あれから一通り騒いで落ち着いた俺たちは改めてお互いに自己紹介をすることとなった。「はじめまして人間さん、私の名前は『紫』、結構強い妖怪よ。畏敬の念をこめて『紫様』と呼ぶことを進めるわ」「はいはいゆかりんね、俺の名前はアスカだ。様付けで呼べば楽しいぞ、主に俺が」「馬鹿ね、貴様。・・・どうしたの?楽しそうには見えないけど??」「てめぇ~」「なによ?!」それから再びにらみ合い。と言うよりさっきから似たようなやり取りをし続けて疲れてきたぐらいだ。「っ・・・、はぁ、もうやめよう。流石に不毛すぎる」「あら、私は全然平気ですけど?」「はいはい、俺の負け。俺が悪かったよ紫」「あら?ゆかりんではないの?」「勘弁してくれ・・・」紫は消沈した俺の様子を見ると面白そうにころころと笑った。そうして紫は笑っていたが、しばらくすると真剣な顔をしこちら向かって質問してきた。「それで?あなたはどうして私を助けたのかしら?」「どうしてって・・・、気紛れ?」「私が聞いてるのよ・・・、それにいきなり攻撃してきた相手を気紛れで助けるなんて、やはりあなたは馬鹿ね」「ひでぇ・・・、助けた相手にそこまで言えるお前の無情さに俺が泣いた」「ふ~ん、どうでもいいけどここで泣かないでよ・・・・・・むさ苦しい」「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まじひでぇ」どうやら紫はいじめっ子のようだ。しばらく紫にいじられながら落ち込んでいた俺は気を取り直して気になっていた事をたずねた。「それで、紫は何であんなところに?足の傷も酷いものだったし・・・」「へ?!え、えっと・・・、それは・・・」「それは?」「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ふむふむ、聞いた話をまとめて見るとこんな感じのようだ。①紫は他の奴から見ると魅力的な力を持っている②紫はその力を制御しきれない③油断してたら下級の妖獣にばっさりと④傷つけられて切れた紫が暴走気味にオーバーキルしてガス欠に(あたり一面の血はそのせいで)⑨ばっかでこいつ「馬鹿じゃねぇの・・・」「っちょ?!馬鹿って何よ、ちょっと油断してただけじゃない」「その油断で死に掛けてるから馬鹿って言うんだよ。しかも、自分の力がまともに使えないとか・・・、これを馬鹿といわずに何を馬鹿と言うんだよ」「っぐ・・・」どうやら紫も自覚があるようで、一瞬ひるんだ後に誤魔化すように笑い出した。「あは、あはははは・・・。まぁまぁ、私の事はもういいから次はあなたの事を教えて欲しいわ。一応、私の恩人になるわけだし」そうして俺は紫との親交を深めていった。その間に俺の紫に対する評価はいじめっ子にして妙なところで抜けている馬鹿となった。そして時は流れ、そろそろ俺が帰り支度を始めると紫が慌てて言い寄ってきた。「ちょっとちょっと~、どこへ行く気よ?」「どこへ行くって、仕事があるから帰るだけなんだが・・・」「へ?あなたの家はここじゃないの?」「何が悲しくて人間の俺が洞窟に住み着かなくちゃいけないんだ」「ならここ、誰の家よ?」「今は誰も住んでないみたいだが少し前まで俺の師匠が住んでたぜ」「師匠?」「あぁ、俺の師匠、羅豪の住んでた家だ」「羅豪?羅豪って妖怪の山に住んでる鬼のこと?」「へ?師匠は確かに鬼だが・・・、知ってるのか?」「まぁ、あの鬼には一度世話になった事があるからね。ふ~ん、なるほどねぇ、だとしたらこの足に使われた薬も納得できるわ。それにしても、よく鬼に弟子入りできたわね?」そういって紫は怪我していた足を出しパンパンと叩いてもう痛みが無い事をアピールしてきた。「もう直ったのか・・・、早いな結構深かったと思うんだが・・・」「深かったわよ、それだけあなたの薬が良かったんでしょう?」「そう言って貰えるとありがたいものだな。それと弟子入りに関しては成り行きと偶然だ」「成り行きと偶然ねぇ・・・」「あぁ、成り行きと偶然だ」そう言って、俺と紫は互いに笑いあった。っと、笑いあってる場合じゃなかった。俺はさっさと帰らないと家に残した輝夜の機嫌が悪くなるのを思い出した。「それじゃあ、俺は今度こそ帰るけどいいな?」「ええ、もし次に何処かでお会いすることがあったらこの日の恩は必ず返させてもらうわね?」「そんな気にすることでもないんだが・・・」「それじゃあ私の気が治まらないのよ」「それなら期待せずに待っておく事にしよう」「ええ、期待に胸を高まらせながら待っているといいわ」そうして別れを告げた俺は家路につくのであった。ふと思ったのだが、今の俺の立ち居地は完全に輝夜の紐ではないのか?・・・・・・・・・・・・・・・考えないようにしよう<おまけ>何処かの御山の偉い人の会話「ぶぇっくしょ~~ん!!」「どうしたんだ?羅豪殿。ずいぶんと豪快なくしゃみをされたが?」「うむ、誰かに噂されている様な気がしての」「ふむ噂ですか、おそらくこちらの天狗たちが話の種にしているのでしょう」「いや、この感じだと俺様の馬鹿弟子のような気がする」「ほほぅ?!羅豪殿の弟子ですか、さぞや高名な妖怪なのでしょう?」「くくくっ、残念じゃが俺様の弟子は人間よ」「なんと?!」「あいつは五つの歳にして俺様を負かせて見せたからな。そのときの報酬として俺様の弟子になることを望んだのよ」「はぁ~、羅豪殿が人間の弟子を持つだけでなく僅か五つの幼子に負けているとは・・・いや、羅豪殿本人から聞かされなければまさに眉唾の物語ですな」「ふん、そうだろうな。あいつには俺様の薬の知識を授け、体も必要以上に鍛えてやったからな・・・もしかすると、いつかはこの山にもやって来るやも知れんぞ?」「それは楽しみですな、して、そのお弟子殿のお名前は?」「あいつの名は・・・・・・・・・」そんな本人が知らないところで勝手に立ってしまったフラグの話----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------普通の後書と次回予告お手玉の中身です。今回は普通に後書です。我らが主人公君をスキマに出会わせることで幻想入りフラグを立てたものの、既に別の方法で幻想入りさせる予定を立ててしまったお手玉の中身です。その方法は後々あきらかになるので、ここではちょっとおまけ資料を載せとこうと思います。力関係グラフ 現時点強い鬼達>師匠(羅豪)≧天狗のトップ>>>その他の上級妖怪>アスカ君≧現在のスキマ>鬼退治屋>数多くのモブ妖怪>(人外の壁)>妖怪退治屋>(越えられない壁)||一般人この時点での単純な力関係です。ただこの資料は現時点で話に登場したキャラと脇役しか入れてません。妖怪退治屋は囲んでボコるのがデフォなので単体での能力は人外の壁を越えれません。ちなみに作者は終○○のクロ○クルが大好きです。では次回予告です。<伝説の道具再び>(例によって例のごとく次回予告とタイトルは別のものとなります)