ピチョン・・・「ん・・・、知らない天井だ・・・」冷たいものが顔に当たり目を覚ましてみると、洞窟のような岩肌の天井が目に入った。どうやら縄はすでに解かれているらしく体も自由に動かせた。とりあえずお約束を口にしながら俺は体を起き上がらせ、周囲を見渡した。「ここは・・・、洞窟?」今まで気絶していた俺にはよく分からん状態だがおそらくは、羅豪がこの洞窟まで運んでくれたんだろうと考えることにした。(と言うよりも、ここで羅豪以外に出てこられても俺には対応する気力すら残ってないからな)どうするべきかと俺が一人で考えていると奥から羅豪がやってきて、俺が目を覚ましているのを確認するや嬉しそうに言い寄ってきた。「おぉ、坊主!目を覚ましたか、急に倒れるから心配したぞ」その反応に俺は目を白黒させてしまった。気絶する直前に笑っていたのもよく分からなかったが勝負に負けてこんな嬉しそうにするなんて予想だにしていなかった。「あの羅豪さん、俺は何でここに?ここはどこなんだ?それとなんでそんなに嬉しそうなんだ?」俺が疑問に思っていることを聞いてみると、羅豪は笑顔のまま答えてくれた。「まあ待て、そんなに急がんでも順番に答えてやる。まずあの後だが、俺様も気が付いた時にはおまえが目を回しておったんでな、とりあえず俺様の家まで運んで寝かせておったのよ」なるほど、最初に考えたとおり俺を運んだのは羅豪でこの洞窟は羅豪の家だったのか。「それと最後の質問だが、俺様は人間と正々堂々とした勝負できたのが嬉しかったのよ。人は変わり、今では平気で嘘をつくようになってしまった・・・。そんな中でおまえのような餓鬼が正面から鬼である俺様と戦いぬいたことがどうしようもなく嬉しいのよ・・・。もちろん俺様が勝っていたらおまえは俺の腹の中にいることになるがな」羅豪は一気に言い尽くすと満足そうな顔で大きく頷いた。そういわれた俺は少々居心地の悪いものを覚えてしまった。と言うのも、数取りゲームは相手に先行を取らせれば基本的に負けることの無い遊びだからだ。しかし、今更そんなことを言う勇気の無い俺は慌てて話題を変えようと口を開いた。「え、え~と、それじゃあの勝負は俺の勝ちでいいのか?」「良いも悪いも、あれは紛れも無くおまえな勝ちだ、だからお前の望む願いを俺にできる限りで叶えてやる」「あっ?!そういえば・・・」「なんだおまえは、忘れておったのか?」「はは、ははは・・・」そう言えばそうだった、食われたくない一心で勝負に挑んでたものだから願い事なんてまったく考えてなかった。羅豪はおかしな奴という目でこっちを見るが生きるか死ぬかの瀬戸際だった俺にそんなこと考える暇なんぞ無いんだよ」「なんだ、肝が太いかと思えが存外に小心者だったのだな・・・」「!!!、え、何で俺の考えていることが!!」「ふん、考えを読んだのではなくお前が勝手にしゃべっておったのだ」「っへ?!」やべっ、考えていることがいつの間にか口から出ていたみたいだ・・・気を付けねば。「まぁそんなことはどうでもいい、今宵はもう遅い、願いに関してはまた改めて聞いてやるから今日はもう休め」「あ、ありがとう」羅豪にそう返すと羅豪は「飯を用意してやる」と言いそのまま去って行った。俺はそれを眺めながらもう食われる心配がないということに安堵した。だが俺は大切なことを忘れていた。今まで羅豪がいたショックで忘れていた大切なことを今更ながら思い出し、自分が危険な状態であると自覚した。すなわち、「俺、もう何日飯食ってないんだ・・・」・・・腹ペコだった。最後に、羅豪が作った料理は想像以上にうまかった上になぜか肉系が無かった。そのことを後日たずねてみると、「あの時はお前を料理するつもりだったからな」との事だった。----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------後書と感謝どーも、お手玉の中身です。まず始めにグンマダマシイさん、ご意見に感謝っす。さっそく参考にして「」を纏めるようにしてみました。しかし過去は修正しない・・・それと時代背景的なものですが、一応この先の話ではっきりとした背景は出すつもりなんですが、2話でヒントを出してるんで分かる人は分かってるかもしれません。でわ、そういった意味でも楽しんでもらえると嬉しいです。