俺は昔から使われる最も原始的な方法であの天狗を落とすことにした。早い話が・・・・・・「これでも食らってろ」投擲である。先ほど少女が輪切りにした木を回収しそのまま木の陰から投げつけるという何ともカッコの悪い方法ではあるものの、このやり方は有効なようで少女は一瞬バランスを崩して落ちかけた。<天狗少女視点>「(っく!猪口才な!!)」私は今人間と戦っている、最初は愚かな山への侵入者だと思い、次は天狗を嘲った糞野郎だと考えた。私は誇り高き烏天狗だ!人間如きに侮られていい存在ではない?!そう私が考えていると木の陰から凄いスピードで何かが飛んできた。私が慌ててバランスを崩しながらもかわすと次々に飛んでくる。目で追って見ればそれは私が輪切りにした木ではないか。まさか、こんな方法でくるとは・・・・・・・・・。私は更に頭に血が上るのを覚えながらもそれならばと能力を使った。「そんなもので私が墜ちる訳ないでしょう!これで死になさい!!」再び団扇を一扇ぎし、複数の小さなかまいたちではなく大きな一つのかまいたちを作り、木片が飛んできた方向へはなった。ズドン!!8本ほどだろうか、木が倒れて重なり合ってるのが見える。どうやらあの人間は仕留めそこなったようだがこれで奴も武器が無くなったと私は考えていた。<アスカ視点>「(あっぶね~)」あの少女より「死になさい」宣言の後に怪しい気配がしたのを感じた俺は自分の感を信じてその場で地面にへばりついた。その瞬間、すこし上を風が通り過ぎたと思ったら、いっせいに周りの木が倒れてきた。どうやら大きなかまいたちも作れるらしい。少女の様子をそのまま窺い見るとまだ仕留めてはいないと感じているようだが、どこか油断しているような気配を漂わせ、キョロキョロと俺の姿を探していた。どうにも俺の武器を奪ったと勘違いしているようだ。これはチャンス!俺は息を整えると相手の視線が外れる一瞬を捉え自らの傍らに切り倒された木丸々一本を鷲掴みにし、少女に向かって投げつけた。「うらぁ!!」「っきゃ?!」少女は飛んできた木に驚いたのか悲鳴の様なものをあげるとバランスを崩してそのまま地面近くまで落ちてきた。今こそ勝機!!俺はすばやく詰め寄るとバランスを整えこちらに顔を向けた少女と視線を交差させた。少女は俺のスピードに驚き戸惑うような顔をしている。「(逃がさん!!)」少女が視線を外し空へ逃げようとするよりも早く俺はその懐へ潜り込み、震脚を踏みしめ拳を突き出した。「ぶっとべ!!!」「?!?!?!?!」拳は少女の腹を打ち抜くと、そのまま少女は吹き飛び背後の木へと叩きつけられた。少女は一息苦しそうに呼吸を吐くとそのままズルズルと大地へ墜ちていった。「文様?!」そのときだ、今までの戦闘音を聞いてきたのか山の哨戒、白いもふもふがあらわれた。白いもふもふはしばらくの間少女に対して「文様?!文様?!」と声をかけながら揺すっていたが、俺の存在に気づくや、俺を睨みつけながら剣と盾を構え口を開いてきた。「人間、おまえが文様をこんな目に!!」「こんな目にって、先に喧嘩を売って「うるさい、黙れ!!」・・・・・・・・・・・・(この子もかよ)」「文様、敵は討って見せますからね・・・、さぁ、覚悟しろ!!」「ちょっと待った~~~~~!!」白いもふもふが気合を入れて構えたかと思うとちょっと待ったコールがその場に響いた。そして空から、木陰からと白いもふもふ達が集まってきた。その中から一歩前に出てきたのは・・・・・・?!河童??どうやら先ほどの発言もこの河童の少女がしたらしい。「ちょっと待ちなよ椛、相手は人間じゃないか・・・、そんないきなり剣を突きつけなくても」「しかし、文様が?!」「文が?ちょっとなによそれ?!酷い怪我じゃない」止めに来てくれたと思ったら相手の増援のようだ・・・・・・・・・あの天狗以外相手にする気はなかったんだが・・・「ちょっと、いくら盟友とはいえこれは見逃せないよ、一体どんな卑怯な手を使ったんだい」案の定、あの河童の少女も敵に回った俺に味方は「あれ?あなたは???」今度はなんだ・・・「どうしたんですか先輩、私は早く文様の敵を討ちたいんですが」「ちょっと待ちなよ椛、どんな卑怯な手を使ったか分からないんだから突撃したらダメだよ」「うっ・・・、分かってるよ。それで先輩、あの人間に見覚えが?どんな悪人なんですか?」「ん~ちょっと待ってね、どこかで見覚えが・・・・・・・・・」見覚えはむしろ俺のほうにあった、あれは随分前に師匠におびえていた白いもふもふだ。随分と成長したものだ。先輩となると周りのは全部後輩?道理で俺に誰も気づかないわけだ・・・・・・・・・・・・・・・「あ?!あぁあああぁ~~~~~~~~!!」どうやら思い出したようだ。「ちょ?!うるさいですよ先輩」「う~耳に響くよ・・・、どうしたんだよ一体」「あ、あう、あうあうあうあうあぁ~~~」先輩もふもふが動揺と戸惑いに混乱していると、我慢が出来なくなったのか刀もふもふが行動に移ろうとした。「もういいです、こいつを私の一刀の元に切り捨てて「やめなさいこのお馬鹿~~!!」いたっ?!」「へ?なんで?」先輩もふもふは刀を構えなおした刀もふもふに拳骨を入れて止めると周りの白いもふもふ達と河童の少女は混乱した。しかし、先輩もふもふはそれを尻目にこちらに寄って来て、頭をぺこぺこと下げながら謝りだした。「あぁ~すみませんすみません、本当にすみません。みんな若い子なんです!来たばかりの子なんです!どうか許してください~~~~~」「ちょ?!先輩何をしてるんですか侵入者に」「ちょっとちょっと、文がこんなにされたってのに何を一体・・・・・・」周りが戸惑いと疑念の声で再びうるさくなるのを先輩もふもふは一喝のもと黙らせた。「黙りなさい!!この方をどなたと思ってるんですか?!この方は羅豪様のお弟子さん、アスカ様です?!」「「「「「「「っは???」」」」」」」面白いくらいに場が固まった。先輩もふもふ以外が信じられないものを見るような目でこちらを見てくる。すると再び先輩もふもふがこちらに一礼し、「本当に申し訳ありませんでした。しかし、文が傷を負っているのも事実。一体何が・・・・・・・・・」「あ~~~・・・、喧嘩を売られたから買った?」「「「「「「「「「はい?」」」」」」」」」そこでこれまでの経緯を俺が説明すると先輩もふもふは納得したようにうなずき、「なるほど、文ならありえない話ではありませんね。彼女は百余年ほど前から山に住み着いていてアスカ様のことは知りませんでしたから」「たしかに、俺もその子の事は知らないからな~」「本当に申し訳ありません、この事に対する罰は後ほどいかようにも私が「先輩?!」黙りなさい椛!この事に対する罰は私が受けますからどうかこの子達は許して貰えないでしょうか」なぜ家に帰るだけでここまで大騒動になるんだ・・・・・・・・・先輩もふもふは何か覚悟したように萎縮しきって頭を下げてるし。周囲の白いもふもふ達は泣きそうになりながらも俺と先輩もふもふに視線を行ったり来たりさせてるし。河童少女と刀もふもふはプルプル震えながら天狗少女を抱えてるし・・・・・・俺に一体どうしろと・・・・・・・・・・・・・・・。「ふぅ、とりあえずは」「ひゃ、ひゃい」・・・怯えまくってるし、俺はそんなに怖いのかな~・・・俺は自分が怖がられることにショックを受けながらも口を開いた。「とりあえずそっちの子の手当てしてあげて。これ、薬」「ひゃ、ひゃい」先輩もふもふは俺から薬を受け取ると文字通り飛んで天狗少女の元へ向かった。・・・・・・・・・はぁ、疲れる。<おまけ>「ねぇ勇儀~」「ん~?」「わたし達、こんなところでお酒飲んでるけど侵入者退治に行かなくていいのかな~」「それは白狼天狗の仕事だろ?あいつらの仕事を取っちゃ悪いだろ~」「それもそっか~、となると仕事を取った烏天狗の文は悪い奴だね~」「そうだな~、しかし文が相手とは運が無い。あいつは妙に誇り高いからな~・・・普段は微塵も見せないけど」「そうだね~、そういえば侵入者は人間だっていう話だよ~」「そうなのか?この山に登る人間はあいつぐらいだと思ったけど・・・物好きもいるんだね~」「そうだね~・・・、ねぇ勇儀~」「ん~?」「ふと思ったんだけど、侵入者ってあいつじゃないかな~」「あ~ありそうだな~・・・そんなわけ無いだろうけどな~」「そうだよね~」「「あははははははははははは・・・・・・・・・・・・・・・」」とあるぐうたら共の会話記録より----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------後書戦闘描写に悩むお手玉の中身です。皆さん、いかがでしたでしょうか?今回は初ガチバトルの決着として書きましたが如何せん作者の表現力が拙いせいで物足りないやも知れません。これからも戦闘描写に関しては修行あるのみです。話はやや変わってドS様の話なんですが・・・・・・現在骨組み作成中にして難産してます。どんな展開に持っていっても元祖マスパで主人公が消し飛ぶ姿が・・・とりあえずは、まだ他にも話を挟んでるんでそちらを先に楽しんでいてください。でわ、次回予告は彼らに頼みましょう----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------次回予告警備A「今回の次回予告は俺達警備Aと」警備B「警備Bが勤めさせてもらうぜ」警備A「数百年経てば知らぬ者もいる己の存在」警備B「それでも変わらぬは友との絆」警備A「田吾作殿の仕事は」警備B「時代を越える」警備A・B「「次回も読んでくれ」」次 回 「「我らが魂を受け継ぎし者達と田吾作の話し」」 間違ってないのに違うような気がする by.kami