結局のところ俺が飛ぶ方法は?」「ん~・・・空飛ぶ人間なんて見たことないでやすからな~。でも、アスカ様なら飛べそうでやすし・・・どうしても必要って状態になったら飛べるんじゃないでやしょうか?」「なるほどな~。助かった、もう少し考えてみるよ」「お力になれてなによりでやんす。それじゃあ、あっしはこれで」そう言うと田吾作はそのまま去って行った。しかし、必要になったらか・・・・・・普段の日常生活で空を飛ぶ必要性?「・・・・・・・・・まったく無いな」つい口から出てしまうのもしょうがない結論だった。興味本位で飛んでみたいと考えはしたがそれが必要かといわれると、別にと言った話だ。となると、飛ぶためにはもう少し違う考えを手に入れないとな。そう考えた俺は知り合いに聞いて回ることにした。<椛の場合>「飛ぶ方法、ですか?」「あぁ、俺も飛んでみたいと考えてな。それでどうやったら飛べると思う?」まず聞いてみたのは椛。種族的には茜と同じだが、もしかしたら違う意見が出るかもしれない。そんな期待を抱いて椛からの返事を待った。「そうですね~、私の時は走りながら跳ね回ってたらいつの間にか飛べてましたから」「・・・・・・・・・そうか。ありがと、参考になったよ」「お力になれてなによりです」微妙に無理そうな内容だった。<にとりの場合>「空の飛び方?」「おう、俺も飛んでみたいと思ってな。にとりはどうやって飛べるようになったんだ?」次はにとりに聞いてみることにした。これまた、田吾作と同じ種族だが何か新鮮な意見がもらえるはずだろう。「わたしの時はね~、確か飛行機械の実験に失敗して落ちそうになったときに飛べるようになったんだよ」「っは?飛行機械??」「っそ、飛行機械。それをつければ誰でも空を飛べるのを作ったんだけど結局失敗しちゃって・・・・・・」その後も何か喋り続けるにとりに、俺は礼を言うとその場から足早に立ち去った。河童が凶悪になったら世界は滅ぶと確信して。<黒陽・銀月の場合>「空の飛び方ですか」「あぁ、結構最近に妖怪化したお前らなら何か分かるんじゃないかと思ってな」続いては妖怪の山から降り、霧雨道具店で働く三妖怪の二人、黒陽と銀月を訪ねた。こいつら自身、妖怪となったのはここ百年内ぐらいのはずだから飛ぶにしても最近飛べるようになったはず。そう考えての選択だったが・・・・・・「えっと、旦那・・・・・・申し訳ないですが」「俺達、初めから飛べるんですよ」「っは?なんで??」黒陽と銀月はすまなそうな返事を返してきた。俺は自分の予想が大きく外れていたことに驚き二人に慌てて聞き返したところ、あまりに無情な返事が。「だって俺達」「最初から飛べる奴の身体乗っ取りましたから」「・・・・・・・・・なるほど・・・もういいや、ありがとう」「なんか力になれなくてすみません」「リグルには聞いていかないんですか旦那?」「最初から羽のあるリグルに聞いてもしょうがないだろ?」「「たしかに」」結構期待していただけに、外れたときのショックは大きかった。今回は何の参考にもならない。<妹紅の場合>「空の飛び方、ですか?先生」「あぁ、同じ飛べない仲間の意見も聞いてみたくてな」次に訪ねたのは妹紅。蓬莱の薬を使い不老不死になったとは言え、人間には違いない。彼女とて空を飛ぶことには興味があるだろうし何か別の視点からの意見ももらえることだろう。そう、思ってた時期もありました・・・・・・質問を受けた妹紅は、此方に申し訳なさそうな顔を向けると、「先生、すみません。あたし、飛べるんです」っと、言ってくれました。・・・・・・なんですと?先ほどの二人の発言よりも驚いた俺は慌てて妹紅に聞き返した。「ちょ、ちょっと待て妹紅?!空を飛べる?お前が??なんでさ?!」「先生、落ち着いて!ちゃんと説明するから」「あ、あぁ・・・すまん、取り乱した」「いや、いいよ。あたしの場合は自分の能力を応用してたらいつの間にか飛べるようになってたんだ」「妹紅の能力?不老不死とは違うのか?」「たしかにあたしの能力は『老いる事も死ぬ事も無い程度の能力』だけど、それとは別に妖術を覚えてこんな感じに羽を作ってたらいつの間にか飛べるようになったんだ」そう告げた妹紅の背からは紅蓮の、炎の翼が生えていた。以前はこの翼を生やして飛んでいたが、今は無くても飛べるようになったとか。正直、炎の翼が突然現れたのにはびっくりしたが今までの中で一番まともな意見だ。早速、妹紅に妖術を教えてもらうとしよう。俺はそう考え妹紅へと話しかけた。「なぁ、妹紅」「なんですか先生?」「その妖術は俺でも使えるか?」「っへ?!まぁ・・・使えるとは思うけど」「それなら、俺にも教えてくれないか?」「教えるのは良いんだが使えるようになるまで数百年はかかるよ?」「っえ?!」「あたしもその位の時間かけて使えるようになったんで・・・・・・」「そ、そっか・・・・・・じゃあ、しょうがないな・・・」絶望への逆落としだった。妹紅が悪いわけではないんだが・・・・・・なんともやりきれない気持ちが溢れてくる。そんな時だ、家に誰かが入ってくる気配がした。「妹紅、いるか~」「微妙な帽子が現れた・・・・・・」「いきなりと随分な挨拶だな、アスカ?」「事実だろ、慧音?」「ほほぅ?私の頭突き岩をも砕くぞ?」「なるほど、頭蓋が厚すぎて中身がなくなってしまったと?」「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」「っちょ・・・・・・慧音、先生も止めてくれよ」「「・・・・・・・・・・・・・ふん」」上白沢慧音、人里の守護者と呼ばれ慕われていながら妹紅の数少ない友人と言う貴重な人材だ。しかし、俺とはどうにも相性が悪いらしい。会うたびに今のように衝突しなければ気がすまない。慧音も俺のことが気に入らないのかどうでもいい様な事で突っ込んでくる。だが、俺の感情を除けば悪い奴ではなくむしろ凄い善人だ。なんせ黒陽や影月はまだしも、リグルが人里に居ついているのを黙認してくれているのだから。慧音自身あの後、霧雨道具店で源次郎より話を聞き自分なりに納得したとのことだが・・・・・・・・・「(守護者って呼ばれるほどの奴が情で動くか・・・・・・いい奴なんだけどな~)」「まだ何か言いたいことでもあるのか?」「慧音~もう止めてくれよ~」「す、すまない妹紅・・・・・・そういえばお前は何でここに?」「何でもいいだろ、気にすんな。妹紅、俺はもう帰るな?」「そ、そうか・・・・・・じゃあ、またな先生」「おう。慧音は妹紅泣かすんじゃねぇぞ?」「お前じゃあるまいしそんなことをするか!!」最後の最後まで慧音と騒ぎ、俺は妹紅の家を後にした。後ろから妹紅と慧音の騒ぐ声を背に受けながら俺はその足を妖怪の山へと向けた。<最終手段>俺は今、九天の滝上流・・・・・・早い話が滝が落ちだす少し手前にいる。なにをするのか、これは全て空を飛ぶための準備。基本的に空を飛ぶ方法は段々なれて行くか必要になったから飛べるようになったかの2種類だ。そしてすぐに飛べるようになるには飛ぶ必要性を作れば良い。そう、答えは最初から出ていたんだ・・・・・・俺はこれから九天の滝に落ち、空へ駆け上がるんだ!そう考えた俺は勢いよく滝に向かって泳ぎだした。・・・・・・・・・残り10M・・・・・・5M・・・・・3M・・・2・1・0滝から落ちる瞬間に俺は叫んだ、おぼろげに霞んだ記憶の彼方にある有名な言葉を!!「アイ、キャン、フラ~~~~~~~~~イ!!!」落ちる、堕ちる、墜ちていく・・・・・・やべっ・・・・・・・・全然飛べない・・・・・・俺の身体は重力に逆らうことないままどんどんと滝壺に近づいていく。と言うよりまだ滝壺が見えてこない。落ちたら死ぬ。本気で飛ぶ必要性が出てきた!!そう考えた俺は力を振り絞らんばかりに叫んだ!!「た、助けて大蝦蟇様~~~~~~~!!俺に飛ぶ力を~~~~~!!」果たして、大蝦蟇に祈りが通じたのか。俺の身体は宙に浮いていた。・・・・・・・・・大蝦蟇様・・・あなたが神か?!?!こうして俺は空が飛べるようになると同時に大蝦蟇の祠掃除を今まで以上に張り切ってこなすようになった。<おまけ>何処かの空高く「ねぇ・・・衣玖」「なんでしょうか?総領娘様」「ひま、それに暗い」「暇なのは分かりますが暗いと言うのは?」「あれよあれ」「あの男性ですか・・・・・・確かに暗いですね」「でしょ?何であんなのが天界で天人やってるのよ?」「確かあの方は・・・・・・竜神の使いが推挙して天人になった方ですね」「衣玖の同僚が?」「竜神の使いと言うだけで私の同僚かは分かりませんが・・・・・・多分そうなのでしょう」「何考えてんだか・・・・・・」はるか未来に影響を与えるフラグ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------後書+報告+次回予告どうも、お手玉の中身です。今回の話でアスカ君にとうとう飛行能力を授けることが出来ました。続いて結果発表。とりあえずは竹林Neetと白黒地蔵様の早期登場が決定しました。ただ、地蔵様に関してはアスカ君殺しでもしない限りすぐには出せないのでその辺りは了承しといてください。(つまりは読者投票で主人公に盛大な死亡フラグが立ったと言うことか?)それとゆゆ様票は以前落選していた事+既に出番が決定していることから無効とさせてもらいました。地霊殿組みに関しては旧都が出来てないので主人公が行った瞬間にゲームオーバーです。では、次回予告です----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------「とうとう時代がやってきた」「私達の昇格の時が!!」「それは暑い夏の日」「アスカ様のお誘いでお花見に」「しかしこんな時期にお花見を?」「アスカ様の頭が花畑」次 回 「やったねオリキャラ、とうとう昇格だ!」 凄くうれしそうな二人だな by.kami