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No.9982の一覧
[0] 恋姫無双外史・桃香伝(無印恋姫SS)[航海長](2009/07/01 22:28)
[1] 恋姫無双外史・桃香伝 第一話[航海長](2009/07/04 18:05)
[2] 恋姫無双外史・桃香伝 第二話[航海長](2009/07/04 18:07)
[3] 恋姫無双外史・桃香伝 第三話[航海長](2009/07/06 20:39)
[4] 恋姫無双外史・桃香伝 第四話[航海長](2009/07/09 21:30)
[5] 恋姫無双外史・桃香伝 第五話[航海長](2009/07/16 18:24)
[6] 恋姫無双外史・桃香伝 第六話[航海長](2009/07/21 18:12)
[7] 恋姫無双外史・桃香伝 第七話[航海長](2009/07/24 18:50)
[8] 恋姫無双外史・桃香伝 第八話[航海長](2009/07/29 20:26)
[9] 恋姫無双外史・桃香伝 第九話[航海長](2009/08/02 22:31)
[10] 恋姫無双外史・桃香伝 第十話[航海長](2009/08/06 16:25)
[11] 恋姫無双外史・桃香伝 第十一話[航海長](2009/08/10 18:01)
[12] 恋姫無双外史・桃香伝 第十二話[航海長](2009/08/18 18:21)
[13] 恋姫無双外史・桃香伝 第十三話[航海長](2009/08/25 23:00)
[14] 恋姫無双外史・桃香伝 第十四話[航海長](2009/09/27 01:05)
[15] 恋姫無双外史・桃香伝 第十五話[航海長](2009/09/27 01:04)
[16] 恋姫無双外史・桃香伝 第十六話[航海長](2009/11/24 22:26)
[17] 恋姫無双外史・桃香伝 第十七話[航海長](2010/01/01 21:25)
[18] 恋姫無双外史・桃香伝 第十八話[航海長](2010/01/24 00:10)
[19] 恋姫無双外史・桃香伝 第十九話[航海長](2010/02/26 00:46)
[20] 恋姫無双外史・桃香伝 第二十話[航海長](2010/03/03 01:17)
[21] 恋姫無双外史・桃香伝 第二十一話[航海長](2012/06/02 13:34)
[22] 恋姫無双外史・桃香伝 第二十二話[航海長](2012/11/01 05:12)
[23] 恋姫無双外史・桃香伝 第二十三話[航海長](2013/02/26 23:01)
[24] 恋姫無双外史・桃香伝 第二十四話[航海長](2013/09/23 22:45)
[25] 恋姫無双外史・桃香伝 第二十五話[航海長](2014/01/05 22:49)
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[9982] 恋姫無双外史・桃香伝 第八話
Name: 航海長◆ccf1ea4b ID:88514eac 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/07/29 20:26
 陥落させた汜水関に一日とどまり、部隊の再編を完了した連合軍は、今度は袁紹軍を先頭に虎牢関へ向けて進軍していた。
「あの袁紹が、良く先陣を引き受けましたな」
 星が言う。彼女は白蓮のところへ来る以前は曹操や袁紹のところに短期間滞在していた事もあるが、曹操については器量は認めつつも、陣営に漂うあまりの百合っぽさに辟易して、彼女の下を去った。袁紹については……
「人に認められるために努力する、と言う発想が全く欠けたお方でしたな。自分が偉いのは当たり前。自分が他人に褒められるのも当たり前。そう言う感じでした」
 星はそう言って、袁紹が先陣に立つと聞いた時に驚愕したのだった。すると、星よりは袁紹との付き合いが長い白蓮が言った。
「星の見立ては当たっているが、だからこその先陣志願さ。呂布と真っ向からやりあうのはみんな警戒するからな。天下の飛将、人中の呂布相手に、自分が勝つのは当たり前、なんて自信満々で挑めるのは、本初しかいないだろ」
 その言葉を聞いて、星はなるほど、と大いに頷いた。そこで桃香は尋ねた。
「その呂布さんだけど……そんなに強いの? 袁紹さんのところにも顔良さん、文醜さんって凄い武人がいるでしょう? あの二人でも勝てないと思う?」
 白蓮は首を傾げた。
「さてな……袁紹と文醜には用兵の才はあまり無いから、顔良が全軍の指揮に専念せざるをえんだろう。そうすると文醜一人で呂布とやりあうことになる。まぁ無理だな」
 星も同意した。
「呂布と一軍でやりあうには、呂布に武人を二人、できれば三人当てて、それとは別に全軍を指揮する指揮官が要りますな。そんなことが可能なのは、連合軍では曹操だけでしょう。それに、汜水関から脱出した張遼も未だ健在です。これに備えるとなると……」
 桃香は考え込んだ。
「そうすると、華雄さんと張遼さんの二人だった汜水関より、虎牢関のほうが強敵って事なんだ。凄い人なんだな、呂布さん……」
 ただ、構図としてはそれほど汜水関戦と変わらない。関に篭る敵をいかに効率良く倒していくか、それが鍵となる。
(一度、孔明ちゃんと……できれば荀彧さんとも相談してみたいな)
 いまいち連携の取れていない連合軍だが、何とか曹操軍をも協力体制に引き入れて、全力で戦わなくては、この難関は突破できないだろう。そう思った桃香だが、しかし彼女のそうした思いは、次の瞬間敵軍の思わぬ行動に全てが御破算になる。
「伝令! 伝令!」
 突然、前方から騎兵が一騎、泡を食った様子で駆けてきた。
「どうした、落ち着け。報告は正確にしろ」
 白蓮が言うと、騎兵はそれどころではありません! と前置きして、恐るべき報告をした。
「呂布隊が袁紹軍を強襲しました! 袁紹軍は敵の猛攻に総崩れとなり、敗走中です!!」
「……え?」
 思わず間抜けな声を上げる桃香。虎牢関までは、まだ半日くらいあるはずなのに……?
 その時、前方からわああ、という叫び声が聞こえてきた。それは、追われる者があげる絶望の叫び声だった。
 
 
恋姫無双外史・桃香伝

第八話 桃香、飛将と相対し、無双の武は暴風となって吹き荒れる事


 時間はやや遡り、場所は連合軍の先陣……すなわち、袁紹軍の本陣である。
「おーっほっほっほ! 全軍の先陣を切って兵を進める。これこそまさに、盟主にして名族たるわたくしに相応しい、華麗なる立ち位置ですわ。おーっほっほっほっほ!!」
 袁紹の高笑いが響き渡る。彼女は馬には乗っておらず、八人の屈強の男たちが担ぐ、豪奢な椅子のついた輿に乗っている。別に乗馬ができないわけではないのだが、輿を使うのは身分が高く、財産もある者の特権だ。
 そこへ顔良が馬を寄せて来た。能天気そうな袁紹と異なり、彼女の顔色はあまり優れない。
「姫、虎牢関までもう少しです。今のうちに後曲にお下がりください」
 顔良が言うと、袁紹は不思議そうな顔をして言った。
「あら、それでは顔良さんと文醜さんが、董卓軍を倒すところが見られないじゃありませんの」
 すると、顔良とは反対方向にいた、髪の短いやや少年っぽい雰囲気の武官の少女が、主以上の能天気さをたたえた笑顔で言った。
「お、さすが姫! あたいたちの活躍をばっちり見ていてくださいよ!」
 顔良は苦笑のような、呆れ顔のような、複雑な表情を浮かべて言った。
「もう、文ちゃんったら……相手はあの飛将・呂布よ? そんな簡単に倒せる相手じゃないんだから、万が一の事を考えておかないと」
 この文ちゃんと言われた武官が、顔良と並んで「袁家の二枚看板」と称される猛将、文醜である。武芸と戦術指揮、双方に長けた顔良に対し、文醜は華雄や張飛と同じく、個人の武勇に長けた将だ。愛用の斬山刀は騎兵を馬ごと叩き斬るほどの巨大な武器で、剣というよりは鉄塊と言ったほうが良さそうな代物なのだが、彼女はそれを自在に振り回す。
「んっだよー、斗詩は心配性すぎなんだよ。あたいたちにかかれば、呂布なんてちょちょいのちょいだろ」
 顔良の慎重さに不満を唱える文醜。もっとも、真名で呼ぶくらいだから、本気で不満に思っているわけではない。ただ単に、文醜は楽観的かつ自分の実力に自信を持っているので、本気で呂布を倒せると信じているのだ。
「そうですわよ、顔良さん。貴女たちなら、呂布くらいは一ひねりと信じていますわよ」
 袁紹も言うと、顔良はありがとうございます、と答えたものの、そんな風に楽観的にはなれなかった。
(呂布隊は、董卓軍の切り札……虎牢関も、汜水関より強固な要塞と聞いています。私達でも、そう簡単に抜けるかどうか……)
 虎牢間は汜水関よりも洛陽に近い分、頑強に作ってある。城壁の高さは百尺(三十メートル)もあり、剃刀の刃も入らないほど緊密に組まれた石垣だ。攻城用の井楼や衝車は豊富に用意してあるが、それでもかなりの犠牲が出るのは避けられないだろう。
 一度、攻撃開始前に軍議を開き、他の軍の軍師に相談すべきかもしれない。北郷軍の諸葛孔明や、公孫賛軍の劉玄徳なら、何か良い知恵を思いつくかもしれない。顔良は奇しくも桃香と同じような事を考えていたのだった。
 そして、伝令がその思いを断ち切ったのも同じだった。
「斥候より伝令です! 敵軍は二手に別れ、関の手前に呂布軍が布陣! 野戦を挑む構えを見せています!!」
「なんですって?」
 顔良は驚いた。汜水関戦で野戦になったのは、孫権軍が他の連合軍との連携を欠き、しかも華雄隊がほぼ同数の戦力を持っていたからだ。情報では呂布隊は兵力三万。兵力五万を数え、しかも孤立しているわけでもない袁紹軍相手に野戦と言う選択肢があるとは思えない。なぜ、そんな布陣なのか。
「とりあえず、他の各軍に状況を伝えます。伝令を……」
 顔良は指示しながら、自分の目でも相手を確認しようと、陣の前のほうへ出ようとした。しかし、そこへ第二の伝令が走りこんできた。
「伝令! 敵が突撃して来ました!!」
「え?」
 有り得ない報告に、顔良は一瞬頭が白くなった。ここで敵が突撃? 戦理的に有り得ない。
 
 袁紹軍にとって不幸な事に、相手は戦理や戦における常識など、まるで通用しない存在だった。大地を揺るがせて突撃する呂布隊、その先頭に立つ褐色の肌の少女は、小さいが不思議と良く通る声で命じた。
「……突撃」
 その瞬間、呂布隊の全将兵が沸き立つように士気を爆発させる。彼女こそが呂布。飛将、あるいは人中の呂布と称される、当代最強の武人だった。その表情はこれから戦場に飛び込もうと言うのに、一筋ほどの気負いも見られない。
 呂布は先頭に立って突撃しながら、未だ本陣からの命令が来ず、迎撃態勢を整えられないでいる袁紹軍の隊列を見た。無防備な状況で、何処に斬り込んでも大打撃を与えられるだろう。しかし、彼女の目はその隊列の中でも特に「弱い」部分を見抜いていた。隊と隊の隙間の部分だ。呂布はそこへ突入した。
「うわあああぁぁぁぁっっ!」
 次の瞬間、袁紹軍の兵士たちが十数人、爆発でも起きたように吹き飛ばされた。呂布が片手で振るった方天画戟をまともに食らったのである。吹き飛んだ兵士たちが弾丸のように周囲の別の兵士たちをなぎ倒し、戦列が大混乱に陥ったところで、呂布隊の兵士たちが怒涛のように突入する。袁紹軍の兵士たちはまるで人形のように一方的に蹂躙され、戦列は見る間に崩壊して行った。
 前方で大混乱が起きていることは、顔良にもすぐにわかった。彼女は一瞬の放心から目覚めると、すぐに親友を呼んだ。
「文ちゃん!」
「おう、任せとけ! 呂布の首はあたしが取ってやる!」
 文醜は斬山刀を振り回すと、馬腹を蹴って駆け出した。唖然としたのは顔良である。
「え、文ちゃん違う! お願いしたかったのは中陣の掌握で……もう、文ちゃんったら人の話聞いてよー!」
 行ってしまった親友に届かぬ抗議の声をぶつけると、仕方なく顔良は袁紹のほうを向いた。
「姫、私は中陣を組織して呂布隊を迎え撃ちます! 姫は今のうちに後退を!」
 既に、顔良の手には獲物の大金槌、金光鉄槌が握られている。彼女は袁紹の返事も聞かずに中陣めがけて走り出した。その間にも、呂布隊は袁紹軍を思う様切り裂き、既に最前列を壊滅状態に陥れていた。
「本陣……向こう」
 あたりの敵をほとんど駆逐した所で、呂布は後方に翻る袁家の牙門旗を見据えた。そっちに駆け出そうとしたとき、袁紹軍の兵たちの間から、猛然と駆け寄ってくる人影が見えた。
「おらおらおらー! 文醜様のお通りだい! 呂布、その首あたしが貰ったー!!」
 全速力で走る馬の上で、文醜は斬山刀を構えると、渾身の力を込めて振るった。並みの相手なら鎧ごと叩き潰して肉塊に変えるであろう、必殺の一撃。しかし。
「……邪魔」
「んなっ!?」
 呂布が無造作に突き出した方天画戟が、文醜の斬山刀を……彼女の全速突撃を、あっさりと止めていた。しかも片手で。
「こっ、こいつ……」
 化け物か? と文醜は言いたかったのだが、それを言うより早く、呂布が一旦引いた方天画戟が、電光の速度で彼女の胸を直撃していた。
「だあああぁぁぁぁっっ!?」
 袁紹軍特有の、華麗な金の装飾が施された鎧が一撃で粉砕され、文醜は馬上から叩き落された。全身を地面に強打し、息が詰まる。
「かはっ……! ぐ、ううっ!?」
 起き上がろうとした文醜だったが、胸に激痛が走り、息をするのも難しい。さしもの強気な彼女も、自分が一瞬で敗北に追い込まれたことを悟るには十分だった。
(あ~あ、ちっくしょー……かっこ悪ぃなぁ、あたし。ごめんよ斗詩。あたし、お前を嫁に貰ってやれないよ……)
 目を閉じ、とどめの一撃を覚悟する文醜だったが、何時までたってもそれが来ないのを怪訝に思い、目を開けた。
「……え?」
 そこには呂布はいなかった。それどころか、呂布隊でさえ、倒れた彼女に目もくれず、既に中陣に攻めかかっていた。文醜は唖然とし、続いて怒りの形相で、膝をついて立ち上がった。
「んなろー……! 舐めやがって……ごほっげほっぐほっ!!」
 しかし、胸の激痛に耐えかね、すぐに蹲ってしまう。言う事を聞かないふがいない身体を呪いながら、文醜は搾り出すように言った。
「斗詩……姫……逃げろ。逃げてくれ……! あたいらに止められる奴じゃない……!!」
 しかし、その声が聞こえたとしても、顔良は逃げるわけには行かなかった。目の前の味方がたちまちのうちに崩壊していくのを見て、怖気づき逃げ腰になっている中陣の兵士たちの間に馬を乗り入れ、大声で叫ぶ。
「しっかりして、みんな! 私たちは天下に名だたる袁家の強者! その誇りを思い出して、敵に立ち向かうのよ!!」
 人望のある顔良の叱咤に、兵士たちはやる気を取り戻す。ここはよし、と思った顔良だったが、文醜の姿が見えないのは気にかかった。
(文ちゃん、どうしたの……? まさかもう……ううん、そんな事ない! 文ちゃんに限って……! それに、ここで私が怯んだら、皆が踏みとどまれなくなる……!!)
 自分の弱気の虫を追い払い、顔良は采配を振るった。
「左翼、右翼は前進! 中軍はやや後退! 相手は勢いに乗っているから、まともに受けてはダメ!!」
 顔良が選んだのは、鶴翼の陣である。相手の勢いをまともに受けるのではなく、柔らかく受け止めると共に包囲し、全方向からの攻撃で殲滅する陣形だ。勢いに乗って攻めてくる相手に対するには最適の陣形だが、このときは相手が悪すぎた。
「……ウソ!? 早過ぎる!! 包囲が間に合わない!!」
 驚愕する顔良。袁紹軍の兵士たちも決して弱兵ではなく、この時も顔良の采配どおりに動いていたが、鶴翼が完成するより早く、まっしぐらに突入してきた呂布隊が、顔良のいる中軍に全力を叩きつけてきた。中軍が持ちこたえたのはほんの一瞬で、後は見る間にその戦列は切り崩されていった。
 そして、顔良は呂布が自分に向けてまっすぐ駆けて来るのを見た。立ちはだかる兵士たちが、まるで地滑りに巻き込まれた木々のように薙ぎ倒されるのを見て、背筋に冷たいものを感じる。個人の武勇では自分を越える文醜にあれが止められなかったのに、自分でどうにかなるものなのか。
 しかし、背後には守るべき主君がいる。顔良は金光鉄槌を掲げると、名乗りをあげた。
「袁家が将、顔良推参! 呂布将軍、覚悟ーっ!」
 顔良は真っ向から呂布に立ち向かった。負けられない。逃げられない。ここで呂布を倒せなかったら、袁紹軍はもうこの戦いで何の役割も果たせない!
 そうした気迫を込めて、顔良の一撃が横殴りに呂布を襲う。しかし、次の瞬間眼前から呂布の姿が掻き消えた。
「!?」
 戸惑う顔良の視界に影が落ちる。上!? と思って見上げると、そこに呂布がいた。馬を跳躍させ、顔良の上を跳び越したのだ。信じられない馬術の冴えだったが、驚いた事に、その姿勢から呂布の手が一閃した。次の瞬間、顔良は背中に方天画戟の一撃をまともに受けていた。
「きゃあああっっ!!」
 空中からの、それもすれ違いざまの一撃だったにも拘らず、その打撃は信じ難い重さをもって顔良を吹き飛ばした。呂布が着地すると同時に、顔良の身体も地面に落ちる。不幸中の幸いで顔良は文醜よりも重厚な鎧を身に付けていたため、一撃で戦闘不能に陥る事はなかったが、何とか立ち上がろうとする彼女にまだ余力があると見て、呂布隊の兵が殺到してくる。
「ああっ、将軍!」
「顔良将軍をお守りしろ!!」
 袁紹軍の兵たちは、敬愛する将軍が一撃で敗れた事に動揺していたが、顔良がまだ大丈夫と知って、安堵すると共にその身を守ろうと、呂布隊の兵に立ち向かう。短いが激しい戦いが行われ、ここでようやく袁紹軍は呂布隊に一矢を報いた。顔良を狙った兵士たちを尽く討ち果たしたのだ。
「将軍! 顔良将軍! ご無事ですか!!」
 身を案じる兵士たちに、ようやく立ち上がって金光鉄槌を拾い上げた顔良は、まだ背中に走る痛みに息を乱されながらも、はっきりと答えた。
「私は……大丈夫! それよりも、馬を! 私の馬を!! 姫様を助けに行きます!!」
 呂布は既に本陣に切り込んでいるらしく、袁家の牙門旗が激しく揺れ動いている。それでもまだ間に合う、と思った顔良だったが、馬が引かれてきたその直後、牙門旗が倒れるのが目に飛び込んできた。それはつまり、本陣が蹂躙されたという事。
「姫……麗羽さまーっ!?」
 顔良は絶叫した。

 袁紹軍本陣は押し寄せる呂布隊に対して、ある程度は抵抗を見せた。彼らは袁紹の親衛隊であり、兵士個人の武勇も袁紹軍では最強である。そのため、二度は呂布隊の攻撃を弾き返した。
 しかし、顔良を倒した呂布本人が来ると、もう持ちこたえられなかった。親衛隊の強者と言えど、呂布の前では一般兵と同じ程度の存在でしかなく、一方的に蹴散らされた。そして、呂布は袁紹のほうへ突進してきた。
「な、何と言う事……! 誰も防ぐ者はいないのですかっ! 顔良さん! 文醜さん!!」
 袁紹は叫んだが、もちろん二人が既に呂布に蹴散らされた事など知りようもない。輿を担ぐ男たちは自主的に袁紹を乗せたまま逃げ出したが、馬の速さに勝てるはずも無く、追いついた呂布は無言で方天画戟を一閃させた。
「きゃああああぁぁぁぁっっ!!」
 輿が粉々に砕け、その破片と担ぎ手たち、そして袁紹自身も吹き飛ばされ、天高く舞い上がった。さらにその勢いで本陣の牙門旗もへし折られ、誇り高い「袁」の一字が地に塗れ踏みにじられていく。先陣、中軍、本陣と全てを蹂躙され、五万を数えた袁紹軍は壊滅状態に陥った。
 しかし、まだ呂布は戦うつもりだった。追い詰められ、逃亡していく袁紹軍の兵たち。そんな雑魚には興味は無いが、彼らが逃げる方向には、連合軍の他の部隊が進軍しているはずだ。
「全軍集結……前進する」
 呂布はそう言うと、方天画戟を振るってさらに進撃を続行した。
 
 一方、依然として第二陣を構成する公孫賛軍では、白蓮が頭を抱えていた。
「ったく、本初のやつ……面倒ばかりかけてくれる。桃香、どうする?」
 桃香は少し考え、策を出した。
「そうだね……まず、後方の味方部隊に伝令を出そう。それもできれば涼州軍。一番早く駆けつけてくれそうだから」
 すぐに星が近くの武官を呼びとめ、伝令を命じる。さらに桃香は続けた。
「本隊は二手に分かれて、道の両脇に隠れて待機。このままだと、袁紹軍の兵隊さんたちが逃げてくるのに巻き込まれて、戦うどころじゃなくなるから。本当は助けてあげたいけど……」
 局地的な味方の敗走に巻き込まれ、無事な部隊までが崩壊する、と言うのは、古来大軍が敗れる際に一番多い形である。桃香はそれを恐れたのだ。白蓮は頷いてすばやく命令を下した。
「よし、星、お前は歩兵部隊を率いて左へ行け。私は騎兵部隊を率いて右手に隠れる。桃香、私と一緒に来てくれ。お前が攻撃の機会を見計らってくれ」
「うん、わかった」
 桃香は頷いた。二手に分かれた公孫賛軍が、左右から呂布隊を攻撃して足止めをはかり、駆けつけてくる味方と共に包囲殲滅する。それが咄嗟に桃香の立てた策だが、白蓮はちゃんとそれを理解してくれていた。
「よし、時間が無いぞ。今すぐかかれ!!」
「はっ! 歩兵部隊全員、私に続け!!」
 白蓮の号令と共に、公孫賛軍は整然と道の左右に広がる山腹に移動した。やがて、算を乱した、という形容詞が相応しい惨状で、袁紹軍の兵士たちが逃げてくる。みんな逃げるために槍や剣を手放しており、あれでは助かってももう戦力化は難しいだろう。
「袁紹軍はもうダメだな……本初のやつ、無事だと良いんだが」
 白蓮が気の毒そうな表情で言う。どちらかと言えば迷惑をかけられる事の多い仲とは言え、友人は友人。やはり安否は心配だ。
「うん……わたしも一緒に無事を祈ってあげるから、呂布さんを追い払ってから探しに行こう」
 桃香はそう言って白蓮を慰めた。やがて、その呂布の姿が見えた。数百騎ほどの騎兵の先頭に立ち、無人の野を行くように進んでいく。
「あれが呂布か……」
 白蓮が言った。
「華雄さんも凄かったけど、呂布さんはそれ以上だね……見ただけでぞくっとした」
 桃香はそう応じた。呂布には、遠目にも人を畏怖させる何かがあった。曹操の覇王の気とは違う……武神の威厳とでも言うべきものかもしれない。確かに呂布は常人とはかけ離れた武威の持ち主だった。
 やがて、先行する呂布を追うように、本隊と思われる二万ほどの兵が進んでくるのが見えた。追撃戦にありがちなことに、その陣形は必ずしも整っていない。逃げる袁紹軍を追ううちに、隊列が長く伸びてしまったのだ。
「……よし、いま! 合図を!!」
 その隊列の真ん中辺りが眼下を過ぎたところで、桃香は命じた。銅鑼が鳴り響き、反対側の山では星が命じていた。
「弓兵隊、今だ! 天を覆って矢を射かけよ! 十本撃った後で全軍突撃だ!!」
 弓兵部隊が立ち上がり、呂布隊めがけて猛然と矢を打ち込む。上方から降り注ぐ矢に、呂布隊の兵士たちが次々に倒れるが、そこは彼らも鍛えられた精鋭であり、咄嗟に盾を頭上にかざして矢を防いだ。
「今だ、全騎突撃!」
 そこを狙い、白蓮が剣を振り下ろして命じる。矢の降り注ぐのとは反対の方向から、精鋭幽州騎兵一万騎が猛然と駆け下り、矢に気を取られていた呂布隊の横腹に突っ込んだ。そこへ、星の歩兵隊も矢を打つのをやめて突貫する。さっきまで袁紹軍を狩り立てていた呂布隊は、今度は一転して自分たちが狩られる立場となった。
「よし、押して押しまくれ! 敵は浮き足立っているぞ!!」
 白蓮が自ら剣を振るって敵を倒しつつ叫ぶ。兵数には大差が無いが、奇襲を受けた上に一気に優位をひっくり返された呂布隊は、完全に狼狽していた。
(これなら……勝てるかも?)
 桃香も剣を振るって配下の部隊を進退させつつ、勝てそうな手応えを感じていた。しかし、そう確信するのはまだ早かった事に、彼女はすぐ気付かされた。
 突如、雷が落ちたような轟音と共に、味方の一角が吹き飛んだ。妙にゆっくりとした速度で飛んで行く味方の兵を見て、桃香はまさかと思いながらその「爆心地」の方を見た。
「り……呂布だー!!」
 誰かの恐慌の叫び。再び轟音と共に兵士たちが吹き飛ばされ、その血煙の向こうから、ゆったりとした歩みで呂布が現れる。ここまで戦場を駆け、誰よりも多くの敵を屠って来ただろうに、その身体には返り血一つ付いておらず、その表情には興奮も愉悦も感じられない。ただそこに戦場があったから来た……そう言わんばかりの気負いの無さだった。
(……この人が呂布)
 遠目で見たときよりも鮮烈な恐怖に、桃香の身体は凍りついた。呂布は「人中」とも称され、人の中で最強と呼ばれるが、そんな評価すら彼女には甘いことを、桃香は知った。
 呂布は人中ではない……人外の存在だ。地上に顕現した武神の化身。そうとしか言いようが無い。そして、自分たちが従う武神の到来に、呂布隊の兵士たちが再び士気を取り戻し、公孫賛軍と互角に……いや、むしろ押し気味に戦い始める。
「一人だけで戦場の空気を変えた……!」
「呂布さん……恐ろしい人……!」
 あまりの事に半ば唖然とする桃香と白蓮だったが、そんな感想を言っているどころではなくなった。二人が指揮官と見定めたのか、呂布が向かってきたのである。
「うわっ! こっちくんな!!」
 白蓮は水準以上の武術を修めているとは言え、呂布相手にはあまりにも実力が隔絶している事は自覚していた。桃香も言わずもがなである。それでも、二人には「逃げる」と言う選択肢は無い。ここで逃げたら、自軍が崩壊するからだ。
「桃香、あいつは私が何とかする! お前は部隊の指揮を頼む!」
「う、うん!!」
 白蓮の決死の覚悟を込めた言葉に頷く桃香だったが、呂布はそれを許すほど甘くは無かった。方天画戟が一閃し、白蓮の剣が粉々に砕け散った。同時に白蓮自身も吹き飛ばされた。
「ぱいれ……きゃっ!?」
 桃香は咄嗟に靖王伝家を顔の前にかざした。それが白蓮を一撃で退けてなお威力を残していた方天画戟を受け止めた。
「え? うそ……!!」
 やった本人も信じられなかったが、桃香は呂布の一撃を受ける事に成功していた。白蓮の犠牲により、威力が若干低下していたこと。僅かながら呂布が疲労していたこと。そして、靖王伝家と言う名刀を持っていたことが、桃香を呂布の犠牲者名簿に名を連ねる事から救ったのだ。
 しかし、それは奇跡のような出来事であり、呂布は軽く眉を動かしたものの、すぐに方天画戟を引いて、改めて桃香を討とうと振りかざした。桃香は自分が絶望的な状況に変わりない事はわかっていたが、それでも目をそらさず呂布に剣を向けた。
 その時だった。
「桃香様ぁーっ!!」
 混戦を掻き分けるようにして、星がその場に現れた。
「星さん!!」
 桃香が叫ぶと、呂布は星の方を向いた。そして、方天画戟を両手で構え、星に向ける。彼女が強敵だと悟ったようだ。
「私が来たからには、もう安心です、桃香様。呂布、もう貴様の好きにはさせぬぞ。常山の昇り竜、趙子龍が相手だ!!」
 星も龍牙を構え、射抜くような目で呂布を睨んだ。
「恋は呂布……」
 呂布はごく短く名乗りを上げた。恋、というのが彼女の真名であるらしい。天下の飛将と呼ばれる豪将には似合わぬ可愛らしい真名ではあったが、そんな事を気にする者は、この場にはいなかった。
 まず仕掛けたのは、星だった。
「はあっ!」
 気合と共に龍牙が繰り出され、呂布の顔に僅かに焦りが浮かんだ。方天画戟が龍牙を受け止め、火花が散る。しかし、穂先は後僅かのところで呂布の胸を貫く位置まで伸びていた。
 呂布も反撃する。方天画戟が旋回し、竜巻のように星に襲い掛かるが、彼女は馬を巧みに操り、その一撃を回避すると、再び突きを放つ。それも何度も。呂布は方天画戟を引き戻し、その突きを防いで見せるが、心なしか顔に余裕が無い。
「速い……」
 星の攻撃速度を賞賛するように、呂布は言った。一方、星も笑みを浮かべている。
「今の連続突きをかわしたのは、師匠以来初めてだな。さすが呂布」
 主を襲った相手への怒りより、武人として強敵と技を競う愉悦が上回ってきたようだ。そして、二人の戦いは、まだ互いにお手並み拝見、と言った段階でしかなかった。
「では、本気で行くぞ」
「……来る」
 星の言葉に呂布が頷き、そして二人は凄まじい本気の打ち合いに移行した。
 その頃、桃香は地面に落ちた白蓮を助けていた。白蓮の首を狙って殺到する敵兵を、味方と共に蹴散らし、何とか救出に成功する。幸い、白蓮は打ち身だけで致命的な傷は負っていなかった。
「大丈夫!? 白蓮ちゃん!!」
 肩を抱き上げる桃香に、白蓮は自重の笑みを浮かべて答えた。
「ああ、大丈夫。何とかするなんて、ムチャな事を言ったもんだよ……」
 そして、まだ握ったままの折れた剣を捨てようとして、それが上手くできないほどの腕の痺れに顔をしかめた。
「まだ手が動かない……くそ、一撃受けただけなのに……済まない桃香。全軍の指揮を代行してくれ。私はまだちょっと動けない」
「うん、わかった。療兵さん、白蓮ちゃんをお願い!」
 桃香は駆けつけた療兵に白蓮を任せ、指揮に戻ろうとしたが、その時には戦いが止んでいる事に気がついた。兵士たちは一様に一点を見つめていた。
 それは、星と呂布の激しい一騎打ちだった。二人の戦いぶりはまさに対照的だった。
 星の身上は、技と速さだ。流星雨のように、腕が倍の数にも見えるほどの速度で突きを放ち、あるいは見せ掛けの攻撃で相手の目をそらした上で、彗星のような本命を叩きつける。真名の通り、その身に星雲を宿したかのような戦いぶりだった。
 一方、呂布の身上は純粋な力。方天画戟が一閃するたびに、その攻撃は竜巻のように、暴風のように相手に襲い掛かる。星はその攻撃の全てを避けているが、これは受ければ到底その威力を止めきれないからだ。
 星が天を輝かすか、呂布の嵐がそれを覆い尽くすか。誰もが固唾をのんで見守る一戦は、しかし強制的に終了を余儀なくされた。突如、山間に馬蹄の響きが轟き渡ったのである。桃香がその方向を見ると、「馬」の牙門旗を翻した騎兵の大軍が、凄まじい勢いで迫ってくるのが見えた。
「涼州軍! 良かった……助かった!!」
 桃香は心から安堵した。いかに精鋭・呂布隊とは言え、新手の二万もの騎兵には抵抗し得まい。それに、先頭に立つ馬超は、ここからではっきりわかるくらいに逸り立っていた。
「涼州の錦馬超、見参! 呂布、どこだああぁぁっっ!! あたしと勝負しろぉーっ!!」
 そんな叫び声まで聞こえてくる。呂布は星の一撃を後方に跳んで回避すると、そのまま距離をとりながら言った。
「今日はここまで……全軍後退」
 その声に、見守っていた呂布隊の兵士たちが、整然と後退し始める。星は言った。
「逃げるか? 呂布」
 武人なら見過ごせない挑発だったが、呂布はあっさり頷いた。
「無理に戦いはしない……それにお腹すいた。今日は帰る」
「……は?」
 あまりな理由に、物事に動じないはずの星さえ、目が点になる。その間に、呂布は自ら殿になって、撤退していく部下たちを援護しながら去って行った。涼州軍が追い立てるが、その度に呂布に跳ね返され、一騎打ちを挑んだ馬超も、結局勝負がつかず撤退を許してしまった。というのも、道にまだ袁紹軍の敗残兵たちがいたからで、呂布隊は問答無用で彼らを蹴散らしていったが、連合軍側はそうもいかず、彼らを保護しなくてはならなかったからである。
 夕暮れと共に、連合軍は追撃を打ち切った。しかし、その被害は甚大だった。袁紹軍はほぼ壊滅。次に呂布軍の鋭鋒を受け止めた公孫賛軍も、追撃した涼州軍も、決して無視できない打撃をこうむっている。一方、呂布隊に与えた損害は判然としないが、連合軍より圧倒的に少ないのは間違いない。
 飛将呂布。その名は伊達でも飾りでもないと、天下に知らしめた一戦だった。
 
 夜遅くになって、ようやく呂布隊と交戦した各軍の損害がまとまり、曹操が軍議を開催した。本来は総大将である袁紹にしか軍議を開く権限はないのだが……
「袁紹さま、それに文醜将軍は重傷を負って安静が必要ですので、私が代理を勤めさせていただきます」
 袁紹軍幹部の中で、唯一軽傷で済んだ顔良が言う。そう、袁紹も乗っていた輿を叩き壊され、地面に叩きつけられたものの、命に別状はなかった。しかし……
「そう。で、顔良将軍、袁紹軍はどれほど動けるのかしら?」
 上座に座る曹操に、顔良は気落ちした表情で答えた。
「現状、戦闘に耐える兵力は一万を切っています」
 座にざわめきが満ちる。たった一戦で、袁紹軍は戦力の八割を失ったのだ。袁紹にその気があっても、もはや総大将の責務を果たせる状況にないのは明らかだ。顔良は続けた。
「無傷の人数はもう少しいますが、敗走中に武器を捨ててしまった兵が大半で、新たに武具を支給しなければ戦力になりません。また、離散して本隊に合流できず、山の中をさまよっているか、完全に逃亡した兵が一万以上います。申し訳ありませんが、我が軍はもうこれ以上の戦いには耐えられません。後方支援に回りたいと思いますが、いかがでしょうか?」
 曹操は頷いた。
「私としては構わないわ。ただ、顔良将軍? そんな重要な事を貴女が決めていいのかしら?」
 顔良は目を伏せた。今の提案は、全て彼女の独断である。
「……姫様は私が説き伏せます」
 そこで、白蓮も言った。
「いざとなったら、本初の説得には協力するよ。それより、代わりの総大将を決めなきゃならんだろうな。曹操、お前しかいないと思うんだが」
 一同の視線が曹操に集中する。残る連合軍の中では、今や兵力、人材共に最強の軍勢を率いる曹操が、全体の指揮を取るのは当然の事と皆が思っている。何しろ、曹操軍はここまでほとんど被害を出す事無く、兵力を温存しているのだ。
「……まぁ良いでしょう。総大将の任、引き受けるわ。ただし」
 曹操は立ち上がり、一同を見渡した。
「可能な限り損害を少なくする為にも、あなた達には私の采配に従ってもらうわよ。それが引き受ける条件。飲めるかしら?」
 場に沈黙が落ちる。曹操の実力は認めていても、まるで家臣の如く従えと言われれば、やはり戸惑いと反感が先に立つ。勢力の差はあれ、身分的にはここにいる諸侯たちはほぼ同格なのだ。たとえ、おそらく曹操の統一指揮を認めるのが最善の手とわかっていても、簡単には頷けない。
 だから、その沈黙を破ったのは、唯一身分が低いその人物だった。
「俺は構わないよ。曹操さんの指示に従う」
 一刀だった。曹操は彼を見てほう、とどこか感心したような表情を浮かべた。桃香は横の白蓮の顔を見た。その目配せを理解したのか、白蓮も手を挙げる。
「構わない。私も曹操の指揮に従う」
 続いて孫権も頷いた。
「よかろう。名高い曹魏のお手並み、見せてもらう」
 顔良はもうお任せします、と言う表情だったので、最後に馬超が手を挙げた。
「わかった。あたしたちも従うよ。何をすれば良いんだ?」
 曹操は満足そうに頷くと、横に座っていた荀彧に発言させた。
「それでは、虎牢関攻略について、策を述べさせていただきます。まず……」
 説明が続くにつれて、一同の間に驚きの表情が広がっていった。
(続く)

―あとがき―
 今回は激しく呂布無双の話。イケニエになった麗羽様ご一行は気の毒でしたが、私はこの三人は結構好きです。特に斗詩。そのうちちゃんと活躍シーンを与えてあげたいものです。
 次回は虎牢関攻略です。


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