ある日、俺の能力を知ったガープとエースに爆笑されちゃいました。チクショウ
その日から暇な時間は自分の能力の使えなさを再確認しては落ち込む、といった事を繰り返している。
あそこまで爆笑されるとマジ凹むわー。
うん?どんな能力かって?まあ順を追って説明していこうか。
前にも言ったとおり今の俺の体、その元々の持ち主キース君が食べた悪魔の実は“スミスミの実”らしいんだ・・・。
能力はズバリ“墨” 。うん、実にストレートだねー。
後付属効果として指先が筆記用具に変化したりした。
最初に能力発動させたとき指先に意識を集中したら毛筆に変化しちゃったんだ・・・。
他にも爪の部分は万年筆の先っちょみたいに変化します。
あと新たに確認できた能力だが、どうやら入れ墨もいけるらしい。自分限定で好きに体に入れ墨を浮かべられる。もちろん消す事も出来る。
だからどうした、といった程度の能力でしかないのが悲しいところだ。墨だけあって黒一色しか出せないから保護色にも出来やしねえ。
パラミシア(超人系)なので液体になって回避とか出来ないし・・・。
まあドクドクやドルドルみたいに遠隔操作出来るのはせめてもの救いだが、目つぶしくらいにしか使えねえ・・・・・
って、こんな能力でどーやってこの世界で生きていけっつーんじゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!
戦闘能力皆無じゃねーか!墨ぐらいはっちゃんだって出せてたよ?!
あれか?!ペンは剣よりも強しとでも言うつもりか?!!
第2話:能力は使い方次第だと身をもって知りました
今日も今日とて落ち込んでみる。
一人ぽつんと部屋の隅っこで体育座りしながら紙くずに能力で落書きをする。
エースは薄情にも一人で遊びに出かけていったしさ。俺の出すオーラに耐えられなかっただけかもしれんが。
「エースはいいよなー。火だもんなー。うらやましー」
ぶつぶつと呟きながら指を動かす。
「火ー火ー火ー」
そう呟きながら紙に“火”と書いてみてまた落ち込んだ。
俺は親の敵といわんばかりにその字を睨み付ける。が直ぐに目をつぶりため息をつく。
「はぁー・・・・」
何か段々むなしくなってきたな・・・。
そろそろ前向きに体を鍛えるとするか。悪魔の実無しでも強い人はいっぱいいるしな。
そう考え目を開くと紙が燃えてました。しかもズボンに燃え移ってるし・・・・
「って、あっちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
俺七転八倒。ごろごろ転がってると何とかズボンの火が消えた。
そして慌てて紙から燃え移った火の消火を行った。
消火活動を終え、一息ついた後、俺は何でこんな事になったのか思い返してみた。
当然俺が落書き中に辺りに火の気は無かった。となると何か他に原因があることになる。
そして今までと異なった事は点はたった一つ。
はやる気持ちを抑え、燃え残った紙を手に取る。そして先ほどと同じく紙に“火”と書き込んでみる。
で、紙を皿の上に置き念じてみた。
そして次の瞬間字から煙が上がり、あっという間に火が熾り紙を燃やし尽くした。
それを見た俺は、
「いよっしゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!!!!」
喜びを押さえる事が出来なかったんだ。
「いよーーーーーーーーーっし!!これで勝つる!!」
今までの鬱状態とは打って変わって、超ハイテンションな俺。
だって今まで全く使え無いと思ってた能力が、使い方次第では強力な武器に変わると解ったんだ。
そりゃあテンションも上がるってもんですよ!!
今ん所“火”しか試してないけど、俺の“スミスミの実”で書かれた文字は、その意味道理に効果が発揮されるらしい。
一瞬これって実は“モジモジ(文字×2)の実”じゃね?とか思ったが、まあ使えりゃ良いやとスルー。
ただの絵の具で技出す人もいたしね(ミス・ゴーデンウィーク)。
そんな事より書いた文字で効果発動とか、これなんて文殊?
あれってほとんど不可能ないし、そこまで行かなくても汎用性が無茶苦茶高い。
俺ならば、この世界の人間がこの能力使うより、凶悪な使い方が出来る自信がある。
何故ならば!!俺には元の世界の様々なネタがあるのだから!!!
テンション上げてたら、いつの間にか帰ってきてたエースに「大丈夫か、こいつ?」的な目で見られてクールダウン。
さすがに気まずかったんだ・・・。最近鬱って心配かけてたし。
あと帰ってきたじいちゃんにはボヤの跡が見つかって、愛のGENKOTUをいただきました。
こっぴどく叱られたとき原因を聞かれましたが誤魔化しちゃいましたよ。
能力発動でボヤ騒ぎとか恥ずかしいじゃん。能力ショボイとまた笑われたら今度は立ち直れんかもしれないし。
ただ字が書けるだけの能力ではない事が解ったが、それが何処まで使えるのか解らなかったしね。
そう考えるとさっきまでテンション上げてたのがハズカシイ。
さて、ボヤ騒ぎの次の日、俺は町から離れた丘を流れる川、その川縁で能力の実験を始めた。
取り敢えず最初に発動した“火”の文字をおさらいしようと思う。持ってきた紙に書き込み念じると比較的簡単に発動した。
「でも大分ちっちゃいな、これ」
そう、発動した火の文字はマッチ棒程度の火をおこした程度で、紙を燃やして消えてしまった。
「ふむ、まあある程度は予想道理だな」
俺は次の紙を取り出し今度は“炎”と書き込み発動させる。
“炎”は焚き火ほどの火をおこし一瞬で紙を焼き尽くし消える。
「うーん、どうやらある程度字に対する俺のイメージが反映されるみたいだな。まずは一文字で色々発動さて見るか」
雷、爆といった文字は簡単に発動した。イメージを押さえたので雷は静電気程度、爆は爆竹ほどの爆発を起こして紙がはじけ飛んだ。
逆に水、土といった物は発動しなかった。さすがに紙から別の物を作り出すのは不可能だったようだ。
あと冷、震という文字は発動時間も長く紙自体も残った。冷えピタシートやマッサージ機代わりにちょうどいい。
ただ、紙が残っても効果が切れた後は字がにじんでしまい二度と発動しなかった。
「一回使いっきりか・・・」
重、硬といった物も紙は残った。紙自体の性質を変える文字な為若干発動が不安だったが問題なかったようだ。
重はただの紙切れが数㎏の重さに変わり、硬は簡単には曲がらないほどの強度を持った。
うれしい誤算だったのが、こういった性質変換は持続効果がすごく長い。それに効果のオン、オフが出来るようだ。
ついでに水で墨が落ちないか試してみたけど、予想道理アウトだった。まあ消したくなかったら防水加工すればいいし、防水の筒にでも入れればいいや。
丸めたり折りたたんだりしても発動するし。クシャクシャに丸めたら使えなかったけど。
んで、次はイメージを強めて同じ字を発動させてみたが、効果はそれほど変わらないみたいだった。
文字の大きさを変えたりしてみたが、若干効果に変動が出たがそれほどの差ではなかった。
「やっぱり強い意味を持つ字を使った方が効率的か・・・。それはともかく次からが一番重要だな」
そう、今書き込んだのは“火炎”。
これから行うのは複数の文字が複合して発動するか、尚かつどれほど効果が変わるのかの実験だ。
先ほどより離れて効果を発動させると、ゴウッという音と共に一メートルを超える火柱が上がった。
「うん、ここまで来ると戦闘でも使えそうだな。さて何文字までいけるか・・・」
こういった能力は文字を増やせば威力が増す物と相場が決まっている。だから、3文字、4文字と徐々に増やしてみることにした。
3文字は“火炎弾”を選択。ただ、これはそのままだと発動しなかった。
これは地面に置いて試していたので、自分の中の「飛んでいって炸裂」というイメージと離れていたのが原因だった
紙ヒコーキにして飛ばしてやったら燃え上がり加速。まさにファイヤーボールといった効果が出た。
4文字目は“火炎放射”。特大の火柱が上がったが、素材が紙の為一瞬で消えてしまった。
「次からは紙以外の素材も持ってこないとな」
5文字目は“蝦蟇油炎弾”、そうNARUTOで出てきたあれだ。
これが使えりゃジャンプ世界でもやっていける、そう思い書き込み、いざ発動させようとしたら滲んでしまった。
「精神力も減らないし、威力が強すぎて使えないって事かな、これは」
そう思い“風遁大突破”と記入して扇いだら発動したし。
試しに字数の少ない大技を色々書き込んでみたらやっぱり滲んでしまった。
「畜生、“重力波砲”も“波動砲”もダメか・・・。せめて“竜破斬(ドラグスレイブ)”が使えりゃ大暴れできんのにな・・・。
盗賊殺し(ロバーズキラー)ならぬ海賊殺し(パイレーツキラー)とかな。でもゾロの海賊狩りと被るか」
でもこんだけ使えりゃ何も海兵にならなくてもいいんじゃね?とか思った。
どうせなら冒険者としてこの世界を見て回りたい。新世界はともかくとして。
うん、海兵になるとしても、ルフィが海賊王になった後でもいいか・・・・・
ここまで実験してきて解った事がもう一つある。
ただ墨を出すだけならリットル単位で出しても疲れなかったんだが、文字として発動させると凄く疲れる。
一文字程度なら大したことではないんだが、字数が増えれば発動した瞬間精神力がゴッソリ持って行かれる。
それと性質変化みたいな効果の持続するタイプは、発動中常に精神力が削られるようだ。
現在精神疲労で倒れそうです。日も暮れてきた事だし帰るとするか・・・。
何とか家までたどり着いたが玄関先でぶっ倒れました。