シャンクス達が村を出てから半年ほど過ぎた。
この間俺がやっていた事は、修行と言ってルフィボコったり、組み手と称してエースボコったり、
お仕事として海賊をボコったりしていた。
休暇中なんで最後のはお仕事と言うより、修行と航海術の訓練を兼ねたボランティアみたいなもんだ。
賞金平均値が一番低いイーストブルーと言っても、10も海賊団潰しゃそれなりに名も売れてきたしねえ。
賞金稼ぎだったら、結構な稼ぎだったろうになあ。まあ、海兵だって事で無駄に昇進したけどさ。
そんなこんなで今准尉ですよ。塵も積もれば何とやらってか。
おかげで最初の頃は、村のぼろい船を“不沈”で強化して借りてたけど、海軍の小型艇借りれるようになったよ。
ちなみに遭遇率が高いのは“海賊探査”でダウジングしてるからですよ。
的中率は70%って所だけどさ闇雲に探すよりましだし、聞き込みと合わせりゃ的中率は上がる。
いやあ実に便利な能力だよ。この海だったらそれほど強力な賞金首いないからさ。
大雑把な位置が特定できれば、あとは面見て気に入らなかったらぶっ潰せば良いだけなんでね。
で、そのまま村でノンビリしていられりゃ良かったんだけど、俺は今カームベルトを横断しています。
「あーーーーーーーーーーーひまーーーーーーーーー・・・・・」
休みはまだ残ってるんだけどさ、じいちゃんからの連絡で、一遍こっちに顔を出してくれって呼び出されたんだ。
なもんで一時的に海兵に復帰し、本部に向かって航海中ですが現在非常に暇です。
「あのー、ホントに手伝わなくっていいんですか?」
一応客人扱いなんで、この船の船長は手伝わさせてくれない。
でかい船の操船には興味があるし、このまま昇進していけるなら、いずれは指揮取らなきゃいけないしね。
今のうちに覚えておいて損は無いと思うんだがなぁ。
「准尉。君はこの船の操船法を知らないだろう。いずれは覚えねばならんかもしれんが、今は見て覚えることだ」
「まあそうなんですけど・・・・・どうもじっとしているのは苦手で」
「ふむ、とは言ってもな、海軍の仕事は海とにらめっこするのが仕事のようなモノだぞ。今のうちになれておいた方が良い」
おおう、そういやそうですよね。海賊探して一週間以上海の上にいることなんざ、ざらだろうねえ。
第十一話:さーて、海兵生活と行きますか
変化のない海をひたすら見続けて、憂さ晴らしの海賊出てこいと念じていたが、出てくることなく海軍本部に着いた。
おかげでフラストレーション溜まりまくりだよ。それにしても、
「あーーー、足下が揺れてないって久しぶりだな」
ほんっと落ち着く。船に揺られているのも良いもんだが、能力者である俺は船板一枚下は地獄だからな。
いつか海に落ちても大丈夫なような技でも開発してみるか。出来るかどうかはともかく。
「さて、勝手知ったる海軍本部っと」
俺は海軍本部トップ達の執務室がある区画に歩き出す。
ただまあ、私服のまんまで歩いてるもんだから目立つねえ。特に俺のいない間に配属になった人たちとかに。
俺の事知ってる人とかは手を振ってくれたりするんだけどさ。
「うーん、前に支給された制服着てくれば良かったな」
特に執務室辺りの区画の警備配置が少し変わってたのが痛かった。俺の事知ってる人を呼んでもらわなきゃいけなかったし。
子供だからってほいほい通すようじゃ警備の意味が無いんだけどさ。
途中でじいちゃんの所ではなく、センゴク元帥の所へ向かうよう言われ、そちらに向かう。
「モンキー・D・キース准尉まいりました」
服装はともかく、敬礼とかはキチっとしとかないとね。
「うむ、来たか」
うわ-お。師匠連勢揃いですか。
「ガープ中将より召還を受け参りました。私めにいかが御用向きでしょうか?」
「あー、楽に話してくれ。お前にそんな話し方されると体がかゆくなる」
でしょーね。半分は嫌がらせですし。
「りょーかいです。で、何のようです?青キジさん」
「それは、ワシから話そう。久しぶりだなキースよ」
元帥直々ですか。嫌な予感しかしねえ・・・・・・
「お前に伝えなければならぬ事は二つある。一つめはお前の今後についてだ。
お前は准尉にまで昇進したが、今だ部隊の指揮などは知らぬだろう?故に誰か適当な将校の副官となり、その者の元で学んでもらう」
あー、それですか。はっきり言ってめんどくせえ。
元々海軍志望したのは身の安全のためであって、人の上に立つとかガラじゃないんだがねえ。
「はあ、解りましたけど誰の副官になるんです?師匠連の副官だと階級が違いすぎますよね?」
「それはまだ決まっておらん。もっとも、お前の手綱を握らせるのはそれなりの者でなければな。希望があれば聞くが?」
うーむ、俺の階級で副官・・・・・・少尉~大尉ぐらいの人の副官になるのが妥当か。
そのくらいで知ってる人って言うと・・・・・・・・
「ああそうだ、マリージョア襲撃の際にスモーカー少尉とヒナ少尉って人に会ったんですけど、その人達ならどうです?」
「ふむ、調べておこう。さてもう一つの件だが・・・・・」
あれ?!何か空気が重くなりましたよ?!!
「キースよ、貴様新たに七武海に着任したボア・ハンコックを知っておるか?」
へ?何でその名前がここで出るわけ?
「まあ、新聞で見た情報くらいは」
あそこであった事は秘密だし、あの時は名前聞いてないしね。
「そのハンコックがキースと言う10歳ぐらいの海兵がいないか聞いてきてな、その者と話がしたいそうだ。
もしそれが出来ないのであれば七武海脱退もあり得る・・・・・だそうだ」
「それが七武海加入の条件の一つでもあった訳なんだが・・・・心当たりはあるか?」
うおう、青キジさん冷気漏れてますから!!
他の人ももうちょい落ち着いて欲しいねえ。空気ビリビリ言ってるからさ。
「三大勢力の一つに関わる事だ。虚偽はゆるさんぞ」
「さあ?あんな美人だったら一度会ったら忘れないと思うんですけどね?」
耐えろ俺!!もし彼女らが奴隷だった事がばれたら無用な争いが起きる!
何より!俺が彼女らに殺される!!!!
俺は“平常心”まで使ってポーカーフェイス保つ。その甲斐あってか徐々にプレッシャーが減ってきた。
「ふむ、本当に知らんようだな。まあ良い、事が事なのでお前には青キジと共に女ヶ島に向かってもらう」
「くれぐれも粗相をするんじゃないよ。お前は海軍の代表として行くんだからさ」
やれやれ、准尉にそんな大役を任せないでほしいねえ。
青キジさんが一緒ってことは、最悪ハンコックが七武海脱退した瞬間、女ヶ島殲滅戦とかってなりかねんな。
もし海上封鎖何て事になったら緩やかに滅亡するしな。九蛇って女ばっかりだし。
穏便に済めば良いんだがな・・・・・・・・・・
で、青キジさんとの話し合いにより、出航は明日にしようって事になった。
これは俺の都合って言うより、青キジさんのせい。あの人仕事溜めてやがった。
「あれで大将だもんなぁ。海軍の未来が非常に不安だよ」
それはそうと久しぶりの海軍本部。色々と見て回りますか。
俺は本部で一番よく足を運んでいた訓練所に来ていた。
「ここに来るのも大体1年ぶりか。懐かしいねえ・・・・・」
俺の前には新兵達が格闘訓練をしている。
思い出すなあ。じいちゃんに騙されて放り込まれた新人訓練・・・・・
子供なのにさ、一切の容赦なく青年達と同じ訓練させるんだもんな。あれ?何か目から汗が出てきたよ。
まあ、おかげで体力だけは滅茶苦茶ついたけどさ。
元の世界じゃ人並みの体力しかなかったのに、こっちで鍛えると非常識な力になるしな。
六式使いなんかその最たる例だろうねえ。月歩とかマジありえんし。
そんな事を考えながら新兵訓練を眺めていると、後ろから誰か近づいてきた。
「あん?何でこんな所にガキがいるんだ?」
そんな事を言ってきたので後ろを見ると、数人の海兵がおり、どっかで見覚えのある顔がまじってた。
「何かご用ですか?」
「そいつぁこっちのセリフだ。おいガキ、テメエ何でこんなとこにいやがる?」
ガキガキうるさいね。一応階級的には俺の方が上っぽいんだけどな。
って言うか俺の事しらんのか?まあ、あとで上司だって解った時の反応を楽しみますか。
「いえ、別にたいした用はないですよ。ただの見学です」
「ふん、邪魔だからあっちに行きやがれ」
「そうそう、フルボディってば酒場のミーシャちゃんに振られて気がたってんだ」
「だから、近づかねえほーが良いぞ坊主」
そうか、『鉄拳』のフルボディだ。10年後は片手に鉄が埋め込んであったけど、今はまだなんで解らなかったよ。
しっかし、また振られたのかよ。まあ、またって言っても俺が知ってるのは10年後の事だがね。
そのあと、ヒナ大佐に惚れるんだったよな。報われん恋だろうなぁ。
俺がそんな事を考えながら見ていると、俺の哀れみの視線に気づいたっぽい。
「あん?!なんだその目は!!俺に何か文句でもあんのか?!」
おお切れよった。短気だねえ。
「やめろってフルボディ!!」
「そうだぞ!もしこの坊主がお偉いさんの子供だったらどうすんだ!!」
「知るか!!こういう生意気なガキはぶん殴っとかなきゃいけねえんだよ!!」
他の連中に押さえ込まれてるけど、ちっとも落ち着く気配が無い。
それにしても怖いもん知らずだねえ。下手に上から睨まれるとろくな事にならんと思うんだがなぁ。
俺が全く怯えないんで余計に腹立て点だろうな。
ふう、しょうがない。
「良いですよ。殴りたいんなら訓練って事にしましょうか?もちろん反撃はしますが」
「上等だ!!!」
で、訓練所を借りてフルボディ2等兵達と対峙してるんだが、すでに向こうさん泣きそうです。
何でかって?そりゃあ俺の事を上司から聞かされたからですよ。
俺が准尉って事に加えて、青キジさんとの決戦まで耳にしているようだねえ・・・・・
うん、俺が始めて師匠連と組み手しなきゃいけない事になった時と、心境的には似てるんだろうな。
ちなみに他の二等兵達は、巻き添えですよ。
上の階級の人間に坊主呼ばわりとかしたんで、同罪って事らしい。かわいそうに。
別に良いんだけどね、見たとこ強い人いないみたいだしさ。
さて、彼らには船旅や師匠連で溜まったストレスも、まとめてプレゼントしてあげるとするか・・・・
「くくく、小便済ませたか?神様にお祈りは?部屋の隅でガタガタふるえて命乞いする準備はOK?」
俺が激・悪役っぽい顔してニヤリ笑いしてやると、彼らは真っ青になって震え出す。
いやー、実に楽しい。ちょっと癖になりそうだな。
「あー、キース准尉。どうか余りやりすぎないようにしてあげてくれ」
お優しい事に、彼らの上司である中尉がそんな事を言ってくる。
「だーいじょぶですよ。女にうつつを抜かしてると危ないって事を教えてあげるだけですから」
もっとも、そのあとで海兵が続けられるかは知らんが。
さて、そろそろ向こうも心の準備出来てるだろ。
「おーい、準備はどうだい?そろそろ始めたいんだが?」
そんな絶望的な顔すんなよ。始めたくないって全身で主張してるな。
もし逃げたら、敵前逃亡で容赦はしないって言ってあるから、絶対に逃げれんだろうがね。
「ふー、敵は待ってはくれないから、ちゃっちゃと行くぞ」
俺は妖刀“虎竹刀”で肩を叩きながら無造作に歩いていく。
俺が近づいていくと覚悟を決めたのか、各々武器を構え出す。
ちなみに俺は竹刀一本だが、向こうの武装は自由って伝えてある。なもんで普通に銃とか全員が持ってきてる。
味方に銃むけんなよな・・・・・もっとも俺にはそんなもん効かんが。
飛んでくる銃弾を紙絵でかわしながら近づいていくと、驚愕しながらも剣や槍を構えてくる。
「「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――っ」」」」
まさしく必死って感じで突っ込んでくるが、俺は“虎竹刀”の一撃で全員を吹っ飛ばす。
「「「「ぐはぁっ!!」」」」
うーん、見事な舞っぷり。
普通ならこれで終わりなんだろうけど、残念ながら俺が使ってんのは虎竹刀。
その効果はギャグ空間に引きずり込み、どれほどのダメージを受けようとも直ぐに復活させるというもの!!
さすがタイガー・・・・・・世界すらも歪ませるか・・・・・
エースやルフィもさんざん喰らった永劫ツッコミ空間!!
こいつらはいつまで耐えられるかな?!!
このあと10分ぐらい一方的にボコってたんだけど、そろそろ可哀相だからやめてくれってんで終了。
そんなこんなで俺の悪名がまた一つ増えてしまった・・・・・・・
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今回の一言:早々にハンコックイベント消化しようと思ったんで、その中継ぎの話です。
思ったよりも書きにくかったデスよ・・・・・・・
ちょっと話し的に短かったんでフルボディぼこっときました。
戦闘シーン無しでも書けるようになりたいなあ。