まあ、いろいろってほどに何か特別な事象が押し寄せてきたってわけではないのだが、一週間って時の経過相応にはいろいろと俺の心労を蓄積させる感じの日々を過ごしたのちに迎えたその日。
要するにチビポさんへのお祝いとか高町への埋め合わせとか、そういう約束をまとめて済ませてしまおう的なその日。
もともと、出来ない約束を積極的に交わしたいと思うようなタチでもないし、交わしたなら交わしたで早めに済ませられるものは早めに済ませたいと思うタイプの人間ではあるのでそのイベント自体に特別どうのこうの言うようなことはないのだけれど、なぜか高町に追加でティアとスバルまでついてくるって話になったってのは正直どうなのだろうねと思わざるを得ない。
珍しく高町が休みを取ったのだから、ちょうどいいのでその直属の部下にも休みを消化させておこうって八神の話はわからないでもない。
あの二人が俺についてきたいって理由も、俺がスバルをからかったり、それで歯止めの利かなくなったスバルにティアを捧げたりしたあたりが原因だから、文句を言えるような立場でもなかったのだが。
まあ、まとめて用事を済ませるとでも開き直っておくことにして、一応納得はしたのだけれど。
という感じにスターズ分隊平隊員二人は俺たちについてくることになったわけなのだが、最近何かにつけて高町とセット扱いが板についてきた高町ヴィヴィオさん(仮)は置き去りの憂き目を見ていたりする。
高町はとても連れてきたがっていたのだが、流石に保護対象を遊びのために連れ出すなんて理由で六課から出すわけにもいかないだろう(出来なくもなかったのだが、そんな方法をゴリ押すのは一回が限度だろうという八神の提言で、高町には思うところがあったようである)ってことだった。
ていうか、高町なのはだってことは隠した上ではあるものの、あちらさんには事前に俺が引き連れていくのはもう一人であると報告してあったというのに、昨日いきなりもう二人増えた上にさらに子供同伴でというのは少々どうかと思うのでこの結果に落ち着いたのは俺としては助かったといえる状態だろう。
まあ、そのあちらさんであるところのチビポさんは、同い年の友人が増えると喜んでいたのだから、そこにヴィヴィオが増えたところで嫌な顔をするなんてシーンは想像もつかなかったりするのだけど。
ところでヴィヴィオさんといえばこれ系のことで騒ぎ立てた前科がある身な少女なわけで、また何かしら騒動を起こしたりしちゃったりなんかしてしまったりするのではなかろうかと思ったりもしたのだけど、今回は大人しく高町を見送った。
今回も絶対に何かあるものだと断定して精神的に身構えていた俺としては拍子抜けだったのだけど、出掛けに少女本人が口にした外出を諦めた理由には大いに説得力があったので問題はなかった。
使命感を帯びた表情で精一杯手を振っていたあの少女曰く、世界の平和は私が守るよっ! だそうで。
頭を抱えてうずくまった高町を横目に、ああ、結局誤解は解けてないままだったわけなのかと納得。
やー、俺的には高町が出掛けるたびに説得しなくてはならない手間が省けたわけだから儲けものだというような感覚なのだけど、高町的には心外過ぎて涙目状態だった。
と、そんな事情はともかく。
事前に搬入しておいた俺の車で六課を後にし、適当な駐車場に車を止めてからチビポとの待ち合わせ場所へと向かうと、遠目から二人の人影がその場所で突っ立っているのが見えたのだがそれがおかしい。
何せ一昨日にこの待ち合わせ場所を設定するためにチビポに連絡をとったときには、ついでに呼んでもらうはずだった二人の同期たちは忙しくて抜けられないような話を聞かされていたわけだから、だったらあのチビポっぽい小柄なシルエットの隣にいる長身の女性は誰なのかという疑問を浮かべたあたりで俺の体の奥底から全身くまなくゾクリと怖気が駆け抜けたのでそのまま反転180°。
全力で駆け出した俺に向けてせーくんっ!? と驚いた表情で叫んだ高町が大体の原因でチビポたちに俺の登場と逃走が気づかれて休日の真昼間に人の流れもそれなりに多い往来でリアル鬼ごっこ状態に突入だった。
で、まあ。
俺が全力で逃げたところで高町やらティアやらスバルやら、その上なぜかチビポの連れなんて立場に甘んじてこの場に存在してしまっちゃったりしてるセイス・クーガー殿から逃げ切れるわけもなく、10分ほどは何とか粘ったものの結局はあえなくお縄状態。
いい年こいて俺と鬼ごっこなんかに興じた系の女性たちに、おろおろしている私服姿のチビポのところに連行された俺の口からは、残念な感じに恨み言が漏れ落ちた。
「なんで、あんたがこんなところに……」
「パケットが同期の二人にお前との事情を話していたのを偶然耳にし、ならばちょうどいいから私も行こうと思った」
「なにその説明台詞。子供の日記か!」
ちなみに同期の二人の方は今日も元気にお勤めの最中だそうだ。部隊長のくせいにいい御身分だと感心する。
「とまあ、これ以上の説明は必要かな、青年」
「……もう一つ」
「なんだ」
簡潔に聞いてくる隊長に、俺も簡潔に聞いた。
「今日のあんたの目的は?」
「ああ、それならば言うまでも無く簡単だ」
そう答えた隊長は、とある方向を指差した。
その先にいたのは、高町だった。
「……え。わたし?」
前触れもなく指差され、高町自身も自分を指差してはてなを浮かべた。
「高町に用?」
「ああ、サインを受け取りに」
言われて「あ」と高町が声を上げ、俺のほうも「あー」と納得する。
そう言えば少し前、ホテルアグスタでの事件の直前に、高町が隊長とそんな約束をしたというようなことを聞いたような気がした。
「いや、でも今日俺が高町連れてくるのなんて、チビポにも伝えてないんだけど……」
「チビポ? ……ああ、パケットのことか」
相変わらず妙なニックネームを付けているなこのバカはと毒づいてから、そこは大した問題ではないと隊長は嘯く。
「パケットの用事を終えた後、私が直接機動六課の方に出向こうと思っていたのでな」
お前はその案内役のつもりだった。と何一つ悪びれずに言ってから、
「まあ、どちらにせよ今の状況は、様々な意味で好都合だ」
「は?」
俺がその言葉の意味を理解するよりも先に、隊長は威風堂々と姿勢よく歩いて高町へと近付き、「え? え!?」と動揺している高町の目の前に立ってその手を掴むと、
「青年よ、しばらくこの子は借りていく。用が終われば返すから、それまではそちらの子たちと買い物にでも興じていろ」
「ちょっ、え、セイスさんっ!?」
「……合流はどうすんの」
「せーくんっ!?」
どうして平然とわたしを貸すお話になってるのっ!? と叫ぶ高町だったが、もうこうなってしまった以上俺に高町を助けるようなことが出来るとは思えなかった。
なんだかんだで、俺では敵わない人なのだ、この人は。
それに、まあ、謝罪するいいチャンスじゃないかなあと思わないでもないし、ここは素直についていけばいいと思う。
「それについてはこちらの用事が終えてから、青年のプライベート用端末に連絡を入れることにしよう」
それでいいかと聞いてくる隊長に、まあ、別にどうでもいいよね。と答えたら、せーくんっ! せーくんっ!? とかめっちゃ涙目で俺に向けて救助を要請されたのだけど、すっと目を逸らしたらせーくん裏切り者なのっ!? とか言われた。
でも、まあ。裏切ってなどいない。なぜなら、
「俺は最初から、高町の味方だったとは言い難いよね」
「せーくん帰ったらお話なのーーーっ!」
俺に丸め込まれた時にお決まりの捨て台詞を吐きながら、成す術無くセイス隊長に引っ立てられていく高町を見て、今一度ドナドナの歌詞を思い出した。
だから高町にかの歌を捧げるべく心の中でそれを歌いながら遠ざかる二人を見送ってたら、偉いさんの会話に入るタイミングを逃し傾向だったティアとスバルに左右からこれはいいのかと聞かれたので、別に尊くもない犠牲だったねと言ったら御両人からどつかれた。
ティアはつり目気味にスバルは睨み気味に。加えられた打撃は真剣味たっぷりで。
いや、本当のところは高町にあの人の相手を押し付けるというのはかなり申し訳なくも思っているのだけど、ここで高町に助け舟を出したりするのは普段の俺とは縁遠い行動で、そこに違和感を覚えられたりするのは俺にとっては望ましくない形だ。
それに、ここまで口だけ言って実行に移さなかった俺が言える立場でもないのかもしれないが、二人きりで話したほうがいいと思っているのも事実だった。
と、そんなことを考えながら割と絶えがたい威力でどつかれた両脇を押さえて悶絶していると、うずくまっている俺の肩に誰かがそっと手を置いた。
緩慢な動きで首を上げると、チビポが心配そうな表情で小首を傾げながら俺を覗き込み、大丈夫ですかっ? と声をかけてくる。
なんというか、激しく新鮮だった。
正直最近、六課の中だと俺がこの程度の攻撃を受けたくらいじゃ大して心配もされやしない。いつものことだから。そして大抵俺のせいだから。
それ故に、なんともいえない苦笑みたいな気持ちを感じながら立ち上がり、大丈夫だよと手をひらひら振る。
ティアとスバル二人の尊敬する対象をディスるようなことをしたのは俺なのだし、どつかれて当然な流れではあったろう。こういうスキンシップを取るくらいには相互の信頼関係も育っていると考えれば、そこまで落ち込むようなことともいえない。
だから、殴られて痛いだのどうのこうのを追求してつまらない空気にするのは馬鹿馬鹿しかった。
そういう流れをチビポの昇進祝いに来た本日に作り出すような選択肢は、俺の中にはなかったし。
適当に話を逸らしてさっさと買い物にでも突入しようと思い、話題を振った。
「てか、よくもまああの人と二人きりでこんな場所に突っ立ってられたもんだ」
お前、隊長苦手じゃなかったっけかと聞くと、チビポは困ったように表情を曇らせてから、不安そうな上目遣いで言う。
「こ、怖くはありました……よ?」
「あー。うん。そうだろうねえ」
「で、でもっ、いろいろとお話は聞けたりしたのでっ、ちょっと仲良くなれた気がしますっ」
そりゃ、チビポにしちゃあ頑張ったなと思ったのでそう言うと、「チビポじゃないですっ」と訂正を受けたあとに、ところでそちらのお二人が今の同僚さんですか? と聞かれたので、じゃあまずは自己紹介からだなとティアとスバルを促した。
そんな感じで、後にして思えばいろいろと運命の分岐点だったその日一日が始まった。
とりあえず、無事と言っていいのかどうかの判断はここにいない高町に任せるような状態ではあるのだがチビポとの合流を果たした俺たちは、隊長に連れ去られた高町が戻るまでどこそこ構わず店を見てまわっていることにした。
当初の予定としては、さっさとそういう店行って主に高町主導で物色してもらって良さそうなものを見繕う予定だったのだけれど、まあそういうわけには行かなくなったのは先ほどの流れのとおりだ。
まだしばらくはかかると思っていた昇進の祝いなので。憧れの有名人に選んでもらう、くらいの貫禄をおまけ的に付随させても罰は当たらないだろうと思っていたのだけれど、隊長の登場で見事に予定が狂わされた。
そのあたりの事情を軽く説明してみたら、セイゴさんからのプレゼントですから、セイゴさんに選んでもらえればそれが一番ですっ。とかお世辞を言ってくれてるあたりにチビポの人の良さを再確認したわけなのだが、まあせっかくのプレゼントだし、少しでもよさげなものをプレゼントしてあげたいくらいは思うので、高町が戻ってきたら年の近いティアとスバルにも協力をお願いして検討してみようと思う。
とか思いながら楽しそうにウインドウショッピングに興じている女子三人組の後ろを物言わぬ通行人張りの無関心ながらも追跡していると、その最中にもガールズトーク的なものを繰り広げていたチビポたちの話題がふと隊長のことへと向いた。
内容的な話をすればまあ、あの人は一体全体どういう人なのっていう話になるわけなのだけど。
「ミナトの反応からすると、厳しい人なの?」
「あの人、二つ名が二つ名だからなぁ」
スバルの問いに俺のほうで感慨深くそう漏らすと、チビポが全力で首を縦に振っていた。
ドジ過ぎること以外は本当に普通の子なので、凄すぎる系恐怖タイプの上司には恐縮しきりの傾向だ。
「そんなにすごい二つ名持ちの人なの?」と聞くスバルに、その辺のことくらいは普通に知ってたらしいティアが横目で呆れた視線を送りながら言う。
「……『特攻鬼』セイス・クーガー」
「とっこーき……?」と首を傾げ、「それがセイスさんの二つ名?」と反芻するスバル。
「なんか強そうだね。どんな戦い方するのかなー?」とのんきに聞いてるスバルに、ティアが逸らした目を細めてフッと笑いながら、
「……あんたの猪突猛進を滅茶苦茶方面に特化させてから、キャロにブーストかけてもらったみたいな戦い方よ」
「……え?」と目を丸くするスバルと、「おお……」とティアの的を射た説明の出来の良さに感動する俺だった。
あの人の戦いを一文で説明するなら、確かにそうなる。
ぶっちゃけ、以前に一度模擬戦で引き分けたはずの俺ではあるのだが、今同じことをやれといわれて出来るものとは到底思えない。
あの時あの人の攻撃を捌き切れたのだって、今にして思えばどれだけ必死だったんだよと自分に問いただしたくなるくらいなのだから。
とはいえ、そんな俺の苦労話を説明しただけであの人の無茶苦茶さ加減の全てを伝えきることが出来るとは到底思えないので、特攻鬼の真骨頂についてはそのうち自分自身の目で確かめていただくといいと思うとかそう言う理論を彼女たちに伝え終えたあたりで、
「ていうかあんた、知り合いに二つ名持ち多すぎじゃない?」
後で知ったことだけど、こないだのあの人もそうだったでしょ。とか言い出すティアに、スバルとチビポが「こないだの人?」と二人してはてなマーク。
その場にいなくてまったく無関係だったチビポはともかく、スバルさんの高町以外への興味の無さは異常ですねわかります。
先輩だって一応、昔は管理局の顔みたいな雑誌に何度か登場したくらいには有名人だったのだけど。とか思いながらチビポにはこないだあったことから含めて事情説明。
「旧姓はブレイク。通り名は壊し屋。連続して言うと、『壊し屋』ロロナ・ブレイク」
俺の新人時代の先輩だったんだよという話をしたら、ティアに「あんた、絶対変」とか言われた。
なんでやねん。と突っ込んでみたら、あんたの知り合い本当有名人多すぎなのよと言われた。
何を馬鹿なと言わざるを得ない。ティアだってスバルだって俺と同じくらいっていうか六課以外の知り合い知らないから俺以上かもしれないっていうか、有名人とはお知り合いでしょうって感じだ。
そんな感じで話してると、「でも、なんだか、羨ましいです」とかチビポが言い出したので、何の話かと聞いてみたら「二つ名ってなんだかかっこいいですよね」とか無邪気な笑顔。
そうですかそういうものに憧れるお年頃ですかこの15歳めと思ったりしたのだが、正直憧れるのとかやめたほうがいいと思うよ二つ名。
だってつけられた名前によったら恥ずかしくて将来めっちゃ身悶えることになるからね二つ名。
俺を見てみろよ。なんか中学二年生的年齢だったより以前から呼ばれてたけどなんだよ『神童』って。
神の童(笑)
だったらもし仮に今の年齢になっても才気で溢れてたら何なんですかねえ……。神なんですかねえ……。
神(笑)
はっはっはっ。ほら見てください。胸を貫くこの辛さ。
という感じで二つ名なんてロクなこと無いよと言い聞かせてみたのだけど、そんなこと無いですよかっこいいですととても強めに反論されたりしたものだから、まあ別にこんなことで不毛な争い繰り広げようってつもりも毛頭無かったので適当にからかって話を誤魔化すことにした。
その結果。
「じゃあお前の二つ名『チビポ』な」
「なんでですかーーーーっ!!」
チビポさんの逆鱗に触れた。
軽く威嚇された。
「いいじゃんチビポ。なんか二つ名っぽいなにかっぽくて。『チビポ』ミナト・パケット、みたいな」
「そんなの、ただ私の見た目の特徴言っただけじゃないですかー……」
「そんなにげんなりしなくたっていいじゃないですかー」
「あんた、その口調気持ち悪いわよ」
「うん、気持ち悪いね」
「これは思わぬ方向からの攻撃でござる」
とか適当に言葉で遊んでじゃれあってると、
「それなら、私にも考えがありますよっ」
とか言われたので「ふーん」って興味ない感じで反応してみたらチビポが心外そうに肩を怒らせた。
「ちょっ……。どうせ大した事ないと思ってるでしょうっ!?」
「いや、大したことあるとか無いとか以前に、何するつもりなのかと不思議だっただけ」
うそです。本当は大したことないとか思ってます。
とか思ったけどじゃあ結局キミは一体何をするつもりなんですかと聞いてみたら、
「私も、セイゴさんのことをセイゴさんが嫌がる呼び方で呼ばせてもらいますっ」
とか言われたのでよっしゃー分かったとりあえず下ネタはやめてねとお願いしたら顔を真っ赤にして「しませんよっ」と否定された。憂いやつである。
それから散々、なにをそんなに考えることがあるのかってくらいの時間を迷っていたらしいチビポさんは、その思考の末にある言葉をはっきりはきはきと言うことに心の中で結論が出たらしく、ものすごいストレートに大声で、「お、お兄ちゃんっ!」とか叫んで下さった。
大したことあったよ。なんてことをしてくれやがりますか。
この子やるに事欠いて、俺の社会的地位を抹殺しにきてくれやがった。
そりゃあそうだよね。たとえ普段は自分の発する周囲への言葉の持つ効果に頓着のない彼女だって、こんなにも地雷原まっしぐらな言葉なら発するのに多少の躊躇はするに決まってますよねとか思いながらティアとスバルの方へと視線をシフトさせてみたら絶対零度が二つ並んで私をお出迎えだったので、
「おい、待て。ちょっと待て本当に待て。これは俺にはまったく身に覚えのない話で……」
焦燥的なものでまとまらない言葉をつらつらと垂れ流しながら何とか言い訳だけでもしようと口だけを動かしていた俺に、ティアが顔に手を当てながら遮るように「いや、いいの。本当、なんとも思ってないから。あんたが自分の部下にそういう呼び方をさせるような感じの人間だったことに対して、私が思うことは何もないから」とか言う完全にこちらに対して誤解純度100パーセントの言葉を発してくれやがりましたので結構いろいろと血の気が引いた。
とりあえず後ずさりするティアに食い下がった。
「いや、じゃあ何で少しずつ後ずさってんの。ねえおいちょっとマジで身に覚えが無いからまずは俺の話を……」
「セイゴさん、流石にちょっと駄目だよそれは」
うっせスバルウゥゥゥゥゥ。だから身に覚えが無いって聞いてる? ねえ聞いてる!?
て言うかそこの女店員さん怯えた表情しながら通話機片手に一体どこへと連絡入れようとしてるんですか待ってやめてホントにそれだけは誤解から生まれる系の冤罪ってのはかなりの確率で容疑を晴らすのが面倒くさくなるに決まっているのでやめてください。
「いや本当なんとも思ってないですから。だから近寄らないでくださいアララギさん」
「誰が変態だ!?」
貸してやった本の知識のえげつない有効活用を見た。
ティアの俺への対応が世の中の理不尽を表しすぎてて辛い。すごく辛い。
とか何とかやってる途中に俺の通信端末になぜかセイス隊長のほうから連絡がIN。
あっちの用事は全て恙無く終わったから、とある場所まで高町を迎えに行けとのお達しだった。
別に良いけど何で高町の方からこっちに合流しないのかとかのあたりが気になったのでその辺聞いてみると、なんかどなたさんからか高町の端末に連絡が入ったらしく、その相手をしているから移動するのには適さない状況であるが故に俺が迎えに行ったほうが効率が良いだろうとか言われた。
『長電話になりそうな風情ではあるが、流石に青年が来るまでには話も終えているのではないかな』
私はその前に退却させてもらうがな。と告げる隊長。
まあ、あなたは休みも久しぶりなのだろうし、さっさと家に帰ってお土産の高町のサインを子供たちに渡して楽しい休日でも過ごして英気とか養っても罰は当たらないだろうと思うのでサクッとこちらの通信を終わらせるべく高町の居場所だけ聞いて通話を終わらせた。
さっきから自分のセリフがもたらした結果にとてつもなくおろおろしているチビポと、未だに俺に対して冷たい視線を寄越しているティアやスバルに一言入れ、その場から逃げ出すように立ち去る。
なんかいろいろと状況がカオスだったこともあり、一旦時間を置くべき場面だったろうとは思うので、まあ渡りに船だったことは否定できないなぁと思いながら、高町の通話相手って誰だろうかねとか考えてた。
で、待ち合わせに指定されたとある喫茶店に入って高町の姿を探してると、奥のほうの席で誰かと熱心に通話中らしい彼女の姿を見つけたのでとりあえず「高町ー」と呼びかけたら、めっちゃビックゥッとビビられた。
何よその反応はとか思いつつ傍まで行って高町の様子を伺ってみると、顔を真っ赤にしながら目をぱちくりさせてから、おろおろと視線を逸らされた。
俺にしてはわりと普通に話しかけただけだと思うのだけどこの反応はとても心外だったと言わざるを得ないのだが、通信の相手が先輩だったのを確認した時点でまた妙なことを吹き込まれたのだろうねと納得余裕でした。
とは言ったものの、なにを吹き込まれたか知らぬままにしておくわけにもいかないだろうとは思うので手っ取り早く先輩に何の話をしていたのかと聞こうとしたらそれを先読みされたのか高町にじゃあねと言い残してさっさと通信を切ってくれやがりましたのだった。
仕方なくダメ元ながら高町に何の話だったのかと聞いてみるも、火照った頬を手でパタパタ扇ぎながらなんでもないよとの愛想笑いが明らかに嘘くさいニュアンス。
いや、まあ、この時点で何かあったってのは分かりきっているのだけど、誤魔化されたってことは高町には説明する気が無いってことで。
他の人間ならいざ知らず、高町相手に粘ったところで、彼女の気持ちを覆せるような力もなにも俺にはない。
そんなわけで、無いものねだりは性に合わない俺としてはサクッと気持ちだけでも切り替えることにして、本日の本来の目的だったはずのチビポへの昇進祝いを選ぶ旅への軌道修正を図るべくさっさとチビポたちとの合流を果たそうと思ってまだ軽く頬を火照らせたままの高町を促しつつ店を後にしたわけなのだが。
「……高町は本当、人気者だよね」
「……あぅ」
ごめんなさい……。とうな垂れる高町に、いやいいけどもとため息一つ。
よくよく考えれば、六課を出る時点で気が付くべきだった。
高町と合流してからチビポたちの待つあの店への道中呼び止められること、はや3件。
目的地までの道は、未だに半分も踏破されていなかった。
車での移動はともかく、駐車場から待ち合わせの場所に移動したときに誰にも呼び止められなかったのは、もはや今日一日の運を使い果たしたと言っても良いくらいの僥倖だったわけだ。
昔はここまででもなかったんだがなー。最近雑誌とかへの露出増えてきてるせいかなとか考えてると、「つ、次は、次こそは挨拶だけですませるからっ」との、また話しかけられること前提のセリフに有名人としての自覚がようやく出てきたことへの喜びを感じざるを得ませんとか言ったら高町がより一層弱り顔になった。
俺はどうしたものかと頭をかく。
話しかけてくる人全員に誠意あふれる対応をしようってところは、高町らしくて特に文句もないのだけれど、時間の消費に関しては俺もそれなりには口も出ようってものなのでその辺ご理解いただけると助かりますなのだった。
だけどにしてもどうしたものかねと周囲を見回してみると、近くにそれっぽそうなもの売ってそうなオサレショップを発見。さらに道路を挟んで反対側に帽子屋を発見。
よろしい、ならば変装だ。
そう思い立った俺は、高町の右手首を引っつかむとまずはオサレショップへ。
そこでフレーム細めで空っぽなレンズ部分は楕円形なダテ眼鏡を一つと髪留めをいくつか購入。直後に帽子屋へと直行して、タータンチェックのハンチング帽を一つ購入。
帽子屋のほうにあった休憩スペースで、高町本人に頭の上で髪の毛まとめてもらってから帽子に収納。ボリュームありすぎて若干はみ出してるのにそれはそれでオサレに見えるあたり流石と言えよう。ちなみにオサレ眼鏡は添えるだけ。
と、そこまでの工程を終えるまでの間、妙にそわそわしている高町に多少の違和感を覚えながら、まあ別にいっかとかそんな感じで気にしないことにした。
「よし、随分印象違うな」
「え、えと。ありがと」
帽子の鍔をくいくい弄りながら、眼鏡の位置を気にしつつ、恥じらってでもいるのか俯き加減で高町が礼を言ってくる。
俺が勝手にやったことに礼を言われてもこちらとしてもどういたしましてと言うのも若干憚られるのだけど。
「あ、あの、これの、お金って……」
「あー、いいよ。眼鏡以外大して高くなかったし」
サイズだけ選んだ既製品の癖に、フレームだけで日本円的に言うと3万5千円とか笑えますね分かります。
それっぽいオサレショップだったのが原因かも知れんね。まあ、別にいいけど。形状記憶合金(キリッ
「せーくんの金銭感覚って……、うーん」
高町にだけは言われたくないと思う。どうせ俺より金持ちなくせにねとか思ってると、どうにも気になるのか先ほどからに続いて眼鏡のつるをいじりながら高町は言う。
「眼鏡なんて、初めてかけたの」
だろうね。目が悪いわけでもないのにかける理由なんてそんなに多くはないだろうし、今回のこれがなかったら今後もかける機会なんてなかったのではないだろうか。高町は有名人のくせに変装とかしないらしいタチなのだし。しろよと思うけど。
そんなこんなでとりあえず見た目的には普段の高町からかなり遠ざかっているので流石にもう大丈夫だろうとの判断で店を後にしてチビポたちが待っているであろうはずだった場所へと向かうとそこには誰もいなかった系のオチ。
ですよね、待たせすぎましたよねとか思いながら、でも移動するなら連絡くらいはお願い致したくは思いますねとか思いつつチビポに連絡を取ったら出ない。
えー。とか若干不満を抱えながら次はティアへと連絡したら、
『んー。ごめんなさい。ちょっとミナトと大事な話の最中だから、しばらく時間が欲しいんだけど』
「なんでやねん」
とか、結構困惑の事態だった。
つか大事な話って何よとか、出会ってそんなに経ってるってわけでもないのにもうそんなに仲良くなったんですかねとかいろいろ言いたくはあったのだけど、まあティアが真面目に言ってるっぽいのは伝わってきたので大人しく引き下がるしか選択肢の無い俺なのだが、流石に高町を待たせることに良心は咎めないんですかねえとは思ったのでその辺りうかがってみると、高町の方は「別にわたしは気にならないよ」と笑顔で言うし、ティアの方ときたら、
『なのはさん、すみません。だけどいい機会ですし、普段職務にかこつけて好き勝手をやられている分、今日はその人を好き勝手に振り回してもいいと思うんです』
「酷い論理展開を見た」
間違ったことは言ってないと思うけど? と開き直るティアと、あははと苦笑している割には満更でもなさそうな感じがなんともいえない高町。
別にチビポのための買い物目的で来ている以上はあの子がいないことにはどうしようもないってのもあるし、最近心配と心労をかけっぱなしの高町の気分転換に付き合うのはどちらかと言えば賛成なのだけど、ここで何も言わないのは今までの俺の行動的におかしいよなと言う理論によって、通過儀礼的にティア相手にいくつか文句を言ったりした。
……なんだろうね。今までだったら高町相手に言ってた場面のような気がするのだが、俺のセリフで辿り着くと思われる高町の翳った表情が頭にチラついて出来なかった。
まずいなぁ、とも。良くないなぁ、とも思うのだけど、認識したってだけでこうまで自分に融通が利かなくなるとは思わなかった。
気付いたってだけでこれなのでは、本当に先行きが不安で仕方がない。
そんな思いはあったのだけど、その不安を安易に外に出した暁に高町に気取られるわけにもいかず、とにかく今は目の前のことに集中しておこうと気持ちを切り替える。
そんなこんなで暇つぶしがてらその辺の店を二人で回ってる途中、ふと高町の足が止まったのでなんだろうかと見てみると、露天商に気を引かれたようだ。
ちょっと見てもいいかなと聞かれたのでお好きにどうぞと返答すると、高町はありがと、と笑って店先のアクセサリー類に視線を落とした。
で、高町が商品を物色している最中、俺はと言えば妙に気さくな店主のおっちゃんと世間話に花を咲かせていた。
まったく興味が無かったわけではないのだが、元来アクセサリーをつけるようなタチでないのと、商品の大部分が女物だったこともあってそれくらいしかすることが無かったのだった。
で、しばらくすると一つ気に入ったものがあったらしく、それを手にとって「わぁ」とかちょっと目を輝かせる。
こういうところは年相応に女の子なんだよなぁとか思いつつ、彼女の手元のネックレスらしいアクセサリーを見た。
アクセサリーとしては大きすぎもせず小さすぎもしないくらいの大きさの、折りたたんだ翼っぽい銀の意匠がやたらと格好良く、翼の中心に抱き込まれるように填め込まれたレイハさん位の大きさの赤のガラス球がなんとなくセンスあるなと感じた。
そんな高町と俺の様子を目ざとく察した店主氏が、「おっ。お目が高いねえ!」と、商売屋の常套句とも言えるようなセリフで高町相手にセールス開始だった。
気さくなだけあって話術にも通じていたらしい店主の売り文句にいくつか相槌を打っているうちに、高町の方も元々芽生えていたらしい購買意欲を刺激されたらしく、じゃあこれくださいと言ったまでは何の変哲も無い日常のショッピング風景だったのだろうがその先から少々雲行きのおかしな展開に。
金を払おうとした高町を見て、「おいおいアンちゃん。こういうときは彼氏が颯爽と支払いするのが恋人円満の秘訣だとおもうがね」とか言い出したのでなんでやねん。
流石に言い回しが直接的過ぎたようで、目を丸くした高町の頬に朱がぽっと点る。
一方の俺は、心中舌打ちしながら出来る限り冗談めかした笑顔で別にそういうんじゃありませんよと否定した。
俺がそういう風な意識をしているのを悟らせる訳には行かない関係上、慌てすぎるのも真剣すぎるのもNGなのは分りきっているのでそんな感じを何とか捻り出す。
しかし、「そ、そうです。せーくんはただのお友達で……」と、俺の説明に便乗してパタパタ手を振って恥じらうように否定する高町の様子がおっちゃんの琴線のどこかに触れたらしく、いや、ここはどう見てもアンちゃんが出すべきだよ。とか言い出したあたりで何なのだろうかこの店主は。とかちょっとピキッと来なかったかと言えば嘘になるのだが、これ以上このおっちゃんの勘違いに付き合ってるとさらに面倒くさそうなことになりかねないっぽい感じを感じ取るのは容易だったのと、まあ実際ちょうどいい話ではあるのだろうかという咄嗟の思いからさっさと終わらせようという結論に至る。
じゃあ俺が払います。いくらですかと聞いてみると「えっ」とめちゃくちゃ驚いた様子の高町をよそに、ちょっとゼロの数一つおかしいんじゃないのって感じの値段を提示された。
露天の店先に並べてる商品にしてはどうみてもボッタクリだろとか思う値段だったのだが、こういうのは作った人間への誠意の証がどうのこうので大事なんだよみたいな話を昔どっかで友人に語られたような記憶があるような無いような。
やたら露天商のオリジナル品が大好きな友人の言ではあるので多分に贔屓が入っているような気はするのだが、結局は気持ちの問題なのだろうか。
一期一会に値段をつけて思い出にしたいとかそういうような気持ちは、そこはかとなく分らないでもないような気はするのだけれど……。
とか思ってる最中にあった追加説明によるとこのアクセサリー、一点ものなうえになんか仕入先の特殊な技術で作ってるとかで、耐食性とか耐久性抜群な代わりにそれなりにお値段張るんだとか言われたんだけど、いや、なんかもういいです。
目の前に店主がいる手前気を使ったのかなんか念話で「やっぱり悪いし、わたしが払うよ……?」とか言ってる高町にはどうもありがとうとは思うが、俺としても理由のある買い物になったって事もあるし、別にそこまで頑なに値切りたいほどキツイって訳でもなかったので、じゃあはいとおっちゃんに金を出して商品を受けとる。
で、それを欲しがってた本人のほうへと差し出すと、高町が本気で予想外だったらしく複雑そうな驚きの表情で俺を見てた。
戸惑った様子で俺をいつもの不本意な呼び名で呼びつつも差し出されたものを受け取ろうとしないので、金のことなら気にスンナ。どうせ貯金なら無駄にあるしと言ってみるもなお迷っている様子だったから「じゃあ半年前にバックレた高町の誕生日祝いでいいんじゃね」と言ったらものすごく微妙そうな顔をされた。
なんですかその表情は。しょうがないじゃないかあの日も忙しかったんだよとか思いつつもプレゼントと称した適当なものを適当に郵送くらいはしたほうが良かったのかもしれないとは思わなくも無かった気はする。
そんな感じのことを考えてはいたのだが、なんだかもう面倒くさくなっていいから早く受け取れよって感じで更に高町に向けて手を突き出すと、「おいおいそこはアンちゃんが首にかけてやる所だろうが」とかもう買い物は終わったんだから後はマジで放って置いてくれませんかねと怒鳴りたい気持ちを抑えつつ高町の手に無理やりそれを握らせてからじゃあさっさと離れようって感じで身を翻して歩き出す。
「あ、待ってっ」と俺を追いかけてきた高町は、俺が今の気分を前面に押し出した歩幅で歩いているのにもかかわらず隣に並ぶと、少し焦ったように捲くし立てた。
内容は、変装道具にアクセサリーに、自分のためにこんなに金を使ってチビポの分の買い物に支障をきたしたりはしないのかって話だったのだが、出かける人数の関係上、どうせ要りようになると思って多めに持ち歩くようにしていたし、どうしてもとなればカードで適当にやるから特に問題はない。
それにあれ以上あのおっちゃんに絡まれるのも面倒だったしみたいな説明をしたのだが、納得のいっていないらしい高町の表情は晴れない。
このまま放っておいてもいいんじゃないかとも思ったのだが、一応プレゼントした以上それで困られるのもなんとなく癪だし、下手すると後で話を蒸し返してやっぱりお金は返しますみたいなことを言われるかもしれないみたいな予想も難しくは無かったから、いくつかそれっぽい言い訳を自分の貧相なボギャブラリーから引っ張り出そうとして、俺にしては珍しく馬鹿話の一つも浮かばない。
だからいろいろと考えた結果、こういうときに心に無いことを言うと大概悟られて状況悪化するのが今までの通例ではあるのだから、正直なところを告げるのが手っ取り早いのではないのだろうかという考えに至って立ち止まり、
「……こないだの」
「え……?」
「……あー」
俺の正面に立ち止まった高町を前に、本当にこんなことを言っていいものかとものすごい葛藤に襲われる。
別に、こんなことを言ったからといって彼女への気持ちを悟られるなんてことはないだろうし、たまに親切にするくらいなら今までにも何度かあったことだと思うのだが、そんな気持ちで高町に対して気を使ったのはここ最近で一体何度目だろうかと考えてしまうと、こないだヴィヴィオの昼飯に付き合ったこととか、今日のこととかだけでなく、最近高町の願いを跳ね飛ばせなくなっている自分に気が付く。
さっきに続いて、良くはない。それは分かってるのだけど、今回はもう今更だ。今後のことは今後に考えるとして、それなら今この場で高町の納得を引き出すためにはーって話になって、そこから更にんーんー唸る。
結局、他に何の打開策も見出せなかった俺が、せめて物だけでも普通に受け取ってもらおうと「……こないだ先輩のことで悩み聞いてもらったお礼」と、しかしやっぱり聞こえなきゃいいなと往生際悪くぼそりと言うと、それでも聞こえてしまったらしい高町がきょとんとした。
あの時に感じた感謝を、こんなことくらいで返せるものだとは思ってはいないのだけど。
とりあえず、「もう買っちゃったから、それは好きにしてください。俺の手元にあるよりはそのアクセサリーも本望でしょ」ってとこだけ追加で伝えると、高町は少しずつ表情を明るくさせてから、ほんのりと頬を染めて、はにかんだ。
「ありがと、せーくん。……うん、大切にする」
ありがとうはどちらかと言えば俺の言うべきセリフだし、別に俺なんかのプレゼントを大切にしてもらおうなんて厚かましい事は思っていなかった気がするのだけど、ずっと仕舞わずに手に持ってついてきてたらしいさっきのアクセサリーを、胸の前で大事そうに両手で包んで嬉しそうに微笑っている高町に、……そりゃどうもとしか言えないまま、彼女とは反対の方向に顔を向けた。
不覚にも。と言うやつだ。
今の俺は、さぞ言葉にし難い表情を浮かべていることだろう。そんなところを見せるわけにはいかない。
相当イカレてんな。と、こぼしたため息が、表情に続いて高町に届くことは無かったらしいことだけが、ありがたかった。
2012年5月6日投稿
2013年1月4日大幅加筆
遅くなりました。すみません。